青山貞一ブログ

独立系メディア「今日のコラム」に連動するブログ

2005年03月

日本のテレビ番組のどこに公共性があるのか? 検証その1

日本のテレビ番組のどこに公共性があるのか?
検証その1  青山貞一
 
 
ホリエモンによるニッポン放送M&Aさらにフジテレビへの影響力行使問題に関連し、政治家、テレビ、ラジオなど電波業界首脳やちまたの評論家が、公共の電波を用いる放送局がM&Aの対象となってもよいのかと言う趣旨の発言を繰り返している。
 
 では、果たして今の日本の地上波のテレビ番組にどれだけ公共の希少な電波資源を使うだけの意味と価値があるのかについて、検証したことがあるのであろうか?

 そこで2005年3月29日及び3月31日のゴールデンタイム、すなわち午後6時から午後12時の時間帯を対象に、在京キー局(31日は長野市で視聴)の番組内容を以下にあるおおまか3段階でその公共性の有無を私なりに調べてみた。
 
調査対象年月日 2005年3月29日ゴールデンタイム
時間帯 NHK 日テレ TBS フジ テレ朝 テレ東 凡例
◎ニュース番組等
  公共性があるもの
○ドラマ、ドキュメント
  等で公共性ある
  程度有るもの
▽娯楽などで
  公共性ナシ
Channel  1 4 6 8 10 12
10
11
12

調査対象年月日 2005年3月31日ゴールデンタイム
時間帯 NHK テレビ
信州
信越
放送
長野
放送
長野
朝日
凡例
◎ニュース番組等
  公共性があるもの
○ドラマ、ドキュメント
  等で公共性ある
  程度有るもの
▽娯楽などで
  公共性ナシ
Channel  1 4 6 8 10
10
11
12

 上の表は、私の価値基準であると言うことを最初にお断りしての当日の番組の評価である。6時台が◎なのは、その時間に各局ともニュースをおこなっているからだ。

 しかし、その後、7時〜9時は、エロ・グロ・ナンセンスとまでは言わずとも、いわゆる娯楽番組のオンパレードとなる。そして午後10時〜11時台の各局、再度ニュースを放映するものの、12時台となるとまたしても娯楽オンパレードとなる。

 今回の調査は、夜のゴールデンタイムを対象としているが、朝〜夕方は娯楽のオンパレード、深夜はいわゆるエロ・グロ・ナンセンスが圧倒的に多くなるものと想定される。これらの時間帯についても近々、調査をしてみたい。

 ということで、いずれにしてもあらかじめ想定したように、政治家、テレビ、ラジオなど電波業界首脳やちまたの評論家がしたり顔で偉そうなことを言うほど、現状の日本にテレビ放送の内容は、全体の良くて1/3程度しか公共性のあるコンテンツとなっていないと思える。

 果たして、こんな番組のために貴重な公共資源である電波を使わせて良いのか、そして一見◎と○が多いNHKは、その内容の無味乾燥さや政治的偏向こそ問題となるだろう。

電波メディアと通信メディアの融合・連携の可能性 〜改めて日本の巨大メディアを問う〜

  ところでテレビ業界幹部は、放送事業が国(総務省)の免許事業であることをたびたび口にする。

 だが、今までテレビ業界がしてきたことは、逆説すれば次のことだ。すなわち、放送事業が免許事業であることをよいことに、その競争が極めて制限されていることを利用し、既得権益に「あぐら」をかき、利権をむさぼってきた、と言えないことはないだろうか?

 これはテレビに限らず、ラジオ、FM、携帯電話など電波事業にも共通することだ。まさに電波がかかわる分野は、現状追認、既得権益が顕著に現れている分野ではなかろうか。

筆者近影:東京都品川区の環境総合研究所にて。撮影、朝日新聞社

 メディアやジャーナリズムの将来を展望したとき、これら電波事業に大きな危惧を抱かざるを得ない。

 さらに日本のテレビ業界は政府や放送機器業界や家電業界と連携することで、国民にとってどうみても不要不急と思えるテレビ放送の過剰と思える一連のデジタル化を進めているからだ。地上派テレビのデジタル化、世界に類例がないBS放送とそのBSデジタル化などなど。
 
 周知のように、世はインターネット、それもブロードバンド時代にあり、今後さらに光ケーブルIT時代に進ことは明白だ。これらITの行く先は、言うまでもなくリアルタイムで文字、画像、音声、音楽、動画、映像などの双方向通信が容易となることにある。実際、現状でも、かなりのその夢は技術的に実現している。

 ここで実現しているという意味は、単に技術面だけでなく、費用面を含まれる。たとえば、パソコンさえあれば、後は年間1万円前後の支払いで、ホームページはもとより双方向メールや同報メーリングリストが使える。さらに最近では、グーグル、ヤフー、ライブドア、楽天などのIT企業は、何と1ギガバイトものブログやホームページを無償で提供している。事実、私もはじめたブログは、最大一ギガバイトの容量が無料で提供されている。

  参照:青山貞一ブログ

 このような時代状況の中で、日本のテレビ業界を中心とした巨大メディア・コングロマリット(総合情報商社)が画策するテレビのデジタル化が、果たしてどれだけ国民、、消費者にとって意味あるものなのか、すなわち必要なものなのか、とくに消費者の費用負担と言うめんからみて疑わしい。まず必要なことは、それを第三者が調査、検証、評価することである。国家とメディア業界、放送機器業界、家電業界がつるんで、テレビのデジタル化が進められ、国民、消費者がさておかれている状態を大いに危惧する。これは、まさに田中康夫知事が言う、「政」「官」「業」「学」「報」の癒着の典型例ではなかろうか?

