ガキがどこからか俺のOvationやらシャツだかを引っ張り出して来る。
流れでvansonのライダースはくれてやった。
俺と言えばここ数年、冬はどこに行くにももっぱらポール・スミスの軽い革コート。
とっくにレスポールもライダースも重たい歳になってたってことか。

「体重、体脂肪、悪玉コレステロール、γGTP、全て改善されていますね」
健診の問診。
正確には体重はずっと適正体重以下なんだが、まあいい。
3泊4日、朝から晩まで大会運営をした翌朝にしちゃ上出来。
毎晩10時半にスクールのフロントを閉めてゴールデン街にすっ飛んで行き、終電まで呑んで帰ってた頃から見れば、今は外で晩酌してる様なもんか。
そうそう、毎年一緒に野音にSIONを観に行く十数人の仲間の1人はγGTP250超えらしい。
ちょっと心配だけど健診の前の晩の酒を我慢出来てないだけって気もする。

SIONと来て急に歌詞のフレーズが……。
メジャーレーベルから出すアルバムと別にインディーズで毎年出している宅録アルバム、
Naked Tracksシリーズの中の2009年、SION49才の誕生日にリリースされた曲。

"やっと今俺達もライダースが似合う歳になったってもんだぜ"

この曲を初めて聴いた時はセンチになりながらも、「俺もまだイケる!」って前向きな気持ちになったもんだ。
う〜む、vansonはガキに「俺が着ない時は着ていいぞ」って言ったか、「一緒に着よう!」って言った気がして来た。
そうだ!帰ったらNaked Tracks2聴いて、鏡の前でvanson着ちゃうもんね。

さっき奴の部屋をこっそり覗いたら、"俺の"vansonは無造作にギターケースにかけてあった。
何かもう取り返しにくいわ……。