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独占禁止法の部屋ブログ

泉水文雄(神戸大学大学院法学研究科教授)の独占禁止法、競争法、競争政策および釣りのブログです。

1 2月

欧州委員会のサムスンへの調査、アップル提訴をFRAND条項違反による支配的地位の濫用と

本日の新聞では、いろんな独占禁止法関係の記事があります。日経の記事を引用すると・・・

矢崎総業などカルテルで罰金 法令順守の強化急務−独禁法違反、厳罰化の傾向では、米国での自動車用組み電線(ワイヤハーネス)などの販売を巡る反トラスト法違反で合計5億4800万ドル(約419億円)の罰金支払いに応じると発表、罰金額の内訳は矢崎が4億7000万ドル(約359億円)、デンソーが7800万ドル(約60億円)です。

次は、EU、サムスンを調査 アップル提訴を問題視−競争法違反の疑いです。これは後述します。

さらに、DeNA、謝罪と賠償求めグリーと田中社長提訴では、公取委が取引妨害で排除措置命令だした例の事件を受けて、グリーが昨年11月、10億5000万円の損害賠償をDeNAに請求していたが、今度はDeNAが、損害賠償と謝罪文掲載を求める訴訟を東京地裁に起こしたとのことです。法的根拠は一般不法行為のようです。

さて、ここで取り上げるのは、欧州委員会のサムスンの調査です。日経の記事では、次のように言っています。
、EU競争法(独占禁止法)違反の疑いで韓国のサムスン電子の調査を始めたと発表した。サムスンは欧州各地でスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の特許侵害で米アップルを提訴しているが、同社が同業他社を市場から閉め出す目的で優越的地位を乱用しているかどうかを調べる。

 サムスンは1998年、欧州の電気通信関連の標準化を進める欧州電気通信標準化機構(ETSI)に対し、欧州の携帯電話技術の標準化に不可欠な特許は第三者に「公平、合理的、無差別という条件で使用許可を与える」との約束をしていたという。

 サムスンがアップルを相手取った訴訟は通信技術に関する特許侵害が理由で、アップル製品の販売差し止め請求は「第三者が特許技術を使いやすくするというETSIとの約束に違反したおそれがある」と欧州委は判断した。

日経は、欧州の「支配的地位の濫用」をいつも「優越的地位の濫用」と書くのですね。日本の独占禁止法の「優越的地位の濫用」(独占禁止法2条9項5号)と混乱するのでまずい訳語だと思うのですが、相変わらず使っています。それはさておき、これは、FRAND条項違反を支配的地位の濫用と構成しようとしているのではないか、欧州委員会はまだ諦めてなかったんだ1)、ということで、原文を見ることにしました。

1)欧州委員会は、Qualcommを調査し、2007年10月の異議告知書では、本条項の支配的地位の濫用該当性を明示したのですが、2009年11月24日に調査を終了する旨の報道発表をしています。

欧州委員会のプレスリリースはこれですね。
The Commission will investigate, in particular, whether in doing so Samsung has failed to honour its irrevocable commitment given in 1998 to the European Telecommunications Standards Institute (ETSI) to license any standard essential patents relating to European mobile telephony standards on fair, reasonable and non-discriminatory (FRAND) terms. The Commission will examine whether such behaviour amounts to an abuse of a dominant position prohibited by Article 102 of the Treaty on the Functioning of the EU (TFEU).

やはり、FRAND条項違反による支配的地位の濫用を問題にしています。もしこれを認めたら、各国の競争当局がやろうとして、どこの競争当局も成功していない法律構成に初めて成功することになります。とはいえ、Qualcomm事件等では、reasonableの部分が問題になり、対価(ロヤリティ)が高額すぎることを問題にしようとしていましたが(金額がreasonableな額かどうかは神学論争にもなりかねない難しい論点ですよね。さらに不当に高額であることがなぜ反競争効果をもたらすのかの説明もーEU法は支配的地位の濫用について、一応は「搾取的濫用」もあり得る立場だとはいえー容易ではないですね)、今回は侵害訴訟を提起することにより、license any standard essential patents を「しなかったこと」を問題にするようであり、一種の単独の取引拒絶ですから、対価の高さ自体を問題にするより、違法としやすいのかなという感想は持ちます(アップルに対してのみ不利な条件を課したと構成し、non-discriminatory 違反とすることもできそうですが、いずれにせよ競争法上は広義の単独の取引拒絶です)。いずれにせよ、今後の調査を見守りたいです。

役所の公表文書だから著作権法違反は問われないでしょうから、全文引用しておきます。Antitrust: Commission opens proceedings against Samsung
Brussels, 31 January 2012 - The European Commission has opened a formal investigation to assess whether Samsung Electronics has abusively, and in contravention of a commitment it gave to the European Telecommunications Standards Institute (ETSI), used certain of its standard essential patent rights to distort competition in European mobile device markets, in breach of EU antitrust rules. The opening of proceedings means that the Commission will examine the case as a matter of priority. It does not prejudge the outcome of the investigation.