 いずれにせよ、今までテレビ業界が総務省、放送機器業界、家電業界とつるんで進めてきたテレビの途方もないデジタル化は、免許事業であることに名を借り、免許行政に庇護された巨大なメディア利権に違いない。そこでは、ホリエモンなど新規参入者はことごとく業界への入場を拒否される。彼らには、ブロードバンド時代の主役である「市民表現者」などまったく眼中にないのである。

 閑話休題

 ここでホリエモンが問題提起した放送と通信の融合や連携を、私なりに理解してみるとおおよそ次のようになる。

 すなわち、同時に数百万人、数千万人と言う視聴者に音声、音楽、映像を含めた情報を技術的に提供可能な既存のアナログ放送(ラジオ、テレビ)と、すでにブロードバンド化され双方向かつリアルタイムで交信が可能なデジタル通信(インターネット)を結びつければ、次のことが可能になる。

 それは、一部の巨大業界に独占されてきた電波メディアをインターネットのブロードバンド通信と融合、連携することにより、国民、市民、消費者、株主、労働者など個々人が主体的に誰でもが参加可能な一大フォーラム(広場)ができるというものだ。どうもホリエモンは、そんな社会をイメージしているのではないかと思える。

 もちろん、そこでは、すでに燎原の火のごとく拡大しているホームページやメーリングリストなど対話型のデジタルメディアとテレビが同時に使える。そこでは、誰でもが自宅から各種のショッピング、株取引、オークションが行え、誰もが表現者としてジャーナリズムに参加できる。国、自治体の政策形成過程に誰でも参加し議論したり、政策提言できる。政治も政治屋を通ずることなく、審議、採決にリアルタイムで参加できる。まさに電波メディアとインターネットメディアの融合・連携により、社会的な情報交流や議論の場、開かれたプラットフォームが構築され、市民や消費者主体のワイヤードシティーが実現することになる。

 上記のごく一部はすでにテレビで実現している。生番組放送中の意見募集やアンケートなどで。今後、電波メディア側が融合と連携を強く意識することにより、上述のように、さまざま多様な活路が見いだせるのである。

 その先には、まさに市民、NPOによる「独立メディア」、そして政治の有り様を本質的に変える、直接民主主義の政治の世界すらかいま見える。既得権益と現状追認に満ちた「政」「官」「業」「学」「報」癒着の構造からの脱却である。そこではプロの「メディア屋」や「利権に満ちた政治屋」は不要となる。

 一言で言えば、それは小説家、ジョージ・オウエルの「1984年」にあるビッグブラザースに一元管理された管理型の情報社会から、誰にも開かれたコモンズ型情報社会への移行と言える。

 そこでは、各種メディアは一部の放送業界に独占されたものでなく、一般道路のように一定ルールのもので誰でもが利用可能なものとなる。電波メディアもその例外ではないのである。メディアはあくまで情報の媒介者であり、その上を走る各種情報は、特定の利益集団、プロ集団の支配から解放される。つまり、それは<メディア>とその上を走る<情報>の分離と言って良い。

 従来は主要<メディア>を支配するものが、ジャーナリズム、言論などの<情報>を支配することが容易となっていた。それにより巨大メディアが時の為政者、政権、巨大企業と癒着することで世論を操作(情報操作)しやすくなり、特定の方向に政治や社会を誘導することが容易となっていたのである。その典型的なものが電波を使うラジオでありテレビである。

  ※ 新聞業界の場合も、メディアを支配するものが情報を支配する
    ことが妥当するが、免許事業ではないことから、ラジオ、テレビに
    比べ大きく異なる。事実、膨大な数の地方紙が存在する。とは
    いえ。日本では発行部数が1000万部を超える新聞の存在が
    ジャーナリズムを歪め、情報操作的な世論形成が容易となって
    いると言える。ちなみに、かの米国のニューヨークタイムズ紙で
    すら100万部ちょい、ワシントンポストは80万部弱、英国のタイム
    ズでも70万部ちょいに過ぎない。

 ところで、巨大メディアによる<メディア>と<情報>の支配を辞めさせるために、両者の分離を行うことが重要だが、他方で両者の新たな弁証法的統合が不可欠となる。

 インターネットのブロードバンド化は、相当程度その弁証法的統合を実現していると言ってよい。

 言うまでもなく、ここ数年、誰でもがホームページを開設し、分量を気にせず毎日、ブログが書け、メーリングリストによって自分の考えを仲間に、また見ず知らずのひとに送ることができる。もちろん、送るだけでなく、すぐさま返事をもらうことが可能となる。英語ができれば、世界を相手にそれは可能となる。燎原の火の如く、双方向の情報交流が可能となっているからだ。

 簡単に言えば、メディアを支配するものが情報を支配する時代から、個人でもメディア(ネットワーク)をもち、情報を送受信することが容易となったのである。

 事実、情報操作が横行したイラク戦争では、日本人は巨大メディアより個人やNPOが設置し情報発信しているホームページから多くの情報を得ている事実が分かっている。

  
●青山貞一:国民はイラク情報をどのウェッブで得ていたか


  後述するように、日本では電波メディアでは、免許される者が同時に情報を扱うことが圧倒的である。ニッポン放送は総務省から放送事業者として免許を受け、同時に各種の番組を制作し放送している。

 他方、インターネット系におけるメディアの提供者は、電気通信事業法の届出が必要だが、この場合はあくまでも、メディア(=媒体、インターネットワーク)を整備、提供、管理することがメインである。しかも届出なので免許や許可に比べはるかに自由度がある。

  
電気通信事業法

 ラジオ、テレビのように免許事業者がイコール情報提供者とはならない。もちろん、ライブドア、ヤフー、楽天等は両者を兼ねているが、だからといってメディアを独占せず、国民、市民、事業者など、ありとあらゆる人々にメディアを廉価ないし無料で提供しているのである。

 今後、インターネットのブロードバンドと、従来、ごく一部の巨大メディアに占有されていたテレビ、ラジオ(AM,FM)を融合、連携できれば、計り知れない開かれた
ネットワーク社会が可能となる、と言うのがおそらくホリエモンのビジョンのはずである。

