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豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫 J す 6-1)豚は飛んでもただの豚? (MF文庫 J す 6-1)
著者:涼木行
販売元:メディアファクトリー
(2011-12-21)
販売元:Amazon.co.jp
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第7回MF文庫Jライトノベル新人賞 最優秀賞受賞作

元不良である真宮逢人は、バイト先で食い逃げした犯人を追いかける途中で、ポニーテールの美少女と出会う。彼女がハイキックの一撃で犯人を倒してしまい、思わぬ形で助けられた真宮だったが、それ以降、藤室綾のことがどうにも引っかかっていた。そんな折、高校の入学式で藤室綾と再会することに――不良と三姉妹と自称正義の味方が織り成す青春と初恋の物語。

作品の持っている雰囲気が好き。

ラブコメというよりは、恋愛や青春といった言葉が似合う。ボクシングしかやってこなかった不器用な主人公が、人と関わることを教えられ、初恋について教えられる。作中で描かれる純情で学生らしい真宮が素敵でした。彼が変わっていくところ、変わろうとするところを眺めるのが楽しい。

自称正義の味方さんとの殴り合いは熱い。

不良として扱われてきた真宮にとって、あそこまで真正面から挑んでくる相手というのは、物理的にも精神的にも多くなかったはず。言いたいことは言う、出し惜しみはしないポジティブさが、外見とは裏腹に輝いている。お世辞にもハンサムではない、俊敏な豚さんですが、心意気は格好良い。拳で語ったら友達だ、と言い切ってしまう彼にサムズアップ。

また、初恋を経験したことがない真宮が一生懸命に恋とは何か、恋愛とは何か学ぼうするので、もどかしくなると同時に心が温かくなる。藤室三姉妹がどのように恋に絡んでいくのか読んで欲しいですし、彼女たちの感情の揺れ動きも物語を広げてくれる。

不器用なキャラクターたちの行動はそのまま青春。思わず作品の中に引き込まれて、登場人物たちを端から見守っている気分になる。

飛び跳ねたとき、飛べなくとも、前に進んでいなくとも、飛ぼうとしたという事実は変わらない。だとしたらそれは、確実に変化したということ。何も変わっていないというわけではなく、変わろうとしたという時点で、もう変化しているのです。

学生生活ってこういうことだと思わせてくれる爽やかさ。面白かった。

おすすめ度:★★★★

Presented by Minai.

何か大きなことが起こるわけではない、物語は淡々と進んで行き、収まるところで収まる。読んだときに味気ないと感じる人もいるだろうが、読み手はこの作品が好きだ。彼ら彼女らの心の動きが、そのまま作品の魅力だ。

タイトルは……、あまり関係がない。なのでタイトルで犬猿しているのなら、読んで欲しい。あとは、キャラクターのイラストが可愛らしい。

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