サスライアリ亜科

2021年03月21日

とても楽しいアリ観察。
自宅でも毎日アリを観察して過ごしているのですが、特に長時間観察をするのは東南アジアや南米で、ヨコヅナアリヒメサスライアリグンタイアリなどの行列を観察するときです。
これらの行列には、様々な種類の好蟻性生物が現れるので、何時間でも観察を楽しめます。
ヒメサスライアリの引っ越し行列は、大体3〜6時間ほど、行列横に座ったまま一瞬も目を離さずに観察をします。
そんな長い時間見ているのかと思われるかもしれませんが、いつどんな生物が来るのかと興奮しながら観察するので、あっという間に時間が過ぎ去っていきます。
中でも、過去最も長い時間観察をしたアリがいます。
それはマレーシアで見つけたアリなのですが、この時は13時間ひたすら観察を続けました。
さすがに13時間は、自分でも長すぎだなと驚きです(笑)



この時の出来事は、「昆虫のすごい世界」にも書かせていただきました。
一体どんなアリを観察して、何のためにそんな長い時間見続けたのかをご紹介します。

これらのアリの行列は、いつどこに現れるか分からないので、ひたすら森の中を歩いて探すのですが、少しでも見つかりやすい場所として、落ち葉のない場所を探したり、落ち葉がある場合はホウキで掃除してから探しました。
そして、意外と効率よく見つかったのが、小川に橋のようになっている枝や倒木です。
人間が簡単にまたげる細い川でも、小さなアリたちにとっては渡ることのできない大きな川。
そんな時、橋のようになった枝や倒木を橋として渡ることが多いのです。

マレーシアの夜の森で、その出会いがありました。
午後9時ごろ、効率良くアリの行列を見つけることのできる、小川に倒れた枝や倒木を見回りをしていると、昨晩はハシリハリアリの行列のあった場所に到着しました。


今日も何か見つかるかな?と思い倒木を調べていると、わずかな隙間に赤いアリの行列があることに気が付きました。
まさか!このアリは!?

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
近くで見てビックリ!なんとモトサスライアリ Dorylus laevigatusの行列だったのです!!

モトサスライアリ
ヒメサスライアリとは別属で、アフリカに多く生息するサスライアリ属。
この種は生息地ではそれほど珍しいわけではなく、この旅でも毎日のように見つけていましたが、土の中から偶然行列の一部が見つかる程度で、見つけてもすぐに見えない場所へ移動してしまうため、このような行列を見るのはこの時が初めてでした。
このアリは完全な地中性で、行列が地表に出ることはまずありません。
ここでは、小川を渡るために硬い倒木を歩いていたのですが、硬すぎて中を通れない場所だけ仕方なく表面に行列が出ていたのです。
行列が出ていたのはわずか10cmほどで、その前後も行列を探したのですが、どこを通っているのか分からず、まったく見つけることができませんでした。
行列の個体を見ると、幼虫は運んでいないので引っ越しではなさそうです。
しかも左右から働きアリが歩いてきて、特に獲物も運んでこないので狩りの行列にも見えませんでしたが、とにかくすごい数の働きアリたちが行進しています。
この種は地中性がかなり強く、本来は見えない地中に行列を作るため、このように行列がむき出しになるというのは非常に稀なことなのです。
モトサスライアリの行列を見るのは初めてだったので大興奮!
あまりの興奮で一気に心臓の鼓動が早くなり、吸虫管を持つ手が震えていました。
行列が地表にむき出しになっている部分は長さ10cm程度しかなく、好蟻性生物を採集するには一度でも吸い逃すと逃げられてしまいますが、歩く速度はヒメサスライアリよりもはるかに遅いので、ギリギリ吸えそうな長さです。
ぷるぷる震える手で吸虫管を行列近くに置き、好蟻性生物が来るのを待ち続けます。
そして1時間ほどたったころ、赤くて小型なハネカクシが現れました!
その後も、同じような形で少し大型なハネカクシを数匹採りました。
観察を続けていると、働きアリたちが土を運んできて、行列の上に屋根を作ろうとしています。
やはりむき出しの行列を嫌うようで、30分もすると行列が土の屋根で見えなくなってしまうので、時々アリが作った屋根を木の枝で慎重に壊しながら観察を続けました。
しばらくすると、突然行列の足場が崩れ落ちました!
この行列の場所は倒木の壁面だったのですが、床はアリたちが土を運んで作っていたため強度が弱く、大量の働きアリが通った時に重さに耐えられずに崩れてしまったのです。
通れなくなったため、行列を作れなくなってしまったのです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
このままでは他の見えない場所に迂回されてしまい、観察ができなくなってしまうと思い、近くに伸びていたツルを、木の枝で押し付けて足場を作ってみました。
すると無事行列が再開されたのです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
続いて頭部や腹部に乗っているダニが現れました!
体が小さくて脚が長いダニ。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
こちらは白くて、体が大きいダニ。
サスライアリに乗るダニは何種類もいるようです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
そして小型働きアリに、何か小さな虫が乗っているのが見えました。
ダニかと思ったのですが・・・

