September 06, 2003

★G.RINA『サーカスの娘』

DDCA-5014

G.RINA
サーカスの娘


2003.09.06 OUT
15trks CD / DDCA-5014(POS#4543034002641)/ \2520 (tax in)
www.g-rina.com

1. Rocket
2. No Reasonable Life
3. Your And My New Watch
4. Egommunication
5. Viva La Vida
6. 彗星
7. サーカスの娘 [まな板の鯉 mix]
8. Self-Judgement
9. the Scene
10. Wandering Balloon
11. 退行催眠
12. 旅人たちへ
13. 雨の林道
14. the Scene [7" ver.]
15. サーカスの娘 [Neon Lights mix]


mixi内コミュニティ
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G.Rina

WORDS FROM G.RINA
そもそもこれを作ろうと思ったのは、去年の12月のこと。急に息が詰まって、明らかに「現実逃避」と決めてアメリカは西海岸を車で縦断するという旅行をしたのですが、そこでほんの少しの都会と、とてつもなく大きな森や海や砂漠を通り抜けながら、山小屋のベッドの中で東京での自分を振り返ってみたり、一方でアクセルを踏み続けて何にも考えないでみたりしました。その結果、帰国後、誰に頼まれた訳でもなく始めたアルバム作りでした。
 それが、エンジェルズ・エッグの協力を得て、色んな協力者の方々の気持ちと時間と、私の空回りがちな気合いを封入して、お届けできることになります。
 全12曲、14ミックスになる曲たちは、この半年で作ったもの、それより以前に作ったものの集合体で、ジャンルはもちろん、アフターふっきれ効果で、言語にもこだわらず、歌ありインストあり、これまでしてきた旅から集めた音、自分の中から自然にこぼれてくる音や言葉を集めることにしました。演奏もプログラミングも基本は最大限に自分で録音・編集している為、ただでさえ歌を何重唱にしたりで閉鎖された感があるので、この数年で知り合ったミュージシャンにも協力を仰ぎ、随所に登場してもらうことで、自分なりには単なる個人的集大成とかじゃなく、開放的な感じにしたつもりです。


文=小野田 雄
 彼女のことを初めて知ったのは、渋谷のクラブ〈The Room〉ほかで定期的にプレイする女性DJとしてだったか、はたまた、フィーチャリング・シンガー、rossignolとして、その歌声を初めて披露したWORLD SUPREME FUNKY FELLOWS 2102のシングル「Wandering Balloon」だったか、正確には覚えていないが、その2人が同一人物であることを人から聞かされた時、にわかには信じられなかった。大体、歌うDJなんて、聞いたことがなかったし、歌えなくとも音楽を愛してやまない者がDJを志すものと相場は決まっているのだ。しかし、何はともあれ、彼女は曲を書いては歌い、気が付いたら、G.RINAとして3枚のシングルをリリースし、いま手元には『サーカスの娘』と題されたファースト・アルバムがある。あれから何年経っただろう? それらの作品はリリース以来、ずっと耳にしてきたつもりだし、つい先日、実際に彼女と会って2時間ほど話をしたのに、G.RINAが一体何者なのか、未だに掴めないでいる。そして、その正体が掴めないからこそ、僕は彼女の歌に耳を傾け、入り組んだ迷宮に分け入ってゆく。
 アルバムは長らく忘れていた記憶がフラッシュバックするように始まって、すぐに時間と空間の感覚を奪う。そこは宇宙空間にも似た無重力の空間で、まばゆいものを目指し、スピードを増減させながら、聴き手は、あるいは彼女は進んでゆく。続く曲ではR&Bの深いビートにインド音楽のサンプル・フレーズとメロディラインをなぞる奥ゆかしい琴が絡み合い、重い扉を開け放つ秘密の言葉が囁かれるように英語詞で歌われる。この1曲だけを聴いても、様々な音楽の折衷を繰り広げる彼女の音楽指向は一目瞭然だが、そのタイトル「No Reasonable Life」(合理的な存在にはなれない)は、このアルバムにおける彼女のスタンスを象徴しているように思える。それが移り気な性格ゆえか、はたまたオールミックスのDJとして様々な音楽に長らく触れてきたからかは分からないが(恐らく、その両方だろう)、感情の赴くままに振る舞う彼女はひとところに留まらない。つまり、「サーカスの娘」はスリルと隣り合わせの毎日を送りながら世界を旅して、観客を楽しませるというわけだ。
 そんな彼女のパーソナリティは、曲中で、あるいはアルバムを通じて、移り変わってゆく作風に反映されていて、ジャマイカ経由でカリブ諸島を巡ったかと思えば、スピリチュアルなソウルに導かれた漆黒のひとときが綴られ、彼方から聞こえてくるのはスペイン語のフォークロアや端正な日本語で歌われるワルツだったり、はたまたギター片手にスウィングするジャズ・ナンバーだったりするのだが、作品それ自体に散漫な印象がまるでないのは、彼女が自身の生い立ちやその音楽が国境を跨いでいることに自覚的であるからだ。だからこそ、彼女は自らを試すようにヴァーサタイルなクロスオーヴァー・スタイルへと向かい、そして“自分は一体誰なのか”と自問する過程で本作には一本の揺るぎない芯が備わったのだろうし、聴き手にジャンル分けされ、去勢される以前の生きた音楽の魅力を伝えてくれるのだろう。
 そう考えれば、彼女がSHING02との交流から『TAGS OF THE TIMES 3.0』に客演したり、WORLD SUPREME FUNKY FELLOWS 2102や本作でのKATOKUNNLEE(椎名純平ほかを手掛ける)とのコラボレーションが縦横無尽に繰り広げられていることも納得出来るし、DJでもある彼女が曲を書いては歌い、『サーカスの娘』という実に素晴らしいファースト・アルバムを作り上げるわけだ。もちろん、本作には安易な答えは用意されていないし、彼女が一体何者なのか、未だに掴めないでいるが、それは恐らく彼女も同じこと。むしろ、その正体が掴めないからこそ、僕は彼女の歌に耳を傾け、入り組んだ迷宮に分け入ってゆく……。