In 2011, Samsung sought injunctive relief in various Member States' courts against competing mobile device makers based on alleged infringements of certain of its patent rights which it has declared essential to implement European mobile telephony standards. The Commission will investigate, in particular, whether in doing so Samsung has failed to honour its irrevocable commitment given in 1998 to the European Telecommunications Standards Institute (ETSI) to license any standard essential patents relating to European mobile telephony standards on fair, reasonable and non-discriminatory (FRAND) terms. The Commission will examine whether such behaviour amounts to an abuse of a dominant position prohibited by Article 102 of the Treaty on the Functioning of the EU (TFEU).

In line with the Commission's Guidelines on standardisation agreements (see IP/10/1702 and MEMO/10/676), standard setting organisations, including ETSI, require the owners of patents that are essential for the implementation of a standard to commit to license these patents on FRAND terms. This commitment serves to ensure effective access to the standardised technology. Such commitments were given to ETSI by many patent holders, including Samsung, when the third generation ("3G") mobile and wireless telecommunications system standards were adopted in Europe.

In order to guarantee undistorted competition and to reap the positive economic effects of standardisation it is important that FRAND commitments be fully honoured by the concerned undertakings.

(追記)
ググってみたところ、Wireless Wire Newsのこの記事はかなり正確そうでした。下の「参照情報」も参考になります。
24 1月

セブンイレブンジャパン差止請求事件判決ほか

このブログへの投稿をしないまま4ヶ月が経ってしまいました。Twitterやfacebookで気晴らしをしていると、ブログを書かなくても満足してしまうのですね。でも、ブログをみて知り合いになる方(弁護士の方、報道関係の方その他)等があったり(大歓迎です)、また(個人的にきわめて大事なことですが(笑))ブログを見て執筆依頼をして下さる方もいますので、やはりちゃんとしなくてはいけませんね。あ、いま原稿の締め切りがなく、暇です。雑誌等の編集者の方、是非執筆依頼をお願いします。締切がないと原稿をなかなかかけませんので、執筆依頼は大歓迎です。待ってますよ。

さて、今回のネタは、セブンイレブンジャパン差止請求事件判決(東京地判平成23・12・22判例集未登載)です。時事の記事では、セブンイレブン加盟店が敗訴=24時間営業差し止め訴訟−東京地裁という表題で、以下のように報道されいます。なお、2回続けてセブンイレブンになってしまいましたが、これは偶然にすぎず、セブンイレブンにとくに恨みがあるわけではありません。むしろ、話題を提供していただき感謝しています。
コンビニ最大手のセブン−イレブン・ジャパン(東京都千代田区)が24時間営業と公共料金などの収納代行業務を不当に強要しているとして、フランチャイズ契約を結んだ加盟店主9人が同社を相手取り、強要をやめるよう求めた訴訟の判決で、東京地裁(福井章代裁判長)は22日、請求を棄却した。原告側は控訴する方針。
 福井裁判長は、「加盟店にはフランチャイズ・チェーンのイメージの重要な要素である商品やサービスの提供義務があり、原告も提供すべきサービスだと十分に認識して契約している」と指摘。24時間営業や収納代行などがなければ利便性のイメージが損なわれることは避けられず、これらの業務を求めることは独禁法が禁じた優越的地位の乱用には当たらないと判断した。

24時間営業や収納代行の業務を契約で義務付けたことは優越的地位の濫用(独禁法2条9項5号)に該当しないとする判示で、どのコンビニでも行われている業務ですから、まあそれはそうなんだろう、という受け止め方がされているようです。ここでは、この論点には触れないことにしますが、実際に判決を見ると、優越的地位の濫用の要件について、興味深い記述が幾つか見られます。

