2010年02月25日

沖縄本島と石垣島採集!

最近東京も暖かくなってきましたね。
そろそろアリたちの産卵も始まり、アリ観察の楽しい時期になります。

実はまだオーストラリア日記が途中なのですが、先に先週の採集日記を紹介いたします。

先週は、沖縄と石垣を同時に行ってきました!!
滞在中は2月中旬とは思えない寒さで、大雨が降り続いていましたが、びしょびしょになりながらジャングルを歩き回っていました。

ツシマハリアリ今回は2つの島を回ったということで、普段以上に多くの種類のアリやその他の生き物を採集することができました。
そして、今回もとても珍しい虫を見つけることができたのです!
このツシマハリアリの巣から発見しましたが、また後ほど紹介いたします。


ツシマハリアリは太くてがっしりとした体形で、とても飼育のしやすいハリアリなのですが、女王がなかなか採集できません。
掘っても掘っても女王が見つからないことが多くあります。
素晴らしいアリなのですが残念です。

【1日目】
いつも通り、朝一の便で那覇空港に出発です。
9時ごろに那覇に到着し、レンタカーを借りて山に向かいます。

トゲオオハリアリの女王今回は南部にあるトゲオオハリアリの生息地に行きます。
しばらくして、大コロニーを発見です!
巣を慎重に掘りながら、採集します。
トゲオオハリアリの場合、ルーペなどで拡大しないと交尾済みのメスが分からないため、とりあえず全コロニーを捕獲しなければいけません。

しかし、100匹を超えるコロニーになると、掘っているとアリたちは散ってしまうので、1匹残らずに捕獲するのは大変な作業です。

そして、この日はなんとか2コロニーを捕獲。
交尾済み女王がいるか自宅に帰ってから調べたところ、無事2コロニーとも女王がいました。

写真の個体が女王役のメスです。
胸部には、赤い翅芽痕(しがこん)があります。

トゲオオハリアリは僕の最も好きなアリの一つで、大きさ、可愛い顔、物怖じしない性格と、すごい食欲でモリモリ食べる姿などが大好きです。
幼虫の成長もとても速いのです。
また、飼育下でコロニーを増やすことができるのも魅力の一つです。

コウガイビルそして今回南部で見つけた巨大コウガイビルです。
北部に行くと、20cmを超える大きなコウガイビルがいますが、色は黒です。
以前、徳之島でこれと同じく茶色で大きな種類を見つけたことがありましたが、本島では初めての発見でした。
そこで、コウガイビルに詳しい(すべての生き物に?)杉本さんに聞いたところ、名護南部〜恩納村以南には茶色のがいるとのことです。
コウガイビルなどの陸棲ウズムシは、南西諸島はとても種類が多く、中にはとても美しい種類も多く生息しています。
コウガイビルを研究されている方がいたら、ぜひ種類などをお聞きしてみたいところです。

トゲオオハリアリを、久々に採集することができ大満足したのでヤンバルに向けて北上します。
ヤンバルウメマツアリツヤオオハリアリウロコアリの一種





北部は大雨です!
ずぶ濡れになりながら森を歩き回り、オキナワアギトアリ、ケブカアメイロオオアリ、ツヤオオハリアリ、オオズアリなど可愛いアリたちを見つけることができました。

この日の夜は、気温は低かったのですが、そこそこ生き物は活動していました。
そして、この日最も嬉しかったのは、撮影はできませんでしたがケナガネズミを見ることができたことです!
ケナガネズミは巨大なネズミですが、絶滅が心配されるネズミです。
僕も見たのはこれが2回目です。
動物調査の人たちでさえ、滅多に見ることができなかったらしいです。

そんな珍しいネズミなのですが、杉本さんによると、実は去年頃から生息数が増えてきているのか、ヤンバルでの目撃数が増えていると聞いていました。
それから初めての発見だったので嬉しかったです。

ナミエガエルオキナワアオガエル









そしてカエルたちも活発に活動していました。
ナミエガエルにオキナワアオガエル、沢ではイシカワガエルが「ヒョー!」と鳴いています。

ヒメハブ

















そして森の中を歩いていると、ヒメハブが現れました。
遠くからでは、枯れ葉と見分けがつかないような模様をしているため、噛まれないように注意が必要です。
カエルが活発に動く時期は、ヒメハブも多く活動しています。
この日も6匹ほどのヒメハブを見つけることができました。
アカマタ続いて現れたのは大きなアカマタです。
アカマタは大きくなった個体は、頭も大きく、体も太いので迫力があります。
そしてよく噛みます!どの個体も触るとすぐに噛みついてきます。
噛まれてもたいして痛くはありませんが、臭腺から臭い匂いを出すのであまり触りたくない蛇です。

