先日、某所で話をしたときに、5分ほどのプレゼン用に表題のパワーポイントファイルを作成しましたので、そのまま貼り付けておきます。報道された公取委の山本事務総長発言によれば、公取委は江川事件のときの立場をいまだ維持しているようです。
・新聞で、12球団がプロ野球選手契約の報酬の上限を設定しており、巨人軍がそれを大きく上回る報酬を支払ったことが報道されている
・報道によれば、読売や他の球団は、12球団による報酬上限協定が独禁法に違反するとの指摘が公取委からなされ、「目安」にすぎないとの合意が球団間でなされたという
・しかし、「標準」「目安」でも独禁法に違反するのではないか
・また、2007年以降は「目安」でなく上限であることが確認されたという
・これはどのように理解されるか

・プロ野球については2点の指摘が必要である
・(i)ドラフト制や本件報酬上限協定は、プロ野球球団間の「戦力の均衡」を目的としたものといわれている
・(ii)公正取引委員会は、プロ野球選手契約に独禁法を適用したことがない、また適用されないと国会で発言したことがある

・(i)ドラフト制や本件報酬上限協定は、プロ野球球団間の「戦力の均衡」を目的としたものといわれている
・プロ野球の球団は競争をしているが、それは通常の競争と異なり、どこが勝つかわからない予測不能性が競争の前提にある。ある球団が金にあかせて有力選手を集め「戦力の均衡」が損なわれると、特殊な感性のファンを除けば、ファンは野球に興味を失い、別のスポーツ、娯楽にシフトしよう
とすれば、これは先に述べた正当な目的(競争を促進する目的)のための「非ハードコアカルテル」であり、一定の範囲で許容される余地がある

・(ii)公正取引委員会は、プロ野球選手契約に独禁法を適用したことがない、また適用されないと国会で発言したことがある
・米国では、歴史的経緯から、プロ野球には独禁法を適用しない、ただし、フットボール等には適用している
・江川騒動のときに、公取委の委員長が、プロ野球選手契約は「雇用契約」であり、「雇用契約」には独禁法は適用されないと発言した
・ただし、プロ野球選手契約は請負契約、無名契約という見解が多いであろう(当時の法務省、旧労働省も国会でそう発言)、学説上、雇用契約でも独禁法は適用される、少なくともプロ野球選手契約の報酬協定に独禁法が適用されるのが通説であるが、非ハードコアカルテルで適法な可能性は残る