6919b47a.芸術家の青春群像には、「トキワ荘の青春」なんてのもあったけど、これもそんな感じだ。アイドル嵐の主演なのでたいして期待もしていなかったけれど、さすがハリウッドスターの二宮和也にはやられてしまった。

漫画家をめざしている村岡(二宮)は部屋にころがりこんできた生活力なしの芸術家の卵たちを養うために、やりたくもない売れっ子漫画家のアシスタントを泊り込みでする。そしていくばくかのまとまった金を手にした後「自由について考えよう」って言うの。ここがすごくいいんだわ。村岡は大人なんですよ。

二宮クン以外の4人については、演技力がいまいちなんですが、櫻井くんについてはキャスターかラップでも歌っていたほうがいいと思います。相葉くんも動物相手にバラエティをおすすめします。大野くんは裸の大将的ないい味だしてましたよ。松本くんは、出番が少なすぎてなんとも言えません。でも華やかなアイドルオーラは消していたので良かったかもしれません。

すごく良かったシーンは、売れない漫画化村岡の元恋人の西垣かおる(田畑智子)が、なにかとからんでくるところだ。かおるは、村岡とともに漫画家をめざしてアシスタントをしていたが、村岡が世に出ることもなく、経済力もないので見切りをつけたのだ。そして漫画雑誌編集者と結婚し、何不自由ない生活をしている。でも、元恋人に未練があって、彼を売り出そうと、村岡にからんでくる。夫の雑誌に漫画を掲載しないかと言うのだ。

村岡「駅まで送っていくよ。このハナシを断るのは、君の夫が無能だからだ。」そしてかおるに無理やりキスするんです。

自分のプライドと自分の今いる場所と、元恋人への未練とその夫への嫉妬と、すべてが絡み合っている男のやるせない気持ちを二宮くんは、自然に演じています。やっぱり彼は信頼できる演技をしますね。

ラストの村岡への3人の手紙が秀逸です。「僕たちは部屋をでていきます。」という手紙。それは一つのものに打ち込む強い意志と、孤独に耐えうる力を持ち合わせていない己を、この二度と来ない冬で知りえたからです、という意味のものだった。孤独に耐えられなくて、友達の部屋に入り浸って創作もせず、誰かがいないと探しに行ってしまう。そんな自分たちに芸術はできない凡人だと悟ったからなんですね。

ただ、村岡だけは違って、孤独に耐えて自分の世界を追求していく力を持っているわけです。いろいろな物を捨ててひきかえに何かを得る。そんなメッセージを感じました。