2006年02月12日

100年にいちど咲く花

子供向けに発刊されている『たくさんのふしぎ』という雑誌がある。

先日図書館で、去年の8月号が目に付いた。
プーヤ・ライモンディ 〜100年にいちど咲く花〜
という特集だった。



その特集は、野村哲也さんという写真家の方の、写真と文で構成されていた。

☆  ☆  ☆

野村さんは南米ペルーのワラスという町にて
100年に一度だけ咲く花があると聞き、ぜひ写真におさめようと
標高4100mの高地にまで出向いた。

そこで、放牧されている牛やヤギの番をしているアンという少女に出会う。

野村さんはアンのご家族の好意で、
その場所からさらに7〜8時間のぼったところにある
プーヤが100本ほど生えている谷に案内してもらえることになった。

2日ほどアンの家の手伝いをしながら過ごして機会を待ち、
3日後に、アンのお父さんとアンの3人で現地へと向かう。


プーヤという植物は大きい(最大で約12m)。
1本のプーヤには五千〜一万個の花が咲く。
根もとのトゲのような部分が出来るまでに60年、
塔のような幹が伸びるのに39年、
ちょうど100年目の9月頃にいっせいに花を咲かせると言われている。
一生に一度だけ、咲く花だ。


仕事のために、アンとお父さんは家に帰った。
野村さんはそこでテントをはり、数日間かけて写真を撮った後、
偶然落ちていたプーヤのつぼみをアンへのおみやげに、谷を降りる。

そしてお世話になったお礼に、
アンの家で2週間ほど手伝いをしながら過ごす。

やがておみやげに持ち帰ったプーヤの花が咲き、
野村さんが山を降りる日、子犬が生まれる。
その子犬は、記念に「テツヤ」と名づけられた。


☆  ☆  ☆


この特集を読んでいて、プーヤという花の不思議さもさることながら
野村さんとアンのご家族との温かな触れ合いに、心を動かされた。

野村さんの、次のような記述がある。

「見知らぬ家に泊めてもらうとき、
 ぼくがいつも心がけていることがある。
 だされた食事は残さず食べること。
 食後の洗いものは、かならず自分ですること」

そして、アン達の生活ぶりを見つめながら、仕事を手伝う。
野村さんの真摯で誠実な姿勢はきっと、アンのご家族にも伝わっていたことだろう。

雑誌のあとがきに、野村さんはこう書かれていた。

「アンデス奥地で過ごした時間、
 それは言い換えれば、アンの家族と共にした時間だった。
 毎日三度、アンと手を繋いで出かけた水汲み、
 そこに生まれた目に見えぬ信頼と友情。
 ”非効率の中に見えてくる豊かさ”を、僕はアンから教えてもらった。

 百年をかけて花を咲かせるプーヤを眺めていて想う。
 長かれ、短かれ、準備が全て整った時に、
 初めて一輪の花が咲いてゆくという事実。
 人もまた、自分だけの花を咲かせるため、
 日々、開花の準備を進めているのだろうか?

 アンは
 ”どうすれば自分が家族の役にたてるのか、
  父母が喜んでくれるのか?”
 を日々考えていた。
 そのけなげな生き方こそが、
 ”生命の花”を咲かせる養分となる気がした」


野村さんの目線の中に、
私はどこか、星野道夫さんと共通するものがあるような印象を受けた。

(あとでプロフィールを調べてみて、やはりお知り合いであったとわかった)

星野さんの想いを受け継いでいる人が、ここにいる。


☆  ☆  ☆


自分が誰かの役に立てること、

誰かの喜びとなれること、

そのために自分が出来ることは何かと考え続けること。


野村さんのいうように、

私達はいつか花が咲くその日を信じて、

毎日を過ごしていくのだと想った。

aopu2005 at 18:23│Comments(6)TrackBack(1)読んだ話 | 自然

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1. プーヤ・ライモンディ  [ Earlgrey's Diary ]   2006年03月05日 09:23
福音館書店の月間誌の8月号は、なかなかよかった。 プーヤ・ライモンディ(100年にいちど咲く花) 野口哲也(写真、文) ペルーの高地に咲く珍しい植物プーヤの花を求めて旅するノンフィクションなんですけど。。 自然科学だけではなく、いろいろなことを考...

この記事へのコメント

1. Posted by はらぺーにょ   2006年02月13日 17:58
aopuさん、またまたお邪魔します。
さっき『たくさんのふしぎ』のHP見てみました。(仕事中なのに・・・)
これはとても興味深い雑誌ですね。
小学3年生向けとありますが、これは
私が読みたいです。
図書館でチェックしてみま〜す
2. Posted by あおぷ   2006年02月13日 21:50
はらぺーにょさん、またまたこんばんは☆

私も今回初めてこの雑誌のこと、知りました。
面白そうですよね。
この号の次の9月号も、
どうやら星野さんのような写真家の方の
お話だったみたいですよ。

私もまたバックナンバーを借りてみようと思ってます
3. Posted by 池田姫   2006年02月23日 10:43
世の中には不思議がいっぱい。
知れば知るほどおもしろいね。
花を見た人いるのかしら?
でも植物は人間に見られようが見られまいが、自分の使命を果たしていくだけなんですね。
たまたま今、ペルーのガイドブックを見ているの。プーヤがあるワラスという所、見ておきました。
4. Posted by あおぷ   2006年02月23日 14:50
池田姫さん、こんにちは♪

本当に、どうしてそんな仕組みの生物が出来上がったんだろう、
って思いますよね。
そう言い始めると人間もそうなんですが(^^;)

植物も自然も、「見られているから」頑張っているわけじゃないんですよねぇ。。
見習わないとなぁと思いつつ、難しいっす

ペルーというのもなかなか、神秘的な国ですね
5. Posted by あーるぐれい   2006年03月05日 09:24
トラバありがとうございます。遅くなりましたがこちらもトラバさせていただきました。
6. Posted by あおぷ   2006年03月05日 17:00
あーるぐれいさん、TB&コメントありがとうございます♪

そちらではコメント機能がなかったので、
TBしっぱなしになっちゃってすみません

いろいろ、考えさせられる記事でしたよね♪

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