November 2007

November 22, 2007

小栗旬主演のカリギュラを見てきました。もちろん席は売り切れていたけど、お気に召すままよりも男の人が多い印象。まあ、題材がカリギュラなので、それもそうかと思いつつ、結構若い女の子や小さな子もいましたね。さすが、今をときめく小栗旬(笑)それにしても、お気に召すままと違って、この舞台、小さい子に解るのか??

この話は、知っている人も多いかと思うけれども、ローマの皇帝カリギュラが、最愛の妹を亡くしたあと暴君となったと言われる史実に基づいて、アルベール・カミュが書いた戯曲です。
私の解釈で簡単に説明すると、愛を失うことで論理を手にした権力を持つ若者が、その若さと権力故に論理を体現しようとし、その暴挙の果てに単純且つ明快な理由によって葬られる。
論理とは…て書くと話が長くなるから割愛するけども。
例えば、不可能が可能にならないのならば、それには何ら意味がない。すべての人間は罪を犯す前に死刑を宣告されており、それはどんな人間にも無作為に平等に訪れる、ということとか。
もっとお話の筋として知りたい方は、カミュを読むか、とりあえず舞台カリギュラの公式やらを見ていただくとして。

私の感想とか解釈をつらつら書いていくけど。
ネタバレもあるので、これから見に行く人には先に謝る。ごめんなさい。






もうね、カリギュラの言う論理がすべて頷けた。確かにそうなんだよ。
神は常に無慈悲でその意味で平等なので、カリギュラが神になろうとしたときに、突然、何の罪もない人間に死を宣告したり、いきなり飢饉を起こしたり、気まぐれに搾取し気まぐれに許す。ちょっと気に入った女は犯し、理由もなく税を課し、建前を嘲笑う。というのは非常に理にかなった行為。
愛がいくらあっても、不死が不死でなくならないなら、不可能が可能にならないなら、その愛にどれほどの意味があるだろう。
そうカリギュラが「解ってしまった」ことによる悲劇とも言えるかな。
論理は愛を越えるものだった。敢然と正しいという意味で。でもカリギュラにはまだ芸術を敬い、純粋を愛する気持ちもあった。欺瞞と偽善を嫌い、真理と真実を尊んだ。
この舞台には、カリギュラとカリギュラを取り巻く4人の登場人物がいます。この4人が象徴的でとても魅力的だった。

カリギュラの年上の愛人 セゾニア
論理を追い求めるカリギュラに仕える エリコン
かつてのカリギュラと親交の深かった若い詩人 シピオン
冷静にカリギュラの行為を判断していた貴族 ケレア

この4人はそれぞれカリギュラの一部であり、カリギュラを理解するためのガイドであるとも言えて。
だから、その最期も象徴的だった。
愛であるセゾニアはカリギュラに葬られ、情熱(不可能と論理への、と私は解釈してます)であるエリコンはカリギュラを守るために死に、純粋であるシピオンはカリギュラの元を去り、冷静と論理であるケレアがカリギュラを殺す。
こう思うと、結果、カリギュラは論理に殺されたことになる。それを追い求めたが故に。
私は、舞台を見ていて、一番気になった、というか好きな台詞がケレアとカリギュラが二人で話をするところで、(うろ覚えだけど)
「何故俺を憎む」
「私はあなたを憎んではいない」
「では何故嫌う」
「あなたは有害だからだ」
というやつ。
ケレアは論理の人なので、カリギュラの言っていることが正しいことは解っている。ただ、その哲学とカリギュラの存在は市井の人間にとってはただ有害であるばかりだ。だから殺すのだと単純で明確な言葉で切り返す。
それが、すごく印象的だった。
余計なまどろっこしいことは何一つなくて。愛情とか憎悪とかそういう気持ちで訴えるのではなく(それはカリギュラにとって無意味)正しい論理とそれ故の答えの明快さがものすごく、私の気持ちにぐっときた。

カミュの戯曲は難解だと言われていたけど、私にとって舞台カリギュラは、とても理解しやすいもの。むしろわかりやすいくらい。哲学で形而上学的。でも舞台ではかなりリアルに感じられる。それは小栗さんの力かも知れないし、舞台で肉声で演じられているからかも知れないけど、全然難解じゃなかった。ちょっと渋澤龍彦に感謝したりもした。(私がフランス文学にあんまり抵抗ないのは渋澤のおかげと思ってる)
でもその代わりというか何というか。
相方ろろさんとずーっとカリギュラについて話してた。5日経った今でも話す。カリギュラの追い求めたものは何だったのか、何故彼は死に至らなければならなかったのか。
彼がもう少し年を取っていて分別があったら、あるいは彼が権力者でなければ。全く別のものになっていたんだろうか、なんて。
愛は論理と哲学の前には無力であるか、とか。カリギュラにとって愛は、なくすことによって真理に近づけてくれたもの、と言う位置づけなんだろうなぁとか。
欲しかったものは愛ではない。哲学の正しさの証明、論理の遂行、真理、あるいは不可能。
月が欲しいという詩的な言葉に表された、その不条理。




