日記

1990年生まれ。虚実入り混じっております。

2014年01月

【28】今日の日記。

こないださあ、大好きな新幹線に揺られ揺られ仙台を目指していたのね。つっても新幹線揺れないけどねえ。うんうん。まあ、運良く窓側の席も取れて、弁当食べながら、ビールを飲みながら、本を読みながら、その合間合間に窓の外をちらと眺めて、その、雄大な自然に心洗われてみたりなんかしちゃってねえ、最高じゃないですか。これがね、旅の醍醐味っちゅう奴ですよ。ね。醍醐味。なんて思ってる間にビールをゴクゴク。ビールうまっ。なんつって。あはは。よきにはからえ。よーきーにーはーかーらーえー。うくく。
ほらほら見てみ。前に座ってる男の子だって、外のさ、雄大な自然を眺めては
「あっ、山だ!」
「あっ、海だ!」
とか言ってる訳。やっぱね、そうなの。男の子って感受性が強いから声に出ちゃうんですよ。思ったこと言っちゃうの。俺も昔そうだったからわかるの。そんな姿を見てね、昔の自分を見ているようで懐かしい気分になって、「ああ、この旅行は良い旅行だ」なんて思っちゃったりして、まだ目的地にも着いてないのにねえ。そんで俺は新幹線に乗る前に買った宮沢賢治の短編集をさ、開いて見てたの。「注文の多い料理店」見ながら、「食べられちゃう。可哀想」とかさ、思いながら見てたわけですよ。
したらさ、前のガキがまだ騒いでる訳。なんかもう外の風景とか関係なしに目に見えたものを声に出してる訳。
車両先頭にあるビジョン?モニター?にさ、ニュースとか流れるじゃん。テロップの。でさ、政治家が贈収賄で逮捕されたテロップニュースを眺めて「贈収賄!贈収賄!」とか喚いてる訳。よく小学生くらいの分際で「贈収賄」とかわかるな。とか思う反面、うるせえと。思う訳ですよ。うるせえと。ただ、それだけに留まらず、近くに座った客が売り子からコーヒー買って紙幣を差し出してる所を見ては、「マネーゲーム!マネーゲーム!」とか騒いでるんですよ。もうこれに至っては完全に誤用だし、純粋にうるせえと。なんでも思ったこと言えばいいってもんじゃないぞ。こら。
そんで、肝心の隣に座る母親は「やめなさい」と言って少年を抑えつけようとしてんだけど、それでもなお、ガキは「ボールペン!ボールペン!」とか叫び続けてやがんの。
そんで俺、ブチギレよ。うるっせえぞ。ガキが。おい、みんななあ金払って来てんだよ。お前見た所あれだろ。扶養家族っちゅうやつだろ。だったらなあ、もうちょっと静かに扶養家族然として黙っておっかさんの言うことを聞けって。心の中で思ったの。心の中でね。
ああ、でも、どんどんイライラしてきた。せっかく楽しい旅行なのに。ええい、くそ。こんな奴は無視無視。俺は本を読むのだ。宮沢賢治を読むのだ。
そうして、しばらく本の世界に入り込むべく格闘していると、いつの間にかガキが騒がなくなったんですよ。お、ガキ、寝やがったか、つって。まったく人騒がせなガキだよ。ただ、これでようやく宮沢賢治の世界に没頭できると思った矢先、ビールを飲み過ぎたせいかトイレに行きたくなったんだよね。
