2018年08月05日

死に様は生き様

59876690.jpg80代のお父さんの湯灌をしました。
通夜直前という事で、ホールの控室には大勢の親族が集まっていました。
ご挨拶をすると、長男である息子さんが丁寧に対応して下さいます。
とてもきれいなお顔をされていて、少し歯を見せて微笑んでいるように見えました。
お部屋に大きな浴槽を運び込み、お湯を張ります。その間に皆さんに入浴剤を選んでいただきます。
5種類ほどある入浴剤の匂いを代わる代わる皆さんで嗅ぎ、悩んだ挙句にラベンダーの香りの入浴剤に決められました。
その間も、後ろの方でお孫さんがハンカチで目頭を押さえ、真っ赤な目で涙を拭っています。
かなり泣いたのでしょう。目の周りが真っ赤にただれていました。
良いおじいちゃんだったに違いありません。
皆さんの目の前で、お身体が見えない様にバスタオルを掛け、湯船に浸かります。暫くお風呂に入れなかったそうで、気持ち良さそうに私たちに洗われています。背中を洗う時、次男の息子さんがおっしゃいました。
「背中を洗わせてもらって良いですか?」
私たちがお父さんの身体を横に向け、息子さん達にお背中を洗って頂きます。
最期の親孝行です。涙を流しながら、お二人の息子さんはお父さんの背中をゴシゴシ洗って下さいました。
白い経帷子にお着替えをして、お顔の色を血色良く整えて、お支度が整いました。
皆さんにそのお姿を見て頂きます。
すると、次男の息子さんがお父さんの足にすがりつき、
「お父さん!お父さん・・・」
まるで子供のように大きな声を上げて泣きました。
すでに50歳近いであろう息子さんですが、小さな子供のようにお父さんにすがりつき泣きました。
長男さんも、それにつられて溢れ出す涙をこらえながら、肩を震わせました。
お孫さん達も皆、大粒の涙を流しながら小さな声で呼んでいました。
「おじいちゃん・・・おじいちゃん・・・」
お父さんは良きおじいちゃんであり、良き父親でもあったのでしょう。

死に様は生き様。
その瞬間、お父さんの生き様を垣間見たような気がしました。


angel0425 at 10:01コメント(0)湯灌悲しみ 

若作り

0a8d6c14.jpg90歳のおばあちゃん。身なりに気を遣っていたのでしょう。髪の毛も真っ黒に染め、マニキュアも塗っていました。
枕元の遺影写真も、とてもきれいにお化粧をしていました。

着ていたパジャマを脱がし、お身体を拭こうとご家族に声を掛けました。
傍にいらっしゃるのは男性のお孫さんひとりだけです。
お孫さんは、おばあちゃんの身体を、涙を流しながら拭いて下さいます。
声を殺して、涙を流しながら黙々と拭いて下さいます。
「おばあちゃんに可愛がってもらったんですか?」
私の問いかけにぽつりぽつりとお話をして下さいます。
お孫さんは、3歳の時にお母さんを亡くしたそうです。
それからは、おばあちゃんが母親代わりとして育ててくれ、感謝してもしきれないと唇を噛みしめながらおっしゃいました。
学校の保護者会におばあちゃんが来るのが恥ずかしかったそうです。
畑仕事で真っ黒になった手で、周りのお母さんたちと比べるとかなり歳をとったおばあちゃんが来ると、恥ずかしくて隠れたくなったそうです。
そんな孫の心を知り、おばあちゃんはお化粧をし、マニキュアを塗り、若い洋服を着て精一杯の若作りをしていたというのです。
孫の為に、一生懸命に身綺麗にしていたおばあちゃん。
そのおばあちゃんが、突然トイレで倒れて亡くなりました。
おばあちゃんのお化粧は、精一杯、若く見えるように施して差し上げました。
はげかけたマニキュアを塗りなおし、髪型もきちんと整え、お支度が整いました。

可愛がって育てたお孫さんも家庭を持ち、ひ孫もその手に抱くことが出来ました。
私がいなくても、もう大丈夫。私の役目はこれで終わり。
そう呟きながら、おばあちゃんは天国への階段を上がって逝ったのかもしれません。
天国に逝っても、おばあちゃんは間違いなく、これからのお孫さんの行く末を見守っているのに違いありません。


angel0425 at 09:57コメント(0)癒し悲しみ 

2018年06月05日

幸せ

e93347a4.jpg「幸せ」って何でしょう?
「幸せ」ってどういう事でしょう?

