2010年06月13日
アリと暮らすクロシジミ
今週はクロシジミを探しに、遠い場所にある生息地へ行ってきました。
クロシジミは、幼虫の時期にクロオオアリの巣の中で、アリから口移しでエサをもらって成長して、代わりにアリたちに蜜を与えるという、アリに害のない(利益はチョウの方が大きいですが)共生関係を持つ珍しいチョウです。
アリの巣で暮らすチョウは、他にもたくさんいます。
下の写真はキマダラルリツバメの幼虫と、右が成虫です。


シワクシケアリと暮らすオオゴマシジミやゴマシジミ、ハリブトシリアゲアリと暮らすキマダラルリツバメ、ツムギアリの巣で暮らすアリノスシジミなどがいますが、チョウの幼虫たちは、アリの幼虫や卵を食べてしまう種類が多く、アリとの関係は片利共生や寄生であって、クロシジミのように、純粋に両者に利益のある相利共生の種類はほとんどありません。
坂本さんは、現在ゴマシジミとキマダラルリツバメの飼育研究をしています。
何時間も移動をして、ようやくクロシジミが暮らす場所に到着しました。
天気もよく、とても気持ちの良い日でした。

分布は本州・四国・九州と広いのですが、実際に生息している場所は驚くほど限られていて局所的です。
生息環境としては、宿主となるクロオオアリがいる森沿いの開けた場所です。
これだけ聞くと、こんな場所はいくらでもありそうですが、クロシジミはとても少ないのです。
実際すでに絶滅してしまった場所も多いようで、以前は東京都にもいたようですが、比較的最近に絶滅したそうです…
【クロシジミの一生】
7月頃に成虫になったクロシジミは、クロオオアリが多く集まる草に産卵します。
クロオオアリが集まっているということは、そこにはアブラムシがたくさんいます。
このような場所に産卵するのです。
そして孵化した1令幼虫は、なんと!アブラムシの甘露を舐めます。
しばらくアブラムシの甘露で成長するのです。
その後、3令幼虫にまで成長した幼虫は、クロオアリの巣に入るのですが、自分で歩いて行くのではなく、クロオオアリによって巣に運ばれるのです。
クロオオアリたちは、まるで自分たちの幼虫を扱うように、大切にくわえて巣へ運びます。
巣の中に入った後は、餌のすべてをクロオオアリから口移しによって与えられます。
京都大学の北條さんによると、クロシジミはアリの幼虫ではなく、オスの成虫に似た匂いを出して、アリたちから世話をされるとの研究結果が出たそうです。
オスの成虫に擬態しているとは驚きです!
そのまま翌年までアリの巣で暮らし、6月頃にサナギになります。
本当に面白い関係ですね。
クロシジミはクロオオアリがいないと、生きていくことができないのです。
生息地に到着後、さっそくクロシジミを探します。
クロオオアリの巣は、硬い土にあるため、大きなシャベルで掘り進め、アリの密度が高い場所は、アリやクロシジミを傷つけないように、手や小さなシャベルで掘り進めていきます。
あ、暑い・・・。初めは気持ちが良かった太陽ですが、時間が経つにつれて気温がどんどん上がっていきます。
以前、坂本さんとクロシジミを採集した時も、かなり苦労したことを思い出しました。


坂本さんと汗をかきながら、ひたすら掘り進め、巣を壊されて怒ったクロオオアリの集団が坂本さんの髪の毛に噛みつき・・・
あの時の苦労がよみがえります。
珍しい生き物を探すのは大変です。
しかし、苦労した分、発見した時の感動は忘れられないほど大きなものです。
やはり貴重なクロシジミは簡単には見つかりません。
一つ目の巣はあきらめて、別の巣を探します。
そして同じように掘り進めていくと〜!!
ついにクロシジミ発見です!!


この時期はサナギになる前なので、とても大きく立派な幼虫です。
クロオオアリたちは、自分たちの幼虫を運ぶように、安全な場所に移動させようとしています。
お目当てのクロシジミを見つけ、おいしい空気を吸いながら、おいしい弁当を食べて、一人で幸せを感じていました(笑)

クロシジミはやっぱり可愛い。
ありんこ日記を読んで頂いている方は、僕がケムシ嫌いと言うのはご存知かと思いますが、毛の少ない芋虫は全然平気です。
オオミズアオ、ヤママユガなどの巨大芋虫などは大好きです。
クスサンは長い毛がありますが、以前大量に飼育をしていました。
ケムシの中でも、派手なマイマイガ、チャドクガの群れ、フクラスズメが怒こった時にブンブン体を揺らすところなどが大の苦手で、トップクラスは巨大なマツカレハとクヌギカレハです!
これらは、なぜか木の幹に付いていることがありますが、近くで気がついたときなどは心臓が止まりそうになります(笑)
話がそれましたが、とにかくクロシジミは可愛いのです!