 判決は、「優越的地位」の有無について、(1)経営ノウハウ、商品の仕入れに依存していること、(2)開業時に250万円の初期投資をし(いわゆるサンクコストです)、契約期間が15年に及ぶこと、Aタイプでは1年間の競業避止義務が、Bタイプでは店舗の即時の還義務があること、(3)被告の加盟店数、売上高に比して年間売上高数億円の中小企業であることに照らすと、取引を継続することができなくなれば事業経営上多大な支障を来す関係があり、「本件契約等の締結後における被告の取引上の地位は、原告に対して優越している」としています。そして、続けて、括弧の中に次の文章があります。
なお、本件全証拠によっても、原告ら各自と被告との間で本件基本契約等が締結されるまでの段階で、被告の取引上の地位が原告らに優越していたものと認めることはできない。

つまり、加盟店が最初に基本契約を締結する段階では、他のコンビニチェーンと契約したり、他の事業を行うことができるので、「取引を継続することができなくなれば事業経営上多大な支障を来す関係」がなく、優越的地位がない。他方、基本契約を締結した後は、上記の関係があり優越的地位がある、としています。

最初に契約をする(新たに取引に入る)段階でも優越的地位の濫用があり得るのかについては、独禁法の平成21年改正までは旧一般指定14項(現独禁法2条5号)に「継続して」という要件があることから、これを否定する見解が有力でしたが*)(そして、この規制の経済的根拠をロックイン、ホールドアップに求める見解では、それが妥当と解されていましたがーたとえば、『ベーシック経済法ー独占禁止法入門ー』)、平成21年改正は2条9項5号イ、ロに「継続して」の要件を置きつつ、括弧書きで「新たに継続して取引しようとする相手方を含む。」とし、上記の場合も優越的地位の濫用を肯定する余地を与えたかにも見えました。なお、ハにはこの要件はなく、また20条の6は、課徴金を課すのは「継続するものに限る」としています。本判決では、やはり、最初に契約に入る場合は、そもそも優越的地位は基本的に存在せず、したがって優越的地位の濫用は成立しないのだとした点は、当然といえば当然ですが、重要だと考えられます。なお、念のためにいえば、最初に取引に入る段階でも、抱き合わせ販売(一般指定10項)の規制はありますので、注意が必要です。

本件では、そこで、(a)その後に基本契約に明文の規定のない収納代行等業務を行わせるようになったこと、および(b)(基本契約に入っていた)24時間営業について基本契約を変更し24時間営業を中止したいとの原告の申出を拒否したことが優越的地位の濫用に該当するかを判断し、いずれも否定しています。(a)については、本件フランチャイズのイメージの重要な構成要素をなす商品等は合理性の認められる範囲で随時変更されることを了解していた、収納代行等業務はこの重要な構成要素であり、原告はその点を十分認識して基本契約を締結していた、原告の負担が得られる利益に比して過重とまではいえない等としています。(b)については、基本契約に含まれていること、24時間営業という認識が広まっていること、原告の主張する強盗被害の危険は軽視し得ないが、被害の発生率は他社に比べ高いという状況にはなく重大な事情変更があったとはうかがわれないこと、被告も対策を講じていること、24時間営業をやめるフランチャイズ・チェーンの利便性のイメージが損なわれること等をあげています。(a)(b)は事実認定に係る部分が多いのと、疲れたので、コメントはなしとします。

*)たとえば、本件の基本契約の内容が、公序良俗に反するとはいえないまでも、原告にあまりに過酷なものであった場合にも、契約をせず、他の仕事をすればよいだけではないかと。もちろん情報の非対称性を勘案した上で契約内容を十分に告知していることが前提ですが、この点に疑問のある事案が多いとも指摘されており、事実認定の問題ですが、基本契約締結時の状況の証拠次第では(a)(b)とくに(a)についての判断に影響があるかもしれません。
16 9月

セブンイレブン・ジャパンに対する損害賠償請求認容判決

昨日、表記の福岡地裁判決が出たとのことで、報道がなされています。

本年の3月30日にドライアイス取引拒絶事件で東京地裁が独禁法24条のよる差止請求を制度創設以来初めて認容しましたが、今回は排除措置命令がでていたセブンイレブンの事件について独禁法違反による損害賠償請求が認められました。フランチャイズ契約の説明義務違反で損害賠償を認めたのも原告側の立証のハードルが従来は高かったが認容されたこと、とくにいわゆるコンビニ会計について説明義務違反を認めたようであることが注目されます。

