2024年09月17日

入院考

先日、当院休診中に体調を崩されて近くの大きな病院に入院されてそのままお亡くなりになられた患者さんがいらっしゃいました。


詳しい内容は長くなりますので要点だけ・・・


飼い主さんがご挨拶にお越し頂いた時の内容です。


飼い主さん御自身もワンちゃんの容態が悪いのは承知での入院だったとの事です。


そして翌日の朝、担当医さんが朝出勤すると入院犬舎で冷たくなってたと報告を受けたとの事です。


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お話をお伺いしてなんのための入院だったのか残念でなりません。


今の日本に於ける獣医療の現状では入院患者さんを24時間管理できるシステムがある病院はごく一部の施設だけだと思います。


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当院では基本的に入院が必要な手術などは最近はお受けしない事としています。


幸い近隣にはしっかりとした入院システムをお持ちの病院さんもありますので、たとえ私自身が手術ができる病気であってもその後の管理が人員的にも入院管理が難しい状況の場合はそれらの施設を御紹介する様にしています。


それでも緊急などでどうしても当院でお預かりしないといけない場合は、私自身の家に連れて帰って家族で看護をしています。


「では不妊手術とかもやらないの?」

とお考えの方もいらっしゃると思いますが、当院は基本すべて日帰り手術となります。


ご家族のいない環境で過ごすよりは、少しでも早くご家族の元へと帰る方が動物たちのストレスは軽減されます。

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2019年03月23日

無麻酔歯石除去って???

明日は2019年度日本小動物歯科研究会の年次大会です。



私の今日の診察終了後は東京まで・・・✈



毎年の様に無麻酔下での歯石除去にまつわる事故が話題となります



残念な事に、巷では歯周病の本質を知らずに「無麻酔歯石除去は安心・安全」などと謳って動物にとっては何の意味もなく若しくは悪化させながら歯周病治療の真似事をしている人達をよく見かけます。




2年前に私が報告したスライドから・・・



デンタルケアの疑問についてのアンケート結果





未だに多くの方が「無麻酔歯石除去」についてその方法を模索しています。





以下は今まで当ブログでも何度かご紹介させて頂いた人の歯科医の先生の意見となります。



内容は痛みと言う観点から述べられています。



果たしてホントに無麻酔での歯石除去が動物にとって優しいのか・・・



以下ご参考下さい。






無麻酔下での歯石除去の問題点 (日本小動物歯科研究会HPより)


