2013年04月

2013年04月30日

【映画】 図書館戦争(2013)

 2006〜7年に発表された有川浩の小説から始まり、漫画、テレビアニメ、劇場アニメと派生してきた「図書館戦争」がついに実写映画化された。しかも、ファンの期待がかなうとは限らないキャスティングの面で、かつて雑誌で最適な俳優として挙げられた岡田准一、榮倉奈々という最高の主演コンビが実現した。これまでの各ジャンルのファンも納得の青春SF巨編の誕生である。

 「図書館戦争」は、有害図書の検閲が実施されるようになった日本で、図書館を最後の砦として表現・読書の自由を守るため立ち上がった図書隊が、検閲を進める良化特務機関(メディア良化隊)と、限定されてはいるものの激しい軍事的戦闘を繰り広げる物語である。突飛な設定ながらも、徹底した裏付けの努力と社会派の感性を持った物語が、多くの人から絶対的な人気を獲得。第1作の「図書館戦争」に続き、「図書館内乱」「図書館危機」「図書館革命」と刊行。外伝を描いた「別冊 図書館戦争」も1と2が発表されるなど、大いなるサーガを形成している。
 2007年には弓きいろの描画で漫画「図書館戦争 LOVE&WAR」に、2008年にはふる鳥弥生の描画で漫画「図書館戦争 SPITFIRE !」に発展。2008年にはフジテレビの深夜アニメ枠でテレビアニメ版「図書館戦争」が放送された。2012年には、テレビアニメの流れをくんだ劇場版アニメ「図書館戦争 革命のつばさ」も公開されている。
 表現方法が変わってもその度に新しいファンを獲得していくのが「図書館戦争」の特徴で、SFから恋愛、青春、軍事、メディア、表現まで多くの要素を併せ持つ原作小説の魅力のおかげだろう。

 映画「図書館戦争」はシリーズのうち、最初の「図書館戦争」を描いている。物語の主な設定舞台は「正化31年」という年で、作品内で平成と同等に扱われていることから平成31年、西暦で言うと2019年である。つまりいわゆる近未来だが、そもそも検閲社会に突入した動きの最初が昭和の終わりごろ、1988年ごろと位置づけられているので、純粋な意味の近未来ではない。もしかしたらこういう未来も訪れていたかもしれない、という意味のパラレルワールド、あるいはパラレルフューチャー(もうひとつの未来)ものとして扱われることもあるのはそのためだ。
 昭和の終わりごろは実際、メディア・表現と犯罪の因果関係がやかましく言われた時期であり、規制を求める側の言うままに時代が進んでいればもしかしたらやってきていたかもしれない時代。そんな警告を読み取る読者、観客がいてもおかしくはない。そして今もその危機は続いているのだ。

 正化31年は、メディアを取り締まる「メディア良化法」施行から30年の節目の年。
 検閲に対抗する組織として設立された図書隊にひとりの女性が入隊する。良化委員会による検閲が激しさを増していた高校生時代、街の本屋を襲った検閲隊に、読みたかった本を奪われそうになったが、図書隊の隊員によって取り戻してもらえたという体験があり、顔も覚えていないその隊員を王子様と慕って、自らも図書隊員を目指した笠原郁(榮倉奈々)だった。

 鬼のような堂上篤教官(岡田准一)の厳しい指導の下、日々鍛えられる郁。同期で同室の柴崎(栗山千明)らのはげましを受け、なんとか切り抜けるものの、無鉄砲で時折オトメな性格は治らない。しかし高い身体能力を買われてか、エリート入隊の同期、手塚(福士蒼汰)とともに、図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)の新人隊員に抜てきされる。
 図書隊創設のころは警備だった武装も、良化隊の検閲の過激化や、良化法賛同者による図書館襲撃テロ(日野の悪夢)などにともなって徐々に強化され、機関銃などによって打ち合う本格的な戦闘に至る。互いに死者が出ないような配慮をしつつ交戦するものの、もし図書隊に死者が出ても、公にされることはない。基本的には専守防衛であり、圧倒的に不利な状況なのだ。

 郁や手塚も初めての戦闘に参加するが、危うく殺されそうに。しかし機転を利かせたお手柄もあった。しかし全面戦争突入の危機が迫っていた。メディア良化法成立に至る秘密が隠されている可能性のある資料が保管されている小田原情報歴史図書館が閉鎖され、郁らの所属する関東図書隊の管轄圏内にある武蔵野第一図書館に移譲されることになったのだ。秘密が暴露しかねないことを危惧する良化隊は必ず検閲に訪れる。しかも莫大な武器とともに。
 物語は終局の予感をはらみつつ、進んでいく。

 とはいえ、軍事一辺倒の映画ではない。「図書館戦争」の特徴である、こうした硬質な軍事的側面と、郁をめぐる恋愛などの柔らかい部分がうまく混ざり合っているのだ。だからこそ、幅広い世代のファンを集める。映画でもその点はきちんとおさえられている。

  「SP」シリーズ終了以降、岡田准一の素晴らしい身体能力を見せてくれる機会が減っていたなと感じていたわれわれ。本作でも最初は銃器を持った戦闘シーンのみで、少し物足りなさを感じていた。
 しかし、岡田准一は決して期待は裏切らない。終盤では、テロリストたちと圧巻の肉弾戦を展開。フィリピン武術の「カリ」から、ブルース・リーがつくりあげた武道「ジークンドー」、ブラジリアン柔術までモノにしている格闘技オタクの岡田が、ある意味「SP」以上の見せ場を創り出している。

 榮倉奈々は、映画「余命1カ月の花嫁」に出演したあたりから、はつらつとした若さだけではない演技の深みが表に出るようになってきたが、ここでは若手ナンバーワン演技派の岡田准一に一歩も引けをとらない実力を見せている。大味になりかねない戦闘シーンだけでなく、純粋で乙女チックな雰囲気を醸し出したことが、この大胆な設定の近未来に確かに彼女が生きたという感触を残してくれることにつながっている。今日は戦場で闘っていても、あしたは恋の話で盛り上がっている。そんなリアルさが保たれているのだ。栗山千明とのコンビも息がぴったりだった。

 ところで、「ありうるかもしれない虚構」を本当のリアル感をもって再現し得たのは、これだけのレベルの高いキャスト陣をまとめ上げた佐藤信介監督の功績が大きいだろう。自主製作映画にルーツを持ち、キャリアを積み上げてきた映像作家だが、本作以上にあり得ない世界を描いた「GANTZ」シリーズで、登場人物たちのどうしようもない哀しみや、そこを乗り越えた者の持つ強さなどを運命論の調べとともに描き出した格調の高い演出が受け、世界中から注目を浴びている。本作で再び代表作を連ねたということになるだろう。

 なお、書評家でもあり原作の有川浩と対談経験もある俳優児玉清が、図書隊を現関東図書基地司令の仁科(石坂浩二、映画だけのオリジナルキャラクター)とともに創設した立役者の稲嶺として写真だけで参加している。児玉は2011年に惜しまれつつこの世を去ったが、有川は稲嶺のモデルにしたことを公言しており、映画での粋な夢の実現となった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
図書館戦争
LIBRARY WARS

<主 演> 岡田准一、榮倉奈々
<共 演> 田中圭、福士蒼汰、西田尚美、橋本じゅん、栗山千明、石坂浩二、鈴木一真、相島一之、嶋田久作、阿部丈二、故・児玉清(写真のみ)
<監 督> 佐藤信介
<原 作> 有川浩
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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2013年04月29日

【舞台】 半透明のオアシス(2013)

 物理的な意味での顔は一人にひとつしかないが、人間関係という枠の中では、顔はひとつではない。会う人によって、自分の顔や人格を使い分ける、というのは、誰もがやっていることである。これと同じように、1対1の人間関係も、それぞれの組み合わせによって、まるで違ってくることが少なくない。田川啓介率いる演劇ブロデュースユニット「水素74%」の最新舞台「半透明のオアシス」は、そこのところをうまく演劇に取り込んでいて、何気ない一連の日常生活と会話が、いつの間にかメビウスの帯のように反転するが、少し先ではいつのまにか正転し、何の破綻も来さないというような不思議な感覚に囚われる作品。田川の尋常ならざる感性が見えた。

 「新しい不条理劇」をつくりたいという欲求が田川らの中にはある。それは、物語としての意味を失い、理解を拒絶しているようなかつての不条理劇ではなく、一見素直に理解できるが、よく考えてみると意味がつながらないような、新しい時代の不条理劇である。きっとそれは田川自身も、ひとつにくくれるようなものではないのだろう。

 「半透明のオアシス」は、ある家庭のひとつの部屋だけが舞台。そこに、女性4人のさまざまな組み合わせの人々が登場し、それぞれに違う人間関係のベクトルをぶつけ合う。

 ひとりの女(浅野千鶴)が部屋で誰かを待っている。やがて家に帰ってきたこの家の次女(斎藤淳子)の先輩らしく、何か用事があるらしい。返したはずの借金は利子分だと言うなど、強気一辺倒だ。金を稼ぐため、デンジャラスな仕事を紹介してくれようとする。
 母親と次女のバトルも始まる。母親(兵藤公美)が根っこは優しいのに甘えて、強気に出る次女。暴力を振るうこともしばしばだ。
 助けに来た長女(斎田智恵子)は、銀行勤めでいつも優等生のお姉さん。それを露骨にひけらかすところは嫌味だが、妹の劣等感は果てしない。
 ところが、戻ってきた先輩のあるひと言によって、長女の優位はもろくも崩れる。妹が紹介されようとしているデンジャラスな仕事と何か関係がありそうだ。

 シーンが変わるごとに、その人間の優位の方向性ががらりと変わる。そしてそれは組み合わせが増えれば増えるほど、複雑さを増していくのだ。それでいて、それぞれの登場人物は、関係や優位性の破綻をなんとか取り繕い、たいしたことは起きていないように振る舞う。家庭という者は案外そういうものかもしれない。そして、まるでずっと平穏だったように、しれっと続いていくのだ。

 物語がある程度進んだところで、みんなの関係性がめちゃくちゃな状態のまま、実は極めて安定していて、揺るぎないものに見えてくる不思議がある。そう、物語がループして何度も繰り返されるような、関係性のそれぞれのベクトルが発したエネルギーが、同じ量だけ、どこかで吸収されていくような感覚だ。つまりプラマイゼロである。
 本作の場合、先輩というかき回し役はいるが、家族とはなんと不条理なものなのか、と思わざるを得ない。そこが田川の鋭いところである。

 舞台はこの部屋以外に存在しないが、舞台の後方上方にはいくつもの窓らしきものが象徴的につり下げられている。意味するところは想像するしかないが、この窓は町中にあまたあるひとつひとつの家庭なのだろう。本作で描かれるような家庭の中でごたごたしていているが切り離せない人間関係は、おそらくほとんどすべての家庭に存在し、外に出ることなく、それぞれの家庭の中にとどまっているのだ。窓はその象徴なのではないか。田川の示唆は当然あるだろうが、具現化した角田千穂の舞台美術にも拍手を贈りたい。

 田川は、1983年生まれで、日本大学芸術学部演劇学科在学中に「劇団掘出者」を旗揚げ。卒業後、劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作にノミネートされた「誰」で頭角を現した。現在は青年団演出部にも所属しており、2010年に「水素74%」を旗揚げしている。「水素74%」は劇団員を持たず、公演ごとに俳優を集める演劇ブロデュースユニットという位置づけ。

 兵藤公美は、青年団所属の女優で、「バルカン動物園」「東京ノート」「ソウル市民」など青年団の歴史的名作の再演に立て続けに出演しているほか、テレビや映画にも顔を出している中堅どころ。母親役の自然な演技は、本作が持つ、家庭や家族の不思議なあたたかさを体現しているようでもある。出来の悪い次女にも愛情を注ぎ、明らかにたちの悪い先輩も拒絶はしない、この母親の安定感をよく表現していた。
 姉役の斎田智恵子は、小劇場演劇を中心に活躍している。4人の中で、姉はもっとも立場の振り幅が大きく、十分な演技力が求められる役どころだが、細かな表情の変化を含め、観客に対するアピール度の高い演技は見ていて安心感がある。
 次女(妹)役は、演劇ユニット「中野茂樹+フランケンズ」所属の斎藤淳子。観客からは白い目で見られかねない自堕落ぶりを表現しなくてはならないのだが、ぎりぎりのところで家庭という繭の中にとどまろうとする赤子のようなかわいげがあり、妙に母性本能をくすぐる存在である次女を硬軟両方の演技で造形していくあたり、なかなかの実力の持ち主とみた。
 あやしげな先輩役は浅野千鶴。宮本奈津美、岸野聡子とともに劇団「味わい堂々」を結成して、2013年までに「ぼくらのアイドル」「タマゴの秘密」など8回の公演を重ねている。また、こゆび侍、ハイバイ、猫の会、風琴工房など注目劇団、ユニットの作品に出続けている個性派女優だ。かき回し役ならではのフットワークの軽い演技は、本作に忘れがたい味わいを与えている。

 本作は1時間ほどの芝居。終演後の余韻はそんな短い時間では消えていかない。さりげないが、強烈な記憶を残す作品だ。

 「半透明のオアシス」は、4月29日まで東京都三鷹市の三鷹市芸術文化センターで上演。再演を望む声はやがて大きくなるに違いない。



andyhouse777 at 02:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★舞台 | ----小劇場

2013年04月28日

【映画】 終の信託(2012)

 命の終わりは誰が決めるのか。かつて臓器移植の法案をまとめるときに、遅ればせながら、この手の問題に関心が薄かった日本でもようやくさまざまな議論がなされた。しかし法案ができて、とりあえずの脳死の基準が決められてしまうと、議論は再び低調に。なんでもうやむやにしておきたい国民性といってしまうと身のふたもないが、21世紀に入って、日本人の心の内部では、終活ブームなどに見られるように、自分の人生の終え方について急激に関心が高まっているといっていい。きちんとしたルールをつくらないと、いつまでも医師、患者、家族だけを苦しめてしまうことになる。映画「終の信託」は、そんなテーマをわれわれののど先に突きつけているような気がする。

★DVD


 監督が周防正行で主演が草刈民代と役所広司。そう、まさにあの「Shall we ダンス?」のゴールデントリオが帰ってきたのだ。しかも今回はとびきりの深刻な問題に取り組んだ。
 2007年に11年の沈黙を破って再び映画界に復帰して以来、痴漢冤罪を扱った「それでもボクはやってない」や、妻の草刈のバレエ公演上演までの過程を撮った「ダンシング・チャップリン」など、ドキュメンタリー的な要素や社会派的な要素を強めてきた周防監督。本作ではさらに一歩進んだ社会性と、「Shall we ダンス?」や「シコふんじゃった」などで培われた豊かなドラマ性が、絶妙のバランスで配合された作品になっている。いったい、観客は医師、患者、家族、検察、一般人、どの立場に立つのか。試されているのだ。

 天音中央病院の呼吸器内科で医師として働く折井綾乃(草刈民代)は、評判の良いエリート。しかし常にどこか満たされないものを抱えていた。不倫関係にあった同僚医師の高井(浅野忠信)には裏切られ、失意の底に。自殺未遂までしてしまうことになる。
 復帰した綾乃をなぐさめてくれたのは、意外にも患者だった。特に、重いぜんそく患者の江木泰三(役所広司)は、綾乃に深い信頼を寄せ、人生の機微に触れるような会話もしてくれる。病状は深刻で何度も発作を繰り返していた江木。そんな江木にやすらぎを感じる綾乃は心の底から傷ついていたのであろうが、一方で本当の人間の心に触れたとも言える。
 死期が遠くないことを感じ取った江木は、綾乃に「もしものときは先生にお任せします」と「終の信託」を与えたのであった。戸惑いながらも綾乃も、うなずいていた。
 そしてついにその日は来た。一時自宅療養していたが、外出先で倒れているのを発見され、綾乃の病院に搬送されてきた。意識のない江木の希望を伝え、家族の意志も確認した。そして。江木は死んだ。

 3年後、殺人罪の摘要をめぐって検察官の塚原(大沢たかお)から厳しい追及を受ける綾乃。綾乃は信託の中身にも触れながら、猛反論。はたして綾乃のとった行動に違法性はあったのか。起訴され、刑を受けるのか。

 こうして時系列的に書いてみるとスムーズなのだが、周防監督は、映画の現在を、取り調べ前に控え室で待つ綾乃に置き、意図的に長く待たされている間に、今回の出来事を回想する複雑な形をとっている。それは、綾乃の頭の中で出来事が整理されていくのと同時に、悔恨や焦燥、憧憬、さまざまな思いが渦巻くカオスの中から、自らのよってたつべき場所を探しているようにも見える。
 この回想によって、観客もたっぷりと事実関係を確認させられ、終盤に待ち受ける、塚原検察官と綾乃の対決の中に否応なく引き込まれていくのである。

 原作者の朔立木は、現役の法律関係者で、塚原検察官の話す法律的なせりふは実際の尊厳死と殺人をめぐる状況に基づいている。
 それだけに塚原検察官の言葉は、綾乃だけではなく、観客自身の心にもびしびしとたたき込まれるように入ってくる。

