2016年12月19日
【舞台】 ジャニーズ･オールスターズ･アイランド（2016）
初日に少年隊の東山紀之がサプライズ出演するなど、「全員主役」といううたい文句がものの見事にはまっている舞台「ジャニーズ・オールスターズ・アイランド」（作、構成、演出・ジャニー喜多川氏）。中心となっている内博貴と、「Kis-My-Ft2」の玉森裕太、藤ヶ谷太輔、「Sexy Zone」の佐藤勝利らだけでなく、全員が自らの良さを最前面に押し出してメンバーを刺激しながらも、ともに舞台に上がっているメンバーや出演者全体とのバランスも考慮しているようなパフォーマンスも見せ、スター軍団ならではのショーの構成の妙を見せつけた。（本稿は初日の最終通し稽古の取材をもとに執筆していますので、あまり具体的なことには言及していませんが、それでもなお、その後本番で変更になった点がある場合は、ご容赦ください）
舞台「ジャニーズ･オールスターズ･アイランド」は１月２４日までの約２カ月間、東京・丸の内の帝国劇場でロングラン公演として上演される（玉森、藤ヶ谷は12/30まで。1/1からはA.B.C-Zの戸塚祥太と塚田僚一に交代）。
今回は２０１２年初演の「ジャニーズ・ワールド」シリーズに続き、帝劇での作品としては４年ぶりの新作との位置づけになる。直接「ジャニーズ・ワールド」シリーズの流れを汲んでいるわけではなく、これまで特に舞台でキャリアを積んできたジャニーズのスターアイドルたちが、さらに若手の平野紫耀らジャニーズJr.のメンバーとともに、総勢８０人近くが出演して歌い踊り、演技し、次々と見せ場を作り出していく贅沢な作品だ。
物語はエンターテインメントの世界が舞台。自分たちの未来を模索する少年たちが、人類が歩んできたさまざまな歴史を学び、悲劇も楽しいこともすべてが過去だということを知っていく。
ショウの途中でアクシデントが起き、みんな動揺するが、ショウはあくまで続けなくてはならない。堂本光一の「Endless SHOCK」をはじめとしてまさしくジャニーズの公演で何度も強調されてきた「精神」である「Show must go on」の精神。それをことあるごとに訴えるプロデューサーに導かれながら、新たなショウビジネスの世界を切り開いていくというストーリーだ。
現実と同じように、既に活躍中のスターであるという設定の玉森裕太と藤ヶ谷太輔がショウビジネスでのさまざまな魅力と課題を見せていく。プロデューサーがどちらかと言えば観念的にしか言わないことを、玉森、藤ヶ谷が具体的に見せていくという感じになっている。しかも彼らが提示するのは明と暗、光と影。過去について藤ヶ谷は災害や戦争など負の歴史を見せていく。対する玉森が見せるのは、日本で初めてのオリンピックとなった１９６４年の東京五輪や、人類が成し遂げた偉業の数々。２人の間で対立軸をつくり、若者たちは右往左往するが、そうした両面があることこそ世界であり、エンターテインメントの世界で表現する者として心に留めておくことだと示唆する。
次世代のスターを目指している佐藤勝利、さらにその背中を追いかける未来のスター・平野紫耀、永瀬廉、高橋海人が、過去と未来を旅しながら、自分の進むべき道を探していく。
人類の愚かな面も目をつぶることなく、若い観客にまっすぐに見せるのはジャニー氏のずっと以前からの熱い思いによるもの。どれほど人間というものが素晴らしい社会を作り出してきたと言っても、多くの人を犠牲にしてきた悲劇もまた生み出してきた。それにふたをしていても何も始まらない。それは今後エンターテインメントを担っていく若者たち、つまりジャニーズのスターやアイドル予備軍たちに向けているだけでなく、会場に集まった多くの若い女性たち。そして全国、全世界にいるアイドルたちのファンに対してもメッセージを送っているのだ。過去の悲しみを忘れて未来を築いても何も生まれない。多くのものを生み出し、創り出してきたジャニー氏の未来、あるいは現状に対する危機感がにじみ出た演出だ。
とは言え、途中では若い彼らは迷いに迷う。
そして玉森、藤ヶ谷の提案やある手紙に導かれて宇宙に向かうことになる。
宇宙を旅するうちに、彼らは奇妙な星である老人に出会うことになる。それはまさしく…。
