2006年07月28日

サンテルモのホームレス支援施設

サンテルモ・コロニアルのご主人のイネスさんは社会学者。そこでブエノスアイレスのホームレス事情について知りたい、と言ってみたところ、快く引き受けてくださった。以下彼女に聞いた話。

・行政は貧しい人たちにひと月150ペソ(1ペソ=約40円。約6000円)のお金を支給している。ただし、子どもが二人以上の世帯に限る。
・ゴミの集積の仕事などを行政が出し、それを貧困層の人々が引き受けて暮らしている。(実際に夜中になると、街角ごとに、ゴミを仕分けている人々の姿が見られた。)
・2002年の経済危機以降、失業率は上がり、一時30%にものぼった。現在は大体15%。
・公立病院や学校での医療費や教育費は基本的に無料。
・地域ごとに、地域の人々や基金などによって運営されるセンターがあり、ホームレスの人々の食事等のサポートをしている。
・ホームレス対象のアパートを行政が運営している。
・所有者が不明な物件などに入って生活しているホームレスたちもいる。彼らの立ち退きにあたっては立退き料が行政から支払われることがある(イネスは15000ペソ、と話してくれたが、実際の運用実態は不明)。しかしアパートなどは借りられないので、最低レベルの宿泊施設に泊まる事になる、それでも月300ペソはかかるし、いずれそれも底をつく。或いはそのお金で市や国の所有地などに小屋を建てて生活するかのどちらか。

看板1 食事風景








その後、彼女の案内で近所のホームレス支援施設を訪ねることができた。「アサンブレア・ポプラール・サンテルモ・プラザ・ドレゴ」(サンテルモ・ドレゴ広場の人々の集まり)という名前。

近隣の人々がお金を出し合い、手作りで、市が提供した土地に建てられた支援施設。運営費は地域の人々20人が月に20ペソずつ出し合っている。ここは土曜日と月曜日の午後1時から150人のホームレスに食事を提供。朝の9時から4人のボランティアたちが仕込みをする。

自家製パン月曜日にはそのほかに朝の4時からパンを焼き、自家製のパンとして販売する。評判はよく、全て必ず売り切れとなる、という。







ボランティア1厨房で働くボランティアのおいちゃんは、カメラを向けると何度でも鍋の中身を注ぎ分ける格好でポーズをとってくれた。







厨房パンキッチンのカウンターには食事に添えて出されるパンのトレイ。








ご飯1お米や食事のためのパンは市が支給し、肉やそのほかの食材は自分たちで調達する。とりあえずこの日の食事のご相伴にあずかってみる。ご飯を煮込んだアルゼンチン風おじや、というところ。






Tokito「トキート」はひとなっつっこい黒猫。












子どもワークショップ看板貧しい家庭の子どもたちのための無料の学業支援プログラムなども、教師達のボランティアによって週に2回開かれており、子どもたちの絵や作品なども並べられていた。外の看板には「アートワークショプ デッサン、絵画、粘土による造形 無料 4歳から 火曜日と金曜日に開催 18時から」と書かれていた。 

アセンブレア作品1アセンブレア作品2










アセンブレアボランティア2働いていたホアン・カルロス(中央。左はボランティアのスサーナ)は、目の前に現われた日本人が20年にわたってホームレス支援に関わっている、と知ると、「遠く離れているが、俺たちは心で繋がった同志だ」と真剣な面持ちで自分の胸の真ん中を握りこぶしで叩きながら言った。数年前まで現役の建設労働者だった彼は現場で墜落事故に遭い、体中骨折をして以来、失業手当てで生活をしなければならなくなったのだと話してくれた。そして「キミは日本から来たんだよな。広島・長崎の事を思うと悲しくなる」と語ってくれた彼の目には涙が光っていた。



路上の友人たちへ表の黒板には「路上の友人たちへ。サッカーの試合を見に集まって下さい。今日午後四時。私たちはあなたを待っています」と書かれていた。







  

Posted by aogoomuzik at 01:36Comments(4)TrackBack(0) 雑記 

2006年07月18日

コロン劇場のプグリエーセ

あまりのスケールの大きさに度肝を抜かれ、おもわず天井の写真とって係の人に怒られたり、あまりの響きの気持ちよさに意識を失ってしまったりしたブエノスアイレス・コロン劇場だったのだけれども。

コロン天井コロンコンサート










プグリエーセ顔1プグリエーセ顔2で、コンサートが終わって通りに出て、オベリスコの横を通ったら、車がバンバン通ってる路面の端っこにオズバルド・プグリエーセのストリート・スプレー・アート。



改めてプグリエーセのコロン劇場ライブをカーステレオで聴いてみる。オルケスタのうねりと響き、そして観客の熱狂の渦。それが、まさにあの空間を満たしていたものだったのだ、と知る。北九州の路上で、時空を超えてそこにいるような、不思議な感覚。




そういえば開演前に入った劇場のカフェでは生まれてこのかた食べたことのないデカサと重さと甘さのケーキに難渋。いや、エライ目に遭いました。ほどほどにせんかい、ほどほどに。
 
コロンケーキ  
Posted by aogoomuzik at 11:49Comments(2)TrackBack(0) 雑記 

2006年07月16日

ブエノスアイレス午前零時

BsAs hora zero 1ブエノスアイレスに到着したその日の夜。「ポルテーニョ・イ・バイラリン」のミロンガに向かうケンジ&リリアナの2人と一緒に、深夜のサンテルモの街へと、出た。