 それにしても、このキャスト陣はどうだ。肉体的ではなく精神的な結びつきを愛にまで高めていく綾乃と江木を造形した草刈と役所の大人の演技。不埒でずるい高井を決して悪びれずに演じた浅野の覚悟。綾乃の気持ちの美しい部分には気付いていながら、あくまでも冷酷に追い詰めていく塚原を渾身の力で表現した大沢の地力の強さ。
 全編に、暗い画面、疲れた表情などがあふれかえっているのに、映画に漂っているのは崇高な命の絆の物語。さまざまな試行錯誤を繰り返してきた周防監督がたどり着いた新たな地平と言えるのではないだろうか。


★映画「終の信託」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
終の信託
★Blu-ray


<主 演> 草刈民代、役所広司
<共 演> 大沢たかお、浅野忠信、中村久美、細田よしひこ
<監 督> 周防正行
<原 作> 朔立木
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★原作本=文庫本



andyhouse777 at 02:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★映画 | ----邦画

2013年04月27日

【映画】 ツナグ(2012)

 心残りなことを抱えたまま誰かが死んでしまったら、苦しむのは生きている方だろうか。それとも死んでしまった方だろうか。お互い、もうどうしようもないと思うことができれば良いが、生きている方は一生、そして死んでしまった方はもしかしたら永遠に気に病むことになるかもしれない。もしあともう一度だけでも会えれば、わだかまりを解くことができるのに−。そんな思いは誰もが抱く可能性があるが、映画「ツナグ」は、そんな一度きりの再会をかなえる仲介役「ツナグ」を代々務めてきた家系の家族と、再会がかなった3組の生と死を静かに見つめる作品。派手なクライマックスや展開はないが、突き上げるような思いが全編にわたって見る者の胸を揺らし続け、最後には、スクリーンやモニターの前から動けなくなっている、そんな一品である。

★DVD


 主人公は、物語の最後で祖母のアイ子(樹木希林)からツナグを受け継ぐことになる孫の渋谷歩美(松坂桃李)だが、映画での主役は、むしろ再会を果たした3組の死者と生者。歩美はこの3組の仲立ちの手伝いをする過程で、ツナグという役割の意味を知る。つまり映画は、歩美の成長の物語でもある。

 このツナグ一家、飄々としていて明るい。人の生き死にに関わる仕事だから余計にそうなのだろうか。しかし、代々受け継がれるはずのツナグが一世代飛ばして受け渡されることには、一家の暗い過去が横たわっている。これが物語全体を通してのフックになっており、歩美の決意の裏打ちにもなっていく重要なポイントだ。

 辻村深月の原作小説は吉川英治文学新人賞を受賞。再会した人たちと歩美の物語を連作小説のように配した構成で、映画はそこをうまく再構成している。つまり各編の登場人物たちを映画の物語の中でクロスさせているのである。小説の持つ立体感をより映像で際立たせたという感じだ。

 ツナグはまったくの極秘というわけではなくて、都市伝説や女子高生の噂レベルでは世の中に知られている。死者との再会を希望する人は何らかのかたちでツナグの連絡先を探しだし、依頼をしてくるのだ。

 最初に再会を果たすのは中小企業の経営者らしき中年の男性(遠藤憲一)と、亡くなったその母(八千草薫)。使者として現れた歩美があまりにも普通の高校生なので、からかっているのかと怒り出す。なかなか信じてもらえなかったが、再会の後に口をついて出たのは「ありがとう」というひと言だ。
続いては、歩美と同じ高校の女生徒、嵐(橋本愛)と、交通事故で死んだ演劇部の仲間で親友の御園(大野いと)。嵐は歩美と面識はあるが特に意識はしておらず、御園は歩美に好意を抱いていた。この微妙な差が、物語にも陰影を与える。
 実は事故の直前、次の公演の主役に控えめな御園が立候補し、見事選ばれていたのだ。嵐はプライドを傷つけられ、御園に小さな殺意を抱いてしまう。自然現象を利用したある工作を道路に施した嵐。そして御園は死んでしまった。嵐は御園が知っていたのかを聞いてみたかったのだ。
 そして、もっとも微妙な再会は最後のケース。結婚の約束までしていたのに失踪した恋人キラリ(桐谷美玲)と会うことを決意したのが、サラリーマンの土谷(佐藤隆太)だが、死んだという事実が受け入れられず、再会の場所でずいぶんとキラリを待たせてしまう。はたして二人は失踪のかげに隠された真実を知ることが出来るのか。

 もともと自分もツナグの存在を知っており、年齢も離れているケースだった中年男性の母親の場合は当然だとしても、同世代の大切な人を亡くした後者の2ケースでも、死者たちは、明るく無邪気で、そして愛くるしく振る舞う。生き返るということではなく、ただ一回だけの最後のチャンスだと知っている覚悟からだろうか。迷い、自分を失い、戸惑うのは生者の方ばかりだ。

 TBSのディレクターで、映画「その時は彼によろしく」やテレビ・映画の「ROOKIES」、テレビの「JIN―仁―」シリーズなど多くの名作を手掛けてきた平川雄一朗は、映画としての起承転結よりも、3つの再会をじっくり、しっかりと見せることに力を注いでいる。母との再会によって絡み合った心がほどけていく中年男性。親友としての微妙な感情に終始したものの再会後こそ仕掛けがあった女子高生同士。そして、生きる者のわだかまりを死者がいやしていった恋人たち。せりふのひとつひとつがこころに染みわたる深みのある演出で、物語を粒立て、静かな強さを感じさせる映画に仕上げている。ツナグという役割を持つ人たちの、ひっそりとしていながら力強い存在感を表しているとも言える。

 優れた生き返り映画と言えば「黄泉がえり」があるが、「黄泉がえり」が大規模な超常現象に科学の力で挑もうとする大仕掛けな構成があったのに対し、「ツナグ」はあくまで人と人との絆、それも生者と死者の絆をたった一度の再会で確認し合おうという、ひっそりとした物語。そんな違いはあっても、いずれも死者に対する敬意が感じられるところが、成功の秘密だろう。

 ところで、注目されるのは、若手俳優らの心が震えるような演技が、この作品に納められていることである。例えば、女子高生を演じた実年齢も17歳の橋本愛と大野いと。橋本は、普段のクールな演技ではなく、親友に殺意を抱くまでになる感情の大きな揺れを体全体で表現。大野は、親友のしたことを知っているのか知らないのかを見る者にも悟らせない無邪気な表情の中に、時折死者としてのどうしようもない哀しみをにじませる演技を披露。「告白」「桐島、部活やめるってよ」での鮮烈な存在感で若手トップに躍り出た橋本愛と、「高校デビュー」「愛と誠」そして本作と次々と新たな役柄を自分のものにしている懐の深さナンバーワンの大野いと。この二人の17歳の演技の激突は、おそらく長く語り継がれる伝説になるだろう。

 中堅どころの佐藤隆太に全身でぶつかっていった23歳の桐谷美玲も注目の成長株。映画「君に届け」実写版、「ジーン・ワルツ」などの映画で印象的な役柄を経た後、ドラマから映画に発展した「荒川アンダー・ザ・ブリッジ」の突飛なニノ役でひとつステージを上がった感があり、本作「ツナグ」に続く映画「新しい靴を買わなくちゃ」では、パリにいる恋人の元に押しかける積極的な女の子を好演。2013年のドラマ「あぽやん〜走る国際空港」では、伊藤淳史と並ぶ主役級で毎回、表情を微妙に変化させていく繊細な演技力が発揮されるようになった。ファッションモデルとしても大成したラブリーなルックスを最大限生かすだけでなく、その中から立ち上がってくる凄みのようなものも感じさせる女優に成長していることは、主役に抜てきされた、つかこうへいの名作舞台「新・幕末純情伝」での壮絶な演技でも実証済みだ。
 本作では、ちょっと危なっかしい女の子が、試練の時を経て、女性らしい柔らかさを獲得していくさまを、あくまでもたおやかに表現。大倉忠義とのダブル主演で届ける次の映画作品「100回泣くこと」では、記憶障害で自分のことを忘れてしまった元恋人と再会し、再び最初から向き合おうとするちょっと切なくて、でもどこか力強い女の子を演じており、再び、一段違う桐谷美玲を見せてくれそうだ。

 松坂桃李は24歳。モデル、ヒーローものなどを経て、群像映画で頭角を現した後は、飛ぶ鳥を落とす勢い。岡田将生、高良健吾、永山絢斗らと並ぶ注目の若手俳優として、活躍が続きそうだ。

★映画「ツナグ」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ツナグ
★Blu-ray


<主 演> 松坂桃李
<共 演> 樹木希林、橋本愛、大野いと、佐藤隆太、桐谷美玲、遠藤憲一、別所哲也、本上まなみ、浅田美代子、八千草薫、仲代達矢
<監 督> 平川雄一朗
<原 作> 辻村深月
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★原作版=単行本



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2013年04月25日

【Topics】 ジェニファー・ローレンスがショートヘアーに(2013)

 今年の米アカデミー賞で見事、主演女優賞を獲得した女優のジェニファー・ローレンスが、髪を切った。そんなことがニュースなのかと感じる方もいるだろうが、当初からジェニファー・ローレンスに注目し、彼女とその出演作を追いかけてきた当ブログにとっては、無視するにはいかない重要ニュースなのである。  メディア・アワードの授賞式があった4月20日。行きつけのヘアサロンに約束の時間より早く現れたジェニファーが「髪を切って」と言い出した。いぶかしがるヘアデザイナーを安心させ、ロングヘアーからボブへと変身した。  どこかのロックの歌姫のようにも見えるが、活発な彼女をよりアクティブに見せていて、かなりのいいセンス。若くして主演女優賞をもらっても、イメージを変えることに少しも躊躇がない。さすがジェニファー・ローレンス。  近未来の米国で、不条理な殺し合いのサバイバルゲームに妹の代わりに出場し、壮絶な戦いを繰り広げるカットニス・エバディーンを演じ、世界中で大ヒットした「ハンガー・ゲーム」でも見せた不屈の闘志を感じさせるまなざしと生命力にあふれた肢体。このショートボブはますますそのイメージを強くさせる。  今年は「ハンガー・ゲーム」の続編「ハンガー・ゲーム/キャッチング・ファイアー The Hunger Games:Catching Fire」が公開される。主演女優賞受賞作の「世界にひとつのプレイブック」だけでなく、出演作が増えるたび、代表作が増えるジェニファー。今最高に乗っている女優だけはある。  ショートへの変身は早くもツイッターで話題騒然。ファンからの問い掛けに本人も答えているようで、この親近感も彼女の魅力だ。詳細はAFPの記事で。

andyhouse777 at 23:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote ★Topics 

2013年04月24日

【News】 カンヌ審査員にニコール・キッドマンや河瀬直美(2013)

 スティーブン・スピルバーグ監督が審査委員長を務めることが決まっている第66回カンヌ国際映画祭の長編映画部門の審査員が発表され、女優ニコール・キッドマン、映画監督アン・リー、映画監督河瀬直美のほか、英国のリン・ラムジー監督、ドイツの俳優クリストフ・ヴァルツら日本でもなじみの深い顔が並んだ。審査員はほかに、ルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督、フランスの俳優ダニエル・オートゥイユ、インドの女優ビドヤ・バラン。  カンヌで1997年に新人賞、2007年に審査員特別大賞を受賞するなどカンヌに愛されている河瀬直美や、「イングロリアス・バスターズ」でカンヌ男優賞を受賞しているクリストフ・ヴァルツはともかく、ゴールデン・グローブ賞や米アカデミー賞では常連ながらもカンヌでは無冠のニコール・キッドマンやアン・リーはかなり意外な人選だ。審査委員長のスピルバーグ監督も含め、カンヌが新しい感性を求めている表れとも言える。芸術性最優先のカンヌのコンペ部門にエンターテインメントの風が吹く可能性もある。  日本からは、大沢たかおと松嶋菜々子という視聴率キングとクイーンのダブル主演で、若き名優、藤原竜也が鬼気迫る演技を見せる「藁の楯」(三池崇史監督)と、人気トップ俳優、福山雅治主演の「そして父になる」(是枝裕和監督)の2作品がコンペ部門に選ばれている。 「藁の楯」は、政財界に隠然たる力を持つ大富豪が孫娘を殺した連続少女暴行殺人犯の殺害に10億円の懸賞金をかけたために、出頭して逮捕され移送中の犯人が全国民から命を狙われるという大胆な物語。命をかけて移送を敢行するSP役の大沢たかおと松嶋菜々子が、個性派揃いのキャストとともに、全編にわたって正義とは何かを問い掛け続ける。  「そして父になる」は、6歳になる息子が実は出生時の取り違いで、別の親の子だったことが分かった父親が、激しい葛藤の中から、本当の愛とは何かを見いだしていく物語。「ガリレオ」シリーズなどクールな役柄で定評のある福山が、心の内面を表出させる繊細な演技力を見せつける問題作。映画「外事警察 その男に騙されるな」やドラマ「最高の離婚」での共演も記憶に新しい尾野真千子と真木よう子や、リリー・フランキーなど全くスキのない共演者とともに注目される作品だ。  大沢や松嶋はドラマの人気で既にアジアではトップスター級の人気。福山も既にCMでは、マイケル・ベイやジョン・ウーらハリウッドの監督ともタッグを組んでいる国際派。いずれも、カンヌのスクリーンや舞台あいさつで注目を集めることが出来れば、ヨーロッパでの露出度も増し、世界的規模の映画作品への進出も夢ではないだろう。  また監督陣もすごい。是枝監督は「誰も知らない」で柳楽優弥にカンヌ史上最年少での最優秀主演男優賞受賞をもたらしたほか、多くの国際映画祭に招待されるなど、既に世界的映画作家の一人。三池崇史監督も、「十三人の刺客」「一命」などでヨーロッパからの注目度が年々増しており、日本という枠からはみ出そうとしている大物監督。  出品作2作は、ともにエンターテインメント性と芸術性を絶妙のバランスで取り込んだ作品だけに、今年の日本作品は期待できそうだ。  ただ、今年はライバル作も多いのが特徴。全19作品のうち、注目は米国のスティーヴン・ソダーバーグ監督の「Behind the Candelabra」。同性愛者であることを隠し続けたピアニスト、リベラーチェを主人公に描く感動作で、マット・デイモンとマイケル・ダグラスの共演が話題。デンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督は「Only God Forgives」。注目のライアン・ゴズリング主演で、バンコクを舞台にしたスリラーだ。コーエン兄弟の「Inside Llewyn Davis」も、キャリー・マリガンやジャスティン・ティンバーレイクらで1960年代のNYフォークシーンを描いた強敵だ。そして巨匠ロマン・ポランスキー監督も、ブロードウェイミュージカルを映画化した「La Venus a la Forrure」でパルム・ドールを狙ってくる。  実績、実力十分な欧米勢と、勢いのある日本勢が真っ向からぶつかる一大決戦となる。  カンヌ国際映画祭の開幕は5月15日。パルム・ドールは5月26日(日本時間27日未明)に発表される。授賞式はCSの映画専門チャンネル「ムービープラス」が5月27日午前1時半から、日本独占生中継予定。詳細は後日。 ★映画「藁の楯」予告編

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【映画】 ロックアウト(2012)

 低温で囚人を冬眠状態に置き、宇宙空間に浮かんだ刑務所に閉じ込める。そんなありそうでなかった宇宙監獄の発想にまず驚かされるリュック・ベッソンの映画「ロックアウト」。リュックはさらに進めて、囚人たちが反乱・脱獄を図るアルカトラズものの面白さと、宇宙という異次元な空間でのSFものの精緻さ、そして地球から送り込まれ、ひとりで凶悪な敵と戦うというダイ・ハードもののスリルと爽快感を付け加えた贅沢な娯楽映画を創りあげた。

★DVD


 宇宙だから脱獄は不可能なのだが、どんなに難攻不落の場所であろうと、そこに人間がいる限り、スキは生まれる。そしてどんなに困難な状況になろうと、人間がいる限り、その状況を突破する方法はある。だからこそ、このストーリーが成立しているのだ。

 2079年、囚人は宇宙にいた。地上でどれだけ多重防御しても、脱獄事件はなくならないし、どこまでも完全を求めるとすれば刑務所を地球の外に出すしかない。もちろん刑務所ステーションを動かすソーラーシステムや、囚人たちを低温で眠らせるようにして非活動状態で管理するコールドスリープなどという最新技術があってはじめてできたこと。

 米政権が実験的に始めた収容方法だったが、おおむねうまくいっていた。しかしその邪魔をしたのは、こともあろうに大統領の娘エミリー(マギー・グレイス)。囚人の管理に人権上の問題がないか、人道活動団体を率いて視察に訪れたのだ。いじわるな設定だが、政治に対する批判的な視線は鋭い。
 囚人からの聞き取り調査はよりによって、最も凶悪と言われるハイデルから始まった。ハイデルはわずかな隙を見つけて銃を奪い、看守らを殺害。しかも装置によって眠らされている囚人たちを解き放ったのだ。エミリーや一部の警護官はなんとか逃げのびるが、凶悪な囚人たちの手が迫っていた。

