2013年03月

2013年03月31日

【映画】 かぞくのくに(2012)

 長い余韻だった。長く長く、果てしない。出口が見つからないもどかしさと、何かを始めなければという焦燥感。その二つがないまぜになった気持ちだった。映画「かぞくのくに」は、国家によって引き裂かれた家族のきずなを、冷静に丹念に見つめ、決して声高に一方の国の論理を押しつけることはしない。しかしそのことがいっそう現実を明確に映し出し、心がひきちぎられるような悲劇性を見る者の胸に強く焼き付ける。

★DVD


 監督のヤン・ヨンヒは在日コリアン2世。女優やドキュメンタリー映像作家などのキャリアを経て映画監督になった。自らのルーツを見つめる視点からの作品が多く、2006年の「ディア・ピョンヤン」では、総連の幹部で息子3人を帰国事業で北朝鮮に送った父との確執と離別、そして徹底的な話し合いの末の和解、新しい絆の構築などをドキュメンタリー映画として発表。2011年の「愛しきソナ」では、「ディア・ピョンヤン」によって北朝鮮入国を拒否されるようになったヤン監督が、それまでの北朝鮮訪問で撮りためた姪のソナや兄、父母らの映像を再構成して、映画としてまとめた。
 本作「かぞくのくに」はその集大成のような作品。ヤン監督自身が経験した家族の出来事を物語のかたちで伝えようとするものだ。

 北朝鮮に帰国事業で渡った兄のソンホ(井浦新)が脳腫瘍の診察、治療のため、一時的に日本の実家に帰ることを許される。他にも同様の治療目的の帰国者が2人。ソンホには監視役のヤン同志(ヤン・イクチュン)が同行していた。日本で朝鮮人としての教育を受けたものの自由に育ってきた妹のリエ(安藤サクラ)は、かすかな違和感を覚えるが、久しぶりの再会がうれしくてたまらなかった。かつて兄を送り出した父(津嘉山正種)への怒りと反発もあるにはあるが、今はとにかくこの時間を楽しもうとしていた。母(宮崎美子)の気持ちはいかばかりか。言葉にならない。
 元恋人のスニ(京野ことみ)を含むホンギ、ジュノ、チョリら級友とも再会。級友たちは明るかったソンホが寡黙になっていることに寂しさを覚えるものの、変わらぬ友情を確かめ合うことは出来た。

 ただ、脳腫瘍の診察結果は芳しくなく、本格的な治療が必要だと告げられるが、帰国は一時的で、そんな治療にはとても足りない。リエにとっては、いつも近くの車で監視しているヤン同志の態度も気にくわない。日本語が分かるのに分からないふりをすることにも憤りが止められない。
 優しいソンホ。しかしその兄が持ちかけてきた話にリエは驚愕する。これは「ミッション」なのか。そんなとき、突然の帰国命令。「明日、全員帰国せよ」と、理由も何もない。
国家の論理が最優先。個人や家族の事情が酌まれる余地は全くといってない。

 物語は、哀しみと怒りを満々と湛えながらも、さまざまな人の思いやりや優しさをないがしろにせず、静かに進行する。そこには絶対的な批判はない。しかし現実を突きつけることによって、見る者それぞれが何を感じるのか。そのことが問われている。

 本作は、キネマ旬報ベストテンで日本映画の1位作品となったほか、毎日映画コンクール脚本賞を受賞。米アカデミー賞外国語映画部門の日本代表作品に選ばれたが、ノミネートはされなかった。
 しかし、こうした硬質なテーマ、デリケートな問題を扱った作品としては日本では異例のヒットを記録。自らの体験を元にした作品というリアルな感触が多くの観客を惹き付けたのだろう。

 そして、特筆すべきは主演の2人。安藤サクラは本作でキネマ旬報の主演女優賞を受賞。他作品での助演女優賞も得て、史上初のダブル受賞となった。自らのルーツへの疑問と思慕に身を裂かれそうになりながらも、家族への絶ちがたい思いを表現したリエ役の演技は、定評のあったかつての自然な演技が次の高いステージに進みつつあることを明確に印象づけた。安藤サクラにしか表現できない役というものが確かに存在すると思える女優になったということだ。
 ソンホ役の井浦新は、演技派として急速にテレビ・映画で存在感を増している逸材。ファッションモデルとして活躍していたためスタートは遅いが、映画「ワンダフルライフ」や「ピンポン」で注目された後、若松孝二監督の映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」で坂口弘役、話題の3部作映画「20世紀少年」で田村マサオ役と難しい役どころを演じきり、がぜんオファーが殺到。若松監督の「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」ではついに主役の三島由紀夫を演じて大ブレークした。2012年の大河ドラマ「平清盛」では崇徳上皇を熱演し、くせのある役柄に絶対起用してみたい役者のトップランクに挙げられるほどの注目を浴びるようになった。
 本作では、役柄上、無口で感情を表に出せないだけにおとなしめの演技だったが、本当の気持ちを心の奥深くに秘めた表情が実に多彩で、むしろソンホの本心を饒舌に物語る効果を上げていたのは、井浦新の演技の力だ。
 役者としてまだまだその全貌を現していないと思われるだけに、今後がますます楽しみな存在である。

 忘れてはならないのが、監視役のヤン同志を演じた韓国人俳優のヤン・イクチュン。社会の底辺で生きる男と傷ついた心を持つ女子高生との疾走感あふれるラブストーリー「息もできない」で、監督、主演、製作、脚本を務めた才人で、世界的な評価を得て今、韓国で最も次回作が注目される映画人だ。俳優としてのキャリアが先行したが初の長編映画監督作だった「息もできない」でいきなり高い評価を受けるのは並大抵の才能ではない。
 本作では、監視役であるがゆえ、じっと動かず、ただ目だけで演技するシーンも多かったが、ヤン・イクチュンは「息もできない」でも見せた得体の知れないパワーを本作でも十分に感じさせた。見る者にはヤン同志が北朝鮮という国そのものに見えたはずで、一枚岩の岩のひとつのような笑いのない堅い表情ばかりだったが、中盤や後半に見せる弱さや、人の思いやりに感じる心は少なくとも失っていないと見える態度が、観客にはどれほど救いになっていたか。ヤン・ヨンヒ監督の手腕によるところが大きいだろうが、ヤン・イクチュンの底知れぬ演技力がもたらした成果のひとつだろう。

 監督は、スーツケースを「自由」の象徴として使うなど、さまざまな仕掛けを本作に施している。ドキュメンタリーから解き放たれた監督がフィクションの分野でも才能を発揮しつつあることを端的に示していると言えるだろう。

 危ないタイトロープ(綱渡り)を続けている北朝鮮の現状が今のままで良いと思っている人はきっとだれもいないはず。こうした現実が厳然としていまの日本にあることを心にとどめ、祖国や日本に微妙な思いを持つ在日の人たちの心にも寄り添いながら、自分には何ができるかということに考えを至らせることが、この映画を観る意味につながっていくだろう。
 国家単位では何も考えられなくても、家族単位ならば、自分のこととして考えられるはずだから。
見終わった後の、その余韻。その気持ちを大切にしてほしい。


★映画「かぞくのくに」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
かぞくのくに
★Blu-ray

<主 演> 井浦新、安藤サクラ
<共 演> ヤン・イクチュン、津嘉山正種、宮崎美子、諏訪太郎、京野ことみ、村上淳、省吾、塩田貞治
<監 督> ヤン・ヨンヒ(梁英姫)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



andyhouse777 at 05:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★映画 | ----邦画

2013年03月30日

【舞台】 私のダーリン(2013)

 いまどき、こんなまっとうなファンタジーがあっただろうか。観ているこちらがはずかしくなるほどまっすぐに訴えてくるミュージカル「私のダーリン」は、肩の力が抜けたコミカルな展開に身をゆだねているうち、やがて、人生の喜びと哀しみがすっと心の中に染み渡ってきて、舞台から目を離せなくなってくる。そんな不思議な力を持った作品だ。

 俳優・ダンサーで振付師としても活躍する玉野和紀が作・演出・振付を担当した。まさに玉野ワールド。その中心には黒木瞳がいる。
 すっかり映画・テレビ女優のイメージが強くなった黒木瞳だが、元々は宝塚歌劇月組娘役トップ。根っからの舞台人なのだ。可憐さかわいらしさを最大限客席に伝える力、ファンタジックなストーリーに真実味を持たせる本物感、そして繊細な表現力。玉野との共演で起きる化学反応を観客も楽しみにしている。
 それに加えて、宝塚の下級生として愛音羽麗と愛原実花。劇団四季で「ライオンキング」の初代シンバを務め一時代を作った坂元健児。「エリザベート」などの東宝ミュージカルで知られる石川禅や古川雄大。ジャニーズ事務所の数々のショー、舞台を支えてきた町田慎吾。そして大ヒットミュージカルシリーズ「テニスの王子様」から村井良太と大河元気と、実にユニークな面々が集っているカンパニーであることに気付かされる。

 ストーリーのテーマは運命。運命の人との出会いとその後の人生が綴られていく。橘純一郎(玉野正紀)はコンビニ帰りに通りかかった占い師の夢子(黒木瞳)から「あなたは死ぬでしょう」と言われ、無視して通り過ぎたが、再び戻って口論に。双方が意地を張り合っていて、とんでもないところに二人で落ちてしまう。結局そんなこんながきっかけで仲良くなった二人は結婚。その10年後の二人と、仲の良いご近所さんたちが、この物語を紡いでいくのだ。
 夢子は小さいながらも3人の従業員を雇う便利屋を経営。順調に仕事を増やしていた。純一郎は売れない小説家。新人賞をもらった時以来の評判をとろうと必死になっている。いろんなことがあるけれど、幸せ一杯の二人だ。ここに集まるのが、近所のちょっと強面の竜崎(坂元健児)と派手目の麗香(愛音羽麗)のカップルと、人の良い獣医の小谷(石川禅)。純一郎の原稿を待つ出版社の編集者コンビ、浅井(町田慎吾)と吉岡(愛原実香)も出入りしている。

 物語は、夢子と純一郎のラブラブな生活と、ご近所さんらのバタバタの日々が、入れ子細工になりながら進展。出会いから10年目の記念パーティーが開かれる4月1日に向かう日々が活写される。
どこまでもコミカルで、ハートフルに進んでいく物語の中に、スポイトで落とされたしずくのように、寂しさや哀しみの予感が混じる。そしてそれは徐々に大きな予感になっていく。この微妙な感情の振幅が、物語を味わい深いものにしていく。

 世界レベルのタップダンサーである玉野らしく、登場人物の多くにタップを振り付け、ちょっとしたタップショーにも見える構成がうまい。そしてまた、宝塚歌劇や「テニスの王子様」など、出演者のルーツをパロディったようなせりふ、シーンを挟み込んでいて、批評精神にあふれたミュージカルにもなっているところは興味深い。全体的に内輪ウケに終わってしまう危険もはらむ作品ではあるが、初心者にもミュージカル上級者にも十分に楽しめる内容になっているところが憎い。
 なにより、このミュージカル、観ていると、何とも表現しがたいふわっとした幸せな気分に包まれる。そこがポイントである。

 ミュージカル「私のダーリン」は、4月14日まで東京・日比谷のシアタークリエで上演予定。4月17日は、兵庫県たつの市のたつの市総合文化会館赤とんぼ文化ホール大ホールで、20〜21日は大阪市のサンケイホールブリーゼで、23日は名古屋市の愛知県芸術劇場大ホールで、25日は福岡市民会館大ホールでそれぞれ上演予定。


andyhouse777 at 04:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★舞台 | ----ミュージカル

2013年03月29日

【映画】 テイク・ディス・ワルツ(2012)

 料理中の夫にまとわりつくほど愛しているのに、いつの間にか心の中に忍び込んだカレへの想いは決して消えてはくれなかった。実際に不倫というかたちに発展するかどうかは別にして、そんな微妙で狂おしい想いは多くの人が経験する気持ち。ある平凡な主婦のそんな心の軌跡を丹念に追った映画「テイク・ディス・ワルツ」は、「マリリン 7日間の恋」で世界を魅了したミシェル・ウィリアムズのナチュラルな演技で、人々を惹き付けてやまない佳作に仕上がっている。

★DVD


 製作から監督、脚本まで務めるサラ・ポーリーは、「スウィートヒアフター」「死ぬまでにしたい10のこと」などで知られる女優。1999年から監督業にも進出し、2006年の「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」で大きな注目を浴びた。有名になってからもインディペンデント映画にも出続けている反骨の女優であり、社会運動にも熱心であることでも分かるように、映画にアルツハイマー病など社会的な素材を取り込むことに長けている。
 今回は不倫。夫婦というデリケートな問題は、みんな真実を語ることを避けているが、どんな国のどんな夫婦にもあたりまえのようにふりかかる問題である。本作で描かれる世界は、なんとも普遍的で、結婚を一度でもしたことがある人は胸が締め付けられるような映画である。

 結婚5年目の主婦でフリーライターのマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)は、取材で訪れた観光地で感じの良い男性ダニエル(ルーク・カービー)と出会う。結構毒のあることも言うが憎めないダニエル。偶然、帰りの飛行機も隣の席で、空港からの相乗りのタクシーで着いた場所も同じ。互いに家が見えるほど近所だった。マーゴはときめきを感じるが「夫がいるのよ」と打ち明け、二人はそれぞれの家に帰る。マーゴは、近所であることに喜びと恐ろしさの両方を感じる。
 料理(特に鶏料理!)のレシピ本作家である夫のルー(セス・ローゲン)は、極めて優しく良質な人間であることは間違いないのだが、マーゴが愛をねだっても、料理の研究に夢中で、子どもを欲しがっても「犬を飼おう」とはぐらかすような人。ベッドでは冗談を言い合い、いつまでも恋愛時代のような平和な時間が流れている夫婦だが、変化すべき時が訪れているのに、夫は気付かないでいるのだ。妻は体の隅々に違和感が芽生え始めているというのに。

 ダニエルは、売れない画家(自称?)で、普段の生活費はリキシャ(人力車)を引っ張る車夫をして稼いでいる。どこまでも自由で、女心の機微も分かる大人。ルーとはなにもかもが正反対で、マーゴはダニエルに惹かれる気持ちが徐々に抑えられなくなってくる。自然とダニエルと話す機会が多くなってきていた。
 しかし、観ている側が予想するほどには、事態は進展しない。道徳心なのか、ルーへの想いからか、あるいは逆にダニエルへの想いに気付けば気付くほど抑制心が働くのか、マーゴは本当の想いを心の中に閉じ込めてしまう。そんな妻の変調にルーは「なんか変だな」と感じてはいるのだが、真実には気付かない。家の玄関でたそがれているダニエルを自宅のパーティーに招いてしまうぐらいのんきな夫なのだ。

 マーゴはルーに内緒のダニエルとのプラトニックなデートの最中に「30年後の2040年8月5日にこの灯台でデートすることを約束して」と持ちかける。これはほんの冗談のように見えて、二人がこれ以上燃え上がらないようにあり得ないぐらいの長い時間をおいたのかもしれないし、お互いお年寄りになっても愛し合えるかということをダニエルに試しているのかもしれないし、それぐらい先なら不倫も許されると思ったのかもしれない。非現実的な時を設定して、ひとときの夢を見るロマンチックな想いもあっただろうか。
 マーゴがなにげなく口にしたこの約束の言葉をダニエルは結構先まで覚えていた。そのことが後半、大いに効いてくる。

