2012年02月11日
南米ペルー調査 その4 南米といえばキノコアリ!
小屋の2階に荷物を置き、吸虫管、シャベル、ピンセット、長靴、ヘッドライトを持ち、森の中に入る準備をします。

夕食の準備をしてくれています。
山小屋に滞在中は、すべての食事の準備をしてくれたおかげで、毎日お腹一杯食べる事ができました。
このような山奥で、暖かいご飯が食べられることは本当にありがたいことです。
森に入る前に、まずは小屋周辺からじっくり調べることに。
小屋周辺にも木や草が生い茂っているため、ここだけでも十分楽しめます。

まず目に入ったのは、体長1cmほどのフトハリアリの仲間です。
フトハリアリといっても、日本のフトハリアリとは体型も動きもまったく違います。
日本のオオハリアリやツシマハリアリなどと比べると、脚が長くて素早く動き回り、視力も良いようで、どちらかというとトゲオオハリアリに似た印象です。
触角を上下に激しく震わせながら、倒木の上などを走り回って獲物を探しています。
巣も朽ちた倒木の中で見つけることができました。

青くて美しい巨大なタランチュラ
小屋の周辺を調べた後は、いよいよ森の中でアリを探します。

左:オオアリの一種
右:樹上に巣を作っていたシリアゲアリの一種
目線ほどの高さの枝を見ると、たくさんのツノゼミが群れていて、首の長いカタアリDolichoderusが甘露を求めに集まっていました。
不思議な体型をしたアリですね。

こちらが結婚飛行を終えたばかりの女王アリ。


パラポネラもたくさん見つけることができました。

ツノゼミの周りに群れるデコメハリアリEctatomma です。
この種類は樹上性が強いようで、草や木の上でツノゼミの周りで頻繁に見つけることができます。

同じくデコメハリアリの一種です。
地中に作られた巣穴から土を運び出していました。

森の中では、多くのバッタも見つけることができました。
そして菌と関わりを持つキノコアリの種類の多さに驚きです。
最も目につくのは大型のハキリアリAttaですが、薄暗い森の中では、小型のクビボソキノコアリApterostigmaや、ムカシキノコアリCyphomyrmexなどの原始的なキノコアリを見つけることができました。

切り取った葉を巣に運ぶハキリアリ。

ハキリアリの巨大兵隊アリ。

ヒメハキリアリAcromyrmexの初期コロニー。

クビボソキノコアリApterostigmaの新女王。

菌を栽培するという変わった習性を持つキノコアリの仲間。
ハキリアリ族には、ハキリアリ属Attaやヒメハキリアリ属Acromyrmexなど、葉を切り取り菌を栽培する高等な種類から、虫の糞や死骸、枯れた植物などを栄養分として菌を育てる原始的な種類など合計13もの属が存在して、中南米に生息しています。
その中で今回どうしても見たかったのが、ハキリアリ族の中では原始的なムカシキノコアリ属 Cyphomyrmexです。
体長3mmほどのこのアリは、朽木の中や土の中に巣を作り、ヤスデや、虫の糞などを培地として菌を育てるのです。
「平凡社:地球はアリの惑星」にムカシキノコアリCyphomyrmex rimosusについて詳しく書かれていて、それを読んでからいつか見てみたいと、長年思い続けてきたのです。
そして、この森で多くのムカシキノコアリを見つけることができたのです。

ムカシキノコアリの菌園で、中心にいるのが女王アリです。
多くの菌園を作るアリは、白い綿のようなフワフワした菌園を作るのに対して、こちらのムカシキノコアリは変わった菌園を作ります。