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
なんと小型ハネカクシだったのです!
背中にちょこんと立っていて、ものすごく可愛い姿です。
行列を極力刺激しないよう、一瞬で吸い取ります。
容器の中を見ると、以前土の中から見つかった群れの中で偶然採れたハネカクシと同じ種類が入っていたのです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
横からよく見ると、このハネカクシは前脚は使わずに、中脚と後脚の4本でアリに乗っているのが分かります。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
この個体は黒い眼?があります。
背中に乗るハネカクシも何種類かいるようです。

その後もどんどん現れる好蟻性ハネカクシたち。
モトサスライアリの行列を見つけたのは初めてなので、どれも見たことのない種類ばかり!
いつどんな生物が来るのか?ドキドキが止まりません。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
全身ゴツゴツしたハネカクシ。
かっこいい!

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
アリたちの足元を極小の生物が歩いているのが見えました。
小さすぎて何の生物なのか全くわかりません。
気になったので吸ってみたところ、糸のように細いハネカクシでした。

そしてさらに数時間が経った頃、只者ではないオーラを放つ巨大ハネカクシが現れたのです!!
モトサスライアリ Dorylus laevigatus
見たこともない姿に思わず「わ〜!」と独り言を言ってしまいました(笑)
後日丸山さんに見てもらったところ、この種は過去にFITで採れたことがあったらしく、どのアリと関係を持っているのかは不明だったようで、これで寄主が判明しました。

そして朝6時ごろ、ついに何も現れなくなり行列が終わりました。
9時間連続で観察をしていて、ずっと硬い石に座り続けていたのでお尻が痛いですが、本当に興奮して楽しい夜でした。
次回モトサスライアリの行列を見られるのは一体いつになるのか。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
夜が明けてから、今回行列を見つけた倒木を撮影。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
一晩かけて見つけた好蟻性生物たち。
上に並んでいるのはモトサスライアリですが、働きアリには様々なサイズがあるのです。
9時間も見続けたのにこれだけ?と思われるかもしれませんが、どれも見たことのない種類だったし、大満足の成果でした。
引っ越し行列ではなく、狩りの行列でこれだけ多くの好蟻性生物が一緒に歩いているというのはすごいことなのです。
狩りの行列に好蟻性生物が歩いているのは、まるで南米のグンタイアリのようです。
丸山さんは、この森で過去にトラップを使って15種類ものハネカクシを発見しているので、今回見つかったのはごく一部であることが分かります。
いつの日か、引っ越し行列に遭遇してみたいものです。

シャワーを浴びて朝食を食べてから、再び行列を見に行くと、やはり行列は見当たりませんでしたが、もしかしたら近くにいるかもしれないと土壁を剥がしていくとなんと行列を再び発見!
昨晩の場所ではなく、もっと安全な場所に迂回していました。