まあ、目的地まではまだあるし、ここでいっちょ行っとくかってことで席を立ってトイレの方にいそいそと歩いて行ったの。ただ、残念なことにトイレには先客がいて、仕方なしに待ちましたよ。でもなんか、様子がおかしい。さっきからずっと、激しい息遣いと、嘔吐の声がトイレの外まで聞こえ続けてんの。なんか吐いてんの。それらの音が2分くらい続くと、ようやくトイレを流す音が聞こえて先客が出てきたんだけど、その先客がさ、なんと、さっきからはしゃぎ倒してたガキだったのですよ。ガキの目には、吐いた後だからか、若干の涙が浮かんでで充血してて。
なんだか、あまりの状況に酔いが完全に覚めた僕はそんな彼の様子が気になり、「大丈夫?」と声をかけました。
まだ僕の存在に気付いていなかった少年は、ビクッと体を揺らし、こちらを見上げると、恥ずかしそうに笑みを浮かべ
「いやあ、あなたは僕の後ろに座っている人ですね。恥ずかしい所を聞かれてしまいました」と言ったのです。そして、すぐさま
「いや、本当にうるさくしてごめんなさいね。本当は僕だってこんなにバカみたいにはしゃぎたくないんですよ。でもね、ほら、女の人って妙に神経質だったりするでしょう。新幹線の中で大人しくはしゃぎもせずじっと座ってばかりいると、逆に「新幹線で静かにしてるなんて私の子供は大丈夫なのかしら」って心配するんですよ。以前もね、家族で遊園地に行った時に僕がニコリともせず真顔で過ごしたことがあったんですよ。そしたら、夜、僕らを布団に寝かした後に、居間の方から「普通、子供って他人の目も気にしないくらいにはしゃぐものなのに、あまりにも大人しすぎる。うちの子は大丈夫なのかしら」って母が父に話しているのを偶然聞いてしまいましてね。それ以来、旅行とかに行く際は母を心配させないように無理無理に大声を出して興奮している風を装っているんですよ。いわば、「接待」とでも言うんですかね。母親に対して無邪気な幼さを演出しなければいけないんです。そりゃあ正直、ストレスですよ。自らの性格とはまるで反対の姿を演技しなければならないんですから。だからいつも耐えきれないストレスが押し寄せてきてトイレで吐いてしまうんです。そんな調子なので毎回旅行に行くと2キロくらい痩せますよ。あはは。でもまあ、そんなに辛いんだったら辞めればいいじゃないかって思うかもしれないんですけど、子供の役割って言うのかな。ほら、僕って扶養されてる訳じゃないですか。だからそういう感謝の気持ちも込めて、変に義務感を感じながらはしゃいでいるんです。まあ、そんなのは僕の個人的な理由であって、近くで僕の声を聞かされているあなた達には関係ない話ですよね。巻き込んでしまって本当に申し訳なく思っています。ただ、僕たち家族はもうすぐ次の駅で降りるので、もう少し僕の家族サービスに協力してはくれませんか」
「は、はい」
「ありがとうございます」
そうして、少年は、飛行機の絵が書いてある時計盤をした小さな腕時計を見ながら、
「そろそろ戻らないと母が心配するんで。あ、ちなみに今話したことは母には内密で」と言い残して母が待つ自動扉の向こうに消えて行ったのです。
少年が消えた後、なんだか僕。心的、体的な気持ち悪さが押し寄せてきて急いでトイレに駆け込むと目的地に着くまでずっと嘔吐していました。
しかも、自動扉の向こうからは「明朝体!明朝体!」という声がいつまでも聞こえてくるのでした。 