これが菌園で、白くて粒々したものが菌の塊となります。
ハキリアリやヒメハキリアリなどが、切り取った葉を菌の培地として使用するのに対して、ムカシキノコアリは虫の糞や、昆虫の死骸などを培地として利用しているようです。
菌の育て方については「平凡社:地球はアリの惑星」の中で村上さんが詳しく説明を書かれています。
ヤスデなどの糞を巣に運ぶ→働きアリはそ嚢からゼリー物質を吐き戻して、ヤスデの糞の上に塗りつける→しばらくすると茶色の固形物質になる→再びゼリー物質を吐き戻して(時々排泄物を混ぜる)塗りつける。
この行動を繰り返す事で、徐々に固形物質が大きくなり、この団子をすでにある菌園の近くに運び、菌を接種することで団子は菌糸に覆われるようです。
ということは、この菌の栄養分となる団子は、アリが吐き戻したものが主な成分で、ヤスデの糞は補助的な役割のようです。
こうやって小型キノコアリを見ると、東南アジアのプロアッタProattaがキノコアリに外見がよく似ていることを改めて実感しました。
プロアッタは分布はまったく異なりますが、その外見からハキリアリ族の祖先と考える研究者もいるようです。
マレーシアでプロアッタの巣を観察すると、理由は分かりませんが巣の中には昆虫の外骨格がたくさん貯蔵されていますが、以前村上さんにお聞きしたところ、このような行動はムカシキノコアリにとても良く似ているようです。
キノコアリの祖先も、プロアッタのように食べカスや、拾ってきた虫の死骸を巣に貯蔵していたら、そこに何らかの菌が繁殖して、それから菌を育てるようになった・・・なんて事も考えられるのかもしれません。
菌を育てるアリ、アリの巣で暮らす多くの虫たちなど、まったく異なる生物が共生や寄生など、様々な方法と目的で関わりを持って生きている事にとても興味を惹かれます。
これらの生物は、私たちが想像もつかないほど永い年月をかけて関係を築いていて、どんな生活をしているのか?何をきっかけにそのような関係を持ったのか?など観察をしていると興味は尽きません。
薄暗くなってきたので、夕食を食べようと小屋に戻るとライトトラップが設置されていました。
ホセさんが運んでくれた発電機を使用しています。

真っ暗な森の中で、シーツが明るく光っています。
どんな虫が集まってくるのか楽しみです。
これから夜の森で虫を探します。
つづく・・・
南米ペルー調査 その1 夢の南米に行ける!?
南米ペルー調査 その2 ついにジャングル到着!
南米ペルー調査 その3 巨大ディノポネラ発見!
南米ペルー調査 その4 南米といえばキノコアリ!
南米ペルー調査 その5 超巨大バッタ発見!
南米ペルー調査 その6 パラポネラに刺された!?
南米ペルー調査 その7 パラポネラを捕食するディノポネラ!?
南米ペルー調査 その8 巨大ウロコアリ!
南米ペルー調査 その9 マルセグンタイアリの同居人たち

夕食の準備をしてくれています。
山小屋に滞在中は、すべての食事の準備をしてくれたおかげで、毎日お腹一杯食べる事ができました。
このような山奥で、暖かいご飯が食べられることは本当にありがたいことです。
森に入る前に、まずは小屋周辺からじっくり調べることに。
小屋周辺にも木や草が生い茂っているため、ここだけでも十分楽しめます。

まず目に入ったのは、体長1cmほどのフトハリアリの仲間です。
フトハリアリといっても、日本のフトハリアリとは体型も動きもまったく違います。
日本のオオハリアリやツシマハリアリなどと比べると、脚が長くて素早く動き回り、視力も良いようで、どちらかというとトゲオオハリアリに似た印象です。
触角を上下に激しく震わせながら、倒木の上などを走り回って獲物を探しています。
巣も朽ちた倒木の中で見つけることができました。

青くて美しい巨大なタランチュラ
小屋の周辺を調べた後は、いよいよ森の中でアリを探します。

左:オオアリの一種
右:樹上に巣を作っていたシリアゲアリの一種
目線ほどの高さの枝を見ると、たくさんのツノゼミが群れていて、首の長いカタアリDolichoderusが甘露を求めに集まっていました。

不思議な体型をしたアリですね。

こちらが結婚飛行を終えたばかりの女王アリ。


パラポネラもたくさん見つけることができました。

ツノゼミの周りに群れるデコメハリアリEctatomma です。
この種類は樹上性が強いようで、草や木の上でツノゼミの周りで頻繁に見つけることができます。

同じくデコメハリアリの一種です。
地中に作られた巣穴から土を運び出していました。

森の中では、多くのバッタも見つけることができました。
そして菌と関わりを持つキノコアリの種類の多さに驚きです。
最も目につくのは大型のハキリアリAttaですが、薄暗い森の中では、小型のクビボソキノコアリApterostigmaや、ムカシキノコアリCyphomyrmexなどの原始的なキノコアリを見つけることができました。

