ヒメサスライアリ亜科
2017年03月29日

マレーシアで見つけたヒメサスライアリの一種の引っ越し行列。

幼虫たちをアゴでくわえて新居へ移動中です。
ヒメサスライアリは移動期は毎日引っ越しをするので、ヒメサスライにとっては数十万匹の家族全員で引っ越しをするのは日常的なことです。
うちも最近、家族四人全員で引っ越しをしましたが、あまりに大変だったのでもう二度としたくないと思ったのに、アリたちは毎日引っ越すなんてすごいですね(笑)

そんな引っ越しをするアリたちを見ると、全員が大切な妹である幼虫を運んでいるのですが、その運び方(咥え方)は正確に決まっているようです。

全個体がこのように幼虫を仰向けにして、頭部の少し下辺りをアゴで咥えます。

ちなみにサナギを運ぶ時も咥え方は決まっていて、仰向けにして腹部をアゴで咥えます。
アリは仲間をアゴで咥えて運ぶこともあり、この時の咥え方も種類によって決まっています。

クロオオアリなどのヤマアリの仲間は、このように向い合せになります。

デコメハリアリはこのように背負うように運びます。
フタフシアリもこの形で仲間を運びます。

すべてのアリが運び方が決まっているのかと言うと、実はそうではなく、中には適当に咥えて運ぶアリもいます。
そのアリの一つがこちらのツムギアリです。
ツムギアリの仲間の運び方については、またご紹介します。
アリの幼虫や仲間を運び方を、種類ごとに調べてみるのも面白そうです。
2017年02月19日

少し暗くなり始めた夕方、マレーシアでヒメサスライアリの一種の引っ越し行列を見つけました。

ハネカクシなどの好蟻性昆虫を探すため観察をしていると、行列の近くで怪しく輝く眼を持つ昆虫を発見。

行列近くでアリの行列をじっと見つめています。

以前も紹介しましたが、こちらはアリを捕食する肉食性のベンガルバエの一種です。
とても大きな種類で、おそらくこの種はアリの中でもヒメサスライアリを専門に襲うのではないかと思います。

飛び立ったベンガルバエはアリの行列めがけて近づきます。

ホバリングしながらアリに近づきます。

ヒメサスライアリには眼はないので見えていませんが、ハエが羽ばたく風圧で危険を察知した働きアリが立ち上がって威嚇しています。

獲物を狙うことに時間をかけてしまうと、行列サイドに護衛役の働きアリの数が増えてくるので狩りがしにくくなります。

そして、こちらが狩りに成功する直前の写真です。
ベンガルバエが狙うのはアリが運ぶ幼虫です。

幼虫を奪い取ることに成功すると、近くの枝や葉に止まって捕食を始めます。

口を刺して体液を吸っているようで、たった数秒で幼虫はシワシワになってポイっと捨てられます。

このベンガルバエの大きさに対して、ヒメサスライアリの幼虫は小さいので、何度も繰り返し狩りを行います。
そんな狩りを観察していると、あることに気が付きました。
ベンガルバエが狩りをすると幼虫だけを奪い取るのです。
アリは幼虫をアゴで咥えているので、普通に考えればアリも一緒に付いてくるはずなのです。
時々、アリも一緒に付いてくることもあるのですが、そんな時は前脚で払い落したり、または幼虫の体液を吸った後に食べカスと共に捨てます。
しかし、幼虫だけを上手く奪い取ることの方が多いのが不思議でした。
撮影をした写真を見返したら、その理由が判明したのです。
ベンガルバエはすごい技を持っていたのです。

もう一度、先ほどのアリを襲う直前の写真をご覧ください。
口の両脇に、前脚がありますが、これがアリから幼虫を奪い取る重要ポイントだったのです。
その瞬間が↓こちら。

ピントも合わずブレまくっていますが、何をしているのかは分かります。
口で幼虫を奪うのと同時に、口の横に置いた前脚でアリを地面に押さえつけて幼虫だけを力づくで奪い取っていたのです!!

もう少し分かりやすい写真。
地面に押さえつけられるアリが見えます。
ベンガルバエのすごい技を知ることができました。
ものすごい早業で肉眼は分からないので、撮影しないと気が付かないことでした。
この日は夕方薄暗くるとベンガルバエは狩りをやめました。
おそらく視力に頼っているので、暗くなると狩りができないのだと思います。
ヒメサスライアリにしてもアシナガキアリにしても、主に暗くなってから引っ越しをしますが、それはこのような天敵から襲われないようにするためかもしれません。

同じ地域でアシナガキアリの巣で、これより一回り小さな種類も見つけています。
種類ごとに襲うアリの好みもあるのかもしれません。

ちなみに日本にも石垣島や西表島に生息していて、アリの巣やシロアリの巣を掘っていると、どこからともなく集まってきて、アリの幼虫やシロアリを捕食します。
上の写真は石垣島でクビナガアシナガアリの幼虫を捕食したところです。
去年は、石垣島でアシナガキアリの巣の入り口で待ち伏せをしているのを観察しています。
アシナガキアリは頻繁に引っ越しをするので、幼虫を奪うには最適なアリなのでしょう。
2015年12月31日

マレーシアの森で、日本の種にそっくりな小型ヒメサスライアリの行列を見つけました。
しかも、その行列をよく見ると、狩りの行列ではなく引っ越し行列だったのです!!
上の写真を見ると、中心の個体は丸い形の幼虫を運んでいますが、これは獲物である他のアリの幼虫ですが、その他の個体が運んでいる細長い幼虫はヒメサスライアリの幼虫で、これを運んでいるということは間違いなく引っ越しなのです。

このタイプの小型ヒメサスライアリは地中性が強く、行列は枯葉の下や地中など見えない場所を通ることが多く、引っ越し行列は滅多に出会えません。
これは女王や好蟻性昆虫を見つける最大のチャンス!

ちなみに、こちらが沖縄のヒメサスライアリです。
大きさや形は、本当に日本のヒメサスライアリにそっくりです。
行列の観察を始めてわずか数分。

えっ!?え〜〜〜〜!!
なんといきなり女王様が現れたのです。
このタイプの女王を初めて見れて感動!!
まだ見たことのない、日本のヒメサスライアリの女王アリもこんな姿をしているのでしょうか。


その後も行列を観察していると、シミが現れました!
さらに嬉しいことに、行列の最後には複数のハネカクシが現れたのです!
ものすごく早く走るハネカクシで、嬉しさによる興奮と、逃がしてはいけないという緊張で、来た瞬間吸虫管を持つ手が震えましたが、無事に採集することができました。
日本のヒメサスライアリは何度も見つけていますが、未だ引っ越し行列は一度も見たことがありません。
ヒメサスライアリのビバークや引っ越し行列から、まだ誰も見たことのない女王アリや好蟻性生物を見つけ出すのが沖縄での最大の目標でもあります。
今回似たような種の引っ越し行列から、シミやハネカクシを見つけられたことで、日本のヒメサスライアリにも、もしかしたらハネカクシなどがいるのではないかと夢が膨らみます。
2015年03月12日
久々のマレーシアは本当に楽しい。
毎日発見の連続です。
ジャングルでの虫探しはもちろん、久々に丸山さんと小松さんとの海外なので最高に楽しいです。

東南アジアに来るときに、一番楽しみにしている大型ヒメサスライアリを昨晩見つけることができました。
狩りの行列を見つけて辿ったところ、樹上の枯葉が重なった隙間に巣の中心部であるビバークを発見。
そして、しばらくしたら引っ越しが始まったので、最初から最後まで引っ越しを観察することができました。
しかも、丸山さんに見てもらったら、とても珍しい種のようです。

前半にハネカクシが多数現れ、その後女王アリも登場!
しかも可愛いオマケが背中に乗っていました。
とても大きなコロニーで、引っ越しは午後10時から午前3時まで5時間かかりました。
最高に興奮した夜になりました。

引っ越しをすべて見終わってから、宿に戻る途中に見つけた巨大なアオハブ。
真っ暗なジャングルで、エメラルドグリーンに輝く姿が美しかったです。
毎日発見の連続です。
ジャングルでの虫探しはもちろん、久々に丸山さんと小松さんとの海外なので最高に楽しいです。

東南アジアに来るときに、一番楽しみにしている大型ヒメサスライアリを昨晩見つけることができました。
狩りの行列を見つけて辿ったところ、樹上の枯葉が重なった隙間に巣の中心部であるビバークを発見。
そして、しばらくしたら引っ越しが始まったので、最初から最後まで引っ越しを観察することができました。
しかも、丸山さんに見てもらったら、とても珍しい種のようです。

前半にハネカクシが多数現れ、その後女王アリも登場!
しかも可愛いオマケが背中に乗っていました。
とても大きなコロニーで、引っ越しは午後10時から午前3時まで5時間かかりました。
最高に興奮した夜になりました。

引っ越しをすべて見終わってから、宿に戻る途中に見つけた巨大なアオハブ。
真っ暗なジャングルで、エメラルドグリーンに輝く姿が美しかったです。
2015年01月24日
ヨコヅナアリの結婚飛行を観察した続きです。



夜は熟睡している昼行性のトカゲたち。
上からオス、メス、幼体?

夜行性のイトコホソユビヤモリ Cyrtodactylus consobrinusの幼体。



様々な生き物を見ることができます。
地面を素早く走るヒメサスライアリの一種を発見!

小型で脚が長くて見慣れない種類です。


狩りの行列で、獲物であるアリの幼虫を運んでいます。

成虫のアリも運んでいました。
すごい速度で移動しています。
好蟻性昆虫がいないか、しばらく見ていましたが何も見つかりませんでした。
巣の中心部を探すために追いかけましたが、それも発見できず・・・。
つづく・・・
10月のマレーシア調査 その1 オオトカゲが暮らす大学
10月のマレーシア調査 その2 森に到着!
10月のマレーシア調査 その3 ヨコヅナアリの行列
10月のマレーシア調査 その4 珍ヒメサスライアリ発見!
10月のマレーシア調査 その5 シロアリそっくりハネカクシ
10月のマレーシア調査 その6 川でヒメサスライアリの行列探し
10月のマレーシア調査 その7 ヨコヅナアリの結婚飛行
10月のマレーシア調査 その8 ヒメサスライアリの行列



夜は熟睡している昼行性のトカゲたち。
上からオス、メス、幼体?

夜行性のイトコホソユビヤモリ Cyrtodactylus consobrinusの幼体。



様々な生き物を見ることができます。
地面を素早く走るヒメサスライアリの一種を発見!

小型で脚が長くて見慣れない種類です。


狩りの行列で、獲物であるアリの幼虫を運んでいます。

成虫のアリも運んでいました。
すごい速度で移動しています。
好蟻性昆虫がいないか、しばらく見ていましたが何も見つかりませんでした。
巣の中心部を探すために追いかけましたが、それも発見できず・・・。
つづく・・・
10月のマレーシア調査 その1 オオトカゲが暮らす大学
10月のマレーシア調査 その2 森に到着!
10月のマレーシア調査 その3 ヨコヅナアリの行列
10月のマレーシア調査 その4 珍ヒメサスライアリ発見!
10月のマレーシア調査 その5 シロアリそっくりハネカクシ
10月のマレーシア調査 その6 川でヒメサスライアリの行列探し
10月のマレーシア調査 その7 ヨコヅナアリの結婚飛行
10月のマレーシア調査 その8 ヒメサスライアリの行列
2014年12月02日

度々紹介している沖縄本島に生息するチャイロヒメサスライアリ。
アリを専門に捕食するアリ。
まるで南米のグンタイアリのように集団で狩りを行い、定期的に家族ごと引っ越しながら生活をしています。
夜行性と言われていますが、明るい時間帯にも狩りを行います。
ヒメサスライアリの仲間は東南アジアに多くの種類が生息していて、海外では様々な種類の女王アリを見つけているのですが、日本のヒメサスライアリは未だ女王アリを発見できていません。
この種類は地中性が強く、見つけるのは難しいです。
しかし、慣れてくると行列を見つけるのはそれほど難しくはないのですが、巣の中心部を見つけるのがとにかく難しいのです。
沖縄で最も見つけたい生物が、このヒメサスライアリの女王アリです。
実は沖縄に行き始めたばかりの頃に一度だけ巣の中心部を掘りあてたことがあります。当時はヒメサスライアリのことも良く知らなかったので、ずいぶん細長い変わった形の幼虫だなと思った程度で採集もしませんでした。
あの時、しっかり掘らなかったことを未だに後悔しています。
そんなヒメサスライアリは、日本には沖縄にチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicus、西表島にヒメサスライアリAenictus lifuiaeの2種が生息することになっていたのですが、実はヒメサスライアリAenictus lifuiaeの1種だったと判明したようです。
つまりチャイロヒメサスライアリという種類は、日本には存在しなかったのです・・・。

そんな、名前の変わったヒメサスライアリの行列。
前回の沖縄でも、狩りの場面を観察することができました。


行列を観察していると、次から次へと獲物であるアリの幼虫が運ばれてきます。

この時標的になったのは、主にリュウキュウアメイロアリです。

腕に登ってきたマダニの一種。
ヒメサスライアリの行列を観察する時は、数時間同じ場所に座っていることが多いので、ダニやブユなど吸血生物たちが集まってきます。



この日も行列を追いかけて巣の中心部を探しました。

行列は斜面の穴の中へと続いていました。
当然必死になって掘ったのですが、ここはただの通過点で、行列は再び地上に出て、そしてまた地中へと続いていて、最終的には堅すぎて掘れない場所へと続いていて掘るのを断念といういつものパターン。
東南アジアのヒメサスライアリは、異動時期であれば毎晩のように引越しをするので、日中に狩りの行列を見つけておき、夜に行くと引越し行列を見ることができるのですが、日本のヒメサスライアリは、今まで何度も同じ方法をしていても、一度も引越し行列を見つけられません。
夜に行っても、同じように狩りを続けているだけなのです。
引越し頻度が低いのか、それとも引越しの時ほど地表に出てくることがないのか。
一体いつになったら女王アリに出会えるのかな。
2014年02月13日
沖縄の夜の森で生き物を探している最中、ものすごい光景を見ることができました。

ヒゲナガアメイロアリParatrechina longicornisのコロニーが、巣のある地面から急斜面の崖を登っていたのです。
働きアリたちは卵、幼虫、サナギを運んでいたので、最初見た時は引越しをしているのかと思いました。
実際、このアリが引越しをしている場面を過去に何度か観察しています。

女王アリやオスまでもが出てきていました。
しかし、これはただの引越しではなかったのです。
巣のある地面を見たとき、なぜアリたちが移動をしているのかすぐに判明しました。

