ハリアリ亜科
2015年09月05日

幼虫の世話をするインドクワガタアリ。
アリは、卵→幼虫→サナギ→成虫と成長をする、完全変態の昆虫です。
ちなみにシロアリをアリの仲間だと思われている方もいるかと思いますが、シロアリにはサナギという段階がなく(不完全変態)、孵化直後からシロアリの形をしています。
このことからも、アリとはまったく異なる虫であることが分かります。
シロアリはゴキブリに近縁な昆虫です。

タイワンシロアリの成虫と孵化したばかりの幼虫。
クワガタアリの幼虫がサナギになるところを観察してみました。

細長い前蛹。

先端の丸い部分が幼虫頭部となり、少し下には赤い丸がありますが、これは何だか分かりますか?
よく見ると小さな赤い点の集まりであることが分かります。
実はこれは複眼なのです!
サナギになる直前になると、複眼が透けて見えるのです。

そして数時間後に見ると、サナギになっていました。
本当は脱皮を最初から観察したかったのですが、少し目を離した隙に蛹化してしまいました・・・。
手も足もない細長い幼虫が、一皮脱いだだけでアリの形になってしまうとは不思議ですね。

2015年08月27日
2015年08月23日
息子と虫採りをしているときの出来事。
車で昼食を食べていました。
息子は大好物のメロンパンを食べていたのですが、食べカスが地面に落ち、それを黒くて大きなアリが運んでいたのです。
大きさからして一見クロオオアリかと思ったのですが、それにしては細身でハリアリのような体型。
しかしこんなに大きなハリアリはこの辺りには生息していません。
気になったので近くで見てみると・・・。

えっ!こ、こ、このアリは〜!?

なんとメロンパンを運んでいたのは、本来九州や屋久島などに生息しているはずのアギトアリ Odontomachus monticolaだったのです!!
以前苦労して屋久島の森まで見に行ったアギトアリが、突然目の前に現れたのです。
実はここ数年、各地でアギトアリの定着が確認されているのは知っていたのですが、まさか何年も通っているこの場所にもいたとは。

その周辺を探してみたところミミズを捕食していて、巣の入口も見つかりました。


まさか関東でこんな光景が見れるとは。

女王アリも働きアリと一緒に狩りに参加していました。
おそらく未交尾個体だと思われますが、野外でこのような場面を見たのは初めてです。
ハリアリの仲間は、飼育下で新女王が羽化することがよくありますが、その場合しばらくすると翅が抜け、まるで働きアリのように行動することがあります。
しかし、これは結婚飛行ができない密閉容器での行動かと思っていたのですが、もしかしたら野外でも行われていることなのかもしれません。
それにしても、どうやって関東まで来たのでしょう?
短期間で各地で見つかっているのも不思議です。
土や植物と共に運ばれて来たのでしょうか?
そして、なぜアギトアリが??
他にもっと環境に適応力のありそうなアリはたくさんいるのに・・・。
車で昼食を食べていました。
息子は大好物のメロンパンを食べていたのですが、食べカスが地面に落ち、それを黒くて大きなアリが運んでいたのです。
大きさからして一見クロオオアリかと思ったのですが、それにしては細身でハリアリのような体型。
しかしこんなに大きなハリアリはこの辺りには生息していません。
気になったので近くで見てみると・・・。

えっ!こ、こ、このアリは〜!?

なんとメロンパンを運んでいたのは、本来九州や屋久島などに生息しているはずのアギトアリ Odontomachus monticolaだったのです!!
以前苦労して屋久島の森まで見に行ったアギトアリが、突然目の前に現れたのです。
実はここ数年、各地でアギトアリの定着が確認されているのは知っていたのですが、まさか何年も通っているこの場所にもいたとは。