 かかる社会では、単に生活が便利になる、効率的になるだけでなく、国、自治体からのプレスリリースも、企業、NPO、市民団体からのプレスリリースも、今のホームページが象徴するように、どちらが上という序列がない。メディア(媒介者)が勝手に裁量(さじ加減)で情報やデータ、事実を取捨選択したり、スクリーニング(ふるい分け)したりすることのない開かれた社会の到来である。

 そこでは、ひとびとは為政者や巨大業界による一方通行的な情報操作から開放され、自ら考え自ら行動するようになる。同時に、これは日本の現在の巨大メディアと政府、業界による利権に満ちた一元的情報管理社会と180度異なる社会の実現となるだろう。 

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既得権益にあぐらをかく放送業界〜改めて日本のメディアを問う〜

  NHKと朝日新聞の係争を見るにつけ、日本の巨大メディア、ジャーナリズムが偉そうに言ってきたこと、すなわち「素人ではなく、高度に訓練を受けた記者が取材し、裏を取り、編集段階で事実を厳密にチェックし、正確に事実を事実として報道する」という原点が全面的に瓦解したとことが分かるというものだ。

 先のコラムで書いたように、もし、NHKvs朝日新聞がともにウヤムヤ、インチキな解決をした場合、これは決定的なものとなるだろう。

筆者近影:東京都品川区の環境総合研究所にて。撮影、朝日新聞社

 だが、このようなこと、すなわち公共の電波資源を使いまた1000万部を超える部数を誇る日本の巨大メディアそしてジャーナリズムが、公器にふさわしいこと、本来なすべき事をしていないことは、何もNHKと朝日新聞に限ったことではない。

 たとえば、テレビ業界を例に取ると、連日、異常かつ過剰なエロ・グロ・ナンセンスな番組をこれでもか、これでもかと、まさに公共の電波資源を使い垂れ流している。

 こんなテレビ局が、果たして偉そうなことが言えるのかと誰でも思う。

 エロ・グロ・ナンセンス番組の洪水は、日本の子供の思考能力が低下した主要な理由のひとつと思えるほどである。それほど日本のテレビ局が毎日垂れ流している番組の質は低いと思える。まさに商業主義がもたらした公共資源悪用の極致をここに見る、と言ってもよいだろう。

 朝から夕方までコメンテーターが参加するいわゆる「情報番組」も同様だ。

 たとえば北朝鮮内情番組を連日、執拗に報じるテレビ各社は、それでは一体どれだけ米国のブッシュ政権が中東で中南米で大量殺戮をしているかを特集で報じたことがどれだけあるのか。

 イラク戦争突入直前に、米国政府の主張のつゆ払いをした日本の主要新聞社は、その後、大量破壊兵器が存在しなかったことが米国で明らかになったとき、まともな検証番組を制作し放映したのだろうか。

 ※ NHKは、2005年3月20日のゴールデンタイムにBSで
     大量破壊兵器問題の2時間番組を特集、放映した。内容
     には不満があるが、かつてワシントン支局長がホワイトハウ
     スの広報官と化していたNHKにしてはよくやったと思う

    BS特集 イラク戦争への道  アメリカのメディアは何を伝えたか

 たとえば、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」の著名なキャスターのように、自分の価値観、価値判断で強引に議論を引き回し、考えの異なるゲストの発言機会を抑制し、しかもゲストを公然と罵倒する。これほど不愉快きわまりない政治番組はないと思う。

   
サンプロ(テレ朝)田原総一朗氏の侮辱的言動について

 ※ 同じ日曜日、フジテレビが放映する「報道2001」は、
     逆に自分と意見が異なるゲストを呼び、皆で意見を聞
     いた上で議論している。同じ政治番組でありながら、フ
     ジテレビの方がよほどマシだと思う。

 そのフジテレビとの視聴率競争に明け暮れ、あげくの果てにいわゆる視聴率調査を偽証した日本テレビもジャーナリズムを語る資格など到底ないだろう。TBSに至っては、発言事実をねじ曲げテロップしたとして石原慎太郎都知事に刑事告訴され書類送検される始末だ。

 このように、日本のテレビの局は一部評価される番組を制作し放映しているとしても、その大部分は、エロ・グロ・ナンセンス番組か、はたまた洗脳番組か、あるいは政府広報的番組であるといってよい。視聴者を愚弄するのもほどほどにしろ、と言いたくなる現状がある。

 ライブドアの堀江氏に今の巨大メディアは、単なる金儲けで公共の電波資源を使うテレビ、放送局を買収されてたまるかと言っている。

  ※ 公共の電波資源を私的に使い、広告代理店と共に、
     いかに多くの広告料を稼ぐか、そのために視聴率を
     いかに稼ぐかに奔走しているだけではないのかと思
     える。事実、日本のテレビ局社員の年俸は、「異常」
     に高い。日経エンタテイメント最新号によれば、フジ
     テレビ社員の年収は全国関連企業172社中第一位。
     平均年齢約40歳で1,529万円だそうだ。テレビ朝日
     が1,485万円、日本テレビが1,481万円....と続く。
     通常のサラリーマンの平均年収が約600万円と比べ
     れば、いかにこの業界の収益性が高いか、逆説すれ
     ば金儲けに走っているかが分かろうというものだ。

 ここでも、こんなテレビ局が、果たして偉そうなことが言えるのかと誰でも思うだろう。
 元NHKのくだんのプロデューサが1億5,000万円詐取し、誰も分からなかったような業界に金のことをとやかく言われたくないのだ。

 まさに濡れ手にアワの水商売と言われても仕方ない。

NHK vs 朝日新聞その後の行方 〜改めて日本の巨大メディアを問う〜

  あれ ほど日本中を騒がせたNHKvs.朝日新聞の大騒動だが、このところホリエモン騒動の陰に隠れた感がある。一体どうなったのだろうか? これでよいのか?