判決文がなく報道だけなのでよく分からないのですが、注目されるのは次の点です。時事の記事では次のようになっています。
同社は、契約で賞味期限切れ商品の廃棄や万引き被害による損失は加盟店側の負担とする一方、賞味期限間近の弁当などを値引く「見切り販売」を認めていなかった。
 田中哲郎裁判長は、同社の担当者が見切り販売をやめるよう指導したことについて、販売価格を拘束しており独禁法違反に当たると指摘。「値下げすれば利益を上げることができた」として、差額分の損害を認めた。
 加盟店から経営指導料などとして徴収するロイヤルティーについても、「計算方式が一般的な方法と異なることについて、加盟店側に理解できるよう配慮する必要がある」と述べ、説明義務違反を認定した。
 判決によると、原告は1997年に福岡市博多区で開店。2005年から弁当などの値下げ販売を始めたが、担当者から値下げをやめるよう指導された。原告は08年に店を閉めた。


これをみると、「販売価格を拘束しており独禁法違反に当たると指摘」としており、独禁法違反は、再販売価格の拘束(再販)(独禁法2条9項4号)、あるいは拘束条件付取引(一般指定12項)を理由とするように読めます。類似の表現を、西日本新聞は括弧で判決文として引用しています。

読売新聞は、
田中哲郎裁判長は「会社が値下げをやめるよう指導した行為は、販売価格の自由な決定を拘束し、独占禁止法違反にあたる」と原告側の請求を一部認め、同社に220万円の支払いを命じた。原告側の代理人弁護士によると、同社の値下げ制限行為を違法と判断し、賠償を命じたのは初めてという。
とし、販売価格の自由な決定の拘束という再販のキーワードの1つ(自由競争減殺がもう1つのキーワードですが)を書いています。

これに対し、排除措置命令は、次のようにしています。
加盟店で廃棄された商品の原価相当額の全額が加盟者の負担となる仕組みの下で・・・見切り販売を行おうとし,又は行っている加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせている。・・・セブン−イレブン・ジャパンは,加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている。・・・

そして、「法令の適用」は次の通りです。
セブン−イレブン・ジャパンは,自己の取引上の地位が加盟者に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,取引の実施について加盟者に不 利益を与えているものであり,これは,不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)の第14項第4号に該当し,独占禁止法第19条の規定に 違反するものである。

つまり、排除措置命令は、「加盟店で廃棄された商品の原価相当額の全額が加盟者の負担となる仕組みの下で」(いわゆるコンビニ会計です)、「見切り販売を行おうとし,又は行っている加盟者に対し,見切り販売の取りやめを余儀なくさせている」ことを問題にしています。このように、公取委の排除措置命令は、優越的地位の濫用(当時の一般指定14項、現行法では2条9項5号)としていること、その問題となる行為の内容(多くが同じ行為ではあるのですが)と理由付けが、法律構成は異なり、理由付けも異なるようにります1)。上記記事は、「同社の担当者が見切り販売をやめるよう指導したこと」自体を再販としているように見えます。排除措置命令については見切り販売の禁止自体を問題とするというより、コンビニ会計により廃棄ロスを一方的に負担をさせながら見切り販売という廃棄ロスの回収の手段を禁じていることを問題にし、廃棄ロスの全部または一部を本部が負担したり、合理的な期間内の見切り販売の禁止は優越的地位の濫用に当たらないというのが排除措置命令の一般的な理解だったように思いますが、判決はより広範囲の行為を独禁法違反とするものである可能性もあります。このあたり、ぜひ判決文を確認したいところです。なお、法科大学院で教えていると、再販だと課徴金は2回目からしかかからないけれど優越的地位の濫用だと最初からかかるし、課徴金は「当該商品役務」ではなく、取引額全体にかかるので優越的地位の濫用と構成すべきじゃないのとか、再販なら支配型私的独占と構成すれば課徴金がかからるのではないのといった質問が出たりするのですが、本件は民事事件ですから(そもそも法改正前の事件でもありますが)課徴金は気にしなくてよいわけではあります。

1)排除措置命令で再販や拘束条件付取引(本部が自らは販売していない商品の場合)としなかったのは、フランチャイジーは価格を自分で決めることはでき、しかし決めた価格を本部に報告しなければならず、また報告した価格を引き下げる場合はその度にそのことを本部に報告しなければならない、また引き下げる際のレジ等の操作がややこしい(うろ覚え)といったことから、価格を拘束しているとはいえない、あるいはそれが争点になったらめんどくさい、という判断があったのかと自分なりに整理していました(ただし、前者はおそらく通説的理解ではなく、めんどくさい、が本音かと思っていました)。

