2011年03月05日

2月の沖縄本島

先週は、今年初となる沖縄本島に行ってきました。
予定ではもう少し早くに行こうと思ったのですが、天気予報を見ると天気が悪くて気温が低かったため、1週間遅らせることにしました。
夜行性の爬虫類や両生類などを観察する場合は、雨が降っているほうが良い場合もありますが、地中からアリを探す場合は、晴れていたほうが探しやすいのです。

沖縄に到着すると、予定通り天気が良くて、とても暖かいです。
気温は20℃以上と、日中は半袖で過ごせるほどです。

この日は夕方に那覇に到着して、1時間ほど南部で採集をしてから、北部のヤンバルに向かいます。
沖縄の高速道路は、無料化になってから交通量が一気に増えました。
予想以上に交通量が増えたためなのか、6月以降は休日のみ無料で、平日は有料(以前の半額)になるそうです。

ヘリグロヒメトカゲ
南部で見つけた、ヘリグロヒメトカゲです。
胴長短足のかわいいトカゲ。
薄暗い森の中で、枯葉の下から良く見つかりますが、天気の良い日は、茂みから差し込む光で日光浴をしている姿を見かけます。



19時ごろに、ヤンバルに到着です。
夜行性の生き物を探すために山に入ります。
林道を歩いていると、さっそく地面に黒い生き物を発見です。
近づいて見ると、大きくて立派なイボイモリでした!
イボイモリ
いつ見ても素晴らしいイモリですね。
そういえば、前回の沖縄で見つけたイボイモリたちは、どの個体も腹部が大きく膨らんでいましたが、今回も多くの個体を見つけましたが、腹部が通常の大きさの個体しか見つかりませんでした。
もう産卵が終わったのでしょうか?

この時期は、オキナワアオガエルやシリケンイモリの繁殖期(もう終りに近いですが)なので、水辺周辺で活発に活動していました。
オキナワアオガエルシリケンイモリ
喉を膨らませて鳴いていたオキナワアオガエル。
シリケンイモリも、楽しそうに水の中を歩いていました。

カエルが多く集まる水辺には、それらを捕食するヒメハブや、ガラスヒバアなどのヘビたちが集まってきます。

ヒメハブ
ヒメハブ


アオガエルが大好物なヒメハブです。
太くて可愛い毒蛇です。
沖縄では、一番多いハブなので、踏まないように注意が必要です。


コウガイビルアカザトウムシ

土の中から見つけた美しいコウガイビルの一種と、ザトウムシの一種。

ブラーミニメクラヘビ
ブラーミニメクラヘビもいました。
シロアリを主食とするメクラヘビは、一見ミミズのようですが、体を良く見ると鱗もあるし、他のヘビと同じように舌を出します。

続いて現れたのは、天然記念物のケナガネズミです!
この個体は残念ながら、逃げる後ろ姿しか撮影できませんでした。

ケナガネズミ
最近は本当に見る機会が多くなりました。
数年前までは、滅多に見ることのできない幻のネズミでしたが、今回もたった2晩だけで3匹も見ることができました。
しかも、生息地である北部で全体的に増えてきている感じです。
沖縄の杉本さんに聞いたところ、多い時は1箇所だけで2〜3匹いることもあるそうです。
これは、野良ネコ駆除の成果なのかもしれません。
貴重な生き物が、増えていくと言うのは嬉しいことですね。

この日は夜中の2時頃に、民宿安波に到着しました。

翌朝、7:30に朝食を食べて、8:00から山に行きます。

クロトゲアリIMG_6211
葉の上でクロトゲアリを見つけました。
視力が良く、人が近づくとアゴを開き、蟻酸を噴射準備をして威嚇してきます。
右はアメイロアリの一種。

クロトゲアリ

アカメガシワの葉の付け根には蜜腺があり、ここから出る蜜を舐めるために、クロトゲアリ、アミメアリ、シリアゲアリ、ヒメアリ、ケアリ、オオアリなど、多くのアリが集まってきます。
植物はアリを惹きつけることで、葉を食べる害虫の駆除をアリにしてもらうのです。