蜜を出すクロシジミ。
お尻のあたりから雫が出ているの分かりますか?
これがクロオオアリを魅了する、甘くて美味しい甘露です。

この甘露が出ると、クロオオアリは大急ぎで舐めるのです。
観察していると、結構頻繁に甘露を出すことが分かります。

エサを口移しで分け与える働きアリです。
この方法で、クロシジミにもエサを与えるのです。

クロオオアリから口移しでエサをもらうクロシジミです。
大きな赤ちゃんと言った感じで、やっぱり可愛い。
アリがチョウの幼虫を育てるというのは、何度見てもすごい光景です。

この個体はエサをもらいながら、腹部からは甘露を出しています。
クロオオアリの巣に居候するのも、以外と大変なのかもしれませんね。
この貴重なチョウが絶滅に近づいていると言うのは、とても悲しいことです。
クロシジミで今後行っていきたい活動があります。
それは、成虫のペアから産卵させた卵からの完全人工飼育を確立させることです。
そして多くの幼虫を育てて、昆虫館などでアリと共に展示を行い、多くの人にこんなに素晴らしい生き物がいることを知ってもらうことと、採集地に養殖した成虫を放すということです。
もちろん、放したところで生息環境がなくなってしまっていれば意味がありませんが、クロシジミの場合は、標本用に採集されている個体も多くいると思うので、それを考えると多少の意味はあると思っています。
とにかく可愛いクロシジミを、もっと増やしたいのです!
次回は夏ごろに、クロシジミの成虫の観察に行く予定です。
クロシジミは、幼虫の時期にクロオオアリの巣の中で、アリから口移しでエサをもらって成長して、代わりにアリたちに蜜を与えるという、アリに害のない(利益はチョウの方が大きいですが)共生関係を持つ珍しいチョウです。
アリの巣で暮らすチョウは、他にもたくさんいます。
下の写真はキマダラルリツバメの幼虫と、右が成虫です。


シワクシケアリと暮らすオオゴマシジミやゴマシジミ、ハリブトシリアゲアリと暮らすキマダラルリツバメ、ツムギアリの巣で暮らすアリノスシジミなどがいますが、チョウの幼虫たちは、アリの幼虫や卵を食べてしまう種類が多く、アリとの関係は片利共生や寄生であって、クロシジミのように、純粋に両者に利益のある相利共生の種類はほとんどありません。
坂本さんは、現在ゴマシジミとキマダラルリツバメの飼育研究をしています。
何時間も移動をして、ようやくクロシジミが暮らす場所に到着しました。
天気もよく、とても気持ちの良い日でした。

分布は本州・四国・九州と広いのですが、実際に生息している場所は驚くほど限られていて局所的です。
生息環境としては、宿主となるクロオオアリがいる森沿いの開けた場所です。
これだけ聞くと、こんな場所はいくらでもありそうですが、クロシジミはとても少ないのです。
実際すでに絶滅してしまった場所も多いようで、以前は東京都にもいたようですが、比較的最近に絶滅したそうです…
【クロシジミの一生】
7月頃に成虫になったクロシジミは、クロオオアリが多く集まる草に産卵します。
クロオオアリが集まっているということは、そこにはアブラムシがたくさんいます。
このような場所に産卵するのです。
そして孵化した1令幼虫は、なんと!アブラムシの甘露を舐めます。
しばらくアブラムシの甘露で成長するのです。
その後、3令幼虫にまで成長した幼虫は、クロオアリの巣に入るのですが、自分で歩いて行くのではなく、クロオオアリによって巣に運ばれるのです。
クロオオアリたちは、まるで自分たちの幼虫を扱うように、大切にくわえて巣へ運びます。
巣の中に入った後は、餌のすべてをクロオオアリから口移しによって与えられます。
京都大学の北條さんによると、クロシジミはアリの幼虫ではなく、オスの成虫に似た匂いを出して、アリたちから世話をされるとの研究結果が出たそうです。
オスの成虫に擬態しているとは驚きです!
そのまま翌年までアリの巣で暮らし、6月頃にサナギになります。
本当に面白い関係ですね。
クロシジミはクロオオアリがいないと、生きていくことができないのです。
生息地に到着後、さっそくクロシジミを探します。
クロオオアリの巣は、硬い土にあるため、大きなシャベルで掘り進め、アリの密度が高い場所は、アリやクロシジミを傷つけないように、手や小さなシャベルで掘り進めていきます。
あ、暑い・・・。初めは気持ちが良かった太陽ですが、時間が経つにつれて気温がどんどん上がっていきます。
以前、坂本さんとクロシジミを採集した時も、かなり苦労したことを思い出しました。


坂本さんと汗をかきながら、ひたすら掘り進め、巣を壊されて怒ったクロオオアリの集団が坂本さんの髪の毛に噛みつき・・・
あの時の苦労がよみがえります。
珍しい生き物を探すのは大変です。
しかし、苦労した分、発見した時の感動は忘れられないほど大きなものです。
やはり貴重なクロシジミは簡単には見つかりません。
一つ目の巣はあきらめて、別の巣を探します。
そして同じように掘り進めていくと〜!!
ついにクロシジミ発見です!!