 前のコラムでNHKの受信料不払いは3月末までに100万世帯に及ぶと書いた。事実、先日の国会審議では、受信料不払いが70万世帯に到達しつつあることが分かった。今後、財政面からもNHKにとってこれは深刻な事態になることが改めて明らかになった。

 
NHKこそ完全民営に
 いつまで続く言った・言わない論争

 論争が訴訟となった場合〜法的分析〜

 そんななか、常軌を逸したくだんのNHK職員による5回目の逮捕が報道された。

 NHKは昨年秋、最初に当該事件が週刊誌報道されたとき、被害額が1億5千万円程度あるのでは、と言う記者の質問に何と500万円規模であると答えたそうだ。

 結局、今回明らかになった1億6千万円という額は、当初週刊誌が報じた額そのものだったことになる。この間、NHKがしてきたことは、日本を代表する巨大メディアがすることではなく、不誠実、不見識きわまりないものだ。誠意のかけらすらなく、自浄作用はまったく期待できない。これは放送の内容、偏向問題以前に、到底、公共放送にあるまじきものである。

  被害額1億6000万円か 元NHK職員5回目逮捕(東京)
 
 一方、自民党の安部、中川両衆議院議員への取材内容と公表した記事をめぐる騒動で、NHKを提訴すると、こぶしを振り上げた朝日新聞は、いまだに提訴もせず、黙りを決め込んでいるようだ。

 NHKは
国会審議に橋本新会長が出て中継はしたものの、肝心な朝日新聞による一連の報道を会長自らが「事実と異なる」(=実質誤報)と改めて批判した。もし、朝日新聞側に確たる証拠があり、著しく名誉を毀損されたのであるのなら、自ら述べた法廷の場で決着をつけるべきだ。

 何度にも及ぶNHK幹部の朝日新聞報道の「誤報」言及について、朝日新聞社は看過すべきでない。当然のこととしてNHKを断固、民事提訴すべきである。

 今のままでは、すべてがウヤムヤとなるだけでなく、結局、朝日新聞社は冒頭に書いたように自己管理能力がまったくないNHKの軍門に下ることになる。提訴は本事件を巡る従軍慰安婦問題という政治的、思想的背景とは離れなされるべきである。

 いやしくも日本の新聞ジャーナリズムの一つの雄を自他共に認める朝日新聞社のこの間の対応、態度は、まったく納得が行かない。金を払っている読者を愚弄するものではなかろうか。

 もし、朝日新聞が訴訟を提起していれば、すなわち裁判となれば、NHKは当然のこととして民訴法にある文書提出命令を裁判所経由で朝日新聞にかける。証拠を出せと。

 となれば、朝日新聞社は「取材相手への録音の事前承諾」などという取材規定、内規があっても、録音テープなり録音ファイルを裁判所に提出せざるを得ない。いや堂々と提出することができるはずだ。

 おりしもライブドアのニッポン放送、フジテレビM&A問題で、日本のメディア、ジャーナリズム、調査報道のあり方が大きく問われている。

 ちまたの評論家は堀江氏の言動の目的は金儲けで、メディア、ジャーナリズムはまったくわかっていない、彼にはコンテンツがない、と騒いでいる。ホリエモンは日本の主要メディアであるニッポン放送、フジテレビを金儲けのために乗っ取ろうとしていると。

 確かに、ホリエモンの考えは稚拙、拙速な面が多々あるかも知れない。彼にはITをテコとした金儲け志向があることは間違いないが、それとは別に、これからのメディア、ジャーナリズムが果たす役割、機能について大いに問題を提起していると思える。放送と通信、新聞、雑誌と通信、さらに音楽と通信の新たな有機的連携についてである。

 私は大学時代、通信工学を専攻し、その後、一転してシンクタンク一筋、テレビ局、新聞社と多くの調査報道に主体的、積極的に関与してきた。その意味からも、ホリエモンが惹起した問題提起を自分なりに考え反芻する良い機会であると思っている。

 だが、対する大手メディア側は、いかにもしたり顔で偉そうである。

 新聞やテレビなどは、メディア、ジャーナリズムについてこう述べる。新聞やテレビの場合、素人じゃないプロの訓練を受けた記者が現場で取材し、情報の裏を取る。それをデスクがチェックし、整理部を経由し紙面化すると。

 もし、それが本当なら大手メディアはまずもって、偉そうに説教している「取材、編集の原点」につき、果たして本当に自社の記者等が日々実践しているか、検証すべきである。そもそも田中康夫氏が常々指摘しているように、日本の大手メディアは、先進諸国にあまり類例のない「記者クラブ」のぬるま湯にしたり、役所のプレスリリースを垂れ流しているではないか。果たしてどれだけ役人、役所が出すリリースを検証しているのか、大いに???である。

 「記者クラブ」について、田中康夫信州・長野県知事は以下のように述べている。

 政治や経済や社会を批判しながら、自身への批評は受け入れようとしなかったマスメディアは、護送船団「記者クラブ」なる保護貿易主義の鎖国状態下で「カルテル」を組んできた集団と言えます。記者クラブ所属の新聞、TVに携わる者のみがジャーナリストに非ず、市民誰もが表現者、との哲学に基づいて「『脱・記者クラブ』宣言」を4年前に発した僕と同じ”トロツキスト”な体制内変革をホリエモンは今回、敢行しているのです。

 翻って、朝日新聞とNHKは、事件となった自民党幹部への現場取材、電話取材、その裏とり、もちかえったメモやテープ、ファイルからの一次トランススクリプト、テープ起こし内容から記事化する上での編集など、取材、編集、報道の全過程を徹底した証拠調べをもとに実証しなければならない。