【27】今日の日記。

せっかくの休日だというのに、外にも出ずに家に籠り、本を読みつつぼんやりと外を眺めているのは決して友達がいないだとか、金がないとか、まんじゅうが怖いとかそんな理由ではない。外の世界をくまさん達が貸し切っているからである。
普段、くま達は山の中で生活しているのだが、体も大きいことだし、山の中に押し込められるにはかなり窮屈なのだろう。しかし、里に降りれば人間に撃ち殺されてしまうので広い世界でのびのびと羽を伸ばすことができない。そこで、くま達は協議に協議を重ねた結果、神様に直談判して一日だけ世界を貸し切ってみることを思い立った。そうして、森にある木の実、きのこなどをかき集めて神様に献上。話し合いの結果、神様の許可を得て、くま史上初めて一日だけ世界を貸し切りにする運びとなった。
去年の年の瀬、唐突に神様の方から「126日 世界をくまの貸し切りにしたから」と言われ、とっくに予定を決めていた人間達はとても困惑、狼狽した。しかしまあ普段から外の世界の大半を使わせてもらっている恩義もある訳だから素直に受け入れることにして、私達人間はその日一日、それぞれの住居に籠って過ごすこととなった。つまり、僕が家から出ないのはそうした理由があってのことで、何度も言うようだが決して友達がいないだとか、金がないとか、まんじゅうが怖いとかそんな理由ではないのである。正直、何の予定もなかったけど。
今日、東京では今年初めて雪が降った。普段であれば、子供達が真っ白にお化粧した路面の上でわあわあ騒ぎながら走り回ったり、雪だるまなどを拵えたりするのだけれども当然のことながら外に子供の姿は一人たりとも見当たらない。その代わり、窓の外を眺めればこぐま達が真っ白の中を走り回っている。とても速い。自動車くらいのスピードがある。そして、こぐま達は走るのに飽きると、器用に両手を使って雪を転がしながら何かを作り始めた。やはり雪の日にすることは人間もくまも変わらないのだろう。何を作っているのかは今の時点では判別がつかない。
僕はそれらの光景から目を離すと、ふと今日のテレビ番組がどうなっているのかが気になった。リモコンを手に取り、テレビの電源を入れるとそこには画面いっぱいに複数のくまが映っていた。誰もいないテレビ局の機材を借りてテレビ番組を作っているのだろう。これはなんだろう。グルメ番組だろうか。
古民家風のレストランの中で、胸、腰、おしりがボンキュッボンとなったエロい体のくまがマイクを手にして立ちながら何かを話している。正確には、話しているというか呻いているようにしか見えない。
木でできた机に目をやると、そこには複数のお皿が並び、皿の上には鮭、サバ、ニジマスが何の調理もされてない裸の姿で乗っている。それを、机の前に座る目隠しをされた恰幅の良いくまが緊張感ある面持ちで1つ、また1つとそれぞれ一口で平らげていく。そして、ゆっくりと目隠しを外し、少し悩んだ様子を見せると自信なさそうに鮭が乗っていたお皿を指差した。
少しの沈黙の後に、エロい体のくまが何事かを叫ぶと、店内はわっと盛り上がり、カメラの外からスタッフぐま達の拍手が聞こえてきた。恰幅の良いくまは安堵の表情を浮かべると、得意そうに立ち上がって頭を下げて歓声に応えてみせた。
チャンネルを変えてみると、やはりそこにもくまが映っていた。
赤と黒のアーガイル調のチョッキを着たくまが画面の向こうから近付いて来るくまに対して嬉しそうに両腕を大きく上げて、歓迎の意を表している。そして、2匹は抱き合うと、泣きながらボソボソと何事かを話している。多分、サーカスで働いているくまが家族ぐまか友人ぐまと再会しているのだろう。とても感動的な場面だと思ったのだが、問題だったのはその泣き声である。
2匹はそれぞれ「おうおうおうおう」と泣き声をあげていたのだが、その音はあまりに大きすぎて泣き声とかいう可愛い感じではなく、雄叫びに近いものであった。当然、マイクでは拾い切れず、音の割れた大音量がテレビから流れてきた。僕はびっくりして急いでテレビを消した。変な汗が噴き出した。
収まらない動悸を抑えようと必死で深呼吸を繰り返していると、外の様子が目に入った。
そこには、さきほど雪を転がしていたこぐまが完成した雪のオブジェの前で腕を組み、自らの作品を満足そうに眺めていた。押入れから双眼鏡を取り出してその作品を見てみると、それは2mくらいの大きさのでーんとした細長いものであり、あの頭、あの鱗、あの尻尾の感じからして鮭だろう。雪で鮭のオブジェを作っていた。
鮭のオブジェを見て、冷蔵庫に鮭フレークがあったことを思い出し、こぐま達に食べさせてあげようと冷蔵庫から鮭フレークを取り出してベランダに出た。そして、こぐまの注意を引くために「おい、くま。おい、くま」と大声で叫びながら、鮭フレークを1掴みしてぎゅっと握ると、こぐま目がけて3階から塊を放り投げた。しかし、手が滑って鮭フレークの塊は遠くには飛ばず、ほぼ真下に落ちて行き、一階のベランダの前あたりで落ち着いた。
呼ばれて何かを投げ込まれたものだから、好奇心旺盛なこぐま達は何事かとエサを与えられた鯉のように寄って来た。しかし、自動車くらいのスピードで走ってくるのでベランダの前で急に止まることができない。こぐまの一匹は勢い余って一階のベランダに激突。ベランダの柵が壊れて、そこに住む住民の「きゃああああああああ」という、くまの泣き声にも劣らぬ程の悲鳴が聞こえた。なんだかサファリパークみたいだな。僕はヘラヘラしながら何度も鮭フレークを投げ入れ、こぐまが鮭フレークを食べる様子、あとは遊んでる様子を日が暮れるまで眺めていた。
そして、夜になると、こぐま達は群れをなして山に帰っていった。すると、外には日中の騒ぎが嘘のように誰もいなくなった。ただ、雪上にある無数のくまの足跡が今日一日の貸し切りの様子を物語っていた。
今日一日、良い日であったと思う。そうしてパジャマを着た僕は毎日付けている日記帳を取り出すと、「126日 くま、やっぱり鮭(フレークも)が好き」と書き記した。
そして、明日の朝、早起きしてあの鮭のオブジェをもっと真近で眺めてみようと思った。

