2011年06月19日
5月の沖縄本島 その��
この日も早朝から山に向かいます。
天気は雨です。
ハシリハリアリの巣を見つけました。
幼虫は不思議な形をしています。
このアリは、長期間使用する巣は作らず、移動しながら生活をしています。
そのため、他のアリのような巣穴のようなものはなく、自然にできた隙間などを巣として利用しています。
東南アジアなどに生息する大型ハシリハリアリは、何でも捕食しますが、日本のハシリハリアリは、ダンゴムシやワラジムシなどの、小型等脚目を食べています。
リュウキュウアシナガアリの巣を見ていると、好蟻性ウンカを2匹発見です！
以前、リュウキュウアメイロアリの巣で見つけたウンカと同じ種類に見えます。
このウンカの標本を、埼玉大学でウンカを研究する林正美さんに見て頂いたところ、コガシラウンカ科と教えて頂きました。
コガシラウンカの仲間には複数種あって、幼虫での正確な同定は難しいようです。
やはり、成虫まで育てる必要があるようです。
ウンカの仲間は、幼虫時代の生活方法が分かっていない種類が多数あるようで、以前西表島の朽木の中から多数発見したハネナガウンカの一種も、成虫は単数〜少数しか見つからず、幼虫がこのような場所で生活しているということに驚かれていました。
同じリュウキュウアシナガアリのコロニーで、超小型な甲虫も見つかりました。
最初はダニかと思いましたが、エンマムシの仲間でした。
好蟻性なのかは分かりません。
オキナワアギトアリは子育ての時期で、巣の中には卵や幼虫がたくさんありました。
写真左：卵から孵化した直後の幼虫。卵の殻が見えます。
写真右：トゲトゲの幼虫。
幼虫を運ぶケブカハリアリ。
ものすごく美しいシリケンイモリ発見！
ここまで美しいのは、滅多に見つかりません。
集団で移動する謎の群れがありました。
キノコバエの一種の幼虫です。
シロアリの卵部屋。
写真左：大きなミミズ。
写真右：クガビルの一種。
今日の昼食は、売店で買ったおにぎりです。
沖縄に来たら毎回食べている、スパムが入ったポーク卵と、肉入り味噌が入ったおにぎり。
車のガラスにトビナナフシが落ちてきました。
他にも、林道に停車していると、時々アメンボが落ちてきます。
アメンボがどのように水を探すのか分かりませんが、もしかしたら光を反射するので水面と間違えているのかもしれません。
そういえば、トンボも車のボンネットを水面と間違えて産卵する姿を見ますね。
そして、午後3時、捜し求めていたアリとの出会いが突然やってきました！
オオズアリの巣を見つけたので、巣の中を観察していると、その近くで赤茶のアリの行列があったのです。
チャイロヒメサスライアリです！！
過去に何度も見つけていますが、未だに巣の中心部を見つけられないアリです。
この日は、残りの時間はすべて、このアリに費やすことにしました。
マレーシアで丸山さんにヒメサスライアリについていろいろ教えてもらい、いくつかのヒメサスライアリの巣を見つけてきたので、以前よりも巣を見つける自信もありました。
さっそく、行列を辿ることにしました。
行列を見ると、アメイロアリの幼虫を運んでいて、狩りをしている最中ということが分かります。
枯葉の下、土の中、木の根の下などを通っていて、なかなか全体が見えてきません。
手荒に探して行列を乱してしまうと、ますます方角が分からなくなってしまうので、少しずつ慎重に辿っていきます。
そして、アリたちが次から次へと入っていく穴があり、ここが巣か！と思っても、よく見るともっと先に抜け道があったりします。
その繰り返しで、いつまで経っても行列の終わりが見つかりません。
しかも、行列はいくつにも枝分かれをしているのです。
そして19時ごろになり、暗くなり始めると、チャイロヒメサスライアリの行列の密度が高くなってきて、本格的な狩りが開始されました。
獲物となるアメイロアリを探す行列の先端部分は、広範囲に広がるようにあたり一面を覆っています。
まるでグンタイアリが獲物を探すような方法で、チャイロヒメサスライアリがこのように獲物を探すとは知りませんでした。
そして、アメイロアリの巣を見つけると、一気に巣に侵入して、中から幼虫やサナギを盗みます。
襲われたアメイロアリは、どうすることもできません。
その狩りを観察中に、黒いノミバエが出てきたのです。
このノミバエは、前日にアメイロアリの巣から見つけたノミバエです。