この日は寒かった割には、たくさんの生き物に出会うことができました。

今回驚いた発見がありました。
ケブカアメイロオオアリの巣から、アリノスアブを発見したのです!!
アリノスアブ

















ケブカアメイロオオアリの巣これがアブの見つかった巣です。
沖縄でのアブの幼虫の発見は初めてだったので、とても嬉しかったです。
まだ小さな子供なので、このまま飼育を続けることにしました。
杉本さんに聞いたところ、沖縄本島には1種類のアリノスアブしか見つかっていなくて、10月に成虫が発生するとのことです。
大きさからいっても、成虫になるのは秋ごろになりそうです。
飼育してどんな種類のアリノスアブになるのか、とても楽しみです。

そして翌日は、知人の伊藤さんと、吉田君が東京からやってきました。
伊藤さんとは去年も一緒にヤンバルに行きましたが、吉田君とは初めての沖縄です。

吉田君は様々な生き物が好きで、自宅ではウーパールーパーを繁殖させています。
今回は「オカガニが見たい!」と言っていましたが…
オカガニ、ヤシガニ、ヤドカリなどの大型陸棲甲殻類は寒さが苦手なので、きっと見つからないだろうな〜と内心思いつつ、オカガニ探しをしました。

伊藤さんが奇麗なシリケンイモリが見たいということで、シリケンイモリの繁殖地を案内しました。

イモリ探し



















この大きな川には、繁殖期になると数百匹ものイモリたちが集まります。
シリケンイモリのイメージと言ったら、池や沼に集まりそうな感じですが、こんな流れのはやい川にも集まるのです。
数日前の大雨で、川が増水したらしく、流されてしまった感じもしましたが、川岸付近の流れの緩やかな場所には、多くの個体が集まっています。

アカヒゲ河原に現れたアカヒゲ。
この鳥はヤンバルではよく見かけますが、比較的人の近くに寄ってくることが多く、とてもかわいらしい鳥です。
伊藤さんは鳥も大好きなので、アカヒゲを見てとても喜んでいました。
そして近縁種にコマドリがいるのですが、事務的なミスで学名がコマドリとアカヒゲで間違えて登録されているということを教えてもらいました。
自宅に帰って調べてみると、たしかにアカヒゲの学名がErithacus komadoriとなっていました。
間違えたなら直せばいいのにと思うのですが、一度つけたら直せないのですかね?

残念ながらシリケンイモリは、それほそきれいな個体は見つからず、再び山に行きました。

ヘリグロヒメトカゲオキナワアオカナヘビ








胴長短足のかわいいヘリグロヒメトカゲと、美しいオキナワアオカナヘビです。

そして夜になりましたが、この日は昨日よりもさらに寒く、生き物が全く活動していなかったのです。
伊藤さんと吉田君は1泊なので、ここまで生き物が見られないと、なんだか可哀そうな感じでしたが、天気だけはどうすることもできません。
そして、予想通りオカガニも現れず…

クガビルヒモムシ








今回採集したクガビルと陸生ヒモムシの一種。
クガビルは、京都大学でクガビル類の分類を調査している方に送るために採集します。
そして、2匹のクガビルを見つけることができました。
クガビルはミミズを飲み込むヒルで、血はすいません。
自宅に帰ってからヒルを送ったところ、ムツワクガビルの一種Orobdella ijimaiと教えて頂きました。

ワタセジネズミ

側溝に落ちていたワタセジネズミを一時的に保護しました。
とても代謝の高い食虫目で、与えた大きなクモをずっと食べていました。



翌日、伊藤さんと吉田君とはお別れして、再び1人での採集が始まります。
この日からは石垣島に行きます。
那覇空港に戻り、約1時間で石垣島に到着です。

到着したのは夕方過ぎだったので、そのまま夜の山に向かいます。
台風でも来たのかと思うほどの大雨…。しかも寒いです。


見てください、この大雨!
これくらいの雨は沖縄では珍しくもなく、これで気温が高ければ多くのカエルや爬虫類が活動するのですが、この日も寒すぎてオオヒキガエル以外はほとんど活動していなかったのです。

「今日は寒いし、雨がすごいから早めに帰ろうかな〜」なんて言いたい気分ですが、日数が少なく、貴重な夜なのでジャングルに入りました。

やっぱり夜の山は楽しいです。
生き物が少ないと思っていましたが、森の中ではクロイワオオケマイマイ、巨大ミミズ、ミナミヤモリなどが活動していました。

そして!!