その周辺を探してみたところミミズを捕食していて、巣の入口も見つかりました。


まさか関東でこんな光景が見れるとは。

女王アリも働きアリと一緒に狩りに参加していました。
おそらく未交尾個体だと思われますが、野外でこのような場面を見たのは初めてです。
ハリアリの仲間は、飼育下で新女王が羽化することがよくありますが、その場合しばらくすると翅が抜け、まるで働きアリのように行動することがあります。
しかし、これは結婚飛行ができない密閉容器での行動かと思っていたのですが、もしかしたら野外でも行われていることなのかもしれません。
それにしても、どうやって関東まで来たのでしょう?
短期間で各地で見つかっているのも不思議です。
土や植物と共に運ばれて来たのでしょうか?
そして、なぜアギトアリが??
他にもっと環境に適応力のありそうなアリはたくさんいるのに・・・。
2015年04月14日
インドクワガタアリ Harpegnathos saltatorの狩りを撮影しました。
前回、このアリの撮影は難しいと書きましたが、狩りの最中なら撮影は簡単。
獲物に夢中になっているときは、こちらの動きはまったく気にしないからです。
クワガタアリの狩りは見ていてとても面白いです。
視力がとても優れているため、数センチ離れた場所で獲物が動いていると、触角を獲物に向けて慎重に近づきます。
そして獲物だと判断すると、狙いを定めてジャンプしてアゴで捕らえるのですが、この狙いを定めるときに、まるで猫が飛び掛るときのように、お尻を左右に震わせてからジャンプするのです!

レッドローチを顎で挟んだ直後に、毒針で刺して麻痺させます。

獲物が動く限り何度でも刺しますが、これくらいの大きさの獲物なら、1〜2回も刺されれば動かなくなります。

獲物が動かなくなると巣へ運びます。
獲物は麻痺して動けないだけで、完全に死んだのではありません。
多くの獲物を捕えた場合は、このままの状態で何日も貯蔵することができるのです。
前回、このアリの撮影は難しいと書きましたが、狩りの最中なら撮影は簡単。
獲物に夢中になっているときは、こちらの動きはまったく気にしないからです。
クワガタアリの狩りは見ていてとても面白いです。
視力がとても優れているため、数センチ離れた場所で獲物が動いていると、触角を獲物に向けて慎重に近づきます。
そして獲物だと判断すると、狙いを定めてジャンプしてアゴで捕らえるのですが、この狙いを定めるときに、まるで猫が飛び掛るときのように、お尻を左右に震わせてからジャンプするのです!

レッドローチを顎で挟んだ直後に、毒針で刺して麻痺させます。

獲物が動く限り何度でも刺しますが、これくらいの大きさの獲物なら、1〜2回も刺されれば動かなくなります。

獲物が動かなくなると巣へ運びます。
獲物は麻痺して動けないだけで、完全に死んだのではありません。
多くの獲物を捕えた場合は、このままの状態で何日も貯蔵することができるのです。
2015年04月09日

飼育中のインドクワガタアリ Harpegnathos saltatorのコロニーには、外見で区別できる女王アリは存在せず、働きアリの優位個体がオスと交尾をして女王役となっています。
そのため、どれが有精卵を産んでいるのか見ただけでは分からないのですが、産卵の瞬間を見ればその個体が女王役である可能性が高いです。

腹部先端から毒針が出ていますね。
これは産卵前の兆候で、毒針を持つアリで見られる行動です。

同じくハリアリ亜科のオキナワアギトアリと東南アジア産クワガタアリの産卵。
どちらも毒針が出ていますね。
このように産卵を観察すると、アリやハチの毒針は産卵管が変化したものであることがよく分かります。

卵が出てきました。
働きアリが無精卵を産んでいる可能性もあるかもしれませんが、現在たくさんある繭から羽化するのがすべてメスなので、おそらく女王役個体で有精卵ではないかと思います。
他の個体と比較してみましたが、体のサイズは大きめで、腹部も膨れ気味ではありましたが、もっと体が大きくて腹部の膨れた個体もいたので、やはり外見での区別は難しそうです。
インクでマーキングして、長期観察をして、この個体が日々産卵をしていればもう少しはっきりと分かりそうですが。
アリを飼育していると、野外では見ることの難しい産卵の瞬間も見ることができます。
腹部を少し高く持ち上げたり、後ろ脚で腹部を触ったり、腹部先端を舐めたりしているときは産卵直前のことが多いです。
それにしても、このインドクワガタアリは撮影が難しい!
他のアリを落ち着かせる方法を使っても、いつまでたっても落ち着かず歩きまわり、やっと落ち着いたと思っても、視力がものずごく良いので、わずかな人の動きやカメラの動きに反応して再び走り回り、バッタのようにピョンピョンとジャンプしながら逃げる。
この産卵の瞬間を撮影するのに1時間かけましたが、撮影できたのはこれだけ・・・。
東南アジアのクワガタアリよりも敏感なのか、それとも視力が優れているのか。
2015年04月03日

