先日、とある勉強会に参加した際に、「管理職はどうあるべきか」といったことが話題になった。
その中で、ある方の話を聞いたときに色々と考えさせられることがあった。
そこは中小企業で転勤はなく、部署の配置転換もほとんど行われないような会社だそうである。
そこのある部署の部長はパワハラがひどく、部下がなかなか育たず、人の定着もうまくできてなく人の入れ替わりが多い部署となっている中で、そのすぐ下の優秀な課長が、そうした状況に耐えかねて「辞める!」と言い出したので、会社としては困った状況になっているそうだ。
その部長は20年以上も同じ部署にいる方で十分なキャリアがあることから部長に抜擢されたそうだが、部長になってから、そのパワハラがひどくなってきたようである。

これらの話題などから、管理職のマネジメント能力の育成はどのように行うべきかについても議論がなされた。
大企業では、豊富な人材と多くの部署があるので、経験年数に応じて少人数のチームを任せていくことから、様々な部下や他部門を使うというマネージメントに必要な能力も業務の中でも段階的に育成されていく。またそうした日々の活動からその人の適正を見つけて優秀な人材を選択して、更なる上位職へ引き上げていくことができる。
一方で、中小企業では職種のキャリアを積んでスキルを上げることは良くやられているが、管理職のマネジメント能力の育成にはなかなか時間が使えていないことが多いようである。その部門・職種での経験値が高いことで、よく知っているから管理職にするということがまだまだ大半ではなかろうか。

病院に置き換えて考えるとどうであろうか。
病院では、100床当たり170人程度の平均職員数との統計があり一見多いように見えるが、医師や看護師等の専門職種に分かれてしまうため、中小病院では、わずか2~3人しかいない部署から管理職を選ばなければならない現実がある。管理職の人選をするにも限られた人数から選ぶしかなく、やはり経験年数が長いからこの人しかいない・・・というところで落ち着いてしまう。

ここには、管理職になるまでに前準備としてマネジメントを学ぶ機会がないのがほとんどで、役職についてからはその人の持つ資質に大いに依存する形で、その部署の運営がなされていく。
ここに大きな落とし穴があるのだと自分は考える。
自分の職種領域についての知識は部下よりも持っているから、その部分は部下から頼られるとしても、部下を使ってその部門を動かし組織から求められる成果を上げていくマネジメントについては良く解らず、自己流でこなしていく。その自己流が、何かにつけて部下ができていないことを常に問い詰めてパワハラまがいになったりとか、何でも部下の言うことを聞いて、部下ができそうになければ自分で処理してしまう受身型になったりと、組織としてはアンバランスを生み出しがちとなっていることが多く見られる。
そういう状況になると、病院では管理職対象でマネジメント研修をさせればどうかと考えることが多いが、それでは対処療法に過ぎないのではと考える。

大病院でもいえることであるが、特に各部門の人数が少ない中小病院では、入職したての新入社員も含め全ての職員を対象に、毎年継続してマネジメントについての研修を必須にすべきではなかろうか。
そうすることで、管理職に登用された際に、あらかじめ学んだ知識と経験から自部門を運営できるであろうし、部下の方もマネジメントとは何かを理解して、成果を上げるため上司が指示命令していることを受け止めやすくなって、何もいしきしてないよりも組織運営は円滑になるはずである。

これから労働生産人口が激減する中では、人材確保も厳しくなるので、今のうちに少人数でも優れた人材育成ができる仕組みを作っておかねば、手遅れになってしまうかも知れない。



先週のニュース記事に「医療用ホチキスを使い回し 北海道・小樽市立病院」といった見出しが出た。
内容は、脳神経外科の手術の際、本来使い捨てである医療用ホチキスをアルコール消毒して48人の患者に再使用していたというもの。
傷口の縫合ではなく、頭皮に器具を固定する際での使用のため、複数の医師や検査技師は問題ないと誤解していたとのこと。

使い捨て(ディスポーザブル)製品は、複数の人間に使用することなく使いきりで感染防止になることが主たる目的となる。ただ、こうしたディスポーザブルの医療用材料は、高額な材料も多く、なおかつ使用した分をそのまま診療報酬で請求することができないものが多い。

今回の記事になった医療用ホチキスは1回分で針が30~40本程度入っているが、1回の使用できれいに針を使いきることはほぼなく、針が残ってしまうことがほとんどである。ホチキスの針ひとつでも医療用で高額なので”もったいない”という意識が働いたことで起こったケースであろう。