なお、優越的地位の濫用規制については、長澤哲也弁護士の下の本が出版されました。実務家の方のみならず、研究者によっても必読の本です。
優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析
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18 8月

FTCのGoogleへの調査、企業結合第二次審査2件目

Google によるモトローラ買収が話題になる中、少し古い情報ですが、今月の半ば、FTCがGoogleを本格調査しているとの報道が出てきますが、Googleの独禁法違反調査、対象はAndroidと検索サービスがわかりやすいです。
約6週間前から米Googleについて進められている米連邦取引委員会(FTC)の調査対象は、主にモバイルプラットフォーム「Android」と検索サービス関連であることが、米メディア各社によって現地時間2011年8月10日に明らかになった。

 米Wall Street Journalオンライン版によると、FTCは複数の州当局と協力し、Android搭載端末を製造するメーカーにGoogleが競合社のサービスを使わないよう妨害した事実があるかなどを調べているという。また、地域店舗情報サービス「Places」やショッピング検索「Shopping」、金融情報サービス「Google Finance」といった自社製品を検索結果の上位に配置したことと、競合サービスが収集した地域ビジネスのレビューなどの情報を不正に取得して自社のサイトに利用したことでも疑われている。

 Googleは6月24日にFTCの調査を受けていることを明らかにしたが、その時点では「FTCが何を懸念しているのかは不明」としていた(関連記事:FTCがGoogleの正式調査を開始、「当社は常にユーザー第一」とGoogle )。その後同社は7月に、FTC調査との関連性には触れなかったが、Placesでの競合企業コンテンツの掲載を中止した。それまで地域情報サービスの米TripAdvisor、米Yelp、米Citysearchといった競合サービスの一部情報を合わせて約3000のレビューを掲載していたが、これを約60まで減らした(関連記事:Google、「Places」で競合企業コンテンツの掲載を中止)。

 また米Computerworldの報道によると、位置情報サービスの米Skyhook Wirelessが、GoogleはAndroid端末メーカーにGoogle以外のサービスを使わせないよう強要しているとして、Googleを提訴している。

 欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)も2010年11月から、競争法違反の疑いで正式な調査を開始している(関連記事:欧州委員会、競争法違反の疑いでGoogleの正式調査を開始 )。

Wall Street Journalの記事によっているようですが、非常に具体的な記事ですね。

さらに古い話ですが、独禁法上の企業結合審査について、新日鉄/住友金属に続いて、2件目の第二次審査がなされているのですね。新制度では、第二次審査に入ると第三者からの意見書の受付がなされるので、自動的に公表されるわけです。
第2次審査中案件一覧の中に、ハードディスクドライブ(HDD)の製造販売事業者の統合計画に関する報告等の要請(第2次審査の開始)及び第三者からの意見聴取について(PDF)が掲載されています。
公正取引委員会は,ハードディスクドライブ(以下「HDD」といいます。)の製造販売事業を営む事業者の統合(以下「本件統合」といいます。)について,Seagate Technology International及びWestern Digital Ireland,Ltd.からそれぞれ独占禁止法の規定に基づく計画届出書の提出を受け,本件統合が競争に与える影響について審査を行ってきましたが,より詳細な審査が必要であると認められましたので,独占禁止法第10条第9項及び第16条第3項の規定において読み替えて準用する第10条第9項の規定に基づき,届出会社に対し,報告等を求めました。
なお,当委員会が本件統合について報告等の要請を行ったことは,本件統合が独占禁止法上問題となることを意味するものではありません。
また,本件統合が競争に与える影響について,第三者からの意見書を受け付けます(後記第2を参照)。
(注) HDDは,磁性物質の被膜を施したメディアを高速回転させる中で,メディア表面に磁気ヘッドを近接させて,大容量のデータを読み書きする記憶装置であり,サーバー,パソコン,テレビ等の家電製品,ゲーム機器等に幅広く用いられています。
第1 本件の概要
1 Seagate Technology Internationalは,Samsung Electronics Co.,Ltd.
からHDD事業を譲り受ける。
2 Western Digital Ireland,Ltd.は,Viviti Technologies Ltd.(旧 Hitachi Global Storage Technologies Holdings Ltd.)の株式の取得を行う。・・・