犬の飼い主の間で動物の歯石除去に麻酔が必要か否かの議論があります。一部の動物病院 では、身体へのリスクが少なく「動物の体に優しい」という理由から麻酔なしで治療を行っております。これに対して、獣医歯科学を専門とする医師らから、無麻酔での治療はむしろ動物に肉体的・精神的苦痛を強いることになるという指摘があります。無麻酔で治療 を行う方が「動物の体に優しい」のか、麻酔下で行う方が適切なのか歯科医師としての立場から考えてみます。 麻酔なしで犬の歯石除去が可能なのか愛犬で試してみました。歯周ポケット内の歯面に硬く付着した歯石を除去するためには、スケーラーの鋭利な先端部を根面にあてがい力をかけ細かく動かすという動作が要求されます。金属性のスケーラーを歯に当てると犬は首を 激しく振り嫌がります。頭を強制的に押さえると体を強張らせ逃れようともがきます。この状況では歯石除去はできません。結局、歯石除去は断念しました。無麻酔での歯石除去の試みから、麻酔なしでは治療中に動物の急な体動を防ぐのは困難 で、スケーラーにより動物の舌や口腔粘膜、顔面を傷つける危険性があることが分かりました。ヒトと異なり犬は口をあけたままの静止状態を維持できないので時間のかかる緻密な処置を行うことが不可能です。また、不快な状況から逃れようと犬が術者や介護者を咬む危険性もあります。愛犬は金属製のスケーラーを見ただけで顔を背けました。除石時の痛みには渾身の力を振り絞って抵抗しました。この様子から犬が恐怖や苦痛を感じているように思えます。犬が精神的苦痛を覚える能力があるなら配慮が必要です。精神的苦痛とは恐怖や痛みを覚えても動きを封じられ逃げることができない状況から生まれる苦痛です。痛みは感覚で主観的体験です。苦痛は情動的な経験です。情動とは思考、学習・記憶などの高次精神機能の一つです。動物の心の中に入り込むのは困難ですが、動物が何を回避し何を欲しているか を実験で示すことは可能です。痛みと鎮痛に動物がどのように反応をするのかを示すラットの実験があります。ラットを鉄板の上に置き温度を上げていくとラットは熱に反応し足を引っ込めます。次に、モルヒネ様の化学物質を与えると足を引っ込める動作が遅くなります。また、ラットに甘い水と鎮痛薬を混ぜた不快な味のする水を与えると、健康なラットは甘い水を選択して飲みます。関節炎にかかっているラットは不快な味がしても鎮痛剤を含む水を選択します。この結果から動物は痛みを覚え疼痛を回避しようと鎮痛を欲する行動を起こす能力がある事が分かります。次に、動物の歯石除去に麻酔を使用しない理由を検討してみます。麻酔使用に反対する医師は合併症の発症を危惧しています。全身麻酔の合併症としては、血圧や呼吸器系の障害、目のかすみ、頭痛、吐き気などがあります。麻酔反対の医師は、麻酔時に現れる不快な症状が動物の体を傷つけ、場合によっては死亡に至る例もあると主張します。また、合併症で飼い主とトラブルになることを憂惧しあえて麻酔を避ける医師もいるかもしれませ ん。全身麻酔の重篤な合併症の発生頻度は極めて稀なので、全身麻酔下で治療を行うメリッ トの方が明らかに大きいです。合併症のリスクより患者の利益が大きく上回るので全身麻酔導入は正当化されます。犬には苦しむ能力があるので不要な痛みや苦しみから保護しな ければなりません。意識がある状態で体を押し付けて治療を行えば犬を苦しめることになるので「動物に優しい」ことにはなりません。麻酔下では無意識、無痛、不動状態となりますので痛みのみならず動物の動きから生まれる危険性を回避することができます。犬に危険や苦痛を与えずに適切な歯周治療が達成できるよう麻酔下で歯石除去が行われるべきと考えます。

animal21 at 18:33 | この記事のURL | Comments(0)

2019年02月04日

てんかんの新しい治療法

寒い時期に悪化しやす病気の一つに「てんかん発作」があります。


残念ながら毎日のてんかん治療薬を飲んでいても発作が出てしまうワンちゃんもいます。


そんな時は緊急用として「座薬」を使ってる飼い主さんも多いと思います。
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当院でもよく処方していました。



また最近では座薬よりより効果が早いとされてる治療法の「注射薬」を直接肛門から注入する方法にシフトしている動物病院さんも多いです。
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さらに「鼻からお薬を注入」する方法が人の医療では用いられる事が多く、獣医療に於いても検証されています。

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当院でも何頭かのワンちゃんに使ってみましたがデーター通りに従来の座薬療法より効果が表れるのが雲泥の差と感じます。



てんかんが治まるまでの時間の平均データーです。


座薬15〜30分>注射薬の肛門注入3〜4分>点鼻噴霧1分以内


てんかんの治療法も日々進歩しています。


動画は点鼻噴霧器による噴霧の状態です。
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animal21 at 19:05 | この記事のURL | Comments(0)

2019年01月01日

謹賀新年

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新年あけましておめでとうございます🎍



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今年の21動物病院は継続の患者さんの点滴治療からスタートです。


今年もどうぞ宜しくお願いいたします



スタッフ一同、初心に戻って新たなスタートの気持ちで頑張って行きます



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21年前の21(ツーワン)動物病院開院当初のお宝(?)画像です






animal21 at 16:20 | この記事のURL | Comments(0)

2018年04月08日

今年の狂犬病ワクチンが始まってます。

当院では


平成30年度狂犬病予防注射・登録を3月2日より受け付けています。


堺市の方は役所よりの通達封書をお持ちいただくと手続きがスムーズに行えます。




他の市町村にお住まいの方は狂犬病ワクチン接種証明書を発行しますので最寄りの保健所での手続きが可能となってます。

狂犬病


4月からは毎年の様に公民館や最寄りの学校などでの集合注射も行われます。


愛玩犬の狂犬病予防注射は動物病院で接種される事をお勧めします

animal21 at 13:34 | この記事のURL | Comments(0)