ただこの医療用ホチキスは高額といっても1個で高々数万円の品物であるが、これを再使用して感染したとなると医療事故で訴訟で・・・と考えると被害者への慰謝料や訴訟費用、医療事故に対する風評で患者が減少等々、実は莫大な損害が発生しかねない事象なのである。
上記は少し考えたら容易にリスクが想定できるものであるが、同じように医療機関でコスト削減に取り組む場合で、診療現場では本来重要視すべきポイントとはずれたところに力点を置いて実践されているケースがまだまだ多いように感じる。

医療機関でのコスト削減においては、診療現場と密接に関わる薬剤や医療用材料といった治療で必要な材料への取り組みが重視されている。
医療機関に限らず一般的には、材料購入では
①大量に購入することを条件に1コ当たりの単価を引き下げすること
②必要な種類・量だけ購入して余分を持たない
③同じ用途・品質ならばより安価な製品を選択する
が基本で、これをもって効果的な交渉が可能となる。
ただ、診療科の違いや出身医局の違いなどが要因となって、こうした基本的なことが医療機関ではなかなか進んでいないのが現状である。

ニュース記事の事例のような小さなことにコスト削減の意識を向けさせるのではなく、
材料の購買として効果の高い基本的な3つの取り組みを最優先に院内で議論と実践ができるよう、比較分析の徹底と院内での情報共有を当たり前にしていき、風土を変えていく努力をもっとしていくべきと強く思う。




先週、以下のニュース記事を見て、少し考えるところがあった。

「無料タクシーサービス、19年3月開始」との見出しで、福岡のベンチャー企業が行うそうだ。
利用者は専用の配車アプリを使用することで無料でタクシーを呼び、目的地まで乗ることができるそうだ。
会員登録時に年齢や性別、趣味などのアンケートに答えることで、その個人の好みに合わせた広告が社内ディスプレーに流される。行き先などの行動パターンのデータも蓄積され、利用するほどその個人の好みに合った広告が流れるようになるそうだ。
運用の仕組みとしては、個人の興味関心に合わせた「ターゲッティング広告」を用いて、効果的な広告を流すことができて、広告主からの広告宣伝費で運賃がまかなわれるとのこと。
まずは福岡で10台からスタートして、2020年には東京を含めた首都圏にも進出して2000台での運行を計画しているそうである。
タクシー台数の総量規制・定められた運賃範囲を基準で認可を行っているタクシー業界にとっては、常識を打ち崩す企業の参入ということになるので、興味を持った。
利用者の立場からすると、タダでタクシーを利用できるのであれば、現行どおりに運賃を払ってタクシーに乗ることはまず選ばない。
現状では、相場の何割か安くして運行している白タクがあるが、そうした違法なサービスもタダには勝てないので、この事業が拡大した場合には減っていくのかとも思ってみたりする。そうしたことは別として、このニュースから思ったのは、既存の考え方を超えた発想をすることで、新たな運用形態が見つけられたことになるほど感心した点である。
現状のタクシー運転手の給料は歩合でどれだけ客を乗せることができるかによって決まり、平均年収も330万円程度と他業種と比べても低い。しかしこの新たな運用形態の無料タクシーでは、広告主の費用で会社の運営ができるのであれば、固定給で運転手を確保できるはずなので、運転手の確保もしやすくより良い人選もできるであろう。
医療や介護についても、同じような発想をして従来とはまったく違った収入源を考えていくことはできないか、といった疑問が頭をもたげた。
予防医療や自費診療、あるいは医療周辺サービスを提供することで、サービスの対価として収入を上げる策は現状でも色々取り組まれているところは多い。ただ、今回の無料タクシーの事例では、サービスの対価として費用をもらうのではなく、利用者の情報を広告主に提供することで費用をもらっての運用となっている。
医療では、患者の情報を外部に売るなどということはもってのほかでできる訳がない。
ただ、既成概念を取っ払って、適正な方法で何か別の収入を確保することを考えてみるべきではなかろうか。
例えば、何か医療機関で培ったノウハウについて、外部に提供することで収入を得るみたいなことはありえるかも知れない。そのノウハウ提供についても、日本国内だけで考えるだけでなく、海外をターゲットにすることも考えられる。
海外、特に欧米の医療機関では、患者や保険機関から得られる収入のほかに寄付の文化があり、社会の成功者が慈善事業として医療機関に莫大な寄付を行いそうした資金で、運用を行っているケースが多いと聞く。
日本もそうした寄付の文化が拡大すればいいのにと思うが、それはなかなか難しいであろう。
今後ますます、診療報酬・介護報酬も抑制の方向にしか行かないことは明白なので、上記のような発想で新たな収入源について検討を始めるべきであろう。

↑このページのトップヘ