IMG_6226アシナガキアリ
左:蜜腺にダニも来ていました。
右:アブラムシから甘露をもらうアシナガキアリ。

アシナガキアリ
アシナガキアリやクロトゲアリは、アブラムシやカイガラムシを保護して牧畜するため、結果的に植物にとって害を及ぼすことがあります。

アシナガキアリ女王
アシナガキアリの女王アリです。

気温21℃もあり、天気が良くて最高に気持ちが良いです。

昼でも薄暗い森を歩いていると、さっそくオキナワアギトアリの巣を発見です!
オキナワアギトアリ
オキナワアギトアリの女王アリ。

IMG_5882冬の間は幼虫も卵もありませんが、このコロニーはすでに産卵が始まっていました。
巣の中や、その周辺には多くの生き物たちが同居をしていました。
今回見つけたのは、アリヅカムシ、コシビロダンゴムシ、ホラアナゴキブリ、ウンカの一種、トビムシ、ダニなど、多種多様な生物が、巣の中に同居しています。

土の中からは、多くの生き物が見つかります。

イボイボナメクジクガビル
左:茶色タイプの大型イボイボナメクジです。
右:ミミズを食べるムツワクガビルの一種。
どちらも生息数が少なく、見つけるのが難しい生き物です。
今回クガビルは4匹採集できたので、研究者の中野さんに送ります。

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セミの幼虫、ハナムグリ、カマドウマなど。

続いて、小型で可愛いヒメオオズアリを見つけました。
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巣の中にはたくさんの幼虫があります。
幼虫を見ると、均等間隔に置かれて、すべて仰向けであることが分かります。
この方が、エサを与えたり、子育てがしやすいためです。

オキナワトタテグモIMG_8147
地中に縦穴の巣を作る、オキナワトタテグモとキムラグモの一種。

北部に生息するヤマタニシと、黒いタイプのイボイボナメクジです。
なかなか見つけるのが難しい生き物です。
ヤマタニシ

IMG_8172IMG_8179
これらは、東大の上島さんに研究用として送ります。
ヤマタニシは、正確な採集地が必要とのことで、GPSの情報を記録しながらの採集となります。

今回の採集では、生態写真を撮ろうとカメラを持っていましたが、険しい森の中で、重たいカメラを運ぶと言うのは、本当に大変なことですね。
採集中は手が泥だらけだし、滑りやすい斜面なども歩きます。
採ると、撮るの、両方を行うと言うのは至難の業です。

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ヒゲナガアメイロアリと、小型ハリアリの一種。

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朽木からはイエシロアリが見つかりました。
しばらく観察をしていると、同じ朽木に巣を作っていたオオシワアリが現れました。

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両種とも、アゴを大きく開いて威嚇しています。
こうやって比べると、名前がアリでも、シロアリはまったく違う昆虫であることが分かります。

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すると、オオシワアリがイエシロアリに噛みつきました!
噛みつくと同時に、毒針で刺しているのが分かります。
やはりアリの方が強いのかと思ったところ、イエシロアリも攻撃を開始しました。

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鋭いアゴでオオシワアリに噛みつき、同時に白い防御液を噴射しました。

地面に寝転んで撮影をしていると、腕にチクリと痛みがありました。
見てみると、イエシロアリの兵隊アリが噛みついていました。
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体が柔らかいシロアリですが、兵隊アリの攻撃力は、アリにも負けないほど強いようです。

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左:ケブカハリアリの幼虫
右:美しいタマヤスデの一種

南部で見つけたシロアリたち。
kousyunn
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上は巨大なコウシュンシロアリです。
体長1cm以上と、驚くほどの大きさです。
左は、丸くて可愛いタイワンシロアリです。
本来、八重山諸島に生息しているシロアリですが、沖縄本島に帰化しています。



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左はオオズアリで、右はツヤオオズアリです。
大きさはどちらも同じくらいですが、ツヤオオズアリはその名の通り頭部にツヤがあります。
オオズアリは森林に多く生息していますが、ツヤオオズアリは海岸沿いなどに多く生息していて、海水が染み込んでいる砂地などにも巣を作ります。

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トゲオオハリアリ。
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アシナガキアリの女王。
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IMG_9138大量の卵を運ぶ、アシナガキアリの働きアリ。
数えてみると50個もの卵を運んでいるようです!
アシナガキアリは、コロニーがものすごい数になり、大コロニーを作ります。
そのようなアリは、体に対して、小さな卵を大量に産卵するのです。
オオズアリ類、ヨコヅナアリ類も、ものすごく小さな卵を産みます。

フトハリアリ類など、原始的なアリは大きな卵を少量産みます。
今まで見てきたアリの卵で、最も巨大なのはルフィペスフトハリアリの卵です。
体長は18mmと、ブルドックアリやパラポネラよりは小型ですが、卵の大きさは最大級です!

