前回、鶴田町強巻の岩木川右岸土手にて陣場岳の山岳回折によってAKTフルセグ受信に成功した。
 岩木山や岩崎(深浦町)など直接受信が可能な一部地域を除いては、クルマのフィルムアンテナで津軽でAKTフルセグが受信できた場所は鶴田町野木に続いて2例目となる。

 強巻、野木、柏のいずれの受信点も陣場岳付近の山岳回折によるものだが、それぞれの伝搬ルートを地図上に記入してみよう。
img20191031172024799
 西(左)から順に、柏受信点への伝搬ルートを青線強巻受信点への伝搬ルートを赤線野木受信点への伝搬ルートを緑線で記入した。
 強巻伝搬ルート、作図して気が付いたが、2008年にAKTレベル32でワンセグ受信した鶴田町木筒の受信点の至近を通過しているのだ。

 陣場岳の各伝搬ルートの位置関係をおさらいしたところで、強巻の受信実験結果を出していこう。
(地図で見ると限りなく「大巻」に近いのだが、どうやら「強巻」になるようだ)

OHMAKI-JIMBA
 2日前とは打って変わって晴天の10月28日。
 強巻の土手に上がると、フルセグ復調点付近から正面に陣場岳と陣岳が並んで聳えているのが明瞭に見えた。
 陣場岳の標高1050m(1049.6m)に対して、西に約1.5kmの位置に聳える陣岳の標高は1049m。
 陣場岳と陣岳は名称だけではなく標高もほぼ同じ山であり、兄弟か双子のように仲良く連なり、標高も一緒という愛らしい峰と評する登山愛好家もいるようだ。

陣場岳陣岳
 トリミングして陣場岳と陣岳を見やすくしたもの。
 写真中央の、河川敷の木々の隙間から顔を出している山の、左の嶺が陣場岳、右の嶺が陣岳で、津軽平野から見ても標高がほぼ同じに見える。間にある少し低いのが盆台森(845m)だろう。

 強巻は、ほぼ秋田大森山ー陣場岳ー強巻という一直線上にクルマを置いて受信できる適地なのだ。

 異常伝搬の発生のないことを確認し、受信へ。

鶴田強巻受信点(2019年10月28日)
KOWAMAKI8
AKT秋田テレビ
物理ch=21ch
レベル:40
KOWAMAKI1
NHK総合秋田
物理ch=48ch
レベル:0(反応有)
KOWAMAKI2
NHK Eテレ秋田
物理ch=50ch
レベル:0(反応有)
KOWAMAKI4
ABS秋田放送
物理ch=35ch
レベル:24
KOWAMAKI5
AAB秋田朝日放送
物理ch=29ch
レベル:30
KOWAMAKI52
YTS山形テレビ
物理ch=18ch
レベル:13
KOWAMAKI6
TUYテレビユー山形
物理ch=20ch
レベル:10

 秋田テレビ(AKT)フルセグ復調はもちろんのこと、まさかのレベル40が出てしまったw
 NHKだけは良くないが、民放はABS秋田放送AAB秋田朝日放送も良い値だ。

 レベル40といえば、経験上ほぼ確実にフルセグが安定するレベルである。ちなみにPanasonicが推奨する目安はレベル44以上であるので、そこまであと4。
 Panasonic製テレビのアンテナレベルは、インターネットで検索して散見される情報では「C/N(dB)の2倍の値が表示される」ということだが、その情報が正しいとすれば、アンテナレベル44とはC/N=22dBということになる。このAKTの受信状況はC/N=20dBってことか。

 ボクにもわかる地上デジタルさんや、和筒冷熱さんの実測値によれば、フルセグ受信できるC/Nの下限は17dBだそうで、Panasonicのアンテナレベルに換算すれば34というところ。確かに、前回野木ではAKTがレベル34(C/N=17dB)に下がってブロックノイズが出ながら持ちこたえている瞬間を写真に収めているが、経験的にはレベル36か37なければ(C/N≧18dB)、ストラーダではフルセグにいけない。
 ストラーダはワンセグ切替機能も付いているので、電波状態が悪くなった時にスムーズにワンセグに切り替わるよう、復調限界の17dBより高い数値で厳しめに切り替えるよう設定されているのかもしれない。

 そして、復調はしないが山形波(鶴岡局)のYTS山形テレビTUYテレビユー山形もレベルが上がった。野木で反応があるSAYさくらんぼテレビは、強巻では反応が無かったが……
 いずれにせよ、鶴岡局も弱い異常伝搬でも起きれば復調するだろう。
陣場岳付近の伝搬路を比較してみる
陣場岳付近色別標高図1
 国土地理院の地理院地図を編集し、陣場岳付近の、柏、強巻、野木へのそれぞれの伝搬ルートを書き込んだ色別標高図が上図になる。
 こうしてみると、強巻に到達するルートが最も陣場岳山頂に近い部分を通過しており、柏は西側の尾根、野木は東側の尾根で山岳回折していることがわかる。

陣場岳付近立体図 柏 木筒強巻 野木
 立体図にするとこんな感じ。
 陣場岳は南側斜面が比較的急峻で、秋田方面からの伝搬には有利そうな地形になっているのがわかる。一方、北側はいくぶん緩斜面になっていて、青森方面で稜線に触れると伝搬は難しくなる。

陣場岳周辺3本直線
 せっかくなので、断面図も作ってみよう。
 陣場岳付近で、フリーハンドなので多少の誤差はあるがほぼ同じ長さ(約1050m)で、柏に伝搬する線分ab強巻に伝搬する線分cd野木に伝搬する線分efの3本を引いて、地理院地図で断面図を作成し高さの強調度を最大にして地形の起伏を比較してみよう。

陣場岳山頂付近断面図
 出来上がった陣場岳付近の地形断面図が上図になる。
 こうしてみると、もっともフルセグで受信しやすい強巻に伝搬する線分cdの場合、陣場岳山頂付近の地点にもっとも鋭い回折点が存在することがわかる。見るからに、山岳回折利得に寄与するナイフエッジ効果は強巻に伝搬する線分cdの時に強く得られるだろう。
 辛うじてフルセグに届く野木に伝搬する線分efの場合、尾根がいくらか平坦になっており、ナイフエッジ効果は強巻ルートより弱いのだろう。
 柏桑野木田ルートは90mメッシュの地形データによる計算上は回折回数1回で到達するはずだが、回折点付近の地形はかなり起伏に富んでおり、もしかすると稜線に複数回接触していくらか利得が落ちているかもしれない。

 山頂付近の植生を含め実際の地形の状況を確かめにいくとなると、陣場岳への林道はすでにがけ崩れによる崩落個所が何か所かあってかなり厳しいらしく、雪解け後の2020年でも行けるのかどうかかなり怪しい。
 それでも山岳回折が上手く決まると120km以上離れた地点でもフルセグ遠距離受信可能、とわかると、やはり実際にその山の回折点を見たいと思ってしまうのである。
 
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