2016年02月14日

 

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 ADYFが現地渡航(2014前期フィリピン・2014後期ベトナム・2015前期モンゴル)で気づいたことや学んだことを、簡単なコラム形式にしてまとめました。

学生の立場から見た現地の様子を読むことで、様々なアジアの国・社会問題に関心を持ち、国際協力それ自体について考えていただけければ嬉しいです。 

 詳しい活動報告はHPに載せているので、興味がわきましたらHPもご覧下さい。



  
目次


1章 モンゴル

 1-1 遊牧民のしつけというもの(幼児教育班)
 

 1-2 教育キットにみる支援のありかた(幼児教育班)


 1-3 遊牧民の生活(砂漠化班)

 1-4 支援はどう引き継げばいいのか?(伝統医療班)

 1-5 大気汚染の裏事情、民主化と大気汚染(大気汚染班)
 
 

2章 ベトナム

 2-1 調査者としてー拭えなかったモヤモヤー(少数民族観光班)

 2-2 途上国の人々(少数民族観光班)
 

3章 フィリピン

 3-1 教育支援でフィリピンのストリートチルドレン問題は解決するか?(ストリートチルドレン教育班)


まずはどれか一つ読んでみてください!!



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2016年02月12日

1-1モンゴルの遊牧民のしつけというもの

ADYF2015前期 幼児教育班 

 

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 皆さんは、他の国の人々の子育ての考え方、しつけというものを考えたことはあるだろうか?僕はなかった。まして、途上国の人々のしつけについて考えたことがある人はもっと少ないだろう。今回僕は、モンゴルの遊牧民の家庭にホームステイし、フィールドワークを行う中で、他国、いや他の文化の中でのしつけというものに関して非常に考えさせられたので、それについて述べていきたい。

 

まず、どういうフィールドワークを行ったのかを説明しておく。僕は、遊牧民の幼児教育をテーマに、①現在の遊牧民が受けている幼児教育は、遊牧民の文化に合っているのか?②遊牧民の生活があれば幼稚園は必要ないのではないか?③遊牧民の子供は親と接する時間が長い中、親は正しくしつけを行えているのか?という疑問を解決すべく、Save The Children(以下STC)が行っているインフォーマルな幼児教育を利用している家庭(トゥミンさん夫婦と新小5のトゥメン・新小1のフスレン、2歳の赤ん坊の家庭)に23日ホームステイし、その生活を見るともに、2泊その近くのムラ(ズンバヤーウラン…中部モンゴル)に泊まり、STCプロジェクト視察、責任者・小学生へのインタビューをした。結果としては、①に関しては、文化を見るには時間が短すぎ、なかなか文化はつかめないということを痛感させられた。②に関しては、遊牧民の生活は自分で学ぶ“自分でやる“にはもってこいの環境であるということが分かり、専門家もおっしゃっていたが、代替教育があればそこまで幼稚園は必要ないのではないかという事が少しは検証できた。ここからは③に関連して、しつけというテーマに関して述べていこう。

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 (上から、プロジェクト責任者へのインタビュー、子供がSTCの幼児教育キットを使っているところ、知り合いを招いての団欒)

 

これはあくまでも、ズンバヤーウランの周辺の遊牧民の家庭のついてであり、通訳のケンジ(僕らがつけたあだ名でモンゴル人)さんの考えが入っていることを断わっておく。結論を述べると、ここの遊牧民は全体として良くも悪くも放任主義で、あまり怒らない、結果として子供は自立的に育っている、という傾向がわかった。どういう事かということを説明していく。

日本では、これやっちゃダメあれやっちゃダメと危険なことから子供を遠ざけ、注意ばかりし、逆にやってほしいことはこれやれあれやれと言っているが、遊牧民の家庭では泣いていても放置し、遊牧生活の中で危険なことをしようとしていてもなかなか注意をしたり、失敗しても怒らないそうだ。そして、何か手伝いや仕事を一から教えたり、やらせたりするのではなく、子供が勝手に親がやっているのを見て学び、聞かれたら教えるというスタイルをとっているそうだ。実際見た所、赤ん坊はよくゲルの扉に挟まったり、転んだりして泣いていたが、基本放置していて、僕や子供たちが馬乳酒とか、ご飯とかを思いっきりこぼしても気にも留めなかった。トゥメンが自分ですぐ処理していた。そしてお母さんは、子にこれやれとは言わず、自分からやる気持が大切と考え、自分から手伝ってくれるのを待ち、やってくれたら誉めたりお礼をいったりするそうだ。つまり、日本は禁止・強制が中心だが、ここのモンゴル遊牧民は放任・言われたら教えるが中心なようだ。日本では、一見当たり前でないとされるようなしつけだ。