あと、東京スター銀行対三菱東京UFJ銀行損害賠償請求事件の東京地裁判決がリアルでもネット上でも見つかりません。所在をご存知の方は教えてください。

蛇足ですが、『リーガルクエスト経済法』(有斐閣)の第二刷、『ベーシック経済法ー独占禁止法入門ー(第3版)』(有斐閣)の第三刷が決まりました。ありがとうございました。『企業結合ガイドラインの解説と分析』(商事法務)は、新日鉄/住友金属事案を反映させるためこの審査終了後に改訂に取りかかる予定です。

27 7月

軸受け(ベアリング)価格カルテルの反則調査

昨日は、軸受け(ベアリング)価格カルテルの反則調査が報道されました。
日経によれば次の通りです。
機械用ベアリングを販売する大手機械部品メーカー4社に26日、公正取引委員会の強制調査が入った。市場規模は約4000億円と巨大市場。刑事告発を視野にした公取委の調査は、長年、繰り返されたとみられる価格調整に、厳しい姿勢を示したといえる。

価格カルテルの疑いで大手ベアリング4社を公取委が強制調査(テレビ東京)

価格カルテルの疑いで大手ベアリング4社を公取委が強制調査(テレビ東京)

 軸受けは自動車ではエンジンやステアリング、トランスミッション、クラッチなど多くの部分に使用。新幹線や冷蔵庫、扇風機など産業機械や家電製品などあらゆる製品で使われている。

 業界関係者によると、強制調査を受けた日本精工やNTNなどの4社で、国内市場の約8割を占める。メーカー関係者は「鋼材が値上がりしたことに加え、主要な取引先である自動車メーカーなどからの値下げ圧力が強まっていることがカルテルの背景にあるのではないか」と指摘する。

 公取委はこれまで独禁法違反で刑事告発した事件に関し、行政処分となる課徴金納付命令なども課してきた。

 国や旧日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事の談合事件では2006年3月、44社に対し、1事件当たりで当時の最高額となる総額129億円の課徴金の納付を命令。06年1月に導入された強制調査権を行使した事件では、市場規模約3千億円に上った建物の外壁などに使われる溶融亜鉛メッキ鋼板カルテルで09年8月、155億円に上る課徴金納付命令を出している。

 今回のベアリングの価格カルテル疑惑も違法行為が認定されれば、市場規模からしても、課徴金は総額数百億円規模となる可能性はありそうだ。


これは、行政調査ではなく、刑事告発を前提とした強制調査(反則調査)です。刑事告発に到れば、2008年11月の溶融亜鉛めっき鋼板の価格カルテル事件に係る告発以来の久しぶりの刑事事件となります。

市場規模が4000億円で、4社で8割を占めるとすれば、課徴金が売上額の10%で、単純平均すると1社で80億円になります。課徴金額では、塩化ビニール管継ぎ手の価格カルテル事件で2009年2月に積水化学に課された79億円が1社の課徴金としては最高であったはずですが(50億円前後はさらにいくつかあります)、これを上回る会社が出る可能性があります。

あと、報道には何も記載がありませんが、仮に本件が課徴金減免申請(リニエンシー)がなされた事案だとすれば、立入検査前で1位の報告者が刑事告発を免れるという点でも注目されます。また、4社はまだ申請してないとすれば、4社はいずれもリニエンシーの手続に現在大忙しだと思われますが、これが刑事罰の量刑にどう影響するのかも興味深いです。3割減額でも単純平均で24億円ですから、課徴金減額のためにも立入検査後のリニエンシー申請は不可欠ですね。半分冗談を言えば、リニエンシー申請しなければ、株主代表訴訟を起こされかねない金額です。さらに、もし立入検査前に1社が申請していれば申請を急ぐ必要はないのですが、立入検査前の申請がもしないならば、立入検査後のリニエンシー枠は3社ですから、早い者勝ちです。1社はあぶれます。急げ!
13 7月

ガス絶縁開閉装置カルテルと、南高梅購入カルテル

昨日は、2つの興味深い報道がありました。そのほか、大森工業審決取消訴訟判決について、公取委が上告受理申立をせず確定したとも報道されています。

ガス絶縁開閉装置カルテルで、欧州司法裁判所が、東芝、三菱電機の制裁金を無効と判示しました。引用の記事は日経のものです。
欧州連合(EU)司法裁判所の一般裁判所(ルクセンブルク)は12日、三菱電機と東芝が送電設備をめぐる国際カルテルに関与していたとして欧州委員会が命令した制裁金を無効とする判決を下した。また、富士電機らの制裁金を減額した一方、日立製作所の訴えは退けて欧州委員会の判定を支持した。