東南アジアに生息するクワガタアリ Harpegnathos venatorはたくさん飼育をしてきましたが、まだ飼育をしたことのないクワガタアリがいました。

インドなど南アジアに生息する、頭部と胸部が赤いクワガタアリ Harpegnathos saltatorです。
このクワガタアリは、アリの中でも変った習性をもちます。
コロニー初期では、通常のアリと同じく、翅の抜けた女王アリがいるのですが、女王アリが死んでしまったり、コロニーが大きくなってくると、働きアリの数匹がオスと交尾をして有精卵(メス)を産んでコロニーが続きます。
この時、女王役として産卵するのは戦いに勝った順位の高い個体のようです。
戦いと言っても、殺し合いをするわけではなく、触覚で相手を叩いたりします。
女王(有翅雌)は存在しますが、働きアリも交尾をするという、通常のアリとトゲオオハリアリの中間的な特徴を持つアリなのです。
そして、このクワガタアリは、海外の研究所や博物館で10年以上も飼育をされているコロニーがあり、おそらく巣の中でオスと交尾しているのだと思います。
ある程度コロニーが大きくなってきたら、コロニーを半分に分けてオスを育てて交尾をさせることで、トゲオオハリアリと同じように、飼育下でコロニーを増やすことが可能だと考えています。

トゲオオハリアリの場合も働きアリが交尾をしますが、最初から女王(有翅雌)は存在せず、さらに働きアリの中で交尾をして女王役になれるのは翅芽痕のある1匹だけです。


口元に置かれたエサを食べる幼虫。

大きな眼を見て分かるように、視力がとても優れています。

この個体は上を見上げていますが、これは頭上で動かす指に反応しています。

現在飼育中の数コロニーは、すべて海外の知人が去年から飼育をしているコロニーで、全コロニーで卵、幼虫、繭がたくさんあり、働きアリが続々と羽化してきています。
全コロニーに交尾済みの女王役がいる証拠です。
2014年11月25日

クワガタアリの女王アリの腹部先端から毒針が出ています。
毒針で刺そうと威嚇しているのではなく、実は産卵しようとしているのです。
毒針を持つハリアリなどは、産卵するときに必ず毒針も出てきます。

以前紹介したオキナワアギトアリの産卵でも、やはり毒針が出ています。

徐々に卵が出てきました。

産卵した卵は、腹部を曲げて女王が自らアゴで取ることもあれば、周りの働きアリが受け取ったり、その場に落とすこともあります。
アリを飼育していると、野外では見ることの難しい産卵の瞬間も簡単に見ることができます。
見慣れてくると、女王が産む兆候のようなものも分かってくると思います。
腹部を少し高く持ち上げたり、後ろ脚で腹部を触ったり、腹部先端を舐めたりしているときは産卵直前のことが多いです。
2014年11月18日
トゲオオハリアリには体型で区別できる女王アリはいません。
働きアリの中の1匹がオスと交尾をして女王役となるのです。

東南アジア産のトゲオオハリアリの女王役。
胸部に女王役の証拠でもある翅芽痕が付いています。
トゲオオハリアリの仲間は、毒針で小昆虫などを捕食する肉食性ですが、クワガタアリのように完全肉食性ではなく甘いエサも好みますので、飼育をするときは昆虫以外にも時々アントサプリなどの甘いエサも与えます。
トゲオオハリアリはそ嚢を持たないため、液体のエサを与えると、表面張力を利用してアゴの間に滴を挟んで巣に運びます。
働きアリの中の1匹がオスと交尾をして女王役となるのです。

東南アジア産のトゲオオハリアリの女王役。
胸部に女王役の証拠でもある翅芽痕が付いています。
トゲオオハリアリの仲間は、毒針で小昆虫などを捕食する肉食性ですが、クワガタアリのように完全肉食性ではなく甘いエサも好みますので、飼育をするときは昆虫以外にも時々アントサプリなどの甘いエサも与えます。
トゲオオハリアリはそ嚢を持たないため、液体のエサを与えると、表面張力を利用してアゴの間に滴を挟んで巣に運びます。
2014年11月17日
2014年04月17日
世界にはすごいアギトアリがいます。

世界最大級のアギトアリ。
南米に生息するキノボリアギトアリです。

大きさは2cmと、日本のオキナワアギトアリの倍です。
アゴが長くて、体や脚が細長いのが特徴です。
アギトアリの仲間は熱帯に様々な種類が生息していて、そのほとんどは地上性となりますが、この種類は樹上性なのです!
木の上で生活をするアギトアリです。
樹上と言っても、木の幹に棲んでいるのではなく、木の幹に着生するブロメリアなどの根元に巣を作ります。
これらの着生植物の根元付近は、フカフカした土のようなもので厚く覆われていて、様々なアリや虫が入り込みます。

