2013年01月15日

ヤスデのようなヨロイオオムカデ その2 エサを食べた!!

ヤスデにそっくりなムカデ。
外見や動きだけでも驚きですが、実はさらに驚きの事実が判明したのです。

ヨロイオオムカデ
はじめてこのムカデを見たとき、動きが遅いことや、毒牙が体の割りに巨大な事から何か特殊な獲物を捕食しているのだろうと感じました。
しかし、今まで数多くのムカデを見てきましたが、たとえば大きな獲物を捕食できない小型なジムカデやイシムカデなども、コオロギやミルワームなどをころして与えれば食べるもの。
このムカデだって、きっとその方法で飼育ができると考えていたのです。
まず初めに生きたコオロギを入れてみることに。
まったく反応しないし、それどころか怖がって丸くなってしまいました。
これは予想通りだったので、続いてころしたコオロギを一晩入れてみることに。
これで食べてくれるだろうと予想していたのですが、翌日そのまま残していました。
最後の手段として、コオロギの腹部を切ってピンセットで口元へ運び体液を舐めさせる事にしました。
これで確実に食べると思ったのですが、何と口に付いたコオロギを嫌がり逃げてしまったのです。これには困りました。
この段階で、もしかしてエサは昆虫ではないかもしれないと思ったのですが、とりあえず用意できるものを片っ端から与えてみる事に。
フタホシコオロギ、ヨーロッパイエコオロギ、ハニーワーム、ミルワーム、カナブン幼虫、クモ、ゴキブリなどを、生きたもの→ころしたもの→体液を口に付ける、といった順番で与えるもすべて無関心・・・
動きが遅くても狩る事ができ、毒牙が大きい事から力がある程度必要な獲物のはずなので、ナメクジやカタツムリを与えましたが、これらも食べず。
そして、実はかなりの確立でミミズ食ではないかと予想していました。
ミミズなら森の中にたくさんいるし、捕食するときは素早さは必要ありませんが、力が意外と強いので大きなアゴなのも納得です。
そこで、近所の公園でミミズを掘って与えてみる事にしたのですが、これも何日たっても食べる様子がなかったのです・・・
他に思いつくものがなくなり、仕舞いには昆虫ゼリーやバナナなどを与えてみるも興味なし。
すでに何も食べずに2ヶ月も経ってしまい、ヨロイオオムカデは痩せ始めてしまったのです。
そのころ、ちょうど沖縄に行く事になり、何かエサになりそうなものを探してみようと考えました。
これが最後のチャンス!ここで見つからなければ、おそらく死んでしまうだろうと思いました。
沖縄の森を歩いていると、様々な虫が見つかるのですが、どれも今まで試したものばかり。
結局、エサになりそうなものは見つからなかったのですが、ヨロイオオムカデに外見がそっくりなアマビコヤスデが目に入ったのです。
しかし、外見がヤスデに似ているからと言って、ヤスデを食べるとは考えられません。
何かに似ている、何かに擬態しているからと言って、そのものを専門に捕食する事なんて滅多にないし、まして臭い毒を持つヤスデを食べるムカデなんて想像もできなかったのです。
それでも、他に思いつくものはすべて試してきたので、だめもとでヤスデを1匹だけ持ち帰ることにしてのです。
自宅に戻ってから、ヨロイオオムカデのケースにアマビコヤスデを入れてみます。
やはり興味がなさそうに、じっとしています。
「やっぱり食べないか。もうダメかもしれない。」そう感じました。
その日の夜中、再び虫部屋に行ったとき、何気なくヨロイオオムカデの飼育ケースを見たところ、抜け殻のような半透明のものが散らばっていたのです!?