 無効とされた三菱電機向け制裁金は1億1800万ユーロ(約132億円)、東芝向けが9000万ユーロ(約101億円)。欧州委が両社の制裁金を2001年を基準年として計算する一方、欧州企業の制裁金は03年を基準年として計算した。一般裁判所は「欧州委員会は平等な扱いという原則に違反した」と無効の理由を説明している。・・・

合計260億円の制裁金が無効というのもすごいですが、無効の理由も興味深いです。ただ、私は不勉強でこういう例が過去にあるのか、調べてみなければなりません。

もう一つは、南高梅の購入カルテルへの立入検査です。引用の記事も日経のものです。
高級ブランドの「紀州南高梅」など梅を生産農家から買い取る際に価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は12日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、和歌山県田辺市と同県みなべ町の農業協同組合(JA)や梅加工会社計十数社に立ち入り検査した。

 立ち入り検査を受けたのはJAみなべいなみ(みなべ町)、JA紀南(田辺市)などの加工業者と業界団体「紀州田辺梅干協同組合」と「紀州みなべ梅干協同組合」。

 関係者によると、両組合に加盟する約80社は2005年ごろから、梅の収穫期の毎年7月ごろに組合に集まり、等級やサイズごとに価格を決定。加盟社が一定の値段で梅を仕入れることに合意していた疑いがもたれている。

読売はもう少し詳しい記事を書いています。
「南高梅」を農家から買い付ける際、価格を横並びにするカルテルを結んでいたとして、和歌山県田辺市やみなべ町の梅干し加工業者やJAなど十数か所が、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで公正取引委員会から立ち入り検査を受けた12日、全国ブランドを巡る疑惑に生産者は「今後、梅の価格にどんな影響が出るのか不安」と戸惑いを見せ、加工業者は「カルテルは一切ない」と反論した。

 紀州みなべ梅干協同組合の説明では、梅農家や加工業者が取引の目安にするため、慣例として「見通し価格」を決めている。毎年、梅の収穫量や品質などを考慮し、組合員からのアンケートをもとに設定するという。同組合の小山豊宏組合長(59)は「取引は各業者が独自に行っており、カルテルはない。隠すこともなく、公取委の検査に協力する」と言い切った。

 紀州田辺梅干協同組合から事務委託をうけている牟婁商工会(田辺市)の田ノ岡比呂志事務局長も「生産者と業者の代表が意見交換会で情報を交換している」といい、「見通し価格がカルテルに当たるとの意識は全くなかった」と話した。

 一方、田辺市内の梅農家は「意見交換会では生産者の意見が通りにくく、結果的に価格は抑えられている」と明かすが、「自由競争で販売価格が決まる仕組みになれば、採算の見通しが立てにくくなり、不安もある」と本音をもらした。また、みなべ町の梅農家の男性(37)は「農家は赤字ギリギリの経営を迫られている。不当に安値で取引されているとしたら憤りを感じる」と話した。

購入価格カルテルの本格的な事件はほとんどないので、法的措置がだされるならば先例性が高くなります。加工会社は2条6項、3条後段違反の不当な取引制限ですね。法解釈上興味深いのは、JA(日経の記事では加工業者とあります)に対して法的措置がとれるのかです。JAは農協ですので、22条但書の文言からすると独禁法の適用除外を受けるのではないかと考えられるのですが、どのように法律構成するのでしょうね。

(追記)その後の報道を見ると、 紀州みなべ梅干協同組合と紀州田辺梅干協同組合の2つの協同組合による「見通し価格」の価格カルテルという法律構成が素直そうです。
1 7月

神戸法学会サマーセミナーのご案内

神戸法学会サマーセミナー←詳しくはこちらの大学ホームページをご覧下さい

神戸法学会では、神戸大学大学院法学研究科の日頃の研究・教育活動をご紹介し、その成果を社会に還元するため、以下の要領でサマーセミナーを開催いたします。講師はいずれも神戸大学教授、内容は各法分野について近時の動向 (立法や裁判例) を理論的観点から検討・解説するものです。

