日記

1990年生まれ。虚実入り混じっております。

2015年03月

【78】創作ランキング

今日は特に予定もなく暇だったので自分で勝手に架空のランキングを作って遊んでいた。
そしてちょうど今、ランキングがまとまったので発表したいと思う。

2015
年版
「くしゃみした拍子に叫びたい世界の都市ランキング」

1
位 ブリュッセル (↑) from ベルギー
2位 ヴェッティンゲン (New!) from スイス
3位 シュテットル (New!) from モルドバ
4位 シュトゥットガルト (↓) fromドイツ
5位 ヴィリャンディ (New!) fromエストニア

【講評】
まさかの、くしゃみ呼称都市界の雄「デュッセルドルフ」が選外となる波乱の様相であった。
そして混戦を抜け出したのはベルギーのブリュッセル昨年3位からの大躍進を見せ、見事初の栄冠に輝いた。
また、今回のランキングでは若手の台頭も目覚ましく、2位になったスイスのヴェッティンゲンをはじめ、モルドバのシュテットルエストニアのヴィリャンディと今までランキングに顔を見せることのなかった新参都市が上位に食い込んでいる。自分で言うのも何だが、ここで出そろった5都市のすべてがくしゃみをした時の勢いを借りて叫んでみたいものばかりである。
さて、1位になったブリュッセル役所には早速、世界各国から問い合わせの電話が殺到していると言う。役所職員はテレビ局のインタビューにて、今後観光客の増大が見込め、都市は今までにない好景気に沸くのではないかと嬉しそうに応えていました。

今回も大きな盛り上がりを見せた
「くしゃみした拍子に叫びたい世界の都市ランキング」
続きはまた来年。次に「くしゃみした拍子に叫びたい世界の都市ランキング」の栄冠に輝くのはあなたの住む街かも知れない!

【77】馬からの贈り物

朝起きると腕や足がひどい筋肉痛になっていたのですが、前日に運動をしたわけでもないのに不思議なことです。しかもその筋肉痛というのが腕や足が上がらないほどの激痛で日常生活がままならなくなるほどだったので危機感を覚えた僕は痛む足を引きずりながら必死の思いで病院へと向かったのです。
病院に着いて医者にそのことを相談すると、医者はしばらく患部を触ったりした後に
「ああ、これは前世の筋肉痛だね」と言いました。
「前世の筋肉痛…」
「そうそう。前世の筋肉痛。前世が筋肉に過度の負荷をかけたのにも関わらず筋肉痛になる前に亡くなってしまうと、本来前世が背負うべきだった筋肉痛という負債を後世が背負わされるんだ。しかも、よく歳を取ると筋肉痛が遅れてくるなんて言うけども、こちとら前世からの筋肉痛だから数十年間のブランクを経て突然やってくるんですよ」
「そんなの、知りませんでした」
「ただ、それにしてもきみのような深刻な筋肉痛になることは珍しいよ。考えるに、きみの前世は馬か何かだね。うん。馬か何か。ていうか馬。あはは」
「馬…」
「とにかくまあ、湿布を出しておきますからお大事にどうぞ」
「…」
診察室を出た僕はどこか釈然としない思いでいっぱいでした。きっと自分の前世はキティちゃんだと信じて疑わなかった僕にとって馬などと言うのはとても心外なものなのです。ヤブ医者め。僕はふて腐れながら病院から処方された湿布を張って眠りにつきました。
翌朝、筋肉痛は見事なまでに直っていました。しかし、僕がご機嫌で口笛を吹きつつ朝の支度をしていると、とんでもない異変に気付いたのです。鏡に映る自らの姿が、顔や胴体は貧相なままなのに、手足だけビッチビチに筋肉が付いていてそれはそれは不恰好な様であったのです。僕は鏡に映る自分をしばらく眺めた末に卒倒。そのまま気を病んで精神科に通うハメに。
精神科の先生が言うには自らの前世を受け入れることが重要とのことでした。だから僕は日夜、馬の気持ちを理解すべく、障害物を飛び越えてみたり、鞭で打たれたりしています。嫌いだったニンジンも煮込めば食べられるようになりました。やったぜ。ひひーん。

