2008年03月11日
音楽史10〜バロック鍵盤音楽〜
バロック期における鍵盤楽器は通奏低音の発達と共に
需要も増えていき、非常に重要な地位を占めるようになった。
バロック期の鍵盤楽器とは主にオルガンとチェンバロである。
《初期の巨匠》

●ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク
Jan Pieterszoon Sweelinck(1562-1621)
ルネサンス後期からバロック初期にかけて活躍した
北ドイツオルガン楽派の祖とされる人物。
イタリアのフレスコバルディと共に初期バロックオルガンの二大巨匠とされる。
スウェーリンクは同時にルネサンス音楽家として
フランドル楽派の最後の作曲家にも位置づけられており
ルネサンス型の声楽曲なども作曲している。
また作曲家としての評価と同じくらいか
それ以上に教育者としても高く評価された。
門人には
・ヤーコプ・プレトリウス Jacob Praetorius(1586-1651)
・ハインリヒ・シャイデマン Heinrich Scheidemann(1595頃-1663)
・ザムエル・シャイト Samuel Scheidt (1587-1653)
など優秀な作曲家・オルガン奏者がいる。
お勧め:「わが青春はすでに過ぎ去りによる変奏曲」
物悲しい旋律が特徴的なスウェーリンクの最も有名なオルガン曲。
最近は、より技巧的なエコー・ファンタジアなども人気がある。

●ジローラモ・フレスコバルディ
Girolamo Frescobaldi(1583-1643)
初期バロックにおける最も重要な鍵盤作曲家。
モンテヴェルディが声楽において成し遂げた成果を
鍵盤楽器で達成した人物と言われている。
声楽の大家ルッツァスキに作曲を学びジェズアルドに影響を受けた可能性もある。
また旅行で訪れた先でスウェーリンクに師事したという説もある。
声楽曲もあるがやはり作品のほとんどは鍵盤音楽であった。
僅か25歳でローマ聖ピエトロ大聖堂のオルガニストに就任した際には
実に数万人の人々が集まったといわれるほど絶大な人気を博した。
門下にはフローベルガーを始めとした優れた音楽家が集まり
イタリアのみならずドイツやフランスにも大きな影響を与えた。
お勧め:「音楽の花束(Fiori musicali)」
ミサ奉献中に演奏されることを目的とした作品集。
オルガンでもチェンバロでも演奏が可能。
トッカータやリチェルカーレなど様々な音楽が収められているので
フレスコバルディの音楽を知るのに好都合の作品である。
他にもトッカータ集やパルティータなど充実した作品が多い。
《バロック中期以降》
バロックも中期以降になると優れた鍵盤音楽が多く作曲された。
いずれもスウェーリンクかフレスコバルディ、
あるいは両方の影響を強く受けた作風となっている。
各国で鍵盤音楽は作られたが
特にドイツ系の作曲家の活躍が目立っている。
※フランスでも鍵盤音楽が独自の発展を遂げるのだが、
ここでは触れず、フランス音楽の項で別に取り上げることとする。
●フランツ・トゥンダー
Franz Tunder(1614-1667)
スウェーリンクから発生した北ドイツオルガン楽派の一人。
世代的にはスウェーリンク直伝ではなく、その直弟子から教わった代になる。
リューベック聖マリア教会のオルガニストを務めた。
●マティアス・ヴェックマン
Matthias Weckmann(1616-1674)
トゥンダーと同じく北ドイツオルガン楽派のオルガニスト、作曲家。
スウェーリンクの直弟子であるヤーコプ・プレトリウスに師事した
ドレスデンでフローベルガーと演奏対決を行い、以後両者は親友同士となった。
●ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー
Johann Jakob Froberger(1616-1667)
フレスコバルディに師事した鍵盤楽器のスペシャリスト。
ドイツ出身だがイタリアやフランスでも活躍をしたため
各国の音楽家に多大な影響を与えた。
フローベルガーの音楽成果の一つに組曲の創始がある。