2018年03月12日

偽造薬品

当院でもたまに飼い主さんから


「薬はネットで買ってますから・・・」 


「これネットで買ったんやけどどうですか?」


などとご質問を受ける事があります。



基本的にネットで購入の食事やお薬に関してはアドバイスしかねます。



特に外国語で表示されてるモノに関しては、法的にグレーゾーンのモノがあったり偽造品のモノまで存在します。




先日も日本人の方が個人輸入していたある種の癌のお薬が「偽物」であったとニュースでも報道されていました。



実際に昨年アメリカでは皆さんもよくご存知の「フロントラインプラス」や鎮痛剤の「リマダイル錠」の包装を偽造していた会社が摘発されたり、中国でも不法な動物薬製造業者が摘発されていたりもするとの事です。


おそらくこれは氷山の一角だと思います。



私たち獣医師が売るのは「安心・安全」となります。


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農水省も警告しています。


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あなたが購入しているものがホンモノと言う保証はどこにもありません。






animal21 at 16:20 | この記事のURL | Comments(0)

2018年01月02日

謹賀新年

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明けましておめでとう御座います

昨年は皆さまには大変お世話になりました。


本年もどうぞ宜しくお願い致します


新年は5日よりの診療となります。

animal21 at 23:35 | この記事のURL | Comments(0)

2017年10月23日

私たちのミッション

21(ツーワン)動物病院にはスタッフみんなで考えた「約束」があります。


ミッション



動物を飼ってらっしゃる飼い主さんにはそれぞれの価値観が存在すると思います。




家族としての愛玩犬(猫)、聴導犬や盲導犬の様な使役犬、昔ながらの番犬、ショードッグ(猫)や繁殖犬(猫)、地域猫など・・・





どの飼い方が正しいのか正しくないとかはココでは議論しません。





21のスタッフはみんな動物が大好きです





しっぽフリフリやゴロゴロにゃんにゃん、そんな動物の喜ぶ姿が見たくて21に入って来ました。





看護師は看護師の立場、トリマーはトリマーの立場、そして私は獣医師としての立場で





飼い主さんにはその動物が幸せになれる事を最優先に考えてお話しさせて頂いています。




これからも私たちの考えに共感して頂ける飼い主さんと一緒に頑張って行きたいと思います・・・






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2017年03月23日

愛犬と飼い主さんが歯周病で苦しまないために・・・

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年に2回の日本小動物歯科研究会症例発表会に参加してきました


内科や外科、眼科、皮膚科などの勉強会は日常的に開催されていますが歯科分野となるとまだまだ殆ど開催されていないのが現状です。


そんな中日本全国から歯科を勉強されてる獣医さんが一同に集まるのが先日私が参加してきた学会となります。
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その中でのトピックスを御紹介します。


3歳以上のワンちゃんの約8割は歯周病である


とよく言われていますが、それはかなり昔のアメリカのしかも大型犬のデーターとの事です。


今の小型犬が中心の日本の現状は


1歳を超えたワンちゃんの約9割が歯周病であるとの事です。
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私の勉強会用のスライドも訂正です!


また毎回議論になりますが「無麻酔歯石除去の是非」に関しても討論が行われました。
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結論はダメなものはダメで、施術者が如何なる理由を付けようが無麻酔下での歯石除去はやるべきではありません。




あと著名な獣医歯科専門医の先生が言ってた言葉に


「獣医師指導で歯周病は予防できる」と言うのがあります。


2013年にアメリカ動物病院協会が犬・猫の歯科治療に関してのガイドラインを出しています。
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当院でもこのガイドラインに沿って全身麻酔下での予防歯科を推奨しています。




残念ながら当院に歯科初診で来院される患者さんの多くは重度歯周病患者さんです
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「この子の歯は顎の骨が溶けてるので抜歯手術となります・・・」

この様なお話をさせて頂くと多くの飼い主さんが驚かれます。



おそらく若い時期から年に1回の麻酔下での適切なスケーリング処置を行っているとこの様な事はなくなるはずです。


全身麻酔の安全性と同時に「今年も綺麗なお口でしたね」と言える様に我々獣医師はもっともっと啓蒙して行かないといけません。
麻酔科医




無麻酔下での歯石除去は歯周病治療ではなく、動物病院での歯周病診断・治療を遅らせる結果となります。



動物にとって何が優しい治療なのか?



