2007年02月20日

掃除

34eeba1c.jpg高い塀に囲まれた門を入ると運動場のような広い敷地が広がっていました。その片隅に立派な新築の和風住宅建っています。湯灌車を敷地内の玄関前に着けるとご挨拶にお宅に伺いました。広い玄関の左側にニ間続きの和室があり、その奥には金箔の仏壇があります。その前におじいちゃんは横たわっていました。右半身血だらけになって。布団も浴衣も血で真っ赤に染まっています。昨晩、出血が止まらないと言うことで深夜に呼ばれました。血だらけの布団ごと担架の上に運び、出血の元を探します。肩の点滴痕から空気と一緒に噴出すように出血していました。応急処置をして湯灌で血を洗い流します。お金持ちで上品そうなご家族はお清めの逆さ水が終わるとさっさと玄関の反対側にあるリビングに行ってしまいました。ただ一人、中年の女性が一生懸命掃除をしています。雑巾を持って仏壇の金箔が剥がれるほど拭き上げたり、床の間を何度も何度も一心不乱に拭いています。湯灌の間中、掃除は続きました。湯灌が終わりお着替えをしていると、掃除の合間におじいさんの傍にやってきました。女性はおじいさんの娘さんでした。そして、おじいさんの闘病生活、おじいさんの口癖・・・少しずつお話してくださいました。そして私が経帷子を着せ終わり足袋を履かせようとすると、お手伝いをしてくださいました。二人で片方ずつ一緒に足袋を履かせます。「一人で逝くのかなあ・・・」娘さんが呟きました。「いいえ、一人ではありませんよ。どなたかがお迎えに来てくださいますよ。」そうお答えするとにっこり笑って「そうだよね。」そうおっしゃってまた掃除を始めました。開いている両目を閉じて、入れ歯のない大きく開いたお口を含み綿でふっくらさせて閉じて差し上げます。お顔の色を少しだけ直すと先ほどとは別人のような穏やかなお顔になりました。ご家族に見ていただきます。皆さん満足してくださったようですが、六文銭の説明をさせて頂くと・・・本物の札を入れようか・・・頭に札束を載せてようか・・・なんて話しています。この人達は・・・私は悲しくなってしまいました。そして最後のご挨拶が済むとおばあさんが「こんな仕事してるとお金、いいんでしょ!」と。なんて心の病んだ人たちでしょう。いくらお金があっても、いくら立派なお家があっても・・・私は普通のご家庭でやらせて頂く湯灌が好きです。この家で唯一おじいさんの死を悲しんでいたのは娘さんだけなのかもしれません。娘さんは悲しみを一心不乱に掃除することで紛らわせていたのですから。

angel0425 at 18:01コメント(0)トラックバック(0)湯灌 |  

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