さらにこの先はミーハーな感想を(苦笑)

小栗さんとカリギュラはとても似合ってました。もの凄くよかった。美しく狂気。でもそれは狂気ではないことが解る、というか。…ま、ヴィーナスコスとかびっくりしたけどな。
今の置かれてる立場とか、そういうのがまさにドンピシャではまりすぎてた。計算してたのか蜷川さん!くらい思う。情熱大陸で稽古の時、台詞を噛んだりしているのに、蜷川さんが「完璧」と賞したのは、何か、ああーと思った。言葉ではなくてその感情や情念がもう、カリギュラだったんだなぁ、小栗さん。多分、とても深く理解してたんじゃないかと思う。
若村麻由美がほんと綺麗でね。私はもうお婆さん。ていう台詞があんだけど、いや、ちょっと待ってくれって感じで。今まであんまり注目してなかったけど、もの凄く美しかったです。
シピオン役の勝地涼君は、すごい可愛かった。びっくりした。若手の俳優さんの中では若干地味なタイプかなーと思ってたけど、すごいよかったよ、シピオン。カリギュラと二人で詩を交わすところとか、そこでカリギュラの純粋と絶望を垣間見るところとか、ぐっときた。
エリコン役の横田栄司さんは粗野で厭世的で、皮肉屋で色々とシニカルな口調が格好良かったです。最初はシニカルなのに、だんだんカリギュラに心酔しているように見えるところとか。厭世家ていうのがよく出てたのが、哀しみや辛さすら時間と共に薄れていくことに苦悩するカリギュラに「人はそれに折り合いをつけていくものです」て言うところ。ここすごい好き。
ケレアの長谷川博己さんはねー。ものすっげー格好良かった(言っちゃった…!)ケレアというキャラクターも長谷川さんの見た目も、すんません、すごい好みだった…なので、余計ケレアのシーンが印象に残ってるのかもなぁ。…て、そんな理由かよ。て感じですみません。

でも、4人の中で一番素直に従えるとしたらやっぱりケレアなのですよ。
それを正しく理解する故に、それは有害だとばっさり切れる。だからこそ、カリギュラもケレアが嫌いではなかった。みたいな気がするなぁ。


戯曲を読んでみようかな、と言う気持ちになりました。つか、若いときに読んどけよ、と言う気もしなくはないけどカミュなんて取っつきにくいじゃんね!



(13:23)

November 18, 2007

カズさんのグリッサンドの色気をこよなく愛するあんじです。こんばんは。

昨日見てきたカリギュラの話も書きたいんだけど、ちょっと色々考えることが多いので、先に、今日行って来た、勝手にしやがれのライブを!

場所はクラブ月世界。ここは、昔キャバレーだったハコで、ムードたっぷり。ちょっとおしゃれしていきたい感じですよ。そんなわけで、いつものライブとは違って、私はタキシードジャケット、ろろさんはお着物で!
でも、そんなパーティーファッションが似合う場所でした。

肝心のライブですが!
これがまた、もの凄くよかった!格好良かった!勝手とこのハコがぴったりなのもあるけど、もうテンション上がりすぎて(しかも飲み過ぎて)、壁際にいたにもかかわらず、踊りまくってしまいましたよ。なんだもう、格好いいなぁ。
もう細かいこととかどうでも良いんですよ。理屈じゃないんだよー。
ブラックマリアとかロミオとか、キチガイピエロとか。やっぱかっこいいよ。あとね、カリギュラを見たあとだからというのもあって、孤独とか自由とか論理とか真理とか美徳とか悪徳とか。そういうことも一瞬にして考えたりしながら。それでも踊り狂いながら。

なかなかにぐちゃぐちゃになってきました。
そして今、情熱大陸見ながら、もう一度、カリギュラについて考える自分がいたりするわけです。


(23:25)