 ハイデルはテンションが高くわめき続けるだけだが、兄のアレックスは聡明で、たちまち囚人たちのリーダーになった。大統領に囚人全員の解放を要求し、実現するまで看守や管理スタッフなどの人質を殺し続けると宣言した。エミリーが大統領の娘と知れば、さらに米政府の立場は悪くなる。
 脱獄不能ということは、立場が逆転してしまえば、攻撃不能ということ。互いに袋小路に入ってしまった。

 大統領の娘を救出するため、そんな宇宙監獄に送り込まれることになったのはCIAの敏腕エージェントだったが、何らの謀略で同僚殺害の容疑で拘束されていたスノー(ガイ・ピアーズ)。最初は拒否していたものの、宇宙監獄に自分の無実を証明することのできる人間が収容されていることを知り、申し入れを受ける。

 想像通り、ここから物語はスノーと500人もの囚人たちとの一大決戦へと向かう。1人になってしまったエミリーはスノーと合流。地獄のような監獄内をさまよいながら、決死の脱出劇を繰り広げる。
 多少ご都合主義の軽すぎるところもあるが、囚人たちとスノーの知恵を絞り合っての攻防はなかなかに見せる。囚人たち、特にハイデルの暴虐ぶりはほとんど狂気に近く、本当に背筋が寒くなる。追い詰められるスノーやエミリーを見て、心の底からあきらめかけた場面があったほどだ。
 映画はハイデルとアレックスという兄弟の過去の確執がもとでもたらされる対立も描き、単純なアクション映画ではないことを示す。
 いつもながら、政府の冷酷ぶりや諜報機関の無慈悲ぶりがいやというほど描かれ、それに対するスノーたちの反抗など、反骨の視点も忘れていない。政権に対するアイロニーもそこかしこにあふれている。

 例えばラストのフランク・シナトラの歌が流れてきそうな一件落着ムードや、まったくのすき間なく娯楽的要素を詰め込んだ脚本、危機の中にあってあまりにも飄々としすぎているスノーの軽口やアメリカンジョークなど、リュック・ベッソンのハリウッド映画に対するコンプレックスなのかあこがれなのか反発なのか分からないようなこだわりぶりが、見ているだけののんきな立場からすれば、とても興味深い。
 「グラン・ブルー」や「ニキータ」「レオン」「フィフス・エレメント」のような初期の監督作品ほど詩的で哲学的なテーマを秘めた上質な味わいは減じているものの、「トランスポーター」シリーズ、「TAXI」シリーズ、「96時間」シリーズなど、文句なしに楽しめる娯楽作品づくりにかけてはもはや敵なしのリュック・ベッソン。いつか、その双方の味わいがミックスしたような映画を世に送り出してほしいものだ。

★映画「ロックアウト」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ロックアウト
Lockout

★Blu-ray

<主 演> ガイ・ピアーズ
<共 演> マギー・グレイス、ヴィンセント・リーガン、ジョセフ・ギリガン
<監 督> スティーブン・レジャー&ジェイムズ・マザー
<製作・脚本> リュック・ベッソン
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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2013年04月23日

【映画】 人生の特等席(2012)

 「許されざる者」や「硫黄島からの手紙」「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」などの映画で、俳優としてだけでなく監督としても映画界に認められたクリント・イーストウッド。「グラン・トリノ」後には俳優引退ともとれる発言をしていることから、もう監督作以外で一俳優として出演することはないだろうと誰もが思っていた。おそらくご本人もそのつもりだっただろうが、出てみたいと思ったのは、この映画「人生の特等席」が持っているなにか大切なものが、イーストウッドの心の中の何かにシンクロしたからだろう。それはひとつは「老い」であり、もうひとつは「人生の素晴らしさ」である。イーストウッドのもとで映画製作を学んできた弟子格のロバート・ロ−レンツ監督のもと、のびのびと等身大の姿を見せてくれている。監督作以外での主演作はなんと1993年の「ザ・シークレット・サービス」以来19年ぶり。

★Blu-ray&DVD


 ここにいるイーストウッドは、決して「ダーティー・ハリー」のようなアンチヒーローでも、マカロニウエスタンの荒くれガンマンでもない。かつては全米一のスカウトと言われたものの、視力は落ちるし、勘は鈍る。メジャーリーガーの卵を見極める力量も落ちてきた。要するに年をとった老いぼれスカウトである。「グラン・トリノ」のように、頑固でどうしようもないじじいを演じ、老境を生きる者の哀しみと喜びを体現するような役にも取り組んでいるが、本作では、まさに衰えと老いが前面に出ている。現在83歳のイーストウッドにとっては等身大の役柄である。

 ガス(クリント・イーストウッド)は、米メジャーリーグのスカウトマン。何人もの名選手を見いだし、長年名スカウトとしてその名をとどろかせてきた。しかし寄る年波には勝てず、なかなか実績があげられなくなっていた。特に視力の衰えは顕著で、ピッチャーの投球フォームの見極め、バッターのバットの握りや投球への反応、くせなど、選手のポテンシャルを見極めるために重要な細かい動きが見えなくなっていた。
 雇われている球団の中には、こうしたガスの衰えを批判する者もおり、契約を打ち切るべきだという意見も優勢になっていた。ガスにとって、最後のシーズンになりそうな今季。球団の中にいる友人から連絡を受けたひとり娘のミッキー(エイミー・アダムス)は、そんな父が心配で、父の最後のスカウトの旅に同行することにした。ガスはドラフトで焦点となっている高校生の実力を見るため、ノースキャロライナへと向かっていたのだ。

 だが、その旅はほほえましい父娘の旅などではない。本当はミッキーはガスとの間にわだかまりを抱えていた。母を早くに亡くして父と娘。スカウトのため旅から旅の生活だったガスはミッキーを連れて歩く。がさつなスカウト仲間や野球関係者、つまり男ばかりの中で娘を育てたわけだが、結局は離ればなれの人生に。娘を育てられなかったという悔恨からますます野球だけの生活になっていくガスと、敏腕弁護士として頭角を現し始めたミッキーとは、だんだん疎遠になっていたのだ。

 本心が見えず、不器用にぶつかる二人。大切な仕事の準備にあてなければいけない期間だったのに父の元に来てしまったミッキーは気になってしょうがないが、老いによる衰えで危なっかしい父をほっとけない。
 それでも目が見えないことをカバーするために、打球音で判断するなど、父の壮絶な生き様を見せられる娘。しかしミッキーは、父親もびっくりするほど、メジャーリーガーたちに詳しく、野球選手の見極め方にも天賦の才能を持っていたため、徐々に父親の助けになっていく。

 物語は、人生を見つめ直し始めたミッキーの思いや、最後の旅を懸命に生きるガスの姿を優しい目線で見つめ続ける。やがて、辛い思いをさせたと思っていた娘の口から「あそこは人生の特等席だった」という言葉を聞いた時、ガスは。

 二人の間を絶妙に取り持つのは、かつてガスにスカウトされた元野球選手でアナウンサーに転向する予定のジョニー・フラナガン(ジャスティン・ティンバーレイク)。双方の気持ちの奥深くにまで入り込めるのは、自らも傷ついた者の優しさか。ティンバーレイクにとっては久しぶりに存在感のある役柄で、作品に奥行きを与えていた。
 また、「魔法にかけられて」のジゼル姫など大味な役柄が少なくなかったエイミー・アダムスが、評価の高かった「ダウト〜あるカトリック学校で〜」のシスター・ジェイムズ以来となる深みのある役柄を得た印象で、ただ可愛いだけではない芯のある女性を造形していて秀逸だった。

 クリント・イーストウッドは次期監督作の「スター誕生」が、主演のビヨンセの降板で宙に浮いている状態。出演作は決まっていないが、本作が最後の出演作品にならないよう、誰もが祈っていることだろう。

★映画「人生の特等席」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
人生の特等席
Trouble with the Curve

★Blu-ray&DVD


<主 演> クリント・イーストウッド
<共 演> エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン、マシュー・リラード
<監 督> ロバート・ロ−レンツ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



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2013年04月21日

【News】 映画「レ・ミゼラブル」は6月21日発売(2013)

 全米が泣いた、みたいな宣伝文句は、例え本当のことであっても、にわかには信じがたいものだが、映画「レ・ミゼラブル」ほど、その言葉が似合う作品はない。まさに、世界が泣いた、のである。演劇界では既に世界を席巻していたミュージカルだったが、ミュージカルの映画化にあたってこれほど真摯な取り組みがなされたことは前例がなかったし、ハリウッドのスターたちがこれほど真剣に情熱を込めてその世界に挑んでくれたことも極めて珍しいことだ。生声で歌うというスターにとってはリスクの多い手法にも、ひるむことなく臨み、最新技術とも相まって素晴らしい効果を上げた。ミュージカルを成功に導いたプロデューサーのマッキントッシュは当然のこと、キャストからスタッフ、そして見ている観客まですべての人々が「レ・ミゼラブル」を愛し、この映画を創りあげたのだ。それらのことは、ストーリーへの感動以上に感動的なことであり、世界中の人の涙腺を緩ませたのだ。
 そんな映画「レ・ミゼラブル」。根強い人気を反映して、全国の映画館でまだ上映が続いているが、ついに待望のDVD、Blu-rayが、6月21日に発売されることになった。

★通常版DVD=amazon予約ページ


★Blu-ray=amazon予約ページ


★Blu-rayコレクターズBOX(初回限定生産)=amazon予約ページ



★フォトブック仕様Blu-ray&DVD=amazon予約ページ


★フォンテーヌBOX=amazon.co.jp限定(1000セット限定生産)=amazon予約ページ


 DVD通常版は本編DVDのみ。
 Blu-ray通常版は2枚組。デジタルコピーが付いている。特典として、いかにこの映画がミュージカル映画を変えたかを紹介する「『レ・ミゼラブル』ミュージカル映画の革命」や、原作者のユゴーとレミゼの物語に焦点を当てた映像など多数が収録されている。
 また初回のみ限定生産のBlu-rayコレクターズBOXは、本編に加え、サウンドトラックの特別版CDが付いているお得なセット。
 フォトブック仕様Blu-ray&DVDは、本編のBlu-rayと特典DVDに加え、豪華なキャスト陣が登場する美麗なフォトブック付き。

 注目はamazon.co.jp限定で販売される「フォンテーヌBOX」。本編のBlu-rayとDVDに加え、サントラCD2枚、フォトブック付き。さらに、ジュエリーボックス型オルゴールに加え、額に入ったアン・ハサウェイのポートレイト入り。これはシリアルナンバーが入っている貴重なものだ。

 バラエティーに富んだ商品構成となっているので、予算や興味に応じて選べそうだ。

★映画「レ・ミゼラブル」予告編


 映画「レ・ミゼラブル」は英国、日本、米国で2012年12月に公開が始まり、世界中で上映。日本では今も上映館が絶えていない。人気がゆっくりじんわりと広がっていることに加え、2度3度観ている人が多いことがその背景にある。
 「1度目は上映中ずっと泣いていて、ほとんど記憶に残っていない」という女性の声が決してまゆつばに聞こえないほど、その人気は高く、リピーターが急増。2度目はミュージカルナンバーを、3度目はストーリーを、4度目はキャストたちの表情を楽しむという人も多いのだという。
 上映中、すすり泣きや嗚咽が聞こえるのも「レ・ミゼラブル」ならでは。しかもそれは涙がこぼれ落ちるというレベルではなく、涙がとめどなく、こんこんと流れ出してくる泣き方なのだ。自分ではコントロールしようがないのである。単に感動的な場面があるというより、映画全体に、罪と罰、生きることの意味、愛の力、自由を得るための闘いなど、普遍的なテーマが満載されており、波状的に感激の波が観客に降りかかるからだろう。

 日本だけでなく、世界中でそうだったようで、映画「レ・ミゼラブル」は米ゴールデングローブ賞で、コメディ・ミュージカル部門の作品賞を受賞。ヒュー・ジャックマンが主演男優賞、アン・ハサウェイが助演女優賞を獲得した。主題歌賞にもノミネートされた。
 さらに、米アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、助演女優賞、歌曲賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞、録音賞の7部門にノミネート。録音賞、メイク&ヘア賞を獲得し、アン・ハサウェイが助演女優賞に輝いた。
 アン・ハサウェイは初めてのオスカー獲得。前半の主役とも言えるフォンテーヌの姿を通じて人間の尊厳や、終盤で天使となってバルジャンを導く信仰の美しさなどを全身で表現。数多くの登場人物の中でも最も強い印象を残した。
 すべての俳優が生声で挑んだ今回の「レ・ミゼラブル」。とりわけアン・ハサウェイは、深い悲しみと激しい苦しみの中で必死にもがく白鳥のような美しさと、感情を最大限に練り込んだ歌声が、奇跡的なマッチングを見せ、多くの観客の涙を誘ったことは記憶に新しい。どちらかというと歌唱経験の豊富な若手俳優陣に気後れすることもなく、ヒュー・ジャックマンに導かれながら、立派に大役を果たしたと言える。
 助演女優賞とはいえ、実質的には、ジェニファー・ローレンスと並ぶ主演女優賞を与えられたと言っても過言ではない。ラブコメディー「プリティ・プリンセス」で当てたアイドル時代、「ブロークバック・マウンテン」などで成長した時代、そして「プラダを着た悪魔」と「ジェイン・オースティン 秘められた恋」で大きく飛躍したブレーク時代、「アリス・イン・ワンダーランド」「ダークナイト・ライジング」などで印象的なわき役を演じるようになった充実時代と時を経てきた。受賞後の「夢がかなった」というコメントには万感の思いが込められていたに違いない。

 アカデミー賞の授賞式のステージではヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエンらが勢揃い、ステージ上で、「レ・ミゼラブル」の中の有名なナンバー「One Day More」を歌い上げた。これだけのスターが一堂に会して歌うこと、そして映画のオリジナル主要キャストがフルでステージパフォーマンスをすること、いずれもきわめて珍しい。しかもアカデミー賞のステージで生での歌の披露。大きな負担となることを覚悟して臨んだキャストたちに拍手が鳴り止まなかった。いかに「レ・ミゼラブル」が世界中の人々、そして俳優たちに愛されているかを物語っていた。

 とにもかくにも、これだけの成功を収めたのは、世界43カ国、21の言語で上演されてきたミュージカル版「レ・ミゼラブル」があったから。ロンドン初演版で長らく上演されていたが、既にロンドンでは新演出版のミュージカルが上演中、米国でも地方公演が続いている。
 映画のヒットはチケット売り上げの急増にもつながっているようだが、米国では、新演出版が満を持して2014年3月から、ブロードウェイで上演されることが決まった。
 そして日本では、5月3日から7月10日まで、東京・丸の内の帝国劇場で新演出版が新たにオーディションで選ばれた新キャストで上演されるという歴史的な日が近づいている。8月には、福岡市の博多座、9月には大阪市の新装フェスティバルホール、10月には名古屋市の中日劇場で順次、上演される。
 昨年末から今年にかけて、世界をそして日本列島を駆け巡ったレミゼ現象。いよいよ最高のクライマックスの時を迎えるのだ。
 映画のヒットで誰もが口ずさむようになった名曲「民衆の歌」の力強い歌詞とメロディーに乗って、さらなる高みへとのぼっていきそうだ。


★映画「レ・ミゼラブル」予告編=別バージョン



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
レ・ミゼラブル
Les Miserables

<主 演> ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド
<共 演> エディ・レッドメイン、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン、サマンサ・バークス、アーロン・トヴェイト
<監 督> トム・フーパー
<製 作> キャメロン・マッキントッシュ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★映画「レ・ミゼラブル」サントラ(3/20発売済み)


★ミュージカル「レ・ミゼラブル」25周年記念コンサートBlu-ray(発売済み)


★サウンドトラックCD(輸入盤、発売済み)


★原作「レ・ミゼラブル」=文庫本(発売済み)



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2013年04月20日

【舞台】 ホロヴィッツとの対話(2013)

 芸術家とそれを支える人々。見過ごされがちだが、実はその関係が、芸術家の生命線である場合も多く、興味は尽きない。劇作家・演出家の三谷幸喜は早くからそこに注目しており、無名時代のゴッホやゴーギャンらの交友を描いた2007年の舞台「コンフィダント・絆」以降、2011年には舞台「国民の映画」で、ナチス政権下のドイツの映画人たちの苦悩と生きざまを描いている。そして2013年の最新舞台「ホロヴィッツとの対話」では、天才ピアニスト、ホロヴィッツと、彼のピアノの調律師を長く務めたフランツとの関係に焦点を当て、2組の夫婦が迎えたフランツの自宅でのディナーの時間だけに絞って、芸術とはなにか、芸術家とは何かを深く描き出している。小粋だが深い、そんな作品である。