アゴを開いて威嚇する女王アリ。

それにしても巨大なアギトアリです。

世界最大級のアギトアリ。
南米に生息するキノボリアギトアリです。

大きさは2cmと、日本のオキナワアギトアリの倍です。
アゴが長くて、体や脚が細長いのが特徴です。
アギトアリの仲間は熱帯に様々な種類が生息していて、そのほとんどは地上性となりますが、この種類は樹上性なのです!
木の上で生活をするアギトアリです。
樹上と言っても、木の幹に棲んでいるのではなく、木の幹に着生するブロメリアなどの根元に巣を作ります。
これらの着生植物の根元付近は、フカフカした土のようなもので厚く覆われていて、様々なアリや虫が入り込みます。

アゴを開いて威嚇する女王アリ。

それにしても巨大なアギトアリです。
2014年02月12日
2013年09月28日

ヤマトシロアリReticulitermes speratus の群れ。
松の枯れ木などの樹皮を剥がすとよく見る光景です。

そして、同じ朽木にオオハリアリPachycondyla chinensisが巣を作っていることが多く、シロアリに出会うと毒針で刺して巣に運んでいきます。
同じ朽木で暮らしていて、普段どのように住み分けて、どの程度のシロアリが捕食されているのかが気になるところです。

巣の中のオオハリアリの幼虫を見たところ、口元に置かれていたのはシロアリの頭部でした。
このことからも、シロアリは普段から捕食されていることが分かります。



次から次へと狩られるシロアリ。
体が柔らかいシロアリは、オオハリアリの大アゴと毒針で簡単に捕らえられてしまうのです。
しかしシロアリもやられっぱなしではありません!

敵と戦うことが役目の兵隊シロアリです。
硬く巨大な頭部と、鋭く長いアゴを持ちます。
実はシロアリの噛む力はとても強く、ヤマトシロアリは小型なので人が噛まれてもたいしたことはありませんが、東南アジアなどの生息する1〜1.5cmもあるオオキノコシロアリなどに噛まれると、一瞬で皮膚を切り裂かれます。
その痛みは、同じ大きさのアリに噛まれたときの比ではありません。
小型なヤマトシロアリも、オオハリアリにとっては自分よりも大きいので、もし噛まれたらダメージの大きさはかなりのものです。

ヤマトシロアリを捕らえたオオハリアリですが、兵隊シロアリが反撃にやってきました。
このオオハリアリ、シロアリにやられたのかは分かりませんが、足が何本が欠けていますね。
それでも狩をする姿に、強い生命力を感じます。

シロアリに反撃されました。
獲物を捕食するのも、日々命がけです。
2013年07月09日
沖縄に生息する、日本最大のハリアリ亜科であるトゲオオハリアリには、体型で区別できる女王という階級がありません。
すべての個体が発達した卵巣を持ち、産卵することができるのです。
しかしアミメアリのように、単為生殖によって繁殖をするわけではなく、コロニーの中で1匹だけがオスと交尾をしてメス(働きアリ)になる有精卵を生むことができるのです。
体型では区別できなくても、この女王役を見分ける事はできます。

上が働きアリ役で、下がオスと交尾をした女王役の個体です。
何が違うかお分かりでしょうか?
※色が異なって見えるのは、使用しているレンズやストロボが異なるためで実際は同じ色です。
胸部(矢印)に、うっすら赤いかさぶたのような物がありますが、これがあるのが女王役の証拠なのです。
上の働きアリ役の胸部は、黒く窪んでいます。
これは翅芽痕(しがこん)と呼ばれるもので、羽化した時はすべての個体が持っているのですが、その巣にすでに女王役個体がいる場合は、羽化直後に他の仲間たちに翅芽痕を切り取られてしまうのです。
その他に、女王役は働きアリよりも腹部が若干大きい事が多いです。

