青山貞一ブログ

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2005年08月

末期的症状を呈する自民 "民主主義を壊す大メディア"

 

末期的症状を呈する自民
 民主主義を壊す大メディア

青山貞一


 東京新聞2005年8月26日号の「メディアを読む」で立教大学の服部孝章教授(メディア論)は、昨今の小泉郵政民営化問題に、メディア論の観点から大メディアに次のような辛辣な批判を浴びせかけている。

 「今こそ冷静な視座が必要なのに、『刺客』『マドンナ』など劇場型選挙が小泉政権中枢によって演出・展開され、テレビはワイドショー枠も定時ニュース枠も追随している。テレビジャーナリズムの危機だ。

 現政権は9月11日実施の総選挙で、行政改革の本丸とする『郵政民営化』の是非を最大争点に掲げる。しかし、後にこの9月11日を検証する際、日本の社会と政治が民主主義を放逐してしまったなどといえるようなことになるかもしれないほど、日本社会は分岐点にある。」

さらに

 「今こそテレビ報道は、『小泉政治』の4年間を徹底して検証すべきだ。『刺客』らを追っかける取材陣のコストは、そのまま日本のジャーナリズムを弱体させるだけだ。

 『刺客』の動向を自民党広報機関のように伝える姿勢は、報道の自由をとはかけ離れ、この国の将来を決定する選挙を一時のお祭りにしているだけにすぎない。

 今こそ必要なのは、現状の政治の真の争点の掘り起こしと、戦後60年にしてこの国の『民主主義』の脆弱さを乗り越える報道姿勢ではないのか。」

 まさにその通りである。 

 一方、友人のフリージャーナリスト、横田一氏も昨今の異常なテレビ報道に対し具体的に次のように述べる。

 「マスコミが『郵政民営化賛成派=改革派、反対派=守旧派』という一面的な物差しを押し付け、小泉首相の広報機関と化しているのは全く同感です。

 先週のテレビ・タックルでは、賛成派のコメンテーターが勢ぞろいし、反対派の側に立って反論するのが福岡教授だけという不公平な人選でした。ワッツ・ニッポンでも、猪瀬直樹氏やテリー伊藤氏や日経ウーマン編集長が三人とも郵政民営化賛成派で、反対派の議員を詰問するというやりとりもありました。

 放送法の多角的視点の提示からすると、スタジオには、少なくとも一人は反対派に近い立場のコメンテーターがいないとバランスに欠けると思います。

 猪瀬直樹が出るなら、反対派寄りのコメンテーターが出ないとおかしいと思います。こうした偏向報道ぶりについては、あまりに酷い。

生き残り懸け「イメージ新党」=裏に「小沢一郎氏」との見方も
 ただ、結党の記者会見で田中氏は抽象的な理念を繰り返すばかりで、政策は語らなかった。「合言葉は信じられる日本へ」などとした結党宣言が「当面の理念と公約」(荒井広幸参院議員)という状況だ。窮余の策とはいえ、どこまで有権者の理解を得られるかは不透明だ。
(時事通信) - 8月21日22時9分更新

 この(上の)時事通信の記事も小泉首相寄りにみえます。

 田中知事は「抽象的な理念を繰り返す」だけではなく、長野県の財政が健全化していることを紹介した上で、小泉政権下で日本の借金が膨らんでいることを指摘(小泉首相が「聖域なき構造改革」を訴えても効果なし)、また道路公団民営化についてもイタリアの高速道路料金が日本の4分の1であると紹介(ちなみに小泉首相の道路公団民営化では1割しか料金は下がらない)、「民営化した後、どうなるか」を問題提起したいと語っていました。

 これは、形だけの「民営化」をしても具体的な効果(国民へのプラス)が伴うのかという”小泉口先政治”への批判に聞こえます。

 こうした具体的な対立軸を時事通信の記者は感じないというのは、よっぽどセンスがないか、上司から小泉批判はするな」といわれているのかのどちらかとしか思えません。

 抽象的な理念を繰り返すばかり』というのは、『民営化』『民営化』と叫ぶだけで、官から民へ資金の流れがどう変わるのか、出口の特殊法人の無駄遣いがどう減っているのかを説明しない小泉首相に向けられる批判ではないかと思います。」
 
 おそらく圧倒的多くの読者も横田氏の上記のコメントに賛同する事と思う。それほどここ数週間の大メディア、とくにテレビ報道は常軌を逸していたと思える。

 ところで、私が末期的症状を呈する自民シリーズの最初の号で指摘した「月刊現代9月号が提起したもの!」で指摘した、朝日新聞の安倍、中川の両代議士による番組制作への政治介入問題だが、武部自民党幹事長らは、朝日新聞に本当に取材拒否を通知した。

 本来、政権与党である自民党の朝日新聞取材拒否に対しメディア全体で自民党に抗議すべきなのに、当事者の朝日新聞が及び腰なのに加え、他の大ジャーナリズムは抗議するどころか沈黙を守っている。新聞によっては自業自得とばかり高見の見物を決め込んでいる大メディアもいる。

 2005年8月10日の東京新聞の「メディア新事情」で篠田博之氏は、これについて次のように述べている。

 「政権政党である自民党がこんな形で取材拒否を行うのは、どう見ても論点のすり替えであり、嫌がらせでしかない。だが驚いたのは、この取材拒否に対してメディア界全体で抗議や反論を行う空気があまり見られないことであだ。」