内容:
7月28日
(木) 10:30-12:30 13:40-15:40 16:00-18:00
A「労働法(労働契約法)」
大内伸哉
 B「独占禁止法」
泉水文雄
 C「知的財産法」
島並良
7月29日
(金) 10:30-12:30 13:40-15:40 16:00-18:00
D「医事法(医療事故)」
手嶋豊
  E「民法/家族法」
窪田充見
  F「民法/債権法」
磯村保
会場:
神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ (←クリックするとGoogle Map が開きます)
大阪府大阪市北区鶴野町1−33梅田ゲートタワービル8階
阪急梅田駅徒歩3分、JR 大阪駅徒歩7分
定員:
100名
受講資格:
特にありませんが、主な受講者としては、法曹(弁護士等)や企業法務部員等、すでに当該分野について一定の法律知識を持つ方を想定しています。
受講料:
A〜F 各コマ3,000円 (税金・資料代込)、全6コマ受講者に限り15,000円 (同)。
セミナー当日に会場受付でお支払い下さい。

※なお、少なくともいずれか1コマを受講された方を対象に、7月29日 (金) 18時30分から20時30分まで、近隣にて懇親会 (参加費無料) を開催する予定です。

兵庫県弁護士会会員の皆さまへ:
本セミナーは兵庫県弁護士会の継続研修該当研修の認定を受けています。受講報告方法等、詳細については兵庫県弁護士会事務局までお問い合わせ下さい。

大阪弁護士会会員の皆さまへ:
本セミナーは大阪弁護士会の研修義務化対象講座です(1コマ2単位)。入室時、退室時の2回、出席登録が必要です。開始20分以降の入場、終了20分以前の退場は、受講としてカウントされませんのでご注意ください。
主催:
神戸法学会
後援:
株式会社有斐閣
セミナー申込方法:
下記必要事項を明記のうえ、7月15日 (金) 正午までに、 次の連絡先にメールまたはファクスでご連絡下さい。 ただし、各コマ定員 (100名) に達し次第、受付を終了します。
(1)お名前 (フリガナ)、(2)ご所属、(3)連絡先 (メールアドレスおよび電話番号)、 (4)受講を希望するコマ (A〜F・複数可)、(5)受講コマ数、(6)懇親会参加の有無

連絡先: 神戸大大学院法学研究科サマーセミナー事務局
電子メール: summer_seminar@people.kobe-u. ac.jp
ファクス: 078–803-6753
ご不明な点は、担当・島並 (ryo@kobe-u. ac.jp) までメールでお問い合わせ下さい。

※メールアドレスの一部 (ac.jp の前など) には、アドレス収集ロボット対策として半角スペースが挿入されております。メールアドレスご使用の際には、適宜修正願います。

ファクスでのお申込は下記申し込み用紙にご記入の上、送信ください。

申し込み用紙 (PDF形式 192KB)

29 6月

大森工業の審決取消請求判決

岩手談合事件において大森工業が原告の審決取消訴訟において、審決が取り消されました。新聞報道をみて判決が気になっていたのですが、判決が公表されています。判決文(PDF)(どうでもいいのですが、このURL名は変ではないですか・・・と書くとこのリンクは切れるかもしれません)

該当部分をざっと見ただけですが、本件の事実のもとでは、団体に入会しただけでは、団体において意思の連絡による受注調整が行われていたと認識していた事実を認められないとしています。

ブログを放置しているうちに、モバゲー、山陽マルナカ、初の差止請求原告勝訴判決、防衛庁石油製品の不当利得返還請求判決と、海外ではグーグル調査等、いつのまにか新しい事件が続きますね。
31 5月

福島第一原子力発電所ライブカメラ

福島第一原子力発電所ライブカメラが24時間ほぼリアルタイム(30秒遅れ)で見られるようになりました。

こちらは、全国の放射線濃度。
19 4月

公正取引、重判解

「公正取引」の4月号に、「東日本電信電話の光ファイバ施設に関する私的独占事件最高裁判決―最判平成22年12月17日判時2101号32頁、判タ1339号55頁―」を掲載していただきました。

また、「公正取引」の4月号には「消費者と競争政策」を掲載していただいています。2号連続となりました。

『平成22年度重要判例解説』(ジュリスト1420号)には「経済法判例・審決例の動き」を掲載しています。こちらの対象は、平成21年11月から平成22年10月末日までにだされた判例、審決、排除措置命令等です。

なお、本ブログの右側の下の方に匿名のTwitterが表示されています。だれだろうニャン?
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