翅芽痕の拡大写真。

この写真に写っている中心の個体の胸部には赤い翅芽痕がありますが、周りの働きアリたちに足や体を噛まれています。
複数の仲間に噛み付かれ、押さえつけてから切り取るのです。
これが翅芽痕切り取りの儀式で、この巣にはすでに女王役がいるため、切り取られようとしているのです。
知らずに見ると、仲間同士で喧嘩をしているように見えます。
このように切り取られた個体は、オスと交尾することなく一生働きアリとして生きていくのです。
運よく?巣に女王役個体がいなかった場合、この翅芽痕は切り取られず、フェロモンでオスを誘って交尾をして女王役へとなれるのです。
翅芽痕は、このように写真で見ると赤くて分かりやすいのですが、肉眼で見るのはかなり困難で、特に野外で採集するときに見分けることはできません。
そのため、せっかく採集しても女王役が採れていないこともあります。
持ち帰ってから、撮影をしたり、実体顕微鏡を使って女王役を探すのです。
女王役が採れていない場合でも、飼育をしていると働きアリたちがどんどん産卵をします。
この卵はすべて無性卵ですのでオスアリとなります。
女王役がいる場合でも、働きアリが産卵をしているようで頻繁にオスが現れます。
今のところ、飼育下で計画的に女王役とオスを誕生させ、交尾をさせてコロニーを殖やすことに成功している唯一のアリです。
すべての個体が発達した卵巣を持ち、産卵することができるのです。
しかしアミメアリのように、単為生殖によって繁殖をするわけではなく、コロニーの中で1匹だけがオスと交尾をしてメス(働きアリ)になる有精卵を生むことができるのです。
体型では区別できなくても、この女王役を見分ける事はできます。

上が働きアリ役で、下がオスと交尾をした女王役の個体です。
何が違うかお分かりでしょうか?
※色が異なって見えるのは、使用しているレンズやストロボが異なるためで実際は同じ色です。
胸部(矢印)に、うっすら赤いかさぶたのような物がありますが、これがあるのが女王役の証拠なのです。
上の働きアリ役の胸部は、黒く窪んでいます。
これは翅芽痕(しがこん)と呼ばれるもので、羽化した時はすべての個体が持っているのですが、その巣にすでに女王役個体がいる場合は、羽化直後に他の仲間たちに翅芽痕を切り取られてしまうのです。
その他に、女王役は働きアリよりも腹部が若干大きい事が多いです。

翅芽痕の拡大写真。

この写真に写っている中心の個体の胸部には赤い翅芽痕がありますが、周りの働きアリたちに足や体を噛まれています。
複数の仲間に噛み付かれ、押さえつけてから切り取るのです。
これが翅芽痕切り取りの儀式で、この巣にはすでに女王役がいるため、切り取られようとしているのです。
知らずに見ると、仲間同士で喧嘩をしているように見えます。
このように切り取られた個体は、オスと交尾することなく一生働きアリとして生きていくのです。
運よく?巣に女王役個体がいなかった場合、この翅芽痕は切り取られず、フェロモンでオスを誘って交尾をして女王役へとなれるのです。
翅芽痕は、このように写真で見ると赤くて分かりやすいのですが、肉眼で見るのはかなり困難で、特に野外で採集するときに見分けることはできません。
そのため、せっかく採集しても女王役が採れていないこともあります。
持ち帰ってから、撮影をしたり、実体顕微鏡を使って女王役を探すのです。
女王役が採れていない場合でも、飼育をしていると働きアリたちがどんどん産卵をします。
この卵はすべて無性卵ですのでオスアリとなります。
女王役がいる場合でも、働きアリが産卵をしているようで頻繁にオスが現れます。
今のところ、飼育下で計画的に女王役とオスを誕生させ、交尾をさせてコロニーを殖やすことに成功している唯一のアリです。
2013年07月06日
2013年06月29日
受精した有精卵から生まれるメスと、無性卵から生まれるオス。
アリの雌雄は、種類によっては同種とは思えないほど姿かたちが異なる場合があります。
ハリアリ亜科のトゲオオハリアリ、オキナワアギトアリ、クワガタアリの雌雄をご紹介します。

トゲオオハリアリDiacamma sp.のメス。
このアリは外見で区別できる女王アリは存在せず、働きアリの中の1匹がオスと交尾をして女王役となります。

これがトゲオオハリアリのオスです。
まるでハチのような姿で、色もまったく異なるため同種とは思えません。
実際、飼育をしていてオスが羽化すると、「ハチのような虫が羽化しましたが何でしょうか?」といった質問を頂く事があります。

交尾をするトゲオオハリアリ。

まるでクワガタのような長いアゴを持つオキナワアギトアリOdontomachus kuroiwaeのメス。
こんな長いアゴを持ったアリのオスなら、きっとアゴが長いはず!と思いきや・・・。

オキナワアギトアリのオス。
こちらもハチのような姿です。
しかも、トゲオオハリアリとオキナワアギトアリは姿がまったく異なるアリですが、何故かオス同士はとてもよく似ています。
この色や形は、多くのハリアリが持つ共通の特徴なのです。