 日本の大メディアは、イラク戦争勃発直前でも朝日新聞がろくに検証もせず、ブッシュ大統領の大量破壊兵器論にひっぱられ、イラク戦争を容認するような社説を堂々と掲載していた。

 ブッシュ大統領の「イエス」か「ノー」かの二項対立論と小泉首相の郵政民営化に「賛成」か「反対」かの二項対立論もきわめて酷似している。共通しているのは、国民を思考停止とさせ、メディアを自分たちの側に引き入れることである。この間の日本の大メディアは、まさにそれに国民を誘導するよう先導してきたといえまいか。
 
 イラク戦争では、後にブッシュ政権のあちこちの側近から大量破壊兵器の不存在が示されたが、日本のマスコミはベタで報道するだけで、社説などで明確に自分たちがしてきたことを反省している新聞社それにテレビ局はごくごくわずかである。

 日本の世論は、マスコミによってつくられることは周知の事実だ。

 独裁的為政者のメディア戦略に簡単に乗せられ、追随する昨今の大マスコミをみていると、この国の民主主義はまさに大メディアによって破壊されていると思うのは私一人ではないだろう。

 本当に日本の行く末を危惧するものである!

末期的症状を呈する自民  「二世」、「三世」議員の巣窟


末期的症状を呈する自民
 「二世」、「三世」議員の巣窟

青山貞一


 長期に政権、権力に居座ることの一つの大きな弊害は、官僚出身議員とともに、二世、三世議員が増えることである。これは特に政権政党である自民党において顕著である。

 本来、より多様で多彩な人材が国政に行くべきだが、安易な世襲によって多くの二世、三世議員が誕生している現実を直視するば、まともな人材が二の足を踏むのも分かるというものである。

 事実、給与以外に政務調査費、旅費交通費などを含めると年間一人当たり3000万円近くの税金が政権野党の世襲議員に払われることになる。世襲そのものが一種の利権構造を生み出す土壌を醸成していると言ってもよい。

 以下、あいうえお順に、自民党の二世、三世議員をリスト化した。リストの見方は、左端から右端に向か曽祖父・曽祖母―祖父・祖母─父・母─息子・娘の順となる。


自民党(衆院、参院)の二世、三世議員リスト

逢沢寛      → 逢沢英雄  → 逢沢一郎
愛知揆一    → 愛知和男 (養子) → 愛知治郎
赤城宗徳    → 赤城徳彦(孫)
麻生太賀吉  → 麻生太郎
安倍寛     → 安倍晋太郎  → 安倍晋三
甘利正     → 甘利明
池田勇人   → 池田行彦(娘婿)
石原慎太郎  → 石原伸晃
石破二朗    → 石破茂
伊藤宗一郎  → 伊藤信太郎
稲葉修     → 稲葉大和
臼井尚一   → 臼井日出男
宇野宗佑    → 宇野治(娘婿)
浦野幸男    → 浦野休興
江崎真澄    → 江崎鉄磨 ・江崎洋一郎  
江藤隆美    → 江藤拓
大石八治    → 大石千八 → 大石秀政
大野伴睦    → 大野明・大野つや子(明の嫁)
小此木彦三郎 → 小此木八郎
小渕光平   → 小渕恵三  → 小渕優子
奥野誠亮   → 奥野信亮
梶山静六   → 梶山弘志
加藤精三   → 加藤紘一
加藤高蔵   → 狩野昭男(娘婿)・狩野安
金子一平   → 金子一義
亀井善彰   → 亀井善之
唐沢俊樹   → 唐沢俊二郎
川崎克     → 川崎秀二  → 川崎二郎
岸信介     → 安倍晋太郎 (娘婿) →岸信夫 (安倍家から岸家へ養子入り)
岸田正記   → 岸田文武 → 岸田文雄
北川石松   → 北川知克
北村義和   → 北村直人
木村文男   → 木村守男 → 木村太郎
倉成正     → 倉成正和
小泉又次郎 → 小泉純也 → 小泉純一郎
河野一郎 ・河野謙三 → 河野洋平  → 河野太郎
河本敏夫  →  河本三郎
久野忠治   →  久野統一郎
高村坂彦   →  高村正彦
小坂善之助 → 小坂順造  → 小坂善太郎・小坂徳三郎 → 小坂憲次
後藤田正晴 → 後藤田正純(正晴の甥の子)
近藤元次   → 近藤基彦
桜内幸雄  → 桜内義雄
左藤義詮  → 左藤恵 → 左藤章
佐藤栄作  → 佐藤信二
斉藤滋与史→ 斉藤斗志二
斎藤昇    → 斎藤十朗
塩崎潤    → 塩崎恭久
塩谷一夫  → 塩谷立
島村一郎  → 島村宜伸
鈴木善幸  → 鈴木俊一
砂田重政  → 砂田重民 → 砂田圭佑(重民の甥)
住栄作    → 住博司
関谷勝利  → 関谷勝嗣
世耕弘一  → 世耕政隆 → 世耕弘成(政隆の甥)
園田直    → 園田博之
竹下登   → 竹下亘(弟)
谷川昇   → 谷川和穂
塚原俊郎 → 塚原俊平
田中角栄 → 田中直紀 (娘婿)
谷垣専一 → 谷垣禎一
田村元一 → 田村憲久(甥)
土屋義彦 → 土屋品子
戸井田三郎 → 戸井田徹
渡海元三郎 → 渡海紀三朗
中川一郎  → 中川昭一
中川俊思  → 中川秀直 (娘婿)
中島知久平→ 中島源太郎 → 中島洋次郎
中曽根康弘→ 中曽根弘文
中村庸一郎→ 中村正三郎
中山榮一  → 中山利生
中山福蔵・中山マサ → 中山太郎 ・中山正暉 → 中山泰秀
西銘順治  → 西銘順志郎・西銘恒三郎
丹羽喬四郎→ 丹羽雄哉
野田武夫  → 野田毅 (娘婿)
野田卯一  → 野田聖子 (孫)
橋本龍伍  → 橋本龍太郎
初村滝一郎→ 初村謙一郎
服部安司  → 服部三南雄
葉梨新五郎→ 葉梨信行 → 葉梨康弘
鳩山和夫  → 鳩山一郎  → 鳩山威一郎 →鳩山由紀夫 ・鳩山邦夫
浜田幸一  → 浜田靖一
林大幹一  → 林幹雄
林平四郎  → 林佳介 → 林義郎 → 林芳正
原田昇左右→ 原田令嗣
平井太郎  → 平井卓志 → 平井卓也
平沼騏一郎→ 平沼赳夫 (兄の曾孫→養子)
福田赳夫 ・福田宏一 → 福田康夫
福永健司 → 福永信彦
藤井丙午 → 藤井孝男
元田肇   → 船田中 ・船田享二 ・藤枝泉介 → 船田譲 →船田元
藤本捨助 → 藤本孝雄
古屋善造 → 古屋慶隆 → 古屋亨 →古屋圭司
細田吉蔵 → 細田博之
保利茂   → 保利耕輔
堀内光雄 → 堀内一雄 → 堀内光雄
松永東    → 松永光(東の養子)
町村金五   → 町村信孝
水野清     → 水野賢一(中尾栄一 の息子→養子)