November 15, 2007

前に書いたのは夏だよな!てくらいのおひさしぶり猫日記です。
11日の日曜日で、サブリナとチェルシーが我が家に来てからちょうど1年経ちました。
日々、いろんな事があるのですが、うちの子達はマイペース。よく食べよく寝てよく遊び。今日も元気です。
以前、サブリナの肝臓の調子が悪くて…と書いてましたが(6月頃かな)、なんと、食事を変えたら数値が正常に戻りました!薬は全然ダメで、でも肝臓自体には組織検査もしたけど特に異常もないし…と原因不明だったのですが、準処方食に変えただけであら不思議。
……それって、脂肪肝とかそういうことだったのかしら?やっぱり飼い主二人と同じでおいしいの食べ過ぎだったのかしら?みたいな気持ちです。おいしい缶詰が食べられなくなって可哀想ですが、健康のためなら致し方ないのです。
ついでにチェルシーも同じものに。でもさ、食への…なんだ。欲望?渇望?が全然違うので、チェルばかり太っていく。サブがぼんやりしている間にチェルがサブの分まで食べちゃったりねぇ…もう!食いしん坊なんだから。サブリナチェルシー
ちなみに、サブリナは3.7kgくらい。チェルシーは4.8kg……5kgが見えてきたよ!でも、おてんばなのはチェルの方なんだけどなぁ。
…並べてみるとさぁ、チェルが大きいの、よく解るよね。


そんな我が家にちょっとした異変?
実は今、一時預かりとして、黒猫の男の子を預かっています。沢山の猫を一時期に保護された保護主さんがいらっしゃって。そんでもってその中の一匹を里親さんが現れるまで、うちでお預かりすることになりました。
それが あめくん 男の子 2〜3才くらい?
すごい甘えたで、こりゃ、ニャンコを彼氏や息子にしたい方にはぴったりっすよ!て感じです。
暴れたりしないし、夜中の運動会もやらない、おとなしめの子のようです。でもなー、大きいんですよ!譲渡会でも、おっきい!と言われるくらいらしいのですが…体重聞いたら、6kg超…でもそれよりも大きく見えるのは体格がいいせいなのかなぁ。
ちょっとうちのお嬢ちゃん達に押され気味ですが(苦笑)、今のところ我が家で元気にしていますよー。
もし、猫を飼ってみよう!と思っていらっしゃる方がいたら、こういう落ち着いた大人猫はお勧めです。子猫はもちろん可愛いけど、図体でかい子がにゃごーんにゃごーんと甘えてくるのはそれはそれは可愛いですよ。とアピールしてみたりして。
早く本当のお家が見つかると良いよねーあめくん。
あめくん


大きさが解るかなー。
あめくんご飯中













ご飯中です



(15:34)

November 11, 2007

そんなわけで行ってきました!洋服の並木です。ふふふ。

洋服の並木

駅から徒歩3分くらい。一見どうみても町の仕立て屋さん(いや、確かにそうなんだけどね)とかクリーニング屋さんとかいった風情。
テーラードみたいにいかにも高級!敷居高!金持ちしか入れません!みたいな雰囲気は皆無。
ユニオンジャックがかかっているガラスの引き戸をあけると、出迎えてくれるのは、積み上げられた生地の山!
壁には、ミッシェル、キンブラ、スクービーなどのポスターがはられております。ミッシェルのビートルズの真似してハッピきてる奴とか、にやにや。
奥にいるおじさんに、メールしたものですーと言ってご挨拶。優しそうな感じの人。でもこの人が、チバもアベもウエノもキュウちゃんも採寸したんだなあ、とか思ったり。
おじさんのシャツがね、黄緑で胸に赤の刺繍でドクロだったのよ!お洒落すぎる…とか思いつつ、生地選び開始。
これがねー。非常に難航した。一人でプチパニック状態よ。
最初はベーシックに黒かなあ、もしくはピンストライプ?なんて思ってたんだが、目移りしまくり。
どんなのがイメージなの?ときかれたので、素直にミッシェルが好きで。とかいったら、千葉さんは黒と茶しか作らなかったねーとか、ちょっと派手目の生地をだしたら、インディーズのときは目立つように、派手なのきてた、とか、さりげに言ってくれるので、そこんとこ詳しく!などとがっつきたい気持ちをぐっと堪えてました。
あと、勝手にしやがれも名前を出すと、彼らのは全部ヨーロッパのビンテージなんだってさ!
あまりに決めあぐねているので、先に採寸しましょう、と見本品を着させていただく。自分が太ったことを実感した…何という醜い私の体。
まあ、それでも何とか採寸し、再度生地選び。結局、おじさんが、これとか渋いよ。みたいに言ってくれたブラウンのストライプにしました。
ジャケットの形はもちろん、ポケットの数、位置、襟の開き具合、ボタンのタイプ、身頃と袖口のボタンの数、パンツのシルエット、前のポケットの形、後ろポケットの形、丈(モッズスーツはちょっと短いんだって。普通丈でくるぶし下くらい。ブーツに入れるなら、もう少し短くするよ、といわれた)、を決め、それから裏地。これも難航しまして(苦笑)結局、おじさん曰く、並木では100人に1人という、グリーン系の裏地になりました。これに、名入れ…というか文字を刺繍してくれるんですが、それもさぁ、色々考えたわけ。ちょっと恥ずかしいしなー。とか思ってたら、これまたおじさんが
ミッシェルの最後のメッセージとか入れたら?
あああー、そんな心臓に悪いことできませんですよ!おじさん!なんてこと。
結局、ちょっとした言葉と、ターゲットマークを入れてもらうことにしました。
で、自分用のモッズスーツと、黒の礼服を発注して帰ってきました。