ノミバエ
4時間観察しましたが、来るのは行列を一緒に歩いている翅のないノミバエだけで、他の虫は現れませんでした。
昨晩の観察で、ヘッドライトで照らして採集を行ったのですが、ハネカクシはライトの光に驚いて引き返す個体もいたため、もしかすると日中は行列を歩いていないのかもしれません。
気が付けば、たった10cmほどしか見えない行列を、9時間+4時間、合計13時間も観察をしていました。

ノミバエ
しばらく観察していると、アリの近くを数匹の小さなハエが飛んでいるのに気が付きました。
ノミバエです!これを見たとき、南米のグンタイアリに産卵する寄生性のノミバエを思い出しました。
しかし、観察をするとこのハエの目的はアリではなかったのです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
こちらのノミバエについては、すでに紹介済みですので、「好蟻性ノミバエの決定的瞬間撮った!!」をご覧ください。
このノミバエにもとても興奮しました。

そして、アリと関係を持つ好蟻性生物が気になった方は、ぜひ以下の本を読んで頂けたらと思います。

アリの巣のお客さん
丸山 宗利
あかね書房
2015-07-30


文章は九州大学の丸山さん、写真は小松さんと僕が担当となります。
この本で初めて紹介される写真も数多くあります。
写真絵本となりますが、内容がとても濃いので大人が十分楽しめる本となっています。
『アリの巣の生きもの図鑑』は、その名の通り図鑑要素が大きかったのですがこちらは外見や生態が面白い種が中心で紹介されていますので、誰でも楽しく学ぶことができます。



こちらは第62回青少年読書感想文の課題図書に選んでいただきました。
全国の図書館や、小学校の図書室にもあるかと思います。

アリの巣の生きもの図鑑
貴, 小松
東海大学出版会
2013-03-01


日本にはどんな好蟻性生物がいるのか?本格的に知りたい方、自分で見つけた好蟻性生物の種類を調べたい方にはこれ以上の本はありません!

アリも面白いけど、アリと一緒に暮らす生物も面白い!!






antroom at 09:30コメント(0) 

2020年01月05日

去年最後のブログはハケゲアリノスハネカクシの幼虫をご紹介しましたが、今年最初のブログでは、アリが目的ではなかった好蟻性ノミバエをご紹介します。
アリと関係を持つノミバエはとても種類が多いのですが、大きく分けて二つの習性があります。
一つはアリと一緒に暮らす同居タイプ、もう一つはアリの体内に産卵をする寄生タイプです。
今回は過去に見つけたものも一緒に、両方のノミバエをご紹介します。

好蟻性ノミバエ
まるでオオクワガタのように湾曲した大アゴを持つモトサスライアリDorylus laevigatus
サスライアリは主にアフリカに生息する軍隊アリですが、東南アジアにもモトサスライアリという種類が生息しています。
東南アジアのヒメサスライアリや南米のグンタイアリなど他の軍隊アリと同じく、放浪性で、大規模なコロニーを作り、行列を作って狩をして生活しています。
ちなみに世界最大のアリは、サスライアリの仲間の女王で、その体長は5cmを超えるようです!
5cmを超えるアリって信じられない大きさですね。
モトサスライアリについては、また別の機会にご紹介します。