 三谷幸喜が新作を発表し続けている東京・渋谷のパルコ劇場が40周年を迎えたことを記念した公演。40周年企画の第1弾となった。
 毎回キャスティングに注目が集まる三谷作品だが、今回はとりわけ貴重な顔ぶれが並んだ。フランツ役には、12年ぶりの舞台出演となる渡辺謙。米映画「ラストサムライ」に出演して以降、国際的な人気を誇る映画スターとなった渡辺が、俳優の原点であった舞台に復帰したのだ。そして妻のエリザベス役には、ドラマ「夏子の酒」「妹よ」「ピュア」「バージンロード」などで大ブレークを果たした後、多くの映画で印象的な役柄を演じ続けている和久井映見が初舞台として挑戦した。
 さらにホロヴィッツ役には、劇団夢の遊眠社出身で、シス・カンパニーの看板役者&演出家として活躍する段田安則を起用。「国民の映画」に続いて再び三谷作品でその至芸を披露した。ホロヴィッツの妻、ワンダ役には、三谷幸喜作品初登場だが、自ら結成した劇団「遊◎機械/全自動シアター」を俳優・劇作家として支え続け、日本の演劇界にその名を知られる高泉淳子が抜てきされた。

 ある日、ホロヴィッツは突然、フランツの家でディナーをご馳走になりたいと言い出す。長年のつきあいがあるものの、そんなことを初めて言い出したホロヴィッツに驚くフランツ。それでも、妻のエリザベスに頼んで用意を調えさせた。
 序盤、ホロヴィッツと妻のワンダが、自宅で出掛ける支度をしている場面を三谷は意外なほどじっくりと描いている。天才とはいえ、普段は茶目っ気たっぷりで子どものようなホロヴィッツと、芸術家の妻によくあるような、何でもてきぱきと夫の世話をし、時にわがままな夫をうまくコントロールする術を身につけているワンダ。
 三谷は、お菓子をめぐる夫婦の攻防や、すぐにぐすぐすしたり、すねたり、気弱になるホロヴィッツのキャラクターなどをおもしろおかしく積み重ねていく。これだけで、夫婦の何十年もの歴史がすべて見えてくるのだから恐れ入る。

 一方、フランツの家では歓迎準備に追われている。超有名人を迎える妻のエリザベスの緊張は高まるばかりだが、フランツにとっては、なぜホロヴィッツが急に自分の家に来たがったのか、考えあぐねている。
 ようやく来たホロヴィッツ夫妻。しかしここからは、極度にこだわりを持つホロヴィッツと、歓迎するフランツ夫妻との闘いの場にもなる。たとえば、ミネラルウォーターの銘柄にもこだわりがあるホロヴィッツが、別の銘柄と混ぜた水を見破るシーンなど、三谷は徹底してディティールを笑いに変えていく。パスタの種類もしかり。天才セレブの金持ち趣味というよりは、我慢することを知らないホロヴィッツの性格を次々と矢面に引き出して、観客に挑んでいる感じだ。

 妻のワンダもソファーの位置など、家のことにいろいろと注文を付けてくる。夫婦そろってこうなのだから、きりきり舞いするフランツ夫婦。子どもの教育問題にも口を突っ込んでくる始末で、なんともやりきれない。
 しかし向こうは、世界にその名を知られる天才ピアニスト。なんとかうまくこの危機を切り抜けようとする彼らの様子は、三谷作品の初期から中期に見られたハラハラドキドキの展開と二重写しになって、思わずにやり。

 しかし、ここ数年、一時笑いを封印してまで、人間存在の深淵を描くことに力を注いだ劇作家三谷幸喜の成長ぶりは、この作品でも色濃く浮かび上がってくる。
 ホロヴィッツとフランツとの会話からは、単にライバルのピアニストとの仕事に嫉妬しているという姿だけではなく、ホロヴィッツがフランツをいかに信頼し、必要としているかが伝わってくる。まさに一心同体の関係なのだ。

 そして三谷は至るところに、登場人物たちの音楽への愛情を散りばめている。フランツには戦争の後、友人の父親が地中に埋めたドラム缶の中に隠していた無傷の楽器を見た時の感動的なエピソードを涙ながらに語らせる。
 隣の家の息子が弾くへたなピアノにも、ホロヴィッツは、怒り出すでもなく、音から弾いている人物の指の形状や過去の負傷歴まで言い当てる芸当を披露し、ホロヴィッツが単に音楽や音だけを愛しているのではなく、それにまつわるものすべてに優しいまなざしを注いでいることを表している。

 物語はやがて、ホロヴィッツ夫妻の心の傷、特にワンダの心の奥深くにまで入り込み、大きなクライマックスを迎える。
 2組の夫婦にとって、これまでのどんなものより素敵なディナーの時間になったことを4人は確信し、舞台は静かに終わりへと向かっていく。

 三谷幸喜は既に、笑いの封印を解き、シリアスな心のやり取りと笑いを絶妙に絡めていく新しいステージへと入っている。そのことを極めてはっきりと教えてくれる作品であった。

 渡辺はハリウッドスターになってから、その存在感ばかりが強調されるが、むき出しの心をあふれさせる演技から、追い込まれたコミカルな演技まで、表現が多彩で、本来の演技力を再認識させた舞台だった。
 和久井も初舞台とは思えぬ動きで魅了。特に1対1になったときのやりとりで見せる表情やせりふ回しの勘の良さが目立ち、テレビドラマでの経験が舞台でも生きていた。

 段田は相当ホロヴィッツを研究したようで、表情から歩き方までそっくりとの評判。憎たらしいが憎めない、人を寄せ付けないようでいて人なつっこい。そんな相反するベクトルをひとつの体に併せ持った天才という名の老人の姿を鮮やかに描き出した。

 特筆すべきは高泉だろう。ホロヴィッツに付き従うような存在のはずなのに、完全に尻に敷いており、それでいて天才の才能を邪魔することのないつつましさも持つ。ワンダのひとつではくくれない性格をものの見事に表現していた。三谷作品には珍しいキャラクターだが、新しい扉を開いたとも言える。

 舞台「ホロヴィッツとの対話」は、2013年2月9日〜3月10日、東京・渋谷のパルコ劇場で、3月13〜31日、大阪・シアターBRAVA!で上演された。
 3月30日にはシアターBRAVA!からWOWOWライブで生中継され、話題を呼んだ。見逃した人のために、5月4日22時から、WOWOWライブで再放送される。

 三谷幸喜は既に4月9日から東京・池袋の東京芸術劇場で、芸術監督の野田秀樹、天海祐希、内野聖陽ら豪華メンバーを起用して、舞台「おのれナポレオン」の上演を開始している。5月12日まで満席での上演が続く。
 さらに7月には、東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで、橋爪功、大泉洋、秋山菜津子、浅野和之らを起用して、ロナウド・ハーウッド原作の「ドレッサー」を上演予定。秋ごろには自作小説を映画化した「清洲会議」を公開するなど、今年も多彩な活躍が続きそうだ。


★1966年カーネギーホールコンサートCD(舞台「ホロヴィッツとの対話」とは関係ありません)



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2013年04月19日

【映画】 ザ・ワーズ 盗まれた人生(2012)

 もしあなたが売れない作家で、とことん行き詰まっているときに、誰のものか分からないが珠玉のような恋愛小説の未発表原稿を見つけたら。あなたはどうしますか?
 もちろん、まずはそれを読むだろう。そしてため息をつくだろう。俺にはこんな小説は書けない。そこからは2つの道がある。ひとつは小説家をあきらめる。そしてもうひとつは、その小説を自分のものにする。
 映画「ザ・ワーズ 盗まれた人生」は後者を選んでしまった男の物語。米アカデミー賞作品賞にもノミネートされた「世界にひとつのプレイブック」で世界を魅了したブラッドリー・クーパーが、本作でも苦悩する男の本領を発揮。人生の不可思議さと、運命の恐ろしさを全編に散りばめ、極めて上質なサスペンスが展開する。

 脚本がよく出来ているので、物語にまったくスキがない。だから、ひとつのシーンも見逃してはならない。そのことをまず頭に入れて観始めた方が良い。ながら視聴ではなく、じっくりと物語の中に入り込んでほしいのだ。

 作家を目指すロリー(ブラッドリー・クーパー)はなかなか芽が出ない。「君の文章には真実がある」とほめられたりもするが、同時に「今はこういう小説は受けない」とも言われる。そんな世の中にあまたいる書き手の一人だった。それでも妻のドラ(ゾーイ・サルダナ)は変わらぬ愛を捧げてくれるし、いつか売れると励ましてくれる。生活が安定しないまま、二人は結婚し、新婚旅行に出掛けた先で、ある骨董品の古いアタッシュケースに出会い、購入した。カチリと音がして、運命が動き出した。

 しばらく存在を忘れていたが、相変わらず売れずに気持ちが荒れ始めたある日、アタッシュケースの中にはまり込んでいた原稿用紙を発見。一読したロリーはどうしようもなく惹き付けられる。少し古めかしいが、大河ロマンのような悲恋もので、どうしても読み進まなければならない使命のようなものを感じて、とうとう読破してしまった。
 ロリーは、これはまさに自分が書きたいと思っていた小説だと感じる。盗作のためというより、その小説の文字や単語が醸し出すものにひたりたいと、模写し始める。とうとう最後まで写し終えてしまった。自分にもそのスタイルや筆致が身についてくれたらという気持ちは私にも理解できる。しかしロリーはその原稿を自分が書いた小説として、著名な出版社の編集者に見せてしまう。
編集者は驚愕する。新しい才能の誕生。またたく間にロリーは時代の寵児となり、賞も受けるほどに。それまでの作品も売れ始める始末だ。
 有頂天のロリーと妻のドラ。そんなとき、ある老いた男(ジェレミー・アイアンズ)が現れた。そして語り出した物語はまさに小説の主人公たちとその背景。異国での波乱に満ちた恋と結婚、家族の哀しみ。その語り口はドラマチックで、もう疑いようがなかった。「あの小説は私の書いたものだ」。ロリーは言葉を失った。

 このあたり、まさに因果応報の物語で、ロリーの苦悩は深くなるばかり。すべてを明らかにして転落の人生を歩むのか、それとも老人を何らかのかたちで亡き者にするのか。それともなんらかの妥協点があるのか。われわれ観客が予想しがちな展開を見事にすり抜けながら、クライマックスへと向かっていく。

 このサスペンスフルな展開を支えているのは、本作の構成の見事さである。
 まず、このロリーの物語は、クレイ・ハモンド(デニス・クエイド)という売れっ子作家の新作として、著者自らの朗読会で読み上げられるかたち。そしてその話の中に、老人が語る悲恋の物語がある。つまり多重構造が互いに連関しながら、ひとつの物語を創りあげているのである。互いの物語を聞くことが謎解きにもなっていて、時空を超えたサスペンスになっているのだ。
 ファンらしきうら若い女性が朗読会場で巧みにハモンドに近づき、新作の裏を探ろうとすることで、ハモンド自身の秘密も危険にさらされる。

 結末とともに観客の頭を悩ませるのは、ロリー、ハモンド、老人、それぞれの持つ秘密と真実。これだけ複雑な物語を、ひとつの破綻もなくからませる監督らの力量は相当なものである。

 ブラッドリー・クーパーは、ほぼ全編、苦悩にその端正な顔をゆがませるが、偶然に見つけた原稿に惹き付けられながら、自分のものにしてしまうまでの演技がとても繊細で、見応えがある。内面の心理描写は彼の真骨頂と言える。そしてロリーの妻のドラ、悲恋物語の中の妻、ハモンドに近づく女、3人の女たちがいずれもタイプの違う魅力を漂わせており、本作にあやしい香りを付け加えている。
 深い悲しみを湛えたジェレミー・アイアンズの老人、虚栄の中でもがくデニス・クエイドの作家。いずれの役柄も人生を積み重ねたものにしか出せない味があった。

★映画「ザ・ワーズ 盗まれた人生」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ザ・ワーズ 盗まれた人生
The Words

<主 演> ブラッドリー・クーパー
<共 演> ジェレミー・アイアンズ、デニス・クエイド、オリヴィア・ワイルド、ゾーイ・サルダナ、ベン・バーンズ、マイケル・マッキーン、ルシンダ・デイヴィス
<監督・脚本> ブライアン・クラグマン、リー・スターンサール
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★レンタルはTSUTAYAのみ


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2013年04月18日

【Topics】 21世紀フォックス誕生へ(2013)

 冗談のような話が本当になってしまった。米メディア大手で映画制作会社「20世紀フォックス」を傘下におさめるニューズ・コーポレーションが4月16日、テレビ・映画の娯楽部門の社名を「21世紀フォックス」とすることを発表したのだ。20世紀フォックスは、21世紀フォックスの傘下で会社として存続するため、20世紀と21世紀のフォックスが共存する不思議な状態となる。

 すこし分かりにくいので整理すると、ニューズ・コーポレーションは、英国の出版社「ハーパーコリンズ」のほか、英国の一般紙「タイムズ」や米国の一般紙「ニューヨーク・ポスト」、経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」、そして米英豪の多くの中小新聞、タブロイド紙を傘下に持っている。さらに米国のテレビネットワーク「フォックス・ブロードキャスティング・カンパニー」やCATVチャンネル「FOXニュース」をはじめ、世界中の民放局、衛星放送局も所有。そして伝統ある映画会社の20世紀フォックスも重要な子会社として存在していた。
 そのうち、新聞、出版をのぞく、テレビ・放送のエンターテインメント部門を分離独立させて、21世紀フォックスという新会社とすることにしたのだ。エンターテインメント各社はその傘下の子会社となるという。

 ニューズ・コーポレーションを率いるオーストラリア人のルパート・マードック氏は発表に際し、「映画会社の豊富な創造的遺産を引き継いでいる一方で、わたしたちを未来へと導いてくれるであろうメディア、エンターテインメントビジネスの根幹となる革新性やダイナミズムにも言及したものとなっています」と命名に至った理由を説明しているが、これまた分かりにくい。
 要するに、21世紀フォックスは20世紀フォックスを中心とするクリエーティブカンパニーや各メディアの映像遺産を引き継いでいるが、そういった過去の宝物だけでなく、未来の企業や21世紀のビジネスに不可欠なダイナミックな先進性や革新性をもたらしてくれるという期待を込めて「21世紀」という名を冠した、ということ。

 20世紀フォックスと言えば、ウィリアム・フォックスが設立したフォックス・フィルムとダリル・F・ザナックが設立した20世紀映画が合併して1934年に誕生。ジョン・フォードやマリリン・モンローの映画を支えたことで知られるが、「イヴの総て」「紳士協定」「王様と私」「サウンド・オブ・ミュージック」「怒りの葡萄」「南太平洋」「猿の惑星」「エイリアン」「ダイ・ハード」「スター・ウォーズ」「ホーム・アローン」「フレンチ・コネクション」「ファイト・クラブ」「追想」「荒野の決闘」「クレオパトラ」「アバター」と大ヒット作を連発して、輝かしい歴史を持っている。あの「タイタニック」もパラマウント映画との共同製作である。

 かつてミレニアムのころ、20世紀フォックスが21世紀フォックスに改名するのではないかという都市伝説なみの噂が世界を駆け巡ったが、そのときは音なしの構えだったニューズ社。21世紀フォックスは新設するものの、20世紀フォックスも残すという今回の決断はなかなかしたたかな戦略である。
 はたして社会にどんなインパクトがあるのか。じっくりと見極めていくつもりなのだろう。

 問題は、映画の冒頭、ファンファーレとともに映し出されるオープニングロゴがどうなるかである。サーチライトがあたってなかなかの華やかさがある印象的なオープニングだが、これまでも作品に応じて臨機応変に変更が加えられている。そんな遊び心があるのだから、21世紀フォックスのオープニングロゴが登場してもいいはず。期待しすぎず、それでも結構楽しみにしていてもいいのでは。



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2013年04月17日

【舞台】 ジョン万次郎の夢(2013)

 偉人伝が陥りがちなのが、その人が達成した功績があまりにも大きいために、子どものころから人より抜きんでていたとか天才的だったとか、後付けで強調すること。あるいは逆にアインシュタインのように、学校の成績は全然ダメだったとギャップを強調することも多い。しかし、どんな人も生まれたときは同じスタートライン。劇団四季のファミリーミュージカル「ジョン万次郎の夢」は、江戸時代末期に漁師だった普通の男が、遭難の末にたどり着いた運命を、自由を求める自然な心で受け入れ、江戸や明治の傑出した人物でさえなし得なかった日本の開国と日米の和解を成し遂げる物語。持って生まれた性格は多少影響していたとしても、そこには才能も向き不向きも関係がない。新しいものを受け入れることに逡巡しなかったしなやかな心があるだけだ。ジョン万次郎。今の時代にこそ、知ってほしい人物である。

 劇団四季は1964年に始まった「ニッセイ名作劇場」以降、家族そろって見られる作品として、ファミリーミュージカルの創作を続けてきた。現在、「はだかの王様」「王子とこじき」「冒険者たち」「魔法を捨てたマジョリン」「ふたりのロッテ」「人間になりたかった猫」など30を超えるレパートリーを持っている。
 ファミリーとは、決して子ども向けという意味ではなく、大人もいっしょに見られるという意味に考えた方がいい。それだけ高いクオリティーを持っているのだ。

 なかでも「ジョン万次郎の夢」は1974年に初演。劇団四季の「ミュージカル李香蘭」など「昭和の歴史三部作」の作曲でも知られる三木たかしが全編の作曲を担当し、衣装、ダンスなどにも二つの国の違いを明確に出しながら、文化的にもカラフルな味付けが受け、人気ミュージカルに育っている。