なんか、かなり緊張していったんだけど、結果的に面白かった。味を占めてまた作りに行きそう…
届くの楽しみだなぁ。届いたら、友達の結婚パーティーに早速着ていこうと思います。




(12:14)

November 08, 2007

今日は、今から日帰り出張。ただいま午前6時です。

そんな大変な仕事ではないので、気は楽。ここんとこ、脳みそをいろんな方向に使いすぎててしんどかったので、ちょっと息抜きか、な。
そして!仕事が終わったら、今日はあの、洋服の並木に行ってくるんだー!
スーツ作るんだよ。ドキドキしながら行って来ます!
…何しに行くんだ、お前(笑)


(06:03)

November 04, 2007

行って来ました。初JOY HEIGHTS。
ちなみにメンバーは、
 大友良英…ONJO,Filament,Cathode,and more.
 中村達也…LOSALIOS,ex-BLANKEY JET CITY,and more.
 百々和宏…MO’SOME TONEBENDER.
 tatsu…LA-PPISCH.
ボーカルレス、インプロ系のライブはちょっと苦手かもーと思っていたのですが(一回、何かで挫折したことがあってプチトラウマ)、なんのなんの。楽しかった!
1時間くらいのアクトだったんだけど、もの凄い盛り上がった。演奏はもちろんすごくって!
大友さんのギターもだけど、サンプラー?エフェクター?でのアクトが楽しかったし格好良かった。tatsuさんは、割とクールなステージング。百々はなんか、リラックスしてた。ずっとニコニコしてた。あの百々が!楽しそうでした。ギターは相変わらずのクレイジーぶりであと、VOではなくて、何だ…雄叫び?みたいなのとか。でも、百々の声とかも百々の歌の独特のフレーズ感みたいなのがすごい好きなので、きゃー!てなった。
達ちゃんは、相変わらずのクレイジードラマーで、でも格好良くて響くねー、体に。ドラムセットがあんなに前に出てるステージレイアウトも滅多にないと思うけど、やっぱり、主役!て感じでした。それにしても格好いいよなー。
そんな、とにかく踊れて、かっこよくて、なぜビールが飲めないのかー!みたいなテンションのアクトですごい気持ちよかったJOY HEGHTS。でも、MCはチャーミングすぎて倒れた。
何か、やっぱり百々と達っちゃんを注目してみてたんですが。
メンバー紹介で「クレイジーレッドギター百々」て紹介されたときにちょっと肩を竦めて笑ってみせる百々とか。
曲が始まる前に、たっちゃんが百々に合図?を送ってるんだけど、何か解らなかったらしい百々が近づくと、「テレパシー、テレパシー」て小声で言う達っちゃん。それに百々が小さく首を横に振るので「やっぱり話しあわないかんか」という達っちゃんに百々さん頷く。とか。
あと、最後の一人一人の紹介に『百々和宏』とちゃんと言えない達ちゃんとか。
最後に「enjoyJOYJOY JOY HEIGHTS!」とかさあー!
なんつー可愛さ…!笑顔もチャーミングでした、ほんと。(大の大人に可愛いもないとは思うけど、なんていうの?こう母性本能的な何かをくすぐられるような)

百々と達ちゃんが一緒にやるっていうので、興味津々だったJOY HEIGHTSは、今年のEZOで聞かなければ、もう、縁がないと思ってたんですよねー。
なので、京都造形芸術大学に感謝。(それにしても渋いブッキングだった)
大学の中も素敵でしたよ、講堂がすごい山の上にあるような感じで、街が見下ろせて。眺めよかった。ライブが終わって出てきたら、ちょうど夕暮れ時で、綺麗な暮れゆく空が出迎えてくれました。
…カメラ持ってけば良かった。

(09:18)