 物語は、マーゴの揺れる気持ちに寄り添いながら、徐々に抗いがたい想いに成長していく過程を辛抱強く描き続ける。彼女はどんな決断をするのか。不満はあるけど間違いなく幸せな今の生活を続けるのか、それとも、明日がどうなるかさえも分からないけど、今日一日は確実に幸せだと思える新しい生活に飛び込むのか。観客にもなかなかその判断材料を与えないサラ・ポーリー監督の手腕はなかなかのもの。
 決断とその後の高揚、そしてその後までもが丁寧に描写されている。女性監督の細やかな視線がとても新鮮だ。

 最初の方と最後の方に、マーゴが台所に座り込んでしまうシーンがある。生活に疲れたというより、幸せの中に埋没してしまうような感じで、オーブンの中をのぞき込んでいるように見える。揺れる炎を見ているのだろうか。どこかうつろで不幸せそうにも見えてしまう。その画面の奥に映っているのは、男性。最初はルーで、最後はダニエルなのかもしれないし、両方とも同じ人物なのかもしれない。
 この謎めいた場面をループさせて、観客に不思議な問い掛けをしているような手法一つをとっても、サラ・ポーリーが並みの映像作家ではないことが見て取れる。予告編などで象徴的なシーンとして使われている遊園地でスクランブラーという遊技機に乗っているシーンも、ダニエルといっしょの場合とマーゴ一人の場合の2パターン。これも幸せと不幸せが背中合わせのように見える不思議なシーンだ。さきほどの灯台にしてもそうだが、この映画には「象徴」が数多く散りばめられており、いっときも目を離せない。何度も何度も見返しがいのある映画である。

 それにしても、ミシェル・ウィリアムズは作品ごとに化ける、なんとも変幻自在の女優だ。妖艶なマリリン・モンローをそっくりに再現した「マリリン 7日間の恋」の次の作品となる本作では、極めて普通の主婦。メークも薄くほとんどナチュラルな存在感を演出している。
 普通とは言っても、少女のようにビビッドで、ロマンチックなマーゴは、「迷子になって誰もいない空港で死ぬかも」という得体の知れない過敏な不安を抱くような決して明るくない部分も持っている女性であり、ナチュラルなだけの女優が演じても上辺だけ表現しているに過ぎない。実力派であり演技に定評のあるミシェル・ウィリアムズだからこそ演じられた役柄だろう。
 劇中、カフェでおしゃべりするダニエルがマーゴから「私をどんなふうに愛するの?」と聞かれて、長々と説明するシーンは決して見逃さないでほしい。こんなにさわやかで、なおかつ、こんなにエロティックなシーンはないからだ。

 こんなに不思議な映画なのだが、冒頭からのシーンをいくつか観ただけで、この映画のとりこになってしまった。ミシェルの輝くような笑顔に映える背景。切り取られる画面のカラーリングの美しさ。あちこちにサラの映像作家としての才能がうかがえるのだ。

★映画「テイク・ディス・ワルツ」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
テイク・ディス・ワルツ
★DVD

<主 演> ミシェル・ウィリアムズ
<共 演> セス・ローゲン、ルーク・カービー、サラ・シルヴァーマン
<監 督> サラ・ポーリー
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



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2013年03月26日

【映画】 プラチナデータ(2013)

 近未来っていつだ? これは今じゃないのか。思わずそう思ってしまうほど東野圭吾の小説「プラチナデータ」はよく出来ていた。ヒトのゲノムの全塩基配列を解析する国際的プロジェクト「ヒトゲノム計画」が始まった1990年ごろ、その完了は果てしない先に思えた。ところが国際的な協力や企業の参入により、予定より早く2003年に解析は完了。いまはその解釈と利用の段階に入っていると言っていいDNA研究。まだ世間に発表されていない確定直前の成果も含めれば、恐るべき進化を遂げているはず。同じようにDNAを使った捜査も日進月歩。良い悪いは別にして、捜査へのDNAの利用をさらに一歩進める可能性も高い。だから、ほとんどの国民のDNAを得ることで犯罪検挙率100%になった日本で巻き起こる不可解な事件を描いたこの小説は極めて現実的なおもむきがあったのだ。その小説の発表から3年、二宮和也、豊川悦司という魅力的なキャストでついに映画化された「プラチナデータ」の世界は、さらに現実味が増していると言えるのである。

 よく知られていることだが、小説「プラチナデータ」はもともと東野が映画化を前提に書き始めた小説がもとになっている。しかしいったん企画はストップし、映画化という条件をはずしてあらためて小説として書き直したのが、世間に発表された「プラチナデータ」だ。
大阪府立大電気工学科を卒業している東野は文学界では珍しい理系作家。「ガリレオ」シリーズで分かるように、科学技術の知識を最大限生かした作品も多い。中でもこの「プラチナデータ」は、その最たるもので、DNAという素材を使って、人間の宿命という壮大なテーマにまで物語を展開させていることで高い評価を受けた作品だ。
 一方で、そのことが逆に映像化を困難にもした。2時間ちょっとという映画のスケールで描けるのか、小説執筆時点の科学技術がすぐに過去になってしまう現代社会にあってリアルなテクノロジーを描けるのか、DNAイコール宿命という視点に無理はないか。いずれもかなりの困難が予想される課題である。

 しかし大友啓史監督ら製作スタッフは、最新テクノロジーを表現するための妥協なき追究、数々のシークエンスの大胆なカット、フルスピードの物語展開などで、全体的に引き締まったボディのような映像づくりに成功。一部の役の性を男性から女性に変えることで、宿命というテーマにさらに母性というサブテーマをも付け加えている。生命の基となるDNAはまさに、母性のイメージをまとっている。テーマ同士が複雑に絡み合う神秘的な作品に仕上げることにも成功している。

 極めて現在に近い近未来の日本。DNA解析の精度が上がったことに加え、国民全体のDNAを集める計画が進行し、犯罪捜査においては、検挙率100%、冤罪率0%の社会が近づいていた。その中心となる警察庁特殊解析研究所では、所長の志賀(生瀬勝久)のもと、天才科学者神楽龍平(二宮和也)や、研究員の白鳥(杏)を中心に数々の事件を解決しつつあった。
 しかし不穏な動きも進行していた。DNA捜査をめぐる関係者が次々と殺害されていたのだ。そしてついにこのシステムを神楽とともに開発した天才数学者、蓼科早樹(水原希子)とその兄も連続殺人事件の犠牲者になってしまう。警察は、現場の捜査や刑事の勘といった旧式の捜査手法に重きを置く警視庁捜査一課の刑事、浅間玲司(豊川悦司)を先頭に地道な捜査に乗り出したが、早樹の爪から犯人のものと思われる皮膚片が発見され、DNAの検出が進む。

 そして割り出された容疑者は、なんと神楽龍平。DNA捜査を信奉する彼自身に疑惑の目が向けられる皮肉な展開で、物語は大きく動き出す。身に覚えのない殺人の疑惑に、龍平は陰謀の存在を感じ、逃走する。なぜか白鳥はこっそりと逃走生活を手助けしてくれる。
 警察は、執拗に龍平を追いながらも早樹と龍平の過去にも目を向ける。早樹は知的障害がありながらも特定の分野で人の何倍も優れた能力を持ついわゆる「サヴァン症候群」の患者で、早くから数学に天才的な能力を発揮していた。そして龍平は、陶芸家だった父親の自殺をきっかけに別人格のリュウ(二宮和也)が現れたいわゆる「二重人格」の患者だった。
 二人を早くから診察してきたのは、早樹兄妹が殺された新世紀大学病院の精神科遺伝子学担当教授の水上利江子(鈴木保奈美)。医師として治療を続けながら、二人を見守ってきた母親のような存在でもあった。警察のDNA捜査にも大きく関わってきた人物である。

 逃げる龍平は、早樹が、殺される直前に新たなプログラムを作成していたことをつかみ、その謎を追う。警察は龍平ではなくリュウが殺人を犯したという見方を強めるが、決定的な証拠はDNAだけだ。白鳥の動きはなおもあやしい。
 物語は、龍平の逃走劇を中心に、多面的に展開。やがてそれはひとつの真実に吸い寄せられるようにして、究極の点に向かって収縮していく。

 相変わらず隙のないサスペンスを組み立てている東野の原作の上に、製作スタッフは恐るべきスピード感を付け加えた。洋画はともかく、日本映画では最高レベルの逃走シーンを創りあげたと言っていい。特に二宮のアクションは、闘うアクションというより敏捷な
逃げるアクションなのだが、超人気俳優としては考えられないほどの高さや速さを持ったジャンプも組み込まれており、特殊撮影や画像処理の助けを借りない生身の動きが、見るものをドキドキさせる。

 とにかく二宮の表現が巧みだ。二重人格と聞くとすぐにジキルとハイドを連想し、全く性格の違う2人格を思い起こしがちだが、龍平とリュウはグレーゾーンが間にあるものの、外界への感性や対応力に差があるぐらいで基本的にはそんなに変わらない。二宮はグレーゾーンからひっこりと顔をのぞかせるように両方のキャラクターを見せ、また戻っていく。しかし「二人」はあきらかに違い、あきらかに別の人間だ。若手の俳優でほかにこんなに微妙な演技が出来る人がいるだろうか。

 素を全開にするバラエティーやコミカルな作品以外はあまり押し出しの強い人間は演じない二宮。一見淡い表情の中に深い苦悩や憂鬱を浮かび上がらせ、どこまでも役柄を深掘りしていくことに長けた希有な役者である。
 普通の高校生でありながら、横暴な養父への激しい攻撃性を見せる映画「青の炎」の秀一、クリント・イーストウッドに見いだされた映画「硫黄島からの手紙」での地獄の中で希望の光を見つける西郷陸軍一等兵、まじめな顔を装いながら父親を殺した犯人を追い詰めていくドラマ「流星の絆」での三兄妹の長男功一、不条理な闘いの中で自分の存在理由を見つけていく映画「GANTZ」の玄野計など、天才的な感性と職人のような演技力が同居した、唯一無二の役を創り出す能力が人並みはずれている。本人は演技派と言われることは面はゆいようだが、普段も演技中もあれだけのナチュラルなたたずまいを見せられるのはただものではない証拠だ。

 豊川悦司は、1週間で靴をはきつぶすような典型的な昭和型刑事のおもむきを持ちつつも、科学技術の真底に眠る人間的な側面をきちんと見極めていく新時代のシャープな感性も併せ持つような浅間刑事と二重写しになるような役者のたたずまいを持っており、まさに適役といっていい。二宮と目の演技をし合うなど、男同士に通じ合う信頼のようなものがにじみ出ていて、後世に残る組み合わせと言える。

 水原希子は本人にとっても転換点になるであろう早樹という難しい役柄をよくこなした。いつもの輝くような笑顔が封印された中で、どれだけ感情をあふれさせられるか。手や指の先にまで神経を使っていた演技での表現は特筆もの。彼女には、大きな大きな経験となるだろう。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
プラチナデータ
<主 演> 二宮和也
<共 演> 豊川悦司、水原希子、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏、萩原聖人、遠藤要、中村育二、和田聰宏
<監 督> 大友啓史
<原 作> 東野圭吾
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★原作本=文庫本


★サウンドトラックCD


★雑誌「Switch」プラチナデータ特集号


★雑誌「Pen」プラチナデータ特集号


★雑誌「H」プラチナデータ特集号




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2013年03月23日

【News】 「SHOCK」1000回達成(2013)

 堂本光一のミュージカル「Endless SHOCK」がついに1000回を超えた。

 特別カーテンコールでは「支えてくれたすべての方に感謝します。これからも信念を持ってやっていきたい」と挨拶した堂本光一。史上最速となる12年5カ月での達成は自らの鍛錬のたまものであることは間違いないが、一人の力では決してここまで続けてこられなかったであろうことは、本人が一番よく知っている。だから、この日、口にした感謝の気持ちは正真正銘の正直な気持ちだろう。

 2000年に始めた「MILLENNIUM SHOCK」から続く「SHOCK」シリーズ。2005年からは「Endless SHOCK」として上演されている。この日で、「放浪記」の森光子、「ラ・マンチャの男」の松本幸四郎、「夕鶴」の山本安英に次ぐ、同一演目の単独主演1000回達成者となった。既に帝劇での単独主演回数はトップに立っている。

 東日本大震災では、幕間に発生したため、後半を含めてその後の公演を断念したが、けがをしても体調が良くなくても続けてきた「SHOCK」シリーズ。その姿は、劇中のコウイチがモットーにしている「Show must go on(何があっても、ショーは続けなければならない)」という言葉と二重写しになるだけに、観ている観客の感慨もひとしお。まさに堂本光一自らが体現してきた生きざまが、「SHOCK」をこれほどの作品にしたのだ。
 これは演出を手掛けるジャニー喜多川のモットーでもあり、エンターテインメントにたずさわるすべての者にとっても大切な言葉。堂本光一は本当のプロ根性というものを見せてくれている。
 光一本人は1000回と言っても「実感がない」とぽつり。「毎日、その日が勝負と思っている」と夢中で掛けてきた12年あまりだったことを認めている。

 この日、堂本光一を驚かせたのは、観客もライトで参加しての企画。客席に光る「1000」という文字を絶句しながら見つめていた光一。今日の記録も含めて「SHOCK」シリーズはファンこそが創り上げてきたものだということをあらためて実感したに違いない。
 これまでの観客動員数は約182万人。全公演が発売初日に即日完売するわけで、動員数の何倍もの人がチケットが入手できない状態。最近は、男性や高年齢層の観客も増えており、ますますプラチナチケットになっている。

 特別カーテンコールには、最初の年の「MILLENNIUM SHOCK」にも出演していた東山紀之がお祝いに駆けつけた。ジャニーズ事務所希代のエンターテイナーである先輩と後輩が舞台上で微笑み合った。
 そして堂本光一と「Kinki Kids」でコンビを組む堂本剛も登場。帝劇での貴重なツーショットは最高のサプライズプレゼントとなった。
 「SHOCK」1000回のニュースは、翌日のスポーツ紙はもちろんのこと、一般の新聞各紙や通信社大手の共同通信、NHKでも大きく取り上げられ、社会的な関心の高さを証明した。

 ずっと先には、森光子の「放浪記」2017回という驚異的な数字が見えている。座長の大先輩であり、一つのことを長く続けるということについてさまざまなアドバイスをもらっていた森光子が昨年亡くなったことは、堂本光一にとって、大変大きな損失だったに違いない。森の記録を超えるかどうかは誰にも分からないが、「Show must go on」の精神で走り続ける「SHOCK」のこれからがますます楽しみになってきたことだけは確かだろう。

 「Endless SHOCK」は3月31日まで東京・丸の内の帝国劇場で上演予定。その後は4月に福岡市の博多座、9月には大阪の梅田芸術劇場で上演される。


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2013年03月22日

【舞台】 ハムレット(2013)