三ツ林幸三 → 三ツ林弥太郎 → 三ツ林隆志
三原朝雄   → 三原朝彦
御法川英文 → 御法川信英
宮沢裕    → 宮沢喜一 ・宮沢弘 → 宮沢洋一
宮下創平   → 宮下一郎
武藤嘉門  → 武藤嘉一 → 武藤嘉文
森矗昶 ・岩瀬亮 → 森曉・森清・森美秀 →森英介
大平正芳  → 森田一(娘婿)
保岡武久  → 保岡興治
山下元利  → 山下英利
山本富雄  → 山本一太
渡辺美智雄→ 渡辺喜美
綿貫佐民  → 綿貫民輔

末期的症状を呈する自民 「郵政民営化」の本質的課題


末期的症状を呈する自民
 「郵政民営化」の本質的課題

青山貞一
 


 もともと「郵政民営化」は、行財政改革、とくにいまや350兆円になんなんとする郵貯、簡保の国民の貯蓄が、財政投融資により過去、公団、公社などの「はこもの」づくりのための資金の温床となってきたことを辞めさせるが大きな目的とされて来た。

 与党の政治家と霞ヶ関の官僚は、80数兆円の国の一般会計予算とは別に、もうひとつの大きな予算(実際は借金)を国民の見えないところで実質的にもっていることになる。

 政治家と官僚の裁量による連携によって、国民から集められた郵貯、簡保の貯蓄が国民の知らないところで勝手に大規模な公共事業、「はこもの」建設に使われ、しかも、それらが累積債務としてだけでなく、不良債権と化している現実は到底看過できるものではないだろう。

 同時に、いまや1000兆円になんなんとする日本の国、地方などを合わせた累積債務を支える各種国債購入の原資に郵貯、簡保がなっていたことも大問題である。

 問題は郵貯、簡保を原資とした「財政投融資」問題だけでない。350兆円といわれる郵貯、簡保を原資に、国債を下支えしていることとも関係がある。郵貯、簡保を原資とした国債の購入額は下のグラフにあるように150兆円に及んでいると推定されている。


日本の累積債務総額の推移


国、自治体累積債務に占める郵貯・簡保購入分

 その意味で、郵政民営化、とくに行政再建、財政再建との関連する郵政民営化が重要な課題であることは言を待たない。また郵政民営に限らず官から民へ、小さな政府、役人天国からの脱皮などは、日本の国の形を変えるうえできわめて重要なことだ。

 だが、よくよく考えると、郵政民営化は、小泉首相が言うような官から民へ、小さな政府、役人天国からの脱皮と言った単純で分かりやすいキャッチフレーズとは別に、さまざまな大きな課題が山積していることが分かる。それら本質的な課題について、政府も政治家、それにただ選挙に関連し連日騒いでいるマスコミはほとんど言及していない。

 最初に言えることは、これら前代未聞の国、地方の累積債務や不良債権の大部分は、約50年続いている自民党政権の下で行われてきたことであることだ。

 それを抜きに、改革問題は考えられない。果たして、小泉首相の郵政民営化で果たして上のグラフの郵貯・簡保分(150兆円)がなくなるのか? 大幅に減るのか? またまともな情報公開がなく実態が不明な過去から現在の不良債権化額を含めた財政投融資の累積債務が民営化で公的資金の投入なく処理できるのか? さらに郵貯、簡保がそれぞれ株式会社化された場合、米国の巨大金融資本など、外国資本の餌食にならないのか? M&Aなどによるリスクはないのか? などなど、素朴な疑問がぬぐい去れない。

財政投融資の実態

 財政投融資制度は2008年以降なくなり、その手の資金は市場で調達することが義務づけられることになっているが、今までの財政投融資の累積債務及び焦げ付き(不良債権)がどうなるかが大きな課題となるはずである。