この時期はサナギになる前なので、とても大きく立派な幼虫です。
クロオオアリたちは、自分たちの幼虫を運ぶように、安全な場所に移動させようとしています。
お目当てのクロシジミを見つけ、おいしい空気を吸いながら、おいしい弁当を食べて、一人で幸せを感じていました(笑)

クロシジミはやっぱり可愛い。
ありんこ日記を読んで頂いている方は、僕がケムシ嫌いと言うのはご存知かと思いますが、毛の少ない芋虫は全然平気です。
オオミズアオ、ヤママユガなどの巨大芋虫などは大好きです。
クスサンは長い毛がありますが、以前大量に飼育をしていました。
ケムシの中でも、派手なマイマイガ、チャドクガの群れ、フクラスズメが怒こった時にブンブン体を揺らすところなどが大の苦手で、トップクラスは巨大なマツカレハとクヌギカレハです!
これらは、なぜか木の幹に付いていることがありますが、近くで気がついたときなどは心臓が止まりそうになります(笑)
話がそれましたが、とにかくクロシジミは可愛いのです!

蜜を出すクロシジミ。
お尻のあたりから雫が出ているの分かりますか?
これがクロオオアリを魅了する、甘くて美味しい甘露です。

この甘露が出ると、クロオオアリは大急ぎで舐めるのです。
観察していると、結構頻繁に甘露を出すことが分かります。

エサを口移しで分け与える働きアリです。
この方法で、クロシジミにもエサを与えるのです。

クロオオアリから口移しでエサをもらうクロシジミです。
大きな赤ちゃんと言った感じで、やっぱり可愛い。
アリがチョウの幼虫を育てるというのは、何度見てもすごい光景です。

この個体はエサをもらいながら、腹部からは甘露を出しています。
クロオオアリの巣に居候するのも、以外と大変なのかもしれませんね。
この貴重なチョウが絶滅に近づいていると言うのは、とても悲しいことです。
クロシジミで今後行っていきたい活動があります。
それは、成虫のペアから産卵させた卵からの完全人工飼育を確立させることです。
そして多くの幼虫を育てて、昆虫館などでアリと共に展示を行い、多くの人にこんなに素晴らしい生き物がいることを知ってもらうことと、採集地に養殖した成虫を放すということです。
もちろん、放したところで生息環境がなくなってしまっていれば意味がありませんが、クロシジミの場合は、標本用に採集されている個体も多くいると思うので、それを考えると多少の意味はあると思っています。
とにかく可愛いクロシジミを、もっと増やしたいのです!
次回は夏ごろに、クロシジミの成虫の観察に行く予定です。
コメント一覧
1. Posted by ミスター 2010年06月13日 10:05
2. Posted by taku 2010年06月13日 10:07
ありがとうございます。
好きなことばかりやってしまうので、いつも家族には迷惑かけっぱなしですが(笑)
好きなことばかりやってしまうので、いつも家族には迷惑かけっぱなしですが(笑)
3. Posted by アリ好き 2014年06月23日 04:01
ココを頻繁に見るようになったのはこの2年くらいなのでtakuさんに苦手な虫があるなんて知らなかったので驚きました(笑)実は私も苦手で心臓が止まりそうになります。(私の場合毛が無い系もダメですが・・)少し他人より虫に詳しいおかげで、他の人なら気づかないで通りすぎるのに、気づいてしまうのが悩みのタネです。あのコたち保護色で目立たないクセにフンだけは無防備だから道歩いててもすぐ気づいてしまうんです(笑)
4. Posted by taku 2014年06月24日 01:29
ムカデ、ヒル、ナメクジ、ゴキブリ、ダニなど、一般的に嫌われる生き物たちはどれも大好きなのですが、なぜ毛虫だけが苦手なのか自分でも良く分かりません(笑)
昔、毛虫嫌いを克服しようとマイマイガの毛虫を飼育したりもしてみましたが、多少は慣れたものの、突然目の前に現れたりすると怖いです。
昔、毛虫嫌いを克服しようとマイマイガの毛虫を飼育したりもしてみましたが、多少は慣れたものの、突然目の前に現れたりすると怖いです。