文=飯島直樹(ANGEL'S EGG)
僕はかつてロケットに乗ることを夢見ていた/輝く宇宙に向かって!/大量の燃料を使って、友達や家族を見下ろして、僕は夢をかなえる旅にでた/しばらくすると、燃料はすぐに燃え尽きた/そして僕のまわりには誰もいない/真っ暗な果てしない空洞の中/僕はこれといった答も見つけることができずに、孤独だった/憧れってこんなものだったっけ?/僕は目を閉じて/川べりで君と夜空を見上げていた頃を想い出す/ようやく僕は、僕にもはや豪華なロケットが不必要かもしれないことに気がついた/いつか僕は最もまばゆいものを僕の心のなかで見つけるだろう

 目の前の空間を切り裂くホワイトノイズ、そしてコンピュータのボイスによって語られる決意表明なポエットによって、このアルバムの幕は開く。それから(SE含む)全15トラック、約60分のG.RINAワールドが、あなたの前でゆっくりと回りはじめます。そう、はじめはゆっくりと。そしてときに早く、クルクルと縦横前後に回り続けます。天使?魔女?はたまた妖精ロシ?──いや、サーカスの娘だった!──あなたの目の前/あなたの心の内側で、G.RINAは、いろんな世界を描きます。
 英語/日本語/スペイン語/無言(インスト)といった様々な言語と、様々な音楽的意匠/衣装を身に纏い、自らを“まな板の鯉”a.k.a.“サーカスの娘”と謡う。本編ラスト、流れの中でもクライマックス的な位置づけであろう「旅人たちへ」も、歌詞の包み込むような世界含め“ディーバ熱唱”的な仕上がりとなるところを、あえて外したかのように切々と、けなげに歌いかける様。
 ビシッと「これが私!」と、身の丈以上に張り切っちゃっている(させられている?)アーティスト/作品が溢れる現在(正直ウンザリです)。そんな状況おかまいなしに、G.RINAは、ままごとをする女の子のように独りの世界を作り楽しんでいる。そして「こんな感じですけど……テヘへ」と、いたずら心に満ちた瞳でこちらに提示される世界の未知感といったら!
 エンジェルズ・エッグのA&Rとしてはもちろん、いち音楽愛好者として、このアルバムをみなさんに紹介できることは、私の大きな喜びであり、誇りです。
 この音楽を、どうぞ末永く可愛がってあげて下さい。

2003年7月8日


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