チャイロヒメサスライアリに巣を襲撃されて、驚いて外に飛び出してきたようです。
狩りをした幼虫を運び込む場所が、巣の中心部だと思って探していると、大量の幼虫を運び込む穴を発見です！
周りには抜け道はないし、穴から出てくるアリは幼虫を持っていないので、中に置いているに違いありません。
思い切って掘って見たところ、狩りをした幼虫が大量に出てきたのですが、それ以外は何も見つかりません。
どうやらこの穴は、一時的に獲物を溜め込む場所だったようです・・・
そして、時計を見ると夜の8時を過ぎていました。
夕飯を食べていないので、宿に戻ることにしました。
その帰り道に、なんとコブラ科のハイを発見です！！
美しいヘビですね〜。
滅多に見つからない珍しいヘビです。
捕まえて見ると、噛み付きはしませんでしたが、尾の先端のトゲを突き刺してきます。
クロイワトカゲモドキも見つかりました。
このメスは卵を持っていて、腹部には白い卵が透けていました。
そして、足を見るとサシチョウバエを発見です！
左が吸血中のメスで、右がオスです。
写真左：細身のオス。
写真右：吸血して腹部が赤くなる、メスのサシチョウバエ。
夕飯を食べてから、再びチャイロヒメサスライアリの場所に戻りました。
行列は相変わらずアメイロアリの狩りを続けています。
その後も行列を辿るも、巣が分かりません・・・
この日は20ｍほどの行列を見つけましたが、まだまだ先がありそうです。
深夜1時過ぎ、とても疲れたので、この日はここで諦めることにしました。
翌朝、すぐに向かったのは、もちろんチャイロヒメサスライアリの場所です。
夜行性が強いアリのようで、昨晩よりは密度が減っていましたが、一晩経っても同じ場所に行列がありました。
行列があるのは、こんな場所の枯葉の下です。
これを1枚1枚慎重に取り除きながら探すので、とても時間がかかります。
そして、昨晩の続きで行列を辿っていくと、人が歩けないような急斜面まで続いていることが判明しました・・・
その先には、草や木が生い茂る森が見えます。
急斜面に巣があるのか、それともその先にある茂みに巣があるのか分かりませんが、残念ながら、探索を断念することにしました。
合計で12時間も費やしたのに、巣の中心部は見つかりませんでした。
今回確認できただけで、25ｍ以上は行列が続いているようです。
たった3ｍｍほどのアリが、ここまで長い行列を作るとは、さすがヒメサスライアリです。
次回はいつ出会えるのか・・・
再びアリ探しを開始しましたが、チャイロヒメサスライアリ探しに力を使いすぎ、燃え尽きた感じがあって、採集に力が入りません。
やる気なく山を歩いていると、初めての林道を見つけました。
すごく良い感じの森で、水溜りにはイボイモリの幼生がたくさんいました。
そして土の中から、初めて見るアリを発見したのです！
最初見たときはムカシアリに見えましたが、大きさはムカシアリよりも倍以上あるのです。
こ、このアリは！？
超珍種のジュズフシアリだったのです。
いつかは見たいと思っていたアリです。
しばらく探して女王も発見です！
獲物を見つけたジュズフシアリは、アゴを180度に開いて噛み付きます。
すごいアリです。
ジュズフシアリの発見で、一気にやる気が出てきました。
森の奥へ進んでいくと、珍しいノコギリハリアリ発見です！
チャイロヒメサスライアリ、ジュズフシアリ、ノコギリハリアリと、超豪華なアリたちに出会うことができました。
今回も最高の沖縄となりました。
ヤンバルで見つけたネコです・・・
わざわざ、こんな山奥に捨てに来る人がいるのです。
ヤンバルの小動物を捕食するため、駆除の対象になります。
ネコは好きでこの場所に来たわけでもないのに可愛そうです。
それに、このネコを見ると痩せていて十分なエサを食べられていないようです。
そろそろ帰る時間なので、那覇に向かうことにしました。
午後から晴れてきました！
今回の旅で、太陽が出てきたのは初めてです。
中部の山で見つけたヤマナメクジ。
北部のヤンバルヤマナメクジと違って柄があります。
那覇空港に、杉本さんと岡村さんがお見送りに来てくれました。
出発までの1時間、空港で楽しく虫話をしました。
いつもいつも、ありがとうございます！
そして、お土産まで頂いてしまいました。
田芋で作られた、スイートポテトとパイを頂き、どちらも最高に美味しかったです。
5月の沖縄本島 その1