【26】今日の日記。

月曜日を迎えたくない。誰しもそうではないだろうか。
月曜日のことを思うと、動悸が激しくなり、呼吸が荒くなり、汗腺という汗腺から汗が噴き出してくる。これは病気に違いない。保険は利くのかしら。
月曜日の嫌な所は、自分の出番がまだまだ先であるにも関わらず、土曜日あたりから僕の視界の片隅あたりに居座り、じっとこちらを眺めてニヤニヤしていること。そして、日曜日になると、視界の片隅の方からスクーターに乗って僕の方に近づいてくる。
当然、そんな感じなのでこちらとしてもせっかくの休日を月曜日の影に怯えながら過ごさなくてはならず、気の休まる暇がない。そして、月曜日になった途端、寝ている僕の布団にずかずかともぐり込んできて、「おはよう。とびきりの月曜日だよ」と耳元でささやき続けるのである。僕は月曜日の乗るスクーターに左折で巻き込まれる悪夢にうなされる。
しかし、僕も社会人の身。もうこれはスクールかなんかに通って月曜日を受け入れられるようにしなければ未来がない。そうして僕は月曜日恐怖症の人々が集まるスクールに参加するのだろう。まず、カリキュラムはカレンダーの月曜日の所に「仕事」と書き込むところから始まる。しかしこの時点で皆、手が震えてなかなか書き込めない。
「もうわたし駄目だわ」
僕の隣に座った若い女性がヒステリックにそう叫ぶ。僕は女性の手を取って、「僕も辛いですが、一緒に頑張りましょう」とか言ったりするんだろう。
そして、そうしたカリキュラムを経て、一人、また一人と病気を克服し、月曜日に羽ばたいていく。そんななか、僕だけ一人、月曜日を受容できず、日曜日に留まり続けるに違いない。そのうち、後から入ってきたスクール生に「日曜日の自縛霊」って揶揄されるんだろう。
その様子を月曜日はニヤニヤしながら見つめてる。