 過去の財政投融資の規模は、財務省データを見ると、32兆円(平成13年)→27兆円(平成14年)→23兆円(平成15年)→20兆円(平成16年)→17兆円(平成17兆円)である。

出典:財務省


 ※財政投融資制度は2008年以降なくなり、その手の資金は市場で
   調達することが義務づけられることになっているが、今までの財政
   投融資の累積債務及び焦げ付き(不良債権)がどうなるかが大き
   な課題となるはずである。

 最初に言えることは、小泉首相が上記の日本の累積債務の元凶がすべて郵便貯金事業、郵便保険事業にあると、ドグマチックに思い込みすぎているところにも大きな課題があると思える。

 もちろん、元凶のひとつであることに間違いない。しかし、ここまで国,自治体、公社、公団等の累積債務、かつ実質的に回収不可能な不良債権を増やしてきたのは、古くは「政」、「官」、「業」の癒着、昨今の「政」、「官」、「業」、「学」、「報の癒着体質と現状追認にあることは間違いない。これら癒着利権体質と現状追認のペンタゴンは、まさに政府自民党の一大お家芸ではなかろうか。

 以下、可能な範囲で郵政民営化に係わる課題について私見を述べてみたい。

 ところで、実際の郵政民営化の基本方針及び法案には、羊頭狗肉となる可能性が数多く残されている。以下に、閣議決定された郵政民営化の基本方針と、私が考えるその諸課題について示す。ただし、以下の課題は基本方針段階のものであり、その後の法案、修正は含んでいない。

その1 郵便業務・窓口業務

(1)政府の郵政民営化では、従来の郵政事業を〜觚サービス、⇒絞悄↓M絞愧金、ご憤彿欷韻裡瓦弔吠けている。すなわち、4機能をそれぞれ株式会社として独立させ、窓口ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社とするとしている。

(2)郵政民営化に反対する議員らの主張の多くは、次のようなものである。「収益のあがらない郵便事業ですから税金で赤字の穴埋めがされていると思われていますが、日本では税金は使われていません。むしろ税金で負担すべき部分も税金で負担していないものがあります。例えば、年金基礎年金部分は1/3を国が税金で負担しなければなりませんが、郵便事業職員には税の負担はありません。そんな収益のあがらない郵便事業が今日まで続いてきたのは、郵便局が貯金事業と簡易保険事業とを合わせて行ってきたからです。」

(3)これに対し、郵政民営化は、上述のように、郵政事業を〜觚サービス、⇒絞悄↓M絞愧金、ご憤彿欷韻裡瓦弔吠け、それぞれを株式会社化するのであるから、当然、切り離された,鉢△了業単独では経営が成り立たないと主張することになる。しかも、民営化後の各種郵政関連企業は、納税義務を負うことを前提としている。

(4)まず最初の課題は、〜觚ネットワーク会社や⇒絞愡業会社の場合、それ単独の業務で果たして会社の経営が成立するのかどうかにある? 郵便貯金、簡易保険との抱き合わせがないだけでなく、今後、小口配送業がより多様化、効率化し、書状等が一層電子メール化するなかで、とくに離島、山間僻地、過疎地などで、従来の窓口ネットワーク機能、郵便機能が維持されるのかと言う課題である。

(5)そのなかで、離島、山間僻地、過疎地などで、郵便のユニバーサルネットサービスが可能となるのかが課題となるだろう? たとえば、長野県には合併後も80以上の市町村があり、南信地域などには、数100から2000人程度の町村が多数ある。これらの中山間地において郵便のユニバーサルネットサービスを可能とするためには、おそらく県、町村の地域政策との連携、補完政策が不可欠となるはずだ。

(6)郵便事業民営化でひとつの理想モデルとなっているドイツの郵便事業だが、次のような課題が指摘できる。ドイツの連邦参議院は、郵便事業の民営化に関して現在、反省の時期に入っているといえる。郵便事業の民営化以前、全国に約29,000局あった郵便局は13,000局まで減少したが、ドイツの連邦政府がその後、設置基準を設け減少をフォローしだした。各種郵便料金を2回値上げした。今後、赤字が出れば連邦政府や州政府が郵便事業の赤字を補助すべきと言う要求を民営会社であるドイツポストからつきつけられている。

(7)またドイツポストへの民営事業のうち国際物流事業は、航空機を約200機を有し、DHLを子会社としている。しかも、世界各国の空港利用を前提とした巨大国際物流事業としてそれなりに成功したのであり、国内中心、しかも全国通津浦裏に行き渡る郵便事業経営が郵便事業単独で成功する可能性は少ない。そもそもDHLなどの国際小口物流に日本のEMSや日通の航空便が太刀打ちできるはずがないのではないか? 