【76】タクシーに乗った偽善者

最近は歳のせいだろうか。飲み会の後、帰りの電車で寝てしまい、そのまま最寄りの駅から遠く離れた馴染みのない駅で降りるハメになることが非常に多い。ただ、降りたところで終電などは既になく、そんな時は仕方ないのでタクシーを使って家まで帰るのである。
個人的に、タクシーに乗ることは嫌いではない。タクシーの清潔な車内環境なんかは非日常感があるし、乗っただけで凄まじいほどの高揚感に包まれる。心地良い酒酔いの状態も相まって、僕は饒舌にタクシー運転手に話しかけたりもするのだけど、そんな躁状態も初乗り料金の間まで。初乗り料金が終わって、深夜料金が加算されていくと僕は「終わりの始まり」を実感し、表情を一変。タクシー運転手の軽快なトークを受け流してメーターを凝視、酔いが徐々に醒めていくのを実感する。
しかしまあ、毎度のように僕は思うのだが、この深夜料金の刻み方はとてもいやらしい。初乗りの時みたいに、2kmごとに1000円くらいどかっと加算されるならまだ良いが、実際は200mくらいしか進んでいないのにメーターには続々と90円が加算されていくのである。それはまるで人の良さそうなタクシー運転手から笑顔でボディーブローを受け続けている感覚であり、精神的にかなり追いつめられる。
そうして僕はいつまでも加算されていく90円を見つめている。するとなんだか不思議なことに義務教育の道徳にて教えられたワクチンの値段が脳裏をかすめるのである。
たしか、1人当たりのポリオのワクチンは、わずか20円ほどだったと思う。つまりはこの200mほどの移動の間にポリオで苦しむ可能性のある45人のアフリカの子供を救えるという計算になる。僕のこんなしょうもない200mほどの移動のために、救える命が確かにここにあるのだと思うと、なんだか申し訳ない気分になり、僕の脳内には200mごとに笑顔を湛えたアフリカの子供の姿が浮かび、そして立ち消えていく。
それでもメーターは飽きもせず暴力的なまでに90円を加算し続ける。見るに耐えられなくなった僕が窓の外を眺めると、タクシーはいつの間にか土埃舞う舗装されていない道を走っており、その道の上には多数のアフリカの子供たちが屈託ない笑顔を浮かべてこちらに向かって手を振っているではないか。それでもタクシーは無慈悲に感情もなくアフリカの子供を轢きながら進む。僕はその様子を車内から眺めることしかできない。
「ごめんよ…ごめんよ…」
僕は涙を堪えて護送車に乗せられた重大犯罪者のように俯いて自宅に着くまでの間ずっとそのままの姿勢で罪悪感を耐え忍んでいた。
タクシーが自宅に着くと、僕はタクシー運転手に1万円超のお金を払い車外に出たのだが、外に出ても心のうちの罪悪感が薄れることはなかった。僕は心の平静を取り戻すために、人の良さそうな運転手が僕を降ろした後、そのままコンビニに出向き僕の渡した1万円をレジ横にある募金箱に入れている姿を思い浮かべた。そして明日になったら少しばかり募金をしようと思いながら眠りについた。