【25】今日の日記。

友人宅でのパーティーに参加するために、渡された地図を頼りに友人の家を目指していたのです。しかし、友人の書いた地図が大雑把である上に、入り組んだ路地だらけで、歩けども歩けども一向に友人宅に着く気配がありません。
正直、時間も迫って来てるし、「おいおい、遅刻しちゃうよー」とかなんとか言ってるうちに自らが隣りの街に迷い混んでることに気付きました。
しかもそこは、日本でも有数のスラム街と呼ばれるところ。よだれをたらした犬は歩いているわ、路上でおっさんは寝ているわ、自動販売機は叩き壊されてるわ。そしてなにより、この街を包むどんよりした空気、臭気にひどく嫌悪感を抱いた僕は
「早くこの街から出なきゃ」と思い、さっき来た道を引き返そうとしました。
しかし、その時にふと、ゴミの散乱した道路の上で人形遊びをしている少女が2人、視界に飛び込んできたのです。少女は互いに人形らしきものを動かしながら
「お父さん、ご飯にしましょ」
「おお、そうしよう」
と会話をしています。
「ああ、今の女の子達も人形使っておままごととかやるんだ」
少し嬉しくなった僕は、おままごとの様子を眺めようと少女達に近づいていったのですが、その途中ですぐに異変に気付きました。
少女達が持っていたのは、人形ではなくレシートだったのです。レシートに韓国ノリのようなものを着させて擬人化していたのです。
あまりの光景に驚いたのですが、その今の今でも、少女の一人は、レシートを小刻みに動かしながら
「今日のご飯はうまいなあ」と言っています。
僕は口をあんぐりと開けて絶句するより他ありませんでした。
そして、レシート達は僕を取り残したまま、幸せに包まれた生活を続けていきます。食事も終わると、今度はお風呂に入り、それも終わると、最近の子供はませたものですね。人形遊びで濃厚なベッドシーンまで再現するのです。
僕の目の前で韓国ノリを脱いだレシートが激しく絡み合っています。しかし、僕にはただただレシートが重なり合っているようにしか見えないし、その様子は常軌を逸していてとても恐ろしいと思いました。
しかもよくよく見てみると女役のレシートの上に被さっている男役のレシートに

 ブロッコリー 38円×1
ゴウケイ 38

 と書かれていて、そのことが僕の心をひどく揺さぶりました。
そして、気付くと僕は、財布から1万円を取り出し、それを乱暴に片方の少女に手渡すと
「このお金で、このお金で、お母さんから立派なシルバニアファミリー買ってもらって」
と泣きながら言い放ち、走ってその街を後にしたのでした。
その出来事から数週間後。コンビニで週刊誌を立ち読みしていると、気になる記事を見つけました。見出しには「おままごと詐欺グループに潜入」の文字。
そこに掲載された写真を見てみると同じ道路の上であの時と同じようにレシートでおままごとをする少女達の姿がありました。どうやら記事によると、詐欺グループが少女達を使っておままごとをさせ、それを見て憐れんだ人達がお金を払うように仕向けていたみたいです。ただ、別に少女達が「お金をくれ」と言っている訳ではないし、あくまでも「完全に個人的な意思による寄付」であるため罪には問えないのだそう。
被害額は日本だけで
12億円。そんな大金を使って詐欺グループの連中は立派なレシート御殿を立て、今ではそこで暮らしてるのだと言う。
「すげえな。でも罪にはならないとは言え、相当バッシングを受けるだろうな」
そんなことを思いながら、ページをめくると、そこに掲載された写真に釘付けになりました。
そこには、「レシート御殿」と名付けられた友人の家と、犯人の姿として、全身タイツと鼻眼鏡を付けてはしゃいでる僕の姿がでかでかと映っていたのです。

【24】今日の日記。

先日、地元誌に取りあげられるほどのドSな女の子を取材するというお仕事があり、僕達取材クルーはインタビューを取るために彼女の家を訪問しました。しかし、出てきた彼女に「ちょうどこれから食事を取るので食事が終わるまでインタビューを待って欲しい」と言われ、僕らは部屋の隅の方で小さくなりながら彼女の食事が終わるのを待っていました。
しかし、その最中、僕はどうしてもトイレに行きたくなりました。
仕方がないのでトイレの場所を聞こうと
彼女のいるキッチンに向かったのですが、その時彼女は
「ほうら、熱い熱湯を注がれてる気分はどうだい」
とカップ焼きそばの残り湯を捨てながらシンクに話しかけていました。
そして、「ベコッ」と音を立てるシンクに向かって
そんなに嬉しいのかい。ならばもっと欲しいと鳴きなっ!
と満面の笑みを浮かべながら叫び、若干白濁したその熱湯をシンクに注ぎ続けていました。
その様子を図らずして目撃してしまった僕は「ドン引き」というよりむしろ、その、人間のみならず万物に対して平等に注がれるサディズムの恵みに、隣人愛を超える本物の「愛」の姿を垣間見た気がしました。そして、同時に「この人、人生楽しそうだな」と思ったのでした。
当然、トイレの場所を聞いても教えてもらえず、「我慢しな」の一点張り。
その後のことはご想像にお任せします。 

  • ライブドアブログ