オキナワアギトアリとは思えないような短いアゴ。
オスの生きる目的はメスと交尾をすることだけ!
狩りをすることもないので長いアゴなど必要ないのです。
大空に飛び立ち、交尾相手を見つけなければいけないので、長い触角と、大きな複眼と単眼を持っています。

東南アジアに生息するハリアリ亜科のクワガタアリHarpegnathos venator。

クワガタアリのオス。
色は黒いですが、やはりメスとはまったく異なる外見。

大きな複眼と単眼で、アゴは短く、オス同士はとてもよく似た特徴です。
アリの雌雄は、種類によっては同種とは思えないほど姿かたちが異なる場合があります。
ハリアリ亜科のトゲオオハリアリ、オキナワアギトアリ、クワガタアリの雌雄をご紹介します。

トゲオオハリアリDiacamma sp.のメス。
このアリは外見で区別できる女王アリは存在せず、働きアリの中の1匹がオスと交尾をして女王役となります。

これがトゲオオハリアリのオスです。
まるでハチのような姿で、色もまったく異なるため同種とは思えません。
実際、飼育をしていてオスが羽化すると、「ハチのような虫が羽化しましたが何でしょうか?」といった質問を頂く事があります。

交尾をするトゲオオハリアリ。

まるでクワガタのような長いアゴを持つオキナワアギトアリOdontomachus kuroiwaeのメス。
こんな長いアゴを持ったアリのオスなら、きっとアゴが長いはず!と思いきや・・・。

オキナワアギトアリのオス。
こちらもハチのような姿です。
しかも、トゲオオハリアリとオキナワアギトアリは姿がまったく異なるアリですが、何故かオス同士はとてもよく似ています。
この色や形は、多くのハリアリが持つ共通の特徴なのです。

オキナワアギトアリとは思えないような短いアゴ。
オスの生きる目的はメスと交尾をすることだけ!
狩りをすることもないので長いアゴなど必要ないのです。
大空に飛び立ち、交尾相手を見つけなければいけないので、長い触角と、大きな複眼と単眼を持っています。

東南アジアに生息するハリアリ亜科のクワガタアリHarpegnathos venator。

クワガタアリのオス。
色は黒いですが、やはりメスとはまったく異なる外見。

大きな複眼と単眼で、アゴは短く、オス同士はとてもよく似た特徴です。
2013年06月25日
アリの巣の生きもの図鑑のP.144でも紹介されていますが、オオズアリPheidole nodaやツヤオオズアリPheidole megacephalaの巣を調べると、サナギの腹部裏に張り付くヨナグニオオイトダニMacrodinychus yonakuniensisを見つけることができます。

オオズアリのサナギに張り付くヨナグニオオイトダニ。
このダニは幼虫時代に、無抵抗のアリのサナギに張り付いて体液を吸っていて、コロニーによってはかなりの数のダニに寄生されています。
寄生されたアリのサナギの多くは、体液を吸われて死んでしまいます。

脱皮をして成虫になると、アリの巣を出て自由生活を始めます。
飼育したところ、死んだ虫などを与えると捕食して、寿命もとても長いことが判明しました。
しかし産卵は観察できなかったので、どこに産卵して、どの段階でアリに寄生するのかなど詳しい生態は不明です。
マレーシアでは近縁種をヒゲナガアメイロアリの一種から見つけています。

オオズアリに寄生する種類とは別種ですが、同じくサナギの腹部裏に寄生します。

成虫マレーシア産。
去年の夏ごろに、沖縄で採集したハシリハリアリLeptogenys confuciiを飼育していたところ、ケース内を徘徊するヨナグニオオイトダニの仲間と思われるダニを発見したのです。
採集したときに混じってしまった可能性もあったのですが、この飼育ケースは、土などは一切入れていない石膏ケースだったため、もしかしたらハシリハリアリのサナギに寄生していた可能性もありました。
しかし確実ではなかったため、その後もハシリハリアリを見つけるたびに探すようにしていました。

過去にダニに寄生したダニと紹介したのが、この時のダニです。
オオズアリに寄生する種類よりも大型でした。
そして今回の沖縄で予想外のアリから発見する事ができたのです!

オオハリアリPachycondyla chinensisのサナギに寄生していたのです!

