MAGNA HISTORIA

カテゴリ: 仏文学

アセファル

だいぶ以前に入手したものだが、標題のミニ・シンポジウム報告論集を読んだ。バタイユのアセファルに関する5本の論考をまとめた90頁弱の小冊子。

バタイユの小説も論考も以前から興味を持っているものの、死を前にして感じる歓喜というバタイユの主張がどういう感覚なのか、今までいまいち理解できていなかったのだが、神田浩一氏による本書最初の論文「アセファルと死――「悲劇」の共同体と「死を前にした歓喜」としての瞑想――」を読んでみて、この感覚を瞑想、想像の次元における自分の死として考えると、理解が進むように思った。

続く吉田裕氏の「戦争の影」はバタイユが体験した戦争の問題、古永真一氏による「集合的思考としてのアセファル――バタイユとヴァルドベルグ――」ではバタイユの思想がヴァルドベルグにどう繋がっているか、江澤健一郎氏の「無頭の形象から無頭の絵画へ――アンドレ・マソンの制作における無頭性――」はアセファル像に見られる頭の無い人間像を描いたマソンについて、最後に細貝健司氏による「動物の社会、人間の社会――バタイユとエチエンヌ・ラボ―――」がバタイユとフランスの社会学、また生物学者エチエンヌ・ラボ―それぞれにおける「社会」の捉え方の相違、共通点を探っている。

興味深く読んだ。

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今年読んだ本の中で一冊印象的だったものを挙げると、この本になるのかなと思い、一言。

フランスの作家マルモンテルが著した、スペインの征服者たちによるペルーのインカ帝国征服を描く壮大な歴史小説。ただし、一部はあらすじを要約した形になっている。巻末解説にもあるが、マルモンテルは中々の強い信念の持ち主で、ペルーの無辜の民を虐げる理由付けにもされた16世紀スペインにおけるカトリックへの狂信を明確に批判している。ただし、同じカトリックの司祭でありながら、この征服戦争を批判したラス・カサスもその性格を細やかに描いている。また、征服者のピサロの描き方も複雑。

最近はこういった世界史的で壮大なスケールが含まれた話を興味深く感じる。
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シュールレアリスムとして語られることの多いジュリアン・グラックのデビュー作を読んだ。シュールレアリスムのイメージを持って読んでも、ブルトンの小説よりもわかりやすく、自動筆記のような連想が働いて文章が展開するのではなく、表現しようとするイメージははっきりしており、そのための比喩が重ねられているという印象であった。冒頭からしばらくは風景描写がひたすら続き、意識の流れのような心地で幻想的な風景とこの作品の舞台となる城の様子が示される。そして、夢幻的光景の中で、主人公を含めた男性二人と女性一人の三角関係がもつれていき、悲劇的な結末に向かう。

具合の悪いときに、なぜか横になりながらこれをずっと集中して読んでいた。なぜかわからない。
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なぜか最近この本を読んでいた。無意識のうちにこの本を取る心境だったのだろうか。

主人公ムルソーが、この世のなにもかも無意味と感じるその意識が徹底している。母が亡くなっても涙は流れず、翌日には海水浴に行ってしまう。無欲ではないので、好きな女性もいるのだが、だが、それも一体なんだというのか。事件を起こし、処刑を待ち、そして最後に激して発する彼の言葉に宿る説得力。彼の行動に一貫した動機を結び付けようと無駄な努力をする法律家や聖職者はイラつくばかりだが、ムルソーがこれほどまでこの世界を無意味と思うことがそんなに異常で不条理なのかというと、そんな言葉で片づく問題じゃないだろう。

生きることに空虚を感じている時に読むといいかもしれない。
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悲しみよこんにちは (新潮文庫)
フランソワーズ サガン
新潮社
1955-06-25



昔、サガンが人気を博した時代があったようで、サガンの小説は色々翻訳が出ている。作者が18歳の時のデビュー作がこれで、多分一番有名。主人公はセシルという名の少女。父親が女たらしでどうしようもなく、アンヌとエルザという二人の対照的な愛人が登場し、セシルとの友情やら軋轢やらが描かれる。あまり深い話じゃないというか、描かれるエピソードを通して登場人物が或は読者が何かを悟るでもない内容。登場人物の中では年長者で、精神年齢もそれなりのアンヌの描き方は段々味も出てくるのだが、あっけない結末をつけられてしまう。

深みのある話ではないが、ここに瑞々しい青春期の家族や恋愛に対する思いが示されているといえばそういうところはあるかもしれない。

訳文がかなり直訳調なのが気になった。無生物主語をそのまま主語として訳すような文章が多いし、「あなたがたには少しいらいらさせられるわ」なんて表現が出てくると、受け身の訳文にしなくてもいいんじゃないか、と思うが。

でも、なんか読んじゃった。
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百頭女 (河出文庫)
マックス エルンスト
河出書房新社
1996-03