物語は若者たちが何かをつかめるのか、緊迫感を増しながら、展開していく。
物語の中に挟み込まれるパフォーマンスも、オープニングやエンディング部分を華やかに彩るパフォーマンスも、ダンスの細部に至るまで磨き込まれている。
そして玉森や佐藤のエンターテイナーぶりが光る。彼らは既に多くの公演で劇場全体を引っ張っていくということを何度も経験しているせいか、求心力が半端ではない。玉森は「DREAM BOYS」で演技も含めた大変な高い評価を得ているから当然だとしても、佐藤はその若さで既にこの大きな場を動かす力を身につけている。玉森のような存在感や地力の強さはまだあまりなく、まだまだ線の細さはあるものの、進行していく口舌の良さ、舞台での反射神経などは目を見張るものがある。藤ヶ谷も久しぶりの帝劇となったが、玉森との対照的な役柄設定が良く、ファンを惹き付けてくれる。
パフォーマンスはフライング、アクロバットともに大サービス。２０２０年の東京五輪をイメージしたような振付や衣装、舞台美術で見せるシーン、新しい球体フライング、ローラーダンスまで盛りだくさんで、飽きが来ない。
ジャニーズJr.のメンバーがいくつものボックスにそれぞれ入り一斉に踊るおなじみのシーンはなかなかのもの。ダンス技術の向上の度合い、出来上がりぶりが一目で分かってしまう厳しさはあるが、自らのパフォーマンスを強くアピールする絶好の好機でもある。ファンに批評家に、大いに自分を売り込んでもらいたい。一目見て名前が分かるファンだけでなく、私たち批評家も「右から何番目の上から何番目の子は誰？」と関係者に聞くこともあるのだから。
舞台装置では、例年以上にLEDパネルが目立った。ダンスなどとの相乗効果を狙った光の効果が素晴らしく、その表現力が年々向上していることが分かる。色彩の再現力も鮮やかで、いまやなくてはならない表現方法のひとつだろう。
ファンにとってうれしいのは、玉森、藤ヶ谷、佐藤の３人に新しいボーカル曲が書き下ろされていること。詳細は当日の舞台で確認してほしい。
ただし、チケットは全日程全席が発売開始日に即日完売済み。
出演は他に、Mr.KING、HiHi Jet、東京Ｂ少年、SixTONES、Snow Man、Prince、Love-tune、Travis Japanのメンバーら。
舞台「ジャニーズ･オールスターズ･アイランド」は１月２４日まで東京・丸の内の帝国劇場で上演される（玉森、藤ヶ谷は12/30まで。1/1からはA.B.C-Zの戸塚祥太と塚田僚一に交代）。
上演時間は、約２時間５５分（休憩３０分含む）。
舞台「ジャニーズ･オールスターズ･アイランド」は１月２４日までの約２カ月間、東京・丸の内の帝国劇場でロングラン公演として上演される（玉森、藤ヶ谷は12/30まで。1/1からはA.B.C-Zの戸塚祥太と塚田僚一に交代）。
今回は２０１２年初演の「ジャニーズ・ワールド」シリーズに続き、帝劇での作品としては４年ぶりの新作との位置づけになる。直接「ジャニーズ・ワールド」シリーズの流れを汲んでいるわけではなく、これまで特に舞台でキャリアを積んできたジャニーズのスターアイドルたちが、さらに若手の平野紫耀らジャニーズJr.のメンバーとともに、総勢８０人近くが出演して歌い踊り、演技し、次々と見せ場を作り出していく贅沢な作品だ。
物語はエンターテインメントの世界が舞台。自分たちの未来を模索する少年たちが、人類が歩んできたさまざまな歴史を学び、悲劇も楽しいこともすべてが過去だということを知っていく。
ショウの途中でアクシデントが起き、みんな動揺するが、ショウはあくまで続けなくてはならない。堂本光一の「Endless SHOCK」をはじめとしてまさしくジャニーズの公演で何度も強調されてきた「精神」である「Show must go on」の精神。それをことあるごとに訴えるプロデューサーに導かれながら、新たなショウビジネスの世界を切り開いていくというストーリーだ。
