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時に天を仰いで聞きたくなる。

神様と言う存在があるのなら。


いつまで頑張ればいいですか?

いや…

私はいつまで頑張れますか…と。


怒鳴ってばかりだ。

ユウが自分の意思表示を思う存分できるのは、母である私だけなのだ。

作業所でもデイサービスでも、外に出れば重度の知的障害の子なりに精一杯頑張っているのだ。

わかってる。

どんな人にも、自分の要求を満たす何かがあって初めて頑張れるのだ、と。

ユウにとって、それが私という存在に対して絶えず要求を伝える事なのだ。



聞いてやれる事もそうでない事もある。

でも、聞き入れられない時にどうしてなのかを伝える事は難しい。


例えば…

ユウは今でもビデオ派。

DVDには見向きもしない。

見たいビデオテープが売って無い時だってある。

だけどユウにはなぜ売ってないのかが理解できない。

無いのだと。

毎日毎日何十回と同じ事を答えなければならないのは苦痛です。

そして、理解できないユウは荒れる。

物を壊したり絶叫したり。

何度説明しても伝わらない。

私は耳を塞いで耐えるか怒鳴るかの繰り返し。


あんなにおとなしい子供だったのに。

小さくて、何かあったら溶けて消えてしまいそうなぐらい小さくて美しくて儚い子だった。


大きく成長して、力も強くなり人生で一番エネルギーに満ちた20代。

介護する側になってみれば、最も大変な時期と言えるのではないでしょうか。

親は老いる。

子は最もエネルギーに満ちる。


それでは…

子も老いて行くのを待つだけの人生なのか。


違う…

そんなの悲しい。


今の私に精一杯できる事でユウの毎日を少しでも彩り豊かにしてやりたい。

だから、私は老いるわけにはまだ行かない。


神様…

私まだ頑張れますよね…