組曲は数曲の舞曲からなる多楽章形式の音楽だが、
フローベルガーによって基本形が確立されたとされている。
この組曲形式はバロック期に好んで用いられ
バッハやヘンデルも多くの著名な作品を残している。
お勧め:「皇帝フェルディナント3世に捧げる哀歌」
フローベルガー最も有名な作品。
また多く残されている組曲では「第20番」が著名である。

●ディートリヒ・ブクステフーデ
Dietrich Buxtehude(1637-1707)
初期のスウェーリンクとフレスコバルディ、そして後期のバッハ、
その両方を結ぶ線上にいる極めて重要な作曲家である。
北ドイツオルガン楽派としてスウェーリンク後の最も重要な存在であり
かつフレスコバルディ門下のフローベルガーの音楽にも強い影響を受けた。
トゥンダーは義父にあたり、その死後リューベックオルガニストの座を継承した。
若きバッハはブクステフーデの音楽に強く魅せられた一人だった。
ブクステフーデの演奏を聴くために休暇を取ってリューベックを訪れたバッハは
その素晴らしさのあまり無断で2ヶ月も休暇を延ばしてしまい、
帰国後に強く叱責されたというエピソードは有名である。
オルガンの大家として有名なブクステフーデであるが、
ソナタなどの室内楽や声楽曲も作曲している。
特にカンタータに関しては歴史上重要な役割を担っており
ここでもバッハへの影響を強く見て取ることができる。
お勧め:「オルガン作品」
特に有名なのは「プレリュードとフーガ BuxWV.146」
「パッサカリア BuxWV161」「前奏曲 BuxWV152」など。
また声楽ではカンタータ「我らがイエスの四肢」が有名で録音も多い。
●ヨハン・アダム・ラインケン
Johann Adam Reincken(1643-1722)
ブクステフーデと同時代の北ドイツオルガン楽派の一人。
スウェーリンクの直弟子であるハインリヒ・シャイデマンに師事した。
オルガン演奏だけでなくオルガンの鑑定家としても知られ
またオペラの運営にも力を入れた。
●ヨハン・パッヘルベル
Johann Pachelbel(1653-1706)
現在では「カノン」1曲であまりにも有名な人物。
バッハの父であるヨハン・アンブロジウス・バッハと親交があり
バッハの兄、ヨハン・クリストフ・バッハの師でもあった。
本職はオルガニストであり、オルガンのための作品を多く作曲している。
お勧め:「カノンとジーグ」
とはいえ、やはり代表作はこれになるだろう。
ただし今日通常に聴く演奏はバロック様式でないことがほとんどで
時代考証を踏まえた正しい演奏をすると
よく耳にする曲とは随分違って聴こえることになる。
※詳しくは以前当サイトで取り上げたカノンの記事(音源あり)を参照
●ヴィンツェント・リューベック
Vincent Lubeck(1654-1740)
ブクステフーデ後の重要な北ドイツオルガン楽派の一人。
リューベックの姓は著名な都市に由来する。
主に演奏家、教育者として活動したため数は多くなかったが
ブクステフーデに強い影響を受けた技巧的な作品が残されている。
●ゲオルク・ベーム
Georg Bohm(1661-1733)
北ドイツオルガン楽派の一人。鍵盤音楽の作曲家として名を馳せた。
バッハのオルガンの師には諸説あるが現在ベーム説が最も有力である。
●ニコラウス・ブルーンス
Nicolaus Bruhns(1665-1697)
リューベックと並ぶ重要な後期北ドイツオルガン楽派の一人。
ブクステフーデの門下生の中でも最も優れた人物と賞賛された。
オルガンのほかヴァイオリンの奏者としても著名であり
優れた室内楽やカンタータも作曲したが夭折のため作品数が少ないのは残念。
●ヨハン・クーナウ
Johann Kuhnau(1660-1722)
ライプツィヒのトーマスカントルとしてバッハの前任であった人物。
鍵盤楽器の作曲家として知られたが、声楽なども残しており
また教育者や弁護士としても活躍した。特に門下には優れた作曲家が多く、
バロック末期の多くのドイツ作曲家がクーナウの薫陶を受けている。
お勧め:「聖書ソナタ」
旧訳聖書の物語を鍵盤楽器で表現したクーナウの代表作。