切り取った葉を巣に運ぶハキリアリ。

ハキリアリの巨大兵隊アリ。

ヒメハキリアリAcromyrmexの初期コロニー。

クビボソキノコアリApterostigmaの新女王。

菌を栽培するという変わった習性を持つキノコアリの仲間。
ハキリアリ族には、ハキリアリ属Attaやヒメハキリアリ属Acromyrmexなど、葉を切り取り菌を栽培する高等な種類から、虫の糞や死骸、枯れた植物などを栄養分として菌を育てる原始的な種類など合計13もの属が存在して、中南米に生息しています。
その中で今回どうしても見たかったのが、ハキリアリ族の中では原始的なムカシキノコアリ属 Cyphomyrmexです。
体長3mmほどのこのアリは、朽木の中や土の中に巣を作り、ヤスデや、虫の糞などを培地として菌を育てるのです。
「平凡社:地球はアリの惑星」にムカシキノコアリCyphomyrmex rimosusについて詳しく書かれていて、それを読んでからいつか見てみたいと、長年思い続けてきたのです。
そして、この森で多くのムカシキノコアリを見つけることができたのです。

ムカシキノコアリの菌園で、中心にいるのが女王アリです。
多くの菌園を作るアリは、白い綿のようなフワフワした菌園を作るのに対して、こちらのムカシキノコアリは変わった菌園を作ります。

これが菌園で、白くて粒々したものが菌の塊となります。
ハキリアリやヒメハキリアリなどが、切り取った葉を菌の培地として使用するのに対して、ムカシキノコアリは虫の糞や、昆虫の死骸などを培地として利用しているようです。
菌の育て方については「平凡社:地球はアリの惑星」の中で村上さんが詳しく説明を書かれています。
ヤスデなどの糞を巣に運ぶ→働きアリはそ嚢からゼリー物質を吐き戻して、ヤスデの糞の上に塗りつける→しばらくすると茶色の固形物質になる→再びゼリー物質を吐き戻して(時々排泄物を混ぜる)塗りつける。
この行動を繰り返す事で、徐々に固形物質が大きくなり、この団子をすでにある菌園の近くに運び、菌を接種することで団子は菌糸に覆われるようです。
ということは、この菌の栄養分となる団子は、アリが吐き戻したものが主な成分で、ヤスデの糞は補助的な役割のようです。
こうやって小型キノコアリを見ると、東南アジアのプロアッタProattaがキノコアリに外見がよく似ていることを改めて実感しました。
プロアッタは分布はまったく異なりますが、その外見からハキリアリ族の祖先と考える研究者もいるようです。
マレーシアでプロアッタの巣を観察すると、理由は分かりませんが巣の中には昆虫の外骨格がたくさん貯蔵されていますが、以前村上さんにお聞きしたところ、このような行動はムカシキノコアリにとても良く似ているようです。
キノコアリの祖先も、プロアッタのように食べカスや、拾ってきた虫の死骸を巣に貯蔵していたら、そこに何らかの菌が繁殖して、それから菌を育てるようになった・・・なんて事も考えられるのかもしれません。
菌を育てるアリ、アリの巣で暮らす多くの虫たちなど、まったく異なる生物が共生や寄生など、様々な方法と目的で関わりを持って生きている事にとても興味を惹かれます。
これらの生物は、私たちが想像もつかないほど永い年月をかけて関係を築いていて、どんな生活をしているのか?何をきっかけにそのような関係を持ったのか?など観察をしていると興味は尽きません。
薄暗くなってきたので、夕食を食べようと小屋に戻るとライトトラップが設置されていました。
ホセさんが運んでくれた発電機を使用しています。

真っ暗な森の中で、シーツが明るく光っています。
どんな虫が集まってくるのか楽しみです。
これから夜の森で虫を探します。
つづく・・・
南米ペルー調査 その1 夢の南米に行ける!?
南米ペルー調査 その2 ついにジャングル到着!
南米ペルー調査 その3 巨大ディノポネラ発見!
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南米ペルー調査 その5 超巨大バッタ発見!
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南米ペルー調査 その7 パラポネラを捕食するディノポネラ!?
南米ペルー調査 その8 巨大ウロコアリ!
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