ワーキングメモリーと軽度発達障害

軽度発達障害とワーキングメモリーという概念は、それぞれの障害において 関与しているといわれています。 ワーキングメモリーはトレーニングによって改善可能と いわれています。 多くの研究者が、前前頭皮質がワーキングメモリー機能と 関係していると考えている場所ですが、 ワーキングメモリに関連する脳の活動がトレーニング後、前前頭皮質などで 増加していると報告されています。
軽度発達障害児は増加しているといわれていますが、 その症状も様々で、高機能広汎性発達障害(HFPDD、アスペルガー症候群、高機能自閉症)、 ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、ADD(注意欠陥障害)、 などがあります。 単独障害だけでなく、また、合併症状が見られる場合も多いです。 例えば、LD(学習障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)、 ADD(注意欠陥障害)と高機能広汎性発達障害(HFPDD、アスペルガー症候群、高機能自閉症) というような合併症状が組み合わさっているケースも見られます。
認知心理学において、ワーキングメモリー(Working Memory)とは、一時的に 情報を保ちながらコントロールするためのプロセスや構造を意味する構成概念で。 作動記憶とか作業記憶ともいわれることがあります。 普通、ワーキングメモリーに関与するのは頭頂皮質、前頭皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部 と考えられています。
すでに、大脳皮質のドーパミンD1受容体の密度の変化とワーキングメモリーの トレーニングの改善との関係が報告されています。 脳化学のレベルで伝達物質ドーパミンと ワーキングメモリートレーニングによる脳の関係、 トレーニングによる変化は、皮質のD1受容体にだけあり、 基底核のD2受容体にはないことなどが報告されています。
さらに、高機能広汎性発達障害(HFPDD、アスペルガー症候群、高機能自閉症)、 ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、ADD(注意欠陥障害)などの 軽度発達障害とワーキングメモリー、短期記憶、長期記憶形成、 脳の前頭葉、前頭前野、二重貯蔵モデルに関する研究が期待されます。