 シェイクスピア劇がなかなか好きになれなかった。ひとつのことを表現するのに、わざと比喩や形容詞を多用して5行も10行も費やす文章法。おそらく進むべき道があるのに、自ら迷宮にはまり苦悩する主人公。無理矢理自分の時代に引きつけて分かったようなつもりになっている知識人の方々。好きになれなかった理由を挙げたらきりがない。特にその代表格とも言える「ハムレット」は、難物だった。しかし、実は無駄に饒舌で退屈だと思っていたシェイクスピア劇、そして「ハムレット」にこんなにも多彩で、こんなにも豊かな世界が広がっていたとは。そのことが理解できて、がぜんシェイクスピア劇が好きになったのは、まだほんの数年前のことだ。演出家魂、役者魂をくすぐり続けるこの世界的名作は、さまざまなアプローチで上演されてきたが、オリジナルに忠実でいながら極めて革新的な劇団四季の「ハムレット」を観て、あら ためてその魅力の核心に触れた気がした。

 なんと言っても、簡素で必要最低限、あるいは必要なものも含めて果敢にそぎ落としたような舞台装置が目を引く。演技を、せりふを、物語を真っすぐに観てもらう。「ハムレット」という作品のむき出しの姿を目撃してもらう。そのことを観客に告げ、覚悟を問うている。王宮の中でさえ、王座など高貴な者の座る椅子さえあればそこは宮殿であり、ベッドとカーテンさえあればそこは寝室である。初演当時、英国ロイヤル・シェイクスピア劇団の首席デザイナーだったジョン・ベリーが日本に派遣され、劇団四季とともに創りあげた装置、そして重厚な衣装は今も、輝きを失っていない。いや、簡潔であればあるほど、にび色の光を放つ、時や空間を超越した、演劇の持つ大いなる力を感じる。

 「ハムレット」は、言うまでもなく、中世デンマーク国のエルシノア城が舞台である。先の王が急死し、今は実の弟クローディアスが王となっている。しかも先王の妻、つまり自分にとっては義理の姉を妻として迎えている。権力掌握のためであったろうことは容易に想像が付くが、このことが、先王の息子ハムレットの心を痛く傷つける。王座を奪ったようなクローディアスともまったく打ち解けない。
この前提の中で現れるのが、先王、つまりハムレットにとっては実の父親の亡霊である。夜ごと出現する怪しき影の徘徊を衛兵や親友のホレイショーから聞かされたハムレットはある夜、城壁のそばでその亡霊に遭遇。二人だけになったとき、ようやく寡黙な亡霊が口を開き、ハムレットに恐るべき謀略を語り始める。自分はクローディアスに毒殺されたというのだ。この「毒」という象徴的な存在は、物語の最後に至るまで、登場人物たちの人生を翻弄し続ける。
 瞬く間に観客を中世ヨーロッパの泥沼のような世界に誘うシェイクスピア。希代の物語作家の面目躍如である。

 それまでのハムレットが、青春のけだるさの中で、自分の進むべき道を決めかねている若者特有の物憂さに包まれているだけのようにも見えていたのが、復讐を誓ってからのハムレットはある種、確信犯的に自らを狂気に追い込んでいく凄みが出てくる。人生の目的を見定めた者の持つ揺るぎない決意の顔である。
 王族や城の者からも変わり者よばわりされ、自らを慕う純粋なオフィーリアにも冷たい態度をとって、狂気に支配されていることを強く印象づける。すべてが演技だが、この狂気がやがて来る物語の狂気と次第にリンクしていくあたり、物語の構成にもシェイクスピアの天才的な才気がうかがえる。

 「ハムレット」には起承転結の流れが垣間見えるのだが、その「転」にあたるのが、旅芸人たちの登場である。どうやって、クローディアスの謀略を暴くかを考えていたハムレットにとっては、まさに渡りに船。ヨーロッパの劇にはよく登場するが、まさに劇中劇の世界。旅芸人に謀略を演じさせることで、クローディアスの反応を見ようというのだ。このあたりはまさに心理学的な作戦とも言え、現代的なセンスも感じる。
 なにしろ殺された先王自らの証言に基づく再現劇なのだから、真実そのもの。クローディアスは憮然とした表情で席を立つ。うろたえた母と寝室で議論していたハムレットは、潜んでいた宰相ポローニアスをクローディアスと間違って刺し殺してしまう。

 これを機に物語は、国、王、家族、あらゆるものが「崩壊」へと向かうダイナミックなクライマックスへとひた走る。ハムレットの乱心に情緒が不安定になっていたオフィーリアは父であるポローニアスの突然の死を受け入れられず、狂乱の世界へ。したたかなクローディアスは、ハムレットを英国に派遣し、殺害する計画を進めたが、ハムレットの機転で失敗。父と妹を死に追いやったハムレットへの憎悪を募らせるレイアティーズを利用して、巧妙な罠を仕掛ける。ハムレットの復讐は悲劇の暗雲に包まれ、結末が見えなくなる。

 シンプルな舞台装置、直球勝負の浅利慶太演出は、登場人物一人一人の感情をむき出しにする。そのためそれぞれの役柄が粒立って見え、感情の絡み合いがより明確になる。
 まさに正統派と言える演出だが、浅利はそのことだけを目指していたわけではない。物語の核心がどうすれば観客により伝わるかをとことんまで考え抜くのだ。
 オフィーリアの亡骸を墓に埋める場面は有名だが、兄レイアティーズは墓穴に入り妹を抱き上げる。ハムレットも続いて墓穴に入り、亡骸を挟んで向かいあうシーンは、オフィーリアへの愛を競っているようでもあり、後に訪れる悲劇的な戦いの予兆でもある。

 劇団四季は1968年に創立15周年記念公演として上演して以来、「ハムレット」を重要な節目ごとに再演してきた。創立60周年の今年2013年もまたその大きな節目である。四季では650回以上も上演され、ストレートプレイでは最多を誇っている。
 劇団四季と聞いてミュージカルしか浮かばない人たちにも、ハムレットと聞いて「生きるか死ぬか、それが問題だ」とか「尼寺へ行け」という有名なせりふしか浮かばない人たちにも、一度は触れてもらいたい四季の「ハムレット」。せりふを全身に浴びるという感覚が文句なしに味わえる一作だ。

 舞台「ハムレット」は、4月4日まで、東京・浜松町の自由劇場で上演される。


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2013年03月20日

【Topics】 「アルゴ」の真相検証番組を日本初放送(2013)

 米アカデミー賞と米ゴールデングローブ賞をダブル受賞した映画「アルゴ」。イスラム過激派による在イラン米大使館占拠事件での人質救出作戦を描いたこの映画は、実話をもとにしてつくられているが、本当の作戦はどのように立案され、実際はどう展開したのか。それらの疑問に答えるため、世界最大のドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」が3月30日21時から、救出劇の真相を検証する特別番組「『アルゴ』CIA人質救出作戦」を日本で初放送する。

 当時の国際情勢、占拠事件の背景などに加え、救出作戦そのものを徹底解明。当時の関係者に実際の話を聞くほか、CIAの偽装・扮装の専門家で、映画ではベン・アフレックが主人公として演じたトニー・メンデスが登場。在イランカナダ大使私邸に逃れていた6人の米外交官とメンデスが、いかにして国外への脱出を成功させたかを、立案から実行まで語るのが番組の見どころだ。

 映画を観た人なら、間違いなく面白いはず。実際とは多少改変して映画化されてはいるが、その違いを知ることで、映画の創意の部分も明確になる。
 また、まだ映画を観ていない人も、作戦の真実を知ることで、今後、映画やDVD&Blu-rayで「アルゴ」を観た時に、面白さが増すに違いない。

 なお、再放送は4月2日20時からと、4月5日19時から。

★映画「アルゴ」DVD&Blu-ray


★映画「アルゴ」予告編



当ブログでは、映画「アルゴ」について、これまで3回投稿済み。ご一読を。

★SEVEN HEARTS「「レミゼ」と「アルゴ」にゴールデングローブ賞」
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66092953.html

★SEVEN HEARTS「米アカデミー賞作品賞は「アルゴ」に栄冠」
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66098495.html

★SEVEN HEARTS「アルゴ」映画評
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66100124.html



andyhouse777 at 10:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★Topics 

【舞台】 来訪者(2013)

 フィクションであることは明白なのに、途中から観客は、真実という名の飛び石を渡らされている気になってくる。ひどく危なっかしい、でもその筋道はひどく確実で、誰もが息を呑む。いつのまにか、われわれは綱渡りの綱の上で立ちすくんでいるのだ。気鋭の劇作家・演出家、中津留章仁が率いる劇団「TRASHMASTERS」の最新舞台「来訪者」は、二つの国の間に横たわる島をめぐる人と人との憎しみと絆の物語。国家という得体の知れない枠組みの中で苦悩する慟哭の叙事詩である。

 中津留は1973年生まれ。大学卒業後、2000年にトムアクターズスタジオ出身者らと「TRASHMASTERS」を旗揚げし、「恋人を家族に紹介する時の2、3の事情」で公演をスタートさせた。当初はコメディータッチの中に毒が散りばめられた作風だったが、徐々にストレートプレイの要素を濃くし、毎回演劇の概念を覆すような挑戦を続けてきた。
近年は社会的な問題に真っ向から取り組み、2011年の東日本大震災後に上演した第15回公演「背水の孤島」では、震災とその後の原発事故問題をテーマに。日本人が持つ不安と矛盾、社会のゆがみなどを圧倒的なせりふの力で活写し、紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞、読売演劇大賞選考委員特別賞、千田是也賞を相次いで受賞した。続く2012年も「狂おしき怠惰」と「水無月の云々」で読売演劇賞優秀演出家賞を受賞するなど、がぜん注目を浴びている。そして今回、今最もホットでなおかつデリケートな問題に切り込んだ。

 演劇は古来から、個人や社会を取り巻く現実について考察する芸術表現ではあるものの、これだけ真っ向から描こうとする表現者はそう多くない。その現実のえぐり方の強さにおいて、他の追随を許さない唯一無二の切れ味である。
 われわれの今と地続きのような時、場所からこの物語は始まる。

 北京にあると思われるごく近い未来の日本大使館。大使の細貝(山崎直樹)と館員の女性、砂川(川初夏)が、北京に駐在している韓国人外交官パク(片山亨)と会食をしている。他の浜島(吹上タツヒロ)や岸(龍坐)ら日本人外交官たちも、みんな現地の人たちと綺麗事だけでは済まないやり取りをしながら、この国と折り合いを付けている。もちろん水面下では激しい情報戦も行われているのだ。
 徹底抗戦か、棚上げか。あの島をめぐって日本がどう出ようとしているのか、パクはそれを探りに来たのではないかと日本側はみている。それも韓国ではない国のために。岸はパクとは赴任地のテルアビブで知り合った外交官仲間、土地をめぐる人々の争いの現実を共に嫌というほど見てきた。領土と人。どちらが大事なのか。
 大使館には秘書兼運転手の劉(星野卓誠)と家政婦のジェン(林田麻里)が働いているが、同じ国民でも二人の立場には大きな差があるらしい。

 こうした設定で、前半の物語は一貫して日本大使館の中で進行するが、その内と外の嵐はひどくなるばかり。内では歴史認識や反日デモをめぐる論争、外交官同士の駆け引き。外では多数の漁船があの島に向かって航行を始める。武器を携行しているという情報まで。

 二つの嵐は、やはりテルアビブに赴任していたことのあるパクと岸の友人の共産党員の検死官、孫(板東工)がアポなしで大使館に訪れたことで、一気に国家レベルの緊張感が漂い、大破局へと向かって動き出すかのようだ。

 中津留はこれほどのダイナミックな展開を、俳優の細かく複雑な動きと、膨大なせりふのやり取りによってのみかたちづくっている。その骨太な構成力と、繊細な描写力。恐ろしいほどの現実味が観客の目を耳をとらえてはなさない。

 さまざまな破綻の連鎖。物語は後編へと突入していくが、この幕間の場面転換中に白いスクリーンに映し出されるのは、おびただしい文字とけたたましいナレーション。二つの国はついに超えてはいけない一線を超えてしまう。
 戦争。
 そのあまりにリアルなプロセス。国際社会の反応をも組み込んで、まるで悪夢のシミュレーションをしているようだ。
 絶望感がスクリーンをにじませたころ、後編の舞台が現れる。
あの島だ。戦争は停戦中、しかも、双方の国が移住者を住まわせ、妙な均衡が保たれたまま、人々の奇妙な生活が始まっている。

 岸や浜島もその移住者の中の一人。浜島の妻となった砂川もいる。一時的とはいえ、安定から始まった後編の物語は、複雑な人間関係のもつれによって、そして二つの国の住民の中に蓄積されたマグマによって、再びカタストロフへの道を歩んでいく。
 叫ぶ声が聞こえる。土地が、人が。

 中津留は、近年稀に見る美しいラストシーンを用意しているが、それとて、安易な融和や超越の物語ではない。どこまでも痛みが伴う決断である。最後は人間と人間の絆が大切なのだと分かっていても、それを覆い尽くす国家という暗雲が存在することを完全に否定できる人はいないだろう。

 登場人物たちに過激なせりふをしゃべらせているものの、中津留はどちらの国が正しいとは言っていない。どうあるべきかも示していない。だから一方的な見方に基づいた作品だと誤解してはいけない。この悲劇が決してイマジネーションの世界だけのものではないことを二つの国が、そしてすべての人が知り、自らの問題としてとらえる覚悟を問うているのだ。

 それにしても、役者陣が見事だ。中津留とともに旗揚げにかかわった吹上や龍のせりふ回しは、役からわき上がってくる感情を鮮やかに浮かび上がらせるだけの力量を持っているし、クールなエリート外交官とがらっぱちの漁師という正反対の役を前後編で演じ分けた山崎の達者ぶりも魅せる。悲恋にもみくちゃにされる女の業を全身で表現した川、生きるために引き裂かれるような思いで人生を渡ってきた庶民層の悲しみとたくましさを生身の体から立ち上らせた林田と星野も忘れがたい。後編登場する自衛隊員を演じたカゴシマジローや、工作員島民でカメラマンの陳を演じた阿部薫は重要なアクセントとなった。

 三つの言語が飛び交う激烈な舞台。その外に広がる果てしない海と相互理解の高い壁。取り返しの付かない悲しみの大地に小さく顔をのぞかせた新芽を慈しむような中津留の視線。これほどの硬質なテーマを扱っていながら、伝わってくるのは人の生命の力であり、彼らが織りなす劇的なエンターテインメントの求心力だ。ますます油断のならない作家になった。

 舞台「来訪者」は3月20日まで、東京・高円寺の座・高円寺で上演。早くも再演が待たれる。


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2013年03月16日

【映画】 逆転裁判(2012)

 人気のある物語がゲーム化されることは多いが、人気ゲームがドラマや映画、舞台となって世間に広まっていくのはとても珍しいこと。「逆転裁判」は、それをいとも簡単に成し遂げてしまった。特に映画版「逆転裁判」は、漫画化やアニメ化では容易でも、実写化ではかなりの難題と言える登場人物たちの髪型、服装などの容姿も安易に妥協することなく再現し、最先端の映像技術を駆使することで、近未来の嘘っぽさを払拭。圧倒的なリアリティーで観客に物語本体の魅力を見せつけた。

