MAGNA HISTORIA

カテゴリ: 絵本

すきになったら
ヒグチユウコ
ブロンズ新社
2016-09-14



いい絵本を読んだ。少女とワニの愛。美女と野獣のような、ボリス・カーロフの「フランケンシュタイン」に出てくる怪物と少女のエピソードのような組み合わせ。どことなく切ない雰囲気もあるものの、温かくまとまる。絵も話もよかった。
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つみきのいえ
平田 研也
白泉社
2008-10



しばらく前にアニメになって話題になっていた絵本を読んだ。

簡潔に言ってしまえば、水没した町で家を常に上に向かって増設している老人を主人公にした話。大工道具を下に落としてしまったことをきっかけにして、潜水服を着て下の部屋へ取りに潜る。すると、過去の思い出が次々と蘇る。

普段は忘れて意識していない過去の思い出が、まさに意識の「水面下」に「潜在」している。過去は下に、未来は上を向いている。そういった過去から未来への時間軸、思い出を常に上に積み重ねて人生を歩む流れが、水没した街の積み木の家に重なっている。

そう説明すれば実に理屈っぽくはなるが、昔の思い出の数々が中々に切ない。二度と戻らない過去ではあるが、それは普段見えない水面下の記憶に格納されている。それがふとしたきっかけで蘇り、しみじみとした気分になるのだ。そのしみじみとなるエピソードが、下へ潜れば潜るほど次々と蘇るので、感動が深まる。

ただ、その深まった末の結末がちょっとあっさりしていたかな、という感じであった。何故この町は水没していくのか、その理由や現状に対する何らかの提案や感傷は示されず、そのまま生活が続いていく。
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