好蟻性ノミバエ
偶然発見したモトサスライアリの行列を観察していたところ、アリと一緒に翅のない好蟻性ノミバエの一種が歩いていました。

好蟻性ノミバエ
このような無翅、または翅が短くて飛べない好蟻性ノミバエには様々な種類がいて、種類ごとに一緒に暮らすアリの種類が異なります。

以下は過去に見つけた同居タイプの好蟻性ノミバエたち
マルセグンタイアリのノミバエ
こちらは南米のマルセグンタイアリと暮らす無翅のノミバエ。

ノミバエ
上のとは別種のマルセグンタイアリと暮らしていた短い翅のあるノミバエ。

好蟻性ノミバエ
南米ペルーでオオズアリの巣で暮らしていたノミバエ。

好蟻性ノミバエ
マレーシアでアメイロアリの一種の巣で暮らしていたノミバエ。

ヒメサスライアリのノミバエ
マレーシアのヒメサスライアリと暮らすノミバエ。

ノミバエ 
マレーシアのハシリハリアリと暮らすノミバエ。

ウラナリノミバエ
好蟻性ノミバエは日本にも生息していて、ミナミオオズアリの巣からはウラナリノミバエが見つかります。
そういえば今思い出したのですが、このウラナリノミバエの食性にもかなり驚きでした。
いつの日か撮影できたらご紹介します。

ケブカコバネノミバエ
こちらも日本のアズマオオズアリから見つかるケブカコバネノミバエ

シロアリノミバエ
タイワンシロアリなどシロアリの巣からも、様々な種類の好白蟻性ノミバエが見つかります。
これらシロアリノミバエの仲間は、まるでシロアリのように体が白くて柔らかくなっているものがいて、一見ハエとは思えない姿をしています。

キリタンポノミバエ
さらに、これら無翅ノミバエの中でも究極の姿といえば、やはりヒメサスライアリの幼虫に擬態するキリタンポノミバエですね。
どっからどう見てもヒメサスライアリの幼虫に見えますが、実はこれがハエ、しかも幼虫ではなくて成虫だと言うのだから驚きです。
たしかに良く見ると頭部だけは成虫のように見えるのですが、翅や脚のない姿はどう見ても成虫には見えません。
このようにアリやシロアリの巣には、たくさんの無翅ノミバエが暮らしているのですが、実は無翅なのは主にメスで、オスは普通のノミバエと同じく翅があるようで、そのことは以前から丸山さんから聞いていたので知ってはいましたが、どの種も未だにオスが発見されていないものがほとんどなのです。

好蟻性ノミバエ
話は戻りますが、そんなモトサスライアリの行列を観察していると、アリの近くを数匹の小さなハエが飛んでいるのに気が付きました。

好蟻性ノミバエ
ノミバエです!アリの頭上を飛び回っていて、これを見たとき、アリの体内に産卵する寄生性のノミバエだと思いました。

以下は過去に見てきた寄生タイプのノミバエたち
ナマクビノミバエ
ケアリに寄生するナマクビノミバエ

マルセグンタイアリに寄生するノミバエ
マルセグンタイアリに寄生するノミバエ

ヒアリに寄生するノミバエ
ヒアリに寄生するノミバエ
このノミバエは、ヒアリの体内で成長した後、最終的に頭部に移動して、頭部を切り落としてその中でサナギになり羽化をします。

ノミバエ
クロオオアリやムネアカオオアリに寄生するノミバエ

グンタイアリのノミバエ
他にも目的はよく分からなかったグンタイアリのノミバエ

パラポネラに寄生するノミバエ
パラポネラに寄生するノミバエなど、様々な種類の寄生性ノミバエを見てきました。

好蟻性ノミバエ
好蟻性ノミバエ
モトサスライアリは地中性が強く、行列が地表に出ることは滅多にないのですが、この時はどうやっても地中を通ることができない状況にあり、わずか数センチだけ行列が見えていたのですが、このノミバエは、このわずかなアリの行列の上を、右に行ったり左に行ったりホバリングしていました。

好蟻性ノミバエ
しばらくすると、巣穴付近に降りるのです。

好蟻性ノミバエ
中心の黒い穴がアリが出入りする巣穴で、その左下に止まるノミバエ。

好蟻性ノミバエ
ちなみに、こちらは同じ巣穴から出てきた無翅のノミバエ。
普段はアリと一緒に行列を歩いているのに、なぜか巣穴付近に複数の無翅ノミバエが立ち止まっているのが不思議でした。