ケンジさん曰く、泣いている時にあやしに行ったら、泣けば構ってくれると子供は思うため、余計泣き虫になるから泣いても放置するそうだ。注意もせず、見て自分で学ばせるのも、子供がまず自分で危険なこと・やってはいけないことに気付き、自分で善悪の判断を身につけると共に、何してもいい、逆にやらないと生きていけない、学べない、なら自分でやるという主体性・積極性を身につけることに繋がるそうだ。(実は、これはアドラー流と呼ばれる子育ての理論に当てはまっている。)厳しい自然の中で、強く自分で生きていく必要があった遊牧民ならではだ。モンゴルの親は、ちゃんと子供はいつか親になるということを意識しており、そのためにどう自立させるか、ということを考えているようだった。日本では、過干渉・過保護すぎて、色々やっちゃダメと言われるせいで、何をしていいのか分からなくなり、主体性がなくなり、大きな子供というものがでてきているのではないかとケンジさんは指摘しており、実際専門家からもそのような指摘がある。自立した遊牧民の子供を見る中で、実際僕も、過干渉・過保護が大人になれない子供を生み出しているように思えてならなかった。

 

そして、このしつけのおかげ、とは断定できないが、遊牧民の子供がいかに自立的であるか、色々見ることができた。例えば、当たり前のように兄・姉は弟・妹の面倒を見ていた。赤ん坊が泣いている時も、最終的にあやしていたのはトゥメンで、親が働いている時も、赤ん坊の世話をして、河までおぶって連れて行き、頭を洗わせていたりした。そして、言われることもなくトゥメンとフスレンは親の仕事の手伝いを自分からしていた。そして、一番印象的だったのは小学生にインタビューしたときで、そもそも手伝いを、自分からしたいといって、手伝い始めたと言った子供が多く、また、「親の手伝いをするとき、親に言われてやるの」という質問に対し、皆声を張り上げて、「自分から!」と誇らしげに答えていたことはホントに印象に残った。日本で聞いたら、どれだけの子供が「自分から!」と答えてくれるのだろうか。

専門家の話を聞く限り、遊牧民の親が、日本で言うしつけというものを考えた上でこういうやり方を選択しているというよりは、今までの文化や積み上げられてきたもの、経験からこういうやり方をしているのだろうけど、考え方と生まれた結果には考えさせられるも・参考にすべきものが多くあるように感じられた





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(寮に住む小学生へのインタビュー・
5の図工の授業)

遊牧民のしつけが僕たちの基準で正しいか検証すべく、違う文化のしつけ・子育て・成長した子供を見る中で、危険から遠ざけさせ、あれこれ口出しをする中でいい経験を積ませよう邁進しがちな“僕達”のしつけが正しいとは思えなくなってきてしまった。僕らがリサーチしたキット支援も若干そうで、途上国への支援として正しいしつけを教えようとしているが、それぞれの地域の文化や過去の経緯がある中で、途上国のしつけや子育てに対し間違っているとして、自分たちのやり方・考え方を押しつけることが、どうして正しいと言えるのだろうか?ある面では正しいのだろうけど、もっと尊重すべきことが色々あるだろう。そういった考え方・やり方を教えるということのむずかしさも考えさせられた。

同時に、僕たちの当たり前ではないとされている考え方にも、参考にすべき点は多く存在することが分かった。そして、違う文化のしつけを見る中で、自分たちのしつけについて考える機会も得られた。この経験から僕は、しつけや子育てにおいて、様々な国の考え方・在り方を、是非見てみることをお勧めしたい。



 
(民族衣装を着ている、トゥメンとフスレン・トゥミンご夫婦)

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1-2 教育キット活動にみる支援

ADYF2015前期 幼児教育班

 皆さんは保育園や幼稚園に通われていた経験はあるでしょうか?おそらくこれをまれているほぼ全ての方はその経験があるのではないでしょうか。OECDの2010年度の統計では日本の就育の在籍率はに97%に上ります。これは世界的に見ても高い水準で、OECD加盟中では7番目に高い値となります

 

 しかし日本では当たり前に思われる、幼稚園や保育園に通うことも世界の途上国に目を向ければ当たり前ではないことの方が多いです。今回我々は、「遊牧民の幼児教育」をテーマにモンゴルの遊牧地域を訪れ、その現状を調査しました。そこで見えてきたのは、我々の常識とは異なる新たな幼児教育のあり方でした。

 