★DVD


 「逆転裁判」は2001年に発売され、爆発的なヒットを記録したためシリーズ化された。2013年に「逆転裁判5」が発売される予定で、スピンオフの「逆転検事」や人気ゲームとコラボした「レイトン教授VS逆転裁判」などもあり多彩だ。
 ゲームのプレイヤーは、弁護士役になって、検事と戦ったり証人に質問したりする法廷パートと、事件を調べる探偵パートを交互に繰り返して、判決へと導いていく。米国の映画でも法廷劇や法廷サスペンスは多く、日本でもドラマなどで繰り返し制作されてきたが、ゲームにこの法廷闘争を持ち込んだ功績は大きく、新たなジャンルを創り出したと言って良い。
 そしてその勢いはゲームを飛び出し、サントラや攻略本だけでなく、漫画、小説、テレビドラマにも展開。2009年にはなんと宝牴侶爐派饌羃修気譟■横娃隠廓1月には「逆転裁判3 検事マイルズ・エッジワース」まで上演される発展ぶりを見せている。
 映画版もこの流れの中にあり、原作の「逆転裁判」の第1、2、4話をあらためて組み立て直してオリジナル部分を付け加えたものになっている。三池崇史の監督で2012年2月に全国公開された。

 本作の世界観を理解するには、少し説明がいる。
 20XX年、激増する凶悪犯罪に対処するため、日本政府は、弁護士と検事が公開法廷で証拠や証人をぶつけ合い、わずか3日以内で有罪無罪の判決を出すという「序審裁判」を導入した。有罪になった被告は、量刑などを決める「本審」に進む。
現実の実世界でも裁判のスピード化が試みられているが、3日ではおそらく不可能。合理的な方法ではあるものの、近未来ならではの制度だろう。

 主人公は新人弁護士の成歩堂龍一(成宮寛貴)。彼の良き理解者で綾里法律事務所の所長、綾里千尋(檀れい)がなにかの事件の証拠を見つけた直後に殺害される。綾里家はもともと霊媒師の家系で、その正当な後継者で千尋の妹、真宵(桐谷美玲)が、たまたま姉に会いに来ていたとして、殺人の容疑者として逮捕されてしまう。
 恩師が被害者である事件、真宵の無実を信じる成歩堂は弁護を引き受け、幼なじみだが天才的な頭脳を持つ御剣検事(斎藤工)と全面対決する。その勝利の余韻もさめやらないうちに、今度はなんと御剣が別の殺人事件で容疑者として逮捕されてしまう。成歩堂は当然、弁護を引き受けるため立ち上がる。しかし、相手の検事は、40年間無敗の狩魔検事(石橋凌)。勝てる見込みはほとんどなかった。実際、成歩堂は何度もぎりぎりのところまで追い詰められる。

 ゲームでも科学捜査の手法を導入するなど、かなり実際の犯罪捜査に近いレベルを持っていた物語だが、映画でも、相当緻密に組み立てられており、矛盾点は見当たらない。裁判を一種スポーツゲーム化し、ローマ帝政時代の闘技場で奴隷の殺し合いを見せるようなおもむきがある。それでいて、証拠などは未来に開発されるであろう空間モニターのような徹底して高度なビジュアル装置によって視覚化。ゲーム版の雰囲気を引きずるような表現方法も多用している。

 つんつんと立っていたり、なでつけられていたり、かなりマンガチックで個性的な主人公たちの髪型や服装。ゲームをそのままなぞる必要もないと言えばないのだが、あえて、実写の映像の中に、ゲームやマンガの世界観や空気を誘い込み、唯一無二の世界観を持った映像世界を創り出している。三池崇史監督以下、スタッフのひとつのこだわりだろう。見事に成功している。
 また驚かされるのは、個々のキャラクターの人間像が実に深く描かれていることだ。ゲームでの設定もあったのだろうが、実際の人間が演じる場合、一面的な個性では、薄っぺらい表面的なキャラクターにしか映らない。後半の人間ドラマにははっとさせられる場面が何度もあった。

 それにしても成宮寛貴の達者なこと。映画「ドロップ」で繊細な暴れん坊ぶりを見せたかと思うと、ドラマ「相棒」ではフットワークの軽い現代っ子ぶりを見せつけ、スペシャルドラマ「風の少年〜尾崎豊 永遠の伝説〜」では仕草まで尾崎豊をそっくりに演じ、舞台「太陽に灼かれて」では、好青年のふりをした秘密警察員としてぎらぎらした悪意を恐ろしいまでに印象づけた。そんな百面体のような彼の個性が今度はどんなことがあってもめげないまっすぐな成歩堂を創り上げていた。
 一歩間違えば、B級のトンデモ作品になりかねない本作を高いレベルに位置づけているのは、成宮の真摯な演技、そして映画をこよなく愛する斎藤工の大胆不敵さ、低予算映画にも積極的な石橋凌らの、映像表現に対する畏敬の念である。
 中尾明慶、谷村美月らの軽妙な演技と、本作に一歩筋の通った魅力を植え付けた桐谷美玲の美しさも貢献していると言えるだろう。冒頭、桐谷演じる真宵の降霊のシーンの映像表現は思わず息を呑む美しさ。それだけでこの作品がただものではないことを知るだろう。
 証人に立った鮎川誠も見逃さないでほしい。

★映画「逆転裁判」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
逆転裁判
★Blu-ray

<主 演> 成宮寛貴
<共 演> 桐谷美玲、斎藤工、中尾明慶、大東駿介、檀れい、柄本明、石橋凌、篠井英介、平岳夫、鮎川誠、余貴美子、小日向文世、中村優子、斎藤歩、蜷川みほ、阿部祐二
<監 督> 三池崇史
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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2013年03月12日

【アニメ】 おおかみこどもの雨と雪(2012)

 最新作が発表されるごとに深みを増していくアニメーション作家、細田守の世界。優しさと厳しさが微妙なバランスを保ちながら、最後にこれ以上ない美しい答えをわれわれに示してくれる。アニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」は、これまでの細田作品だけでなく、近年のアニメ映画全体の中で、最高傑作の一つと言っていいだろう。見終わってからそっと目を閉じたとき、そこに映る映像を永遠に覚えておいてほしい。

★DVD


 おおかみおとこと恋に落ちて結婚した女子大生が、やがて彼の死後、2人の子どもを苦労しながら育て上げていく物語だ。そう簡単に説明すればするほど、シュールに聞こえてくるからやっかいだ。しかし、例えばみんなが理解しやすいように、「これはファンタジーです」と言えば良いのだろうか。いや、これは断じてファンタジーではない。真実をうたいあげた物語である。

 東京のはずれにある国立大学に通う女子大生の花(声・宮崎あおい)。ある日学内で、どこか影のようなものがあるもの、優しそうな男性(声・大沢たかお)と知り合い、恋に落ちる。彼はやがて衝撃の事実を打ち明ける。「私はニホンオオカミの末裔だ」と。花同様に、われわれもすぐには理解できない。つまり、狼男なのだ。しかし劇中で花も言っているように、「月夜の晩に凶暴になる」ような存在ではなく、人間のように振る舞える存在であり、一方ではやはり抑えがたい野生を自分の中に隠し持っている男性なのだ。そのことは物語の行方に大いに影響してくる。

 彼の異質な個性を受け入れた花。やがて2人の子どもが生まれ、それぞれ生まれた日の天気から、姉は「雪」(声・黒木華&大野百花)、弟は「雨」(声・西井幸人&加部亜門)と名付けられる。同じ水の変化体でありながら、個体と液体であることは、最後の選択につながっているとみることもできる。
 獣の姿で生まれる場合を懸念して自力で生んだ2人の子どもは見た目は人間。でもオオカミの姿に変身することもある。まずはそれをコントロールする力が課題だった。
 しかし神様は、花にあまりにも過酷すぎる試練を与える。それでなくてもおおかみおとこと結婚して、おおかみこどもを2人も持つ母である花。世間の誰にも相談できずに日々の生活を続けていかなければならない。彼の助けがあってこその日々である。それなのに、彼は突然不慮の事故で死んでしまう。

 やがて都会で生活できなくなった母子3人が、広大な自然に抱かれた山間部に転居するが、彼と知り合ってからここまでの時間は、美しいBGMが流れ続け、まるで、すべてが夢の中の出来事であったかのように描かれている。2人の幸せな時間を祝福するようでもあるが、実にはかなく、切ない、実に貴重な時間だったのだと、観客も事ここに至って始めて気付くのだ。
 ここからはすべてが現実との闘いだった。

 人里離れた一軒家。しかし豊かな自然に囲まれ、母子には好都合だった。子どもたちもようやく自分たちの野生を必要以上に抑えなくてもよい場所を得たのだ。村の人々も花のがんばりに心を打たれ、徐々にいろんなことを手伝ったり教えてくれるようになる。頑固じじいのようで、じつは人一倍母子に気を配っていた韮崎のじいさん(声・菅原文太)が陰で支えてくれていたのだ。

 物語はここからようやく本題に入る。人間社会の一員として育っていけるのか、自らの野生とどうつきあっていけばいいのか、自然の呼ぶ声にどう応えればいいのか。そんな難題を抱える姉弟に対して、2人の子どもを立派に育て上げるということはどういうことなのか、2人と別れる日は来るのか、そんな答えの出ない自問自答を続ける花の苦悩もまた深い。
 さまざまな事件やプロセスを用意して、細田監督は、これらの問題に解決の筋道を付ける。それはとても自然で、偽りがない。母子をかき乱す草平(声・平岡拓馬)という少年の存在も重要だ。わかり合うということの本当の意味を教えてくれる。

 雨と雪、そして花。彼らのそれぞれの最後の選択は、決してハッピーエンドではないのかもしれない。涙が止まらない人もいるだろう。しかしどんなに切なくても、彼ら自身が選択したことが重要なのである。

 細田監督は筒井康隆の原作に青春の躍動を吹き込んだ「時をかける少女」の後、彼自身のストーリーテリングの才能を一気に開花させた「サマーウォーズ」に続く長編オリジナル作品として本作を生み出した。恋愛をベースに母と子、自然と人間、地域共同体など世代を超えた普遍的なテーマで構成し、決して叙情に走らず、現実的な事実を積み上げることで、自然や生きものに対するリスペクトの想いを高らかにうたいあげた。
 本作が、海外でも高く評価されている理由だろう。子どもたちを夢中にさせる描写や展開力、哲学的な思想性はディズニーやジブリには及ばないかもしれないが、子どもたちの心にいつまでも消えない深くあたたかいものを残していくだけの力が細田アニメにはある。今回は母親の心情が主体であり、大人たちにも痛切でいてなにものにも変えがたい真理の気持ちを残していくのだ。

 どこか神聖な存在のような、ささやくような話し方が印象的な大沢たかおのおおかみおとこや、母としてのしっかりとした感情を女性らしい声に込めた宮崎あおいの花ら、声を担当した俳優の個性が生きている。もちろん、俳優業を退いて自らも農業に従事する菅原文太がイメージのダブる韮崎を演じたのも大変印象的だ。
雪と雨の幼少期には、注目されつつある子役の大野百花と加部亜門を配置し、少女・少年期にも、野田秀樹が見いだした逸材黒木華と、映画「告白」で衝撃的な役柄を切れ味鋭く演じた西井幸人を起用。人気声優の林原めぐみに加えて大木民夫、中村正らのベテラン陣、そして、麻生久美子、谷村美月、染谷将太という人気俳優もわき役の声を務めるなど、ぜいたくな声優陣が傑作アニメを盛り上げている。

★アニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
おおかみこどもの雨と雪
★Blu-ray

<主演の声> 宮崎あおい、大沢たかお
<その他の声> 菅原文太、黒木華、西井幸人、大野百花、加部亜門、林原めぐみ、大木民夫、中村正、麻生久美子、谷村美月、染谷将太
<監 督> 細田守
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★細田監督による小説版=文庫本



andyhouse777 at 03:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★アニメ 

2013年03月10日

【映画】 アルゴ(2012)

 嘘と真実、虚構と現実。相反する二つの要素が背中合わせのようになって、時折入れ替わりながら、緊迫のタイトロープを渡っていく。「アルゴ」は、そんな映画ならではの面白さを全編に散りばめて創り上げた近年稀にみる痛快な一作。米のアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞の作品賞をダブル受賞したのも十分うなずけるところだ。歴史上の出来事であり、結果は知っているのに、何度も最悪の結果を覚悟した、そんな映画である。

★DVD&Blu-ray


 本作は、実話に基づいている。1979年11月4日、イランの首都テヘランにあった米国大使館は多くのイラン国民に包囲されていた。贅沢な暮らしを続けていたパーレビ国王への怒りがイスラム革命につながり、最高指導者ホメイニによる革命政府が誕生。米国に病気治療のため渡ったパーレビを引き渡すよう求めるイラン国内の声は日増しに大きくなっていたのだ。その日、ついに米国大使館の塀を乗り越えたデモの群衆は、大使館になだれ込み、外交官らを多数、人質に取り、監禁した。世に言う「在イラン米国大使館占拠事件」である。
 実はそのとき、6人の外交官が近くのカナダ大使私邸に逃れていた。もちろん一時的な避難であり、一刻も早く出国する必要があった。大使館で監禁されている人質の救出も重要だったが、カナダが絡んでいるだけに、6人の救出も急務だった。極秘作戦が国務省、そしてCIAに託された。

 国務省のリードで進められた対策会議だったが、顧問として参加していたCIAの人質奪還の専門家トニー・メンデス(ベン・アフレック)の意見が徐々に優勢になる。しかし彼がふと思いついたのはとんでもない作戦だった。架空の映画製作をでっち上げ、そのロケハンのためにイランに入国したように見せかけた監督やカメラマンなどのクルーとして6人を出国させるというのだ。
 当然、国務省や政府の許可がなかなかおりない。それでもメンデスは着々と段取りを進めていく。
 メンデスは知り合いのメーキャップアーティストやプロデューサーに連絡をとり、「どうせ嘘をつくなら本気で壮大な嘘をつく」と言わんばかりに、製作発表まで実施。雑誌にも取材させて、記事にもなった。

 ここらあたりは冒頭から続いていた重苦しいムードをかき消すように一気にハイテンポ。しかもそもそも映画づくりはいかがわしくて、うそをうそで塗り固めたようなものという自虐的で開き直ったような軽快なフットワークがいい。「そんなやつならこの世界にいっぱいいる」というアイロニックな言葉に思わずにやりとする映画ファンも多いだろう。
 実際、映画は途中でぽしゃることも多いし、ロケハン後に中止されることもある。なおかつ、「映画イコール虚構」という言葉もあるぐらいで、映画の中身やしいてはプロジェクト自体がまさに虚構であるとも言える。そこらあたりの空気をうまく利用しているのが、この映画の憎いところだ。

 準備が整い、テヘランに入るメンデス。6人の外交官は抵抗したものの、全員作戦に参加することに。映画クルーになりきるため必死の彼ら。イラン革命政府は一定の許可を与え疑ってはいないようだが、警戒は緩めていない様子。彼らを試すような仕掛けを準備していた。
 ロケハンを終えても、空港では二重三重の関門があり、成功するかどうかは最後の最後まで分からない。加えて、米国政府内でも意志決定のプロセスに大きなトラブルが発生し、現地を見殺しにしかねない状況に。革命防衛隊らイラン側も大使館で切断処理された書類から、気の遠くなるような方法ながら、着実に6人に迫っていた。