 なぜなら、NHKvs朝日新聞の事件は、まさしくジャーナリスト、ジャーナリズムの最も基本、原点の現場において起きたからだ。

 日本を代表する大手メディアは、ホリエモンに偉そうな説教をする前に、ぜひとも基本、原点に立ち戻り、それを再確認しなければならないだろう。

 そしてNHKは受信料を支払っている数千万世帯の視聴者に、朝日新聞社は、読者、株主、社会に対し、真実をつまびらかにする義務があるのではないか。

 自分たちが取材、編集、報道して起きた事件に、NHK、朝日新聞ともに、それぞれ都合が悪い、不利益なことがあるからと言って、これ以上ウヤムヤにすることは断じてあってはならない。

 先に述べたように、NHKの橋本新会長は、2005年3月17日の国会審議で改めて朝日新聞の報道を事実誤認などと批判した。朝日新聞は自らNHKを提訴もせず、ただNHKの言いたい放題を看過していてよいのか。

 私は第三者として、NHKはもとより朝日新聞のこのような態度を許容することはできない。

 朝日新聞社は時間の経過でことをウヤムヤとすることなく、NHKを断固提訴し、公衆の面前で日本新聞協会が示す「新聞倫理」を実践して欲しい!

つづく
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都道府県・政令指定都市 情報公開度ランキング

 以下は、全国市民オンブズマン連絡会議が毎年行っている「情報公開度都道府県総合ランキング」の結果である。長野県が昨年の35位から一気に3位となっているのが注目される。

 
第9回情報公開ランキングの項目等の詳細

順位 前回順位 都道府県名 得点
1  (8)  岩手  60
1  (6)  宮城  60
3  (1)  鳥取  57.4
3  (35) 長野  57.4
5  (32) 神奈川 55.5
5  (12) 徳島  55.5
5  (17) 佐賀  55.5
8  (43) 北海道 53.5
8  (9)  京都  53.5
10 (25) 岡山  52.3
11 (9)  栃木  51.6
11 (2)  三重  51.6
13 (3)  和歌山 51
14 (29) 石川  49.7
14 (5)  山口  49.7
16 (7)  沖縄  49
17 (17) 秋田  47.7
17 (17) 千葉  47.7
17 (46) 新潟  47.7
17 (25) 富山  47.7
21 (21) 福島  45.8
22 (3)  福井  45.2
22 (32) 滋賀  45.2
22 (36) 鹿児島 45.2
25 (17) 青森  44.5
26 (28) 群馬  43.9
26 (45) 兵庫  43.9
28 (38) 山形  43.2
29 (21) 大阪  42.6
30 (14) 茨城  41.9
30 (14) 愛知  41.9
32 (23) 大分  41.3
33 (41) 香川  40.6
33 (16) 愛媛  40.6
35 (12) 埼玉  37.4
36 (40) 熊本  35.5
37 (9)  岐阜  34.8
37 (24) 高知  34.8
37 (41) 長崎  34.8
40 (30) 宮崎  34.2
41 (34) 山梨  33.5
41 (30) 奈良  33.5
43 (27) 静岡  31
44 (38) 島根  27.7
45 (37) 広島  23.2
46 (44) 福岡  18.1
失格 (失格) 東京  23.2

田中康夫知事、異例の議長申し入れの背景

 田中康夫知事の異例の申し入れ(以下参照)にもあるように、長野県議会の一部議員による下劣きわまりない侮辱的なヤジや人格攻撃的質問への県民、世論の批判が日増しに高まっている。本来議論、審議の場であるべき議場でのおよそ聞くに堪えないヤジの数々は、由々しき事態であると言って良い。

長野県議会で答弁する田中康夫知事

最近の主なヤジ


以下は、北山早苗県議のHP(さわやか早苗日誌)より

「嘘つけ、何言ってやがるんだ、笑わせるんじゃねえぞ」(当たり前のことを当たり前に語り合える開かれた県政を目指す、と説明していた時。以下カッコ内は知事説明)

「おめえのせいだ」(国地方合わせた借金で、国家的破綻状態)

「なるわけねえじゃねえか」(田中県政による財政改革プログラムが実行されなければ、今年度に財政再建団体へ転落していた)

「しかし、くだらねえ文章考えたもんだな〜、てめえの頭溶かせ、題目ばっか並べんじゃねえよ」(過去を溶かし、現在を育み、未来を創る)

「何言ってやがるんだ、このやろ〜」(ばか者・よそ者・わか者)

「おい、その前に長野県でやってみろ、おめえ」(他の知事とも協力して、国へ具体的提言をして行く)

「おめえが行ってこい」(ブラジルに日本語教師を派遣)

「おめえがやめれば、もっと増えるわ」(林業の新規参入定着者が増えた)

「詐欺はおめえじゃねえか」(振り込め詐欺やヤミ金による消費者被害を防ぐ対策事業)

「完璧、自分に酔っている、このやろう」「おあい、3文小説家書いてんじゃねえぞ、獄中で書いてこい、獄中で」(山口村申請にあったっての無念な想い)

以下は田中康夫知事のコラム(奇っ怪ニッポン)より

「水ぶっかけてやれ」

「能力無い奴は早く辞職しろ」

「この詐欺師、笑わせんじゃねえぞ」

「嘘八百、よく並べられるもんだ」

「立て、こら、早く」

「バカな事、こいてんな」

「この野郎、テメエの頭、改革しろ」

「にせオンブズマン、もう、辞めろ」

「おら、お前、腹を切れ」

 今の長野県議会では、非常に遺憾なことだが、理念、政策、施策、予算の真摯な議論は見えず、「政策」的な議論を敢えて「政局」化しようとする一部議員と一部メディアによって、未だかつてない緊張に包まれていると言っても過言ではない。44名の議員が田中康夫知事の不信任を決議した2002年に近い状況が現出していると言ってもよい。

田中康夫知事、長野県議会議長に異例の申し入れ!
北山早苗:品位のかけらもない長野県議会
北山早苗:品位のかけらもない長野県議会
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自民党県連、田中知事への自民本部の講演依頼を中止させる!?