地面には数千匹はいるのではないかと思うほど大量のチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusがいたのです!
ブログを見て頂いている方はご存知かと思いますが、チャイロヒメサスライアリはアリを専門に捕食する肉食性のアリです。
標的となるアリたちにとっては、何年もかけて築き上げたコロニーが一瞬で滅ぼされる危険のある恐ろしい天敵です。
まるでグンタイアリのように移動しながら、片っ端から獲物を捕食します。
この時襲われていたのがヒゲナガアメイロアリの巣だったのです。
巣を襲撃された事で、ヒゲナガアメイロアリたちは巣を捨て逃げていたのです。

女王アリも捕食されてしまいまいたが、ヒゲナガアメイロアリは複数の女王が協力して巣を作る多雌性なので、他の女王が生き延びることができればコロニーの壊滅は防げます。


ヒゲナガアメイロアリたちは、チャイロヒメサスライアリから逃れるために、崖の上へ上へと登っていましたが、チャイロヒメサスライアリも逃げるアリを追って崖を登り始めたのです!
しかし、半地中性のチャイロヒメサスライアリは、崖を登るのはあまり得意ではないようで、追いかけるのを辞めて、地面で暮らす他のアリたちに標的を変更しました。

続いて標的になったのは、地中に巣を作っていたリュウキュウアメイロアリParatrechina ryukyuensisです。

主に幼虫やサナギを捕食するのですが、このように成虫のアリも捕食します。

働きアリたちは幼虫を巣から運び出していました。
すると、こんな珍しい場面を観察することができました。

この働きアリが運んでいるのは、アリの幼虫ではなく、アリの巣で暮らす好蟻性ウンカの幼虫です!
このウンカは、アメイロアリやケブカアメイロオオアリの巣から見つかり、危険が迫るとアリたちはアゴでくわえて安全な場所へ運ぶのは観察していましたが、実際に野外で天敵に襲われてこのような場面を見れたのは初めてです。

ちなみにこのウンカ、アリの巣から見つかるのが幼虫ばかりで、長い間正体が分からなかったのですが、2012年に飼育下で羽化させる事に成功して、ついに種類が判明しました。
羽化に成功した時は本当に嬉しかったです。
詳しくは「アリの巣の生きもの図鑑」P.111で紹介しています。

朽木の中に巣を作るキイロオオシワアリTetramorium nipponenseも襲われました。

朽木の中へ侵入してキイロオオシワアリの幼虫を運び出します。


サナギも捕らえられてしまいました。
動きの鈍いキイロシワアリたちは、巣を襲撃されてもヒゲナガアメイロアリのように逃げ回ることはせず、このまますべての幼虫やサナギを捕食されてしまうのかと思ったのですが、実はそうではありませんでした。


自分の頑丈な体の下に幼虫や卵を隠すことで攻撃を耐えたのです!
キイロオオシワアリはアメイロアリよりも大型で体が頑丈なため、チャイロヒメサスライアリは成虫のアリは襲いませんでした。
もちろん大半の幼虫たちは捕食されてしまったのですが、働きアリたちは命がけでわずかな幼虫たちを守りきったのです。
動きの素早いアメイロアリたちは巣を捨てることで、動きの遅いキイロオオシワアリは頑丈な体で攻撃を絶える事でコロニーの壊滅を防いだのです。
チャイロヒメサスライアリたちも、巣を壊滅させてしまっては獲物が少なくなってしまうので、生き延びてもらはないと困るはずです。
チャイロヒメサスライアリに、「巣は壊滅させないようにしよう」などと言った考えは一切ないはずですが、結果として獲物となるアリたちは様々な方法で生き延びる事で、お互いのバランスが保たれているのだと感じました。

一時的に捕らえた獲物を置く貯蔵場所には、アメイロアリ、シワアリ、ウメマツアリなど、数多くの獲物たちが置かれていました。
成虫のアリは、脚や触角や翅がすべて切り取られるのが特徴です。
チャイロヒメサスライアリの狩りに興味がある方は真夏の沖縄本島その4もご覧ください。
※沖縄と西表に二種生息されていたとされるヒメサスライアリが、実は同種だと判明したとの話を聞きました。
おわり・・・
夏の沖縄本島 その1 生き物が多い蒸し暑い夜
夏の沖縄本島 その2 襲撃されるヒゲナガアメイロアリ
夏の沖縄本島 その3 まるで戦場!ヒメサスライアリの狩り

ヒゲナガアメイロアリParatrechina longicornisのコロニーが、巣のある地面から急斜面の崖を登っていたのです。
働きアリたちは卵、幼虫、サナギを運んでいたので、最初見た時は引越しをしているのかと思いました。
実際、このアリが引越しをしている場面を過去に何度か観察しています。

女王アリやオスまでもが出てきていました。
しかし、これはただの引越しではなかったのです。
巣のある地面を見たとき、なぜアリたちが移動をしているのかすぐに判明しました。

地面には数千匹はいるのではないかと思うほど大量のチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusがいたのです!
ブログを見て頂いている方はご存知かと思いますが、チャイロヒメサスライアリはアリを専門に捕食する肉食性のアリです。
標的となるアリたちにとっては、何年もかけて築き上げたコロニーが一瞬で滅ぼされる危険のある恐ろしい天敵です。
まるでグンタイアリのように移動しながら、片っ端から獲物を捕食します。
この時襲われていたのがヒゲナガアメイロアリの巣だったのです。
巣を襲撃された事で、ヒゲナガアメイロアリたちは巣を捨て逃げていたのです。

女王アリも捕食されてしまいまいたが、ヒゲナガアメイロアリは複数の女王が協力して巣を作る多雌性なので、他の女王が生き延びることができればコロニーの壊滅は防げます。


ヒゲナガアメイロアリたちは、チャイロヒメサスライアリから逃れるために、崖の上へ上へと登っていましたが、チャイロヒメサスライアリも逃げるアリを追って崖を登り始めたのです!
しかし、半地中性のチャイロヒメサスライアリは、崖を登るのはあまり得意ではないようで、追いかけるのを辞めて、地面で暮らす他のアリたちに標的を変更しました。

続いて標的になったのは、地中に巣を作っていたリュウキュウアメイロアリParatrechina ryukyuensisです。

主に幼虫やサナギを捕食するのですが、このように成虫のアリも捕食します。

働きアリたちは幼虫を巣から運び出していました。
すると、こんな珍しい場面を観察することができました。

この働きアリが運んでいるのは、アリの幼虫ではなく、アリの巣で暮らす好蟻性ウンカの幼虫です!
このウンカは、アメイロアリやケブカアメイロオオアリの巣から見つかり、危険が迫るとアリたちはアゴでくわえて安全な場所へ運ぶのは観察していましたが、実際に野外で天敵に襲われてこのような場面を見れたのは初めてです。

ちなみにこのウンカ、アリの巣から見つかるのが幼虫ばかりで、長い間正体が分からなかったのですが、2012年に飼育下で羽化させる事に成功して、ついに種類が判明しました。
羽化に成功した時は本当に嬉しかったです。
詳しくは「アリの巣の生きもの図鑑」P.111で紹介しています。

朽木の中に巣を作るキイロオオシワアリTetramorium nipponenseも襲われました。

朽木の中へ侵入してキイロオオシワアリの幼虫を運び出します。


サナギも捕らえられてしまいました。
動きの鈍いキイロシワアリたちは、巣を襲撃されてもヒゲナガアメイロアリのように逃げ回ることはせず、このまますべての幼虫やサナギを捕食されてしまうのかと思ったのですが、実はそうではありませんでした。


自分の頑丈な体の下に幼虫や卵を隠すことで攻撃を耐えたのです!
キイロオオシワアリはアメイロアリよりも大型で体が頑丈なため、チャイロヒメサスライアリは成虫のアリは襲いませんでした。
もちろん大半の幼虫たちは捕食されてしまったのですが、働きアリたちは命がけでわずかな幼虫たちを守りきったのです。
動きの素早いアメイロアリたちは巣を捨てることで、動きの遅いキイロオオシワアリは頑丈な体で攻撃を絶える事でコロニーの壊滅を防いだのです。
チャイロヒメサスライアリたちも、巣を壊滅させてしまっては獲物が少なくなってしまうので、生き延びてもらはないと困るはずです。
チャイロヒメサスライアリに、「巣は壊滅させないようにしよう」などと言った考えは一切ないはずですが、結果として獲物となるアリたちは様々な方法で生き延びる事で、お互いのバランスが保たれているのだと感じました。

一時的に捕らえた獲物を置く貯蔵場所には、アメイロアリ、シワアリ、ウメマツアリなど、数多くの獲物たちが置かれていました。
成虫のアリは、脚や触角や翅がすべて切り取られるのが特徴です。
チャイロヒメサスライアリの狩りに興味がある方は真夏の沖縄本島その4もご覧ください。
※沖縄と西表に二種生息されていたとされるヒメサスライアリが、実は同種だと判明したとの話を聞きました。
おわり・・・
夏の沖縄本島 その1 生き物が多い蒸し暑い夜
夏の沖縄本島 その2 襲撃されるヒゲナガアメイロアリ
夏の沖縄本島 その3 まるで戦場!ヒメサスライアリの狩り
2013年12月25日
10月末に沖縄本島に行ってきました。
この時期としては気温が低く、とても寒かったです。
天気予報では今シーズン1番の寒さで、12月並の寒さとのことです。

森の中では、ヤンバルヤマナメクジの特大個体を数多く見つけることができました。
1年中みられるナメクジですが、この時期が最も多くの成熟個体を見かけます。

クワズイモの葉の裏にいたハエトリグモ。

ガガンボ

薄暗い森の中の土の中で見つけたオキナワクガビルOrobdella shimadae。

小型ザトウムシ。

アミメアリPristomyrmex punctatus

地面に座ってアリの観察をしていると、オオズアリPheidole nodaがせっせと何かを運んでいました。
良く見ると植物のつぼみか種のようです。

次から次へと同じものが運ばれてきました。
今回は雨が降り続いたため、ジメジメを好む生物たちを数多く見つけることができました。

小型ベッコウマイマイ。

ミミズやカタツムリを捕食する扁形動物のコウガイビルたち。

頭部が白くて美しい小型ジムカデ。

オオムカデの一種。
こちらは最大でも10cm程度と中型種。

あまり見かけないムカデ。
一見ノコバゼムカデに見えますが別種。

種類不明のオオムカデ。
青くてとても美しい種類です。

数日後に脱皮をしました。
脱皮直後はさらにきれい!

黄色くて美しい粘菌。
このタイプのモジホコリの仲間はオートミールをエサに飼育することができます。

キセルガイなどの陸貝を捕食する肉食のイボイボナメクジ。

夜の林道を歩いていると、木の上からガザガザと音がして何かが落ちてきました。
上を見るとケナガネズミDiplothrix legataが食事中で、食べカスを落としていたのです。
夫婦なのか、少し離れたところにもう1匹いました。
昔は個体数が少なく、滅多に見つからないネズミでしたが、ここ数年で個体数が増えてきて見つかる機会も増えてきました。
天敵である外来種のマングースやネコの駆除が成功しているためだと言われています。
しかし、残念な事にケナガネズミは路上を歩く事も多く、車に轢かれてしまう事故も多いようです。


久々に発見!
珍しいザトウムシです。
腹部先端からはトゲのような突起があります。
おそらくオヒキコシビロザトウムシParabeloniscus caudatusという種類だと思われます。
トゲや足の形から別種の可能性もありますが、似た種類を奄美大島からも見つけています。


奄美大島産

アブラムシから甘露を集めるアシジロヒラフシアリTechnomyrmex brunneus。
南西諸島では、幅広い環境で最も普通に見られるアリです。

アシジロヒラフシアリの幼虫は、丸くて変わった姿をしていますね。
この日はアリを専門に捕食するチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusを探しました。
今まで数多くを見つけていますが、巣の中心部を見つけるのがとても困難なアリ。
沖縄で最も見つけたいのが、このアリの女王アリなのです。
ヤンバルニの森には幅広く生息していますが、地中性が強いため簡単には見つかりませんが、見つけるコツはあります。

見つけやすいのはこのような環境です。
森の中にある細い道で、道幅は広すぎず、適度に枯葉やコケなどの障害物があるのが良い気がします。
枯葉が積もった森の中では、行列は枯葉の下を通るので発見は困難ですが、このように枯葉の少ない場所では行列がむき出しになるため見つけやすいのです。
それでもアリは3mm以下と小型なので、中腰になり一歩一歩じっくりと地面を見ながら歩きます。
生息地の森の中は、日中でも薄暗いのでヘッドライトは欠かせません。

すると探し始めて5分ほどで発見!
ここまで短時間で見つけられたのは初めてです。

狩りの行列で、アメロアリを襲っていました。
幼虫やサナギを主食としますが、成虫のアリも襲います。
成虫を運ぶときは、このように足をすべて切り落としてから運びます。
この写真を見ると、足だけではなく触覚までもが切り落とされています。

アミメアリが近くにたくさんいましたが、チャイロヒメサスライアリは無関心です。
襲うアリには好みがあり、同じ場所に数多く生息しているアミメアリやアシジロヒラフシアリは襲われているところを一度もみた事がありません。
ケブカアメイロオオアリやオキナワアギトアリなどの大型種も襲いません。
襲われているアリで最も目にするのはアメイロアリの仲間で、他にもオオズアリ、コツノアリ、ヒメアリ、ウメマツアリ、シワアリなどがターゲットとなります。
残念ながら行列の方向が分からず、今回も巣の中心部は見つからず。
この時期としては気温が低く、とても寒かったです。
天気予報では今シーズン1番の寒さで、12月並の寒さとのことです。

森の中では、ヤンバルヤマナメクジの特大個体を数多く見つけることができました。
1年中みられるナメクジですが、この時期が最も多くの成熟個体を見かけます。

クワズイモの葉の裏にいたハエトリグモ。

ガガンボ

薄暗い森の中の土の中で見つけたオキナワクガビルOrobdella shimadae。

小型ザトウムシ。

アミメアリPristomyrmex punctatus

地面に座ってアリの観察をしていると、オオズアリPheidole nodaがせっせと何かを運んでいました。
良く見ると植物のつぼみか種のようです。

次から次へと同じものが運ばれてきました。
今回は雨が降り続いたため、ジメジメを好む生物たちを数多く見つけることができました。

小型ベッコウマイマイ。

ミミズやカタツムリを捕食する扁形動物のコウガイビルたち。

頭部が白くて美しい小型ジムカデ。

オオムカデの一種。
こちらは最大でも10cm程度と中型種。

あまり見かけないムカデ。
一見ノコバゼムカデに見えますが別種。

種類不明のオオムカデ。
青くてとても美しい種類です。

数日後に脱皮をしました。
脱皮直後はさらにきれい!