本来ハリアリの仲間は繭を作るため、サナギに寄生しているダニを探すのは困難ですが、飼育をしていると働きアリが繭を破ってサナギがむき出しになることがあり、そのおかげで発見する事ができました。

美しいですね。
寄生場所は、オオズアリやヒゲナガアメイロアリの種の腹部裏とは異なり、胸部裏に寄生しています。
今のところ2匹を見つけましたが、どちらも同じ場所に寄生しています。

2種のヨナグニオオイトダニを並べて比較してみました。
左がオオズアリ寄生で、右がオオハリアリ寄生です。
これらは、大きさ、形、寄生場所などから別種である事がわかり、過去にハシリハリアリから見つけた種類にとてもよく似ています。
もしかすると、この大型種はハリアリ専門に寄生する種類なのかもしれません。
今後も調べれば、他のアリからも見つかる可能性がありそうです。
この撮影をした数日後に、無事に羽化しました。

やはり過去にハシリハリアリから見つけた種類に大きさや形がとてもよく似ています。

オオズアリのサナギに張り付くヨナグニオオイトダニ。
このダニは幼虫時代に、無抵抗のアリのサナギに張り付いて体液を吸っていて、コロニーによってはかなりの数のダニに寄生されています。
寄生されたアリのサナギの多くは、体液を吸われて死んでしまいます。

脱皮をして成虫になると、アリの巣を出て自由生活を始めます。
飼育したところ、死んだ虫などを与えると捕食して、寿命もとても長いことが判明しました。
しかし産卵は観察できなかったので、どこに産卵して、どの段階でアリに寄生するのかなど詳しい生態は不明です。
マレーシアでは近縁種をヒゲナガアメイロアリの一種から見つけています。

オオズアリに寄生する種類とは別種ですが、同じくサナギの腹部裏に寄生します。

成虫マレーシア産。
去年の夏ごろに、沖縄で採集したハシリハリアリLeptogenys confuciiを飼育していたところ、ケース内を徘徊するヨナグニオオイトダニの仲間と思われるダニを発見したのです。
採集したときに混じってしまった可能性もあったのですが、この飼育ケースは、土などは一切入れていない石膏ケースだったため、もしかしたらハシリハリアリのサナギに寄生していた可能性もありました。
しかし確実ではなかったため、その後もハシリハリアリを見つけるたびに探すようにしていました。

過去にダニに寄生したダニと紹介したのが、この時のダニです。
オオズアリに寄生する種類よりも大型でした。
そして今回の沖縄で予想外のアリから発見する事ができたのです!

オオハリアリPachycondyla chinensisのサナギに寄生していたのです!

本来ハリアリの仲間は繭を作るため、サナギに寄生しているダニを探すのは困難ですが、飼育をしていると働きアリが繭を破ってサナギがむき出しになることがあり、そのおかげで発見する事ができました。

美しいですね。
寄生場所は、オオズアリやヒゲナガアメイロアリの種の腹部裏とは異なり、胸部裏に寄生しています。
今のところ2匹を見つけましたが、どちらも同じ場所に寄生しています。

2種のヨナグニオオイトダニを並べて比較してみました。
左がオオズアリ寄生で、右がオオハリアリ寄生です。
これらは、大きさ、形、寄生場所などから別種である事がわかり、過去にハシリハリアリから見つけた種類にとてもよく似ています。
もしかすると、この大型種はハリアリ専門に寄生する種類なのかもしれません。
今後も調べれば、他のアリからも見つかる可能性がありそうです。
この撮影をした数日後に、無事に羽化しました。

やはり過去にハシリハリアリから見つけた種類に大きさや形がとてもよく似ています。
2013年04月14日
今から10年近く前の話ですが、石垣島でツヤオオハリアリのコロニーを採集して飼育をしたいたところ、繭から羽化してきたのはアリではなく小さなハチでした。
この時は、特に気にしていなかったのですが、それから数年後に小松さんに写真を見てもらったところアリヤドリコバチの仲間であることが判明しました。
アリヤドリコバチの仲間は、日本にも数種類が知られていて、海外でも多数の種類が生息しているのですが、そのほとんどが成虫でしか発見されたことがなく、アリの巣の中での生活はもちろん、その寄種すら分かっていないものがほとんどで、このようにアリの巣から見つかる事自体が稀な事なのです。
その後、追加個体を見つけようと探したのですが、なかなか出会うことができませんでした。
「アリの巣の生きもの図鑑」を作る話を聞いたとき、ぜひこのアリヤドリコバチも載せたくて必死になって探しました。
そして予想外の島で再び見つけることができたのです。。
2011年9月に行った奄美大島でした。
土の中にあるツヤオオハリアリの巣を見たところ、なんとメス成虫が1匹だけいたのです!!
久々の発見に大興奮したのと、今まで石垣島でしか見つけたことがなく、沖縄本島では見つけていなかったので、まさか奄美大島で見つかるとは思っていなかったので驚きました。
この時はカメラを持っていなかったので、大急ぎで車に戻りカメラを取って戻ったところ、同じ場所から動いていなかったので撮影することができました。