(7)上記のように、もし、郵政事業のうちユニバーサルネットサービスは、郵政民営化関連施策,事業だけでなく、その補完施策、応急施策、地域政策と連携し、すなわちセイフティーネットを具体的に考慮してはじめて可能となると思える。ニュージーランドの挫折はもとより、イギリス,オランダなどの先行事例では国による政策的財政負担で赤字を負担している現実をもっと直視する必要がある。これでは元の木阿弥である。


その2 郵便貯金、郵便保険事業

(1)郵政民営化に反対する国会議員の言い分として、次のようなものがある。すなわち、「郵便事業が預金や簡易保険という金融事業を行うことに対して根強い批判があります。郵便事業を民営化すべしとの声はこの金融業界からの根強い批判から出ているといってもいいかもしれません。この10年間の日本経済の低迷は民間金融業界が本来の使命を忘れて投機に走ったことが原因であったことを忘れてはいけないと思います。郵便貯金も簡易保険も民営化されて、投機に走るようなことがあればどうするのでしょうか。郵便貯金や簡易保険の資金は国の公社公団を通じて無駄な事業の温床になってきたとの批判もあります。しかし、郵便事業の責任ではありません。郵便事業資金の自主運用を妨害し、国の財政投融資に資金を振り当ててきた予算当局の責任です。」

(2)上記の主張、言い分には当然、それなりの正しさがある。国立の機関が独立行政法人となっても、そこに省庁の官僚が天下れば、表向き民営化された組織でも、従来の課題の多くを引き継ぐことになりかねないからだ。これは道路公団民営化などでも同じ事であるからだ。

(3)かつてニュージーランドは郵便事業を金融部門(郵便貯金・簡易保険事業に相当する)を外しおり、これこそ日本が見習うべきビジネスモデル、改革であると日本政府は推奨していた。だが現在どうだろう。見習うべきニュージーランドは再度税金を投入し、郵便局に金融部門を復活させてたのである。だが、一旦崩れたシステムの復活は容易ではなく、ニュージーランドの極端な民営化モデルは現在失敗の見本と化している。

 参考:
ニュージーランド

(4)ドイツでは当初、郵便会社、すなわちドイツポストを分離したが、その後、ドイツポストは親会社として、郵便局会社、急送便会社、物流会社、金融会社(ドイツバンク)までを子会社化した。さらに、ドイツポストの子会社となった金融会社には生命保険会社や損害保険会社が孫会社化している。当初、金融会社であるドイツバンクは郵便会社であるドイツポストの子会社ではなかったが金融会社が郵便局維持費の2分の1を負担することに応じなかったためドイツポストは金融会社を買収した。現在、ドイツポストは郵便局会社、急送便会社、物流会社の株式を100%、金融会社の約70%を保有してグループ経営を展開している。

 参考
:ドイツポスト

(5)だが、日本の郵政民営化の基本方針では、持ち株会社を親会社とするものの100%を所有できるのは窓口会社と郵便事業会社だけであり、郵便貯金会社と郵便保険会社の株式保有を認めていない。さらに、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社が窓口会社に業務委託する義務を課さないとしている。郵便事業と郵貯事業,簡保事業を分離することに熱心なあまり、持ち株会社を中心に資本で連結した企業がグループの有機的連携ある経営によって資本力を発揮することができなくなる可能性がある。

(6)一方、政府の郵政民営化で、資本的に切り離された郵便貯金事業会社や簡易保険事業会社がJRやNTTのように、分割民営化されない場合、最終的には350兆円もの預金額をもつ超メガバングをつくることになりかねないのではない。 仮にメガバング化する場合でも、完全民営化に至る過渡期にあって過小資本の問題が起きないと言えるか? 逆に、株式市場などでの株式売却により、過小資本問題を克服し、それなりの適正な資本規模をもったメガバンク、郵政銀行が誕生した場合には、それが新たに民業を圧迫することにならないか?

(7)ちなみに、ドイツポストは自己資本率30%で発足している。一方、日本郵政公社の試算では日本の場合、約7兆円の資本が必要であると推定している。だが日本政府はこの約半分の資本で発足させようとしているふしがある。さらに株の売却収入を資本の充実に充てると言う考えもないようだ。企業論的に見れば,郵政民営化をすることは、市場で株式を発行し、それを売却することを意味するが、日本政府は累積債務解消のためにその収入を国庫に取り込むことだけを考えており、肝心な郵便事業経営の健全経営資金に使うことは毛頭考慮していない。

(8)一方、郵政民営化は国債、地方債引き受け問題とは別に、過去における公社、公団、特殊法人などへの巨額な財政投融資に起因する不良債権を、国民の目の見えないところでチャラとさせる手段とならないか? そもそもそれらの実態に関する情報開示はどうなっているのか? さらにそれら過去の巨額な財政投融資などに起因する不良債権の処理はどうするのか? 

 参考:
財政投融資の課題

(9)周知のように郵貯・簡保・年金資金は財政投融資として特殊法人等の資金源として活用されてきたが、2008年度からは制度が変わり、従来の財政投融資に相当する金は完全に市場調達せざるをえなくなる。

(10)その結果、民営化された郵政銀行が従来同様、いや従来以上に国の国債や各種起債を大量に買うことにならないか? 民営化された郵政銀行に霞ヶ関から天下った官僚らの指示で、大量の国債、起債を買わされ、もとの木阿弥とならないか? その場合には、従来の政府保証がなくなり、資金運用は絶えず大きなリスクをしょいこむことになる。もし、今後、金利上昇局面に転ずれば、国際流通市場での価格暴落のリスクが一気に増大し、結果的に大きな評価損を抱え込むことになりかねない。

(11)民営化された超メガバンクとなる郵政銀行に、郵政関連の官僚らが大量に役員などとして天下りる可能性はないのか? 道路公団をみるまでもなくその可能性は否定できない。さらにこの場合、郵政銀行が保有する150兆円規模の国債をもちつづけることで、結果的に政府の累積債務を下支えすることにならないか? 逆に、今後、国債、地方債を購入する原資となる郵便貯金や郵便保険の預金額が、集中満期による集中流出となる可能性もある。また預金者は、今後、より利率の良い金融商品に移行する可能性もある。


その3.郵政民営化は米国政府・産業の要請?