 ジョン万次郎は、もともと高知の漁村に住む漁師、万次郎。海は大好きだったが、ある日出た漁で、風や潮の流れで沖に流されてしまい、そのまま嵐に遭って日本の南方海上で遭難してしまう。なんとか見つけた島で、ほかの漁師らと助け合って生き延びるが、食料にする鳥も底をつきかけたころ、アメリカの捕鯨船に発見され、九死に一生を得る。

 南蛮人たちにおびえる仲間たちだったが、万次郎は、彼らの明るく開放的な態度にときめきを覚え、英語もいち早く身につけるようになる。寄港地のハワイでほかの漁師は下船したが、万次郎はそのまま捕鯨船でアメリカへ。仕事も覚えかわいがられた彼に、アメリカ人は「ジョン・マン」という名前を与えた。

 捕鯨船の船長の家で本当の子どものように育てられ、高いレベルの教育を受けた万次郎は、8年もたってすっかりアメリカ人のようになっていたが、世界中の人から鎖国をしている日本の閉鎖性を問い詰められると、自分の力でなんとかできないか考え始めた。そして、ついに日本への帰国を決断したのだ。
 鎖国の掟を破ったことがお上に知られれば、大変な刑を受けるかもしれない。それでも自分の使命を信じて疑わない万次郎は決して後ろを振り返らなかった。

 物語は、日本での激烈な苦労と、徐々に現れる理解者との対話などを軸に展開する。時は折しもペリーの黒船来航の同時期。開国するかしないかの判断は待ったなしで迫っていた。
 はたして万次郎は日本を世界の孤児にしないように導けるのか。幕府や薩摩藩などの動きもダイナミックに描きながら、彼の夢の実現へと向けて力強く進んでいく。

 加藤敬二による振付は、日米それぞれのお国柄を反映していて楽しい。嵐に船が飲み込まれそうになるシーンでは、日本の伝統的な歌舞伎の手法が取り入れられるなど、浅利慶太の変幻自在の演出が物語に映える。

 歴史を復習するようなミュージカルでもあるが、万次郎の動きと歴史がどうシンクロしていたのかなど、新しい発見をもたらしてくれるミュージカルでもある。

 ミュージカル「ジョン万次郎の夢」は、5月5日まで、東京・浜松町の自由劇場で上演予定。


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2013年04月16日

【映画】 新しい靴を買わなくちゃ(2012)

 男と女。出会えば必ず恋が生まれるというわけではないが、少なくとも何らかの物語はスタートする。さりげない会話の積み重ねはやがて、互いのハートを優しく包み込むやわらかな手となり、まるで空に向かっていく枝や、地中深くに入り込もうとする根のように互いの領域に命を吹き込もうとする。気がついたら、もう2人は、1人と1人には戻れない。ある意味普遍的なそんな男女の恋を、会話劇の名手で「ロング バケーション」「ビューティフルライフ」などの名作ドラマを生み出してきた脚本家の北川悦吏子がパリを舞台に展開。自ら監督としてメガホンもとり映画「新しい靴を買わなくちゃ」として結実させた。その素敵な世界をかたちづくるのは、向井理と中山美穂、そして桐谷美玲と綾野剛という人気、実力を兼ね備えた俳優たち。なんの心配もいらない。パリの片隅に確かに存在したと思えるこの世界に身をゆだねてほしい。

★DVD


 北川悦吏子は2009年の「ハルフウェイ」で初メガホンをとっており、本作は2本目の監督作品。北川と親交のある岩井俊二と中山美穂がそれぞれプロデューサー、主演女優を務める線で構想を進めていた。

 ストーリーのきっかけは実にシンプルだ。妹のスズメ(桐谷美玲)が恋人のカンゴ(綾野剛)に会うためのパリ旅行になぜか付き添いとして同行させられたカメラマンのセン(向井理)が、妹の突然の単独行動でパリの真ん中に置き去りにされ、ホテルの場所も分からずさまよううち、パリで暮らす日本人女性アオイ(中山美穂)と出会うというもの。
 落としたセンのパスポートをアオイがヒールで踏んでしまったのだ。パスポートは再発行必至の状態で、アオイのヒールはポッキリ折れてしまった。
 ヒールを瞬間接着剤で簡単修理し、アオイの助けでホテルも判明したセンはいったんホテルに戻るが、ご飯を食べる店を教えてもらおうとアオイに電話。結局2人は食事、お酒と、すっかり10年来の友達のように話し込んでしまう。困ったことに、アオイは、千鳥足。2人を乗せたタクシーはアオイの自宅へと向かうのだった。一方、スズメはカンゴの家に行き、甘い時間を過ごしていた。しかしカンゴはどこかぎこちない。スズメにもひそかに胸に抱く決意があった。

 一見、スムーズに物語を展開させているように見えるが、北川は、会話と会話をなめらかに繋ぎながらも、ところどころにフックを仕掛けて、意外性を持たせている。
 そして注目すべきは、向井理と中山美穂が、北川のさりげないせりふを実に自然なかたちで口にしていることだ。まるで、テーマだけ与えて即興劇をさせているようなおもむきがあり、カメラが回っていないかのよう。それはカメラワークにも言えることで、まるでドュメンタリー映像のような雰囲気を出している。
 日本映画ではほとんど考えられないオールパリロケが話題になったが、屋外だけでなく、アパルトマンの中でのシーンなども実際の住居の中で撮影するなど、徹底的に場所のリアルにこだわったことも、このナチュラルなテーストにつながっているのだろう。
 北川のセンスに加え、撮影監督も兼ねる岩井俊二の視線がその効果を出すことにおおいに貢献している。

 エッフェル塔、凱旋門、セーヌ河と、超ど真ん中の観光名所が出てくる割には、海外ロケ映画で陥りがちな観光案内的映像はほとんどない。むしろこんな方向からこう見えるのかといったような現地的マニアックな見せ方に工夫を感じさせた。もちろん王道の絵柄もあるにはあるが。

 もともと中山美穂ありきの映画であったとはいえ、このアオイという役は彼女以外に考えられなかっただろう。辻仁成との結婚後、主にパリで暮らしている彼女ならではの空気感が、アオイという役柄に自然にリンクし、洋菓子店でのやり取りや、アパルトマンでの友達との会話などに生きている。
 もっと強烈にパリ在住日本人女性を印象づけるような方法もあっただろうが、このさりげなさといさぎよさこそ、パリで暮らす生活人の持つさらっとした空気感だろう。

 向井は、自然に見えるようで相当考えた役作りのように見える。カメラマンという職業を選んだものの、いつしか自分の撮りたいものを撮れなくなっている苦悩を徐々にアオイの前であきらかにしていくセンの強さと弱さが共存したような心のありようを、うまく見せている。
 実生活でも料理が得意で、ブレークするまで料理をテーマにした複数のドラマに出演している向井ならではの料理シーンも見逃せない。

 アオイとセン。2人の恋は、センがパリに滞在する予定の3日間にどれだけ深まっていくのか。年齢差のある2人の恋は転がる石のようには進んでいかないが、互いを尊重しながらも、自らが抱える心の傷を相手に見せながら、絶ちがたい想いに成長していく。
 日本への帰国というタイムリミットを観客にも意識させつつ、たかまっていく2人が切ない。このあたりは北川悦吏子の独壇場である。

 北川はこの作品の公開と前後して、飛行機の中で隣り合った男女がけんかをしながらもひきよせ合う舞台「彼女の言うことには。」の脚本を書き下ろしている。小さなきっかけから大きな運命が始まる。そんなダイナミックな展開の魔法はますます磨きがかかっていると言えるだろう。

★映画「新しい靴を買わなくちゃ」予告編


★オリジナルサウンドトラックCD


★オフィシャルブック



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
新しい靴を買わなくちゃ
★Blu-ray


<主 演> 中山美穂、向井理
<共 演> 綾野剛、桐谷美玲、アマンダ・プラマー
<監督・脚本> 北川悦吏子
<音 楽> 坂本龍一
<製作・撮影監督> 岩井俊二
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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2013年04月15日

【映画】 ひみつのアッコちゃん(2012)

 原作漫画の設定だけを借りて、まったく違う別のお話にしているのに、少女の変身願望という普遍的な夢と、童心を忘れた者に未来はないという明快なメッセージを発信することで、結局回り回って原作の持つテーマ性と見事にシンクロするという希有な現象を起こしているところが、映画「ひみつのアッコちゃん」の面白いところだ。小粋でおしゃれなラストも含めて、大人の鑑賞にたえる第一級の映画に仕上がっていると言っていいだろう。

★DVD


 言わずと知れた赤塚不二夫の代表作のひとつ。「おそ松くん」が連載開始されたのと同じ1962年に、少女漫画誌「りぼん」で連載が開始された作品である。魔法の鏡付きコンパクトに願いを伝えると変身できるという設定が、全国の少女たちに夢を与え、爆発的にヒット。69年にテレビアニメ化されて以降、現代に至るまで何度もアニメ化された。さらには実写テレビドラマ化、劇場版アニメ化もされた国民的漫画だ。それがついに実写映画化されたのである。

 今までもアニメ化の過程でちょっとした設定や名前が変えられたりしたことはあった。今回の実写映画化にあたってどんな改変がされるか注目されたが、むしろ原作の世界にはほとんど手を突っ込まず、魔法のコンパクトを手にした小学生の少女が、大人(女子大生)に変身するという、最も入り口に近い設定だけを借りた物語になった。

 加賀美あつ子(吉田里琴)は10歳の小学生。割れた鏡をお墓をつくって埋めてあげるほど心優しい女の子だったが、それを見ていた鏡の精(香川照之)から、魔法のコンパクトを与えられる。22歳の女子大生に変身したあつ子(綾瀬はるか)は、遊園地で知り合った化粧品会社の社員、早瀬(岡田将生)にひとめぼれ。ひょんなことから早瀬と再会したあつ子が出す「小学生みたいな」アイデアが、頭の凝り固まったサラリーマンたちには鋭い意見として聞こえることに気付いた早瀬はアルバイトとして、あつ子を会社に出入りさせる。

 働いたことなど一度もないあつ子は、失敗続き。それでも早瀬との距離は近づくばかり。そんなころ、その化粧品会社はある意味ピンチに陥っていた。経営陣は、業績のふるわない会社のため、ブラックな企業の助けを借りて立て直そうとしていた。しかしそれは黒い企みの始まりに過ぎなかった。
 あつ子は早瀬を助けながら、この黒い企みに気付いていく。そしてあつ子がとった勇敢な行動とは。

 株主総会での闘いや、筆頭株主をめぐる攻防、商品開発の実際など、経済通にも納得の展開が、変身がばれると元の世界に戻れないというスリリングなあつ子の運命の流れを背景にしながら描かれていく様は、なかなかハラハラドキドキで、見応え十分。

 綾瀬はるかは、等身大の大人を演じる場合でも、どこか「天然」と思わせる朗らかさがあるし、小学生あがりの女子大生という設定も少しも不自然ではない。逆に小学生のような仕草をする綾瀬が妙に色っぽくて、心を揺さぶられる。
 小学生のあつ子を演じた吉田里琴は、大人の世界にあこがれながらも子どもらしさが抜けないあつ子を時にはコミカルな味も出して好演。別作品での活躍も期待できる有望株だ。

 岡田は、エリート社員ながら、元社長派で社内では難しい場所にいる早瀬を外連味なく素直に演じているが、例え魔法のことがばれても、あつ子を信じてくれたのではないかと思わせる早瀬の魅力的な人間性をよく描き出していた。
 だからこそ、ラストの笑顔が心に染みる。

 大人の観客もぜひ、心を解放して見てほしい作品だ。綾瀬はるかのOL姿のほか、フィギュアスケーター姿や、キャビンアテンダント姿、バイクレーサー姿、ナース姿なども見られるマニアックな一品でもある。


★映画「ひみつのアッコちゃん」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ひみつのアッコちゃん
★Blu-ray


<主 演> 綾瀬はるか、岡田将生
<共 演> 谷原章介、吹石一恵、塚地武雄、香川照之、堀内まり菜、大杉漣、内田春菊、肘井美佳、柿沢勇人、もたいまさこ、鹿賀丈史、堀内敬子、吉田里琴
<監 督> 川村泰祐
<原 作> 赤塚不二夫
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★公式ヒジュアルブック




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2013年04月14日

【映画】 藁の楯(2013)

 問われ続ける、観客自身も。「それが正義なのか」。木内一裕の原作小説を映画化した「藁の楯(わらのたて)」は、大胆不敵な設定の上で展開する緊急事態のスピード感と、ぎりぎりのレベルまで繰り広げられる心理戦の濃密さが相まって、目はほぼ全編、スクリーンに釘付け。最初から最後まで緊張を強いられ続ける。これまで、こんな日本映画があっただろうか。

 木内一裕は、「きうちかずひろ」として1983年に漫画「BE-BOP-HIGHSCHOOL」で漫画家デビューし、いきなりのブレーク。「サル番長」などの漫画も発表しつつ、漫画原作者や映画監督、脚本家としても活動。2004年に発表した小説家デビュー作がこの「藁の楯」である。以降「アウト&アウト」「キッド」などの小説も好評で、今は小説家といった方がしっくり来る人も多いだろう。
 デビュー作にもかかわらず、あまりにも大胆で緻密で、人間の存在そのものを鋭くえぐるような内容は、社会に衝撃を与えた。21世紀に入って以降、ネット社会をテーマにした作品は日本でも数多く発表されてきたが、「藁の楯」ほどさまざまなテーマが絡み合い、複雑でなおかつ明快な作品はない。
 舞台をどの国に置き換えても成立する内容であることから、早くからハリウッドでの映画化の可能性も噂されている作品だ。

 日本でのプロジェクトには、これ以上ないキャスト、スタッフが結集した。この原作小説がそれだけの魅力を持っていたということだろう。
 傑作時代劇をリメークした「十三人の刺客」や、悪意の時代を鮮やかに描き出した「悪の教典」で、本来持っている暴力表現の多様性を最大限に生かし、近年世界での注目度も上がっている三池崇史が監督に就任。彼との仕事を熱望する俳優らが次々とキャスティングされていく。
 主演は幕末にタイムスリップした現代の脳外科医の奮闘を描いたTBS系ドラマ「JIN〜仁〜」に主演した大沢たかお、そして日本テレビ系ドラマ「家政婦のミタ」でそれまでのさわやかイメージをかなぐり捨て謎の家政婦を怪演した松嶋菜々子という、近年での最高視聴率ドラマの主役2人。この絶対的両看板に、主役級の絶妙演技を見せるのが、蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」で日英の演劇界に大きな衝撃を与え、以降さまざまな舞台や、「デスノート」シリーズ、「カイジ〜人生逆転ゲーム〜」シリーズなどの映像作品で、狂気の寸前にまで自分を追い詰めながら、どん底かはい上がってくるすさまじいキャラクターを演じ続けている藤原竜也。
 そして、「マルサの女」「おくりびと」などでの印象的な演技が記憶に新しい日本映画界の至宝山崎努、演劇プロデュース集団「地球ゴージャス」を率い、映画・テレビでも活躍が続く岸谷五朗、顔を見ない日はない余貴美子、個性的な役を次々とものにしていくいぶし銀の伊武雅刀ら主役を張れるだけの俳優が脇を固める。さらには、俳優、瑛太の実弟で、話題作への出演が続く永山絢斗が、「ぱいかじ南海作戦」「I’M FLASH !」と最近続いた南の島でののほほんとした人の良さそうな役柄から一転して、凶悪犯への憎悪をむき出しにする若い熱血刑事を演じて目を引く。

 ある日、東京で幼女が何者かに惨殺される。警察は8年前に似たような事件を起こし出所間もない清丸国秀(藤原竜也)を容疑者とみて、全国に指名手配。しかし、殺された幼女の祖父で財界の大物、蜷川(山崎努)が、清丸の殺害に10億円の懸賞金をかけることを全国紙の新聞広告で発表したことで、事態は急転直下、異常な混乱へと陥る。
 潜伏の協力者に殺されかけた清丸は逃げ切れないとみて福岡で警察に出頭。東京に移送するため、警視庁は警護のプロSPから成績優秀な銘苅(大沢たかお)と白岩(松嶋菜々子)を選抜。捜査一課の担当刑事である奥村(岸谷五朗)と神箸(永山絢斗)とともに福岡に向かった。
 福岡県警の関谷(伊武雅刀)も加わって、5人で清丸を東京の警視庁まで移送することになったが、福岡だけでなく日本中が10億円に目の色を変えて、国民は誰もが殺人鬼予備軍と化していた。その中を1200km先の東京へ。大移送作戦が始まった。