●クリストフ・グラウプナー
Christoph Graupner(1683-1760)
クーナウに学んだバロック後期の作曲家、チェンバロ奏者。
精力的に作曲活動を行い、人気を博したオペラの他、
管弦楽曲や室内楽など多岐に渡る分野で作品を残した。
《バロック鍵盤音楽の完成》
バロック後期、鍵盤音楽を完成させた重要な人物が2人いる。
一人はバッハであり、もう一人はスカルラッティである。

●ドメニコ・スカルラッティ
Domenico Scarlatti(1685-1757)
父はナポリ楽派の祖として有名なアレッサンドロ・スカルラッティ。
チェンバロの名手であり、ヘンデルとの鍵盤演奏対決は有名である。
結果はオルガンではヘンデルが、チェンバロではスカルラッティが勝利した。
因みにスカルラッティとバッハとヘンデルはいずれも1685年生まれの同年齢である。
現在ではチェンバロソナタの作曲家として有名なスカルラッティであるが、
キャリア初期には父の系統に位置するオペラや教会音楽の作曲家としても活躍していた。
しかし1729年にスペインに移ってからは主にチェンバロの作曲に打ち込み
その活動が今日のスカルラッティの評価を決定付けたと言ってもいい。
スカルラッティのソナタは短い曲の中に多彩な奏法が詰まっており、
それ故に「近代的鍵盤楽器奏法の父」とも呼ばれたりするが
後半生にはほぼスペインのみで活動していたこともあり、
古典派以降の作曲家への直接的な影響は不明である。
直接的な後継者としてはイベリア半島の
カルロシュ・セイシャス Carlos Seixas(1704-1742)
アントニオ・ソレール (1729-1783)
などの名を上げることができるのみである。
お勧め:「ソナタ」
声楽もあるがやはりチェンバロのためにかかれたソナタが重要である。
残されたソナタは500曲を超えており、
その全てを聴くことは至難の業だが、いずれも小品で聴きやすく、
まずは抜粋で1枚に収められたベストCDなどに耳を傾けるのがいいだろう。
wrote by Au-Saga
次回は、フランス・バロック
需要も増えていき、非常に重要な地位を占めるようになった。
バロック期の鍵盤楽器とは主にオルガンとチェンバロである。
《初期の巨匠》
●ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク
Jan Pieterszoon Sweelinck(1562-1621)
ルネサンス後期からバロック初期にかけて活躍した
北ドイツオルガン楽派の祖とされる人物。
イタリアのフレスコバルディと共に初期バロックオルガンの二大巨匠とされる。
スウェーリンクは同時にルネサンス音楽家として
フランドル楽派の最後の作曲家にも位置づけられており
ルネサンス型の声楽曲なども作曲している。
また作曲家としての評価と同じくらいか
それ以上に教育者としても高く評価された。
門人には
・ヤーコプ・プレトリウス Jacob Praetorius(1586-1651)
・ハインリヒ・シャイデマン Heinrich Scheidemann(1595頃-1663)
・ザムエル・シャイト Samuel Scheidt (1587-1653)
など優秀な作曲家・オルガン奏者がいる。
お勧め:「わが青春はすでに過ぎ去りによる変奏曲」
物悲しい旋律が特徴的なスウェーリンクの最も有名なオルガン曲。
最近は、より技巧的なエコー・ファンタジアなども人気がある。

●ジローラモ・フレスコバルディ
Girolamo Frescobaldi(1583-1643)
初期バロックにおける最も重要な鍵盤作曲家。
モンテヴェルディが声楽において成し遂げた成果を
鍵盤楽器で達成した人物と言われている。
声楽の大家ルッツァスキに作曲を学びジェズアルドに影響を受けた可能性もある。
また旅行で訪れた先でスウェーリンクに師事したという説もある。
声楽曲もあるがやはり作品のほとんどは鍵盤音楽であった。
僅か25歳でローマ聖ピエトロ大聖堂のオルガニストに就任した際には
実に数万人の人々が集まったといわれるほど絶大な人気を博した。
