ディランのノーベル賞授賞騒動。
“Everybody must get stone!”と、雨の日の女を聴きながら笑って眺めてる。
その騒動の中でスプリングスティーンのコメントには惹きつけられた。

“彼は人を無能にしてしまう礼儀正しさや、堕落と腐敗を覆い隠してしまう日々のルーティンに足を踏み入れたのだ。彼が描写した世界はすべて俺が小さな町で目の当たりにしていたものだった。”

スプリングスティーンらしいなあと感じていたら、またスプリングスティーンの別のコメントが目に入った。
またディランについてかと思いきや、発売になったばかりのスプリングスティーンの自伝からの抜粋だった。

“鬱はいきなり襲ってこない。じわじわと忍び寄ってくる…抗鬱剤は気まぐれだ。59歳から60歳にかけてのどこかで、おれは服用していた薬が効かなくなったことに気づいた…”

マジか……。
「Nebraska」の後、「Born In The U.S.A」を出す前あたりから現在まで33年間、鬱で苦しんでいるらしい。
すぐに頭の中にRockin’Onの表紙で、確かスティングと一緒に写っているスプリングスティーンが、「SIONか?!」という位耳にピアスをつけているのを見た時を思い出す。
あれだけの数の穴を開けるってのは、いくらロッカーでもそうそうないんで驚いた。
その頃出た「Tunnel Of Love」が聴きたくなったがLPでしか持ってなく、データ変換するのが面倒でAmazonでCDを探したら中古で104円……。
ファンの中ではそういう位置のアルバムなんだろう。
でもこの今「Tunnel Of Love」というタイトルが物凄くリアルに響いて来る。
そしてこのアルバムが醸し出す不安定なイメージがわかった様な気がする。

テニス界ではアザレンカ選手が鬱を克服した。
彼女は薬ではなく絵を描くことで鬱を乗り越えた様だ。
連戦と移動のプロテニスツアーの職場環境、トップ選手ならではの義務と重圧。
随分前からトップ選手は皆ツアーにメンタルトレーナーを帯同していると聞く。
日本サッカーに目を向けると、ジュニアスクールでも積極的にメンタルトレーニングを行なっている。
心技体。
安定して良いパフォーマンスをする為には心。
旧態依然とした日本スポーツ界の根性論はもう消えたのか。
いや、ジュニアテニス、学校テニスの現場からは未だに根性論エピソードが聞こえて来る。
選手、学生、職員といろんな場所でポジティヴに力を発揮させられる大人が必要だ。

もう相当前だが、東京に住んでいる人の7〜8割は何らかのメンタルヘルス疾患に当てはまると聞いた。
疑うこともなく納得した。
それでもトンネルはいつか抜け出せる。
気分も状況もいつか変わる。
勿論”動かずに抜け出せる 贅沢なトンネルはない”が。

※2012年記事「B・スプリングスティーン、うつ病の過去を告白(2012年07月26日 16:02 発信地:ニューヨーク/米国)」