 以下の講演依頼状をとくとご覧頂きたい。

http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/tanaka-yasuo-jimin1.gif


 自民党本部 文教制度調査会、河村建夫委員長名での田中康夫知事への講演依頼状である。

 田中知事に、自民党本部が正式の講演依頼状を出し、義務教育特別委員会で知事の話を議員らが聞こうと言うのである。これだけでもたいしたニュースである....。

 田中知事と言えば、最近はフジテレビの政治番組、「報道2001」にたびたび出演、長野県での地方改革のさまざまな実績をベースに、日本社会の変革に鋭い切れ味で、歯切れよく問題提起、政策提言を次々に発している。

 「報道2001」は、ご承知のように日曜早朝の硬派の政治番組、それも自民党の幹部が毎回出演するなど、田中知事の出演は一見場違いと思われる向きもあるかも知れない。
 
 地元新聞によれば来年(2006年)の知事選を意識し、自民党本部が田中知事を呼び講演させるとなると、自分たちに不利になると考え、自民党本部に中止させるように申し入れたと言うのが実態のようだ。

 もし、自民の長野県連の対応が新聞各紙にあることが事実なら、大人気なく、感情的で、いかに公党として度量がないと思われても仕方あるまい。

 最近前代未聞の出来事が多いが、まさに前代未聞の出来事ではなかろうか!

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迷走:愛知万博(2)

   愛知万博開催問題に関し、中村敦夫、青山貞一、田中康夫の3人が愛知県知事に意見申し入れする数ヶ月前、私が代表を務めるNPO/NGO環境行政改革フォーラムは、パリに本部がある博覧会事務局の事務局長に以下の手紙(申し入れ書、提案書)を送った。


博覧会国際事務局(BIE)、事務局長 Noghes 様

          
愛知万博問題に関するBIEへの申し入れ書
                       (日本語訳)

環境行政改革フォーラム有志(アイウエオ順)
Forum on Environmental Administration Reform   
青山 貞一 代表幹事、環境総合研究所所長
阿部 賢一 土木学会会員
池田こみち 事務局長、環境総合研究所副所長
井上 有一 京都精華大学教員
大石 和央 静岡県農業者
大羽 康利 渥美自然の会
桂木 健次 黒部川ウオッチング富山ネットワーク代表
金尾 憲一 相模川キャンプインシンポジウム
黒田光太郎 名古屋大学教授
向達 壮吉 ネットワークしもまるこ「地球村」
佐野 淳也 吉野川を守るJr.の会
鈴木 譲 東京大学教授
高岡 立明 海上の森エコミュージアムネット
鷹取 敦 環境総合研究所主任研究員
田中信一郎 中村敦夫参議院議員政策秘書
寺尾 光身 元名古屋工業大学教員
中村 敦夫 参議院議員
野村 修身 電子技術総合研究所・主任研究官
藤井 久雄 森林NGO緑友会事務局、林野庁森林総合研究所
松本 悟 メコン・ウォッチ
水田 哲生 立命館大学大学院博士課程
森嶋 伸夫 政策学校[一新塾]
吉田 央 東京農工大専任講師

 私達は愛知万博に関連する諸問題について私達が抱いている強い疑念をお伝えしたく、この手紙を差し上げる次第です。

 私達は2005年愛知万博開催問題に関連し、通産省、愛知県、万博協会などに直接、間接にたびたび意見を述べてまいりました。しかしながらこれら諸機関からは未だに何の返答も頂いておりませんので、BIEにとっても関心があると思われる諸課題につき、私達の見解を以下に述べさせていただきます。

<課題1 財政問題>
 日本経済は現在回復途上にあるものの、国および愛知県を含む地方はいずれも現在深刻な財政危機にあります。特に、本年9月名古屋地方を襲った深刻な洪水の被害を受けた愛知県は然りです。この洪水では約100人の死傷者、64,000戸が損傷を受けました。

 冠水地帯の完全回復には約400億円かかると思はれます。現在万博開催予算は、国、県、地元経済界が1/3づつ負担することになっておりますが、国、県ともに財政に余裕はなく民間等も負担することに消極的な姿勢であるのが一般的です。

 万博会場の建設費は縮小されても1350億円であり、その3分の1の450億円が民間等の負担となりますが、今の経済状態ではこれが集まる見込みはないと思われ、国および県の財政予測は非現実的です。

 一方、万博協会は入場者数の見込みを下方修正し1500〜1800万人としましたが、ドイツのハノーバー博の入場者数をみてもわかるように、環境博としての入場者数の想定は依然として過大であり、財政予測を歪めていると思います。

 さらに、観客輸送の問題があります。当初の万博計画に基づく私達の推定では、多くても1000万人しか収容できそうにありません。日本政府は観客輸送のため1000億円以上かけ高速鉄道 (High Speed Super Train, HSST)を建設する予定ですが、これと一体になった面的開発計画がなされていません。

 このHSSTの1000億円や会場への道路整備費等の300億円は会場建設費1350億円とは別枠となります。詳細な面的地域開発計画が欠落していることは、地域住民に何のメリットももたらさない可能性があります。

 このように、万博計画は地域の土建業者を潤すのみで一般市民には何の利益ももたらさず、多少の変更を加えたとしてもいわゆる「20世紀型の開発」の一つか、あるいはそれ以下のものでしかないといえます。

<課題2 市民参加>
 私達は、万博計画の立案過程において関係団体の幾つかが差別的な扱いを受けた事実があることを重く受け止めています。会場立地および施設計画の立案過程では、当初から3大環境団体の意向が重視され、地元の環境その他の団体の意向が軽視されてきました。

 事実、今年の5月になるまで、6者協議と呼称されるように、3大環境団体と事業者である通産省、愛知県、万博協会が非公開会合を頻繁にもちましたが、そこには地元NGOはまったく招かれていません。非公開の6者協議では議論は特定の問題に限定されていました。すなわち、「海上の森」を万博会場として如何に開発するかしか議論されず、他の立地は何ら議題とされませんでした。