5月の沖縄本島 その2
5月の沖縄本島 その3
天気は雨です。
ハシリハリアリの巣を見つけました。
幼虫は不思議な形をしています。
このアリは、長期間使用する巣は作らず、移動しながら生活をしています。
そのため、他のアリのような巣穴のようなものはなく、自然にできた隙間などを巣として利用しています。
東南アジアなどに生息する大型ハシリハリアリは、何でも捕食しますが、日本のハシリハリアリは、ダンゴムシやワラジムシなどの、小型等脚目を食べています。
リュウキュウアシナガアリの巣を見ていると、好蟻性ウンカを2匹発見です！
以前、リュウキュウアメイロアリの巣で見つけたウンカと同じ種類に見えます。
このウンカの標本を、埼玉大学でウンカを研究する林正美さんに見て頂いたところ、コガシラウンカ科と教えて頂きました。
コガシラウンカの仲間には複数種あって、幼虫での正確な同定は難しいようです。
やはり、成虫まで育てる必要があるようです。
ウンカの仲間は、幼虫時代の生活方法が分かっていない種類が多数あるようで、以前西表島の朽木の中から多数発見したハネナガウンカの一種も、成虫は単数〜少数しか見つからず、幼虫がこのような場所で生活しているということに驚かれていました。
同じリュウキュウアシナガアリのコロニーで、超小型な甲虫も見つかりました。
最初はダニかと思いましたが、エンマムシの仲間でした。
好蟻性なのかは分かりません。
オキナワアギトアリは子育ての時期で、巣の中には卵や幼虫がたくさんありました。
写真左：卵から孵化した直後の幼虫。卵の殻が見えます。
写真右：トゲトゲの幼虫。
幼虫を運ぶケブカハリアリ。
ものすごく美しいシリケンイモリ発見！
ここまで美しいのは、滅多に見つかりません。
集団で移動する謎の群れがありました。
キノコバエの一種の幼虫です。
シロアリの卵部屋。
写真左：大きなミミズ。
写真右：クガビルの一種。
今日の昼食は、売店で買ったおにぎりです。
沖縄に来たら毎回食べている、スパムが入ったポーク卵と、肉入り味噌が入ったおにぎり。
車のガラスにトビナナフシが落ちてきました。
他にも、林道に停車していると、時々アメンボが落ちてきます。
アメンボがどのように水を探すのか分かりませんが、もしかしたら光を反射するので水面と間違えているのかもしれません。
そういえば、トンボも車のボンネットを水面と間違えて産卵する姿を見ますね。
そして、午後3時、捜し求めていたアリとの出会いが突然やってきました！
オオズアリの巣を見つけたので、巣の中を観察していると、その近くで赤茶のアリの行列があったのです。
チャイロヒメサスライアリです！！
過去に何度も見つけていますが、未だに巣の中心部を見つけられないアリです。
この日は、残りの時間はすべて、このアリに費やすことにしました。
マレーシアで丸山さんにヒメサスライアリについていろいろ教えてもらい、いくつかのヒメサスライアリの巣を見つけてきたので、以前よりも巣を見つける自信もありました。
さっそく、行列を辿ることにしました。
行列を見ると、アメイロアリの幼虫を運んでいて、狩りをしている最中ということが分かります。
枯葉の下、土の中、木の根の下などを通っていて、なかなか全体が見えてきません。
手荒に探して行列を乱してしまうと、ますます方角が分からなくなってしまうので、少しずつ慎重に辿っていきます。
そして、アリたちが次から次へと入っていく穴があり、ここが巣か！と思っても、よく見るともっと先に抜け道があったりします。
その繰り返しで、いつまで経っても行列の終わりが見つかりません。
しかも、行列はいくつにも枝分かれをしているのです。
そして19時ごろになり、暗くなり始めると、チャイロヒメサスライアリの行列の密度が高くなってきて、本格的な狩りが開始されました。
獲物となるアメイロアリを探す行列の先端部分は、広範囲に広がるようにあたり一面を覆っています。
まるでグンタイアリが獲物を探すような方法で、チャイロヒメサスライアリがこのように獲物を探すとは知りませんでした。
そして、アメイロアリの巣を見つけると、一気に巣に侵入して、中から幼虫やサナギを盗みます。
襲われたアメイロアリは、どうすることもできません。
その狩りを観察中に、黒いノミバエが出てきたのです。
このノミバエは、前日にアメイロアリの巣から見つけたノミバエです。
チャイロヒメサスライアリに巣を襲撃されて、驚いて外に飛び出してきたようです。