 看護師や警察官ら強い倫理観で縛られているはずの人とて例外ではない。一般市民から外国人まで、さまざまな連中に何度も襲撃を受けながら、からくも新幹線に乗り込む一行。ようやく効率的に距離を稼げるようになったが、ここも安全な場所ではなかった。清丸のいる場所、つまり警護の5人がいる新幹線の走行位置は既に車両に至るまで特定されており、蜷川が開設した「清丸サイト」に表示されている。激しい銃撃戦や人質をとられての大立ち回りをなんとかかわしたものの、結局は情報が内部のどこかから漏れている可能性が高く、移送チームの5人の間にも疑心暗鬼が生まれるのだった。
 はたしてこんなことで移送は成功するのか。それとも、金の亡者、憎しみの固まりと化した日本全国民のだれかによって清丸は殺害されてしまうのか。殺人教唆の罪に問われるはずの蜷川の行方も気になるところだ。出口の見えないまま、観客は決して抜け出せない迷路に閉じ込められてしまう。

 銘苅も白岩も「SPにとって警護対象者の安全が第一。身を挺してでも守る」という大原則は揺らがないものの、清丸が人間のクズであり、反省も何もしていないことが肌身に感じて分かるだけに、殺してしまおうという気持ちが何度もわき上がる。10億円がほしいわけではなく、自らの正義を貫きたいから殺すのだと言い聞かせながら。

 こうした思いは登場人物たちだけではなく、観客も同じ。自分にとって正義とは何か、そして殺すのか殺さないのかを常に問われ続けるのだ。SPや警察官ほどの絶対的倫理観はないだけに、簡単に殺人へと流されそうな気がして怖い。それでも、物語の展開や清丸の人間性を無意識にチェックしている自分をたびたび発見する。だれもが苦悩し、自分に究極の選択の是非を問い掛けているのだ。

 大沢たかおは、最近の「終の信託」(周防正行監督)では、延命措置をせず治療を中止した女性医師を殺人罪で厳しく追及する検察官役を演じており、「正義」を絶対視する立場のイメージが強いが、「藁の楯」では、正義そのものが揺らいでいて、銘苅の苦悩は深い。強靱な精神力と闘う邪悪な心。大沢は外見から内面まで、ちぎれそうになっている心の内を見せる。20013年1月公開の映画「ストロベリーナイト」での暴力団幹部や、4月スタートのドラマ「ガリレオ」シリーズ第2弾での新興宗教教祖など、立て続けに新境地を開拓する役柄に挑んでおり、本作でもしびれるような魅力をあふれさせている。
 松嶋菜々子は「男性に見えるように」とチョイスされたタイトな黒いスーツとショートヘアで、これまでまったく見たことのないキャラクターを造形。「家政婦のミタ」の時とはまた違った意味で、無表情なSP像を描き出して見せた。笑顔はほとんど封印。大沢の押し出しの強い演技にも負けないほど、内面の迫力が突き出ていた。まだまだ男性社会である警察組織の中でシングルマザーをしている意地とプライドがにじみ出るような演技でもあった。

 しかし、何よりも本作を凄みのある作品にしているのは、藤原竜也の演技である。藤原が演劇の世界で得意にしてきた狂気へと滑り落ちていく感情という表現よりも、むしろ表面上はクールで、その下にちらちらと幼女しか愛せない変態性をのぞかせる、唯一無二の清丸造形が見事だった。「人間のクズ」清丸の腐りきった性根を大変な説得力をもって、観客に提示していた。余談だが、世界的演出家、蜷川幸雄の秘蔵っ子である藤原竜也が、役の上とは言え、蜷川なる男に懸賞金を掛けられて憎悪の対象になるのはなんとも不思議な符号だ。

 映画の構成にも注目したい。前半は、考えられないほどの多くの車両による移送シーンやおびただしい群衆、そしてトラックの暴走シーンなど、ダイナミックなアクションが中心だが、物語が進むに従ってそれは、新幹線車内での銃撃戦や人質をとる犯人との息詰まるやり取り、内通者をめぐる互いの不信感から来る心理ゲーム、警察同士での神経戦と、どんどん闘いが狭く細かくなっていく。ぎりぎりと締め付けられるような後半から終盤に掛けては、本当に目が離せない。

 本作の圧倒的なリアル感には秘密がある。空港、病院、留置所、官庁街はすべて本物を借りてロケ。新幹線に至っては、日本の新幹線技術が大幅に投入されている台湾の台湾高速鉄道で撮影するという徹底ぶり。
 この妥協のなさ。今年公開される映画の中で、最も優れた作品の一つになることはほぼ間違いないだろう。公開前から断言する。

 なお、映画「藁の楯」は、ワーナー・ブラザース映画が配給。4月26日から全国でロードショー公開される。

★映画「藁の楯」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
藁の楯
<主 演> 大沢たかお、松嶋菜々子
<共 演> 藤原竜也、岸谷五朗、永山絢斗、山崎努、余貴美子、伊武雅刀
<監 督> 三池崇史
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★原作本=文庫本



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2013年04月13日

【舞台】 今ひとたびの修羅(2013)

 直球をど真ん中に投げ込まれた。しかも剛速球だ。ストレートにずしんと、見る者の心に響いてくる。堤真一と宮沢りえ、これ以上望むべくもない組み合わせに、いのうえひでのりの外連味(けれんみ)たっぷりの演出がはまる舞台「今ひとたびの修羅」。いまの日本では目にすることもなくなってしまった、ハッとする美しい状景や心の絆をいたるところで見せつけてくれる、秘密の宝物のような作品になった。

 原作はあの有名な尾崎士郎の小説「人生劇場」。愛知県出身で早稲田大に進んだ青成瓢吉を主人公に、やくざや芸妓、社会主義者らが大正から昭和という激動の時代の流れの中で、懸命に生きる姿を活写した大河小説で、「青春篇」から「蕩子篇」まで8篇が約20年間かけて書き綴られた。
本作「今ひとたびの修羅」は、そのうち「残侠篇」をベースに、主人公を瓢吉から、彼に絡む飛車角と吉良常という二人の侠客の生き残りに変え、飛車角と恋人おとよとの一筋縄ではいかない純愛を中心に据えた作品。劇作家の宮本研が脚色し、1985年に新橋演舞場で上演された。中村吉右衛門と太地喜和子という豪華な組み合わせに加え、板東八十助、しだあゆみらが顔をそろえた。以降再演が繰り返されてきた。

 昭和初期の東京・下町。小説家志望の青成瓢吉(小出恵介)がお袖(小池栄子)と暮らしている家に、瓢吉の父に恩義を受けた侠客の吉良常(風間杜夫)が訪ねてくる。吉良常を父のように慕う瓢吉はあいにく留守だったが、帰りを待つ間に、警察に追われているらしい男、飛車角(堤真一)が駆け込んでくる。自分と同じ侠客のにおいを感じ取った吉良常は、この男を助けるが、これが二人の残侠人の運命的な出会いとなった。
 実は飛車角は、義理のある親分のところに身を寄せていたが、たまたま出入りがあることを聞き、対立する組との斬り合いの現場に助太刀。敵の一人を殺してしまったのだ。横浜の宿を足抜けさせ、いっしょに逃げてきて夫婦となったおとよ(宮沢りえ)のためにも、飛車角は警察に自らお縄を頂戴する。

 刑期は3年。前橋刑務所に収監された飛車角のもとには、おとよの足がだんだん遠のき、やがては全く顔を出さないようになった。出所直前、間をとっていた吉良常は、おとよが、組の若者、宮川(岡本健一)と男女の仲になってしまったことを知る。知らされた飛車角はしかし、ほれ合っているなら話は簡単と、宮川には暴力はふるわなかった。

 二人はこのことをきっかけに離ればなれになり、さまざまな変転を繰り返しながらも、再び引き寄せられるが、時既に遅し。飛車角は渡世人、残侠の世界に生きる者としてどうしても果たさなければならない義理と人情があった。
 瓢吉もまた、お袖と離ればなれに。同じ小説家の恋人、照代(村川絵梨)と同棲しているが、お袖のことが頭から離れない。
 おりしも時代は大正から昭和へ。どこか自由でのどかな雰囲気もあった大正に別れを告げ、軍靴の足音が次第に大きくなってくる昭和へと。人々の心も次第に袋小路へと追い込まれていく。物語は、悲劇性と喜劇性を入れ子細工のようにはさみながら、感動的なクライマックスへと向かっていく。

 波瀾万丈の物語と、実力派ぞろいの俳優陣。演出のいのうえひでのりは、それぞれの個性を全面的に表出させながら、惜しげもなく、決めのシーンを重ねていく。小手先の細工は必要ない。生の迫力をぶつけ合うことによって、舞台は自然と熱を帯びていく。それがまた俳優の心に火をつける。
 特に気を配っていたように思われるのは、当時の所作や仕草の徹底だ。古き良き日本人の所作がまだまだ残っていた時代。そして任侠道に生きる者たちの緊張感あふれる日々。女たちの所作や仕草もまた、時にはかなげで、時に激しい女の情念を表しており、決してないがしろにはされていない。

 堤真一の着流し姿は、この作品にきりりと引き締まったテーストを与える。殺陣の振り幅の大きさも計算されたダイナミックさであり、飛車角の造形が見事にはまっている。これまで映画や舞台で表現されてきた飛車角の中ではダントツと言ってもいい。
 「好きな人にはいっしょにいてほしい」とわがままを言うおとよに、男として苦悩する弱りきった姿もまた飛車角の魅力。ほうけたような顔に哀しみを宿らせる堤の演技がはまっている。

 おとよは本作で最も難しい役だろう。あれほどの純愛の中に生きながら、別の男の「いまそこにある肌」を求める女の情念を、説得力を持って観客に提示しなければならない。単なる浮気ではない、もっとも深いところに根ざした女の業とでも言おうか。
 宮沢はここ数作続いた、結構エキセントリックな役柄とは違い、ストレートである意味普通の女の中に、そうした女の業を現出させるため、何か透明なベールをかぶったように見える。それが宮沢りえの内面からとめどなくあふれてくるなにか得も言えぬ凄みと相まって、魅力的な女のオーラを出現させる。
 それは今回と同じシス・カンパニーのプロデュース作品であるイプセンの「人形の家」で共演経験を持つ堤真一への大いなる信頼感があるからこそできた技であろう。
 ふたりの抱き合うツーショットには心の震えが止まらなくなる。

 所作という面では、小池栄子の成長ぶりが目立った。これまではどちらかというと、所作というより、ダイナミックな動きや、目ヂカラの強さで観客や視聴者を惹き付けてきた女優だが、戸の閉め方、お茶の入れ方ひとつにしても、細かく忠実に所作を守っており、指先にまで魂が宿っているかのように、神経が行き届いていた。お袖という役柄もあったかもしれないが、その見事な演じぶりを見せつけられると、今後舞台でのオファーも殺到しそうな気がする。

 初めて渡世人を演じたという岡本健一も大きな成長を見せている俳優の一人。最近は演出にまで進出している知性派だが、「ヘンリー六世」や「リチャード三世」で同じリチャード三世を演じ、コンプレックスに支配されながらも新しい時代の王であろうとした複雑なキャラクターを造形し得た自信からか、最近は一回り大きな俳優になった感がある。今回の宮川は、若気の至り的な幼さも持ちながら、義理と人情に命まで差し出す一本気な男の神髄を見せる必要があり、相当な覚悟で臨んでいることがうかがえる。

 そしてこの人抜きで本作を語ったことにならないのが風間杜夫である。つかこうへいに心身ともに鍛えられ、つかこうへい事務所の一時代をつくった風間。本作で演じる吉良常は老境に入りながら、伝説の侠客の血を引く男としてのプライドを全身にあふれさせる難役。それをものの見事に演じきってみせたあたりは、強靱な演技の基礎と、心身の絶対的なコントロール力を感じさせる。

 シス・カンパニー作品ではおなじみの浅野和之と鈴木浩介も登場。
浅野は、瓢吉らの周りをふらふらと酔ってさまよいながらも、お袖やおとよを探し出したりする才知を見せる元教師の自由人、黒馬先生を好演。パントマイム的要素を取り入れた演技など、浅野が得意とする身体表現がふんだんに生かされている。
 どこか必死でエキセントリックなキャラクターが多い鈴木は、それが新しい時代を標榜する社会主義者の自由奔放な陽の部分の表現に生きていて、小気味の良いアクセントになっていた。

 小出はスマートな若手の役柄が多かったが、いまや蜷川幸雄の舞台でも活躍する演技派へとイメージを変えている。逸材としての自覚も出てきた様子で、「人生劇場」の本当の主人公の人間的な魅力を体一杯にあふれさせて演じていたことに好感が持てる。

 舞台「今ひとたびの修羅」は、4月29日まで、東京・初台の新国立劇場中劇場で上演される予定。


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2013年04月12日

【映画】 I'M FLASH !(2012)

 この狂おしさは何だ。生きること、死すること。すべてが狂おしい。破裂と凝縮を繰り返す豊田利晃監督の一連の作品。映画「I’M FLASH !」は、その特徴が最も顕著に表れた問題作だ。同じ2012年に公開された「モンスターズクラブ」とも合わせ、生と死をめぐる2つの峰が連なった。その眺めは圧巻である。

★DVD


 豊田利晃監督とのタッグを熱望していた藤原竜也。ついに念願が叶った作品だ。しかも与えられた役は新興宗教の若き教祖様。これまでのどの藤原竜也とも違う彼がそこにいた。

 「ライフイズビューティフル」というどこかで聞いたような名前の新興宗教団体があった。その三代目にあたる教祖が吉野ルイ(藤原竜也)。教祖としての神秘的な活動はするものの、怠惰で空虚な日々を送る俗物教祖だった。ある夜、秘密めいた美女流美(水原希子)と出会い、ドライブに出掛けるが、バイクと衝突。ルイは軽傷ですんだが、流美は意識不明の重体。植物状態に陥る。
 若き教祖の不祥事は一部のメディアに漏れ始めていた。教団はもみ消しに走る一方、ルイを南海の孤島に隠し、3人のボディガードを雇って警護にあたらせた。奇妙な教団内部と家族関係、そしてルイのむなしい日々。松田龍平演じるボディガードの一人、新野は、必要以上にルイに近づき、不確かだが、なにか新しい関係が生まれる。ルイは教団に衝撃を与える決意を持つようになり、やがて事態は抜き差しならないものになる。ルイは命を狙われることになるのだ。ボディガードたちの立場も微妙なものになってくる。

 興味深いのは、最初はずいぶんとのんびりとコミカルに描かれ、命の軽さが強調されていたのが、クライマックスに近づくに従って、生と死は運命的な巡り合わせとなって、動き出し、いくつもの命が重々しく交錯するように描かれていくことだ。南海の孤島という舞台設定や最初ののんびりムードに油断しているととんでもないことになる。
 無駄な登場人物は徹底的に排除され、凝縮された人間関係の仲で、濃密なぶつかり合いが表現される。

 それにしてもキャスティングには舌を巻く。主役のルイには、演劇の申し子であり、映像作品でも「デスノート」での鬼気迫る演技や、「カイジ〜人生逆転ゲーム〜」での反骨精神あふれる演技など、強い印象を残しつつある藤原竜也を抜てき。ルイと対峙するボディガード新野には「青い春」以来監督の作品に常連のように出演している松田龍平を起用。「ノルウェイの森」以来、「ヘルタースケルター」などで魅惑的な女を演じ続ける水原希子がなぞの女、流美を演じるという豪華版だ。
 そして「ぱいかじ南海作戦」などのほんわかとした作品から、「ハードロマンチッカー」などの過激な作品まで、若手ながらさまざまな役柄への可能性を示している永山絢斗をボディガードの一人に起用し、大楠道代、板尾創路、北村有起哉、柄本佑と脇役陣にも豊田監督ならではの顔が並んだ。

 特に藤原竜也は、師と言える蜷川幸雄に徹底的に鍛えられたことが関係しているのかもしれないが、ひと皮剥くごとに違う人格が出てくるような、独特の演技の魔法を持っており、本作のようなクールな狂気を湛えた演技は、とても新鮮だ。2013年GWに公開される映画「藁の楯」の連続殺人犯の演技もまた、まったく違う藤原が表出しており、カメレオン俳優の面目躍如となっている。ぜひ本作とあわせて見たい。

★映画「I’M FLASH」予告編



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
I’M FLASH !
★Blu-ray


<主 演> 藤原竜也
<共 演> 松田龍平、水原希子、仲野茂、永山絢斗、板尾創路
<監 督> 豊田利晃
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★主題歌「I’M FLASH !」PV(監督・豊田利晃)



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2013年04月10日

【ドラマ】 私が黄金を追う理由(2012)

 スピンオフドラマや本編のPRを兼ねたスペシャルドラマが大はやりで、いずれもそれなりの成功を収めているが、映画「黄金を抱いて翔べ」を別視点から描くスペシャルドラマ「私が黄金を狙う理由」は、あえてそんなドラマと一緒にしたくない。なぜなら、本編を盛り上げるという一義的な目的を軽々と達成しているばかりか、ひとつの作品としても非常に高いレベルにあるからである。しかも映画の主要な登場人物たちがほぼ総出演。本編の不透明な部分を補強する役割も果たしており、後日談としての意味合いも持っている。近年の派生ドラマ群の中ではダントツの完成度だ。

