16世紀スペインのユマニスト、セプールベダによって書かれたスペインのインディオ征服戦争是認論。残酷な征服戦争に反対するレオポルドと、この戦争の正当性を論じるデモクラテスによる対話篇で書かれている。デモクラテスの理論は、率直にインディオに対して残酷なことをしていいというものではないものの、キリスト教布教の必要性から、やむを得ず征服戦争に至ってもそれは正当だという。その中で何か非道なことが起こっても、それによって征服戦争の正当性は否定されず、むしろインディオの野蛮な宗教や風習をそのままにしておくことは自然法に反し、その方がさらに問題なのだ、と説く。

レオポルドがそこにいくら疑問を投げかけても、デモクラテスの主張は変わらず、聖書や神学者たちの著作から引用しつつ、自説の正当性を譲らない。カトリックにおけるキリスト教の神の絶対的正しさの前にインディオの宗教が認められていないのだが、その際自然法という言葉を使ってこれを普遍的な基準による判断であるとして繰り返し説明する。

結局は何が何でもキリスト教が正しいという理屈であるため、どうしても不本意な気分にはなる。ただ、当時のスペインではこのような主張ばかりが説かれていたのではなく、征服戦争への反対の声は強く、有名なのはラス・カサスによる反対。セプールベダはラス・カサスの主張への反論を込めてもいる。世に戦争の脅威がある限り、そしてその正当性や不当性を巡って疑問が湧く限り、この本を読む意義はあろうと思う。