ヨロイオオムカデ
そしてムカデを見たところ、な、な、な、なんと!アマビコヤスデを抱きかかえて捕食していたのです!!思わず「え〜〜〜!」と一人で叫んでしまいました(笑)
この2ヶ月間、一切何も食べなかったムカデが、ヤスデを美味しそうに食べていたのです!
エサを食べてくれた事が本当に嬉しかったですし、ヤスデを食べた事に心から興奮しました。
通常ムカデは幅広い生物を捕食し、偏食のムカデと言うのは聞いたことがありません。
しかもまさかヤスデ食だったとは・・・
以前、ヤスデの体内を食べ尽くす生物がいると紹介しましたが、実はヤスデを食べた生物は、このムカデだったのです!
あまりの興奮で、深夜にもかかわらず沖縄の杉本さんに電話をして、この発見を伝えたのと、エサ用にアマビコヤスデを採集してくださいとお願いをしました。

その翌日にケースを見ると、そこには見事に体内を食べつくされたヤスデの外骨格だけが残されていたのです。
この時は、あの巨大な頭で、どうしてここまで美しく食べることができるのかまったく分かりませんでした。

ヨロイオオムカデ
バラバラになったヤスデの外骨格を組み立てると、美しい標本ができました。

ヨロイオオムカデ
続いてエサに与えたのは東南アジア産のアバラヤスデの一種。

ヨロイオオムカデ
ヤスデを見つけたヨロイオオムカデは、ゆっくりと触角でヤスデの体に触れて頭部を探します。
そして上から覆いかぶさるようにして、一気に噛み付くのです!その瞬間、ヤスデは防御しようと丸まるのですが、毒牙で噛み付いたまま離しません。
すると1分もしないうちに、丸まっていたヤスデの力が抜け、まるで死んだように動かなくなってしまうのです。
自分と同じくらいの生き物を、ここまで短時間でころしてしまうとは、ヨロイオオムカデの毒はかなり強いのかもしれません。

ヨロイオオムカデ
ヨロイオオムカデ
動かなくなったヤスデを、頭部から順番に食べていきます。

ヨロイオオムカデ
ヤスデの頭部を切り離したところ。
この後は、一節一節外しながら中身を食べていくのです。

ヨロイオオムカデ
数時間後にはこの通り。

ヨロイオオムカデ
食べ終わった頭部を見ると、中まで食べ残しがありません。

ヨロイオオムカデ
巨大な頭部で、一体どうやってここまで美しく食べているのでしょう?

その後の観察で、ヤスデを短時間で仕留める方法や、体内を美しく食べ尽くす方法が判明しましたが、まさにヤスデ専門でないとできないようなすごい業をもっていたのです。

つづく・・・

ヤスデのようなヨロイオオムカデ その1 ヤスデに擬態?
ヤスデのようなヨロイオオムカデ その2 エサを食べた!!
ヤスデのようなヨロイオオムカデ その3 ヤスデの狩りの方法

コメント一覧

1. Posted by コンドル   2013年01月15日 13:15
初めまして、いつも楽しく拝見しております!
今回の記事はずっと種明かしを待っていた者にとっては、期待以上でした!
ここまでの一連のブログの流れはまるでミステリー小説のようで…感動しました!
しかし…ものすごい虫ですね。
人間の想像力をはるかに超えています…。
続きの記事も楽しみにしています!
2. Posted by タムラ   2013年01月15日 13:31
5 遂にヤスデをキレイに食べる生物の正体が明かされましたね!!(笑)
しかし素晴らしい生物!
機会があれば生で見たい生物です!
引き続き続報楽しみにしてます♪
3. Posted by taku   2013年01月15日 13:53
コンドル様ブログをご覧頂ありがとうございます!!
そして感動して頂けて嬉しいです。
このムカデはブログでも紹介していましたが、まさかムカデがヤスデを食べるとは、自分も含めて誰も想像できなかったと思われます。
ムカデの仕留め方もすごいので、撮影して紹介したいと思います!
4. Posted by taku   2013年01月15日 13:55
タムラ様ご覧頂ありがとうございます。
次回も早めにまとめてご紹介いたします!
ヤスデの体内を美しく食べるためには、他のムカデにはないものを発達させる必要があったようです。
5. Posted by a   2013年01月16日 04:16
入荷された時から、ROMしてたんですけどまさかヤスデ食とは…

久しぶりにムカデでワクワクしました、続報期待しています。
6. Posted by taku   2013年01月16日 20:13
ご覧頂きありがとうございます!!
そう言って頂けると嬉しいです。
ほんとすごいムカデですよね。
次回も撮影を頑張ります。

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