50歳の女性は知的障碍者でした。
少女のようにおかっぱの髪型に可愛らしいお顔でお人形のように眠っていました。ただ、病気のため、黄疸が出て、頭に癌がこぶのように出来ていました。
介護福祉士の方がすでにお洋服を着せて下さっていたので、出ている手足とお顔をご家族が温かいタオルで拭いて下さいます。
泣きながら、それでも笑顔で話し掛けながら拭いて下さいます。
黄疸を目立たなくお化粧をして、初めての口紅塗って差し上げます。
頭の癌は、毛染めで肌を黒く塗り、髪の毛で隠してあげると、ほとんどわからなくなりました。
初めてのマニキュアを塗り、お支度が整いました。

彼女はご家族にとても愛されていたようです。
お姉さんが布団の横に彼女の頭を腕枕して横たわり、泣きながら頭を撫ぜています。
お父さんもお母さんも、小さな子供に話しかけるように優しく話しかけ、頭を何度も何度も撫ぜて下さいます。

知的障害を持った50歳の女性、結婚をする事も子供を持つことも、人並みの生活を送ることも出来ませんでした。
人から見れば、それは不幸な人生と思えるかもしれません。
でも、彼女に接するご家族の様子を見ると、彼女は幸せだっただろうな〜と思えます。
だって、こんなにご家族に愛されて、大切にされていたのですから。
「幸せ」の形は人それぞれ違うものです。
人から見れば「不幸」に見えることでも、その人にとっては「幸せ」なのかもしれません。

「幸せ」って何でしょう?

きっと誰もがその手の中に持っているものだと思うのです。
「幸せ」の形は人それぞれ違うものなのですから。


angel0425 at 11:19コメント(1)悲しみ 

2018年05月06日

生きる

211d7d21.jpg「起きてよ!この間は起きてきたじゃん。起きてよ―!!」
彼が棺に納まると、お母さんは大きな声を上げて泣き崩れました。
そのお母さんを、後ろからお父さんが黙って抱きしめました。
声を殺して、涙を浮かべて抱きしめました。
彼は、つい半年前にも自殺未遂を起こしていたのです。

24歳の若者は自ら命を絶ちました。半年後には結婚を控えていたそうです。
彼の傍にはお嫁さんになるはずだった彼女が、涙をポロポロと流しながら彼の変わり果てたお顔を見つめていました。
黒紫色に変色したお顔をだらりと横に向け、舌を噛みしめていました。
強く歯で噛みしめた舌は黒く変色していました。
検視が入り、裸のお身体を彼女とご両親が拭いて下さいます。
お父さんは、彼が幼少だった時にオムツを替えた事を思い出したようです。
足をゴシゴシ拭きながら、こうして拭いてやったなあ〜と呟きながら拭いて下さいます。
お母さんは、黙ってゴシゴシと胸のあたりを拭いています。
彼女は涙をポロポロ流しながら、丁寧に何度も何度もお顔を拭いて下さいます。
24歳の若い彼には似合いませんが、白い経帷子を着せて差し上げます。
独り暮らしをしていた彼は、死ぬ直前、全ての荷物を段ボールに荷造りして、お部屋をきれいに掃除し、そして、自分の死後、口座が凍結されるのを知っていたのでしょう。
全ての貯金を現金にして、お部屋に置いてあったそうです。
覚悟の上での『死』だったようです。

顔色の悪くなったお顔はファンデーションで血色よく整え、強く噛んだ舌を口の中に納めます。髪型を整え、お支度が整いました。
彼女は彼の胸に抱きつき、声を上げずにシクシクと涙を流しています。
その涙は、彼の胸に流れ落ち、涙のシミとなりました。
とうとう彼は棺に入らなければなりません。大きな体を皆で持ち上げ、棺の中に沈み込みます。
お母さんが大きな声で泣きました。彼女の涙の粒は一層大きな粒となりました。
お父さんも声を殺して泣きました。

