2012年07月16日

サムライアリの奴隷狩り

名前からして強そうなサムライアリPolyergus samurai は、一見クロヤマアリFormica japonica のように見えますが、よく見ると鎌状のアゴを持ち、色や形もクロヤマアリとは異なります。
結婚飛行を終えたサムライアリの女王は、クロヤマアリの巣に侵入して、女王をころして巣を乗っ取ります。
この時、ころしたクロヤマアリの女王の匂いを、自分の体に付けることで、クロヤマアリの働きアリはサムライアリの女王を自分たちの女王だと思ってしまうのです。
サムライアリの女王
サムライアリの女王

クロヤマアリの巣を乗っ取ることに成功したサムライアリは、クロヤマアリからエサをたくさんもらいながら産卵を開始します。
クロヤマアリの働きアリは、自分たちの女王だと思い込んでしまっているので、この卵を大切に育て、数ヶ月後には、たくさんのサムライアリの働きアリが羽化するのです。

サムライアリPolyergus samurai
鎌状のアゴを持つサムライアリ。

このサムライアリの働きアリたちは、普通のアリたちが行うような、エサ集め、巣作り、子育てなどの仕事は一切しません。
すべての仕事はクロヤマアリたちにやってもらい、エサはクロヤマアリが集めてきたものを食べているのです。
サムライアリPolyergus samurai
クロヤマアリ(左)からエサを口移しでもらうサムライアリ(右)
口を見ると、クロヤマアリが液体エサを吐き戻しているのが分かります。

この巣では、すでにクロヤマアリの女王はいないので、羽化するアリのすべてはサムライアリ。
身の回りの世話をしてくれるクロヤマアリの寿命は約1年なので、時間が経ってくると徐々にクロヤマアリの数が減り、いつまでもクロヤマアリに頼っていることはできなくなります。
するとサムライアリの働きアリたちは、団結してクロヤマアリの巣に侵入して、幼虫や繭を盗んでくるのです!これが奴隷狩りです。
時に数千もの大行列を作り襲いに行くので、真っ黒な太い行列を見ることができます。
サムライアリが唯一巣から遠出をする瞬間です。

巣に持ち帰ったクロヤマアリの幼虫や繭は、クロヤマアリの働きアリが世話をして、羽化したクロヤマアリたちは、サムライアリを仲間だと思い込んでしまうのです。
このように定期的に奴隷狩りを行うことで、サムライアリたちは子育てや、エサ集めなどを一切することなく過ごすことができるのです。

クロヤマアリ
サムライアリの巣から出てきたクロヤマアリ。
サムライアリを自分たちの兄弟だと思い込んでいます。

サムライアリPolyergus samurai
サムライアリは空腹になると、クロヤマアリからエサをもらいます。

サムライアリPolyergus samurai
奴隷狩りで、クロヤマアリの幼虫を巣に持ち帰るサムライアリ。
鎌状の湾曲したアゴは、幼虫をくわるのにちょうど良い形です。

サムライアリが巣に侵入してきて、襲われたクロヤマアリの巣は大パニックです。
サムライアリPolyergus samurai
巣を守ろうとサムライアリに反撃もしますが、襲うことに特化したサムライアリには敵いません。

これからの時期は、サムライアリの奴隷狩りを頻繁に観察することができます。

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