2009年06月28日

第8鉄 都心から30分で海を見に行く――鶴見線・終着駅めぐり(+D Lif…

第8鉄 都心から30分で海を見に行く――鶴見線・終着駅めぐり(+D LifeStyle)

鶴見駅が東海道線のようです。
かつ、ボディはなかなか面白そうですね。
気がついたのですが、浅野総は、大川行に対してどのような関係性があるというのでしょうか。

以下、記事より引用。
http://rd.yahoo.co.jp/rss/l/headlines/sci/zdn_lp/*http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090625-00000046-zdn_lp-sci


 JR鶴見線は、東京近郊のユニークなローカル線として知られている。

【画像:鶴見線の紹介や沿線の風景】

 本線はたった7キロメートル。さらに1.7キロと1.0キロの支線が2つ。総延長9.7キロながら、基点の鶴見を含めれば終着駅が4つもある。中でも海芝浦は「外に出られない駅」としても知られており、鉄道雑学本の定番になっている。

 距離は短いけど奥深い――今週は、そんな鶴見線に乗ってみよう。

●車窓に京浜工業地帯の迫力

 JR鶴見線は横浜市鶴見区の鶴見駅を基点とする。本線はいったん海沿いへ出て、工業地帯を北上して川崎市に至る。東京駅から鶴見駅までは京浜東北線で約30分。車窓に独特の景色が展開するから、忙しくて遠くに出かけられない人も、たっぷり旅をした気分になれる。

 今回は鶴見のすこし手前、川崎駅から始めよう。川崎駅から南武線に乗り、次の尻手駅で降りる。尻に手なんて痴漢の巣窟のような名前の駅だなあ、とニヤニヤしつつ、ホームの反対側から出る2両編成の電車に乗ろう。この電車も南武線の仲間で、浜川崎支線と呼ばれている。東海道線を超え、京浜急行の赤い電車を見下ろすと八丁畷駅。

 次の川崎新町駅は、何本も並んだ貨物線の中にある。この路線は京浜工業地帯の貨物線の出入口の1つだ。鶴見線の旅客営業の出入口を鶴見だとすると、浜川崎支線は貨物営業の出入口になっている。浜川崎支線の終着駅は浜川崎駅。ここで鶴見線と接続する。

 「鶴見線と接続する」と言っても、つながっている線路は貨物線だけだ。なぜか旅客駅は別々で、細い道路を隔てている。鶴見線が開業当初は私鉄だったという名残かもしれない。浜川崎駅はどちらも無人駅で、Suicaのタッチセンサーが置いてある。ただし、電車を乗り継ぐ場合はタッチしてはいけない。タッチすると運賃が通算されず、割高になってしまうからだ。それは車内放送やタッチセンサー付近の掲示でも説明されている。ここが鶴見線の見所の1つ目「JR同士の乗り換えなのに駅の外に出なくてはいけない駅」である。

 1つ目の終着駅、鶴見線本線の扇町駅へ。ところが電車はなかなかやってこない。夕方のラッシュ時でさえ1時間に3本。12時13分から16時13分までは2時間おきだ。完全に工場の通勤者に合わせたダイヤになっている。これも鶴見線の見所「大都市なのにローカル線の風情」である。携帯電話か文庫本か、退屈しのぎの道具がほしくなる。いや、周囲を見渡せば、孤高に生きてきた眼の鋭い野良猫を観察できるだろう。鶴見線沿線には、住宅街の公園にいるノラちゃんとは違う、ハードボイルドな猫が多いと思う。

 銀色ボディ、3両編成の電車に乗った。鶴見線といえば、関東では最後まで茶色い旧型国電が走ったことでも知られている。しかし今はご覧の通り。近代化され、冷房車になっている。閉じたままの窓ガラスから見える景色は、右にタンク車が並ぶ貨物基地、左はJFEスチール製鉄所。京浜工業地帯のど真ん中である。関係者でなければさっぱり用途の思いつかない、見慣れぬ形状の施設が並ぶ。運河を渡れば昭和駅。昭和レトロな街並みがあるわけではなく、昭和電工の大きな工場に沿っている。その工場敷地の終わりに扇町駅がある。線路はまだ先があるけれど、人を乗せて走る線路はここまでだ。駅前をぐるりと歩けば、遠くに巨大なタンクや城壁のような建物が見える。戦前、戦後を通じて日本を支えた京浜工業地帯の力を感じる。

●海芝公園は大企業の粋なはからい

 引き返して浜川崎駅を通り過ぎ、次の乗り換えは安善駅。工場街だから「安全」ではない。安善という駅名は、安田財閥の創始者、安田善次郎に由来する。鶴見線にはほかにも、浅野駅が浅野財閥の浅野総一郎、武蔵白石駅が日本鋼管の創始者白石元治、大川は製紙王と言われた大川平三郎に由来するという。鶴見線の駅は日本の近代工業史の人名事典のようである。遠い世界のようだが、安田善次郎はジョン・レノンの奥様、オノ・ヨーコさんのひいおじいちゃんだと聞けば、ちょっと身近に感じるかもしれない。ただし、鶴見線の風景はビートルズと言うより、尾崎豊の「BOW!」そのものだと思う。