狩りをした幼虫を運び込む場所が、巣の中心部だと思って探していると、大量の幼虫を運び込む穴を発見です！
周りには抜け道はないし、穴から出てくるアリは幼虫を持っていないので、中に置いているに違いありません。
思い切って掘って見たところ、狩りをした幼虫が大量に出てきたのですが、それ以外は何も見つかりません。
どうやらこの穴は、一時的に獲物を溜め込む場所だったようです・・・
そして、時計を見ると夜の8時を過ぎていました。
夕飯を食べていないので、宿に戻ることにしました。
その帰り道に、なんとコブラ科のハイを発見です！！
美しいヘビですね〜。
滅多に見つからない珍しいヘビです。
捕まえて見ると、噛み付きはしませんでしたが、尾の先端のトゲを突き刺してきます。
クロイワトカゲモドキも見つかりました。
このメスは卵を持っていて、腹部には白い卵が透けていました。
そして、足を見るとサシチョウバエを発見です！
左が吸血中のメスで、右がオスです。
写真左：細身のオス。
写真右：吸血して腹部が赤くなる、メスのサシチョウバエ。
夕飯を食べてから、再びチャイロヒメサスライアリの場所に戻りました。
行列は相変わらずアメイロアリの狩りを続けています。
その後も行列を辿るも、巣が分かりません・・・
この日は20ｍほどの行列を見つけましたが、まだまだ先がありそうです。
深夜1時過ぎ、とても疲れたので、この日はここで諦めることにしました。
翌朝、すぐに向かったのは、もちろんチャイロヒメサスライアリの場所です。
夜行性が強いアリのようで、昨晩よりは密度が減っていましたが、一晩経っても同じ場所に行列がありました。
行列があるのは、こんな場所の枯葉の下です。
これを1枚1枚慎重に取り除きながら探すので、とても時間がかかります。
そして、昨晩の続きで行列を辿っていくと、人が歩けないような急斜面まで続いていることが判明しました・・・
その先には、草や木が生い茂る森が見えます。
急斜面に巣があるのか、それともその先にある茂みに巣があるのか分かりませんが、残念ながら、探索を断念することにしました。
合計で12時間も費やしたのに、巣の中心部は見つかりませんでした。
今回確認できただけで、25ｍ以上は行列が続いているようです。
たった3ｍｍほどのアリが、ここまで長い行列を作るとは、さすがヒメサスライアリです。
次回はいつ出会えるのか・・・
再びアリ探しを開始しましたが、チャイロヒメサスライアリ探しに力を使いすぎ、燃え尽きた感じがあって、採集に力が入りません。
やる気なく山を歩いていると、初めての林道を見つけました。
すごく良い感じの森で、水溜りにはイボイモリの幼生がたくさんいました。
そして土の中から、初めて見るアリを発見したのです！
最初見たときはムカシアリに見えましたが、大きさはムカシアリよりも倍以上あるのです。
こ、このアリは！？
超珍種のジュズフシアリだったのです。
いつかは見たいと思っていたアリです。
しばらく探して女王も発見です！
獲物を見つけたジュズフシアリは、アゴを180度に開いて噛み付きます。
すごいアリです。
ジュズフシアリの発見で、一気にやる気が出てきました。
森の奥へ進んでいくと、珍しいノコギリハリアリ発見です！
チャイロヒメサスライアリ、ジュズフシアリ、ノコギリハリアリと、超豪華なアリたちに出会うことができました。
今回も最高の沖縄となりました。
ヤンバルで見つけたネコです・・・
わざわざ、こんな山奥に捨てに来る人がいるのです。
ヤンバルの小動物を捕食するため、駆除の対象になります。
ネコは好きでこの場所に来たわけでもないのに可愛そうです。
それに、このネコを見ると痩せていて十分なエサを食べられていないようです。
そろそろ帰る時間なので、那覇に向かうことにしました。
午後から晴れてきました！
今回の旅で、太陽が出てきたのは初めてです。
中部の山で見つけたヤマナメクジ。
北部のヤンバルヤマナメクジと違って柄があります。
那覇空港に、杉本さんと岡村さんがお見送りに来てくれました。
出発までの1時間、空港で楽しく虫話をしました。
いつもいつも、ありがとうございます！
そして、お土産まで頂いてしまいました。
田芋で作られた、スイートポテトとパイを頂き、どちらも最高に美味しかったです。
5月の沖縄本島 その1
5月の沖縄本島 その2
5月の沖縄本島 その3