 これら3カ所の緊迫する展開を絡め合わせ、中盤以降は観客をいっときも休ませない。本作は米アカデミー賞編集賞も受賞しているが、細かいショットを次々と入れ替え、緊迫感を加速度的に高めていくベン・アフレックの手腕は見事だ。
 手持ちカメラ風の不安定な画面や、人を不安にさせる絵柄やアングル、心の中を見通すような表情のアップなど、1980年代以降にMTVなどに影響を受けた映像新世代の代表格であり、21世紀突入以降のYouTubeなどによる映像革命を経験しているベン・アフレックならではの、さまざまな手法が試みられている。

 さらに、冒頭のデモ風景などに当時の実際の映像を使い、アイコンになるものを撮影して重ね合わせることで、双方の映像が時空を超えて結び合わされる手法の効果は空恐ろしいほど。これまでも実際のドキュメンタリー映像やニュース映像を使う映画はたくさんあったが、それは当時の状況の説明にとどまっていて、こんなに有機的な使い方ではなかった。すべてにおいて新しく、しかも実際的な効果を上げていることは驚くべきことである。このあたりも虚と実のうまい使い方である。

 また最終盤、6人とメンデスが空港から脱出できるかどうかというとき、革命防衛隊とのやり取りの一部にあえて英語字幕を付けていないのもポイント。当然日本語字幕もついていないわけで、どんなやり取りが行われているのかまったく理解できない外交官らの不安はそのまま観客の不安になる。細かい配慮のすべてがハラハラドキドキに貢献しているのだ。

 ベン・アフレックは、俳優としてデビューする一方でマット・デイモンとともに映画「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」の脚本を書いて、米アカデミー賞脚本賞を共同受賞しているが、その後、俳優としてはそれほど飛躍できていなかった。一部には「勘違いセレブ」としてずいぶんと「遊びすぎた」との指摘もあるが、年齢を重ねて、俳優としても監督としても十分に進化し、ハリウッドのど真ん中に戻ってきた。自分が持っていた本作の脚本をベン・アフレック監督に託した共同プロデューサーである俳優のジョージ・クルーニーの見る目にも感嘆させられる。
 本作でのアフレックの演技に関しては、むしろ実に静かな存在感を放っていた点がポイントだろう。メンデスと同じように、このアルゴ作戦というか映画全体についてすべて分かっている存在であり、6人の外交官あるいは映画のスタッフ、キャストに対して、同じように振る舞えたのだ。主人公であり、ヒーローでもあるが、じっと後ろからみんなを見守っている、そんな静かな存在でもある。実際、CIA工作員は黒子や影の存在であり、米国映画が描くようにヒーローになることはほとんどない。アフレックの演技はそのことも感じさせていた。

 「アルゴ」は、日本では10月26日に封切られ、主要劇場では好評のうちにロードショーが終わっていたが、米アカデミー賞での作品賞など3部門受賞という快挙を受けて、急遽、映画館での上映が追加されている。公式HPの上映劇場欄には常に最新情報がアップされている。

 イランでは「米国側の一方的な見方」として猛反発。イラン側の視点で米国大使館占拠事件を描いた映画「The General Staff(仮)」を製作するとの報道があった。
 大いに結構だ。ひとつの事件をいろんな視点で見られれば、理解が増す。どちらの主張が正しいかは、見る者が決めればよい。これも映画、あれも映画である。

 なお、ベン・アフレックは、脚本賞共同受賞の親友マット・デイモンと再び映画作りに取り組むという。ボストンのギャングが主人公で、デイモンが主演、アフレックが監督との報道があったものの、まだ詳細は分からない。期待を込めて待とう。

★映画「アルゴ」予告編



 当ブログでは、映画「アルゴ」について、これまで2回投稿済み。ご一読を。

★SEVEN HEARTS「「レミゼ」と「アルゴ」にゴールデングローブ賞」
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66092953.html

★SEVEN HEARTS「米アカデミー賞作品賞は「アルゴ」に栄冠」
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66098495.html


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
アルゴ
Argo
★Blu-ray&DVD

<主 演> ベン・アフレック
<共 演> ブライアン・クランストン、クレア・デゥヴァル、ジョン・グッドマン、マイケル・パークス、テイラー・シリング、カイル・チャンドラー
<監 督> ベン・アフレック
<製 作> ベン・アフレック、ジョージ・クルーニー
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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2013年03月09日

【News】 日本アカデミー賞作品賞は「桐島、部活やめるってよ」(2013)

 桐島が風穴を開けた!

 3月8日に東京で開かれた日本アカデミー賞の授賞式で、映画「桐島、部活やめるってよ」が作品賞、監督賞、編集賞の主要3部門を受賞した。これまで一部の作品が賞を独占したり、大作感のある作品や人気俳優の出演作が選ばれやすい印象があったりした日本アカデミー賞だったが、若手ばかりの出演者で、映画の構造も変則的、テーマへのアプローチも独創的なフレッシュムービーが、日本映画のど真ん中に殴り込んだ。映画通が選ぶマニアックなキネマ旬報ベストテンでも2位に選ばれており、日本の映画界全体に革命的な刺激を与えることになりそうだ。

★Blu-ray

★DVD


 あいにく主役級の神木隆之介が不在だったが、会場には橋本愛と東出昌大が駆けつけた。橋本愛は、吉田大八監督が受賞した時から既に目に大粒の涙。最優秀作品にも決まると大感激の表情を見せた。どちらかというとクールな役柄が多い橋本の新しい魅力が垣間見えた瞬間だった。

 作品賞は強敵ぞろい。吉永小百合が森山未來ら若手のトップ俳優らと挑んだ「北のカナリアたち」、役所広司が、文豪と母の愛を描き出した「わが母の記」、野村萬斎が個性的な殿様を創造した「のぼうの城」、そして高倉健が久しぶりに映画界に復帰した「あなたへ」と重要な作品が並んだ。その中での「桐島、部活やめるってよ」の受賞である。
 朝井リョウの原作小説が優れていたことはもちろんのことだが、不安とときめきがないまぜになったような思春期のあの震える気持ちを、ものの見事に映画の画面に描き出し、最初から最後まで緊張感を持続させた演技と演出はすばらしい。映画界の巨人ぞろいの他候補にきらきら光る若き才能で挑んでいった今年の賞レースは、しばらく語り継がれるだろう。

 吉田監督の監督賞受賞もまた象徴的である。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「パーマネント野ばら」「クヒオ大佐」など、見終わった後に長い長い余韻を残す個性的な作品を送り出してきた異才が、ついに日本映画の頂点に立った。原作小説を大胆に組み替え、むしろ映像的にテーマをくっきりと映し出し、学校という小さな空間にとどまらない人間社会の普遍的な物語に昇華させていったことは特筆すべき功績だろう。キャストの若手が持つ才能を最大限引き出して見せた手腕は本物だ。彼らは間違いなく、本作をステップに今後の映画・テレビの世界で飛躍していくだろう。

 映画「桐島、部活やめるってよ」と吉田大八監督や、神木隆之介、橋本愛、東出昌大、山本美月、清水くるみ、大後寿々花ら若手有望株が集結したキャスト陣の魅力については、当ブログで3月3日に詳しく紹介しているので、ご参照のほどを。

★SEVEN HEARTS「桐島、部活やめるってよ」
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66099163.html


★映画「桐島、部活やめるってよ」予告編


★原作本=文庫本

★原作本=単行本



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2013年03月08日

【映画】 モンスターズクラブ(2012)

 複雑な構造を持つ結晶が、とてもシンプルに見えるときがある。精緻に組み立てられた論理を詰め込んだ頭脳を持ちながら、極めてシンプルな生き方をしているこの主人公も同じだ。映画「モンスターズクラブ」の多くの場面で、印象的に描かれる白一色の雪原は、「無」に限りなく近いそんなシンプルさの象徴と言えるだろう。

★DVD


 爆弾魔の物語である。しかも米国で1970年代以降、天才的な頭脳を持ち、知的な職業についていながら、16回にわたって企業や政府機関に爆弾を送り続けて96年に逮捕され、終身刑に服している通称「ユナボマー」の生き方に触発された映画である。

 舞台を日本に置き換えた。自らは山奥の山小屋に住んで自給自足の生活を送りながら、日本の腐りきった社会システムを破壊するために、企業や機関に爆弾と声明文を送り続ける垣内良一(瑛太)が主人公だ。
 唯一、生存している妹のミカナ(草刈麻有)は、山小屋を訪ねてくることもあるが、基本的には世間と隔絶した世界に住む良一。システムの破壊は容易には達成できていないが、良一にとっては、その日々がまさに生きることのすべてだった。
 しかし、あるとき、良一の周りに怪物があらわれるようになる。自らを「モンスターズクラブ(MC)」と称して、爆弾を送り続けてきた良一だが、本当の怪物に悩まされるようになった。破壊の総仕上げとして、さらに大きな計画を実行に移そうとしていたとき、自殺したはずの兄のユキ(窪塚洋介)が現れる。彼は良一の破壊行動を「無意味」だとなじり、非難する。そしてまた亡くなったはずの弟(KenKen)までもが現れる。

 彼らは亡霊か、それとも良一の幻影か。山小屋はかつて垣内家が幸せだった頃に建てられたものであり、彼らが現れるのも無理はないこと。ある意味で、行き着くところまで行き着きそうな良一を救うため、やってきたとも解釈できる。その垣内家の父や母も含めて、家族の秘密までもがあらわになる。
 良一は、冷静であろうとするが、自らが狂気の世界にいるのかどうか判別がつかなくなる。
 良一の中で何かが危険域に達したとき、彼は本当の怪物として、都会に向かう。すべての悲しみと、すべての怒りと、すべての不合理を背負って。

 瑛太はいまやさまざまな役柄を自在に操る演技派俳優だが、そのキャリアの過程で、本作の豊田利晃監督との出会いが重要な位置を占めている。デビュー作は松田龍平、高岡蒼佑、新井浩文という当時の有望俳優らと共演した豊田監督の「青い春」(2002)。「ナイン・ソウルズ」(2003)では、主人公(松田龍平)の弟ノボル役として起用され、豊田監督が鮮烈な印象を引き出した。続く「空中庭園」(2005)では重要なキーパーソンとして位置づけられた。徐々にその物語の中の存在感を高めてきた瑛太。本作の製作段階から、出演を強く希望し、豊田監督もいまや若手俳優界の中心にいる瑛太の主演を強く望んだ。こんな映画が出来たのは、2人のきずなだけがあったからだけではないだろう。なにか運命的なものが2人を結びつけたのだ。

 爆弾の映画だが、爆発音はしない。山小屋や雪原での静かで力強い生活が淡々と、しかし切々と描かれていく。獣を猟銃で捕獲して、自給自足の生活をする良一の姿は、自らが憎むシステムを完全否定したひとつの象徴である。そして一つの目的のためにそれ以外を律し、コントロールする静かな男の決意である。
 瑛太は、いつもの人なつっこい演技ではなく、何かが完全に失われてしまった人間の悲しみとともに、余計なものをすべてそぎ落とした潔さで美しく輝く人間の生きざまを、抑制の利いた演技で、表現する。

 雪原の白、吹き飛ぶ血の赤、山小屋のダークブラウン。すべての色が豊田監督によって選び取られているといっていい。美しすぎる場面の中で、瑛太は、じっと狂気と戦いながら、ずっと先の敵を見据える。

 「システムの破壊」という良一の論理に賛意を感じるかどうかは別にして、本作を見る者はすべて、感性をまっさらにしたむき出しの心で、日本という社会と向かい合わざるを得なくなる。豊田監督は瑛太という逸材を得て、とんでもない映画を撮ってしまった。
 見終わった後の15分間、自分はどうしていいのか、分からなくなってしまった。問題作と言わざるを得ない。

★映画「モンスターズクラブ」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
モンスターズクラブ
★Blu-ray

<主 演> 瑛太
<共 演> 窪塚洋介、KenKen、草刈麻有、松田美由紀、國村隼、ピューぴる
<監 督> 豊田利晃
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



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2013年03月07日

【舞台】 屋根の上のヴァイオリン弾き(2013)

 絆の物語である。しかしその背景にプラス(結合、融和)の要素だけではなく、マイナス(別れ、排斥)の要素を使って描いたところに、この作品の凄みがある。「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」と並ぶ東宝ミュージカルの金字塔「屋根の上のヴァイオリン弾き」には、古い価値観と新しい考え方の衝突と超越という、時代や国を超えた普遍的な要素もあちこちに散りばめられており、米国ブロードウェイでの1964年の初演から約50年間も世界中で人気を維持してきた理由がよく伝わってくる。

 ブロードウェイでは3000回以上ものロングランとなった本作。製作のハロルド・プリンス、演出のジェローム・ロビンスは、一気に名声を得た作品だ。
 日本では1967年に早くも上演が始まり、森繁久弥が900回にわたる出演を誇った後、94年からは西田敏行、2004年からは市村正親が主役のテヴィエを継いでいる。

 派手なミュージカルではないものの、新しい世代の息吹きが伝統的な人々の暮らしを徐々に変えていくダイナミックな構成と、消えゆくもの、古いものに対する優しいまなざしが、観客の心に大きな感動を呼んできた。「明日への希望」というような雰囲気は控えめで、哀愁に満ちた部分さえ感じさせるが、人々の胸に強く迫るものを持っている作品である。

 時は1905年。舞台は、帝政ロシア時代のウクライナ地方。ロシア人と共存しながらも、ユダヤ人同士で助け合って、貧しいがつつましい生活を送っていた。主役のテヴィエ(市村正親)は、牛乳や乳製品を製造販売する仕事をしていた。包容力のある性格で、村のみんなから愛される好人物。ちょっときつい妻ゴールデ(鳳蘭)には頭が上がらず、長女ツァイテル(水夏希)、次女ホーデル(大塚千弘)、三女チャヴァ(吉川友)ら5人の娘に恵まれ、忙しい日々を送っていた。

 しかし、時代の波は決して彼らを幸せなままにしておかなかった。ロシア人によるユダヤ人排斥の動きは徐々に先鋭化し、一方で共産主義の萌芽もあちこちで見え始めていた。テヴィエの上の3人の娘はいずれもお年頃で、その結婚をめぐって、いずれも騒動となり、新しい時代との衝突が象徴的に起きることになるのだ。

 長女のツァイテルは高齢の肉屋から結婚を申し込まれ困惑するが、好き合っていた仕立屋のモーテル(植本潤)と無事結婚。ところが、次女のホーデルは、テヴィエの家に転がり込んで居候していた家庭教師のパーチック(入野自由)と恋仲になる。彼は生粋の共産主義者、まだ思想としても確立されていなかった正体不明の考え方であり、苦労することは分かっていた。三女のチャヴァも、問題のある男を連れてきた。

 男女がパーティーの席でいっしょに踊ってもいけないようなしきたりの厳しい村社会の中にあっても、女性たちは新しい時代にふさわしい行動力を身につけており、親たちを慌てさせる。誰に扇動や教育されたわけでもないのに、自分たちの歩んでいく道を鮮やかに見極めていくのである。
 ユダヤ人をめぐる状況は徐々に厳しさを増し、新天地に移るか別の方法を探すか。テヴィエたちの行く末を選ぶ過程にもまた、時代の流れを感じさせるのである。