生きていくのは大変な事なのです。死ぬ事よりも大変な事なのかもしれません。
それでも、生き続けなければいけないのです。
悲しむ誰かがいる限り。


angel0425 at 19:04コメント(0)悲しみ 

2018年04月10日

交通事故

3a357a4b.jpgその日もいつもと変わらない朝だったに違いありません。
いつもと同じように夫を送り出し、子供たちを送り出す。いつもと何も変わらない朝だったに違いありません。
しかし、夫が帰ってきたのは物言わぬ変わり果てた姿でした。
交通事故に遭ったのです。夫は横転した車から投げ出され即死しました。

お家にはまだ30代の夫の友人たちがたくさん集まっていました。
皆、奥さんと同じように悲しみ、奥さんを励ましていました。
納体袋に包まれた夫の傍には、おじいさんが茫然と座っています。
納体袋のチャックを開け、お顔を確認すると・・・額が割れ、片目を見開いた夫が泥だらけで横たわっていました。
大きな体を袋ごと浴槽の担架の上に運びます。
そして、傷の確認をしながら全身をきれいに洗っていきます。
お身体はほとんど無傷なのに対し、頭部の損傷はひどいものでした。
後頭部は陥没し、頭蓋骨は粉々に割れ、そこからは肉片や脳がはみだしています。泥だらけのお顔や髪をきれい洗い流し、頭部をシートで包みます。
ご用意してくださったお洋服に着替え、ニット帽をかぶせ、頭のシートを隠します。
額の傷は綿花で埋め、肌色テープを貼り、その上からワックスで肌を作ります。
開いていた目を閉じ、折れた歯を綿花で作ってお口を閉じます。
元通りには程遠い姿であったに違いありません。
それでも、皆さん、きれいになったと喜んで下さいます。
ショックが大きすぎるからと、別室でお待ちになっていた奥さんとお子さん達も傍にいらっしゃいました。
お別れが出来ました。
ちゃんとお顔を見て頂きながらお別れが出来ました。
手を握り、声を掛け、最期の時間を共に過ごすことが出来ます。

いつもと変わらない朝が、最後の朝になる可能性は誰にでもあります。
ハンドルを握る手は慎重に安全運転を心掛けなければなりません。
今日が最後の朝にならないために。


angel0425 at 10:36コメント(1)悲しみ 

2018年03月09日

小さなレディ

7fdc322f.jpg小さな身体には、たくさんの点滴の痕がありました。
6歳の少女は懸命に病と闘いました。
そして、短い人生の幕を下ろしました。
次に生まれ変わって来る時には、人一倍丈夫な身体を頂けるはずです。

少女はお人形のように可愛らしい姿で眠っていました。
可愛らしいピンクのパジャマに真っ白な肌。
生え始めた永久歯を覗かせて少し口を開き、大きく目を開いていました。
その目はお人形のように潤んだ瞳でした。
ドライアイスで冷えたお身体を、ご家族と一緒に温かいタオルで拭いてあげます。
たくさんの点滴の痕が手の甲、足の甲、首元・・・あちこちにたくさん残っています。
頑張りました。本当に頑張りました。
少女にはアナと雪の女王のドレスを着せてあげます。
足はがに股に広がり、手は曲がったまま麻痺しています。
それでも、痛くない様にそっとドレスを着せてあげます。
お母さんやおばあちゃんと一緒に、大切に大切に着せてあげました。
お化粧は普通にして欲しいとのお母さんの要望で、大人の女性と同じようにお化粧してあげました。
小さなレディの出来上がりです。
少女は走ることも、歩くことも出来ませんでした。
言葉を発し、自分の意志を伝えることも出来ませんでした。
ただ一つ、嬉しいと足をバタバタする事だけが少女の感情表現だったそうです。

