2005年10月17日

ぼくならこうする

ひとのいいネコ


前回の田島征三さんの絵本に続いて、またしても、田島征三さんの絵本。

ぼくは、田島征三さんの躍動感あふれる絵とともに、自分をかえりみるために、たまにこの絵本を開きます。

お話を書いている人は田島さんではないので、とりあえず絵についての感想から。

絵は、やはり躍動感あふれるタッチで描かれています。ねこって、こんなに表情があるのか、というのが正直な感想です。表紙の絵からは、ねこのかわいい笑顔をうかがうことができるし、お話の中では、人間のように豊かな表情をうかがえます。

それは、あせった表情やびっくりした表情をはじめとする、百面相(とまではいかないけど)。

絵本にはありがちな、動物を擬人化した物語だけれど、表情に関しては、子どもと同じくらいのかわいさやいとしさを表現されていると思います。

さて、お話の方ですが、とりあえず、つっこんでおきましょう。

ねこなのに、人がいいんか。

はい。そうですよね。そこは言っておかないと。


このねこは、いわゆる『人のいい』ねこなんです。

たとえば、おじいさんのねこには、ねずみをとってきてあげたり、怪我をしたねこあれば、代わりにえさをあげたり。

こういう人って、人間の世界にもたくさんいますよね。そういう人のおかげで、みんながあったかい気持ちで生きているということは、少なからずあると思うのです。

だから、こういう人、いや、こういうねこがいるっていうことは、きっとだれかはありがたく思っていると思います。


ですが、このお話は、ちょっとちがう。いや、ちがうのかわからないけれども、なぜ紹介したかといえば、もちろんみなさんに読んでいただきたいのだけれど、それ以外に、ぜひみなさんの意見を聞きたいなって、思ったからなんです。

実は、この絵本には、
『ひとのいいネコ』
という題名のほかに、副題のようなものがあって、それは、
『−きみならどうする−』
と、表紙に書いてあるのです。

だからこそ、みなさんにも、
『あなたなら、どうするか』
がききたくて、書いてみようと思ったわけです。

さて、何が、『−きみならどうする−』なのかというと、
このネコは、人がいいだけあって、みんなのためにいろんなことをしています。

ある日、1匹のノミがやってきて、ネコに
『少しの血を分けてください』
とお願いするんです。

もちろん、人のいいネコなわけですから、
『どうぞどうぞ』
なんて言って、ノミに血をあげます。

すると、10日後にそのノミが、10匹の子どもノミを連れて、またやってきます。
『子どもたちに少しの血を分けてください』

もちろん、人のいいネコなわけですから、
『どうぞどうぞ』
なんて言って、11匹のノミに血をあげます。

この後にも、ノミはどんどん増えながら、ネコに血を分けろと言ってくるのですが・・・。

さあ、みなさんにもにたような経験がある方がいるかもしれないし、そうでない方もいると思います。このノミのように、人の良さに付けこむ人もいるでしょう。

でも、みんさんがこのネコだったら、どうしますか?

どこまでも、人のいいままで、増え続けるノミに血を分けますか?

この問いを、いつか子どもたちにしてみたいと思っているんです。

絵本を読んできかせ、『−きみならどうする−』と、きいてみたいんです。

もちろん答えはありません。だから、どんな答えが返ってきても、帰ってこなくてもいいんです。『自分なら、どうするか』ということを考えてもらえたら、ぼくにとっては、万々歳なんです。この『自分なら、どうするか』を考えることは、以外にしないで過ごせます。というより、考えなければ、一生考えないで過ごすこともできるのではないでしょうか?