 森繁のテヴィエは、深い人情味と包み込むような大人物加減が前面に出て、西田のテヴィエはもう少し庶民的で愉快な人物を感じさせていたように思う。市村のテヴィエは、娘たちの行動に慌てふためきながらも、徐々に新しい時代を受け入れていく柔軟性のある20世紀人の片鱗を感じさせ、大いに目を引く。日本のミュージカルを長年にわたってリードしてきた絶対的なキャリアを背景に、誰にも負けない歌唱力と、言葉の一つ一つに深い理解力を感じさせる説得力のあるせりふ回しを駆使し、観客の目と心を引きつけるさまは、圧巻でさえある。森繁、西田が積み上げてきた日本的なしみじみとしたテヴィエ像から、どこか、ひとつ湿り気を抜いたような市村のテヴィエ像への変化は、さまざまな反応があるだろうが、私にはしっくりと来た。4回目のテヴィエとなる市村も、さまざまに変化させているはずで、今後も変わっていく可能性はある。それでいいのだ。

 鳳蘭はまさにはまり役。自分の方が強いのにテヴィエに亭主関白のように思わせているところや、悲しみの中にあっても、はてしない母性で娘たちを優しく包む様は、感動的だ。
 娘役の中ではやはり大塚千弘が目を引いた。アイドル的な存在から徐々に舞台経験を積み重ね、シアタークリエで主演ミュージカルも成功させている彼女。次女ホーデルは、パーチックという異端者を愛したことで親とも対立。その中から女としての生き方を見つけ出していく難しい役どころで、演技力がないと務まらない。その点、大塚千弘が演じてくれて本当に良かったと思わせてくれる。単に情熱的に愛を語るだけではなく、言葉の一つ一つに力を持って説得しなければならない役どころだ。ホーデルの聡明さは大塚のそれと二重写しになる。彼女自身の舞台俳優としての覚悟も見える好演と言える。
 水夏希は、宝狠北鬟肇奪彁代や、退団後の「客家」でも見せたような華麗な大立ち回りを見せてほしいところだったが、役柄からかなわないことは残念。ただ、長女としての存在感が際立っていて、興味深かった。
 三女チャヴァの吉川友(きっかわ・ゆう)は、ハロプロの一員で、モーニング娘。には入れなかったものの、ソロで実力を発揮しつつある逸材で、テレビドラマや舞台での経験も積んでいて、日々成長中だ。素直な演技に好感が持て、今後に期待大である。

 結婚式で歌われる「サンライズ・サンセット」をはじめ、名曲揃い。しかしながらミュージカルであることを忘れてしまうぐらい、お芝居の部分も強調されている、とてもバランスの良い作品である。

 それと、初演当時から言われてきたことだが、本作には、当時のユダヤ人たちの風習や生活の仕方がきわめて正確に描かれている。たとえば家の戸口に据え付けられているシャダイと書かれた小さな箱に、家人が出入りするたんびに、唇に当てた指をタッチするならわしも忠実に舞台上で行われている。観客は最初あまりにも頻繁に行われるのでなんだろうと不思議がるのだが、そのうちなじんでくる。当時を再現したと思われる踊りや結婚式の様式なども合わせ、文化人類学や社会風俗史的な鑑賞もできる作品であることにすぐ気づくだろう。

 ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、東京・日比谷の日生劇場では3月29日まで上演。4月6〜7日に愛知県刈谷市の刈谷市総合文化センター大ホールで、4月10〜14日に大阪市のシアターBRAVA!で上演される。


★原作本=文庫本



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2013年03月06日

【映画】 ボーン・レガシー(2012)

 純粋なスピンオフでもなく、全く別の俳優を使ってのリメイクでもない。映画版のシリーズが終結したのかどうかもはっきりしないまま、製作が発表され、公開された映画「ボーン・レガシー」は、そんな中途半端な感触をファンに与えたが、「ハートロッカー」「アベンジャーズ」などノリに乗っているジェレミー・レナーのシャープな魅力が最大限生き、シリーズに新たな命を吹き込んだかのような仕上がりだった。シリーズ映画の新しい展開の仕方としても、注目を集めている。

★DVD


 CIAで暗殺者として養成されたジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、瀕死の重傷を負ったが一命を取り留める。しかし記憶をなくしており、自らのアイデンティティーを探し求める。トレッドストーン計画と呼ばれる暗殺を失敗して死んだはずの彼が生きていたことで、計画の発覚を恐れたCIAはボーンの殺害に向かう。それがシリーズ第1作の「ボーン・アイデンティティー」。
 CIAの追撃から逃れ静かな生活を送っていたボーンが最愛の人を殺され、復讐のため世界を股に掛けて立ち上がるのが、第2作の「ボーン・スプレマシー」。そして第3作の「ボーン・アルティメイタム」は、トレッドストーン計画の本当の首謀者を探るため、ボーンが計画をスクープした記者に接触を図るが、ちょっとした行き違いから記者は命を落としてしまう。CIAが新たなブラックライアー計画も進行させる中、やがて核心に近づいたボーンが最後の戦いに出る。

 いずれも、それまで知性派のイメージが強かったマット・デイモンを一気にアクション俳優として認知させてしまうほどのすさまじい内容で、そのスピード感はこれまでのアクション映画がスローモーションであったかのように感じるほど超高速で、アクション映画に全く新しい手法を持ち込んだシリーズとして大いに人気を博した。
 当然マット・デイモンも含めて、シリーズの続行を考えていたはずだが、デイモンが信頼を寄せる監督が関われないまま、企画が進行し、デイモン自ら不参加を宣言。ジェレミー・レナーに白羽の的が立った。
 当初はこの企画も、「スター・ウォーズ」や「ハンニバル」「X-MEN」などのシリーズでもおなじみの時間を遡る手法や前日譚のようなかたちがとられると思われていたが、ふたを開けてみると違った。
ジェイソン・ボーンが3作を通じて激しく動いていた時間と同じ時系列で、まったく別の作戦が進行していたことにして、同じように暗殺者として養成されていたアーロン・クロス(ジェレミー・レナー)が主人公に据えられた。これまでシリーズに登場していた人物が主役になるいわゆる「スピンオフ」映画は、日本の「踊る大捜査線」シリーズや、「相棒」シリーズでも試みられておりおなじみだが、これは新たな主人公が生み出された珍しいパターンとなった。

 アーロン・クロスはボーンに劣らぬ優秀な工作員で、アウトカム計画に参加してアラスカで訓練中だったが、採血されたり薬剤を打たれたり、冬山での厳しすぎる鍛錬があったり、訓練の意味が見いだせなくなっていた。ジェイソン・ボーンの反撃によって、トレッドストーン、ブラックライアーの両計画は危機に陥り、CIAは計画そのものの抹消のため、さまざまな殺害や工作を実行する。アーロンの血が管理されていた病院でも銃の乱射事件が発生。混乱の中に巻き込まれたアーロンは、面識のあったシェアリング博士を命の危険から救い出し、ともに逃走。事態の核心へと迫っていく。

 マット・デイモン扮するジェイソン・ボーンは写真で登場するだけで、出演はなし。苦肉の策とは言え、マット・デイモン自身も、今後のシリーズへの出演を一切やめたというわけではないのだろう。
 問題は、デイモンのシリーズ3作があまりにも完成度が高く、ジェレミー・レナーと言えども、あれだけの迫力が出せないのではないかと思われたことだ。しかし、デイモンがどちらかというと、天性の勘によってあれだけの動きができたという感じをボーンに与えていたのに対して、レナーは、たゆまぬ鍛錬によって作り上げた肉体と戦闘能力という感じをアーロンに与えており、同じ土俵ではなく、別々のところで自らの最大限の能力を発揮させていたところが勝因だった。ボーンはインテリ色がぬぐえず、アーロンはまさにたたき上げの工作員に見える。

 これで、シリーズの次回作は、両者の出演という期待が高まる。マット・デイモンと製作陣との溝は深いとの説もあり、容易に実現する話ではないが、アーロン・クロスとジェイソン・ボーンが時に対立しときに協力し合って、敵と戦うという構図はぞくぞくする。CIAにとっては、最強の敵2人と戦わなければいけないわけでたまったものではないが、「あらたな敵」という手もある。
 このシリーズ4作が単なるスパイ映画に終わらなかったのは、彼ら工作員の心のアイデンティティーを追う旅として作品を設定したからだ。今後もその路線で、深い人間観察に基づいたストーリーを生み出してほしいものだ。

 なお、本作でのレイチェル・ワイズは実に魅力的だ。その生い立ちから来るイメージかもしれないが、ヨーロッバ各地の雰囲気が融け合った深みのある美しさは、このスリリンクな物語の中で確かに息づいていた。

★映画「ボーン・レガシー」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ボーン・レガシー
★Blu-ray&DVD

<主 演> ジェレミー・レナー
<共 演> レイチェル・ワイズ、エドワート・ノートン、ジョアン・アレン、テヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン
<監 督> トニー・ギルロイ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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2013年03月04日

【舞台】 マクベス(2013)

 突き詰めて考えてみれば、実にシンプルな話なのである。魔女たちにそそのかされて殺人を犯してしまう夫婦の物語だ。シェイクスピアはそこにさまざまな心理や感情の動きを付け加え、それを比喩や誇張を駆使したせりふで飾り立てる。最後は政権打倒という気宇壮大な大建造物にまで組み上げている。世田谷パブリックシアターの芸術監督でもある狂言師、野村萬斎はこの「マクベス」に眠るシンプルな芯を見つけ出し、省略や象徴の芸術とも言える自らのメーンフィールド狂言の思想を取り入れることで、全く新しい「マクベス」を創り出した。2010年の初演以来3年ぶりの再演となる今回は、その感性がさらに研ぎ澄まされ、見る者を引きつける求心力がより高まっていた。

 今回は東京、大阪公演のほか、韓国・ソウル(3月15〜17日、明洞芸術劇場)と米ニューヨーク(3月23〜24日、ジャパン・ソサエティ)でも上演される予定で、萬斎マクベス初の世界ツアーとなっている。

 野村萬斎は日本の伝統芸能の代表的な継承者だが、安易なジャポニズムには真っ向から立ち向かってきた。シェイクスピアの時代の中世ヨーロッパ社会を武家社会に置き換え、かみしもを着せたり、日本刀を持たせたりする翻案劇や映像作品はあまた製作されてきたが、黒澤明の映画をのぞけば、ほとんどが借り物の世界の域を出ていない。萬斎版「マクベス」は見た目に頼るのではなく、思想としての「和」の要素を利用して、創り出されている。
 もちろん、和の文様や、茶室からの風景、花、武士装束に似た衣装など、日本的なイメージにあふれてはいるが、東洋趣味やオリエンタリズムを強調して外国人を引きつけるような上辺だけの「和」には全く興味がない様子。むしろ、登場人物たちの心象風景を深く深く掘り下げて表現していく能や狂言の手法によってこそ、和が生かされている。

 「マクベス」は、1040年のスコットランドが舞台だ。反戦軍を鎮圧した将軍マクベス(野村萬斎)は路上で出会った3人の魔女から「コーダーの領主」「やがて王になるお方」と予言めいた呼び方をされる。その言葉通り、コーダーの領地を与えられたマクベスはやがて王になる野心を抱き始める。妻のマクベス夫人(秋山菜津子)は時に弱気になるマクベスを駆り立て、ついにはダンカン王を殺害する。そこからが2人の地獄。マクベスは王になったものの不安を募らせ、殺害の輪を広げざるを得なくなる。夫人もまた心を病み、夢遊病患者のごとく、この世をさまよう。魔女たちの新たな予言によってマクベスは一時の安心を得るが、それがことごとく反転するさまはまさにシェイクスピア劇の醍醐味。「暴虐の王」マクベス追討の手は日に日に迫ってくるのだった。

 野村萬斎は、魔女たちの予言と暗躍、強気な妻のそそのかし、どれだけぬぐっても落ちない血、夫婦の狂乱、動く山など、「マクベス」ならではの核となる要素は残し、その一方で、登場人物やエピソードを大胆にカットして、凝縮した物語に仕立て上げている。

 興味深いのは、舞台の仕立て方だ。この物語は、すべては魔女たちが創り上げた幻影という舞台の上で、マクベス夫妻が踊っていただけとみることもできるわけで、そのことを象徴するように、道具係ではなく3人の魔女役の俳優が、次々と舞台をしつらえていくのだ。「演劇実験室◎天井桟敷」の高田恵篤、福士惠二と、「演劇実験室◎万有引力」の小林桂太。彼らの、ときにあやしく、ときにうやうやしく創り出される舞台の上で、夫婦はのたうち回る。

 萬斎演じるマクベスは初演と比べて、より人間的な感触がある。英雄が野心を持つことで変容する様をやや直線的に描いていた前回とは違い、戸惑い、あきらめなどさまざまな感情に揺り動かされながら、深い穴に落ちていく過程は、繊細な角度で曲がり、螺旋階段のように狂気の中に取り込まれていくようだった。英雄、豪傑というより、1人の弱々しい人間の悲しい物語。悪魔に選ばれてしまった不運な一将軍の転落物語の凄みが感じられる。

 それにしても秋山菜津子ははまり役だ。夫に王殺しを勧めるほどの強気を持ちながら、やがてその重圧に自らつぶされていく弱気。ひとつの人間の体の中に、両極端に分裂した感情を併せ持つ演技は、秋山の真骨頂。マクベスから王になる決意を聞かされたときのかわいらしい妻の表情も忘れがたい。

 萬斎は、笑い声の時に、狂言師らしさを垣間見せるものの、せりふ回しはストレート。しかし、舞台の中央に存在するその立ち姿の美しさといったらない。細かな所作も含めて、伝統に培われた、しびれるような集中力は、劇場を圧していた。

 「マクベス」の東京公演(世田谷パブリックシアター)は3月4日まで。大阪公演は、3月8〜9日に大阪市のサンケイホールブリーゼで上演される。


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2013年03月03日

【映画】 桐島、部活やめるってよ(2012)

 あの叫びたくなるような感じ。あの駆け出したくなるような感じ。ここではないどこかにしか明日は待っていないと分かっているのに、ここにがんじがらめになっている自分への憤りと焦燥感。思い出になってしまっているかどうかは別にして、誰もが心の中のどこかに今も隠し持っているそんな気持ちを、恐ろしいほどの緊迫感と疾走感で描いた映画だ。「桐島、部活やめるってよ」には、青春などという手垢のついた言葉では表現できないほどの激しい感情が、渦巻いている。

★DVD


 日本の小説史上類を見ないユニークなタイトル、普遍的でありながら極めて特別なみずみずしい感情があふれた文章、誰も感じたことのなかった余韻。さまざまな面で全く新しい才能を感じさせた原作の朝井リョウ。彼が早稲田大学在学中の2009年に小説すばる新人賞を受賞したこの作品は、青春映画にうってつけの内容と設定だったが、果たしてこの小説の中のカオスのような感情のもやもやを映像化できるかどうか。誰もが不可能だろうと思っていたはずだ。
 ところが吉田大八とそのスタッフ、そして神木隆之介をはじめとする若いキャストたちはやってくれた。見たこともない青春映画を創りあげてくれたのだ。

