旅の醍醐味。それは出会いである。
いつもと違う場所でいつもと違う人と話すのはすごく楽しい。
現地の友人を訪ねる旅ではあったけれど、せっかくロンドンに行くということで旧友とも連絡を取って落ち合った。
(こういうとき、facebookのパワーってすごいなと思う。誰がどこにいるって、すぐわかるんだもの)

一人は、アメリカに一緒に留学した同じ大学の友人。
総合商社に勤める彼は船舶畑に従事しており今はでロンドンに居を構え、 一時的にデンマークのコペンハーゲンで仕事をしているそうな。デンマークは松本より寒いみたいでキツそうだったけれど、家には船の模型が飾ってあり、仕事のことを活き活きと語る姿はすごく気持ちが良かった。

もう一人は、日米学生会議で同期だった大学時代の友人。
コンサルティング会社に勤めており、 去年からイギリスにてMBAに通っているとのこと。忙しい時間を縫ってロンドンのPUBで一杯。一見、経歴的には超エリートにみえるのだけれど、現在生き方について再考中とのこと。 会話をはずませつつ、自分のペースはしっかり保つ、その小気味よさが心地よかった。

最終日には、一緒に旅をした友人の学校の友達二人を紹介してもらってスペイン料理屋でディナー。
初めはバカ話で盛り上がっていても、バックグラウンドの全然違う人たちがいつの間にか将来のことについて熱く語り合う。期待と不安の入り混じった少し大人なトークが繰り広げられていた。その点で一度仕事をしてから再度学びの場に帰ってくるというの面白いな、と感じた。(途中寝てしまいすみませんでした)

そして、番外編のできごと。
男二人の旅ってことで、ロンドンでは1泊20ポンドのYHを予約していた。 YHの醍醐味って、割安な料金に加えていろんな人がうじゃうじゃいること。飲んで帰ってロビーで少し休憩していると、後から入ってきた日本人らしき人が声を掛けてきた。「同じ年か少し下くらいかな」と思っていたけれど、話を聞くと今大学二年生で長期休暇を活かしてヨーロッパを自転車で旅しているようだった。キラキラ目を輝かせて話すもんだから、自分も話がしたい気持ちがぐっと湧いてきたにも関わらず、酔っぱらっていたし疲労はピークに達していた。
『10年前初めて海外旅行に一人旅に出て以来、国内外のいろいろなところで人生の先輩と交わした会話が今でも心にすごく残っているから、その積極的な姿勢が大事だよ!』って思いを伝えたったんだけれど、極度の眠気に襲われる中で出てきた言葉は明らかに舌足らず。

「オレも君ぐらいの年齢のときはアメリカとかペルーとかバックパックしたんだよ。あーでももう眠い。お先に失礼。」

翌日、友人に「あのあと何故あんなに疲れていたのかを必死で説明したよ。あれは最悪だよ。」と指摘を受けた。ああ、その通りです。朝受付でその若者と会ったときに思わず目を伏せてしまった。

実は意識の中では、僕はまだまだあのキラキラ輝いていた大学生の側に立っているようだった。
だが、現実は違った。もう自分はあっち側じゃないんだと、事実を持って突き付けられた。しかも格好悪い。

たった5分もなかった出来事だけど、そのインパクトは個人的にすごく大きかった。学生時代に「旅で出会った人生の先輩たち」の方が年齢的にも今の自分に明らかに近くなっていることに改めて気づく。そう、自分はもうこっち側。

今回旅をして思ったこと。
世界は多様性に満ちていて、可能性にも満ちている。その気になればいつからでもスタートできる、はず。
しかし同時に、持ち時間は限られている。タイムリミットは刻一刻と迫っている。

社会に出て5年間、今に賭す瞬間がどれだけあっただろう?
決意だけで決断まで至っていないことばかりじゃないのか?

もう一度、ここから、花を咲かす!
待ってろ5年後の自分!!