『ぼくならこうする』
という、思いを自分の中に見つけたり、気づいたりすることが、自分を理解してゆくことなのではないかなぁ、などと考えます。

自分の思いを知ることは、ぼくはとても苦手です。
自分のいやな部分をありありと見せつけられたり、ダメな部分を露呈しまくるようなものですから。

なぜ、そんなことを子どもたちにさせたいかといえば、たくさん苦しめたいんです。
といっても、ぎゅーって、首をしめるとかじゃなく。

苦しい思いをしてこそ、自分を見つけられるのではないか。なんて、えらそうですが、いつかやってみたいなぁ。と思うわけです。


みなさんの中に、この絵本を読んだことがあって、ご意見を寄せてくださる方があれば、とてもうれしいです。もし、読んだことない方も、これを機会に、この絵本にふれていただければ、とてつもなくうれしいです。

ひとのいいネコ

  

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2005年10月02日

くさむらガ・サ・ゴ・ソ

くさむら


いや、ほんとに、便利な時代ですね。
さがしている絵本や、書店で見つからない絵本をパソコンでカチカチっと探してこう入ができる。とっても楽で、もうAmazonのとりこです。

ぼくの好きな絵本作家のひとりに、田島征三さんがいます。

田島征三さんが描く絵本の多くは、日本の民話の挿絵のようですが、オリジナルやエッセイも多く出版されているようです。


その中でも、このくさむらという絵本は、なんだかいいです。

なにがいいかって、ぜひ読んで感じてもらいたいのですが、少ない言葉で語る、情景にいろいろなものを感じれるからです。

たとえば、気温。
きっと、初夏のような気がします。って、勝手に決めちゃっているけど、読んだ人の想像でいいです。ぼくは、初夏を想像しました。
5月の少し暑くなってきた季節。
こん虫や植物が、ここぞとばかりに楽しそうな季節。
涼しい朝にだまされて、上着を着ていくと、後で後悔する季節。
そんな季節を感じます。

それだけでなく、音。
虫の動く音、植物が風でゆれる音、何かが転がっていく音、子どもの走る足音、笑う声、いろいろな音を想像してしまいます。人間は、ちらりとも出てこないのですが。

まるで、その想像は、かつて子どもだった自分がくさむらを駆けていたかのような、なつかしさを覚え、胸が高鳴るような、息苦しさに、ズキューンとやられるわけでございます。
いつの間にか大人になってしまいましたし、まだまだ子どもでいたいぼくとしては、このなつかしさは、ドキっとさせられるし、大人になってしまった自分を認めてしまう冷や汗をかかせられるものです。その感覚が、やっぱり何ともいえず・・・。


田島征三さんが描く絵本は、絵がいい具合で何ともいえないのです。
言葉にすると、うすっぺらくていやなのですが、あえて言葉にするなら、躍動感と空気と音が、目の前に飛びこんできてしまったような絵です(あくまで、ぼくの感想です)。

その躍動感に、カンパイ。  
Posted by angry_arthur at 22:31Comments(3)TrackBack(1)

2005年10月01日

考えさせたいのであって、

はじめ小さな草原に



最近買ったのは、この絵本。
いわゆる、戦争がどんなにみにくいかというような内容です。

でも、これを知ることは大事だなぁ。と思って、いつか子どもに読みきかせしたいと思います。


人間にとって欠かせないものって何だろう?

そんな風にきいてみると、必ず出てくるであろう「水」。つまり「Water」

海外に行って、「ウォーター、プリーズ」なんて言っても絶対もらえない。
「わら゛」っていうと、伝わるんです。

まぁ、あんまり関係ないんですけど、この絵本は、その「わら゛」を取り合うお話なんですね。

「水」という、生きることに欠かせないものだから、それを持たない人にとっては、死活問題。だから、取り合ってしまうんですね。


結局、うばい合うことでは、だれかが傷つくだけで、後には何にも残らないのだとわかっていても、どうしても死活問題になると、だれもが我を忘れて取り合ってしまう。

それが人間であるのだろうし、「ぼくは、死活問題と言えど、取り合いません。みなさんでお分けください。」なんて言う人間がいたら、大きな声で「うそつけ」っていってしまうかもしれない。死ぬことがいやではない人もいるかもしれないが、ぼく自身、死にたくない。