(1)他方、諸外国との関係、とくに米国との関係でこの郵政民営化問題を見ると、次のような危惧が指摘できる。すなわち、現在までに米国債を一番買わされているのが日本であり、全体の30〜40%と言われている。これら米国債は得るに売れないと言う意味で日本経済にとって一種の不良債権となっていると言ってもよい。諸外国が購入を減らしているなかで日本だけが米国債の比率を上げている現実がある。米国追随の小泉政権が郵政民営化を強調する理由のひとつとして、現状では制限されている米国債を民営化後の郵便及び保険会社が買い支えするのではないかと言う危惧がある?


日本による米国国債買い支えの実態

 日本の米国債保有の増加分だが、米国内での米国債購入分の約2倍(1671億ドル・約18兆3800億円)となっていることが分かる。これは2003年の日本政府の円売り・ドル買いの介入額、約20兆円のほとんどが米国債購入のために当てられたと推定される。米国の国債発行額は米経済の落ち込みが顕著となった2001年後半から急激に増加している。米国債保有残高に占める日本のシェアが急増しており、とくに2003年以降顕著だ。実に40%に迫る勢い。その理由は日本政府が巨額の円売り・ドル買い介入で得たドルの大部分を、米国の国債を購入するために使っているためと推定される。ブッシュ大統領の大減税とイラク戦争の軍事費は日本からの国債購入の下支えがなければ困難であったと考えられる


(2)さらに基本方針では、「日本郵政公社を廃止し、4事業会社と国が全額株式を保有する純粋持株会社を設立する。設立時期は2007年4月とする。........窓口ネットワーク会社及び郵便事業会社の株式については、持株会社が全額保有するが、郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現する。その際には、新会社全体の経営状況及び世界の金融情勢等の動向のレビューも行う。また、国は、移行期間中に持株会社の株式の売却を開始するが、発行済み株式総数の3分の1を超える株式は保有する。」とされている。

(3)ここで問題となるのは、持株会社に対しては移行期間100%、移行後1/3を超える株を国が保有とあるが、郵便貯金会社、郵便保険会社は移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現するとあることだ。これは、国民が苦労して貯めた数100兆の貯蓄を外国、とくに米国の金融資本、金融産業に売り渡すことになりかねないのではないか? 周知のように、米国政府は何年も前から、具体的に郵貯を解放すべしと日本政府に迫ってきた背景があるからだ。

(4)以下の質問主意書は、その点について政府に問いただしたものである。政府の答弁書では、質問主意書の内容をいずれも否定しているが、米国に徹底的に追随してきた小泉首相が米国の要望を受け、「郵政民営化」を推進していることは十分想定できることである。

(5)さらに民営化された郵政銀行の預金がスムーズに民間に融資される保証などどこにもないのではないか?また過渡期にあっては、政府保証あるいはペイオフなしの預金と、ペイオフありの預金とが混在することにユーザーへの不公平はないのか?


質問第三七号

郵政民営化政策推進についてのアメリカ政府の要請に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年七月一日

喜 納 昌 吉   

       参議院議長 扇   千  景 殿

  郵政民営化政策推進についてのアメリカ政府の要請に関する質問主意書

 小泉政権が推進している郵政民営化政策は、アメリカ通商代表部(USTR)が一九九四年に作成し始めた「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」(以下「年次改革要望書」という。)に基づいて、アメリカ政府が日本政府に一九九六年以来、毎年のように要望してきた内容に沿っている。そこで、以下質問する。

一、一九九九年版年次改革要望書には、民間保険会社が提供している商品と競合する簡易保険を含む政府及び準公共の保険制度を拡大させる考えをすべて中止し、現存制度を削減又は廃止すべきかどうか検討することを強く求める旨が示されている。また、二〇〇四年版年次改革要望書には、日本郵政公社に保険、貯金、宅配便の分野で付与されている民間競合社と比べた優遇面の全面的な撤廃は必要不可欠であり、民営化の結果、競争が歪められずに市場にもたらされることを保証する旨がうたわれている。小泉政権の郵政民営化政策は、明らかにアメリカ政府の要望を受けて推進されていると思われるが、これを認めるか。認めない場合は、郵政民営化政策を推進している理由を示されたい。

二、アメリカには、郵政民営化で売り出される株式を買い占めて一定の経営権を握り、郵貯と簡保資金計三五〇兆円をアメリカに振り向けたいとの狙いがあるとの意向もあると聞いている。そこで、政府の郵政民営化政策における「民」とは何を指すのか。日本の民間企業なのか、特殊法人等なのか。それとも、アメリカを中心とする外国の民間業界なのか、具体的に示されたい。

三、このような年次改革要望書がアメリカ政府から日本政府に突き付けられること自体を、政府は内政干渉と受け止めないのか。その見解を示されたい。

  右質問する。




答弁書第三七号

内閣参質一六二第三七号
  平成十七年七月十二日
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎   


       参議院議長 扇   千  景 殿

参議院議員喜納昌吉君提出郵政民営化政策推進についてのアメリカ政府の要請に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜納昌吉君提出郵政民営化政策推進についてのアメリカ政府の要請に関する質問に対する答弁書

一について
 郵政民営化は、小泉内閣における政策判断に基づき、「改革の本丸」と位置付けて推進しているものであり、米国政府の要望を受けて推進しているものではない。

二について
 郵政民営化は、「官から民へ」という方針の下、日本郵政公社の四つの機能について、それぞれ株式会社として独立させ、民間企業としての経営を実現しようとするものであり、郵政民営化の「民」が民間における特定の者を指すわけではない。