黄色くて美しい粘菌。
このタイプのモジホコリの仲間はオートミールをエサに飼育することができます。

キセルガイなどの陸貝を捕食する肉食のイボイボナメクジ。

夜の林道を歩いていると、木の上からガザガザと音がして何かが落ちてきました。
上を見るとケナガネズミDiplothrix legataが食事中で、食べカスを落としていたのです。
夫婦なのか、少し離れたところにもう1匹いました。
昔は個体数が少なく、滅多に見つからないネズミでしたが、ここ数年で個体数が増えてきて見つかる機会も増えてきました。
天敵である外来種のマングースやネコの駆除が成功しているためだと言われています。
しかし、残念な事にケナガネズミは路上を歩く事も多く、車に轢かれてしまう事故も多いようです。


久々に発見!
珍しいザトウムシです。
腹部先端からはトゲのような突起があります。
おそらくオヒキコシビロザトウムシParabeloniscus caudatusという種類だと思われます。
トゲや足の形から別種の可能性もありますが、似た種類を奄美大島からも見つけています。


奄美大島産

アブラムシから甘露を集めるアシジロヒラフシアリTechnomyrmex brunneus。
南西諸島では、幅広い環境で最も普通に見られるアリです。

アシジロヒラフシアリの幼虫は、丸くて変わった姿をしていますね。
この日はアリを専門に捕食するチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusを探しました。
今まで数多くを見つけていますが、巣の中心部を見つけるのがとても困難なアリ。
沖縄で最も見つけたいのが、このアリの女王アリなのです。
ヤンバルニの森には幅広く生息していますが、地中性が強いため簡単には見つかりませんが、見つけるコツはあります。

見つけやすいのはこのような環境です。
森の中にある細い道で、道幅は広すぎず、適度に枯葉やコケなどの障害物があるのが良い気がします。
枯葉が積もった森の中では、行列は枯葉の下を通るので発見は困難ですが、このように枯葉の少ない場所では行列がむき出しになるため見つけやすいのです。
それでもアリは3mm以下と小型なので、中腰になり一歩一歩じっくりと地面を見ながら歩きます。
生息地の森の中は、日中でも薄暗いのでヘッドライトは欠かせません。

すると探し始めて5分ほどで発見!
ここまで短時間で見つけられたのは初めてです。

狩りの行列で、アメロアリを襲っていました。
幼虫やサナギを主食としますが、成虫のアリも襲います。
成虫を運ぶときは、このように足をすべて切り落としてから運びます。
この写真を見ると、足だけではなく触覚までもが切り落とされています。

アミメアリが近くにたくさんいましたが、チャイロヒメサスライアリは無関心です。
襲うアリには好みがあり、同じ場所に数多く生息しているアミメアリやアシジロヒラフシアリは襲われているところを一度もみた事がありません。
ケブカアメイロオオアリやオキナワアギトアリなどの大型種も襲いません。
襲われているアリで最も目にするのはアメイロアリの仲間で、他にもオオズアリ、コツノアリ、ヒメアリ、ウメマツアリ、シワアリなどがターゲットとなります。
残念ながら行列の方向が分からず、今回も巣の中心部は見つからず。
2013年12月09日
9月は久米島に行ってきました。
なかなか行く機会のない島です。
今回は海パンで山を歩く光君も一緒に行くことになりました(笑)
石垣島と違って、久米島には巨大なホンハブも生息しているけど大丈夫でしょうか?
早朝、羽田空港で光君と待ち合わせ。
光君は前回の石垣島では、夜の山を携帯電話のライトで歩こうとしていて懐中電灯も持ってこないし、長靴もありませんでしたが、最近夜釣りを始めたらしく、今回はヘッドライトや長靴を持参していました!


那覇空港で乗り継ぎ久米島空港に到着。
すぐにレンタカーを借りて山に向かいます。
まずは良さそうな環境を探すために島を一周まわることにしました。
小さな島なので、それほど時間はかかりません。


良さそうな環境を見ながらドライブ。

あれ!?
光君、上着と長靴は?(笑)
暗くなったので、そのまま夜の山へ。
夜に見たい生き物はクメトカゲモドキです。

マダラコオロギCardiodactylus guttulus

ミナミヤモリGekko hokouensis

ヤシガニBirgus latro もたくさん見つかりました。

大きなオカガニ。


河口近くの浅瀬には、ミナミトビハゼがたくさんいました。

足の踏み場がないほど、多くのクロベンケイガニがいる場所がありました。
産卵のために集まっているのか、普段からこんなにいるのかは分かりませんが、とにかくすごい数で驚きました。

カニがカニを食べていました。

アシダカグモ。

青虫を捕食していたサシガメ。

クチナシの実を見るとイワカワシジミが見つかりました。
しかも、いつもは実の中にいるのですが、この個体は出歩いていました。
実を食べ尽くして、他の実へ移動中だったのかもしれません。



いろいろな虫たち。

テングサシガメの一種。

アシナガキアリの巣で見つけたトゲシリグロハネカクシ。
鋭く長い牙で、何を食べているのか気になります。

イツツバアリの巣で暮らすシズクアリノタカラ。
ミツバアリとアリノタカラと同じく、お互いどちらが欠けても生きていけない深い関係を持ちます。

巨大なオオジョロウグモ。
クモの巣も巨大で、光君は何度もクモの巣に引っかかっていました(笑)

クメトカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae yamashinaeを見つけることができました!

久々に見ましたが、やはり美しいヤモリです。

顔も可愛い。

撮影した写真を見て気が付きましたが、背中にサシチョウバエが付いていました。

この日は数多くの個体が見れましたが、その中で最も巨大で黄色が鮮やかだった個体。
すぐに巣穴に逃げてしまい、この1枚しか撮影できませんでした。
翌朝、早朝から山に行こうとしたところ、光君はホテルのプールとプライベートビーチで泳ぎたいとのことで、光君はホテルに置いて一人で山に行くことに。
久米島で最も見たかったのがチャイロヒメサスライアリです。
沖縄本島に生息するアリですが、少し前に杉本さんが久米島から発見したので見つけたかったのです。
チャイロヒメサスライアリが生息していそうな森を探しますが、なかなか良い環境が見つかりません。
今回の久米島は、しばらく雨が降っていないようで山全体が乾き気味です。
こんな時は生き物を見つけるのが難しいのですが、こんな時こそ本当に良い環境を見つけるチャンスです。
雨上がりのときは、山全体が湿っているため、どこも同じような環境に見えてしまうのですが、このように長い間雨が降っていないときでも湿った場所と言うのは、本当に良い環境であることが多いのです。
やっと良さそうな森を見つけアリを探していると、目的のチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusを発見!


狩りの行列で、アメイロアリの仲間を襲っていました。

そして!別の種類のアリの巣から見たことのない美しいアリヅカコオロギを発見!
今まで沖縄本島や石垣島でも同じ種類のアリの巣からアリヅカコオロギを見つけていましたが、それとは明らかに違う種類で、しかも多くの個体を見つけることができたのです。
新種の可能性が高いので、丸山さんと小松さんに詳しく調べてもらうことになりました。
どんな種類なのかは、また別の機会にご紹介いたします。
今回は滞在時間がかなり短かったのですが、久米島には固有の生き物も多いし、もっと時間をかけて調べれば新しい発見がいろいろありそうな気がします。
採集を終えて夕方に光君を迎えに行くと、真っ赤に日焼けをして、ビールを飲んで酔っ払っていました。
真っ赤だったのは、日焼けなのか、それとも酔っているだけだったのか。
いつも通り自由な光君(笑)
なかなか行く機会のない島です。
今回は海パンで山を歩く光君も一緒に行くことになりました(笑)
石垣島と違って、久米島には巨大なホンハブも生息しているけど大丈夫でしょうか?
早朝、羽田空港で光君と待ち合わせ。
光君は前回の石垣島では、夜の山を携帯電話のライトで歩こうとしていて懐中電灯も持ってこないし、長靴もありませんでしたが、最近夜釣りを始めたらしく、今回はヘッドライトや長靴を持参していました!


那覇空港で乗り継ぎ久米島空港に到着。
すぐにレンタカーを借りて山に向かいます。
まずは良さそうな環境を探すために島を一周まわることにしました。
小さな島なので、それほど時間はかかりません。


良さそうな環境を見ながらドライブ。

あれ!?
光君、上着と長靴は?(笑)
暗くなったので、そのまま夜の山へ。
夜に見たい生き物はクメトカゲモドキです。

マダラコオロギCardiodactylus guttulus

ミナミヤモリGekko hokouensis

ヤシガニBirgus latro もたくさん見つかりました。

大きなオカガニ。


河口近くの浅瀬には、ミナミトビハゼがたくさんいました。

足の踏み場がないほど、多くのクロベンケイガニがいる場所がありました。
産卵のために集まっているのか、普段からこんなにいるのかは分かりませんが、とにかくすごい数で驚きました。

カニがカニを食べていました。

アシダカグモ。

青虫を捕食していたサシガメ。

クチナシの実を見るとイワカワシジミが見つかりました。
しかも、いつもは実の中にいるのですが、この個体は出歩いていました。
実を食べ尽くして、他の実へ移動中だったのかもしれません。



いろいろな虫たち。

テングサシガメの一種。

アシナガキアリの巣で見つけたトゲシリグロハネカクシ。
鋭く長い牙で、何を食べているのか気になります。

イツツバアリの巣で暮らすシズクアリノタカラ。
ミツバアリとアリノタカラと同じく、お互いどちらが欠けても生きていけない深い関係を持ちます。

巨大なオオジョロウグモ。
クモの巣も巨大で、光君は何度もクモの巣に引っかかっていました(笑)

クメトカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae yamashinaeを見つけることができました!

久々に見ましたが、やはり美しいヤモリです。

顔も可愛い。

撮影した写真を見て気が付きましたが、背中にサシチョウバエが付いていました。

この日は数多くの個体が見れましたが、その中で最も巨大で黄色が鮮やかだった個体。
すぐに巣穴に逃げてしまい、この1枚しか撮影できませんでした。
翌朝、早朝から山に行こうとしたところ、光君はホテルのプールとプライベートビーチで泳ぎたいとのことで、光君はホテルに置いて一人で山に行くことに。
久米島で最も見たかったのがチャイロヒメサスライアリです。
沖縄本島に生息するアリですが、少し前に杉本さんが久米島から発見したので見つけたかったのです。
チャイロヒメサスライアリが生息していそうな森を探しますが、なかなか良い環境が見つかりません。
今回の久米島は、しばらく雨が降っていないようで山全体が乾き気味です。
こんな時は生き物を見つけるのが難しいのですが、こんな時こそ本当に良い環境を見つけるチャンスです。
雨上がりのときは、山全体が湿っているため、どこも同じような環境に見えてしまうのですが、このように長い間雨が降っていないときでも湿った場所と言うのは、本当に良い環境であることが多いのです。
やっと良さそうな森を見つけアリを探していると、目的のチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusを発見!


狩りの行列で、アメイロアリの仲間を襲っていました。

そして!別の種類のアリの巣から見たことのない美しいアリヅカコオロギを発見!
今まで沖縄本島や石垣島でも同じ種類のアリの巣からアリヅカコオロギを見つけていましたが、それとは明らかに違う種類で、しかも多くの個体を見つけることができたのです。
新種の可能性が高いので、丸山さんと小松さんに詳しく調べてもらうことになりました。
どんな種類なのかは、また別の機会にご紹介いたします。
今回は滞在時間がかなり短かったのですが、久米島には固有の生き物も多いし、もっと時間をかけて調べれば新しい発見がいろいろありそうな気がします。
採集を終えて夕方に光君を迎えに行くと、真っ赤に日焼けをして、ビールを飲んで酔っ払っていました。
真っ赤だったのは、日焼けなのか、それとも酔っているだけだったのか。
いつも通り自由な光君(笑)
2013年03月30日
この日の晩は小雨が降っていて、様々なカエルが活動していましたが虫は少なく感じました。
この森に来て2日目ですが、未だヒメサスライアリを発見できず、今晩もダメかなと諦めかけた午後9時、来た道を引き返したところ足元にヒメサスライアリの行列を発見!
見つかったことは嬉しかったのですが、一度通った道で見逃していたのは集中力不足です。
熱帯の森には、想像をはるかに超えるほど多種多様な生物が生息しているのですが、普通に歩いているだけでは生き物の姿はあまり見られません。
こんな場所にはこんな生物がいるはずと、集中して見ると多くの生物が見つかるようになるのです。
それなら常に集中して見ればよいと思うのですが、その日の疲れ具合や天候によっては、気が付くとだらだらと歩いてしまうこともあります。
この日も、そんな感じだったので一度見逃してしまったのです。

運よく発見できたヒメサスライアリを見ると、あまり見かけない種類で、狩りの行列であることが判明しました。
個体差なのか、羽化時間によるものなのか、働きアリの色には濃いものと薄いものがあります。

行列を見始めてわずか1分ほどで見たことのない赤いハネカクシが現れました!
狩りの行列にハネカクシが歩いていることにも驚きましたが、見慣れない種類ということにも驚きです。
その後も狩りの行列を見ていましたがハネカクシは現れません。
続いてビバークを探すために行列を辿ると、主に枯葉の下に行列が隠れていて、地中性の強い種類であることが分かります。
巨大な岩の下に行列が続いていて、ここで別の行列と合流していることが判明。
その別の行列を見たところ、幼虫を運んでいて何と引っ越し行列だったのです!
地中性の強い種類は、それ自体見つけるのが困難で、引っ越し行列などは滅多に出会うことができません。
これは好蟻性昆虫を見つける最大のチャンスです!
地面に寝ながら行列を観察すると、この種は地中性が強いためか、警戒心がものすごく強く、わずかな振動や鼻息がかかっただけでパニックを起こして行列が引き返してしまうのです。
一度引き返すと5分以上戻ってこないうえ、行列の方向が多少迂回することになっても、安全な枯葉の下を通るようになってしまうため観察が難しかったです。
以前、同じく地中性の強い小型種の引っ越しに出会ったことがありましたが、吸虫管でムシノリダニを採集した時の、わずかな刺激で引っ越しが中断してしまったことがあったことを思い出しました。
同じようなことが起こらないように、近寄るときは足元の枝などを揺らさないようにして、顔を近づけるときは鼻息がかからないように手で鼻を覆いながら観察をしました。
次回来るときは、鼻息がかからないようにマスクを用意しようと思います。
しかしハネカクシが来ません。
この種類にはハネカクシがいないのかな?と思い始めたころ、ついにアリにそっくりなアリ型ハネカクシが現れたのです!
見慣れないハネカクシだと思い、一度小屋に戻って丸山さんに見てもらったところ、アリは滅多に見つけることのできないヒメトゲヒメサスライアリAenictus aratusで、ハネカクシはAenictocupidus jacobsonorumと判明しました。

ヒメトゲヒメサスライアリAenictus aratus
2010年にこの森を訪れた時にも発見している珍しい種でした。
この時にハネカクシを発見した状況や、美しい標本写真は丸山さんのブログや、「アリの巣をめぐる冒険」のP.124でも紹介されています。
2年ぶりに再び見つけることができたのです!
珍しい種類ということが判明し、再び行列を観察に行ったのですが、数時間の観察でまったく追加個体を採ることができなかったのです。
しかし、ヒメサスライアリの行列は長い時は8時間以上にもなり、前半と後半で来る好蟻性生物が変わるため一瞬も気が抜けません。

諦めずに見続けていると、アリの背中に乗っているムシノリダニを発見!