門下にはフローベルガーを始めとした優れた音楽家が集まり
イタリアのみならずドイツやフランスにも大きな影響を与えた。
お勧め:「音楽の花束(Fiori musicali)」
ミサ奉献中に演奏されることを目的とした作品集。
オルガンでもチェンバロでも演奏が可能。
トッカータやリチェルカーレなど様々な音楽が収められているので
フレスコバルディの音楽を知るのに好都合の作品である。
他にもトッカータ集やパルティータなど充実した作品が多い。
《バロック中期以降》
バロックも中期以降になると優れた鍵盤音楽が多く作曲された。
いずれもスウェーリンクかフレスコバルディ、
あるいは両方の影響を強く受けた作風となっている。
各国で鍵盤音楽は作られたが
特にドイツ系の作曲家の活躍が目立っている。
※フランスでも鍵盤音楽が独自の発展を遂げるのだが、
ここでは触れず、フランス音楽の項で別に取り上げることとする。
●フランツ・トゥンダー
Franz Tunder(1614-1667)
スウェーリンクから発生した北ドイツオルガン楽派の一人。
世代的にはスウェーリンク直伝ではなく、その直弟子から教わった代になる。
リューベック聖マリア教会のオルガニストを務めた。
●マティアス・ヴェックマン
Matthias Weckmann(1616-1674)
トゥンダーと同じく北ドイツオルガン楽派のオルガニスト、作曲家。
スウェーリンクの直弟子であるヤーコプ・プレトリウスに師事した
ドレスデンでフローベルガーと演奏対決を行い、以後両者は親友同士となった。
●ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー
Johann Jakob Froberger(1616-1667)
フレスコバルディに師事した鍵盤楽器のスペシャリスト。
ドイツ出身だがイタリアやフランスでも活躍をしたため
各国の音楽家に多大な影響を与えた。
フローベルガーの音楽成果の一つに組曲の創始がある。
組曲は数曲の舞曲からなる多楽章形式の音楽だが、
フローベルガーによって基本形が確立されたとされている。
この組曲形式はバロック期に好んで用いられ
バッハやヘンデルも多くの著名な作品を残している。
お勧め:「皇帝フェルディナント3世に捧げる哀歌」
フローベルガー最も有名な作品。
また多く残されている組曲では「第20番」が著名である。

●ディートリヒ・ブクステフーデ
Dietrich Buxtehude(1637-1707)
初期のスウェーリンクとフレスコバルディ、そして後期のバッハ、
その両方を結ぶ線上にいる極めて重要な作曲家である。
北ドイツオルガン楽派としてスウェーリンク後の最も重要な存在であり
かつフレスコバルディ門下のフローベルガーの音楽にも強い影響を受けた。
トゥンダーは義父にあたり、その死後リューベックオルガニストの座を継承した。
若きバッハはブクステフーデの音楽に強く魅せられた一人だった。
ブクステフーデの演奏を聴くために休暇を取ってリューベックを訪れたバッハは
その素晴らしさのあまり無断で2ヶ月も休暇を延ばしてしまい、
帰国後に強く叱責されたというエピソードは有名である。
オルガンの大家として有名なブクステフーデであるが、
ソナタなどの室内楽や声楽曲も作曲している。
特にカンタータに関しては歴史上重要な役割を担っており
ここでもバッハへの影響を強く見て取ることができる。
お勧め:「オルガン作品」
特に有名なのは「プレリュードとフーガ BuxWV.146」
「パッサカリア BuxWV161」「前奏曲 BuxWV152」など。
また声楽ではカンタータ「我らがイエスの四肢」が有名で録音も多い。
●ヨハン・アダム・ラインケン
Johann Adam Reincken(1643-1722)
ブクステフーデと同時代の北ドイツオルガン楽派の一人。
スウェーリンクの直弟子であるハインリヒ・シャイデマンに師事した。
オルガン演奏だけでなくオルガンの鑑定家としても知られ
またオペラの運営にも力を入れた。
●ヨハン・パッヘルベル
Johann Pachelbel(1653-1706)