 また、BIEへの12月登録が前提とされたので、検討会議が5月に発足したものの、約1月という短期集中の会合となってしまいました。その結果、関係諸団体の間の合意を達成するにはスケジュールがあまりにもきつすぎ、特に地元NGOが強く提起した自然保護に関する重要課題が十分議論されませんでした。しかも批判的意見が「対立の構図」と決めつけられ、地域自然環境に詳しい団体の意見が封じ込められました。このように「検討会議」は到底、公衆参加(PI)の場とはいえず、PIのアリバイづくりとなってしまっていると私達は考えています。

<課題3 会場プラン>
 「検討会議」ではその圧倒的大部分の時間が海上の森に費やされ、大部分のパビリオンが集中する予定の愛知青少年公園についての議論はほとんどなされていません。海上の森についても、もともとの万博の運営委員をしていた一大学教授が2000年3月時点で個人的に立案した海上の森での三つの恒久施設建設案が、「検討会議」の結論に含まれていました。

 この施設そのものが海上の森の自然環境を破壊することが問題です。またこれらの案は、万博終了後環境教育の本拠として使用できるとの自然保護団体への利益供与による懐柔策ではないかという疑念が持たれています。私達は、環境についての言訳に使うにしろ使わないにしろ、環境影響評価を行うことなしに恒久施設を建設することは許容されないと考えています。

 上記のような諸事実にてらして、新住宅開発計画が当初の計画案から外されはしましたが、海上の森における恒久施設の建設は、地域NGOの合意が得られないかぎり認められず、全体計画の大きな瑕疵であると結論せざるをえません。

<課題4 環境アセスメント>
 今年1月13日、通産省の愛知万博環境影響評価検討会が環境アセスメントの最終審査を完了したその翌日に愛知県の地元新聞がBIEの厳しいコメントを暴露しました。この環境アセスメントの検討会は非公開で行なわれており、検討会の委員は通産官僚の独断的判断による情報しか知らされていませんでした。

 周知のように、この環境アセスメントはオオタカ営巣発見後追加的になされたものです。両地域へのアクセスまた両開催地をつなぐ輸送プランは依然として不明確です。実際青少年公園がある長久手町の住民は、自然環境破壊とともにそれらアクセスによる排ガス、騒音などの環境破壊を憂慮しています。

 結論として言えることは、手続的にも技術的にも環境アセスメントは不充分なものです。それは単なる儀式、数値合わせとなっており、到底、環境アセスメントとは言えません。万博への登録を最優先し閣議決定した状況から考えて、この環境アセスメントはスケジュール優先のアワスメントであったといわざるを得ません。

<課題5 中部国際空港>
 愛知県では万博開催時期にあわせ、総額1兆円におよぶ、空港需要を過大に見積もった巨大空港をこの8月に愛知県知多半島の常滑市沖に着工しました。この空港は合計で700haに及ぶ海上空港であり、潮流、海流を変え、海洋生態系に著しい影響を及ぼすことが専門家からも指摘されています。

 海上空港建設等のために1億2000万立方メートルに及ぶ膨大な量の岩石、土砂が必要とされ、愛知県、三重県の自然環境豊かな陸上のエコシステムを破壊しようとしており、現在、環境NGOらの大きな反発をうけています。愛知県はこの巨大な空港建設を愛知万博とセットで計画し、2005年の万博開催にあわせることを最大の課題としています。日本経済が厳しい状況にある現在、巨大公共事業はその必要性、妥当性、正当性の面から徹底的に再検討されなければなりません。この空港建設は日本有数の自然環境破壊事業であり、国全体および県の財政を悪化させる無駄な公共事業です。

 以上、5つの観点から愛知万博の課題について意見を申し述べてきました。

 全ての万国博の質を高く保つ義務と権利を持つBIEに対して、愛知万博の決定過程の全体的正当性を再検討下さることを心から願うものです。私達はまた、本来万博の目的にかなうように行なわれなければならない実現過程が実際にもその万博の目的と合致していることが、万博といいうものの目的を世間に示すのに特に重要であると信じております。

(1) 国および県の財政を悪化させるような万博であってはなりません。現在の財政に更に負担を加えることは次の世代にいたずらに負の遺産として残さざるをえず、万博の目的と矛盾するものです。

(2) 市民参加は全うされなければなりません。意思決定過程への単なる部分参加は、地域環境団体への差別的扱いを免罪 するものでは決してありません。市民参加の過程は透明でなければならず、合意形成過程の質を高めるものでなければなりません。

(3) 環境アセスメントには恒久施設も含めるべきです。また、これら恒久施設のアセスメントは理性的かつ合理的におこなわれるべきです。そうすることは、万博というものが本来持っている理念にかなうためいに、決定的に重要です。

(4) 環境影響評価は見直されるべきです。特に海域および陸上の環境への影響は精査するべきです。

(5) 中部国際空港は万博と切り離し、その必要性、妥当性、正当性を環境保全と財政の面から十分に再検討すべきです。

 上記諸点に基づき、BIEが更に検討を加えるよう心から要請します。BIEが、単に万博そのものについてだけでなく、万博の全ての過程について、質の規準を保つことが極めて重要です。

以上

環境行政改革フォーラム(E-Forum)とは
 環境行政改革フォーラムは日本のNGOの一つであり、科学的研究および社会学的研究と行動を通して世界および日本の環境の質を高めることを目的としています。独立した市民の集まりである私達は、世界および国内の環境、エネルギー、および廃棄物処理政策の問題に取り組んでいます。E-Forumの会員は研究者、科学者、活動家、議員などです。E-Forumは持続可能な未来を達成するために日本の環境政策を改善することを目標にしています。会員の何人かは愛知万博問題に深く関わっています。この万博に関しては解決していない論点があるので、多くの会員有志がこれらの論点を国勢的、全国的、および地域的に知ってもらうことにしました。