外骨格の質感や毛の生え方などがアリにとてもよく似ているので、アリに触れたときにダニと気が付かれないようにしているのでしょう。
アリと比較すると結構大きいのですが、アリは乗られている事に気が付いていない様子。

その後、美しいアリシミも多数現れ始めました。
ヒメサスライアリは歩くのが早いのですが、シミはさらに素早く、アリたちを追い抜きながら行列を歩いていきます。
そして観察を始めて4時間ほど経ったころ、ついにアリ型ハネカクシが現れたのです!
1時間に数匹のハネカクシがやってきます。
写真で見るとハネカクシであることはすぐに分かるのですが、アリ擬態の完成度はものすごく高く、素早く移動するアリの行列を歩く姿は、アリとの見分けが困難です。

これが珍しいAenictocupidus jacobsonorumです。
この個体は、触覚が細くて小柄なのでオスっぽいです。

おそらくメスの若い個体。

成熟したメス。
この仲間のハネカクシは、大きな卵を1個だけ産卵するようで、この個体は腹部が大きいので卵が入っているのではないかと思います。


そしてアリたちが幼虫を運ばなくなった引っ越し終盤には、赤いハネカクシが複数現れ、アリたちがいなくなった後は、ノミバエが1匹で行列があった場所を歩いてきました。
時計を見ると深夜3時を過ぎていて、6時間以上行列が続いていました。

6時間の成果の一部。
この写真には、アリ型ハネカクシAenictocupidus jacobsonorumが5匹、赤いハネカクシ、ムシノリダニが写っています。
アリ型ハネカクシは、このように上から見ると触角、頭部、脚などアリにそっくりです。
女王はすでに引っ越していたようで見つけることができませんでしたが、多数のハネカクシなどを見つけることができて大満足の夜となりました。
つづく・・・
10月のマレーシア調査 その1 オオトカゲが暮らす大学
10月のマレーシア調査 その2 森に到着!
10月のマレーシア調査 その3 ヨコヅナアリの行列
10月のマレーシア調査 その4 珍ヒメサスライアリ発見!
10月のマレーシア調査 その5 シロアリそっくりハネカクシ
10月のマレーシア調査 その6 川でヒメサスライアリの行列探し
10月のマレーシア調査 その7 ヨコヅナアリの結婚飛行
10月のマレーシア調査 その8 ヒメサスライアリの行列
この森に来て2日目ですが、未だヒメサスライアリを発見できず、今晩もダメかなと諦めかけた午後9時、来た道を引き返したところ足元にヒメサスライアリの行列を発見!
見つかったことは嬉しかったのですが、一度通った道で見逃していたのは集中力不足です。
熱帯の森には、想像をはるかに超えるほど多種多様な生物が生息しているのですが、普通に歩いているだけでは生き物の姿はあまり見られません。
こんな場所にはこんな生物がいるはずと、集中して見ると多くの生物が見つかるようになるのです。
それなら常に集中して見ればよいと思うのですが、その日の疲れ具合や天候によっては、気が付くとだらだらと歩いてしまうこともあります。
この日も、そんな感じだったので一度見逃してしまったのです。

運よく発見できたヒメサスライアリを見ると、あまり見かけない種類で、狩りの行列であることが判明しました。
個体差なのか、羽化時間によるものなのか、働きアリの色には濃いものと薄いものがあります。

行列を見始めてわずか1分ほどで見たことのない赤いハネカクシが現れました!
狩りの行列にハネカクシが歩いていることにも驚きましたが、見慣れない種類ということにも驚きです。
その後も狩りの行列を見ていましたがハネカクシは現れません。
続いてビバークを探すために行列を辿ると、主に枯葉の下に行列が隠れていて、地中性の強い種類であることが分かります。
巨大な岩の下に行列が続いていて、ここで別の行列と合流していることが判明。
その別の行列を見たところ、幼虫を運んでいて何と引っ越し行列だったのです!
地中性の強い種類は、それ自体見つけるのが困難で、引っ越し行列などは滅多に出会うことができません。
これは好蟻性昆虫を見つける最大のチャンスです!
地面に寝ながら行列を観察すると、この種は地中性が強いためか、警戒心がものすごく強く、わずかな振動や鼻息がかかっただけでパニックを起こして行列が引き返してしまうのです。
一度引き返すと5分以上戻ってこないうえ、行列の方向が多少迂回することになっても、安全な枯葉の下を通るようになってしまうため観察が難しかったです。
以前、同じく地中性の強い小型種の引っ越しに出会ったことがありましたが、吸虫管でムシノリダニを採集した時の、わずかな刺激で引っ越しが中断してしまったことがあったことを思い出しました。
同じようなことが起こらないように、近寄るときは足元の枝などを揺らさないようにして、顔を近づけるときは鼻息がかからないように手で鼻を覆いながら観察をしました。
次回来るときは、鼻息がかからないようにマスクを用意しようと思います。
しかしハネカクシが来ません。
この種類にはハネカクシがいないのかな?と思い始めたころ、ついにアリにそっくりなアリ型ハネカクシが現れたのです!
見慣れないハネカクシだと思い、一度小屋に戻って丸山さんに見てもらったところ、アリは滅多に見つけることのできないヒメトゲヒメサスライアリAenictus aratusで、ハネカクシはAenictocupidus jacobsonorumと判明しました。

ヒメトゲヒメサスライアリAenictus aratus
2010年にこの森を訪れた時にも発見している珍しい種でした。
この時にハネカクシを発見した状況や、美しい標本写真は丸山さんのブログや、「アリの巣をめぐる冒険」のP.124でも紹介されています。
2年ぶりに再び見つけることができたのです!
珍しい種類ということが判明し、再び行列を観察に行ったのですが、数時間の観察でまったく追加個体を採ることができなかったのです。
しかし、ヒメサスライアリの行列は長い時は8時間以上にもなり、前半と後半で来る好蟻性生物が変わるため一瞬も気が抜けません。

諦めずに見続けていると、アリの背中に乗っているムシノリダニを発見!

外骨格の質感や毛の生え方などがアリにとてもよく似ているので、アリに触れたときにダニと気が付かれないようにしているのでしょう。
アリと比較すると結構大きいのですが、アリは乗られている事に気が付いていない様子。

その後、美しいアリシミも多数現れ始めました。
ヒメサスライアリは歩くのが早いのですが、シミはさらに素早く、アリたちを追い抜きながら行列を歩いていきます。
そして観察を始めて4時間ほど経ったころ、ついにアリ型ハネカクシが現れたのです!
1時間に数匹のハネカクシがやってきます。
写真で見るとハネカクシであることはすぐに分かるのですが、アリ擬態の完成度はものすごく高く、素早く移動するアリの行列を歩く姿は、アリとの見分けが困難です。

これが珍しいAenictocupidus jacobsonorumです。
この個体は、触覚が細くて小柄なのでオスっぽいです。

おそらくメスの若い個体。

成熟したメス。
この仲間のハネカクシは、大きな卵を1個だけ産卵するようで、この個体は腹部が大きいので卵が入っているのではないかと思います。


そしてアリたちが幼虫を運ばなくなった引っ越し終盤には、赤いハネカクシが複数現れ、アリたちがいなくなった後は、ノミバエが1匹で行列があった場所を歩いてきました。
時計を見ると深夜3時を過ぎていて、6時間以上行列が続いていました。

6時間の成果の一部。
この写真には、アリ型ハネカクシAenictocupidus jacobsonorumが5匹、赤いハネカクシ、ムシノリダニが写っています。
アリ型ハネカクシは、このように上から見ると触角、頭部、脚などアリにそっくりです。
女王はすでに引っ越していたようで見つけることができませんでしたが、多数のハネカクシなどを見つけることができて大満足の夜となりました。
つづく・・・
10月のマレーシア調査 その1 オオトカゲが暮らす大学
10月のマレーシア調査 その2 森に到着!
10月のマレーシア調査 その3 ヨコヅナアリの行列
10月のマレーシア調査 その4 珍ヒメサスライアリ発見!
10月のマレーシア調査 その5 シロアリそっくりハネカクシ
10月のマレーシア調査 その6 川でヒメサスライアリの行列探し
10月のマレーシア調査 その7 ヨコヅナアリの結婚飛行
10月のマレーシア調査 その8 ヒメサスライアリの行列
2013年02月18日
皆さんハエと聞いてどんなイメージがありますか?
食べ物や臭いものに群がる汚い虫と思い浮かべる人が多いと思います。
たしかに、普段生活をしていて最も目に付くのはイエバエやショウジョウバエなどのハエたちです。
しかし、森の中などでハエを探すと、驚くほど多くの種類のハエが生息していて、その姿かたち、生態までもが多種多様で驚かされます。
過去のブログを見返してみると、こんなにも多くのハエが登場していました。
オオアリに体内寄生するノミバエ、グンタイアリに体内寄生するノミバエ、クモが捕らえた虫を盗み食いするハエ、脚も翅もない、アリの幼虫に擬態したノミバエ、ケラの鳴き声を聴くヤドリバエ、ナナフシ、ネズミ、人間に寄生するハエ、鳥の羽毛の中で暮らすシラミバエ、コウモリに外部寄生するコウモリバエ、アズマオオズアリの巣で暮らすノミバエ、眼が長いシュモクバエなどなど。

八重山諸島のタイワンシロアリの菌園で暮らす腹部の大きなシロアリノミバエたち。
今回ご紹介するのは、東南アジアのジャングルで、数十万匹もの行列でアリの巣を襲い、アリたちに恐れられているヒメサスライアリを襲う肉食性のハエです。

森の中でヒメサスライアリの引越し行列に出会いました。
何か好蟻性生物はいないかと、行列近くに座ってしばらく観察をすることに。
ハネカクシは来ませんでしたが、撮影した画像を見返したところ同居人たちが写っていました。

左:中心の働きアリが運んでいるのは幼虫ではなく、脚も翅もない幼虫擬態のノミバエ成虫のメスです。
右:ピンボケですがダニが乗っていますね。
行列を観察していると、近くで「ブン」という虫の羽音がしました。
そこにいたのはベンガルバエでした。
眼の色がすごいですね。

今まで見てきたベンガルバエの中では最大級の種類。

ベンガルバエは、ヒメサスライアリの引越し行列をじっと見つめて様子を伺っています。

突然ヒメサスライアリに向かって飛び立ちました!

ベンガルバエが狙っているのは、ヒメサスライアリの幼虫です。



アリが運ぶ幼虫を一瞬で奪い取り、少し離れた場所で幼虫の体液を吸い取るのです。

狩りに失敗する事もあります。
これは、行列上を飛んでしまったため、翅を羽ばたく風でアリ達がパニックになり散ってしまったのです。
こうなると狙いを定めるのが難しくなり、捕食ができなくなります。

アリの幼虫を奪う瞬間。
このように、翅の風を当てないように横から狙います。
ホバリングで静止した状態から、一気に口を伸ばして幼虫を捕食するのです。
次から次へと幼虫を捕食しています。
成虫のアリにはまったく興味がないようで、幼虫を捕らえるとアリも一緒に付いてくるのですが、幼虫の体液を数秒で吸い取った後に、食べかすと一緒にアリをポイっと捨てるのです。
ベンガルバエの狩りを観察して思ったことが。
この行列を観察中にも、アリの幼虫に擬態した脚なし翅なしノミバエがいましたが、アリの幼虫に似すぎてしまっているため、おそらくベンガルバエに捕食される事もあると思います。
こればかりは防ぎようがないので、生き残るかは運次第ですね。
本来アリに守られていて安全なはずの脚なし翅なしノミバエの数少ない天敵ですね。
肉食性のベンガルバエは日本にも生息しています。

西表島でアリやシロアリの巣を掘っていると集まってくるベンガルバエ。
これはタイワンシロアリの菌園を掘っているときに集まってきた個体で、シロアリを捕食していました。

西表島でタカサゴアシナガアリの巣を掘ってるときに現れたベンガルバエで、アリの幼虫を捕食しました。
前脚で幼虫を固定して、口を突き刺して体液を吸っています。

石垣島でクビナガアシナガアリの巣を掘っているときに現れたベンガルバエで、アリの幼虫を捕食しています。
アリの巣を掘っていると、短時間で複数のベンガルバエが集まってくることがあるので、かなり敏感にアリの匂いを感じ取れるようです。
日本のベンガルバエは、このようにアリの巣を掘っているときに現れるのですが、本来どのようにアリを捕食しているのかは分かりません。
ハエの世界も面白いですね!
つづく・・・
5月のマレーシア 目次
食べ物や臭いものに群がる汚い虫と思い浮かべる人が多いと思います。
たしかに、普段生活をしていて最も目に付くのはイエバエやショウジョウバエなどのハエたちです。
しかし、森の中などでハエを探すと、驚くほど多くの種類のハエが生息していて、その姿かたち、生態までもが多種多様で驚かされます。
過去のブログを見返してみると、こんなにも多くのハエが登場していました。
オオアリに体内寄生するノミバエ、グンタイアリに体内寄生するノミバエ、クモが捕らえた虫を盗み食いするハエ、脚も翅もない、アリの幼虫に擬態したノミバエ、ケラの鳴き声を聴くヤドリバエ、ナナフシ、ネズミ、人間に寄生するハエ、鳥の羽毛の中で暮らすシラミバエ、コウモリに外部寄生するコウモリバエ、アズマオオズアリの巣で暮らすノミバエ、眼が長いシュモクバエなどなど。

八重山諸島のタイワンシロアリの菌園で暮らす腹部の大きなシロアリノミバエたち。
今回ご紹介するのは、東南アジアのジャングルで、数十万匹もの行列でアリの巣を襲い、アリたちに恐れられているヒメサスライアリを襲う肉食性のハエです。

森の中でヒメサスライアリの引越し行列に出会いました。
何か好蟻性生物はいないかと、行列近くに座ってしばらく観察をすることに。
ハネカクシは来ませんでしたが、撮影した画像を見返したところ同居人たちが写っていました。

左:中心の働きアリが運んでいるのは幼虫ではなく、脚も翅もない幼虫擬態のノミバエ成虫のメスです。
右:ピンボケですがダニが乗っていますね。
行列を観察していると、近くで「ブン」という虫の羽音がしました。
そこにいたのはベンガルバエでした。

眼の色がすごいですね。

今まで見てきたベンガルバエの中では最大級の種類。

ベンガルバエは、ヒメサスライアリの引越し行列をじっと見つめて様子を伺っています。

突然ヒメサスライアリに向かって飛び立ちました!

