MAGNA HISTORIA

カテゴリ: 哲学

人生を危険にさらせ!
須藤 凜々花
幻冬舎
2016-03-30



もう文庫化もされて、今頃になってではあるが、読んだ。アイドルが専門家と対話しながら哲学的思索を深めていくのだが、哲学史を編年体式に追うタイプの入門書ではなく、「生きるということ」「愛するということ」など5つのテーマのもと、様々な哲学者が紹介され、そこに時には同意したり、あるいは違和感を感じつつ、須藤凜々花は自分の考えを磨いていく。

NMB48や須藤氏に特別興味が無ければ、読者は結構限定されてしまうとは思うが、哲学の入門書的なものとして考えると、私は割と充実感を感じられたし、正直言うと『ソフィーの世界』よりも面白かった。ロールズとかランシエールなど、割と最近の思想家も登場するところがよかった。哲学史を教科書的にさらうものではないので、それぞれの哲学者の紹介という側面から考えればどうしても紹介しきれない部分はあるし、関連したその他多くの哲学者も扱いきれないのだが、その分紹介された理論を自分自身の問題としてよく考えながら対話が行われる。

総選挙での衝撃的な発表があって、実に物議を醸し、正直あれには色々思うところがあった。最近バラエティ番組などにもちょくちょく登場し、その時のことも語っているが、彼女の哲学に対する思いは本当のものなのか、冗談ぽく自らを語るばかりでなく、真摯な彼女自身の哲学も聞きたいものである。あの時の決断が本書の正義論で熱く語られる内容と深く関連するものなのか否かというのも、読んでいて気になるところである。
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原書が出たのは1981年だが、読んでいると今現在の我々が置かれている環境を指して鋭く評されているかの心地であった。インターネット時代において拡散する情報の実態の有無、その意味と無意味を鋭く問われる。クローンや原発の問題なども取り上げられ、まるで今の現状を踏まえて書かれているかのような鋭さ。

本物が無くなって、その情報、データのみが流通して構築されているこの世界には何の実態も無く、何の意味も無いのかもしれない。
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昨年が生誕100年だった、ロラン・バルトの読みやすい評伝。バルトは思想が変遷していくので、一つの○○主義という言葉で言い表すことができないのだが、それにしてもその一生を概観してみると、よく言えば興味・関心の幅が広いものの、一つのものを完成できないままに別のものに興味が移ってしまう、悪く言うと移り気なところもあるのかな、と感じた。あるテーマを見つけてそれで博士論文を書こうと一旦は決まっても、やがて別のものに興味が移って完成しない。新しいテーマで改めて書こうと思ってもやっぱり完成しない。興味の幅が広いからこそ、様々な分野で面白い評論を書いているのは確かだが、中途半端になってしまう部分もあるんじゃないか。

やがて評論から小説の執筆へと向かうが、これもごちゃごちゃ考えるばかりで書けないで終わる。その考えるばかりで完成できないところが、さらに彼の病弱だった頃のエピソードや、物柔らかそうな雰囲気(実情は詳しく知らないけれど)などと絡み合う、というか、よく噛み合っているようにも感じた。ものの言い方とか、ちょっとペダンチックな言葉の綾に酔っている感じもする。で、ふわっとして完成しない。

個人的にバルトというと、昔、『テクストの快楽』を読んだ時は、何言っているんだか、というよく分からなかった印象が強かったが、『表徴の帝国』は面白く、異文化コミュニケーション論的視点から捉えても面白い内容だった。
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自殺について (角川ソフィア文庫)
ショーペンハウエル
角川学芸出版
2012-06-22



読んだ。私は、人生で初めて読んだ哲学書が岩波文庫に収録されているショウペンハウエルの『自殺について 他四篇』で、中高生の時だったと思うが、物凄く感激した記憶があり、これがきっかけで哲学書も色々手を伸ばすようになった。当時の私には難しいところもたくさんあって、多分よく分かっていなかった箇所も色々あったと思うのだが、その力強い文体で論理的にこの世界に生きる苦悩や、聖書に何の典拠もないのに自殺を糾弾する教会への批判を展開する内容に、大いに魅せられたのだ。私に大きな影響を与えた本を三冊挙げよと言われれば、必ずこれを挙げるくらい、強烈な印象を与えた本だ。

さて、この角川文庫版は岩波文庫版と重複する内容もあるが、そこに含まれていない小論も幾つか含まれ、厚みがぐんと増している。中黒の使い方に独特なところがあるが、訳文はこちらの方が口語的で読みやすい。ただ、岩波版の方が力強さはあるかなという気もする。

今になってこの本を読んでみて、あの頃の鮮烈な衝撃が蘇るかというと、蘇らなかった。そこまで生きることを絶望的に嫌なものとして捉えなくなっていいじゃないか、と思った。嫌な事ばっかりで生きるのは辛いという実感は私にもあるし、ショーペンハウアーの言うことに納得できる部分もあるのだが、ここまで本質的に人生が苦悩ばっかりとまで言うこともなかろう、と思うのだ。この世界において幸福を感じて生きるのは、意志の肯定も否定も何も考えず、哲学的認識が大いに欠けている生き方かもしれないのだが、かといってショーペンハウアーの考え方も必要以上に生きる不幸を強調しているようにも思うのだ。