再びシュールレアリスム作品、今度はマックス・エルンストの『百頭女』を読み終わった。これは昔の挿絵や図鑑、カタログなどの図版を切り貼りしたコラージュに、短い文章を付けたもので、9つの章からなる。「私の妹、百頭女」や「怪鳥ロプロプ」が主要な登場キャラクター。具象的な絵を切り貼りしているが、その組み合わせは意味不明なところが多く、抽象的な世界になる。9つの章の大まかな流れは感じられるけれど、詳しいことはよくわからないし、分からせようとするものではないかもしれない。

巻末に「マックス・エルンスト頌 百頭女のために」という章が設けられて、色んな文化人が寄稿しているのだが、その中の澁澤龍彦がこれを「目で見るイメージの暗黒小説」として評価している。とりあえず陰鬱なコラージュが連続しているのはわかるけれど、そこからこれが暗黒小説なのかと言われても、私にはそんな理解力も感受性もないようだ。

昨日読了したブルトンもそうだが、シュールレアリスムの理念はなるほどと思うところもあるのだけれど、その手法で作られた作品をどう鑑賞したらよいのか、うまく鑑賞できない。

加藤郁乎による「クライマックス――巖谷國士に」は昨日の『狂気の愛』よりも面白く読めた。フランス人がフランス語で自動筆記したものよりも、日本人が日本語で連想的に言葉を繋いで紡いだものの方が、音やイメージの連想を追いやすいからだろう。

とにかく、気になる題名の本で、読みたかったので読んだのだ。
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狂気の愛 (光文社古典新訳文庫)
アンドレ ブルトン
光文社
2008-03-12



ブルトンは『シュールレアリスム宣言』のような理念を著したものは面白く読めるのだが、その理念に基づいて書かれた小説はどうもつまらない、と言ってはシュールレアリスム好きの人には不愉快かもしれないが、残念ながら実際面白いと思えないのだ。

書かれている内容がよくわからない。フロイトの影響のあるシュールレアリスムであるから、イメージがとりとめもなく連想でつながっていくのだが、それを読者が精神分析的に読んでいくべきなのかというと、そこまで重労働な学問的読書行為をまさか求めていないだろうし、それをするには当該の小説以外に作者の伝記的証拠や当時の状況をたくさん集めなければいけない。そして、そんなことはもちろん普通の読者には無理なわけだ。だから、シュールレアリスムの小説を読んで楽しむとしたら、その連想そのもの、連想によってつらなる突飛な組み合わせ、通常の論理では思いつかないようなイメージ、そういったものに面白みを感じるかどうか、ということになるのかと思うのだが、別に面白くなかった。

『狂気の愛』というタイトルは巻末の解説にあるように「狂おしい愛」という意味なのかもしれず、異常な愛情ではないのかもしれないのだが、それにしても最後は子供を思う父親の愛情という、それまでの様々な女性がとっかえひっかえ出てきたり、実験的な文体であるのに比して随分真っ当なというか、普通の結末になってしまっていた。

この小説自体を面白いとは思わないけれど、ただ、シュールレアリスムの理念には興味・関心はある。面白くなくても興味がある。
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Tokyo Fiancee
Amelie Nothomb
Europa Editions
2008-12-30



この作家の作品を初めて読んだのだが、まあ酷い。だいぶ性格の悪いベルギー人女性が日本人馬鹿にしながら日本人男性と付き合い、結婚を申し込まれると嫌になってベルギーに逃亡する。結局、ヒロインが好きなのは理想化された富士山とサムライ。自伝的な形で書かれている。

外国から見た日本のおかしな風習、理不尽を反省する機会として捉えられる部分もあるが、特異な例をもって日本人とは〜〜である、などと勘違いな単純化や極端な一般化があちこちに見られ、非常に残念である。

フランス語圏の作者として有名らしく、色々受賞歴もあるようだが、問題も多分にありそうだ。ちなみに私が読んだこれは英訳版。
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死の宣告 (1978年) (河出海外小説選〈21〉)
著者:モーリス・ブランショ
販売元:河出書房新社
(1978-06)
販売元:Amazon.co.jp
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これまであまり触れなかった領域のものも読んでみようと、ブランショの「死の宣告」を読んだが、はて何が面白いのか・・・・・・。何が凄くて何が面白いのか、全然わからなかった。ページが中々進まなかった。
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さかしま (河出文庫)さかしま (河出文庫)
著者:J.K. ユイスマンス
販売元:河出書房新社
(2002-06)
販売元:Amazon.co.jp
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カフェで読書。『さかしま』第3章まで読んで全然面白くない。部屋の様子やラテン文学の好き嫌いなどを延々と語っている。どうでもいい、そんなこと。

あまり面白いと思える文学作品に出会えない。飽きてきたかね、この世界。

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アーティスト:NMB48
販売元:laugh out loud records
(2012-05-09)
販売元:Amazon.co.jp
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NMBの新曲、またいい曲だなあ。
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