 安善で大川行きに乗り換えた。電車は今来た道を逆戻り。なんと、手前の武蔵白石まで戻って分岐する。1996年までは武蔵白石に小さな三角ホームがあって、大川支線はここから終点まで1駅の短い区間を往復していた。かつては1両の茶色い旧型国電で、僕は外板のリベットのデコボコと、車内のワックスの匂いを覚えている。時は過ぎ、今は3両編成の銀色電車が鶴見駅まで直通するようになった。しかし相変わらず、本数は少ないままだ。

 単線の大川支線も工場群に隣接して走っている。工場の出入口と公道の間に線路があるので、踏み切りそのものが守衛所のように見える。電車がそこを通過するとき、車掌さんと守衛さんが手を振ってあいさつする。会社は違えど、同じ土地で働く仲間。それぞれが自分の領域の安全を任される立場だ。そんな二人のさりげないあいさつ。そのしぐさには、職人同士のキリッとしたかっこよさがある。

 大川支線から戻り、こんどは浅野で乗り換える。駅が分岐点そのもので、海芝浦行きは三角形のホームの向こう。そこでは2匹のワイルドキャットがたたずみ、僕をじっと見つめていた。彼らは何を食べて生きてるんだろう。これだけ大勢の人がいれば、ポケットからビスケットを出してくれる人もいるのかな。意外と、近くの運河で魚を取って食べていたりして……。いずれにしても、彼らにとってここは居心地がいい場所なのだろう。

 海芝浦行きの電車は、浅野駅の曲がったホームを出るとその角度のまましばらく走り、運河沿いに出た。しばらくは船の積み降ろし用地で、それから運河の真横になる。窓の下はもう海だ。しかし対岸は近いので、なんとなく安心する。自分がまだ街の中にいる、という気分だ。人工物に囲まれた風景に慣れてしまったせいか、こんなところで急に海が広がっても困る、という感覚がある。

 新芝浦駅はまるで海の上。ホームから釣りができそうだ。次がすぐ終点なのに、お客さんが大勢並んでいた。この駅は東芝の工場の正門のそばで、次の海芝浦にはその工場の通用門がある。おそらく定期券を持っている人たちは、工場内の移動にも鶴見線を使っていると思われる。それだけ工場が広いのだ。それにしても、この工場はいったい何を作っているんだろう。機関車かな、発電機かな。しかし製品らしきものは電車からは見えない。

 新芝浦を出た電車はしばらく真っ直ぐ走る。そして右へカーブ。ここから東芝工場の敷地内に入っている。海側の車窓が、一瞬だけ建物に遮られた。次に見える景色は広々とした大運河。この場面展開は印象に強く残ることだろう。ほぅ、と息をつく間に電車は終着駅、海芝浦に到着する。夕刻だから、帰宅する人たちがホームにたくさん並んでいた。

 降りたお客さんが駅から出て、ホームに待っていたお客さんが電車に乗って、つまりホームには僕だけだ。しかもカメラを提げているせいで、守衛所から警備員さんが出てきて僕の様子をうかがっている。この駅には改札口はなくて、駅の出入口は守衛所になっている。海芝浦は東芝工場の敷地内だから、通行証を持たない人は駅から出られない。帰りの切符はどうするかというと、守衛所内に自動販売機がある。Suicaのタッチポイントはホームの入り口にあった。

 「出られない駅」が珍しいことと、ホームからの海の眺めがいいことで、海芝浦は鉄道ファンに有名だ。ときどきテレビや雑誌などでも紹介されるから、わざわざ見に来る人も多いらしい。そんな人のために、ホームにベンチを置いたら、という話もあったかもしれないけれど、幅が狭いホームでは通勤の人々の邪魔になるだろう。そんなある日のこと、線路の行き止まりから続く土地に公園が作られた。土地の提供と公園整備は東芝である。

 引き返す人々を気の毒がってくれたのだろうか。ジュースの自動販売機も設置されていて、潅木に囲まれた、いい雰囲気のベンチもある。東芝さん、なかなか粋なことをしてくれたではないですか。ちゃっかりマイクロ風力発電システムのデモ機を置いて宣伝しているけれど、アピールが控えめだからむしろ好印象だ。

 缶ジュースを片手に、行き交う船をしばらく眺めた。ここは夜景もきれいだというけれど、公園の施錠時刻は20時30分と早いので要注意。帰りの電車は乗り換えなしで鶴見に行ける。だがもし体力が残っていたら、鶴見の手前、国道駅にも降りてみてほしい。そこは昭和初期のアーケードの躯体(骨組み)がそのまま残されている。営業している店は少ないけれど、とても懐かしい風情だ。そこを通り抜けて、夕暮れの鶴見川堤防の風景もいい。工場街という異世界から、すこしずつ街の風景へ。この気分はまさに「旅」そのものだ。

●今回の電車賃

川崎−扇町 160円、扇町−大川 150円、大川−海芝浦 150円、海芝浦−国道150円、国道−鶴見 130円。休日に出かけるなら、ホリデーパスが便利だ(大人2300円)。

(+D Style)

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