ベンガルバエが狙っているのは、ヒメサスライアリの幼虫です。



アリが運ぶ幼虫を一瞬で奪い取り、少し離れた場所で幼虫の体液を吸い取るのです。

狩りに失敗する事もあります。
これは、行列上を飛んでしまったため、翅を羽ばたく風でアリ達がパニックになり散ってしまったのです。
こうなると狙いを定めるのが難しくなり、捕食ができなくなります。

アリの幼虫を奪う瞬間。
このように、翅の風を当てないように横から狙います。
ホバリングで静止した状態から、一気に口を伸ばして幼虫を捕食するのです。
次から次へと幼虫を捕食しています。
成虫のアリにはまったく興味がないようで、幼虫を捕らえるとアリも一緒に付いてくるのですが、幼虫の体液を数秒で吸い取った後に、食べかすと一緒にアリをポイっと捨てるのです。
ベンガルバエの狩りを観察して思ったことが。
この行列を観察中にも、アリの幼虫に擬態した脚なし翅なしノミバエがいましたが、アリの幼虫に似すぎてしまっているため、おそらくベンガルバエに捕食される事もあると思います。
こればかりは防ぎようがないので、生き残るかは運次第ですね。
本来アリに守られていて安全なはずの脚なし翅なしノミバエの数少ない天敵ですね。
肉食性のベンガルバエは日本にも生息しています。

西表島でアリやシロアリの巣を掘っていると集まってくるベンガルバエ。
これはタイワンシロアリの菌園を掘っているときに集まってきた個体で、シロアリを捕食していました。

西表島でタカサゴアシナガアリの巣を掘ってるときに現れたベンガルバエで、アリの幼虫を捕食しました。
前脚で幼虫を固定して、口を突き刺して体液を吸っています。

石垣島でクビナガアシナガアリの巣を掘っているときに現れたベンガルバエで、アリの幼虫を捕食しています。
アリの巣を掘っていると、短時間で複数のベンガルバエが集まってくることがあるので、かなり敏感にアリの匂いを感じ取れるようです。
日本のベンガルバエは、このようにアリの巣を掘っているときに現れるのですが、本来どのようにアリを捕食しているのかは分かりません。
ハエの世界も面白いですね!
つづく・・・
5月のマレーシア 目次
2012年11月20日
ツヤヒメサスライアリAenictus laeviceps引越し観察の続き。

卵やサナギを運んで引越しをするツヤヒメサスライアリを観察をすること6時間。
行列の働きアリの数が減り、働きアリたちが卵やサナギを運ばない個体が目立つようになりました。
引越しの終わりが近づくと、このような状態になりますが、もう一つ同じような状態になる場合があるのです。
それは女王が現れる直前です。
どちらにしても、何らかの変化がある瞬間なので目が離せません。
そして行列の働きアリの数が一時的に少なくなったのですが、その後再び大量の働きアリが行列を歩いて来ました。
これは女王が来る!と思った数分後、ついに大量の働きアリに守られながら女王が現れたのです!

「きたーーーーーー!」と心の中で大声で叫び、最も興奮する瞬間。
6時間ほぼ同じ体勢でいたため体中が痛いのですが、その痛みすら快感に変わる瞬間。
様々な好蟻性昆虫を見つけたときももちろん興奮しますが、女王は基本的に数十万匹のコロニーの中に1匹しかいないので、やはり見れた時は格段と嬉しいのです。

木の枝や枯葉の上など、働きアリと同じ速度で走っています。
そして周りにいる働きアリたちは女王を護衛しているためサナギなどは運んでいません。

腹部を見ると、予想通り今まで見てきた女王よりもはるかに巨大です。
6時間観察した引っ越し行列には、かなり大量の卵が運ばれてきたので、おそらく卵をだいぶ産み終わった後で、最大サイズではないと思います。

かっこよすぎる・・・
これが数十万匹の働きアリの母親です。

ヒメサスライアリの女王と働きアリには眼がありません。
左:今回見つけた女王アリ
右:通常の異動時期の女王アリ
腹部の大きさを比べると、やはり産卵期なので大きく膨らんでいることが分かります。

腹部は柔らかいようで歩くと伸び縮みします。
貴重な時期の引越しを観察することができました。
引越しを観察した翌日、以前からやってみたかったことを実践してみました。
それは、引越しをしたアリたちを、こちらが用意した容器の中に引越しをさせるということ。
ヒメサスライアリたちは、いくつかの条件がそろった場所へ頻繁に引っ越す習性があるので、アリたちが引っ越す条件を用意する事でそれが可能になると考えています。
もし、その方法が成功すれば、ヒメサスライアリの引越し行列を発見したときに、すでに引越しの大半が終わってしまい好蟻性昆虫を取り逃がしていたとしても、それらを再び集めることが可能となります。

今回利用したのはバケツ。
ビバークのある木の近くに置き、中にはアリたちが引っ越してくるであろう条件があります。
数時間後に見てみると、予想通りビバークからバケツの中へ行列ができていました!
引越しと同じような規則正しい行列がバケツの中へ入っていく光景はすごかったです。
そして翌日、バケツの中に全コロニーが入っている事を期待して中を調べてみると、大量の働きアリが詰まっていたのですが、残念ながらサナギや卵は一切なかったのです。
大量の働きアリは移動したものの、肝心の中心部は元のビバークから出てこなかったのです。
しかし、1回目の実験としては大きな手ごたえを感じました。
引越しをさせる容器の大きさや形、中に入れる材質、アリたちが引越しをしやすい時期などを考えれば、きっと人工的に作った容器の中に引越しをさせることが可能だと思います。
次回はもう少し工夫してみたいと思います。
つづく・・・
5月のマレーシア 目次

卵やサナギを運んで引越しをするツヤヒメサスライアリを観察をすること6時間。
行列の働きアリの数が減り、働きアリたちが卵やサナギを運ばない個体が目立つようになりました。
引越しの終わりが近づくと、このような状態になりますが、もう一つ同じような状態になる場合があるのです。
それは女王が現れる直前です。
どちらにしても、何らかの変化がある瞬間なので目が離せません。
そして行列の働きアリの数が一時的に少なくなったのですが、その後再び大量の働きアリが行列を歩いて来ました。
これは女王が来る!と思った数分後、ついに大量の働きアリに守られながら女王が現れたのです!

「きたーーーーーー!」と心の中で大声で叫び、最も興奮する瞬間。
6時間ほぼ同じ体勢でいたため体中が痛いのですが、その痛みすら快感に変わる瞬間。
様々な好蟻性昆虫を見つけたときももちろん興奮しますが、女王は基本的に数十万匹のコロニーの中に1匹しかいないので、やはり見れた時は格段と嬉しいのです。

木の枝や枯葉の上など、働きアリと同じ速度で走っています。
そして周りにいる働きアリたちは女王を護衛しているためサナギなどは運んでいません。

腹部を見ると、予想通り今まで見てきた女王よりもはるかに巨大です。
6時間観察した引っ越し行列には、かなり大量の卵が運ばれてきたので、おそらく卵をだいぶ産み終わった後で、最大サイズではないと思います。

かっこよすぎる・・・
これが数十万匹の働きアリの母親です。

ヒメサスライアリの女王と働きアリには眼がありません。

左:今回見つけた女王アリ
右:通常の異動時期の女王アリ
腹部の大きさを比べると、やはり産卵期なので大きく膨らんでいることが分かります。

腹部は柔らかいようで歩くと伸び縮みします。
貴重な時期の引越しを観察することができました。
引越しを観察した翌日、以前からやってみたかったことを実践してみました。
それは、引越しをしたアリたちを、こちらが用意した容器の中に引越しをさせるということ。
ヒメサスライアリたちは、いくつかの条件がそろった場所へ頻繁に引っ越す習性があるので、アリたちが引っ越す条件を用意する事でそれが可能になると考えています。
もし、その方法が成功すれば、ヒメサスライアリの引越し行列を発見したときに、すでに引越しの大半が終わってしまい好蟻性昆虫を取り逃がしていたとしても、それらを再び集めることが可能となります。

今回利用したのはバケツ。
ビバークのある木の近くに置き、中にはアリたちが引っ越してくるであろう条件があります。
数時間後に見てみると、予想通りビバークからバケツの中へ行列ができていました!
引越しと同じような規則正しい行列がバケツの中へ入っていく光景はすごかったです。
そして翌日、バケツの中に全コロニーが入っている事を期待して中を調べてみると、大量の働きアリが詰まっていたのですが、残念ながらサナギや卵は一切なかったのです。
大量の働きアリは移動したものの、肝心の中心部は元のビバークから出てこなかったのです。
しかし、1回目の実験としては大きな手ごたえを感じました。
引越しをさせる容器の大きさや形、中に入れる材質、アリたちが引越しをしやすい時期などを考えれば、きっと人工的に作った容器の中に引越しをさせることが可能だと思います。
次回はもう少し工夫してみたいと思います。
つづく・・・
5月のマレーシア 目次
2012年10月11日
小型ヒメサスライアリの引っ越しを観察した翌日。

朝食の匂いに誘われてきたネコ

朝から昨晩採集した虫の整理をする有本さん。

様々な虫たち

このオオゴキブリきれい!
小屋周辺を散歩。

枯葉にそっくりなバッタが葉の上にいましたが、色が違うので余計に目立っています。


小屋は森に囲まれているので、様々な虫がいます。
朝食を食べて、目が覚めたらすぐに森へ入ります。

左:ハリナシバチの巣
右:美しいタマヤスデ


オオアリCamponotus の仲間が、木の枝に付くアブラムシに集まっていました。

小さな甲虫を運ぶマガリアリGnamptogenys。

キノコを主食とするムネクビレアリ Euprenolepis。

ヒキガエルの幼体
午後2時ごろ、山の斜面を登っていると黒いアリの行列を発見!

ツヤヒメサスライアリAenictus laevicepsです。

しかも行列の働きアリたちは自分たちのサナギを運んでいて引っ越しをしていたのです!!
運ばれているのは幼虫ではなくサナギ!?
今まで多くのヒメサスライアリの引っ越しを見てきましたが、運ばれるのはすべて幼虫で、サナギを運んでいるのは初めて見ました。
ヒメサスライアリは、引っ越しをしない「停滞期」に女王アリの腹部が巨大になり、短期間に一気に大量の卵を産卵します。
しばらくして孵化して幼虫に育つと、簡易的な空間にビバークを作り、毎日のように引っ越しを繰り返す「移動期」になります。
この時期の育ち盛りの幼虫たちは、たくさんのエサが必要なので、働きアリは狩りを行いながら移動を繰り返すのです。
そして幼虫たちがサナギになるときには、地中や木の洞などの安全で安定した場所に引っ越して停滞期に入り女王アリが再び産卵をします。
このような生活サイクルをしているので、通常サナギ時期に引っ越しをすることはないのです。
しかも行列がとても短いのです。
通常、引っ越し行列は数十メートルにも及ぶのですが、この行列はたったの2mほどです。
地中の巣穴から、生きた木の幹の洞に引っ越しをしていたのです。
もしかしたら何か問題があったのか、それとも近場により良い環境を見つけたために引っ越しを始めたのかもしれません。
それにしても、広いジャングルの中で、たった2mしかない行列を発見できたのは幸運でした。

新居となる木の洞
引っ越しをする時間帯は夕方が多いのですが、このコロニーは午後2時だというのに引っ越しています。
好蟻性生物や女王アリを見つけるために、これからの時間は引っ越し観察に費やすことにしました。

次から次へとサナギが運ばれてきます。

サナギは腹部裏をアゴでくわえていて、運び方は決まっているようです。

あれ!?よく見ると卵が運ばれています!

ヒメサスライアリの卵初めてみました。
産卵期ということは、やはり本来は引っ越しをしない停滞期のはずです。
ここで思ったことが。
ヒメサスライアリの女王アリは、移動時期は小さな腹部ですが、産卵期にはシロアリの女王のように腹部が大きく膨れるのです。
今まで見てきた女王アリたちは、すべて移動時期なので腹部の巨大な女王というのを見たことがないのです。
もしかして、このまま待ち続けていたら巨大な腹部の女王アリが来るのではないかと期待が膨らみます。
行列をじっくり観察していると、小型ハネカクシを発見。

このハネカクシは最も数の多いタイプで、アリの行列を一緒に歩いて移動します。
続いて大型ハネカクシが現れました。

このハネカクシはアリに運ばれることが多いのですが、この個体は自ら歩いていました。
しかし、歩き方はゆっくりでアリにどんどん追い抜かれていきます。
触角の付け根が、少し潰れたように平たくなっていますが、これには理由があるのです。

しばらくすると、ハネカクシを見つけた働きアリが、触角の付け根の平たい部分をくわえて運びました。
このハネカクシは、必ずこの部分をくわえられて運ばれるのです。
ハネカクシは引きずられるように新居へと運ばれていきました。

数は少なかったのですがムシノリダニも発見!
それにしてもコロニー数がとても多いようで、1時間、2時間、3時間、4時間・・・。
ヒメサスライアリの引っ越しを観察していると、あっというまに時間が過ぎていきます。
時計を見ると午後の6時ですが、一向に行列が少なくなる気配がありません。
ここで思い出したことが。
戸締りをした時の小屋のカギを自分が持っていたのです!
これは大変!一度小屋に戻ってカギを開けないと、皆が中に入れません。
しかし小屋までは往復30分以上、その間に女王アリが行ってしまったらどうしよう・・・
困ったな〜と思っていたら、何と運良く有本さんが近くを通りかかったのです!
事情を話、鍵を預けて引っ越しの観察を続けることができました。
そろそろ女王アリ来るかな〜。
つづく・・・
5月のマレーシア 目次

朝食の匂いに誘われてきたネコ

朝から昨晩採集した虫の整理をする有本さん。

様々な虫たち

このオオゴキブリきれい!
小屋周辺を散歩。

枯葉にそっくりなバッタが葉の上にいましたが、色が違うので余計に目立っています。


小屋は森に囲まれているので、様々な虫がいます。
朝食を食べて、目が覚めたらすぐに森へ入ります。

左:ハリナシバチの巣
右:美しいタマヤスデ


オオアリCamponotus の仲間が、木の枝に付くアブラムシに集まっていました。

小さな甲虫を運ぶマガリアリGnamptogenys。

キノコを主食とするムネクビレアリ Euprenolepis。

ヒキガエルの幼体
午後2時ごろ、山の斜面を登っていると黒いアリの行列を発見!