日が暮れてきたので、夕飯を食べて、再び森へ行きます。

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水辺では、ガラスヒバアがカエルを食べに集まっていました。
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水の中を歩くシリケンイモリと、オキナワマイマイ。

そして、今回3匹目となるケナガネズミを発見です!!
木の上で、立ち止まったため、可愛く写真を撮ることができました。

ケナガネズミ
こうやって見ると、尾がかなり長いことが分かります。

ケナガネズミ
可愛いですね〜!
げっ歯類好きにはたまりません。

クロイワトカゲモドキも活動していました。
クロイワトカゲモドキ
P1180181IMG_8139地面に顔を付けて、エサを探すシリケンイモリたち。

イシカワガエルの若い個体が見つかりました。
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体長4cmほどの可愛い大きさです。

そして、この後ものすごい大発見がありました。
イシカワガエルの撮影をしていると、すぐ近くでカサカサと音がしました。
その音はすぐに止まりましたが、茂みをじっと見ていると、隙間から中型のネズミが見えました。
まさか!?と思って良く見てみると、背中の体毛が太くてトゲ状であることが分かったのです。
これは!幻のオキナワトゲネズミです!!

どれほど珍しいネズミかと言うと、長い間絶滅したかもと言われ続けていましたが、自動撮影装置で撮影されたことや、野良ネコの糞から体毛が発見されたことなどから生きていることが分かり、3年前の2008年にWWFジャパンの調査によって、30年ぶりに生きた実物個体が確認されたのです!
レッドリストでも、絶滅寸前である近絶滅種に指定されています。
後日、沖縄の杉本さんからも、トゲネズミが見れたと言うのは本当にすごいことで、自動撮影装置などを使って調査をしている専門家以外が見つけたという話は聞かないとのことです。

そんな珍しいトゲネズミが、突然目の前に現れたのです。
一昨年に、石垣島でイワサキワモンベニヘビを見つけた時と同じくらい大興奮です。

なんとか撮影をしたいと思い、1枚撮影すると、トゲネズミは驚いて走り出しました。
オキナワトゲネズミ
顔が写ってない・・・
「1枚だけでいいから!」と心の中で叫びながら追いかけます。

動きは、他のネズミと比べると遅い感じです。
一直線に走るのではなく、ぴょんぴょんジャンプをしながら移動して、茂みに隠れては立ち止まります。
この動きを見たときに、これでは野良ネコや、マングースなどの肉食獣に簡単に捕まってしまうと思いました。
オキナワトゲネズミは、ハブの攻撃はジャンプでかわすことが知られていますが、本来沖縄には生息していない、ネコやマングースから逃げる手段を持たないのです。
実際、ヤンバルで野良ネコの糞を調べると、オキナワトゲネズミの体毛が見つかるそうです。

そして、もう一枚撮影しました。
オキナワトゲネズミ
今度は下半身が写ってないし、顔に草がかぶっているし、フラッシュが強すぎです・・・
同じ大きさのクマネズミなどと比べると、鼻先が短くて、頭が大きくて、尾が短くて、全体的に丸い感じです。

次の瞬間、オキナワトゲネズミは急斜面を登って、どこかに消えてしまいました。
あ〜!もう少し良い写真を撮りたかった・・・
しかし、姿を見れて、種類が判別できる写真が撮れただけで幸せです。
行きなれた沖縄でも、まだまだ未知の生き物がいることを、改めて実感しました。

ケナガネズミの生息数が増えてきたように、オキナワトゲネズミも増えていくことを祈ります。

今回は、多くの好蟻性昆虫を見つけることができましたので、後日、まとめて紹介いたします。

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