だから、死活問題になれば、我を忘れて取り合うことだろうと思う。

そこにはなにもないのに。


この絵本を、もし子どもに対して読んだのならば、伝えたいのはただ一つ。
うばい合うことがいけない、ということではなく、人間とは、そういう歴史を作ってきたのであるし、みんなにもそういう気持ちが生まれてしまうかもしれない、ということだけ。

うばい合うことの善し悪しは、自分をふくめた人間が、うばい合う気持ちを持つかもしれない生き物であることを知ってから、一人一人が考えなくてはいけないことで、だれかに「いけないよ」なんて言われることじゃないなぁ、と。

そういうふうに考えさせたいだけなんですけどね。
いや、教えたいんじゃないってこと。


できれば、自分は、このことを知って、かの相田みつおのように
「奪い合えば足りず、分け合えばあまる」
という、境地まで達したいと思います。

相田みつおだけでなく、FIRE BALLというアーティストたちが、このメッセージをレゲエで歌っています。

はじめ小さな草原に
  
Posted by angry_arthur at 14:56Comments(3)TrackBack(0)

2005年02月22日

カエルの名は・・・

『びびび絵本Web』、第22冊のテーマは『絵本で遊ぼう!!探そう!!見つけよう!!』です。そこで、この絵本を紹介。

以前にこの絵本を紹介をしました。


ぼくがげんきにしてあげる  続きを読む
Posted by angry_arthur at 23:14Comments(0)TrackBack(1)

2005年02月17日

『成長』という絵本

昨日、職場の子どもたちに読み聞かせ下絵本は、ぼくにとって『成長』の絵本です。

その絵本とは、こちら。

うんこ日記
  続きを読む
Posted by angry_arthur at 23:16Comments(4)TrackBack(0)

2005年02月13日

絵がないからこそ

『びびび絵本Web』の『絵が言葉以上に語る絵本』にトラックバック。

皆さんにいつも絵本の紹介をお任せしすぎているので、ここらで一冊ぼくも紹介させてください。

今日は、この絵本。言葉がまったくないというわけではないけれど、言葉のないページにこそ、その強さをとても感じる絵本です。


やっぱりおおかみ

詳しい絵本の紹介は、『孤独の強さを持つ』をご覧下さい。

佐々木マキさんのえがかわいらしい絵本ですが、そのカワイさこそ、この絵本の『キモ』です。かわいいからこそ秘められたメッセージの『恐さ』が際立つような気がします。

しかも、言葉がないシーンが多く、そこでは読んだ人それぞれの感じ方ができるのではないでしょうか。とりわけ子どもには、この絵本の持つ強さというメッセージを読み取ってもらいたいです。  
Posted by angry_arthur at 13:38Comments(3)TrackBack(1)

2005年01月17日

おいしいスープは、友達の味。

今日、職場で子どもたちに絵本を読み聞かせしました。

今日、読んだのは、この本。

かぼちゃスープ  続きを読む
Posted by angry_arthur at 22:27Comments(3)TrackBack(1)

2005年01月13日

アンデルセンですねん

先日、職場で、アンデルセンの
すずの兵隊さん
を読み聞かせしました。  続きを読む
Posted by angry_arthur at 23:33Comments(2)TrackBack(0)

2005年01月08日

空も息も、白い白い。

久しぶりに絵本を紹介させていただきます。
なんで、多少気合も入りつつ、まったりと行かせていただきます。


雪のかえりみち
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Posted by angry_arthur at 21:22Comments(0)TrackBack(1)

2004年12月21日

朝だ!! コケッと、鳴かずばなんと鳴く?

『びびび絵本Web』の第13冊のテーマは、『いちにちのはじまり』です。

そこで、こんな絵本を紹介。

コッケモーモー!
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Posted by angry_arthur at 13:20Comments(0)TrackBack(1)