現在では「カノン」1曲であまりにも有名な人物。
バッハの父であるヨハン・アンブロジウス・バッハと親交があり
バッハの兄、ヨハン・クリストフ・バッハの師でもあった。
本職はオルガニストであり、オルガンのための作品を多く作曲している。
お勧め:「カノンとジーグ」
とはいえ、やはり代表作はこれになるだろう。
ただし今日通常に聴く演奏はバロック様式でないことがほとんどで
時代考証を踏まえた正しい演奏をすると
よく耳にする曲とは随分違って聴こえることになる。
※詳しくは以前当サイトで取り上げたカノンの記事(音源あり)を参照
●ヴィンツェント・リューベック
Vincent Lubeck(1654-1740)
ブクステフーデ後の重要な北ドイツオルガン楽派の一人。
リューベックの姓は著名な都市に由来する。
主に演奏家、教育者として活動したため数は多くなかったが
ブクステフーデに強い影響を受けた技巧的な作品が残されている。
●ゲオルク・ベーム
Georg Bohm(1661-1733)
北ドイツオルガン楽派の一人。鍵盤音楽の作曲家として名を馳せた。
バッハのオルガンの師には諸説あるが現在ベーム説が最も有力である。
●ニコラウス・ブルーンス
Nicolaus Bruhns(1665-1697)
リューベックと並ぶ重要な後期北ドイツオルガン楽派の一人。
ブクステフーデの門下生の中でも最も優れた人物と賞賛された。
オルガンのほかヴァイオリンの奏者としても著名であり
優れた室内楽やカンタータも作曲したが夭折のため作品数が少ないのは残念。
●ヨハン・クーナウ
Johann Kuhnau(1660-1722)
ライプツィヒのトーマスカントルとしてバッハの前任であった人物。
鍵盤楽器の作曲家として知られたが、声楽なども残しており
また教育者や弁護士としても活躍した。特に門下には優れた作曲家が多く、
バロック末期の多くのドイツ作曲家がクーナウの薫陶を受けている。
お勧め:「聖書ソナタ」
旧訳聖書の物語を鍵盤楽器で表現したクーナウの代表作。
●クリストフ・グラウプナー
Christoph Graupner(1683-1760)
クーナウに学んだバロック後期の作曲家、チェンバロ奏者。
精力的に作曲活動を行い、人気を博したオペラの他、
管弦楽曲や室内楽など多岐に渡る分野で作品を残した。
《バロック鍵盤音楽の完成》
バロック後期、鍵盤音楽を完成させた重要な人物が2人いる。
一人はバッハであり、もう一人はスカルラッティである。
●ドメニコ・スカルラッティ
Domenico Scarlatti(1685-1757)
父はナポリ楽派の祖として有名なアレッサンドロ・スカルラッティ。
チェンバロの名手であり、ヘンデルとの鍵盤演奏対決は有名である。
結果はオルガンではヘンデルが、チェンバロではスカルラッティが勝利した。
因みにスカルラッティとバッハとヘンデルはいずれも1685年生まれの同年齢である。
現在ではチェンバロソナタの作曲家として有名なスカルラッティであるが、
キャリア初期には父の系統に位置するオペラや教会音楽の作曲家としても活躍していた。
しかし1729年にスペインに移ってからは主にチェンバロの作曲に打ち込み
その活動が今日のスカルラッティの評価を決定付けたと言ってもいい。
スカルラッティのソナタは短い曲の中に多彩な奏法が詰まっており、
それ故に「近代的鍵盤楽器奏法の父」とも呼ばれたりするが
後半生にはほぼスペインのみで活動していたこともあり、
古典派以降の作曲家への直接的な影響は不明である。
直接的な後継者としてはイベリア半島の
カルロシュ・セイシャス Carlos Seixas(1704-1742)
アントニオ・ソレール (1729-1783)
などの名を上げることができるのみである。
お勧め:「ソナタ」
声楽もあるがやはりチェンバロのためにかかれたソナタが重要である。
残されたソナタは500曲を超えており、
その全てを聴くことは至難の業だが、いずれも小品で聴きやすく、
まずは抜粋で1枚に収められたベストCDなどに耳を傾けるのがいいだろう。
wrote by Au-Saga
次回は、フランス・バロック