MAGNA HISTORIA

The Life and Opinions of Ando Rei 安藤麗の生活と意見

2018年01月

人生を危険にさらせ!
須藤 凜々花
幻冬舎
2016-03-30



もう文庫化もされて、今頃になってではあるが、読んだ。アイドルが専門家と対話しながら哲学的思索を深めていくのだが、哲学史を編年体式に追うタイプの入門書ではなく、「生きるということ」「愛するということ」など5つのテーマのもと、様々な哲学者が紹介され、そこに時には同意したり、あるいは違和感を感じつつ、須藤凜々花は自分の考えを磨いていく。

NMB48や須藤氏に特別興味が無ければ、読者は結構限定されてしまうとは思うが、哲学の入門書的なものとして考えると、私は割と充実感を感じられたし、正直言うと『ソフィーの世界』よりも面白かった。ロールズとかランシエールなど、割と最近の思想家も登場するところがよかった。哲学史を教科書的にさらうものではないので、それぞれの哲学者の紹介という側面から考えればどうしても紹介しきれない部分はあるし、関連したその他多くの哲学者も扱いきれないのだが、その分紹介された理論を自分自身の問題としてよく考えながら対話が行われる。

総選挙での衝撃的な発表があって、実に物議を醸し、正直あれには色々思うところがあった。最近バラエティ番組などにもちょくちょく登場し、その時のことも語っているが、彼女の哲学に対する思いは本当のものなのか、冗談ぽく自らを語るばかりでなく、真摯な彼女自身の哲学も聞きたいものである。あの時の決断が本書の正義論で熱く語られる内容と深く関連するものなのか否かというのも、読んでいて気になるところである。
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バッハのCDも数十枚聞いて解説書にもすべて目を通していれば、いやでも多少は知識がついてくる。

このCDは1724年にライプチヒで演奏されたコラール・カンタータ4曲、BWV 62、139、26、116を収める。

櫻田亮氏の清冽なテノールが素晴らしく、特に最初の3曲にはテノールが活躍するアリアがあり、コロラトゥーラが見事に歌われる。

BWV 62「来たれ、異邦人の救い主よ」は、冒頭が切羽詰まった雰囲気のオーケストラの伴奏に乗せて歌われ、シリアスな曲調が印象的なのだが、内容的にはイエスの到来の喜びへと至る。

個性的なのはBWV26の「嗚呼、いかに儚く、いかに虚しき」で、急速なテンポで流れるような音型が繰り返される冒頭や、3本のオーボエと通奏低音を伴うバスのアリアが聞きごたえある。
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ここ数日毎日聞いているのはこちらの教会カンタータのCD。

バッハが悲しい、暗い曲を書くと、それは非常に内省的で深く重いものになる。バッハの曲のそういう雰囲気が昔から大好きで、他の作曲家にそれを求めてもバッハにはかなわない。

カンタータのBWV 39の冒頭が受難曲の一曲目のように壮大で深く悲しく、感動的。「飢えた人にはあなたのパンを裂いて与えなさい」という歌詞で始まるのだが、その歌詞を歌わせるのにこんなにも憂いに満ちた音楽になるところがよい。とてもよい曲。

収録曲はその後BWV 187、129、1045と続くが、後ろ2曲は3本のトランペットとティンパニを伴ったとても華やかで明るい楽曲。

BWV 1045はシンフォニアニ長調という独奏ヴァイオリンと管弦楽のために書かれた一楽章の協奏曲のような作品。ヴァイオリンが技巧的なパッセージを繰り広げ、管弦楽も祝祭的な雰囲気に満ちた作品なのだが、これはどうもカンタータの冒頭の1曲として構想されていたのではないかと見られている。この時代のヴァイオリン協奏曲というと、オーケストラは弦楽のみか、せいぜいのところ木管楽器が少し加わる程度なので、協奏曲として捉えるなら、トランペット3本とティンパニを伴うのは随分と大規模なもの。
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ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))
H・P・ラヴクラフト
東京創元社
1974-12-13



ラヴクラフトの名前を最初に覚えたのは大学生くらいの時だと思うのだが、実際に読む気になったのはここ数年のこと。クトゥルー神話云々というイメージができてきたのも、実際に読む前に、本田透氏の著作の中で言及されているのを読んでからだったと思う。その後、『這いよれ! ニャル子さん』が話題になって、知人らがその話をしているのを見かけたりするうちに、実際読んでみようかなと思うようになった。

好きな人は凄くはまっているラヴクラフト作品だし、その世界が神話化されて次々と色々な人達の創作に影響を及ぼしているのはわかる、が、自分がそこまで耽溺できるかというと、そういう感じでもない。が、しばらく読み続けてはみようと思っている。別個の作品それぞれに通底する世界観があって、たくさんの物語の断片が増殖して、壮大な神話化を遂げる仕組みは興味深い。

とりあえず、創元推理文庫の全集一巻を読んだ感じだと、この中では「インスマウスの影」が一番よかった。不気味な町で異形の存在に常に追われ続け、そこからの脱出劇がサスペンスとしてハラハラさせるものがある。
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