 既に広く知られているように、「桐島」なる人物は一切登場しない。彼の不在こそがこの物語のテーマである。

 桐島はある県立高校の男子バレー部キャプテン。格好良くていいやつで、学内のヒエラルキー(階級)ではもっとも上位に位置していた人物だった。
 しかしその桐島は、部内の軋轢で突然バレー部を辞め、恋人の梨紗(山本美月)にも行き先を告げずに姿を消してしまう。ここからがこの小説の真骨頂だ。
 ヒエラルキーのトップを失った組織(学校)には、その波紋が徐々に広がっていく。桐島に去られたバレー部の残された部員は、リベロだった桐島の穴を埋めるべく激しい練習を繰り返し、みんながその穴の大きさに打ち震える。体育会系のスポーツマン仲間や親友に近い男子たちは行方を必死で探ろうとし、梨紗も桐島のあまりの態度に不満たらたらでいらつく。女子同士の関係もぎくしゃくしはじめ、まじめだった吹奏楽部部長の亜矢(大後寿々花)が片思いの宏樹(東出昌大)の姿を見るため毎日していた個人練習にも波乱の波が。梨紗ら目立つグループの一員ながら、あまり自分の色を出さずにいつも周りを観察しているようなかすみ(橋本愛)の周囲も慌ただしくなってきた。
 ひとつの波乱がヒエラルキー全体を緊張感で包み、徐々に下の方に降りていく様は、圧倒的な事実の積み重ねで胸に迫る。

 やがて、学校全体の動揺は、もっとも桐島とは関係のないはずの映画オタク、前田(神木隆之介)や武文(前野朋哉)のところまで、激しい振動となって到達する。

 小説とは違って映画では、一定の同じエピソードを別々の人物からの体験として何度も描き、曜日ごとに章立てすることで時を進めていく。だれもが経験することだが、学校で起きることにひとつの真実はない。それぞれの生徒がそれぞれの想いの中で、思い出としてその後の長い人生の中に抱えていくからだ。そのことをこの映画は実によく分かっている。

 「桐島騒動」がひとつの大きな幹だとしたら、もうひとつの幹が前田たちの学園ゾンビホラー映画製作。二つの大きな幹はなんら関係なく進行していくが、最後の最後でとうとう激しく衝突するのだ。それはヒエラルキー内で互いが位置を奪い合う激しい爆発であり、同時に映画作りの修羅をも意味していて、映画ファンにはぞくぞくする描写である。

 青春という輝かしい時代を生きているはずの彼ら若者が、実は日々恐るべき焦燥感にさいなまれ、行く先も見えないまま、自分を見失いかけている現状が、単なる桐島の不在という些細な出来事であらわになる。薄氷の青春である。

 この映画の持つ空気感。そういえば、吉田大八監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で見せたぎりぎりの状態に追い込まれた者だけが持つ美しい雰囲気や、「パーマネント野ばら」で見せたふわっとした空気が終盤にぐらっと一回転するような独特の感覚など、空気感にその監督色を注ぎ込む監督である。本作にもまた深く刻まれた空気感がある。

 本作は後に「未来のスター俳優たちを輩出した作品」と言われることになるだろう。
既にトップモデルとして活躍している山本美月が唯一無二の存在感を発しているのをはじめ、パリコレモデルの経験もある東出昌大は、本作で大きく俳優に方向転換。WOWOWのドラマ「ホリック」では主役の一人を務め、今年秋からのNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」にも出演が決まっている。バドミントン部の実果を演じた清水くるみはあの桑田佳祐とのCMでダンスを踊っていた子で、ドラマ、CMが次々と決まっている逸材。演技派子役から見事に成長した大後寿々花は既に女優活動を順調に進めており、貫禄まで感じさせている。
 神木隆之介も同様に子役出身。一時青年俳優への脱皮時期に印象が薄くなりかけたが、本作を見る限り完全に将来的なスター俳優への切符を手にしたといっていい。どちらかというと利発で活発な役柄が多かったが、今回のようなおとなしめで、想いを内に秘めた役割もかなりうまく表現できている。王道の主役でも、性格俳優的なわき役でも大活躍することだろう。橋本愛は出演作品が多く、女優としての印象が散漫になりがちだが、そのまなざしに宿る神秘性は彼女以外の誰も表現できないだろう。近い将来に誰もが挙げる代表作を得れば、一気にトップ女優へと駆け上るに違いない。


★映画「桐島、部活やめるってよ」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
桐島、部活やめるってよ
★Blu-ray

<主 演> 神木隆之介
<共 演> 橋本愛、東出昌大、山本美月、大後寿々花、清水くるみ、松岡茉優、落合モトキ、浅香航大、前野朋哉、高橋周平、鈴木伸之、榎本巧、藤井武美、岩井秀人、奥村知史
<監 督> 吉田大八
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★原作本=文庫本


★原作本=単行本



andyhouse777 at 03:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★映画 | ----邦画

2013年03月01日

【News】 米アカデミー賞助演女優賞はアン・ハサウェイ(2013)

 第85回米アカデミー賞助演女優賞は、アン・ハサウェイに贈られた。世界的ミュージカルを映画化した「レ・ミゼラブル」で薄幸な母親を圧巻の歌唱力と演技力で鮮やかに描き出した功績が認められた結果だ。予想通りの圧勝で、彼女にとっては初のオスカーとなった。  彼女が演じたフォンテーヌは、ひとり娘を遠くの里親に預けて工場で働いていたが、その工場を末端の管理職に些細な理由で解雇された。髪の毛を売り、娼婦にまで身を落としたフォンテーヌは、警察沙汰になりかけたところをこの工場の工場主で市長でもある物語の主人公バルジャン(ヒュー・ジャックマン)に救われる。しかし胸の病で死の床に就き、バルジャンにひとり娘コゼット(後にアマンダ・セイフライド)の将来を託した。  バルジャンが市長の座を捨て里親のテナルディエ夫妻のもとで宿屋の重労働をさせられていたコゼットを金を積んで取り返し、フォンテーヌの代わりに育てる。物語は、時を重ね、コゼットと革命派の青年や町の娘との三角関係、革命の夢と現実、バルジャンを執拗に追うジャベール(ラッセル・クロウ)の姿、バルジャンの罪と罰の意識などを主なテーマにしながら、大きなクライマックスを迎える。  アン・ハサウェイは、前半の主役とも言えるフォンテーヌの姿を通じて人間の尊厳や、終盤で天使となってバルジャンを導く信仰の美しさなどを全身で表現。数多くの登場人物の中でも最も強い印象を残した。  すべての俳優が生声で挑んだ今回の「レ・ミゼラブル」。とりわけアン・ハサウェイは、深い悲しみと激しい苦しみの中で、必死にもがく白鳥のような美しさと、感情を最大限に練り込んだ歌声が、奇跡的なマッチングを見せ、多くの観客の涙を誘ったことは記憶に新しい。どちらかというと歌唱経験の豊富な若手俳優陣に気後れすることもなく、ヒュー・ジャックマンに導かれながら、立派に大役を果たしたと言える。助演女優賞とはいえ、実質的には、ジェニファー・ローレンスと並ぶ主演女優賞を与えられたと言っても過言ではない。  ラブコメディー「プリティ・プリンセス」で当てたアイドル時代、「ブロークバック・マウンテン」などで成長した時代、そして「プラダを着た悪魔」と「ジェイン・オースティン 秘められた恋」で大きく飛躍したブレーク時代、「アリス・イン・ワンダーランド」「ダークナイト・ライジング」などで印象的なわき役を演じるようになった充実時代と時を経てきた。受賞後の「夢がかなった」というコメントには万感の思いが込められているに違いない。

