2007年07月

2007年07月24日

お勧め図書

交響曲の生涯

現在コミケへの活動のため、
連載中の音楽史シリーズの更新を中断していますが
それに関連した本の話題を一つだけ取り上げてみます。

「交響曲の生涯」という本です。
この時期に敢えて読んだのは、
もちろん「運命聴き比べ」の資料集めのためでした。

残念ながら「運命」は扱っておらず
今回の出品の直接的な参考にはならなかったのですが
文書としては実に素晴らしいものでした。

「生涯」とうたってはいますが、
実質は交響曲の成立までを辿った本であり
ベートーヴェンまでで内容のほとんどを費やしています。
一般に交響曲といえば「ベートーヴェンから」なのですが
敢えて「ベートーヴェンまで」を取り上げている点で
音楽史シリーズを執筆中の身にとっても実にありがたく
そして、より興味をひきつけられる内容だったといえます。

交響曲という概念が生まれていない古い時代の音楽の中から
近い要素を持った曲を取り上げて検証していくスタイルは
正に探求、研究の粋であって夢中になって読みふけりました。
交響曲ファンであると同時に古楽ファンでもある自分にとって
それこそヨダレもんの内容だったことになります。

楽曲分析などやや専門的な部分にも入り込みますが
筆者が考案したという簡易な記譜法は
楽譜がよくわからない人への配慮にもなっており
広く楽しめると思います。

こういう本は、ある曲がサンプルとして取り上げられていたら
楽譜を目で追うだけではなく、
実際に音を聴きながら読むのが一番いい方法でしょう。
ただ、少し残念なのは、
参考としてあげられている曲のうちいくつかは
まだ音源化、すなわち録音されていないものであって
耳にすることはできないというものがありました。

これは本の問題というのではなく、今後、
多くの未発掘音源が世に出て欲しいという願望になります。

音楽塾でも、交響曲への探求は
正に活動の中心にすえたいと考えている内容なので
これからの活動において貴重な図書になるかもしれません。


wrote by au-saga

antonio_salieri at 10:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!au-saga | 雑記