三について
 日米規制改革及び競争政策イニシアティブでは、日米双方が主体的に取り組む規制改革等について、互いに建設的な提案を行う形で議論がなされており、日米規制改革及び競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書における要望がいわゆる「内政干渉」に当たるとは考えていない。



郵政民営化関連法案

郵政民営化の基本方針

平成16年9月10日
                           閣  議  決  定

 明治以来の大改革である郵政民営化は、国民に大きな利益をもたらす。

郵政公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険)が有する潜在力が十分に発揮され、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性を最大限に向上させる。

郵政公社に対する「見えない国民負担」が最小化され、それによって利用可能となる資源を国民経済的な観点から活用することが可能になる。

公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげることが可能になる。

 こうした国民の利益を実現するため、民営化を進める上での5つの基本原則(活性化原則、整合性原則、利便性原則、資源活用原則、配慮原則)を踏まえ、以下の基本方針に従って、2007年に日本郵政公社を民営化し、移行期を経て、最終的な民営化を実現する。

1.  基本的視点
 
 4機能が、民営化を通じてそれぞれの市場に吸収統合され、市場原理の下で自立することが重要。そのための必要条件は以下の通り。
 
(1) 経営の自由度の拡大
・ 民営化した後、イコールフッティングの度合いや国の関与のあり方等を勘案しつつ、郵政公社法による業務内容、経営権に対する制限を緩和する。
・ 最終的な民営化においては、民間企業として自由な経営を可能とする。

(2) 民間とのイコールフッティングの確保
・ 民間企業と競争条件を対等にする。
・ 民営化に伴って設立される各会社は、民間企業と同様の納税義務を負う。
・ 郵貯と簡保の民営化前の契約(以下、「旧契約」と言う。)と民営化後の契約(以下、「新契約」と言う。)を分離した上で、新契約については、政府保証を廃止し、預金保険、生命保険契約者保護機構に加入する。(通常貯金については、すべて新契約とする。)

(3) 事業毎の損益の明確化と事業間のリスク遮断の徹底
・ 各機能が市場で自立できるようにし、その点が確認できるよう事業毎の損益を明確化する。
・ 金融システムの安定性の観点から、他事業における経営上の困難が金融部門に波及しないようにするなど、事業間のリスク遮断を徹底する。


2.  最終的な民営化時点における組織形態の枠組み
 
(1) 機能ごとに株式会社を設立
・ 4機能をそれぞれ株式会社として独立させ、窓口ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社とする。

(2) 地域会社への分割
・ 窓口ネットワーク会社、郵便貯金会社及び郵便保険会社を地域分割するか否かについては、新会社の経営陣の判断に委ねることにする。

(3) 持株会社の設立
・ 経営の一体性を確保するために、国は、4事業会社を子会社とする純粋持株会社を設立する。郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現する。その際には、新会社全体の経営状況及び世界の金融情勢等の動向のレビューも行う。国は、持株会社の発行済み株式総数の3分の1を超える株式は保有する。 

(4) 公社承継法人
・ 郵貯と簡保の旧契約とそれに見合う資産勘定(以下、「公社勘定」と言う。)を保有する法人を、郵政公社を承継する法人として設立する。
・ 公社勘定の資産・負債の管理・運用は、郵便貯金会社及び郵便保険会社に委託する。


3.  最終的な民営化時点における各事業会社等のあり方
 
 最終的な民営化時点における各事業会社等のあり方は、以下の通り。なお、分社化に必要となる枠組み等については、郵政民営化法案(後述)に盛り込む。
 
(1) 窓口ネットワーク会社

(ア) 業務の内容
・ 適切な受託料の設定及び新規サービスの提供により、地域の発展に貢献しつつ、収益力の確保を図る。
・ そのため、郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社から窓口業務を受託する。また、例えば、地方公共団体の特定事務、年金・恩給・公共料金の受払などの公共的業務、福祉的サービスなど地方自治体との協力等の業務を受託する。
・ 民間金融機関からの業務受託の他、小売サービス、旅行代理店サービス、チケットオフィスサービスの提供、介護サービスやケアプランナーの仲介サービス等地域と密着した幅広い事業分野への進出を可能にする。

(イ) 窓口の配置等
・ 窓口の配置についての法律上の取り扱いは、住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規定とし、具体的な設置基準のあり方等は制度設計の中で明確化する。
・ 代替的なサービスの利用可能性を考慮し、過疎地の拠点維持に配慮する一方、人口稠密地域における配置を見直す。
・ 窓口事業の範囲は、原則として郵便局における郵便集配業務を除く郵便、郵便貯金、郵便保険に係る対顧客業務及び上記(ア)の業務とする。
 
(2) 郵便事業会社

(ア) 業務の内容

・ 従来の郵便事業(窓口業務は窓口ネットワーク会社に委託)に加え、広く国内外の物流事業への進出を可能にする。高齢者への在宅福祉サービス支援、情報提供サービス等地域社会への貢献サービスは、適切な受託料を得て、引き続き受託する。

(イ) サービスの提供範囲

・ 引き続き郵便のユニバーサルサービスの提供義務を課す。
・ ユニバーサルサービスの維持のために必要な場合には、優遇措置を設ける。
・ 信書事業への参入規制については、当面は現行水準を維持し、その料金決定には公的な関与を続ける。
・ 特別送達等の公共性の高いサービスについても提供義務を課す。このために必要な制度面での措置は、今後の詳細な制度設計の中で検討する。
 