多分、中高生の頃よりも今の私の方がこの本が理解できる。が、冷静に読んでみるとそこまで同調できないなというところも多々あるのだった。私自身の理解力も、考え方も、年月を経て変わっているのだろう。
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不幸論 (PHP文庫)
中島 義道
PHP研究所
2015-05-02



久しぶりに中島義道先生の本を読んだ。ジャケットのムンクが良い。

ずっと前に『孤独について』を読んだ時、自分と同じような考え方をする人がこの世にいることに驚き、感動した。中島氏の本で最初に読んだ本だった。この文庫は最近出たものだが、もとは新書で2002年に出たものだから、その頃からそれほど隔たった時期の著書ではない。だから、書かれる内容に見られる問題意識もかなり共通した、というかやっぱりこのエピソードをずっと抱えてこういう結論に至るのだな、という部分が多い。そして、私自身も2015年になって人生の不幸に対する見方は以前とそんなに変わっていないな、と思う。

本書では、幸福になれないとまでは言わないものの、それは極めて難しく、生きている限り絶対的に不幸だと説かれている。自分の意思とは関係なくこの世に生まれ、結局最後は死ぬという不条理を抱えている限り、絶対的に不幸なのだ。幸福感を感じるならそれはただ、不幸な状況から目を逸らしたり、麻痺しているだけ。

ところどころ色々な哲学者の言葉の引用もしながらいかに人間が不幸なのかを論じ、だからといって死んだ方がいいというわけではなく、安易に幸福を求めて生きるより、不幸であっても真実を直視して生きる方が良いと説いていく。ただ、前半は私もそうだそうだと思って読めるところが多いのだが、第4章辺りから著者自身のエピソードが折り重ねられ、そこから導き出した著者の結論に対して、いや、ここはそこまで極端に捉えなくてもいいんじゃないか、というところもあった。といっても、長年自分の不幸に対しては「修行」を積んできた著者であるから、反駁されてしまうかもしれないが。

たとえば、幸福感を抱いても、それは不幸なこの世の状況が視界に入っていないだけで、本当は不幸なんだという考え方。どんなに幸福に見えても常に不幸に浸食されてしまうかのような構図に見えるのだが、それなら不幸が全面的に自分を襲っても、視界の外にどこか幸福な状態が控えていると想定することはできないのか、とも思ったのだ。幸福感の裏に不幸があるのだから不幸、であれば、不幸な感覚に襲われてもその裏には幸福があるから幸福の可能性もある、という考え方は成立しないのかどうなのか。この世に生きる限り、あくまで不幸が絶対的基準のように存在するのだろうか。そこは私も疑義を抱きつつ、しかし軽薄に幸せを押し売りする人々への批判には共鳴するところ多々あった。よい読書だった。
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読んだ。とても分かりやすい。フランスの現代思想家の著作というと、わけのわからない書き方ばっかりで、ただしその文体に妙な文学的魅力があるもんだから気になってしまう。個別にそれぞれの思想家の入門書は色々出ているが、これは新書で実に簡潔によくわかるように説明されていて、とても良い。

冒頭からソーカル事件の反省から始めるところも、フランス現代思想礼賛にならず、その問題も直視しようという姿勢が見えて好感が持てる。ラカンの数式もあんまり真に受けない方がよいとか、『アンチ・オイディプス』なんて一回読んで意味が分かるようなもんじゃないとか、そういったことを専門家から言われることで読者は安心できる。そういうところも素敵。

簡潔で分かりやすいだけに、取捨選択されているところも多分にあろう。デリダに関してはもうちょっと色々教えてほしいというところもあった。しかし、レヴィ=ストロースの構造主義から、現代のメディア論までを新書で鳥瞰する限界の中、充分役目を果たしているとも思う。

ドゥルーズがあの時代すでに現代のコンピュータ管理された社会の問題をあまりにも鋭く論述していたところには驚かざるを得ない。
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脱構築 (思考のフロンティア)脱構築 (思考のフロンティア)
著者:守中 高明
販売元:岩波書店
(1999-12-22)
販売元:Amazon.co.jp
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読了。うーん・・・・・・
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今年に入って全然本が読めていない。ようやく以下の本を読了。

僕とツンデレとハイデガー僕とツンデレとハイデガー
著者:堀田 純司
販売元:講談社
(2011-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
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ラノベ風に哲学を解説してくれる本。中々いいタイトルですね。デカルトからハイデガーまでの哲学者が女の子として顕現して、自らの哲学を解説してくれる。ちなみにハイデガーは春出川さんという子が解説してくれる。割と面白く読めました。
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恋愛のディスクール・断章恋愛のディスクール・断章
著者:ロラン・バルト
販売元:みすず書房
(1980-01)
販売元:Amazon.co.jp
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これを読み始めた。中々いいです。ときめいています。
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僕とツンデレとハイデガー僕とツンデレとハイデガー
著者:堀田 純司
販売元:講談社
(2011-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
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最近次々と僕好みの本が出てきて困っちゃう(^^;

本書、帯にはなんと木田元先生の推薦文が付いている(^^;

それに、フレッシュレモンがアプリで何かやるの?
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