ツヤヒメサスライアリAenictus laevicepsです。

しかも行列の働きアリたちは自分たちのサナギを運んでいて引っ越しをしていたのです!!
運ばれているのは幼虫ではなくサナギ!?
今まで多くのヒメサスライアリの引っ越しを見てきましたが、運ばれるのはすべて幼虫で、サナギを運んでいるのは初めて見ました。
ヒメサスライアリは、引っ越しをしない「停滞期」に女王アリの腹部が巨大になり、短期間に一気に大量の卵を産卵します。
しばらくして孵化して幼虫に育つと、簡易的な空間にビバークを作り、毎日のように引っ越しを繰り返す「移動期」になります。
この時期の育ち盛りの幼虫たちは、たくさんのエサが必要なので、働きアリは狩りを行いながら移動を繰り返すのです。
そして幼虫たちがサナギになるときには、地中や木の洞などの安全で安定した場所に引っ越して停滞期に入り女王アリが再び産卵をします。
このような生活サイクルをしているので、通常サナギ時期に引っ越しをすることはないのです。
しかも行列がとても短いのです。
通常、引っ越し行列は数十メートルにも及ぶのですが、この行列はたったの2mほどです。
地中の巣穴から、生きた木の幹の洞に引っ越しをしていたのです。
もしかしたら何か問題があったのか、それとも近場により良い環境を見つけたために引っ越しを始めたのかもしれません。
それにしても、広いジャングルの中で、たった2mしかない行列を発見できたのは幸運でした。

新居となる木の洞
引っ越しをする時間帯は夕方が多いのですが、このコロニーは午後2時だというのに引っ越しています。
好蟻性生物や女王アリを見つけるために、これからの時間は引っ越し観察に費やすことにしました。

次から次へとサナギが運ばれてきます。

サナギは腹部裏をアゴでくわえていて、運び方は決まっているようです。

あれ!?よく見ると卵が運ばれています!

ヒメサスライアリの卵初めてみました。
産卵期ということは、やはり本来は引っ越しをしない停滞期のはずです。
ここで思ったことが。
ヒメサスライアリの女王アリは、移動時期は小さな腹部ですが、産卵期にはシロアリの女王のように腹部が大きく膨れるのです。
今まで見てきた女王アリたちは、すべて移動時期なので腹部の巨大な女王というのを見たことがないのです。
もしかして、このまま待ち続けていたら巨大な腹部の女王アリが来るのではないかと期待が膨らみます。
行列をじっくり観察していると、小型ハネカクシを発見。

このハネカクシは最も数の多いタイプで、アリの行列を一緒に歩いて移動します。
続いて大型ハネカクシが現れました。

このハネカクシはアリに運ばれることが多いのですが、この個体は自ら歩いていました。
しかし、歩き方はゆっくりでアリにどんどん追い抜かれていきます。
触角の付け根が、少し潰れたように平たくなっていますが、これには理由があるのです。

しばらくすると、ハネカクシを見つけた働きアリが、触角の付け根の平たい部分をくわえて運びました。
このハネカクシは、必ずこの部分をくわえられて運ばれるのです。
ハネカクシは引きずられるように新居へと運ばれていきました。

数は少なかったのですがムシノリダニも発見!
それにしてもコロニー数がとても多いようで、1時間、2時間、3時間、4時間・・・。
ヒメサスライアリの引っ越しを観察していると、あっというまに時間が過ぎていきます。
時計を見ると午後の6時ですが、一向に行列が少なくなる気配がありません。
ここで思い出したことが。
戸締りをした時の小屋のカギを自分が持っていたのです!
これは大変!一度小屋に戻ってカギを開けないと、皆が中に入れません。
しかし小屋までは往復30分以上、その間に女王アリが行ってしまったらどうしよう・・・
困ったな〜と思っていたら、何と運良く有本さんが近くを通りかかったのです!
事情を話、鍵を預けて引っ越しの観察を続けることができました。
そろそろ女王アリ来るかな〜。
つづく・・・
5月のマレーシア 目次
2012年09月29日
宿に戻る途中の林道で、道路を横断中のリュウキュウヤマガメGeoemyda japonicaに出会いました。

甲羅を見ると・・・

カメキララマダニがたくさん寄生していました。
宿で夕食を食べた後は、容器などを用意してチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusの巣を掘りに行きます!

リュウキュウカジカガエルBuergeria japonica
夕方に発見したチャイロヒメサスライアリの場所へ行くと、同じように狩りが続いていました。


チャイロヒメサスライアリは、アリを専門に捕食します。
この写真の個体が運んでいるアリの幼虫は、狩りをした獲物です。


次から次へと運ばれてくるウメマツアリVollenhovia の一種。
今まで狩りの場面を何度も見てきましたが、ウメマツアリとアメイロアリの仲間を特に好むようです。

アメイロアリParatrechina の一種。
成虫のアリを狩る場合の多くは、すべての脚が切り取られます。

オスアリも捕食されます。

卵、幼虫、サナギ、成虫とすべての段階を捕食します。
右の細長くて巨大な幼虫は何のアリだろう。ハリアリの仲間?

チャイロヒメサスライアリは、時々小型個体を見ることができます。

ピントが合いませんでしたがヒメアリMonomorium の女王が運ばれてきました。

種類不明

アメイロアリ?
そして巣穴と思われる場所を掘り続けますが、地中にもかなり長い行列があることが判明しました。
数時間掘り続けたのですが、いつも通り巣の中心部を見つけることはできませんでした。

地中から見つかった、狩をした獲物を一時的に貯めている場所。
ウメマツアリVollenhovia 、アメイロアリParatrechina 、ヒメアリMonomorium、オオズアリPheidole 、コツノアリCarebara などが狩られていました。
穴の掘りすぎで、全身汗と泥だらけになりましたが、地面が硬すぎてこれ以上掘り進めることができなくなったので諦めました。
続いて森の中を歩いて生き物探し。

水辺周辺では多くのリュウキュウカジカガエルが鳴いています。

葉の上で寝ていたオキナワキノボリトカゲJapalura polygonata 。

同じく熟睡中のオキナワハンミョウCicindela okinawana。

卵を抱いているアシダカグモ。

オカヤドカリは、海からかなり離れた山でも見つけることができますが、山に海の貝は落ちていないので、このようにカタツムリの殻を背負います。
それにしても、こんなに小さな生き物が、海から遠く離れた山まで歩いてきたというのが驚きです。

色白なヤンバルヤマナメクジ。

リュウキュウカジカガエル

クロイワトカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae
つづく・・・
真夏の沖縄本島 その1 蒸し暑い夜は生き物がたくさん!
真夏の沖縄本島 その2 コブラ発見!
真夏の沖縄本島 その3 チャイロヒメサスライアリ発見!
真夏の沖縄本島 その4 チャイロヒメサスライアリ掘り
真夏の沖縄本島 その5 夜の森で迷子

甲羅を見ると・・・

カメキララマダニがたくさん寄生していました。
宿で夕食を食べた後は、容器などを用意してチャイロヒメサスライアリAenictus ceylonicusの巣を掘りに行きます!

リュウキュウカジカガエルBuergeria japonica
夕方に発見したチャイロヒメサスライアリの場所へ行くと、同じように狩りが続いていました。


チャイロヒメサスライアリは、アリを専門に捕食します。
この写真の個体が運んでいるアリの幼虫は、狩りをした獲物です。


次から次へと運ばれてくるウメマツアリVollenhovia の一種。
今まで狩りの場面を何度も見てきましたが、ウメマツアリとアメイロアリの仲間を特に好むようです。

アメイロアリParatrechina の一種。
成虫のアリを狩る場合の多くは、すべての脚が切り取られます。

オスアリも捕食されます。

卵、幼虫、サナギ、成虫とすべての段階を捕食します。
右の細長くて巨大な幼虫は何のアリだろう。ハリアリの仲間?

チャイロヒメサスライアリは、時々小型個体を見ることができます。

ピントが合いませんでしたがヒメアリMonomorium の女王が運ばれてきました。

種類不明

アメイロアリ?
そして巣穴と思われる場所を掘り続けますが、地中にもかなり長い行列があることが判明しました。
数時間掘り続けたのですが、いつも通り巣の中心部を見つけることはできませんでした。

地中から見つかった、狩をした獲物を一時的に貯めている場所。
ウメマツアリVollenhovia 、アメイロアリParatrechina 、ヒメアリMonomorium、オオズアリPheidole 、コツノアリCarebara などが狩られていました。
穴の掘りすぎで、全身汗と泥だらけになりましたが、地面が硬すぎてこれ以上掘り進めることができなくなったので諦めました。
続いて森の中を歩いて生き物探し。

水辺周辺では多くのリュウキュウカジカガエルが鳴いています。

葉の上で寝ていたオキナワキノボリトカゲJapalura polygonata 。

同じく熟睡中のオキナワハンミョウCicindela okinawana。

卵を抱いているアシダカグモ。

オカヤドカリは、海からかなり離れた山でも見つけることができますが、山に海の貝は落ちていないので、このようにカタツムリの殻を背負います。
それにしても、こんなに小さな生き物が、海から遠く離れた山まで歩いてきたというのが驚きです。

色白なヤンバルヤマナメクジ。

リュウキュウカジカガエル

クロイワトカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae
つづく・・・
真夏の沖縄本島 その1 蒸し暑い夜は生き物がたくさん!
真夏の沖縄本島 その2 コブラ発見!
真夏の沖縄本島 その3 チャイロヒメサスライアリ発見!
真夏の沖縄本島 その4 チャイロヒメサスライアリ掘り
真夏の沖縄本島 その5 夜の森で迷子
2012年08月23日
ジャングル到着、初日の夜の続き。


バッタ、ホタル、魚など、夜間に見つけた様々な生き物たち。


ナミバラアリAcanthomyrmex の巣に同居をしていたワラジムシ。

トゲオオハリアリDiacamma の巣で暮らす美しいオカメワラジムシ。

カタアリDolichoderus

ヨコヅナアリPheidologeton の行列を発見。

しばらく観察をしているとハネカクシが一緒に歩いていました。

ルフィペスフトハリアリの仲間。
腹部から泡を出します。

地中から顔を出すアリ。
このかっこいいアゴは!

サスライアリDorylus でした。
サスライアリの仲間の女王アリは、4cm以上になり世界最大級のアリです。
いつか女王を見つけてみたい。
そして最後にヒメサスライアリAenictus を発見!
2.5mmと小型であまり見かけない種類です。

しかも、良く見ると幼虫を運んでいて引越しの最中だったのです!


行列の途中には、数箇所に幼虫を一時的に集める場所がありました。
翅なし脚なしノミバエを探しましたが見つかりませんでした。
しばらく行列を眺めていると、肉眼では分からないほど小さいものが頭部に付いています。
ヒメサスライアリの頭部に付くものといえばあれですね。
走るのが速く、小さいのでなかなか上手く撮れませんでしたが、何とか撮影できました。

胸部に乗る可愛いダニです。

数匹のダニを見つけることができました。

標本用に酢酸エチルでころしましたが、それでもアリから離れませんでした。

幼虫に寄生していた別のダニ。
つづく・・・
5月のマレーシア 目次


バッタ、ホタル、魚など、夜間に見つけた様々な生き物たち。


ナミバラアリAcanthomyrmex の巣に同居をしていたワラジムシ。

トゲオオハリアリDiacamma の巣で暮らす美しいオカメワラジムシ。

カタアリDolichoderus

ヨコヅナアリPheidologeton の行列を発見。

しばらく観察をしているとハネカクシが一緒に歩いていました。

ルフィペスフトハリアリの仲間。
腹部から泡を出します。

地中から顔を出すアリ。
このかっこいいアゴは!

サスライアリDorylus でした。
サスライアリの仲間の女王アリは、4cm以上になり世界最大級のアリです。
いつか女王を見つけてみたい。
そして最後にヒメサスライアリAenictus を発見!
2.5mmと小型であまり見かけない種類です。

しかも、良く見ると幼虫を運んでいて引越しの最中だったのです!


行列の途中には、数箇所に幼虫を一時的に集める場所がありました。
翅なし脚なしノミバエを探しましたが見つかりませんでした。
しばらく行列を眺めていると、肉眼では分からないほど小さいものが頭部に付いています。
ヒメサスライアリの頭部に付くものといえばあれですね。
走るのが速く、小さいのでなかなか上手く撮れませんでしたが、何とか撮影できました。

胸部に乗る可愛いダニです。

数匹のダニを見つけることができました。

標本用に酢酸エチルでころしましたが、それでもアリから離れませんでした。

幼虫に寄生していた別のダニ。
つづく・・・
5月のマレーシア 目次
2011年04月17日
沖縄本島の北部に生息するチャイロヒメサスライアリです。
アリを専門に襲うマレーシアのヒメサスライアリを度々紹介していますが、そんなすごいアリが日本にも沖縄本島と西表島に2種類生息しています。
とても珍しいアリで、滅多に見つけることはできません。
さらに巣の場所を特定するのが難しく、今まで何度も見つけていますが、未だ女王を見つけたことがありません。
これは過去に撮影した狩りの場面です。


チャイロヒメサスライアリは、他のアリの巣を襲撃して、卵、幼虫、サナギを盗み出します。
この個体が運んでいるのは、リュウキュウアメイロアリの幼虫です。
このアリに襲撃をされると、周辺のアリたちは大パニックになります。


巣を襲われたオキナワウメマツアリは、自分たちの幼虫を持って巣を飛び出てきました。


リュウキュウアメイロアリも幼虫を守るために、巣から逃げ出してきました。
チャイロヒメサスライアリは、時に成虫のアリも狩ることがあります。


行列を見ていると、時々小型な個体を見つけることができます。
成長不良なのでしょうか?
今年こそは、チャイロヒメサスライアリの女王を見つけたいです。
アリを専門に襲うマレーシアのヒメサスライアリを度々紹介していますが、そんなすごいアリが日本にも沖縄本島と西表島に2種類生息しています。
とても珍しいアリで、滅多に見つけることはできません。
さらに巣の場所を特定するのが難しく、今まで何度も見つけていますが、未だ女王を見つけたことがありません。
これは過去に撮影した狩りの場面です。


チャイロヒメサスライアリは、他のアリの巣を襲撃して、卵、幼虫、サナギを盗み出します。
この個体が運んでいるのは、リュウキュウアメイロアリの幼虫です。
このアリに襲撃をされると、周辺のアリたちは大パニックになります。


巣を襲われたオキナワウメマツアリは、自分たちの幼虫を持って巣を飛び出てきました。


リュウキュウアメイロアリも幼虫を守るために、巣から逃げ出してきました。
チャイロヒメサスライアリは、時に成虫のアリも狩ることがあります。


行列を見ていると、時々小型な個体を見つけることができます。
成長不良なのでしょうか?
今年こそは、チャイロヒメサスライアリの女王を見つけたいです。
2010年06月30日
先月に行ったマレーシアでは、多くの珍しいアリに出会うことができましたが、最も見たかったアリがヒメサスライアリです。