奄美大島で見つけたヒメアリヤドリコバチNeolosbanus sp.のメス。
その後も、2011年11月の石垣島で、アリの繭の中でサナギになっていた多数のヒメアリヤドリコバチを見つけることができ、無事に「アリの巣の生きもの図鑑」P.78でも紹介することができました。

ヒメアリヤドリコバチのサナギを、まるで自分たちのサナギのように大切に運ぶ働きアリ。

すでに羽化して成虫になっています。
アリの幼虫が作った繭の中にいることから、アリの幼虫が繭を作りサナギになる頃までは、体内でおとなしくしていて、その後、アリの幼虫を食べ尽くしてサナギになるものと思われます。

働きアリは、羽化したばかりの成虫も大切に扱います。
しかし羽化後、2〜3日経つとアリに攻撃をされてしまい、飼育ケースに入れたままではアリに捕食されてしまいます。
目安としては、羽化後しばらくは触角に抜け殻が残っていますが、これが付いている間はアリに攻撃をされることはないようです。

触角に抜け殻が残っているオス。

触角に抜け殻が残っているメス。

抜け殻が取れた個体。
東南アジアには、オスの触覚がクシ状になるアリヤドリコバチなどもいます。


フィリピン産アリヤドリコバチの雌雄。
上がメスで、下がオス。

マレーシア産アリヤドリコバチ。
これらも、いつかアリの巣から見つけてみたいです。
この時は、特に気にしていなかったのですが、それから数年後に小松さんに写真を見てもらったところアリヤドリコバチの仲間であることが判明しました。
アリヤドリコバチの仲間は、日本にも数種類が知られていて、海外でも多数の種類が生息しているのですが、そのほとんどが成虫でしか発見されたことがなく、アリの巣の中での生活はもちろん、その寄種すら分かっていないものがほとんどで、このようにアリの巣から見つかる事自体が稀な事なのです。
その後、追加個体を見つけようと探したのですが、なかなか出会うことができませんでした。
「アリの巣の生きもの図鑑」を作る話を聞いたとき、ぜひこのアリヤドリコバチも載せたくて必死になって探しました。
そして予想外の島で再び見つけることができたのです。。
2011年9月に行った奄美大島でした。
土の中にあるツヤオオハリアリの巣を見たところ、なんとメス成虫が1匹だけいたのです!!
久々の発見に大興奮したのと、今まで石垣島でしか見つけたことがなく、沖縄本島では見つけていなかったので、まさか奄美大島で見つかるとは思っていなかったので驚きました。
この時はカメラを持っていなかったので、大急ぎで車に戻りカメラを取って戻ったところ、同じ場所から動いていなかったので撮影することができました。

奄美大島で見つけたヒメアリヤドリコバチNeolosbanus sp.のメス。
その後も、2011年11月の石垣島で、アリの繭の中でサナギになっていた多数のヒメアリヤドリコバチを見つけることができ、無事に「アリの巣の生きもの図鑑」P.78でも紹介することができました。

ヒメアリヤドリコバチのサナギを、まるで自分たちのサナギのように大切に運ぶ働きアリ。

すでに羽化して成虫になっています。
アリの幼虫が作った繭の中にいることから、アリの幼虫が繭を作りサナギになる頃までは、体内でおとなしくしていて、その後、アリの幼虫を食べ尽くしてサナギになるものと思われます。

働きアリは、羽化したばかりの成虫も大切に扱います。
しかし羽化後、2〜3日経つとアリに攻撃をされてしまい、飼育ケースに入れたままではアリに捕食されてしまいます。
目安としては、羽化後しばらくは触角に抜け殻が残っていますが、これが付いている間はアリに攻撃をされることはないようです。

触角に抜け殻が残っているオス。

触角に抜け殻が残っているメス。

抜け殻が取れた個体。
東南アジアには、オスの触覚がクシ状になるアリヤドリコバチなどもいます。


フィリピン産アリヤドリコバチの雌雄。
上がメスで、下がオス。

マレーシア産アリヤドリコバチ。
これらも、いつかアリの巣から見つけてみたいです。

















