読んだ。とても分かりやすい。フランスの現代思想家の著作というと、わけのわからない書き方ばっかりで、ただしその文体に妙な文学的魅力があるもんだから気になってしまう。個別にそれぞれの思想家の入門書は色々出ているが、これは新書で実に簡潔によくわかるように説明されていて、とても良い。

冒頭からソーカル事件の反省から始めるところも、フランス現代思想礼賛にならず、その問題も直視しようという姿勢が見えて好感が持てる。ラカンの数式もあんまり真に受けない方がよいとか、『アンチ・オイディプス』なんて一回読んで意味が分かるようなもんじゃないとか、そういったことを専門家から言われることで読者は安心できる。そういうところも素敵。

簡潔で分かりやすいだけに、取捨選択されているところも多分にあろう。デリダに関してはもうちょっと色々教えてほしいというところもあった。しかし、レヴィ=ストロースの構造主義から、現代のメディア論までを新書で鳥瞰する限界の中、充分役目を果たしているとも思う。

ドゥルーズがあの時代すでに現代のコンピュータ管理された社会の問題をあまりにも鋭く論述していたところには驚かざるを得ない。