今回行ったマレーシアの森には、500種類ものアリが暮らし、ヒメサスライアリだけでも20種類も生息しているのです!
ここは世界中のアリ研究者が集まる場所なのです。

アリだけでこれだけ種類が多いということは、他の動植物もすごい種類が生息していることとなり、マレーシアの自然の豊かさを改めて実感しました。
ヒメサスライアリは、まるでグンタイアリのように、決まった巣を持たずに毎日移動しながら暮らすアリで、集団でアリの巣に侵入して、アリの幼虫やサナギを盗んで捕食します。
まったく乱れることのない行列で攻め込むため、狙われたアリたちは防ぐことができません。
アリにとっての最大の天敵でもあるのです。
生活の周期には、このように狩りをしながら暮らす「移動時期」と、産卵のために一か所に留まる、「停滞期」があります。
移動時期は、毎日夕方に引っ越しを行います。
停滞期には、女王の腹部が、まるでシロアリの女王のように伸びて、一気に大量の卵を産卵するようです。
コロニーはとても巨大で、成熟コロニーは、働きアリが10万匹にも達するようで、行列も数十メートルにも及ぶことがあるのです。
そんなヒメサスライアリは、日本でも沖縄本島と西表島に生息していて、チャイロヒメサスライアリとヒメサスライアリの2種類が暮らしています。


左は沖縄のチャイロヒメサスライアリが、リュウキュウアメイロアリの巣を襲って、サナギを盗んでいるところです。
右はボルネオ産の、地中性のサスライアリDorylus laevigatusで、コロニーには大型ワーカーが存在します。
丸山さんにお聞きしたところ、ヒメサスライアリはアリ食ですが、サスライアリDorylus laevigatusは肉食中心の雑食性とのことです。
今まで沖縄やボルネオで、何度か働きアリは見つけてはいるのですが、コロニーの中心部を一度も発見したことがなく、女王を見たことがなかったのです。
そんなヒメサスライアリが、この森だけで20種類も生息しているのです!
丸山さんはヒメサスライアリの巣に同居をしているハネカクシやハエなどの好蟻性昆虫の研究をされていて、ヒメサスライアリのコロニーを採集するプロです!
今回は丸山さんから、いろいろ教えて頂くチャンスでもあります。
採集一日目、初めて見るアリが多く暮らしていて、かなり興奮しながらアリを探します。
当然ヒメサスライアリを意識しながら歩いて採集をしましたが、まったく見つけることができませんでした。
この日は、寝る前に目をつぶると、ヒメサスライアリの行列が目に浮かび、夢にまでヒメサスライアリが出てきました(笑)
二日目、三日目と時間が過ぎていきますが、全く見つからず・・・
しかし、丸山さんは「大丈夫、必ず見つかりますよ」と余裕です。
そして、ヒメサスライアリとの出会いは突然やってきたのです!!
午後3時ごろ、ジャングルの中を歩いていると、ものすごい密度と早さで移動する黒いアリを見つけました。
今まで見てきたアリとは、勢いが違います。
そして、近くで見てみると!!間違えなくヒメサスライアリだったのです。
沖縄で見慣れたチャイロヒメサスライアリと比べると、色は黒で、はるかに大型です。
しかも、驚いたことに行列を辿って行くと、一斉に樹上へと登っていくのです!
そしてしばらく観察をしていると、登ったアリたちが降りてきました。
そのアリの顎には、明らかに別の種類のアリの幼虫がくわえられているのです。
どうやら狩りを行っていて、樹上性のアリの巣を襲っていたようです。
この行列をじっと見ているトビトカゲがいました。
トカゲは、時々行列をペロっと食べています。
おそらくアリが狩りをした幼虫を食べているのでしょう。


行列付近には、ベンガルバエというハエもいました。
このハエは、肉食性でアリが運ぶ幼虫を盗み食いします。
左が、今回見つけたバンガルバエで、右が過去に石垣島で見つけたベンガルバエで、クビナガアシナガアリの幼虫を盗んで食べていました。
それにしても、すごい数と密度の行列です。
今まで見てきたアリの行列とは、まったく違う物で、まるで滝のように流れるようなスピードで走り続けています。
しばらく観察を続けたあとは、巣を刺激しないように働きアリを数匹採集して、宿に戻り丸山さんに報告しました。
丸山さんは働きアリを一目見て、「これはケブカヒメサスライアリです」と種類を見分けて、この種類は木に登ることが多く、時には樹上に巣を作ることもあると言うことも教えてもらいました。
そして、「おそらく18時ごろから引っ越しがはじまるので、そのころに採集に行きましょう」とのことでした。
この日は別の場所で、丸山さんも別種の大型ヒメサスライアリを見つけていましたが、残念ながら巣の中心は見つかりませんでした。
そして日が暮れ始めたころ、丸山さんと再びケブカヒメサスライアリの行列があった場所に向かいます。
すると、先ほどまであんなに大行列があった場所に1匹もいないのです!?
まさか、あれほどまでの長い行列が、こんな短時間で消えてしまうとは…
しばらく2人で探しますが見つからず、もう駄目かなと思ったころに、丸山さんが「いました!」と発見です。
そして、働きアリの密度が高い場所を見ていると、巣を発見です!!
高さ1mほどにある、木の幹の皮が浮いた部分に巣があったのです。
木の皮の隙間をライトで照らすと、真黒になるほどの密度で、アリが住み着いているのが見えました。
木の皮をはがせば、一気に採集できそうでしたが、ここは達人丸山さんの判断で、自然に引っ越しを始めるまで待つことになりました。
丸山さんが研究している、好蟻性のハネカクシやハエなどは、コロニーの中心部にいるため、狩りの最中の行列では採集することができませんが、コロニーのすべてが移動する引っ越しなどの行列から見つけることができるのです。
行列を見ていると、何とオスアリが行列を歩いていたのです!
ヒメサスライアリのオスは、体型ががっしりしていて、腹部も大きく特徴があります。
しかも良く見ると翅がありません。
丸山さんに聞くと、オスは女王と交尾をするためにコロニーに侵入すると、働きアリによって翅を切られるようです。
その後、女王と交尾をしに行くのです。
しかも、実際にこのように行列に入り込んだオスは、世界で数例しか確認されていないようです!
とても貴重なものを見ることができました。
そして、2〜30分待ったころ、丸山さんが「そろそろ始まりそうです」と言いました。
それからわずか数分後、本当に引っ越しが始まったのです!!
アリたちはスイッチが入ったように、皆で幼虫をくわえて巣から一斉に飛び出してきます。
行列の太さ、密度、早さは一定に保たれながら、どんどん巣から流れ出てくるのです。
これには感動しました。
そして、ヒメサスライアリの行動を完全に知り尽くしている丸山さんにも驚きました。
丸山さんは、幼虫を運ぶ働きアリの中から、幼虫と同じように働きアリに運ばれるハエを採集しています。
この働きアリが運んでいるのがハエですが、ハエに見えますか?
実はこのハエは、翅も脚もないハエなのです!?
どんなに見ても、これがハエの成虫には見えませんでした。

この中にハエが1匹いますが、どれだか分かりますか?
中心にいるのがハエの成虫なのです。

上がアリの幼虫で、下がハエの成虫です。
ここまで拡大すると、アリの幼虫にそっくりなハエの顔が分かりますね。
そう言われてみれば、ハエのような頭部があります。
しかし、これがハエとは・・・
シロアリの巣に住むノミバエを見た時も、とてもハエには見えませんでしたが、これはノミバエをはるかに超えるすごい姿です。
アリたちもまったく疑うことなく、幼虫と同じように大切に扱っていました。
ちなみにこのハエは成虫のメスですが、オスのハエは一度も発見されていないようです。
初めは、猛スピードで走る中から、幼虫とハエを見分けるのが難しかったのですが、しばらくするとだんだん見分けられるようになってきました。
アリの幼虫とは、大きさや形はほとんど同じですが、色が若干黄色っぽくて、透明感もありません。
続いてハネカクシが現れました!
アリによく似たハネカクシで、多くの個体は、アリに運ばれていました。

このハネカクシも不思議な形をしています。
特に腹部は複雑な形です。


普段は腹部を持ち上げて歩いていますが、腹部を伸ばすと、長い脚、腰のくびれ、触覚や腹部までもがヒメサスライアリにそっくりなのです。
そして、このハネカクシは自分で歩くこともできますが、働きアリに運ばれることもあります。

アリは完全に仲間だと思っていますね。
運ばれている最中のハネカクシは、運ばれるアリと同じように、まったく動きません。


巣に運ばれたハネカクシは、幼虫と同じ間所に置かれます。
ヒメサスライアリの行列には、様々な好蟻性昆虫がいました。

その後も行列を眺めていると、何かダニのような赤い虫が付いていることに気が付きました。
そして吸虫管で吸ってみると、先ほどの種類よりもはるかに小型なハネカクシだったのです!
このハネカクシは、働きアリに運ばれる幼虫にしがみついていました。
引っ越しが始まって30分くらいした頃でしょうか、ついに女王アリが現れました!!
たくさんの働きアリを引き連れています。

これが数万匹の働きアリのお母さんです。
このように移動時期は、毎日移動を繰り返していて、女王の腹部は小さくなっていますが、現在いる幼虫たちが成長すると、停滞期になり、女王は産卵を開始するのです。
すると、女王の腹部はまるでシロアリの女王のように大きく膨らみ、一気に数万の卵を産卵するのです!
南米に生息する大型のグンタイアリの女王は、産卵期には体長5〜6cmにもなると言われていて、世界最大のアリなのです。
ケブカヒメサスライアリの引っ越しは、2時間ほどかかって古巣が完全に空になりましたが、一体何万匹の働きアリがいたのか、ものすごい数でした。
この日は、ヒメサスライアリの生態を観察することができ、しかも女王まで見つかり、とても嬉しい日となりました。
丸山さんも、多くのハエやハネカクシを採集することができました。
そして最終日になりました。
これまで3種類のヒメサスライアリを発見しましたが、巣の中心を見つけられたのはケブカヒメサスライアリのみでした。
午前の採集を終えて宿に帰る途中、林道に黒いアリの行列を見つけることができました。
そしてよく見ると、ヒメサスライアリです!!
働きアリを数匹採集して、丸山さんに見てもらたところ、ツヤヒメサスライアリということが分かりました。
再びその場所に行き、行列を辿ってコロニーを探します。
すると、枯れ葉が積もった場所に、ものすごい数の働きアリが群れていて、よく見ると幼虫もいたのです!
間違いなく、この場所が巣の中心部です。
そして、また宿に戻り丸山さんにそのことを伝えたところ、採集道具の準備を始めて、今回は引っ越しを待つのではなく、コロニーを丸ごと採集することになりました。
コロニーを入れるバケツの淵に、脱走防止のためにベビーパウダーを塗る丸山さん。
このバケツに、全コロニーを入れるのです。
長靴を履き、手袋をしてコロニーの場所に向かいます。
そしてコロニーがある枯れ葉ごとバケツに入れます。
丸山さんと枯れ葉をつかんだ瞬間、ものすごい数の働きアリがいました。
すると怒った数万匹の働きアリたちが、一斉に襲い掛かってきたのです!!
採集は1分ほどで終了しましたが、一瞬で全身がアリだらけです。


ヒメサスライアリは毒針を持っているのです。
両手、両足を100回以上刺されながら、なんとかバケツに採集することができました。
刺された場所は熱を持ち、ズキズキ痛みます。

バケツに入った数万匹の働きアリを、この後どうするのかと思ったのですが、丸山さんは手慣れた様子で、枝を1本くの字に折ってバケツに入れたのです。
驚いたことに、人工的に引っ越しを行わせて、好蟻性昆虫を採集するというのです!!
枝の置く場所を調節して、しばらくすると、幼虫を運んだ働きアリたちが一斉に枝を登り引っ越しを始めたのです。
先日見たケブカヒメサスライアリの引っ越しとまったく同じです。
これが引っ越しをしているヒメサスライアリです。
ヒメサスライアリは眼がないとは思えないほど、規則正しく、同じ方向に走っていきます。

ハネカクシとハエを採集する丸山さんです。
このスピードで走る中から、幼虫に似たハエを採集するのは大変な作業です。
今回も多くのハエ、ハネカクシ、ダニなどを採集することができました。

そして、働きアリの胸部に乗っている、可愛いダニも現れました。

このダニは、長い前脚をゆらゆら動かしながら、アリの胸部にしっかりとしがみついています。
前脚でアリを操縦しているようにも見えます。
しばらくすると、女王アリが現れました!!
このように採集しても、女王は見つからないことが多いようですが、運よく女王が入っていたのです!!

ケブカヒメサスライアリよりも大きく、色も付いていて美しい女王です。
多くの働きアリに守られながら行列を歩いていきます。
ヒメサスライアリの仲間同士の絆はとても深く、仲間が危険な時は助け合います。
1匹の働きアリが、チューブに足を挟んでしまい、身動きが取れなくなった時に、他の多くの仲間たちが、一生懸命引っ張って救出したのです!
野外でもクモの巣に引っ掛かった仲間を、同じように救出したのです。

引っ越しの最中に、足場がない時は、働きアリ同士で脚を繋ぎ合わせて『働きアリの橋』を作って仲間たちを助けます。
仲間同士で、どのようにこのような複雑な意思の伝達をしているのか、とても不思議です。
幼虫やサナギを運ぶ時には、決まった持ち方があるようです。


幼虫を運ぶ時は、仰向けにした状態で頭部に近い場所をくわえます。
サナギを運ぶ時は、仰向けにして腹部をくわえます。


ヒメサスライアリは面白いアリです!

