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横浜みなとみらいホール小ホールシリーズ<海のうえの音楽会>Vol.10
ハインツ・ホリガー(オーボエ)&スイス・チェンバー・ソロイスツ

【日時】2010年2月13日(土) 14:00開演(13:30開場)
【会場】横浜みなとみらいホール 小ホール
【曲目】
ベートーヴェン:セレナーデ Op.25(フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ)
エリオット・カーター:HBHH(2007)[オーボエ・ソロ]
エリオット・カーター:オーボエ・ソロのためのインナー・ソング(1992)
エリオット・カーター:オーボエと弦楽器のための四重奏曲(2001)
ルドルフ・ケルターボーン:オーボエと弦楽のための四重奏曲(2009・日本初演)
ハインツ・ホリガー:フルート・ソロのための(é)cri(t)(2006)
モーツァルト:オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K370(オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
※当初発表のブリテン:ファンタジーは出演者の強い希望により、ルドルフ・ケルターボーン:オーボエと弦楽のための四重奏曲に変更となりました。この曲目はルツェルン音楽祭の委嘱により、ホリガーの70歳の記念として作曲・献呈された曲で、今夏のルツェルン音楽祭で世界初演されたものです。
----------------------以上みなとみらいホールのHPよりコピペ

ハインツ・ホリガー、言わずと知れた現代を代表するオーボエの名手。

大学に入学してすぐのころ。同じクラスにオーボエをやっていてオーケストラサークルに入りたいというKちゃん(男)という同級生がいてすぐに仲良くなったのだけど、あるときKちゃんから「2年前カザルスホールでホリガーを聴いた」という話を聴いて衝撃を受けたのでした。しかもKちゃんはその日たまたま入ったカザルスホール近くの牛丼屋でホリガーご一行様が牛丼を食べているところまで目撃したという。
千葉の田舎者にはそんなエピソードがまぶしくて、うらやましくて、育ちが違うとわが身を呪い(Kちゃんは名門K成高校の出身だった)、まあそんな個人的ルサンチマンは置いといても「あのホリガーを生で聴く」などという機会があるとは18歳の当時思いもよらないことで、以来「次に来日したらなんとしてでも聴きに行こう」と心に決めていたのです。

あれからウン年、やっと今年、17年ぶりに来日。
知ったのが遅く、東京公演はすでに完売だったのでみなとみらいホールに行くことにしました。
こちらも当日には完売となっていました。
すでに御歳70。管楽器奏者で、70歳で現役ということがいかにすごいことか。
ああ、もうそこに現れただけで満足でございます、という、つまり往時をしのびつつ現在の演奏には触れてくれるなというパターンだったらどうしようか、などとどきどきしながら1曲目のベートーヴェン(フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ)を聴いていました。
そしていよいよホリガー登場。
もうご尊顔を拝しただけで鼻の奥がつーんとしてきます。
カーターの無伴奏曲を2曲。
最初の音が鳴って、その音量の豊かさに驚く。
複雑なリズム、パッセージ、現代奏法が駆使されたこれらの曲をホリガーは軽々と吹いて見せたのでした。どこにも躊躇がなく、聴いている者を不安にさせる要素も一切なく。「かつての有名人」なんかじゃない、現在においても演奏で完全に聴衆を圧倒したのでした。
1曲目を吹き終わり、シーンとなっている客席に向かって「どう?」って感じに小首をかしげてほほ笑んだお顔のチャーミングなこと。
ちなみに作曲者のエリオット・カーターも100歳を超えてなお現役で曲を書き続けている大作曲家。
3曲目のオーボエ四重奏曲だって、2001年作曲ってすでに90歳を超えてからの作品なんです。まさに怪物のコラボ。
そして後半で披露されたホリガー作曲のフルート曲。
演奏家、そして作曲家として本当に稀有な才能を持った芸術家なんだということを思い知らされました。
その芸術性が作曲家の創作意欲を刺激し、楽器の歴史まで変えてしまうほどの影響力を持つ演奏家なんて、いったい何人いるでしょうか。
最後にモーツァルトの四重奏曲。
椅子をとって立奏。
人間って、こんな高みまで行くことができるのかと幸せな気分に浸ることができました。

アンコールはJ.C.バッハ:五重奏曲ト長調 op.11-2 より3楽章と2楽章でした。

ほんとうに、聴けてよかったコンサートでした。