そして、行列近くに降りたノミバエは、その後大胆にも歩いて巣穴の中に侵入したのです!
今まで見てきた寄生性ノミバエたちは、外に出歩くアリを標的として、アリの隙を見て背後から一瞬で体当たりして産卵をしていたのに、このように逃げ場のない狭い巣の中へ侵入するノミバエを始めてみました。
巣の中に入ったノミバエは1分以内には外に飛び出てくるのですが、肝心のところが見えないので、しばらく観察をしていても何をしているか分かりませんでしたが、この時までは、モトサスライアリに卵を産み付けているのだと思っていました。
しかし、実際はこのノミバエの目的はアリではなかったのです・・・。
ノミバエは昼行性のようで、夕方になりあたりが薄暗くなってくるといなくなってしまいました。
ノミバエもいなくなったので、ここでの観察は終わりにして、別の場所で深夜まで森を歩いて他のアリなどを探しました。
そして歩き疲れたので小屋に戻って休憩することに。
コーヒーを飲みながら、先ほど撮影した写真をパソコンに取り込みのんびり眺めていると驚きの写真を発見したのです。

好蟻性ノミバエ
その写真がこちら。お分かりでしょうか?
これは飛び立ったノミバエを撮影したものなのですが、よ〜く見たところ何かを抱えているようです・・・。
えっ!これってまさか!?
他の写真も確認してみたとろ・・・。

好蟻性ノミバエ
なんとメスと交尾をしながら飛ぶオスが写っていたのです!!
これには肉眼ではまったく気が付きませんでした。

好蟻性ノミバエ
拡大してみると、しっかりと前脚でメスを抱えていますね。

これには飲んでいたコーヒーをふき出しそうになるほど驚きました。
翅のあるノミバエは、寄生しようとアリを狙っていたのではなく、行列を一緒に歩いている翅なしノミバエと同種で交尾をしようとしていたのです。
巣穴付近で立ち止まる無翅ノミバエは、空から飛んでくるオスを待っていたのです。
このようにメスに翅のないノミバエなどは、交尾したまま飛ぶことのできるオスに、別の巣に連れて行ってもらうということは以前から丸山さんから聞いていましたが、実際に見ることができて大感動です。
アリやシロアリの巣に同居をしている翅のないノミバエの多くは、オスが発見されていない種類がほとんどで、アズマオオズアリのケブカコバネノミバエはオスを発見したことがありますが、その他の種については好白蟻性も含めてオスは見たことがありません。
これは雌雄の標本が手に入る貴重なチャンスです。
しかも、モトサスライアリは行列を観察するのがとても難しいアリなので、このチャンスを逃したら一生採れないかもしれません。

翌朝、モトサスライアリのノミバエを採集するために森の中へ。
しかし残念ながらモトサスライアリの行列があった場所は、すでに1匹のアリもいませんでした。
行列は終わってしまっていたのです・・・。
そして午後になり小屋に戻ると、撮影用に持ってきていたモトサスライアリの働きアリ100匹ほどを逃がすのを忘れていたことに気が付きました。
行列はなくなっていましたが、きっと匂いを辿ってコロニーの元に帰れるだろうと思い、行列のあった場所に逃がしに行くことに。
逃がしたアリたちは、行列があった場所を辿りながら穴の中へ入っていきます。
30分ほど観察を続けていると、なんだか数が増えているような…。
その後、なんと行列が復活したのです!
理由はよく分かりませんが、巣穴に戻った働きアリたちが仲間の元に合流したことが何らかの刺激になり、同じ場所に行列が再開されたものと思われます。
おそらく見えなかっただけで、迂回してすぐ近くに行列があったのでしょう。
そして再び無翅のノミバエのメスも出てきたのです!
これは午前中に採集できなかったオスを採集するチャンスです。
網は持っていないので、飛んでいるオスを採るのは難しいと思ったので、メスを使っておびき寄せることにしました。