今回行ったマレーシアの森には、500種類ものアリが暮らし、ヒメサスライアリだけでも20種類も生息しているのです!
ここは世界中のアリ研究者が集まる場所なのです。

アリだけでこれだけ種類が多いということは、他の動植物もすごい種類が生息していることとなり、マレーシアの自然の豊かさを改めて実感しました。
ヒメサスライアリは、まるでグンタイアリのように、決まった巣を持たずに毎日移動しながら暮らすアリで、集団でアリの巣に侵入して、アリの幼虫やサナギを盗んで捕食します。
まったく乱れることのない行列で攻め込むため、狙われたアリたちは防ぐことができません。
アリにとっての最大の天敵でもあるのです。
生活の周期には、このように狩りをしながら暮らす「移動時期」と、産卵のために一か所に留まる、「停滞期」があります。
移動時期は、毎日夕方に引っ越しを行います。
停滞期には、女王の腹部が、まるでシロアリの女王のように伸びて、一気に大量の卵を産卵するようです。
コロニーはとても巨大で、成熟コロニーは、働きアリが10万匹にも達するようで、行列も数十メートルにも及ぶことがあるのです。
そんなヒメサスライアリは、日本でも沖縄本島と西表島に生息していて、チャイロヒメサスライアリとヒメサスライアリの2種類が暮らしています。


左は沖縄のチャイロヒメサスライアリが、リュウキュウアメイロアリの巣を襲って、サナギを盗んでいるところです。
右はボルネオ産の、地中性のサスライアリDorylus laevigatusで、コロニーには大型ワーカーが存在します。
丸山さんにお聞きしたところ、ヒメサスライアリはアリ食ですが、サスライアリDorylus laevigatusは肉食中心の雑食性とのことです。
今まで沖縄やボルネオで、何度か働きアリは見つけてはいるのですが、コロニーの中心部を一度も発見したことがなく、女王を見たことがなかったのです。
そんなヒメサスライアリが、この森だけで20種類も生息しているのです!
丸山さんはヒメサスライアリの巣に同居をしているハネカクシやハエなどの好蟻性昆虫の研究をされていて、ヒメサスライアリのコロニーを採集するプロです!
今回は丸山さんから、いろいろ教えて頂くチャンスでもあります。
採集一日目、初めて見るアリが多く暮らしていて、かなり興奮しながらアリを探します。
当然ヒメサスライアリを意識しながら歩いて採集をしましたが、まったく見つけることができませんでした。
この日は、寝る前に目をつぶると、ヒメサスライアリの行列が目に浮かび、夢にまでヒメサスライアリが出てきました(笑)
二日目、三日目と時間が過ぎていきますが、全く見つからず・・・
しかし、丸山さんは「大丈夫、必ず見つかりますよ」と余裕です。
そして、ヒメサスライアリとの出会いは突然やってきたのです!!
午後3時ごろ、ジャングルの中を歩いていると、ものすごい密度と早さで移動する黒いアリを見つけました。
今まで見てきたアリとは、勢いが違います。
そして、近くで見てみると!!間違えなくヒメサスライアリだったのです。
沖縄で見慣れたチャイロヒメサスライアリと比べると、色は黒で、はるかに大型です。
しかも、驚いたことに行列を辿って行くと、一斉に樹上へと登っていくのです!
そしてしばらく観察をしていると、登ったアリたちが降りてきました。
そのアリの顎には、明らかに別の種類のアリの幼虫がくわえられているのです。
どうやら狩りを行っていて、樹上性のアリの巣を襲っていたようです。
この行列をじっと見ているトビトカゲがいました。
トカゲは、時々行列をペロっと食べています。
おそらくアリが狩りをした幼虫を食べているのでしょう。


行列付近には、ベンガルバエというハエもいました。
このハエは、肉食性でアリが運ぶ幼虫を盗み食いします。
左が、今回見つけたバンガルバエで、右が過去に石垣島で見つけたベンガルバエで、クビナガアシナガアリの幼虫を盗んで食べていました。
それにしても、すごい数と密度の行列です。
今まで見てきたアリの行列とは、まったく違う物で、まるで滝のように流れるようなスピードで走り続けています。
しばらく観察を続けたあとは、巣を刺激しないように働きアリを数匹採集して、宿に戻り丸山さんに報告しました。
丸山さんは働きアリを一目見て、「これはケブカヒメサスライアリです」と種類を見分けて、この種類は木に登ることが多く、時には樹上に巣を作ることもあると言うことも教えてもらいました。
そして、「おそらく18時ごろから引っ越しがはじまるので、そのころに採集に行きましょう」とのことでした。
この日は別の場所で、丸山さんも別種の大型ヒメサスライアリを見つけていましたが、残念ながら巣の中心は見つかりませんでした。
そして日が暮れ始めたころ、丸山さんと再びケブカヒメサスライアリの行列があった場所に向かいます。
すると、先ほどまであんなに大行列があった場所に1匹もいないのです!?
まさか、あれほどまでの長い行列が、こんな短時間で消えてしまうとは…
しばらく2人で探しますが見つからず、もう駄目かなと思ったころに、丸山さんが「いました!」と発見です。
そして、働きアリの密度が高い場所を見ていると、巣を発見です!!
高さ1mほどにある、木の幹の皮が浮いた部分に巣があったのです。
木の皮の隙間をライトで照らすと、真黒になるほどの密度で、アリが住み着いているのが見えました。
木の皮をはがせば、一気に採集できそうでしたが、ここは達人丸山さんの判断で、自然に引っ越しを始めるまで待つことになりました。
丸山さんが研究している、好蟻性のハネカクシやハエなどは、コロニーの中心部にいるため、狩りの最中の行列では採集することができませんが、コロニーのすべてが移動する引っ越しなどの行列から見つけることができるのです。
行列を見ていると、何とオスアリが行列を歩いていたのです!
ヒメサスライアリのオスは、体型ががっしりしていて、腹部も大きく特徴があります。
しかも良く見ると翅がありません。
丸山さんに聞くと、オスは女王と交尾をするためにコロニーに侵入すると、働きアリによって翅を切られるようです。
その後、女王と交尾をしに行くのです。
しかも、実際にこのように行列に入り込んだオスは、世界で数例しか確認されていないようです!
とても貴重なものを見ることができました。
そして、2〜30分待ったころ、丸山さんが「そろそろ始まりそうです」と言いました。
それからわずか数分後、本当に引っ越しが始まったのです!!アリたちはスイッチが入ったように、皆で幼虫をくわえて巣から一斉に飛び出してきます。
行列の太さ、密度、早さは一定に保たれながら、どんどん巣から流れ出てくるのです。
これには感動しました。
そして、ヒメサスライアリの行動を完全に知り尽くしている丸山さんにも驚きました。
丸山さんは、幼虫を運ぶ働きアリの中から、幼虫と同じように働きアリに運ばれるハエを採集しています。
この働きアリが運んでいるのがハエですが、ハエに見えますか?実はこのハエは、翅も脚もないハエなのです!?
どんなに見ても、これがハエの成虫には見えませんでした。

この中にハエが1匹いますが、どれだか分かりますか?
中心にいるのがハエの成虫なのです。

上がアリの幼虫で、下がハエの成虫です。
ここまで拡大すると、アリの幼虫にそっくりなハエの顔が分かりますね。
そう言われてみれば、ハエのような頭部があります。
しかし、これがハエとは・・・
シロアリの巣に住むノミバエを見た時も、とてもハエには見えませんでしたが、これはノミバエをはるかに超えるすごい姿です。
アリたちもまったく疑うことなく、幼虫と同じように大切に扱っていました。
ちなみにこのハエは成虫のメスですが、オスのハエは一度も発見されていないようです。
初めは、猛スピードで走る中から、幼虫とハエを見分けるのが難しかったのですが、しばらくするとだんだん見分けられるようになってきました。
アリの幼虫とは、大きさや形はほとんど同じですが、色が若干黄色っぽくて、透明感もありません。
続いてハネカクシが現れました!
アリによく似たハネカクシで、多くの個体は、アリに運ばれていました。

このハネカクシも不思議な形をしています。
特に腹部は複雑な形です。


普段は腹部を持ち上げて歩いていますが、腹部を伸ばすと、長い脚、腰のくびれ、触覚や腹部までもがヒメサスライアリにそっくりなのです。
そして、このハネカクシは自分で歩くこともできますが、働きアリに運ばれることもあります。

アリは完全に仲間だと思っていますね。
運ばれている最中のハネカクシは、運ばれるアリと同じように、まったく動きません。


巣に運ばれたハネカクシは、幼虫と同じ間所に置かれます。
ヒメサスライアリの行列には、様々な好蟻性昆虫がいました。

その後も行列を眺めていると、何かダニのような赤い虫が付いていることに気が付きました。
そして吸虫管で吸ってみると、先ほどの種類よりもはるかに小型なハネカクシだったのです!
このハネカクシは、働きアリに運ばれる幼虫にしがみついていました。
引っ越しが始まって30分くらいした頃でしょうか、ついに女王アリが現れました!!
たくさんの働きアリを引き連れています。

これが数万匹の働きアリのお母さんです。
このように移動時期は、毎日移動を繰り返していて、女王の腹部は小さくなっていますが、現在いる幼虫たちが成長すると、停滞期になり、女王は産卵を開始するのです。
すると、女王の腹部はまるでシロアリの女王のように大きく膨らみ、一気に数万の卵を産卵するのです!
南米に生息する大型のグンタイアリの女王は、産卵期には体長5〜6cmにもなると言われていて、世界最大のアリなのです。
ケブカヒメサスライアリの引っ越しは、2時間ほどかかって古巣が完全に空になりましたが、一体何万匹の働きアリがいたのか、ものすごい数でした。
この日は、ヒメサスライアリの生態を観察することができ、しかも女王まで見つかり、とても嬉しい日となりました。
丸山さんも、多くのハエやハネカクシを採集することができました。
そして最終日になりました。
これまで3種類のヒメサスライアリを発見しましたが、巣の中心を見つけられたのはケブカヒメサスライアリのみでした。
午前の採集を終えて宿に帰る途中、林道に黒いアリの行列を見つけることができました。
そしてよく見ると、ヒメサスライアリです!!
働きアリを数匹採集して、丸山さんに見てもらたところ、ツヤヒメサスライアリということが分かりました。
再びその場所に行き、行列を辿ってコロニーを探します。
すると、枯れ葉が積もった場所に、ものすごい数の働きアリが群れていて、よく見ると幼虫もいたのです!
間違いなく、この場所が巣の中心部です。
そして、また宿に戻り丸山さんにそのことを伝えたところ、採集道具の準備を始めて、今回は引っ越しを待つのではなく、コロニーを丸ごと採集することになりました。コロニーを入れるバケツの淵に、脱走防止のためにベビーパウダーを塗る丸山さん。
このバケツに、全コロニーを入れるのです。
長靴を履き、手袋をしてコロニーの場所に向かいます。
そしてコロニーがある枯れ葉ごとバケツに入れます。
丸山さんと枯れ葉をつかんだ瞬間、ものすごい数の働きアリがいました。
すると怒った数万匹の働きアリたちが、一斉に襲い掛かってきたのです!!
採集は1分ほどで終了しましたが、一瞬で全身がアリだらけです。


ヒメサスライアリは毒針を持っているのです。
両手、両足を100回以上刺されながら、なんとかバケツに採集することができました。
刺された場所は熱を持ち、ズキズキ痛みます。

バケツに入った数万匹の働きアリを、この後どうするのかと思ったのですが、丸山さんは手慣れた様子で、枝を1本くの字に折ってバケツに入れたのです。
驚いたことに、人工的に引っ越しを行わせて、好蟻性昆虫を採集するというのです!!
枝の置く場所を調節して、しばらくすると、幼虫を運んだ働きアリたちが一斉に枝を登り引っ越しを始めたのです。
先日見たケブカヒメサスライアリの引っ越しとまったく同じです。
これが引っ越しをしているヒメサスライアリです。
ヒメサスライアリは眼がないとは思えないほど、規則正しく、同じ方向に走っていきます。

ハネカクシとハエを採集する丸山さんです。
このスピードで走る中から、幼虫に似たハエを採集するのは大変な作業です。
今回も多くのハエ、ハネカクシ、ダニなどを採集することができました。

そして、働きアリの胸部に乗っている、可愛いダニも現れました。

このダニは、長い前脚をゆらゆら動かしながら、アリの胸部にしっかりとしがみついています。
前脚でアリを操縦しているようにも見えます。
しばらくすると、女王アリが現れました!!
このように採集しても、女王は見つからないことが多いようですが、運よく女王が入っていたのです!!

ケブカヒメサスライアリよりも大きく、色も付いていて美しい女王です。
多くの働きアリに守られながら行列を歩いていきます。
ヒメサスライアリの仲間同士の絆はとても深く、仲間が危険な時は助け合います。1匹の働きアリが、チューブに足を挟んでしまい、身動きが取れなくなった時に、他の多くの仲間たちが、一生懸命引っ張って救出したのです!
野外でもクモの巣に引っ掛かった仲間を、同じように救出したのです。

引っ越しの最中に、足場がない時は、働きアリ同士で脚を繋ぎ合わせて『働きアリの橋』を作って仲間たちを助けます。
仲間同士で、どのようにこのような複雑な意思の伝達をしているのか、とても不思議です。
幼虫やサナギを運ぶ時には、決まった持ち方があるようです。


幼虫を運ぶ時は、仰向けにした状態で頭部に近い場所をくわえます。
サナギを運ぶ時は、仰向けにして腹部をくわえます。


ヒメサスライアリは面白いアリです!
2007年05月09日
日本にはヒメサスライアリが2種類生息しています。そのうちの一種である、チャイロヒメサスライアリの狩りの場面を観察する事ができました。
このアリは沖縄本島北部のヤンバルにのみ生息していて、とても珍しいアリです。
僕の大好きなアリの一つで、毎回沖縄へ行くと、このアリを見つけることを目標にしています。
そして今回は運よく大コロニーを発見し、しかも狩りの場面を観察する事ができたのです。
午後4時ごろに、ヤンバルのジャングルを歩いていると、幼虫をくわえて走り回っているアメイロアリを見つけました。
始めは引越しでもしているのかと思いましたが、ばらばらに散っている姿は、引越しではないとすぐに気がつきました。
そして良く見ていると、同じくらいの細いアリがそこら中にいました。
これがヒメサスライアリだったのです!!
ヒメサスライアリはアメイロアリの巣に侵入して、幼虫やサナギを奪っていたのです。
枯葉をどけてみると、そこには数千匹ものヒメサスライアリの行列ができていて、アメイロアリだけではなく、その範囲にある小さなアリの巣を片っ端から襲っていたのです。
きれいな行列を作り、他のアリを襲っている姿は、まさにグンタイアリといった感じでした。
アリの幼虫を見つけると、始めは数匹の働きアリしかいませんが、数分後には数十匹ものグンタイアリが集まってきて、あっという間に幼虫を奪っていってしまうのです。
襲われた他のアリたちは、抵抗する事はなく、子供たちをくわえて逃げ出すのが精一杯です。
ヒメサスライアリは、繁殖期以外は毎日のように移動しながら暮らすアリで、決まった巣を作りません。
コロニーを探すために、枯葉を慎重にどけながら探していると、狩りの範囲は直径3m以上もありました。
そして2時間かけて、ようやく巣の中心を見つけることができました。
それは、地面に開いた、たった3mmほどの巣穴だったのです。
狩りが終わったのか、暗くなり始めた7時ごろから、働きアリがこの穴に戻ってきたのです。
その数はとても多く、1時間以上たっても次から次へと行列が帰ってくるのです。
この日は結局4時間もヒメサスライアリを観察していて、ジャングルに寝そべっていたので、全身をブヨに食われて大変な事になりました・・・