それなのに、寝て起きたらすべて忘れていた。昨日のことも、募金のことも。
そして募金をすることなく雑然と数週間を過ごしていたある日、部屋で高校野球を観戦してダラダラしている僕の家のピンポンが何度も押されたのである。一体誰だろう。そのような思いで玄関先に出ていくとそこには数人のアフリカの子供たちが佇んでいた。
「話が違うじゃないですかあ」
リーダー格の少年はそう話すと、その言葉を合図に他の子供たちが無断で僕の家にずかずかと入り込んできて、手慣れた様子で僕の家財道具を運び出しトラックに積み込み始めた。僕があたふたしている間に家財道具はすべて運び出され、部屋の中に何もなくなると、リーダー格の少年は部屋全体に差し押さえのテープを張り巡らした。
「そういうことでよろしくお願いします」
少年はそのように話すと、僕に査定書を手渡した。
査定書を見ると、どうやら今回の差し押さえによって20787名ものポリオに苦しむ可能性のある子供たちが救われると言う。
…。返事もできず立ちすくんだ僕を気にすることなく、アフリカの子供が運転するトラックは僕の家財道具すべてを持ち去って走り出しそのままどこかに消えていった。

【75】御本人登場

怖い話をしている時に、幽霊が出て来るのはよくある話。
幽霊は突然電気を消したり、奇怪な音を出したり、誰かを体調不良に陥らせたりして私たちを恐怖のどん底に陥れるけども、幽霊本人としては、決して怖がらせるつもりなんてなく、ものまね番組における御本人登場を意識しているだけという噂を聞いたことがある。
そしてそのことを知り合いの幽霊に問い合わせたところ、まさしくその通りとのことであり、ただ、嬉々としてご本人登場をしてあげているのに人間どもは喜ぶことなくきゃあきゃあ喚いてばかりで非常に不愉快だと申しておりました。
だから、今後怖い話をしている時に、突然電気が消えたり、奇怪な音が聞こえたり、誰かが体調不良に陥った際には、みんな、笑顔を浮かべて拍手で幽霊を迎え入れてあげましょう。
「すごい!本物だ!」
などと言ってあげると、幽霊も鼻高々。得意げな顔を見せて誰かを呪い殺します。

【74】下請けは辛いよ

旧約聖書によれば、神が天地を創造した1週間のうちで人間が創造されたのは6日目とされている。そして私たちは当然「人間」は神様が御作りになられたのだと思っているが、実際は神様の下請けが5日間かけて人間を作ったことはあまり知られていない。
天地創造の初日。下請けは神様に呼び出され、神に似せた「人間」というものを5日間で作るよう指示された。が、そんなもの今まで制作したことのない上、たった5日で作るなんて言うことはとんだ無理難題。下請けは当然の如く困惑した。ただ、元請けが神様とあれば断れるはずがない。下請けは言われたその日からそれこそ不眠不休で人間の制作にあたり、試行錯誤の末に、6日目になんとか人間を出荷することができたのである。
実際に納入された人間を見て神様は随分とお気に召してくれたそうで下請けとしてもほっと一安心であった。
しかし、彼らは忙しさのあまり1つの重大なミスを見落としていたのである。
ゲップの音が適当に作ったDEMO音源のままだったのだ。
本当ならもっと心地良い清らかな音がゲップの音になるはずだったのだが、制作中、無理な納期からくるストレスを紛らわせようとほんの息抜き、悪ふざけで作った下品なDEMO音源をゲップの音として再生して下請け同士でゲラゲラ笑っていたのである。しかし、多忙の中でいつしかそんな悪ふざけをしていたことも忘れ、音源を差し替えるのを忘れていたのである。
下請けがそのことに気付いたのは、人間を納入した翌日、天地創造7日目のことであった。下請けはパニック。総じて狼狽えてしまった。しかも、その日、神様は休日を取っていたので言い出すことができず、困った下請け達はみんなで口裏を合わせてこの件を黙殺することになった。しかしながら、神に似せてあるはずの人間のゲップの音があれだけ下品なものであることは、明らかに神への冒涜であり、神様に気付かれれば下請け全員が粛清されることは必至であろう。
人間が誕生して随分と長い年月が経ったが、幸いなことに神様はまだ気付いていない。ただ、下請けは粛清が脳内にチラついて眠れない夜が続いている。
まったく下請けは辛いよ。
  • ライブドアブログ