★スペシャルドラマ映画「黄金を抱いて翔べ」DVDコレクターズエディション=スペシャルドラマ「私が黄金を追う理由」が特典映像として付いている


 映画の公開と並行して放送されるスペシャルドラマと言えば、2013年1月26日に、映画「ストロベリーナイト」の公開に合わせてフジテレビ系で放送された「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」が、映画の後日談の体裁をとりながら深い人間ドラマに仕上げていて出色の出来だったが、これはあくまで、地上波のゴールデンタイムに放送された王道のスペシャルドラマだ。その点、「私が黄金を狙う理由」は携帯電話専門の動画配信サイト「BeeTV」と、ドコモのdマーケットで配信された映像作品。そのレベルでの配信でこのハイクオリティーは驚きだ。こうしてDVDとして発売・レンタルされてしまえば、本編や他の映像作品とも同じ土俵で競争できるわけだから、今後の映像作品の製作、発表、流通を考える上でも、極めて興味深い。

 本編とは別視点とは言っても、事件や出来事そのものが変わるわけではなく、ひとりの女性が事件の後もますます混迷を深める謎の迷宮に自らはまりこみ、人として成長していく物語になっている。

 小説家志望のOL坂下ルカ(平山あや)は大阪の小さなタウン誌の編集部に勤めながら、仕事の合間や真夜中に会社で小説を書いていた。徹夜することもしばしばだが、ほとんどは途中で眠ってしまっている。今朝も、刑事として凶悪犯と銃撃戦をしているような、夢なのか妄想なのか小説の中なのか分からないような世界にいるところに編集部の同僚や編集長が出勤してきた。みんなやれやれと思いながらも、温かく見守っている。
 そうこうするうち、同じように小説家志望の男性商社マン、飯塚(木村了)と親しくなり、彼から、かつて発生した中之島の大規模火災のかげに、金塊強奪事件があったという噂を聞くことに。その金塊強奪事件こそ、映画「黄金を抱いて翔べ」で描かれた事件である。

 ルカと飯塚は、編集部の朋(石橋杏奈)や編集長も「探偵ごっこ」に巻き込んで「捜査」を続行。ついに強奪されたとされる住田銀行の本店にまで乗り込んだ。しかし、強奪そのものをひた隠しにしている住田銀行。ガードマンにあっさりと排除されてしまった。
 不満ながらもさらなる推理を働かせていると、バンに乗った不審な連中に急襲され、なんと拉致されてしまうのだった。

 夢で見たような危機。サラリーマンみたいな人(桐谷健太)が首謀者で、命は助けてくれた。ただ警告がしたいだけの様子。
 「近づきすぎている」。ということは、推理は合っている?
 危険なのにますますのめり込むルカたち。これ以降、映画「黄金を抱いて翔べ」の主要メンバーである幸田弘之(妻夫木聡)、北川浩二(浅野忠信)、モモ(チャンミン)、野田(桐谷健太)、北川春樹(溝端淳平)が入れ替わり立ち替わり、ルカに警告する。それは事務所だったり路上だったり。あきらかに真相に近づいているはずだ。メンバーの一人とは、不思議な縁が。

 短いドラマなので、これ以上書くと物語のほとんどを明かしてしまうことになるので、ほんの概要にとどめておく。だが、メンバー一人一人が映画内で展開した人生だけでなく、さまざまな過去を垣間見せ、ルカ自身の人生にも様々な形でつなげられていく。クライマックスには、痛々しくて切ないが、ルカが、むき出しのピュアな自分に出会う感動的なシーンも待っている。

 しかしメンバーの中には、「映画の中で死んだはずでは?」と思う人もいるし、これらの展開はルカが事務所で寝ているときに見た夢か単なる妄想か、あるいはルカの小説の中での出来事のようにもとれるつながり方をしているため、事実なのかどうか、そして彼らメンバーが本当にルカの前に現れたのかどうかは判然としない。つまり事実と噂と妄想と夢が入れ子細工のようになっているのである。
 本編のプロモーションドラマとしての立場をわきまえた構成とも言えるが、このことが映画「黄金を抱いて翔べ」をより神秘的な作品にする効果を上げている。

 平山あやは、アイドル的なデビューから、さまざまな演技体験を積んで、いい女になった。この作品ではルカといういささかおしゃれに無頓着な女の子を演じているため、あまり目立たないが、彼女が演じることで、ルカは人間的な成長も加味されて十分に魅力的だ。化粧がぐちゃぐちゃになってパンダ目をしてるシーンなど、チャレンジングな体当たり演技が素晴らしい。
 本編の主演、妻夫木聡の関係もあってか、平山あや、石橋杏奈、木村了というホリプロの実力派、注目株を集めたキャスティングも見事だ。

 さて、はたして本作「私が黄金を狙う理由」は、映画「黄金を抱いて翔べ」の前に見るべきか、後に見るべきか。映画を見終わってから見ると、様々なことにいちいち納得がいくし、おそらくそちらの方が多数派だろう。しかし、映画の前に見ても、あらすじや人間関係がばれてしまうわけではない。それほど繊細に慎重に構成されている。しかも、このスペシャルドラマだけで、十分ひとつの世界観を持っているのである。

 脚本は、映画でも井筒和幸監督と共同脚本を務めた吉田康弘。井筒ゼミの1期生で、井筒作品「ゲロッパ!」「パッチギ!」などで助監督を務めた滝本憲吾が監督をしている。だからこそ、これだけ本格的な作品が生まれたのである。


★スペシャルドラマ「私が黄金を追う理由」映像



当ブログでは、映画「黄金を抱いて翔べ」について、既に1回投稿済み。ご一読を。
★SEVEN HEARTS【映画】「黄金を抱いて翔べ」
http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66085027.html


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
私が黄金を追う理由

★映画「黄金を抱いて翔べ」Blu-rayコレクターズエディション=スペシャルドラマ「私が黄金を追う理由」が特典映像として付いている


<主 演> 平山あや
<共 演> 木村了、石橋杏奈、妻夫木聡、浅野忠信、チャンミン、溝端淳平、桐谷健太
<監 督> 滝本憲吾
<脚 本> 吉田康弘
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★映画「黄金を抱いて翔べ」Blu-rayスタンダードエディション(映画のみで、スペシャルドラマは入っていません)


★「メイキング・オブ・黄金を抱いて翔べ」



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2013年04月08日

【舞台】 リトルマーメイド(2013)

 いつのまにか、そこは海の中だった。劇団四季とディズニーが提携した最新ミュージカル「リトルマーメイド」は、様々な仕掛けとナチュラルな演技、日本のハイテク技術などが相まって、人魚たちが住む海中での生活がものの見事に再現されていた。通常ならそれらの接着剤になるはずの「観客の想像力」は、もっと次元の高い登場人物たちの心情の奥深いところを理解するために使われ、物語をいっそうの高みに押し上げていた。

 1995年に日本で上演された「美女と野獣」のあと、「ライオンキング」「アイーダ」と劇団四季の成果をいっそう高めてきた計3作品に次ぐ四季ディズニー提携作品第4弾となるのが本作「リトルマーメイド」である。
 もともとディズニーの長編アニメーション「リトル・マーメイド」を2008年にディズニーがミュージカル化したのが始まり。2012年にはヨーロッパに渡り、ヨーロッパ版「リトルマーメイド」が誕生。それを四季とともにさらに発展させたのが、劇団四季版「リトルマーメイド」である。

 ストーリーは極めてシンプルである。海神トリトンの末の娘アリエルは、自由奔放で新しい世界にも勇気を持って飛び込んでいく快活なプリンセス。人魚の姿をしているが、ある日嵐で海の底に沈んだ人間界の王子エリックを助け、互いが意識し合う仲になる。エリックは亡くなった父親の王の後継者として即位することが期待されていたが、王位よりも船乗りとして海を航行することに興味があった。アリエルもエリックも自分探しのまっただ中であり、いつか運命の人が現れると思っている。
 そんなとき、トリトンの姉だが、残忍な性格が災いしてトリトンの王国から追放された魔女アースラが、復讐の時を狙っていた。人間への思慕がばれて父のトリトンから大切に集めた財宝を壊されてしまった失意のアリエルに、アースラの魔の手が迫る。アリエルが亡くなった母親から受け継いだ美しい声を奪う代わりに、足をつけて人間のような姿に変えてやると持ちかけたのだ。地上の人間の世界に乗り込んだアリエル。3日以内にエリックとキスをしないと、暗い海底に沈められてしまう。
 物語は、親子の愛、真実の心、前向きな生き方、異質な存在を受け入れる勇気などをテーマにしながら、ファンタジックに進んでいく。

 最も注目されたのが、海中の雰囲気をどうやって出すかである。ブロードウェイ版、ヨーロッパ版と積み重ねられてきた演出ではあるが、まず、海中を泳ぐシーンは、フライングの要領で天井からつり上げられることで表現している。これもいわゆる宙吊りのように空を飛んでいるというイメージではなく、手で水を搔いたり、尾びれを波打たせたりして推進力を得て進んでいるイメージを出すために相当な工夫が加えられている。海底の深さを表現するために、舞台の額縁の最上部にまで一気につり上げており、迫力も十分だ。優雅ささえ感じさせるゆったりとした動きと、それに相反するようなスピード感。双方が合わさって初めて水中移動の雰囲気が出るのだ。
 さらに、群れになって泳ぎながら急に180度進行方向を変える小魚たちの反転の様子など、海の生きものの生態を研究し尽くした動きも取り入れられている。海草は波に揺られてうごめいているし、人魚役の俳優たちも常に体を揺らしながら演技している。「ライオンキング」でもさまざまな方法を用いながら、野生動物の動きを再現していたことを知っている劇団四季&ディズニーファンにとって思わずにやりの場面である。
 今回、日本の技術で軽量化に成功した衣装も多い。ひらひらと軽く舞う衣装は、いかにもこうした水中の描写に貢献している。

 深海の暗さを逆手にとっての、光る魚の演出も幻想的。一方で、地上の人間の世界はどこまでも現実的に描かれるのかと思ったが、アリエルにとってはあこがれの世界。やはりここでも自然の美しさなどが表現されており、「いずれも楽園」といった造りである。邪悪な存在、場所であると父のトリトンから教えられてきた人間界だが、アリエルは自分の目で見てその美しさを体感する。重要なポイントだ。

 興味深いのは、各シーンの洗練度である。アリエルのお目付役を命じられたカニのセバスチャンが海中生活の楽しさを精一杯訴えるシーンや、人間の王国の料理長が調理するシーンなどさりげないコミカルなシーンにまで神経が行き届いている。エリックとアリエル、2人の想いが一つになるダンスのシーンの振り付けや構成の素晴らしさと言ったらない。

 子どもたちは大喜びだろう。アースラは巨大なオクトパス(たこ)の姿をしているし、カニや海の生物の動きは楽しい。その一方で、前向きに生きていく勇気や、互いの違いを認め尊敬し合う意味など、レベルの高いメッセージが発信されており、大人たちがぐっとくる要素も満載されている。子どもから大人まで楽しめるミュージカルというのはありそうでなかなかないもの。「リトルマーメイド」はその筆頭に挙げられてもおかしくないぐらい、様々な魅力に彩られている。

 原作アニメとは違うラストの展開。幸福感が100%チャージされるこの瞬間、観客も登場人物らに負けず劣らずハッピーになっていること請け合いである。

 劇団四季のミュージカル「リトルマーメイド」東京公演は、4月7日に東京・大井町の積水ハウスミュージカルシアター四季劇場【夏】で開幕。初日時点で、2013年12月31日分までチケットが発売されている。
 話題を呼ぶのは必至の公演。残席がわずかな日も続出しているようだ。

