法人税率の引き下げの実現可能性が高くなっています。
今まで税率引き下げに消極的であった自民党の税制調査会も容認に転じ、
昨日6月3日に政府与党が税率引き下げを決定したと報じられています。

こうなってくると次の焦点は、
現時点での税率25.5%(地方税等も合わせた実効税率では約35%)が、
何%下がるかというところでしょう。
政府与党周辺からは、まずは税率を20%台へという話が出ていますが、
そうだとすれば、あと5%下げるということになります。

ただ、この話、法人の経営者であっても、実は喜べない場合もあります。
それは、表面税率が下がっても、課税ベースの拡大が検討されていて、
実際の納税額は税率の引き下げほど減少せず、
むしろ、増税にさえなる法人もあると思われるからです。

課税ベースの拡大というのは、
法人税の表面税率を下げたことによる税収の減少を埋め合わせるために、
税率以外の部分で増税するようなイメージであり、
新聞報道であがった検討されているものの一例をあげると、
①繰越欠損金の使用制限拡大
②租税特別措置の縮小
③外形標準課税の強化
④減価償却における定率法の縮小・廃止
⑤受取配当の益金不算入制度の縮小
などです。


このうち、もっとも法人「数」において影響が大きいと思われるのが、
①繰越欠損金の使用制限の拡大
です。
現状でも、資本金が1億円超の法人を中心に使用制限がかかっていて、
所得金額の80%しか欠損金の控除ができない、
言い換えればいくら欠損金があっても黒字になれば必ず課税がされるという形になっています。
これを中小法人にも広げようということです。


平成24年度のデータを見てみると、
法人税の納税をしている法人は全体の27.3%しかありません。
ただ、全体のうち27.6%、会社数でいえば約76万社は
黒字ではあるが繰越欠損金があるため納税をしていない法人になっています。
政府側から見れば、
この27.6%の法人に納税をさせれば、
1社あたりの金額は小さくても数は多いということで、
減収分のある程度の部分の埋め合わせができるという目論見ではないかと思います。


ただ、赤字法人の側からすると、明らかな税負担増となります。
今までは法人税をまったく納めなくてよかったのに、
実効税率の引き下げを契機に納税する必要が出てくる、
なんとも皮肉な話ですが、そのような話が現実に起こる可能性が出ています。
しかもそんな会社が27.6%、4社に1社以上もあるのです。


もちろんまだ決まった話ではないですし、
ドイツやフランスでは、所得制限がありながらも、
所得金額100万ユーロまでは全額控除を認める、
というような中小企業に配慮する規定もありますので、
それらにならえば、直ちに27.6%の企業すべてに課税が起こるわけではないのかもしれません。
しかし今後この部分の動向には注目していく必要性高そうです。