andyhouse777 at 01:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★News | -----ストレート
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月別アーカイブ
ページ別順位(2014年8月4日現在)=直接リンクはされていませんので、各ページへ行くには、タイトルをコピーして下かトップ右の記事検索欄にペーストして検索してください
<01> Endless SHOCK 2014(21907)
<02> 太陽2068(9402)
<03> Endless SHOCK 2013(8821)
<04> なにわ侍 ハローTOKYO!!(8399)
<05> 直木賞芥川賞2013前期候補作決まる(5734)
<06> ソング・ライターズ(4968)
<07> 第37回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞にリリー・フランキー(4586)
<08> MIWA(3890)
<09> 「そして父になる」に世界から熱視線(3590)
<10> 「カッコーの巣の上で」舞台版が小栗旬主演で開幕(3316)
<11> 抜目のない未亡人(2862)
<12> マーガレット(2641)
<13> PLAYZONE → IN NISSAY(2550)
<14> 高校中パニック!小激突!!(2213)
<15> ストリッパー物語(2132)
<16> ダディ・ロング・レッグス=2014(2059)
<17> 刑事ドラマの殉職特集を放送(2049)
<18> 殺風景(1952)
<19> 今ひとたびの修羅(1818)
<20> ムサシ ロンドン・NYバージョン(1791)
<21> ムサシ ロンドン・NYバージョン=2014(1791)
<22> 「レ・ミゼラブル」と「アルゴ」にGグローブ賞(1760)
<23> かもめ(1725)
<24> 頭痛肩こり樋口一葉(1693)
<25> レディ・ベス(1665)
<26> イン・ザ・ハイツ(1637)
<27> 私が黄金を追う理由(1593)
<28> ジャック再び降臨「24」最新シリーズ放送開始(1592)
<29> 木の上の軍隊(1522)
<30> 国民の映画(1517)
<31> 2013前期芥川賞に藤野可織、直木賞に桜木紫乃(1315)
<32> ショーシャンクの空に(1280)
<33> ジャニーズ2020ワールド(1228)
<34> A.B.C座2013 ジャニーズ伝説(1178)
<35> サ・ビ・タ〜雨が運んだ愛〜=2014(1116)
<36> DREAM BOYS JET(1113)
<37> 「愛の渦」映画化(1087)
<38> 「ピトレスク」の稽古場公開(1085)
<39> 「レディ・ベス」世界初演ついに幕開け(1065)
<40> BACK STAGE(1047)
<41> 金閣寺(1028)
<42> シスター・アクト(990)
<43> レ・ミゼラブル(958)
<44> THE BIG FELLAH(953)
<45> 「天才執事ジーヴス」でウエンツと里見が名コンビに(952)
<46> 半沢直樹(923)
<47> もらとりあむタマ子(918)
<48> ザ・ワーズ 盗まれた人生(875)
<49> Holidays 休暇(862)
<50> ロスト・イン・ヨンカーズ(816)
<51> ミュージカルベストテンの選考投票に参加(804)
<52> ロンサム・ウエスト(787)
<53> 花嫁と父つなぐピアノ、盛岡のCMが話題(785)
<54> クリプトグラム(779)
<55> うかうか三十、ちょろちょろ四十(761)
<56> 奇跡の7人「THE BIG FELLAH」に集う(755)
<57> シレンシオ(695)
<58> アルトナの幽閉者(652)
<59> 筧利夫が世界最新演出版の初回を無事完遂(637)
<60> ネクスト・トゥ・ノーマル(635)
<61> ザ・ビューティフル・ゲーム(624)
<62> 私のダーリン(618)
<63> LOVE CHASE !!(599)
<64> SHOCK1000回達成(591)
<65> つか版・忠臣蔵〜大願成就討ち入り篇〜(589)
<66> 第86回日本アカデミー賞主演女優賞に真木よう子(575)
<67> 天翔ける風に(574)
<68> 愛の渦(572)
<69> 恋と音楽(569)
<70> モンテ・クリスト伯(551)
<71> ストロベリーナイト(549)
<72> 半沢直樹 その2(530)
<73> 第86回日本アカデミー賞主演男優賞に松田龍平(520)
<74> ベネチア金獅子賞に「サクロ・グラ」(513)
<75> 第86回日本アカデミー賞助演女優に真木よう子(498)
<76> 韓国版「家政婦のミタ」はチェ・ジウ主演(494)
<77> 米経済紙が半沢直樹特集、英語で倍返しは?(493)
<78> 第150回芥川賞直木賞候補作決まる(492)
<79> ライクドロシー(477)
<79> エニシング・ゴーズ(477)
<81> 太鼓たたいて笛ふいて(475)
<82> マイ・フェア・レディ(465)
<83> 屋根の上のヴァィオリン弾き(458)
<84> 秋のソナタ(450)
<85> ABC座2014ジャニーズ伝説(439)
<86> 「ミス・サイゴン」世界最新演出版の稽古場公開(437)
<86> 「ミス・サイゴン」世界最新演出版の稽古場公開(437)
<88> 渇いた太陽(436)
<89> 雨と夢のあとに(435)
<90> マンマ・ミーア!(429)
<91> 晩餐(426)
<91> マイケル・ジャクソンの新曲8曲入り新譜発売へ(426)
<93> 声(423)
<94> Tribes(417)
<95> ジェニファー・ローレンスがショートヘアーに(408)
<96> Paco〜パコと魔法の絵本〜from『ガマ王子vsザリガニ魔人』(403)
<97> 名もない祝福として(396)
<98> テンペストを白井晃演出で(395)
<99> ジャニーズ・ワールド(390)
<100> 半沢直樹 その3(383)
<101> 「シェルブールの雨傘」5年ぶり再演へ(378)
<102> 音のいない世界で(375)
<103> テイク・ディス・ワルツ(369)
<104> 組曲虐殺(364)
<104> 春琴(364)
<106> 「レ・ミゼラブル」は6/21発売(361)
<106> 「国民の映画」再演決定(361)
<108> ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(348)
<109> レ・ミゼラブル新演出版(347)
<110> 関数ドミノ(346)
<111> NO MORE 映画泥棒新バージョン(342)
<112> ピアフ(339)
<113> 海辺のカフカ◆archive◆(338)
<114> 007ファッション南青山で公開(334)
<114> 北島三郎、座長公演も最後と表明「引退ではない。歌い続ける」(334)
<116> 野田秀樹の「MIWA」に豪華俳優が集結(331)
<117> ロンドンでマティスの切り紙絵展始まる(330)
<118> ハリウッド白熱教室(322)
<119> リトルマーメイド(320)
<120> ぴんとこな(316)
<121> トガニ 幼き瞳の告発(313)
<122> カンヌバルムドールに「アデルの人生」(309)
<123> 脳男(305)
<124> トニー賞は「キンキーブーツ」(301)
<125> 赤鬼(299)
<126> BRAVE HEARTS 海猿(293)
<127> 「レディ・ベス」開幕前にトークイベント(291)
<128> 「オペラ座の怪人」完結編ついに日本初演へ(290)
<129> 第86回日本アカデミー賞作品賞に「舟を編む」(286)
<130> 取材・執筆した「殺風景」PR記事が掲載されました(281)
<131> ナタリー・ウッド事故死ではない可能性(278)
<131> 第86回日本アカデミー賞監督賞に石井裕也(278)
<133> 「海辺のカフカ」再演決定(277)
<134> 真夏の方程式(273)
<135> ハーベスト(269)
<135> 第21回読売演劇大賞は森新太郎(269)
<137> 4 four(268)
<137> 日の浦姫物語(268)
<139> iSAMU(258)
<140> ウルトラマリンブルー・クリスマス(254)
<140> 「風立ちぬ」公式上映で瀧本美織が存在感を発揮(254)
<142> トニー賞2014Ms作品賞(251)
<142> 進化するミス・サイゴン7月から世界最新演出で日本公演(251)
<144> ワイルド・スピード EURO MISSION(249)
<145> 半沢直樹第2回は21.8%で大台乗り(245)
<146> 小さいおうち(244)
<147> てんぷくトリオのコント(243)
<148> 「スクルージ」開幕、市村正親が意欲(242)
<149> 第67回カンヌ国際映画祭が開幕、長澤まさみも登場(241)
<150> アジア温泉(230)
<151> スター・トレック イントゥ・ダークネス(229)
<152> 「シスター・アクト」に個性派ずらり(226)
<152> 河瀬直美「2つ目の窓」公式上映で12分の鳴り止まぬ拍手(226)
<154> 片鱗(225)
<155> ジョン万次郎の夢(223)
<156> 白い夜の宴(221)
<157> 台湾の超美形ボーカルバンド人気、日本に到達(216)
<157> 野田秀樹の「赤鬼」気鋭の演出家・俳優で上演中(216)
<159> ウィズ〜オズの魔法使い〜(215)
<160> ビトレスクキャスト陣一体感強調(214)
<160> 戦隊ヒロイン「女子ーズ」にときめく5女優集結(214)
<162> GODZILLA ゴジラ(212)
<163> 第151回芥川賞直木賞候補作決まる(211)
<164> マクベス(207)
<164> ムーミン生んだトーベ・ヤンソン生誕100周年迎える(207)
<166> サウンド・オブ・ミュージック(205)
<167> テレ東が「不明者」を大捜索中(202)
<167> 「エッグ」再演決定、初の海外パリ公演も実現(202)
<169> 舟を編む(201)
<170> 蝋燭の灯、太陽の光(199)
<170> アナ雪の「スリラー」ダンス映像が大反響(199)
<172> 満天の桜(196)
<172> レッド・ツェッペリンがリマスター版収録の未発表曲2曲公開(196)
<174> ジェーン・エア=映画(193)
<175> さいあい シェイクスピア・レシピ(188)
<175> トニー賞2014Ms助女賞(188)
<177> ダディ・ロング・レッグス追加公演決定(181)
<178> 図書館戦争(180)
<179> KREVAの音楽劇再演、各界から逸材結集(179)
<180> ザ・フルーツ(178)
<181> 八月の鯨(176)
<182> 魔女の宅急便(173)
<182> 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ミュージカル日本初演へ(173)
<184> G・グローブ賞録画放送(172)
<184> 100回泣くこと(172)
<186> プラチナデータ(170)
<187> テルマエ・ロマエ供168)
<187> 第86回アカデミー賞のノミネート作決まる(168)
<189> オブリビオン(167)
<189> キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(167)
<191> あなたがここにいればよかったのに(166)
<192> ジェーン・エア=舞台(162)
<192> さよならドビュッシー(162)
<194> 華麗なるギャツビー(161)
<194> 藁の楯(161)
<194> ポール・ウォーカー急逝の波紋広がる(161)
<197> 異国の丘(160)
<197> 8月31日〜夏休み最後の日〜(160)
<197> 追悼 大瀧詠一(160)
<197> 安室奈美恵の洗練されたマッシュアップ映像が話題(160)
<201> ホロヴィッツとの対話(159)
<201> ヒトミ(159)
<203> 半沢直樹第6回も29.0%と好調維持(158)
<203> 初音ミクオペラにパリが熱狂(158)
<203> 中古LPからマービン・ゲイのパスポート発見(158)
<206> エッグ(156)
<206> 「ショーシャンクの空に」舞台化決定(156)
<208> J・K・ローリングの新作に34歳のハリー・ポッター登場(155)
<209> サビタ稽古場イベント(154)
<210> 風立ちぬ(151)
<210> 村上春樹、2013年のノーベル文学賞逃す(151)
<210> 追悼 やしきたかじん(151)
<213> 半沢直樹第5回は29.0%と続伸(150)
<214> The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)(146)
<215> さよなら渓谷(145)
<215> WILCO(145)
<217> 新国立劇場2014-15ラインナップ発表(144)
<217> 「メリー・ポピンズ」の裏側描く映画初上映(144)
<219> トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンpart2(143)
<220> 半沢直樹最終回は42.2%とミタ超え、関西は歴代最高(142)
<221> ダチョウ課長の幸福とサバイバル(141)
<222> ベネチア女優賞(140)
<223> 中学生円山(139)
<224> 大事なはなし(138)
<224> 「I'll be back」で大論争(138)
<224> 宮本亜門がドンペリPartyのショー演出(138)
<227> ナミヤ雑貨店の奇蹟(137)
<227> ケイティ・ペリーが着物パフォーマンス(137)
<227> 県庁おもてなし課(137)
<230> カンヌ審査員にキッドマンと河瀬直美ら(135)
<231> 任侠ヘルパー(134)
<231> レディー・ガガ、涙の訳はマネージャーとの決別?(134)
<231> 鬼才ラース・フォン・トリアーの最新作は超過激 !(134)
<234> 客家(133)
<234> その夜の侍(133)
<236> トニー賞2014Ms主女賞(131)
<237> 半沢直樹第3回は22.9%で今年ドラマトップ(130)
<237> DREAM BOYS(130)
<237> 米ゴールデン・グローブ賞ノミネート作決まる(130)
<240> 第39回菊田一夫演劇大賞にレミゼのキャスト&スタッフ(129)
<240> 海峡の光(129)
<242> 悪霊(128)
<243> シェイクスピア生誕450年記念上演始動、ハムレットは北朝鮮にも巡演へ(126)
<244> トニー賞2014MsRV作品賞(125)
<245> ミス・サイゴン(124)
<246> ザ・スーツ(123)
<246> フィリップ・シーモア・ホフマンが急死(123)
<246> 陽だまりの彼女(123)
<246> 共喰い(123)
<246> 「ドラえもん」英語吹き替え版は日米文化研究に興味深いヒント数々(123)
<251> 半沢直樹第4回は27.6%に急伸(122)
<251> ベルリン金熊賞(122)
<251> ミス・サイゴン=2014(122)
<251> 南京錠の橋ポン・デザール一部崩壊(122)
<255> 思い出を売る男(121)
<256> ダディ・ロング・レッグス(120)
<257> ずっと二人で歩いてきた(119)
<257> 横道世之介(119)
<259> 新・幕末純情伝(118)
<260> カウラの班長日記sideA(117)
<261> 無明長夜(116)
<261> ガラパコスパコス(116)
<263> 第86回米アカデミー作品賞に「それでも夜は明ける」(115)
<264> 半沢直樹に幻のラストシーン、DVD&Blu-rayに収録へ(114)
<264> 虚像の礎(114)
<264> 渡辺謙が「王様と私」でブロードウェイデビューへ(114)
<267> 大奥〜永遠〜【右衛門佐・綱吉篇】(112)
<268> 半沢直樹第9回は35.9%とさらに上昇(111)
<268> 地獄でなぜ悪い(111)
<268> トニー賞2014Ms助男賞(111)
<268> ピンク・フロイド10月の20年ぶりのアルバム発売を正式発表(111)
<272> ハムレット(109)
<272> ロックアウト(109)
<274> アカデミー助演女優賞はアン・ハサウェイ(108)
<274> 闇金ウシジマくん(108)
<274> 授業(108)
<274> 東京国際映画祭サクラグランプリは「ウィ・アー・ザ・ベスト!」(108)
<278> トニー賞2014PRV作品賞(107)
<278> トニー賞2014Ms主男賞(107)
<278> リチャード3世の墓と断定(107)
<378> 鍵泥棒のメソッド=舞台版(107)
<282> 半沢直樹第7回は30.0%と壁突破(105)
<282> ソチの脱出ヒーローまたも閉じ込め(105)
<282> 東京タワーはGW特別ライトアップ中(105)
<285> サ・ビ・タ日本版来春再演決定(104)
<285> 米アカデミー賞最注目は9歳の少女(104)
<285> 日本舞台美術家協会が7年ぶり展覧会開催(104)
<288> エンロン◆archive◆(103)
<288> つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語(103)
<288> そして父になる(103)
<291> みなさん、さようなら(101)
<292> レミゼ衣装を東京3都市で展示(100)
<293> アルゴ検証番組日本初放送(99)
<294> 「荒野の七人」新吹き替え版放送(97)
<294> 五輪色の東京タワーを月も見に来た?(97)
<296> キングコングの巨大ロボ公開(96)
<296> 手のひらの砂漠(96)
<296> 第151回芥川賞は柴崎氏、直木賞は黒川氏(96)
<299> 釣りバカ全作品をWOWOWが一挙放送へ(95)
<299> アナと雪の女王(95)
<301> ラ・マンチャの男(94)
<302> ジャニス・ジョプリンがハリウッドの殿堂入り(93)
<302> 初めてなのに知っていた(93)
<304> るろうに剣心(92)
<304> THEMANZAI2013優勝はウーマンラッシュアワー(92)
<304> トニー賞2014P主男賞(92)
<304> ピンク・フロイドが10月に20年ぶりのアルバム発売か(92)
<308> ベネチア最終盤情勢(91)
<308> 獣の柱まとめ*図書館的人生<下巻>(91)
<308> 第86回米アカデミー賞総まくり(91)
<308> SONG&DANCE60感謝の花束(91)
<312> 夢売るふたり(90)
<312> アカデミー主演女優賞はジェニファー・ローレンス(90)
<312> 建てましにつぐ建てましポルカ(90)
<312> 半沢直樹DVD&Blu-ray発売は12/26(90)
<312> 赤塚不二夫のココロ展〜2015年は生誕80周年なのだ!〜(90)
<312> 地下室の手記(90)
<312> 昭和レストレイション(90)
<312> チェ・ジウとクォン・サンウ、11年ぶり共演ドラマ「誘惑」スタート(90)
<320> 撫で撫で(89)
<321> 僕等がいた(89)
<322> 集金旅行(88)
<323> リトルマエストラ(88)
<323> ワイルド・スピード第7作の製作休止へ(88)
<323> ベルリン女優賞に黒木華(88)
<323> カンヌ女優賞はジュリアン・ムーア(88)
<323> 東京タワーがサムライブルーに(88)
<323> ワイルド・スピード第7作撮影再開、急死のポール部分は実弟2人で補充(88)
<329> 日本記者クラブ個人D会員になりました(87)
<329> インポッシブル(87)
<331> 鍵泥棒のメソッド=映画版(86)
<331> ルビー・スパークス(86)
<333> トニー賞2014P作品賞(85)
<334> 其礼成心中(84)
<334> キャロリング(84)
<336> ヘルタースケルター(83)
<336> 魔女とたまごとお月様(83)
<337> 第20回全米映画俳優組合賞はアメリカン・ハッスル(81)
<338> 「スター・ウォーズ」6作を一挙放送へ(80)
<339> カンヌグランプリにコーエン兄弟(79)
<339> 日本アカデミー賞作品賞は桐島、(79)
<339> メモリーズ・コーナー(79)
<339> 凶悪(79)
<339> 自動改札やスマホで光るネイル発売へ(79)
<344> 半沢直樹第8回は32.9%とさらに上積み(77)
<344> 第67回カンヌ国際映画祭まもなく開幕(77)
<346> 来訪者(76)
<346> AKB48総選挙2014渡辺麻友が初の1位指原は2位に陥落柏木3位(76)
<348> カンヌ監督賞にアマト・エスカランテ(74)
<348> ジーザス・クライスト=スーパースター ジャポネスク・バージョン(74)
<348> ベネチア銀獅子賞(74)
<348> 未成年モデル保護法案が米上下院通過(74)
<348> ツナグ(74)
<348> 最も稼いだ女優はアンジョリーナ・ジョリー(74)
<348> 東京震度5弱、都心は無事です(74)
<348> ユーミンの音楽×演劇コラボ、第2弾は比嘉愛未とW主演(74)
<356> ヴィンセント・ギャロが日本映画に出演(73)
<356> 暗いところからやってくる(73)
<358> カンヌ男優賞にブルース・ティーン(72)
<358> 世界の名刑事が大集結(72)
<358> 新しい靴を買わなくちゃ(72)
<358> キャプテン・フィリップス(72)
<358> 三鷹で昭和の名優作品続々上映(72)
<363> スター・ウォーズ最新作にハン、ルーク、レイアの3俳優出演決定(71)
<364> 最強のふたり(70)
<364> 大島優子が紅白でAKB48卒業宣言(70)
<364> 傷心のミック、復活待つ世界(70)
<364> 錬金術師(70)
<364> 当ブログのFBページいいね2000件達成(70)
<369> プロメテウス(69)
<370> スターウォーズ新シリーズ公開は再来年12/18(68)
<370> ポール・ウォーカーが事故死(68)
<370> トニー賞2014P主女賞(68)
<373> トム・ハンクスの陪審員まさかの強制終了(67)
<373> 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(67)
<375> ロバート・プラントがツェッペリン再結成を完全否定(66)
<375> 無欲の人(66)
<375> 宇宙兄弟(66)
<378> アカデミー作品賞はアルゴ(65)
<378> ライフスタイル体操第一(65)
<380> ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。(64)
<380> 「風と共に去りぬ」の続編について作者が手紙で返答していた(64)
<382> 臨場 劇場版(63)
<382> カンヌ最終盤情勢(63)
<382> ウィリアム・シェイクスピア(63)
<382> 多彩に変化する東京の空(63)
<382> マイティ・ソー、10月から性別を変更へ(63)
<387> ジェーン・エアその2(62)
<387> ヤバレー、虫の息だぜ(62)
<387> 東京家族(62)
<387> ポール・マッカートニー5月に再来日屋外ライブ(62)
<387> 三鷹市芸術文化センター星のホール(62)
<392> アカデミー主演男優にマシュー・マコノヒー(61)
<392> ブルージャスミン(61)
<392> 「アメリカントップ40」の名DJケーシー・ケイサムが死去(61)
<395> モンスターズクラブ(60)
<395> ダークナイト・ライジング(60)
<395> カンヌ女優賞にベレニス・ベジョ(60)
<398> バイトショウ(59)
<398> サ・ビ・タ〜雨が運んだ愛〜(59)
<400> アウトレイジビヨンド(58)
<400> タランティーノ脚本流出に怒り次回作中止?(58)
<400> 第150回直木賞に朝井と姫野、芥川賞に小山田(58)
<400> トニー賞2014P助男賞(58)
<404> 黄金を抱いて翔べ(57)
<404> ベネチア審査員大賞(57)
<404> ロンドンの劇場で天井崩落(57)
<404> マン・オブ・スティール(57)
<404> カンヌ2014審査委員長はジェーン・カンピオン監督(57)
<404> ハリソン・フォード宇宙に帰還(57)
<409> 潜水艇ボンドカー、8600万円で落札(56)
<409> ストーンズが豪NZツアー無期限延期(56)
<411> ザ・マスター(55)
<411> 世界にひとつのプレイブック(55)
<411> 「B・ジョーンズの日記」最新小説は恋するシングル・マザー(55)
<411> 学士会館(55)
<411> ビートルズの公式ドキュメンタリーを44年ぶりに制作へ(55)
<416> Gグローブ賞作品賞(54)
<417> のぼうの城(53)
<417> 芸劇リニューアル(53)
<417> セックス・ピストルズの心暖まるX'mas映像放送へ(53)
<420> モンティ・パイソン再結成へ(52)
<420> 三人姉妹(52)
<420> I’M FLASH !(52)
<420> カルティエのX'masアニメ公開(52)
<424> グッモーエビアン!(51)
<424> 日本レコード大賞はEXILE(51)
<424> アカデミー主演女優賞にケイト・ブランシェット(51)
<427> リンカーン(50)
<427> Gグローブ主演女優賞(50)
<427> プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ(50)
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