小さな身体で、よく頑張りました。
小さな身体で、よく我慢しました。
今度、生まれ変わったら、人一倍丈夫な身体に生まれ変われるはずです。
今度、生まれ変わったら、たくさん走ったり、笑ったり泣いたり、大きな声で叫んだり・・・
たくさんの事が出来るはずです。


angel0425 at 10:26コメント(0)悲しみ 

2018年03月06日

少年の死

8911279d.jpg少年の周りにはたくさんの人が集まっていました。お部屋は溢れかえる人でいっぱいです。通路を開けてもらい、お部屋に入ります。
16歳の少年は口から血を流して、布団に横たわっていました。
一人、二人と溢れていた人がお部屋から出ていきます。
そして、少年の傍には、私と一人の女性だけになってしまいました。
女性は少年のおばさんに当たる方で、少年には母親がいない事、少年がこの家で暮らしていない事を手短に説明してくださいました。
枕元には、小学生の頃の少年と母親の写真が飾られていました。
それは少年が物心ついて初めて母親に再会した時の写真だそうです。
少年の母親も少年と同じく、首を吊り自らの命を絶ったというのです。
それぞれのご家庭の事情があるのでしょう。それ以上の事は聞いてはいけない気がしました。

ご挨拶の後、少年に着せてあげたいお洋服をお尋ねします。少年の私物は施設にあるので、ここには何も着せてあげる物がないとおっしゃり、急いで取りに行くので待っていてほしいと言われました。
16歳の少年に白い経帷子では可哀そうすぎます。私はお洋服が到着するまで待たせて頂くことにし、その間におばさんと一緒に少年のお身体を拭いていきます。
やんちゃをしていたのでしょう。左手の指や腕には自分で掘った刺青がありました。幼いお顔とは裏腹に、身体はがっちりとして、もう立派な大人です。
お顔の色も血色よく整え、髪型もいつも通りに整えて、お洋服の到着を待ち、お着替えをしました。
少年の私物と言って持ってこられた荷物はゴミ袋一杯だけです。その中からいつも着ていたという白いジーンズとセーター、カーディガンを着せて差し上げました。
支度が整うと、また少年の傍は人で溢れかえり、すすり泣きが聞こえてきました。今まで忙しそうに電話ばかりしていた父親も少年の傍にいます。
そして、少年を抱きしめ、少年の胸に顔をうずめ、声を殺して肩を震わせていました。啜り泣きの中で、父親はかなりの長い時間、少年を抱きしめていました。
いろいろな想いがあるのでしょう。
いろいろな後悔もあるでしょう。
少年が何故、自ら命を絶ったのか私にはわかりません。
でも、少年の生い立ちは幸せに満ちた時間ではなかったようです。
せめて、天国で先だったお母さんに逢えますように。
せめて、天国でお母さんに愛情を注いでもらえますように。
せめて、せめて・・・少年が天国で幸せになれますように。


angel0425 at 10:37コメント(2)悲しみ 

2018年02月10日

死に様は生き様

a5693e6f.jpgお寺のご住職がお亡くなりになりました。
立派なお寺の広間で湯灌をします。
浴槽をお部屋に運び込み、車とホースで繋ぎ浴槽にお湯を張り、ご家族が選んで下さったラベンダーの入浴剤を入れました。
お部屋にラベンダーの香りがふわっと広がり、心地良い香りの中で住職は気持ち良さそうに湯船に浸かりました。
傍には奥様と3人の孫たちが見守っています。
皆で掛け湯をして、皆で住職のお身体を洗って下さいます。
お孫さんたちは、交代で一生懸命にお身体を洗って下さいます。
一緒に暮らしていた内孫達で、その様子を見ると、住職がとてもお孫さん達を可愛がっていた事が伺えます。
奥様も、優しい笑顔を浮かべ、孫たちと一緒に住職のお身体を隅から隅まで、ゴシゴシ、丁寧に洗って下さいます。
元気な頃は丸めていたであろう頭は、入院の為、黒い髪の毛が少し伸びていました。
その髪をシャンプーして、タオルで巻き、キティちゃんのヘアーキャップをかぶせるとお部屋は笑い声に溢れました。
時々、お嫁さんも見に来られます。
優しい眼差しで、その様子をご覧になると、またご自分の仕事に戻られます。
孫たちが見守る中、住職の正装である衣に着替え、輪袈裟を付け、血色よく見えるようにお化粧を施します。
温かい空気と優しい笑顔の中で、住職の支度は整いました。