★ブロードウェイミュージカル版「リトルマーメイド」=劇団四季版ではありません



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<05> 直木賞芥川賞2013前期候補作決まる(5734)
<06> ソング・ライターズ(4968)
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<08> MIWA(3890)
<09> 「そして父になる」に世界から熱視線(3590)
<10> 「カッコーの巣の上で」舞台版が小栗旬主演で開幕(3316)
<11> 抜目のない未亡人(2862)
<12> マーガレット(2641)
<13> PLAYZONE → IN NISSAY(2550)
<14> 高校中パニック!小激突!!(2213)
<15> ストリッパー物語(2132)
<16> ダディ・ロング・レッグス=2014(2059)
<17> 刑事ドラマの殉職特集を放送(2049)
<18> 殺風景(1952)
<19> 今ひとたびの修羅(1818)
<20> ムサシ ロンドン・NYバージョン(1791)
<21> ムサシ ロンドン・NYバージョン=2014(1791)
<22> 「レ・ミゼラブル」と「アルゴ」にGグローブ賞(1760)
<23> かもめ(1725)
<24> 頭痛肩こり樋口一葉(1693)
<25> レディ・ベス(1665)
<26> イン・ザ・ハイツ(1637)
<27> 私が黄金を追う理由(1593)
<28> ジャック再び降臨「24」最新シリーズ放送開始(1592)
<29> 木の上の軍隊(1522)
<30> 国民の映画(1517)
<31> 2013前期芥川賞に藤野可織、直木賞に桜木紫乃(1315)
<32> ショーシャンクの空に(1280)
<33> ジャニーズ2020ワールド(1228)
<34> A.B.C座2013 ジャニーズ伝説(1178)
<35> サ・ビ・タ〜雨が運んだ愛〜=2014(1116)
<36> DREAM BOYS JET(1113)
<37> 「愛の渦」映画化(1087)
<38> 「ピトレスク」の稽古場公開(1085)
<39> 「レディ・ベス」世界初演ついに幕開け(1065)
<40> BACK STAGE(1047)
<41> 金閣寺(1028)
<42> シスター・アクト(990)
<43> レ・ミゼラブル(958)
<44> THE BIG FELLAH(953)
<45> 「天才執事ジーヴス」でウエンツと里見が名コンビに(952)
<46> 半沢直樹(923)
<47> もらとりあむタマ子(918)
<48> ザ・ワーズ 盗まれた人生(875)
<49> Holidays 休暇(862)
<50> ロスト・イン・ヨンカーズ(816)
<51> ミュージカルベストテンの選考投票に参加(804)
<52> ロンサム・ウエスト(787)
<53> 花嫁と父つなぐピアノ、盛岡のCMが話題(785)
<54> クリプトグラム(779)
<55> うかうか三十、ちょろちょろ四十(761)
<56> 奇跡の7人「THE BIG FELLAH」に集う(755)
<57> シレンシオ(695)
<58> アルトナの幽閉者(652)
<59> 筧利夫が世界最新演出版の初回を無事完遂(637)
<60> ネクスト・トゥ・ノーマル(635)
<61> ザ・ビューティフル・ゲーム(624)
<62> 私のダーリン(618)
<63> LOVE CHASE !!(599)
<64> SHOCK1000回達成(591)
<65> つか版・忠臣蔵〜大願成就討ち入り篇〜(589)
<66> 第86回日本アカデミー賞主演女優賞に真木よう子(575)
<67> 天翔ける風に(574)
<68> 愛の渦(572)
<69> 恋と音楽(569)
<70> モンテ・クリスト伯(551)
<71> ストロベリーナイト(549)
<72> 半沢直樹 その2(530)
<73> 第86回日本アカデミー賞主演男優賞に松田龍平(520)
<74> ベネチア金獅子賞に「サクロ・グラ」(513)
<75> 第86回日本アカデミー賞助演女優に真木よう子(498)
<76> 韓国版「家政婦のミタ」はチェ・ジウ主演(494)
<77> 米経済紙が半沢直樹特集、英語で倍返しは?(493)
<78> 第150回芥川賞直木賞候補作決まる(492)
<79> ライクドロシー(477)
<79> エニシング・ゴーズ(477)
<81> 太鼓たたいて笛ふいて(475)
<82> マイ・フェア・レディ(465)
<83> 屋根の上のヴァィオリン弾き(458)
<84> 秋のソナタ(450)
<85> ABC座2014ジャニーズ伝説(439)
<86> 「ミス・サイゴン」世界最新演出版の稽古場公開(437)
<86> 「ミス・サイゴン」世界最新演出版の稽古場公開(437)
<88> 渇いた太陽(436)
<89> 雨と夢のあとに(435)
<90> マンマ・ミーア!(429)
<91> 晩餐(426)
<91> マイケル・ジャクソンの新曲8曲入り新譜発売へ(426)
<93> 声(423)
<94> Tribes(417)
<95> ジェニファー・ローレンスがショートヘアーに(408)
<96> Paco〜パコと魔法の絵本〜from『ガマ王子vsザリガニ魔人』(403)
<97> 名もない祝福として(396)
<98> テンペストを白井晃演出で(395)
<99> ジャニーズ・ワールド(390)
<100> 半沢直樹 その3(383)
<101> 「シェルブールの雨傘」5年ぶり再演へ(378)
<102> 音のいない世界で(375)
<103> テイク・ディス・ワルツ(369)
<104> 組曲虐殺(364)
<104> 春琴(364)
<106> 「レ・ミゼラブル」は6/21発売(361)
<106> 「国民の映画」再演決定(361)
<108> ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(348)
<109> レ・ミゼラブル新演出版(347)
<110> 関数ドミノ(346)
<111> NO MORE 映画泥棒新バージョン(342)
<112> ピアフ(339)
<113> 海辺のカフカ◆archive◆(338)
<114> 007ファッション南青山で公開(334)
<114> 北島三郎、座長公演も最後と表明「引退ではない。歌い続ける」(334)
<116> 野田秀樹の「MIWA」に豪華俳優が集結(331)
<117> ロンドンでマティスの切り紙絵展始まる(330)
<118> ハリウッド白熱教室(322)
<119> リトルマーメイド(320)
<120> ぴんとこな(316)
<121> トガニ 幼き瞳の告発(313)
<122> カンヌバルムドールに「アデルの人生」(309)
<123> 脳男(305)
<124> トニー賞は「キンキーブーツ」(301)
<125> 赤鬼(299)
<126> BRAVE HEARTS 海猿(293)
<127> 「レディ・ベス」開幕前にトークイベント(291)
<128> 「オペラ座の怪人」完結編ついに日本初演へ(290)
<129> 第86回日本アカデミー賞作品賞に「舟を編む」(286)
<130> 取材・執筆した「殺風景」PR記事が掲載されました(281)
<131> ナタリー・ウッド事故死ではない可能性(278)
<131> 第86回日本アカデミー賞監督賞に石井裕也(278)
<133> 「海辺のカフカ」再演決定(277)
<134> 真夏の方程式(273)
<135> ハーベスト(269)
<135> 第21回読売演劇大賞は森新太郎(269)
<137> 4 four(268)
<137> 日の浦姫物語(268)
<139> iSAMU(258)
<140> ウルトラマリンブルー・クリスマス(254)
<140> 「風立ちぬ」公式上映で瀧本美織が存在感を発揮(254)
<142> トニー賞2014Ms作品賞(251)
<142> 進化するミス・サイゴン7月から世界最新演出で日本公演(251)
<144> ワイルド・スピード EURO MISSION(249)
<145> 半沢直樹第2回は21.8%で大台乗り(245)
<146> 小さいおうち(244)
<147> てんぷくトリオのコント(243)
<148> 「スクルージ」開幕、市村正親が意欲(242)
<149> 第67回カンヌ国際映画祭が開幕、長澤まさみも登場(241)
<150> アジア温泉(230)
<151> スター・トレック イントゥ・ダークネス(229)
<152> 「シスター・アクト」に個性派ずらり(226)
<152> 河瀬直美「2つ目の窓」公式上映で12分の鳴り止まぬ拍手(226)
<154> 片鱗(225)
<155> ジョン万次郎の夢(223)
<156> 白い夜の宴(221)
<157> 台湾の超美形ボーカルバンド人気、日本に到達(216)
<157> 野田秀樹の「赤鬼」気鋭の演出家・俳優で上演中(216)
<159> ウィズ〜オズの魔法使い〜(215)
<160> ビトレスクキャスト陣一体感強調(214)
<160> 戦隊ヒロイン「女子ーズ」にときめく5女優集結(214)
<162> GODZILLA ゴジラ(212)
<163> 第151回芥川賞直木賞候補作決まる(211)
<164> マクベス(207)
<164> ムーミン生んだトーベ・ヤンソン生誕100周年迎える(207)
<166> サウンド・オブ・ミュージック(205)
<167> テレ東が「不明者」を大捜索中(202)
<167> 「エッグ」再演決定、初の海外パリ公演も実現(202)
<169> 舟を編む(201)
<170> 蝋燭の灯、太陽の光(199)
<170> アナ雪の「スリラー」ダンス映像が大反響(199)
<172> 満天の桜(196)
<172> レッド・ツェッペリンがリマスター版収録の未発表曲2曲公開(196)
<174> ジェーン・エア=映画(193)
<175> さいあい シェイクスピア・レシピ(188)
<175> トニー賞2014Ms助女賞(188)
<177> ダディ・ロング・レッグス追加公演決定(181)
<178> 図書館戦争(180)
<179> KREVAの音楽劇再演、各界から逸材結集(179)
<180> ザ・フルーツ(178)
<181> 八月の鯨(176)
<182> 魔女の宅急便(173)
<182> 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ミュージカル日本初演へ(173)
<184> G・グローブ賞録画放送(172)
<184> 100回泣くこと(172)
<186> プラチナデータ(170)
<187> テルマエ・ロマエ供168)
<187> 第86回アカデミー賞のノミネート作決まる(168)
<189> オブリビオン(167)
<189> キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(167)
<191> あなたがここにいればよかったのに(166)
<192> ジェーン・エア=舞台(162)
<192> さよならドビュッシー(162)
<194> 華麗なるギャツビー(161)
<194> 藁の楯(161)
<194> ポール・ウォーカー急逝の波紋広がる(161)
<197> 異国の丘(160)
<197> 8月31日〜夏休み最後の日〜(160)
<197> 追悼 大瀧詠一(160)
<197> 安室奈美恵の洗練されたマッシュアップ映像が話題(160)
<201> ホロヴィッツとの対話(159)
<201> ヒトミ(159)
<203> 半沢直樹第6回も29.0%と好調維持(158)
<203> 初音ミクオペラにパリが熱狂(158)
<203> 中古LPからマービン・ゲイのパスポート発見(158)
<206> エッグ(156)
<206> 「ショーシャンクの空に」舞台化決定(156)
<208> J・K・ローリングの新作に34歳のハリー・ポッター登場(155)
<209> サビタ稽古場イベント(154)
<210> 風立ちぬ(151)
<210> 村上春樹、2013年のノーベル文学賞逃す(151)
<210> 追悼 やしきたかじん(151)
<213> 半沢直樹第5回は29.0%と続伸(150)
<214> The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)(146)
<215> さよなら渓谷(145)
<215> WILCO(145)
<217> 新国立劇場2014-15ラインナップ発表(144)
<217> 「メリー・ポピンズ」の裏側描く映画初上映(144)
<219> トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンpart2(143)
<220> 半沢直樹最終回は42.2%とミタ超え、関西は歴代最高(142)
<221> ダチョウ課長の幸福とサバイバル(141)
<222> ベネチア女優賞(140)
<223> 中学生円山(139)
<224> 大事なはなし(138)
<224> 「I'll be back」で大論争(138)
<224> 宮本亜門がドンペリPartyのショー演出(138)
<227> ナミヤ雑貨店の奇蹟(137)
<227> ケイティ・ペリーが着物パフォーマンス(137)
<227> 県庁おもてなし課(137)
<230> カンヌ審査員にキッドマンと河瀬直美ら(135)
<231> 任侠ヘルパー(134)
<231> レディー・ガガ、涙の訳はマネージャーとの決別?(134)
<231> 鬼才ラース・フォン・トリアーの最新作は超過激 !(134)
<234> 客家(133)
<234> その夜の侍(133)
<236> トニー賞2014Ms主女賞(131)
<237> 半沢直樹第3回は22.9%で今年ドラマトップ(130)
<237> DREAM BOYS(130)
<237> 米ゴールデン・グローブ賞ノミネート作決まる(130)
<240> 第39回菊田一夫演劇大賞にレミゼのキャスト&スタッフ(129)
<240> 海峡の光(129)
<242> 悪霊(128)
<243> シェイクスピア生誕450年記念上演始動、ハムレットは北朝鮮にも巡演へ(126)
<244> トニー賞2014MsRV作品賞(125)
<245> ミス・サイゴン(124)
<246> ザ・スーツ(123)
<246> フィリップ・シーモア・ホフマンが急死(123)
<246> 陽だまりの彼女(123)
<246> 共喰い(123)
<246> 「ドラえもん」英語吹き替え版は日米文化研究に興味深いヒント数々(123)
<251> 半沢直樹第4回は27.6%に急伸(122)
<251> ベルリン金熊賞(122)
<251> ミス・サイゴン=2014(122)
<251> 南京錠の橋ポン・デザール一部崩壊(122)
<255> 思い出を売る男(121)
<256> ダディ・ロング・レッグス(120)
<257> ずっと二人で歩いてきた(119)
<257> 横道世之介(119)
<259> 新・幕末純情伝(118)
<260> カウラの班長日記sideA(117)
<261> 無明長夜(116)
<261> ガラパコスパコス(116)
<263> 第86回米アカデミー作品賞に「それでも夜は明ける」(115)
<264> 半沢直樹に幻のラストシーン、DVD&Blu-rayに収録へ(114)
<264> 虚像の礎(114)
<264> 渡辺謙が「王様と私」でブロードウェイデビューへ(114)
<267> 大奥〜永遠〜【右衛門佐・綱吉篇】(112)
<268> 半沢直樹第9回は35.9%とさらに上昇(111)
<268> 地獄でなぜ悪い(111)
<268> トニー賞2014Ms助男賞(111)
<268> ピンク・フロイド10月の20年ぶりのアルバム発売を正式発表(111)
<272> ハムレット(109)
<272> ロックアウト(109)
<274> アカデミー助演女優賞はアン・ハサウェイ(108)
<274> 闇金ウシジマくん(108)
<274> 授業(108)
<274> 東京国際映画祭サクラグランプリは「ウィ・アー・ザ・ベスト!」(108)
<278> トニー賞2014PRV作品賞(107)
<278> トニー賞2014Ms主男賞(107)
<278> リチャード3世の墓と断定(107)
<378> 鍵泥棒のメソッド=舞台版(107)
<282> 半沢直樹第7回は30.0%と壁突破(105)
<282> ソチの脱出ヒーローまたも閉じ込め(105)
<282> 東京タワーはGW特別ライトアップ中(105)
<285> サ・ビ・タ日本版来春再演決定(104)
<285> 米アカデミー賞最注目は9歳の少女(104)
<285> 日本舞台美術家協会が7年ぶり展覧会開催(104)
<288> エンロン◆archive◆(103)
<288> つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語(103)
<288> そして父になる(103)
<291> みなさん、さようなら(101)
<292> レミゼ衣装を東京3都市で展示(100)
<293> アルゴ検証番組日本初放送(99)
<294> 「荒野の七人」新吹き替え版放送(97)
<294> 五輪色の東京タワーを月も見に来た?(97)
<296> キングコングの巨大ロボ公開(96)
<296> 手のひらの砂漠(96)
<296> 第151回芥川賞は柴崎氏、直木賞は黒川氏(96)
<299> 釣りバカ全作品をWOWOWが一挙放送へ(95)
<299> アナと雪の女王(95)
<301> ラ・マンチャの男(94)
<302> ジャニス・ジョプリンがハリウッドの殿堂入り(93)
<302> 初めてなのに知っていた(93)
<304> るろうに剣心(92)
<304> THEMANZAI2013優勝はウーマンラッシュアワー(92)
<304> トニー賞2014P主男賞(92)
<304> ピンク・フロイドが10月に20年ぶりのアルバム発売か(92)
<308> ベネチア最終盤情勢(91)
<308> 獣の柱まとめ*図書館的人生<下巻>(91)
<308> 第86回米アカデミー賞総まくり(91)
<308> SONG&DANCE60感謝の花束(91)
<312> 夢売るふたり(90)
<312> アカデミー主演女優賞はジェニファー・ローレンス(90)
<312> 建てましにつぐ建てましポルカ(90)
<312> 半沢直樹DVD&Blu-ray発売は12/26(90)
<312> 赤塚不二夫のココロ展〜2015年は生誕80周年なのだ!〜(90)
<312> 地下室の手記(90)
<312> 昭和レストレイション(90)
<312> チェ・ジウとクォン・サンウ、11年ぶり共演ドラマ「誘惑」スタート(90)
<320> 撫で撫で(89)
<321> 僕等がいた(89)
<322> 集金旅行(88)
<323> リトルマエストラ(88)
<323> ワイルド・スピード第7作の製作休止へ(88)
<323> ベルリン女優賞に黒木華(88)
<323> カンヌ女優賞はジュリアン・ムーア(88)
<323> 東京タワーがサムライブルーに(88)
<323> ワイルド・スピード第7作撮影再開、急死のポール部分は実弟2人で補充(88)
<329> 日本記者クラブ個人D会員になりました(87)
<329> インポッシブル(87)
<331> 鍵泥棒のメソッド=映画版(86)
<331> ルビー・スパークス(86)
<333> トニー賞2014P作品賞(85)
<334> 其礼成心中(84)
<334> キャロリング(84)
<336> ヘルタースケルター(83)
<336> 魔女とたまごとお月様(83)
<337> 第20回全米映画俳優組合賞はアメリカン・ハッスル(81)
<338> 「スター・ウォーズ」6作を一挙放送へ(80)
<339> カンヌグランプリにコーエン兄弟(79)
<339> 日本アカデミー賞作品賞は桐島、(79)
<339> メモリーズ・コーナー(79)
<339> 凶悪(79)
<339> 自動改札やスマホで光るネイル発売へ(79)
<344> 半沢直樹第8回は32.9%とさらに上積み(77)
<344> 第67回カンヌ国際映画祭まもなく開幕(77)
<346> 来訪者(76)
<346> AKB48総選挙2014渡辺麻友が初の1位指原は2位に陥落柏木3位(76)
<348> カンヌ監督賞にアマト・エスカランテ(74)
<348> ジーザス・クライスト=スーパースター ジャポネスク・バージョン(74)
<348> ベネチア銀獅子賞(74)
<348> 未成年モデル保護法案が米上下院通過(74)
<348> ツナグ(74)
<348> 最も稼いだ女優はアンジョリーナ・ジョリー(74)
<348> 東京震度5弱、都心は無事です(74)
<348> ユーミンの音楽×演劇コラボ、第2弾は比嘉愛未とW主演(74)
<356> ヴィンセント・ギャロが日本映画に出演(73)
<356> 暗いところからやってくる(73)
<358> カンヌ男優賞にブルース・ティーン(72)
<358> 世界の名刑事が大集結(72)
<358> 新しい靴を買わなくちゃ(72)
<358> キャプテン・フィリップス(72)
<358> 三鷹で昭和の名優作品続々上映(72)
<363> スター・ウォーズ最新作にハン、ルーク、レイアの3俳優出演決定(71)
<364> 最強のふたり(70)
<364> 大島優子が紅白でAKB48卒業宣言(70)
<364> 傷心のミック、復活待つ世界(70)
<364> 錬金術師(70)
<364> 当ブログのFBページいいね2000件達成(70)
<369> プロメテウス(69)
<370> スターウォーズ新シリーズ公開は再来年12/18(68)
<370> ポール・ウォーカーが事故死(68)
<370> トニー賞2014P主女賞(68)
<373> トム・ハンクスの陪審員まさかの強制終了(67)
<373> 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(67)
<375> ロバート・プラントがツェッペリン再結成を完全否定(66)
<375> 無欲の人(66)
<375> 宇宙兄弟(66)
<378> アカデミー作品賞はアルゴ(65)
<378> ライフスタイル体操第一(65)
<380> ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。(64)
<380> 「風と共に去りぬ」の続編について作者が手紙で返答していた(64)
<382> 臨場 劇場版(63)
<382> カンヌ最終盤情勢(63)
<382> ウィリアム・シェイクスピア(63)
<382> 多彩に変化する東京の空(63)
<382> マイティ・ソー、10月から性別を変更へ(63)
<387> ジェーン・エアその2(62)
<387> ヤバレー、虫の息だぜ(62)
<387> 東京家族(62)
<387> ポール・マッカートニー5月に再来日屋外ライブ(62)
<387> 三鷹市芸術文化センター星のホール(62)
<392> アカデミー主演男優にマシュー・マコノヒー(61)
<392> ブルージャスミン(61)
<392> 「アメリカントップ40」の名DJケーシー・ケイサムが死去(61)
<395> モンスターズクラブ(60)
<395> ダークナイト・ライジング(60)
<395> カンヌ女優賞にベレニス・ベジョ(60)
<398> バイトショウ(59)
<398> サ・ビ・タ〜雨が運んだ愛〜(59)
<400> アウトレイジビヨンド(58)
<400> タランティーノ脚本流出に怒り次回作中止?(58)
<400> 第150回直木賞に朝井と姫野、芥川賞に小山田(58)
<400> トニー賞2014P助男賞(58)
<404> 黄金を抱いて翔べ(57)
<404> ベネチア審査員大賞(57)
<404> ロンドンの劇場で天井崩落(57)
<404> マン・オブ・スティール(57)
<404> カンヌ2014審査委員長はジェーン・カンピオン監督(57)
<404> ハリソン・フォード宇宙に帰還(57)
<409> 潜水艇ボンドカー、8600万円で落札(56)
<409> ストーンズが豪NZツアー無期限延期(56)
<411> ザ・マスター(55)
<411> 世界にひとつのプレイブック(55)
<411> 「B・ジョーンズの日記」最新小説は恋するシングル・マザー(55)
<411> 学士会館(55)
<411> ビートルズの公式ドキュメンタリーを44年ぶりに制作へ(55)
<416> Gグローブ賞作品賞(54)
<417> のぼうの城(53)
<417> 芸劇リニューアル(53)
<417> セックス・ピストルズの心暖まるX'mas映像放送へ(53)
<420> モンティ・パイソン再結成へ(52)
<420> 三人姉妹(52)
<420> I’M FLASH !(52)
<420> カルティエのX'masアニメ公開(52)
<424> グッモーエビアン!(51)
<424> 日本レコード大賞はEXILE(51)
<424> アカデミー主演女優賞にケイト・ブランシェット(51)
<427> リンカーン(50)
<427> Gグローブ主演女優賞(50)
<427> プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ(50)
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