※ この申し入れ書は英文で、11月中旬にBIE事務局長に送られ、また、12月13日から14日にかけて、在仏の各国大使館を通じてBIE総会出席者代表宛に直接電子メールで送られた。送った大使館は22カ国であった。
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迷走:愛知万博(1)

初出:独立系メディア「今日のコラム」
 
 公式サイトによれば、「愛・地球博(愛知万博)は21世紀としては初めて2005年に行われる国際博 覧会です。テーマは「自然の叡智」、サブテーマは「宇宙・生命と情報」「 人生の”わざ”と知恵」「循環型社会」で2005年3月25日から9月25日まで開催される」とある。
 
 コンセプトも場所も二転三転、迷走につぐ迷走を繰り返してきた愛知万博が来年(2005年)開催される。私自身、国際博覧会をいわゆる先進国で開催することの意味に疑問をもっているが、それはそれとして、愛知万博の立地計画を大幅に変えるきっかけとなった、「あるエポック」をいくつか紹介したいと思う。

 愛知万博は当初、「環境万博」と言っていた。だがそう言いつつ、愛知県に残された貴重な里山、自然を大規模に破壊しその上にパビリオンをこれでもか、これでもかとたくさん施設(はこもの)を開発する計画であった。

 万博の跡地に、愛知県や住宅公団が都市計画道路と新住宅市街地開発事業を行うことが前提となっていたのである。言うまでもない、住宅公団や県住宅供給公社などの組織延命の「公共事業」の実施がそこにあった。

 他方、地元のNPO/NGOは、本来「小異をもちつつ大同につく」ことなくして本意は達成しないのだが、さまざま難しい問題を持っていた。地元のNPO/NGOは、当初は「小異をもちつつ大同についていた」。しかし、在京の3つの自然保護団体が愛知万博問題に関与してから、地元団体の一部が「小異のために大同を忘れ」て在京団体に近づき、結果的にいがみあう状態にあった。事業者に対し、NPO/NGO相互のベクトルをあわすことができなかった。その結果、愛知万博の計画は協会など事業者サイドで一方的に進められていた。

 そんな中、愛知県の自然保護団体からの依頼により、事業者、すなわち経済産業省、万博協会、愛知県などとNPO/NGOを国会議員を行司役にガチンコ(直接議論)させることになった。当時、吉野川、川辺川はじめ公共事業と自然環境保護をめぐる問題で、このようなやりかた、つまり国会議員を行司役とし、相対立する両者を議員会館にお呼びし、直接的に議論してもらい、問題解決の糸口を見出すやりかたを次々にやっていた。

 愛知万博の「ガチンコ会議」は衆議院第一議員会館を使って行われた。ガチンコ会議には、公共事業議員チェックの会メンバーで友人の佐藤謙一郎衆議院議員や中村敦夫参議院議員が行司役として参加した。愛知県からは10以上の市民団体が一挙上京してきた。

 だが、通産省(後に経済産業省)、万博協会、愛知県は、この会議でまさにNPO/NGOとまともに目をあわすこともなく、一方的に自分たちの主張を言うだけであった。ガチンコ会議に参加していた田中康夫氏は、通産省官僚をして、「あなた方はオウムと同じだ」と述べた。まさに思考停止の官僚そのものの姿がそこにあったのである。
 
2000/2/9 衆議院第一議員会館会議室にて愛知万博討論会
手前側が通産省、建設省、愛知県、万博協会関係者、中村敦夫議員(マイクを持っている)の側が国会議員。奥右手・スクリーンの右端が田中康夫氏、その隣が青山貞一、それより右が愛知県から来たNGO
専門家。 
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フジサンケイグループと私

 ところで、そう言う私(青山)もある時期、4年間、フジサンケイグループに在籍した。建物の壁と言う壁には「視聴率三冠王達成しよう」とか、「能ある鷹は爪を磨け」などが張り巡らされ、私がいたシンクタンク部門(フジテレビが100%の株を所有)では、毎週早朝から売上勘定を確認する会議があった。

 移った直後からすさまじい売り上げ至上主義の現場にたたき込まれ、「金」の話ばかり、「理念」もへちまもない。あまりもの金勘定ばかりの現状、(我々は当時評判となったトヨタの工場を体験したルポライターが書いた「自動絶望工場」になぞらえ、「情報絶望工場」と呼んでいた)に唖然とする毎日だった。

 それでも石の上にも3年のたとえもある。

 厳しい環境問題冬の時代4年間を一緒に来た池田こみちさんと歯を食いしばってがんばったのである。辣腕人事で知られる共同テレビ副社長からも評価を得た。

 しかし、その間、ほん少し赤字を出したとして、河田町のフジテレビ社屋最上階にある富士山の大きな絵が書かれた大きな会議室に集合させられ、社員全員の前で「青山君の部署は赤字を出した」と言われ、9人いた研究員は私と池田の2名に以外はぎ取られたのである。ちなみにその会議室は田丸美寿々キャスターが涙の記者会見をしたことで当時有名だった。

 ご承知かどうか知れないが、当時、フジサンケイグループは田丸美寿々さんですら契約社員、本採用の女性社員はほとんどいなかった。私と池田さんは、意地でも黒字にして辞めてやろうと決意し、その翌年黒字とした上で退職願を出した。フジテレビ幹部は、「青山所長が出て行くのは仕方ないとしても、池田さんはフジサンケイグループで最初の女性課長職としたのに....」と慰留したそうな。事の本質がまったく分かっていないと感じた。

 以下の日経産業新聞の記事をじっくり読んで欲しい。フジサンケイグループを私たちが辞めたときの経緯が書かれている。

日経産業新聞1990年(平成2年)3月20日(木曜日)
 資本金は現在2000万円、本社東京都品川区上大崎、第三者的立場から環境政策、
環境調査を手がける。高度な環境関連の数値計算ソフトは他の追随を許さない。


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