デンタルケアに関しては動物病院とトリミングサロンのそれぞれの役割を考え直す必要があります。









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2017年02月17日

3年前に紹介した当院ブログから

20100904残念な事にまだまだ無麻酔で犬の歯石除去を行ってる病院やサロンがあります(+o+)

小動物歯科研究会のホームページより、無麻酔で動物の歯石を取ることに対する人間の歯科医の先生の考え方を紹介します。

長文になりますがご参考にして下さい。

無麻酔下での歯石除去の問題点

犬の飼い主の間で動物の歯石除去に麻酔が必要か否かの議論があります。

 一部の動物病院では、身体へのリスクが少なく「動物の体に優しい」という理由から麻酔なしで治療を行っております。

 これに対して、獣医歯科学を専門とする医師らから、無麻酔での治療はむしろ動物に肉体的・精神的苦痛を強いることになるという指摘があります。

 無麻酔で治療を行う方が「動物の体に優しい」のか、麻酔下で行う方が適切なのか歯科医師としての立場から考えてみます。

 麻酔なしで犬の歯石除去が可能なのか愛犬で試してみました。歯周ポケット内の歯面に硬く付着した歯石を除去するためには、スケーラーの鋭利な先端部を根面にあてがい力をかけ細かく動かすという動作が要求されます。

 金属性のスケーラーを歯に当てると犬は首を激しく振り嫌がります。頭を強制的に押さえると体を強張らせ逃れようともがきます。この状況では歯石除去はできません。

 結局、歯石除去は断念しました。 無麻酔での歯石除去の試みから、麻酔なしでは治療中に動物の急な体動を防ぐのは困難で、スケーラーにより動物の舌や口腔粘膜、顔面を傷つける危険性があることが分かりました。

 ヒトと異なり犬は口をあけたままの静止状態を維持できないので時間のかかる緻密な処置を行うことが不可能です。また、不快な状況から逃れようと犬が術者や介護者を咬む危険性もあります。 愛犬は金属製のスケーラーを見ただけで顔を背けました。除石時の痛みには渾身の力を振り絞って抵抗しました。

 この様子から犬が恐怖や苦痛を感じているように思えます。犬が精神的苦痛を覚える能力があるなら配慮が必要です。

 精神的苦痛とは恐怖や痛みを覚えても動きを封じられ逃げることができない状況から生まれる苦痛です。痛みは感覚で主観的体験です。苦痛は情動的な経験です。

 情動とは思考、学習・記憶などの高次精神機能の一つです。動物の心の中に入り込むのは困難ですが、動物が何を回避し何を欲しているかを実験で示すことは可能です。

 痛みと鎮痛に動物がどのように反応をするのかを示すラットの実験があります。ラットを鉄板の上に置き温度を上げていくとラットは熱に反応し足を引っ込めます。

 次に、モルヒネ様の化学物質を与えると足を引っ込める動作が遅くなります。また、ラットに甘い水と鎮痛薬を混ぜた不快な味のする水を与えると、健康なラットは甘い水を選択して飲みます。関節炎にかかっているラットは不快な味がしても鎮痛剤を含む水を選択します。

 この結果から動物は痛みを覚え疼痛を回避しようと鎮痛を欲する行動を起こす能力がある事が分かります。

 次に、動物の歯石除去に麻酔を使用しない理由を検討してみます。麻酔使用に反対する医師は合併症の発症を危惧しています。全身麻酔の合併症としては、血圧や呼吸器系の障害、目のかすみ、頭痛、吐き気などがあります。

 麻酔反対の医師は、麻酔時に現れる不快な症状が動物の体を傷つけ、場合によっては死亡に至る例もあると主張します。また、合併症で飼い主とトラブルになることを憂惧しあえて麻酔を避ける医師もいるかもしれません。

 全身麻酔の重篤な合併症の発生頻度は極めて稀なので、全身麻酔下で治療を行うメリットの方が明らかに大きいです。

 合併症のリスクより患者の利益が大きく上回るので全身麻酔導入は正当化されます。

 犬には苦しむ能力があるので不要な痛みや苦しみから保護しなければなりません。意識がある状態で体を押し付けて治療を行えば犬を苦しめることになるので「動物に優しい」ことにはなりません。

 麻酔下では無意識、無痛、不動状態となりますので痛みのみならず動物の動きから生まれる危険性を回避することができます。

 犬に危険や苦痛を与えずに適切な歯周治療が達成できるよう麻酔下で歯石除去が行われるべきと考えます。

animal21 at 17:35 | この記事のURL | Comments(0)