ヤエヤマヒバアヤエヤマヒバアが現れました!!
この時、前回の石垣採集の記憶がよみがえりました。
あの時見つけられなかった石垣島のヘビは、ヤエヤマヒバアとヤエヤマタカチホヘビの2種類でした。
あれから石垣島に来るのは初めてなので、つなげれば3日でタカチホ以外の全種のヘビを見つけたことになります(ちょっとずるい?)

ここからは、必死になってタカチホヘビを探し続けました。
本州では今まで多くのタカチホヘビを見つけているので、住んでいる環境や、活動する天候などは分かります。
この場所には絶対いる!と思う場所をひたすら歩きましたが、やはりベニヘビ以上に発見数の少ないヘビなので見つけることができませんでした。

そして、この場所でもう一つ見つけたかったが、サキシマヤマビル Haemadipsa zeylanica rjukjuanaです。
サキシマヤマビル
これは本州のヤマビルと同じ属のヒルで、人からも吸血します。
クガビル研究者の中野さんにお聞きしたところ、八重山諸島それとトカラ列島に分布しているそうです。


このヒルは、ヤマビルの研究をしている佐藤さんに頼まれていたので、採集を始めました。
探し方はとっても簡単!
ビーチサンダルで山を歩くだけでヒルが寄ってきます(笑)

特に多い場所が一か所あり、この場所では毎回採集(気が付くと吸血されてます)できます。
しかし、寒いせいかヤマビルは現れませんでした。佐藤さんごめんなさい!

実は今回から初めて長靴を履いて採集に行ったのです。
前回、杉本さんが長靴を履いていて、とても便利そうだったので、今更ですが長靴を買ったのです。
大きいので持ち運びは不便ですが、サキシマハブやヒメハブくらいなら防げそうなので、とても気楽に山歩きをすることができました。

石垣島のムカデ石垣島のムカデ石垣島のムカデ






石垣島には美しいムカデもたくさんいます。
ヒメアマガエル

可愛いヒメアマガエルもいました。
丸くて、口が小さいカエルです。
アマガエル科ではなく、日本では唯一のジムグリガエル科のカエルです。



キノボリヤモリ

















キノボリヤモリオガサワラヤモリ









そして、可愛いヤモリ代表の、キノボリヤモリとオガサワラヤモリも見つけました。
キノボリヤモリは、胴長短足のヤモリで樹皮の裏などにいますが、滅多に見つからない珍しいヤモリです。
オガサワラヤモリも、柄のある美しいヤモリで、この2種類の共通の特徴は、1匹で単為生殖をするということです。
1匹で産卵をして子孫を残せるというのは、とてもすごいことですね。
ケブカハリアリキムラグモ








翌日は少し雨が弱まりましたが、相変わらずの悪天候です。
久々にケブカハリアリのコロニーや、大きなキムラグモ、珍しヒメアギトアリなどを見つけることができました。

そして、地中からツシマハリアリの巨大コロニーを発見です!!
アリヅカムシアリヅカムシもいます。
こんなに大きなコロニーも、なかなか見つからないため、巣を慎重に掘りながら採集しました。
ツシマハリアリの巣は、硬い粘土質の土に広く掘られているため、掘るのが大変です。

結局この場所で30分以上掘り、200匹以上の働きアリを見つけたのですが女王が見つからず…

しかし、初めて見るゴミムシを3匹と、謎の幼虫を発見することができたのです。
このゴミムシと幼虫は、アリから攻撃されることはなく、仲良く暮らしています。
オオエグリゴミムシ

















自宅に帰ってから、研究者の丸山さんお聞きしたところ、何と!今まで数匹しか見つかっていない、ヒゲブトオサムシ科のオオエグリゴミムシという、とても珍しい好蟻性昆虫だったのです!
幼虫これが、その幼虫と思われる個体です。
腹部先端からは変な毛の生えた突起が出ています。