現実と同じように、既に活躍中のスターであるという設定の玉森裕太と藤ヶ谷太輔がショウビジネスでのさまざまな魅力と課題を見せていく。プロデューサーがどちらかと言えば観念的にしか言わないことを、玉森、藤ヶ谷が具体的に見せていくという感じになっている。しかも彼らが提示するのは明と暗、光と影。過去について藤ヶ谷は災害や戦争など負の歴史を見せていく。対する玉森が見せるのは、日本で初めてのオリンピックとなった１９６４年の東京五輪や、人類が成し遂げた偉業の数々。２人の間で対立軸をつくり、若者たちは右往左往するが、そうした両面があることこそ世界であり、エンターテインメントの世界で表現する者として心に留めておくことだと示唆する。
次世代のスターを目指している佐藤勝利、さらにその背中を追いかける未来のスター・平野紫耀、永瀬廉、高橋海人が、過去と未来を旅しながら、自分の進むべき道を探していく。
人類の愚かな面も目をつぶることなく、若い観客にまっすぐに見せるのはジャニー氏のずっと以前からの熱い思いによるもの。どれほど人間というものが素晴らしい社会を作り出してきたと言っても、多くの人を犠牲にしてきた悲劇もまた生み出してきた。それにふたをしていても何も始まらない。それは今後エンターテインメントを担っていく若者たち、つまりジャニーズのスターやアイドル予備軍たちに向けているだけでなく、会場に集まった多くの若い女性たち。そして全国、全世界にいるアイドルたちのファンに対してもメッセージを送っているのだ。過去の悲しみを忘れて未来を築いても何も生まれない。多くのものを生み出し、創り出してきたジャニー氏の未来、あるいは現状に対する危機感がにじみ出た演出だ。
とは言え、途中では若い彼らは迷いに迷う。
そして玉森、藤ヶ谷の提案やある手紙に導かれて宇宙に向かうことになる。
宇宙を旅するうちに、彼らは奇妙な星である老人に出会うことになる。それはまさしく…。
物語は若者たちが何かをつかめるのか、緊迫感を増しながら、展開していく。
物語の中に挟み込まれるパフォーマンスも、オープニングやエンディング部分を華やかに彩るパフォーマンスも、ダンスの細部に至るまで磨き込まれている。
そして玉森や佐藤のエンターテイナーぶりが光る。彼らは既に多くの公演で劇場全体を引っ張っていくということを何度も経験しているせいか、求心力が半端ではない。玉森は「DREAM BOYS」で演技も含めた大変な高い評価を得ているから当然だとしても、佐藤はその若さで既にこの大きな場を動かす力を身につけている。玉森のような存在感や地力の強さはまだあまりなく、まだまだ線の細さはあるものの、進行していく口舌の良さ、舞台での反射神経などは目を見張るものがある。藤ヶ谷も久しぶりの帝劇となったが、玉森との対照的な役柄設定が良く、ファンを惹き付けてくれる。
パフォーマンスはフライング、アクロバットともに大サービス。２０２０年の東京五輪をイメージしたような振付や衣装、舞台美術で見せるシーン、新しい球体フライング、ローラーダンスまで盛りだくさんで、飽きが来ない。
ジャニーズJr.のメンバーがいくつものボックスにそれぞれ入り一斉に踊るおなじみのシーンはなかなかのもの。ダンス技術の向上の度合い、出来上がりぶりが一目で分かってしまう厳しさはあるが、自らのパフォーマンスを強くアピールする絶好の好機でもある。ファンに批評家に、大いに自分を売り込んでもらいたい。一目見て名前が分かるファンだけでなく、私たち批評家も「右から何番目の上から何番目の子は誰？」と関係者に聞くこともあるのだから。
舞台装置では、例年以上にLEDパネルが目立った。ダンスなどとの相乗効果を狙った光の効果が素晴らしく、その表現力が年々向上していることが分かる。色彩の再現力も鮮やかで、いまやなくてはならない表現方法のひとつだろう。
ファンにとってうれしいのは、玉森、藤ヶ谷、佐藤の３人に新しいボーカル曲が書き下ろされていること。詳細は当日の舞台で確認してほしい。
ただし、チケットは全日程全席が発売開始日に即日完売済み。
出演は他に、Mr.KING、HiHi Jet、東京Ｂ少年、SixTONES、Snow Man、Prince、Love-tune、Travis Japanのメンバーら。
舞台「ジャニーズ･オールスターズ･アイランド」は１月２４日まで東京・丸の内の帝国劇場で上演される（玉森、藤ヶ谷は12/30まで。1/1からはA.B.C-Zの戸塚祥太と塚田僚一に交代）。
上演時間は、約２時間５５分（休憩３０分含む）。