とても温かく送られる住職。
きっと、たくさんの徳を積んでこられたのでしょう。
「死に様は生き様」
住職の最期の時間は、それまでの生き様を物語っているようでした。



angel0425 at 00:00コメント(0)癒し湯灌 

2018年02月05日

突然死

037bd223.jpg70歳を迎えるお父さんは定年を目前に控えていました。

その日は突然に訪れました。畑仕事をしていた時、突然倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。大動脈解離だったそうです。
そのお顔は微笑んでいるようにとても穏やかなお顔でした。
突然の事で、ご家族は死を受け入れられずにいました。
年齢の割にはがっちりとしたお身体の硬直は固く、そのお身体は突然の死であることを物語っていました。
着ていた柄浴衣を脱がし、ご家族に温かいタオルでお身体を拭いて頂きます。
息子さんも奥様も亡くなった時の様子を、堰を切ったように話して下さいます。
心の整理が出来ていないのです。
私に話すことにより、何とか死を受け入れようとしているのです。
お二人の目に涙はありません。涙すら出ないのです。
白い経帷子にお着替えをして、紫黒く変色したお顔を、血色よく見えるようにお化粧を施します。
ドライシャンプーをして、髪型を整えます。
硬直で固まった指をゆっくりとほぐし、合掌をして差し上げます。
支度が整うまで、話題はお父さんの人柄です。
死を迎えて知ったお父さんの人脈の多さに息子さんは驚いていました。
奥様は、ご主人が自分を残して死んでしまったら、お前が心配だと言っていたとおっしゃり、込み上げる涙を呑みこみました。
これからだったのに。夫婦で静かな時間を過ごすのはこれからだったのに。
後悔は尽きません。

でも、微笑んでいるお父さんのお顔を見ると、とても幸せそうです。
100まで生きるとおっしゃっていたご主人だそうですが、代わりに奥様が100まで生きてあげて下さい。
ご主人の代わりに、これからの時間を思いっきり楽しんで生きて下さい。
奥様が100歳を迎えたら、「俺の代わりによく頑張った!」そう言って迎えに来てくれるでしょう。
ご主人はそう願っているに違いありません。
きっと。


angel0425 at 12:51コメント(0)悲しみ 

2017年11月01日

b5d43513.jpg彼女は、1年前は元気に普通の生活をしていました。
たった1年で命を失うことになるとは、1年前の今頃には誰もが想像していなかったことでしょう。
病とはそういうものなのです。
その1年はご家族やご本人にとって、長い長い一年であったに違いありません。

53歳の女性は、癌で命を失いました。右の乳房はありません。
乳癌から始まったであろう癌との戦いは、ようやく終わり、安らかに眠っていました。
ご主人は悲しみをこらえ、気丈に振る舞っていました。
二人の娘さんは、少し離れて首を垂れて悲しそうに座っていました。
故人のお母さんは、真っ赤に目を腫らして、シクシクと声を殺して泣いていました。
故人のお父さんは、「仕方ない。仕方ない。」とお母さんをなだめていらっしゃいましたが、その言葉はご自分に言い聞かせているように聞こえました。

点滴の為、内出血があちこちに残るお身体をご家族皆さんが拭いて下さいます。
皆、言葉を発することなく、丁寧に拭いて下さいます。
ご用意してくださった黄色のズボンと黒いチュニックを着せて差し上げます。
お顔の産毛を剃り、お化粧を施します。娘さんに口紅を塗って頂き、最後にウィッグをかぶせました。
彼女は、とても元気そうになりました。病と闘っていたなんて、誰も思いません。
ご主人が、彼女の頭を撫ぜて小さな声でおっしゃいました。
「お疲れ様。ゆっくり休んでね。」
娘さんたちが、彼女の手を握り泣きながら言いました。
「お母さん。ありがとう。お母さんの子供で良かったよ。」
お母さんが、彼女の胸を撫ぜながら涙声で言いました。
「偉かったね。よく頑張ったね。」
皆さんが、涙を流しながら思い思いの言葉を掛けて下さいます。
彼女はその言葉を、微笑みながら聞いていました。

もしも、皆さんも今日、癌が見つかったら・・・来年の今日は生きていないかもしれません。病とはそういうものなのです。
だから、今日を精一杯に生きなければいけないのです。
だから、今を大切にいきなければいけないのです。


angel0425 at 17:56コメント(1)悲しみ 
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