この幼虫は、DNAを調べてオオエグリゴミムシの幼虫か調べて頂くことになりました。
それにしても、ツシマハリアリの女王は見つかりませんでしたが、このような大発見ができてとてもうれしかったです。

続いて別の山に向かいます。
土の中から現れたのは、まるでミミズのようなヘビの、ブラーミニメクラヘビです。
シロアリを専門に食べる蛇で、よ〜く見ると目もあるし、舌をペロペロ出します。
メクラヘビ

















メクラヘビにシロアリを与えると、とても器用に食べるところを観察することができます。
なんと、腹部に噛みつき、地面にこすりつけて硬い頭部をちぎるのです!!
普通ヘビは、餌を丸呑みにするもので、噛みきったりすることはありませんが、メクラヘビはシロアリの頭は食べないのです。
そのため、食後にはたくさんのシロアリの頭が残るのです…
これもシロアリを専門に食べるヘビだからこそできることです。

スエヒロシリアゲアリそして、前回の石垣島で日本初となるスエヒロシリアゲアリのコロニーを発見しましたが、今回は2コロニーも見つけることができました。



今まで見つけたコロニーの巣は、場所は様々でした。
1つ目は、地面に落ちた枯れ枝の中。
2つ目は、土の中。
3つ目は、岩の割れ目の隙間。

今回のコロニーにも、大型働きアリが存在しました。

IMG_1315
夕方に向かったのは、去年妻に教えてもらった、明石にある「明石食堂」です。


ソーキソバ

ここのソーキソバがすっごく美味しい!!
肉が歯を使わなくても食べられるくらい柔らかいのです。
あ〜、この写真を見ているだけでお腹が減ってきます。



カンムリワシ




















カンムリワシカンムリワシ








この日はたくさんのカンムリワシを見ることができました。

ヤツガシラ

そして海沿いの草むらにはヤツガシラがいました。
まだら模様が美しく、長いくちばしとトサカが特徴の鳥です。
道路沿いの草むらを一生懸命つっついて虫を探していました。
日本へは一時的に渡ってくるようです。

夜になり再び山へ。
雨は一時的にやみましたが、森の中を歩いていると雨が降っているように地面でパラパラ音がします。

そしてよ〜く見てみると、すさまじい数のヨコエビが飛び跳ねていました。
沖縄などの石灰岩の多い森には、ワラジムシ、ヨコエビなどの陸棲甲殻類や、ヤマタニシ、マイマイなどのカルシウムを必要とする生き物たちがたくさんいます。


それにしても、この場所のヨコエビの数は半端ではありません。
落ち葉に群がって、みんなでムシャムシャ食べています。
この勢いなら、落ち葉などはあっという間に葉脈だけになってしまいます。
彼らがいるおかげで、落ち葉や、生き物の死骸などをきれいに分解してくれるのです。


姿は見えませんでしたが、森の中ではたくさんのリュウキュウコノハズクが鳴いていました。

リュウキュウユビナガコウモリその後、洞窟に行くとリュウキュウユビナガコウモリがいました。
この洞窟には、他にもヤエヤマコキクガシラコウモリやカグラコウモリなどの小翼手目のコウモリたちが暮らしています。
そして体をよく見ると、何やら体を走る虫がいます。


シラミバエシラミバエ








正体はシラミバエというハエの一種です。
この種類はコウモリの体に寄生しているハエなのです。

イボイボナメクジ


















沖縄と石垣で採集した、イボイボナメクジです。
数が少なく、小さいため、なかなか見つけることのできないナメクジです。

左の3匹が沖縄北部産、残りの6匹が石垣島産。
カタツムリなどを食べる変わったナメクジで、南西諸島には新種も多く生息しています。
外見で種類を見分けるのは難しいようで、解剖して生殖器の形で種類を見分けます。
琉球列島だけで3属10種以上はいるようで、すべて未記載種とのことです。
このナメクジたちは、イボイボナメクジやキセルガイを研究している、東大の上島さんに送りました。

夜景
バンナ岳から見た石垣市の夜景。

今回は寒かったですが、面白い生き物をたくさん見つけることができました。
次回は来月に島に行ってきます!
奄美大島か西表島に行きたいと考えています。


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