ずっと向こうまで、道路のアスファルトの表面が、黄色い街灯に照らされて、ただ黒々と濡れたように光っている。人っ子ひとり、いない。まるで夢の中の、寂寥とした風景。

そんな中を3人でミロンガへと向かう。そんな中を、みんな、ミロンガへと集まってくる。タンゴが、生まれようとしている。それが、ブエノスアイレス午前零時。


 

 最近になって、この曲の背景をピアソラ自身が語っている言葉に出会った。「『午前0時』は、ブエノスアイレスのナイトクラブやキャバレーで演奏していた頃に作ったんだ。朝の4時とか5時まで弾くんだが、深夜の12時になると、我々は休憩を取ったものさ。店を出て、ブエノスアイレスの街をあちこち歩くんだが、うら寂しいものでね。本当に静かなんだ。聞こえるのはパトカーや救急車のサイレン、そしてそんな時間まで歩いている、誰かの足音だけ…」
 なるほど、やはりそういうことだったか。「闇に響く靴音」を、ピアソラは確かに光景として、私の中に届けてくれたのだ!
(乾千恵「7つのピアソラ」より抜粋)

ポルテーニョ・イ・バイラリン ケンジ&リリアナ  
Posted by aogoomuzik at 02:24Comments(2)TrackBack(0) 雑記 

2006年07月13日

真夏ノ夜ノ夢・福岡編

去年の夏に北九州八幡・引野のAndyでやったこの企画、今回はCHICAGO CLUBのRyu.Kちゃんの助けを借りて福岡・西新のJAJAで。

トップバッターはミステリアス・ケイト。実はブエノスアイレスでひいた風邪がまだ完治せず、相当に調子が悪かったケイト姐さん。それなのに、ああ、それなのに。さすが。尊敬しますわ、もう。

そのままアコーディオンのいわつなおこを招き入れて「ボンボンショコラ」に流れ込む。シャンソンです。でもねーシャンソンってさ、「お」がつくような雰囲気でしょ一般的には。でも実際にはいわば下町のべらんめえの歌だったりするわけで。つまりこういう風でないとねえ。いいですわボンボンショコラ。憧れます。きらりん。

さていよいよドグラマグラ。ゲストに若林さんやらアジくんやら篠原くんやら、そして森川良哉も参加。こりゃ立派な大ドグラマグラ。ファンク系の即興から入って「千里眼」へ。途中「平和に生きる権利」なぞが出てきたり、また戻ったり。色んな風景、色んな情景、色んな光景。千夜一夜の物語。みんなで渦をグルグルと。お客さんも一緒になって会場ごと大きな振幅のグルーヴに。途中若林サンのどこのともつかぬ民族音楽風ヴォーカルがお客さんを巻き込んだり。いや、楽しうございました。

お次はトリオ・ロス・ファンダンゴス。ドグラの轟音グルーヴの後突然生音アコースティックな展開に、なんとなく急に丸裸で放り出されたような感覚。いやん。みんな座り込んでじっと見詰める。いやん。でもこの空気ってブエノスアイレスで味わったヤツに似てるぞ。よっしゃ、とばかりに向こうから持って帰ってきた勢いで挑みかかる。ロック系の音が大好きで集まったお客さんも「ん?ほお、これはこれで…」と次第に身を乗り出し、ノってくる。いひひ。そうこなくっちゃ。

最後は呆けすとら。楽隊はサノテツヤ、中村みゅう勇治、築城勝彦、倉田健一、森川良哉、宮野章、フクヤマワタル、白川和宏、Aji、秋元多恵子、いわつなおこ。舞踏・ダンス・パフォーマンスが垣内美希、岩城朋子、山田ツトム。音頭取り谷本仰。サノテツヤがテナーを、中村勇治がバスクラをもって参戦。音に厚みが加わって上々。みゅうちゃんはクラスター系のフリーソロがいい。サノテツヤもフラジオなんか吹き鳴らしたりしてる。築城勝彦のペットの音はさながら飛礫のよう。そう、音そのものが面白いっていうのは、すごい魅力なんだよな。Ajiくんと時々目が合う。すごい楽しそうな顔で笑ってる。いいなあ。イベントの締めくくりでもあり、まったりした展開はほとんど作らずに突っ走る。ダイナミックな振幅の大きさは人をはっとさせ、延々と単調に続くビート、グルーヴは感覚を麻痺させ、しびれさせる。お客さん踊りまくり。うほほ。そうだ、もうちょっとステージ前に光が欲しかったなあ。

3バンド連続フル出場はちと疲れたけんどもね。楽しかったわい。また、今度。Ryuちゃん、ありがとう。おお、そうだ、ドグラのDVDもちょろりと出たぞ。  
Posted by aogoomuzik at 00:13Comments(0)TrackBack(0) ライブ 

2006年07月04日

ブエノスアイレスの動物たち

なんかねえ、のんびりしてるんだよなあ。犬たちは道で寝転んで熟睡してるし。雀たちは足元までやってくるし。なんちうか、構われないことに慣れてて、のびのびしてる。

ブエ犬 1 ブエ雀ブエイヌ 2











犬やら猫にとっては通りがかりの人に撫でられたりするのも考えてみりゃあ実はメイワクなハナシなのかもね。「べたべた勝手に触るなっちゅうの。頭を撫でるなって!」そりゃまあ、そうか。赤ん坊が見ず知らずの人に「いないいないバア」なんかされた日にゃ「あんた、誰?いきなり変な顔して。オカシイんちゃう?…まあ親の手前もあるし、一応笑っとくか」てなもんかもしれません。そりゃ、そうだ。すんませんなあ、生まれたばっかりなのにそんな気ぃ遣わせて。

ブエ猫 ブエ犬 3 ボカ犬  
Posted by aogoomuzik at 13:27Comments(5)TrackBack(0) 雑記