好蟻性ノミバエ
小さな容器の壁面にベビーパウダーを塗り、翅のないメスが逃げられないようにして、この容器を行列近くに置いてオスが来るのを待ちます。
そして数分でオスが現れ、予想通り容器に入ったので蓋をして採集しました。
それにしても、瞬時に匂いを嗅ぎつけてどこからともなく飛んでくるオスがすごいですね。

好蟻性ノミバエ
無事に雌雄で採集。
好蟻性ノミバエの雌雄そろった貴重な標本となりました。
こうやって並べてみても、とても同種とは思えないですね。

今回は無翅の好蟻性ノミバエの交尾を始めて見ることができました。
ヒメサスライアリと暮らすキリタンポノミバエもオスはまだ誰もみたことがないようですが、オスには翅があるようなので、同じような交尾をするのではないかと思います。
しかし自ら歩けないキリタンポノミバエが地上に現れるのは引っ越し行列のみで、この時常にアリたちがアゴで咥えて運んでいます。
この状態でどのように交尾をするのでしょうか?
もしくはビバークに侵入するのでしょうか?
キリタンポノミバエのオスや交尾もいつの日か見てみたいものです。






antroom at 10:47コメント(0) 

2017年03月25日

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
東南アジアに生息するモトサスライアリ Dorylus laevigatus。
赤い体に湾曲した大顎など、最高にかっこいいアリです。
生息地では、それほど珍しいアリではないのですが、この種はとにかく地中性が強くて、行列も地下を通るため観察の難しいアリです。
巨大な女王アリと、膨大な数の働きアリで地下に巨大コロニーを作ります。
そして、数々の好蟻性生物が同居をしていて、いろいろな意味で魅力的なアリ。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
サスライアリはアフリカに数多く生息するアリで、南米のグンタイアリのような暮らしをしています。
世界最大のアリといえば、3cm前後のパラポネラ、ブルドックアリ、ギガスオオアリ、ディノポネラなどが有名ですが、実はサスライアリの女王アリが体長50mmを超えるので世界最大のアリなのです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
そして働きアリには大小様々な大きさがあり、各サイズを並べてみるとこんな感じです。
一番小さな個体が2mmほどで、最大サイズは10mmほどとなります。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
50mmにも達する女王アリは見たことはありませんが、大きさを比較してイメージしてみるとおそらくこんな感じです(笑)
世界で最も見てみたいアリはサスライアリの女王アリです。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
アゴを大きく開いて威嚇する兵隊アリ。
働きアリには大小様々な大きさがあり、大型個体は大きなアゴを持ちます。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
指を近づけると当然噛まれます。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
東南アジアのサスライアリは噛まれても大して痛くはありませんが、サスライアリの本場であるアフリカの種は、噛まれた瞬間に皮膚が切り裂かれて激痛らしいです。
いつかアフリカのサスライアリに噛まれてみたい!!!!

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
撮影した写真を見返していたら、あることに気が付きました。
この写真の右個体の口をご覧ください。
アゴの間にある口には、他のアリと同じくヒゲがあります。
ここでエサを舐めたりするのです。
そして↓の写真をご覧ください。

モトサスライアリ Dorylus laevigatus
蓋がしまって口髭が完全に収納されています!
左の個体も蓋がしまっている状態です。
モトサスライアリは完全地中性なので、地下に穴を掘る時や移動するときには蓋をしてヒゲを守っているのではないかと思いました。

メクラネズミ コタケネズミ
これをみて、メクラネズミ、タケネズミ、ハダカデバネズミなどの、地中性げっ歯目を思い出しました。
これらのネズミたちは、前歯を使って地下に長いトンネルを掘るのですが、この時に口の中に土が入らないように、唇より前に前歯が出ているのです。
つまり、前歯を開いても唇は閉まっているので中に土は入らないのです。

antroom at 10:04コメント(2) 
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