 そもそも、モンゴルの遊牧地域では幼稚園や小学校などの教育機関はソム(遊牧地域に点在している小規模な中心地)に存在しています。しかし遊牧民の子供は幼稚園に通うことができない場合がほとんどです。その主たる原因はゲルから幼稚園までの距離の問題です。遊牧民の人々はソムからある程度離れたゲルに居住している場合が多く、子供のために毎日ソムにある幼稚園と、住んでいるゲルの間を往復する事は家族にとって非常に大きな負担となります。同時に遊牧民の家庭は金銭的にも不利な立場に立たされていることが多く、結果として遊牧民の子供が幼稚園に通えていないのが現状です。さらに、遊牧民の家庭の多くは情報・物へのアクセスに乏しく、インターネットや育児本等を参考にした、家庭内で代替的な幼児教育を行う事も困難です。このように、遊牧民の子供たちは適切な幼児教育を受ける事が困難な一方で、小学校以降は義務教育化されており、彼らは小学校入学に際して、付属の寮に編入したり、都市やソムに住んでいる親族を頼って移住していったりすることが多いです。現在モンゴルでは、適切な幼児教育を受けることができていないこのような遊牧民の子供達が、小学校での授業についていくことができずにドロップアウトにつながってしまうことが問題視されています。

 

 そこで、今回紹介したいのは、そんな遊牧民の子供達に対して、Save The Children が行っている「教育キット活動」です。このプロジェクトの概要は、ソムにCommunity Education Center(以下CEC)を設置し、ここを拠点に「教育キット」の貸し出しを行うというものです。このキットの中身は子供の学習のためのテキスト、テキストの使い方などを記した親向けの説明書(キットは親の学習サポートを前提としている)、歌などを収録しているCD、積み木などのおもちゃ等です。各CECにはこのキットが何種類か置かれており、親は定期的にソムを訪れて使用済みキットの返却と次のキットの回収を行っていきます。このようにして全てのキットを各遊牧家庭に順番に配布していくのです。

 

 我々がこのキット活動の調査のために訪れたズンバヤウラン村ではCECはソム唯一の小学校内に設置されており、そこには25種類のキットが保管されていました。我々は、Save The Childrenや現地の遊牧家庭へのインタビューや、実際にこのキットを使用している2つの遊牧民家庭にホームステイを行い、その使用状況や効果、問題点などを調査しました。      

 

 ホームステイでのインタビュー調査を通じて、基本的に親がキットの使用のために取られる時間は1日15分程度であり、それほど大きな負担になっているわけでもなく、計画的な使用ができているとわかりました。キット使用後の子供の変化に関しても、記憶力、文字や数字の理解の向上が見られたと語っていました。二泊のホームステイを通じて、子供が自ら進んでおもちゃやテキストを使っている様子も確認でき、このキットは幼稚園に通えていない遊牧民の子供の認知能力の向上に関して非常に効果的であると感じられました。Save The Children はこのプロジェクトと並行し、キットを使用した子供達に対する学力テストを行っており、その成績データからも実際に子供達の学力の向上が見られたそうです。_                          

 しかし、同時にこのプロジェクトの問題も見えてきました。それは遊牧民の親が、幼児教育が子供に与える意義や、幼児の知能の発達段階に対する十分な理解を持っていないように思われることです。遊牧家庭では親自身も十分な教育を受けることができておらず、教育の重要性に対する理解が乏しいことが多いです。加えて、彼らは情報へのアクセスに乏しく、教育に対する正しい理解を得ることを更に難しくしています。教育キットを用いた家庭での幼児教育には、親の献身的なサポートが必要不可欠です。家庭内教育の持つ、幼稚園で行われる幼児教育のようなプロの教員がいないという欠点を補うためには、親の教育に対する正しい理解が必要不可欠なのではないでしょうか。

 

 幼児教育に求められるのは文字や数字を理解できるようになるといった学習面での成長ももちろんですが、同時に目に見える成果としては現れにくい主体性や社会性など精神面の向上も求められます。今回のホームステイや現地での調査を通じてわかったのは、幼児教育に求められるこの後者の要素に対する親の理解不足でした。

 

  このことは子供の目に見える学習面での成果(例えば詩を暗唱できるようになったり、数字を数えられるようになったり)などを重視し、目に見えない成長(例えば社会性や自主性の向上)をあまり重要視しないような親の態度につながっています。その結果として幼稚園の先生達が、こうした目に見える学習面での成果を幼稚園に対して期待する、親の評価を得るために発表会(具体的には演劇や歌、詩の暗唱)をよく見せることに終始してしまうことも実際にあるそうです。

 

 こうした問題を踏まえて今後このプロジェクトに求められるのは、情報へのアクセスが乏しいこれらの遊牧民の親に、発達心理学的知見に基づいた教育に対する正しい理解を促すことなのではないでしょうか。そのための具体的な手段としては、講習会の開催や、親向けの育児法テキストの作成など様々な手段が考えられます。
 

 以上のような問題はありつつも、この「教育キット活動」shんは現地の文化と、先進国が培ってきた知識の融合という観点からは非常に価値のあるものであると思います。こうした現地文化と、先進国側の最先端の知識・技術の合致点に支援の未来はあるのではないでしょうか。

Ky1


























 
教育キット↑

それを使って遊ぶ子供↓
Ky2



andyfey at 20:38コメント(0)トラックバック(0) 
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