現在は、銀行や証券会社等の金融機関で取り扱う金融商品については、その商品ごとに課税方法が異なっています。例えば、上場株式等の売却益は20.315%であるのに対し、割引債の償還差益には18.378%、利付債の売却益に至っては非課税、といった具合です。特に平成以降の規制緩和等により新たな金融商品が多数産まれたこともあり、商品ごとに課税方法が異なることはわかりにくい部分があります。そこで、一定の金融商品については課税方法を統一しようということになり、まず上場株式等と公社債と公社債投資信託についての課税一体化が、年明けの平成2811日から始まることになりました。

 具体的な改正内容ですが、今回の改正で対象となるものについては、すべて税率が20.315%に統一された上で、対象となった金融商品間での損益通算や、損失の繰越が3年間できるようになります。つまり公社債・公社債投信を今までの上場株式等と同じような形にして課税がされるということです。例えば、公社債の利子所得を上場株式等の譲渡損失と損益通算できるようになったり、利付債の譲渡損失が出てしまった場合にその損失を他の所得と損益通算したり、3年間繰越したりできるようになったりしますので、一定の場面では有利になります。しかし一方で、今までは非課税だったのに課税になるという不利となる場面もでてきます。そこで今年12月までに売却等をしておいたほうがよいのか、よくあり得る具体的な事例として次の2つを挙げたいと思います。

 まず1つ目が利付債の売却損益についてです。今までは、利付債の売却損益については非課税である一方、損失の場合でも他の所得との損益通算や翌年以降への損失の繰越控除が認められていませんでした。これが上場株式等と公社債、投資信託の範囲内での損益通算と損失の繰越控除ができるようになります。したがって、売却益が見込めそうな利付債については今年12月までに売却した方が税制面では有利です。他方、売却損となりそうな利付債については税制面だけを考えれば来年1月以降に売却すべきということになります。

 もう1つが外貨建MMFです。これも利付債とまったく同様の考え方になります。今までは非課税扱いということもあり、外貨預金代わりに外貨建MMFをお持ちの方は意外に多いのではないかと思います。そして、最近の円安により含み益となっている方が多いのではないでしょうか。そのような場合には、非課税扱いとなる今年12月までに一度売却をしておけば、含み益については課税がされません。

 金融商品をお持ちの方でも、買ってからは放置しているという方もいらっしゃると思います。今回の税制改正は良い機会ですのでみなさんがお持ちの金融商品について、現状を見直してみてはいかがでしょうか。