(3) 郵便貯金会社

(ア) 業務の内容
・ 民間金融機関と同様に、銀行法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行う(窓口業務や集金業務は窓口ネットワーク会社に委託)。

(イ) 新旧契約の分離
・ 民間企業と同様に納税義務を負うとともに、新規契約分から郵便貯金の政府保証を廃止し、預金保険機構に加入する。
・ 公社勘定は公社承継法人が保有し、その管理・運用を郵便貯金会社が受託する。運用に当たっては、安全性を重視する。
 
(4) 郵便保険会社

(ア) 業務の内容

・ 民間生命保険会社と同様に、保険業法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行う(窓口業務や集金業務は窓口ネットワーク会社に委託)。

(イ) 新旧契約の分離

・ 民間企業と同様に納税義務を負うとともに、新規契約分から郵便保険の政府保証を廃止し、生命保険契約者保護機構に加入する。
・ 公社勘定は公社承継法人が保有し、その管理・運用を郵便保険会社が受託する。運用に当たっては、安全性を重視する。
 
(5) 公社承継法人

(ア) 業務の内容

・ 郵貯・簡保の既契約を引継ぎ、既契約を履行する。
・ 郵貯・簡保の既契約に係る資産の運用は、それぞれ郵便貯金会社及び郵便保険会社に行わせる。

(イ) 公社勘定の運用

・ 公社勘定に関する実際の業務は郵便貯金会社及び郵便保険会社に委託し、それぞれ新契約分と一括して運用する。
・ 公社勘定の運用に際しては、安全性を重視する。
・ 公社勘定については、政府保証、その他の特典を維持する。
・ 公社勘定から生じた損益は、新会社に帰属させる。


4.  移行期・準備期のあり方
 
(1) 移行期のあり方
 民営化の後、最終的な民営化を実現するまでの間を、移行期と位置付ける。移行期のあり方は、以下の通り。

(ア) 移行期における組織形態
・ 国は、日本郵政公社を廃止し、4事業会社と国が全額株式を保有する純粋持株会社を設立する。設立時期は2007年4月とする。情報システムの観点からそれが可能かどうかについては、専門家による検討の場を郵政民営化準備室に設置し、年内に結論を得る。窓口ネットワーク会社及び郵便事業会社の株式については、持株会社が全額保有するが、郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現する。その際には、新会社全体の経営状況及び世界の金融情勢等の動向のレビューも行う。また、国は、移行期間中に持株会社の株式の売却を開始するが、発行済み株式総数の3分の1を超える株式は保有する。
・ 公社承継法人を設立する。公社承継法人は、郵便貯金、簡易保険の旧契約を引継ぎ履行することを業務とする。旧契約の管理・運用は郵便貯金会社と郵便保険会社に行わせる。

(イ) 経営の自由度

・ 窓口ネットワーク事業においては、試行期間を設けつつ、民間金融商品等の取り扱いを段階的に拡大し、地域の「ファミリーバンク」、「ワンストップ・コンビニエンス・オフィス」として地域密着型のサービスを提供する。
・ 郵便事業会社においては、国際的な物流市場をはじめとする新分野への進出を図る。

(ウ) 郵便貯金及び郵便保険事業の経営
・ 郵便貯金及び郵便保険事業は、当面、限度額を現行水準(1千万円)に維持する。その際、貯金及び保険は、預金者、被保険者ごとに新契約と旧契約とを合算して管理する。その上で、経営資源の強化等、最終的な民営化に向けた準備を進める。
・ 民間金融機関への影響、追加的な国民負担の回避、国債市場への影響を考慮した適切な資産運用を行うが、民有民営化の進展に対応し、厳密なALM(資産負債総合管理)の下で貸付等も段階的に拡大できるようにする。
・ 大量の国債を保有していることを踏まえ、市場関係者の予測可能性を高めるため、適切な配慮を行う。

(エ) イコールフッティングの確保
・ 新会社は、移行期当初から民間企業と同様の法的枠組みに定められた業務を行い、政府保証の廃止、納税義務、預金保険機構ないし生命保険契約者保護機構への加入等の義務を負う。

(オ) 移行期の終了
・ 移行期は遅くとも2017年3月末までに終了する。
・ 郵便貯金会社及び郵便保険会社は、遅くとも上記の期限までに最終的な枠組みに移行するものとする。そのため、移行期における両社のあり方については、銀行法、保険業法等の特例法を時限立法で制定し、対応することとする。
 
(2) 準備期のあり方

 2007年4月の民営化までの時期は、準備期と位置付け、民営化に向けた準備を迅速に進める。

(ア) 経営委員会(仮称)を設置し、民営化後の経営や財務のあり方について検討する。

(イ) 円滑な分社化を図る観点から現在の勘定区分を見直し、郵便事業の超過債務を解消した上で、4機能別の勘定区分を行う。また、各機能が市場で自立するのに必要な自己資本の充実策については、詳細な制度設計を踏まえて検討する。

(ウ) 新旧契約の分離の準備を行う。

(エ) 国際物流事業への進出を可能とする。

(オ) 投信窓販の提供を可能とする。

(カ) その他の新規事業分野への進出を準備する。

(キ) 関連施設等

・ 郵便貯金関連施設事業、簡易保険加入者福祉施設事業に係る施設、その他の関連施設については、分社化後のあり方を検討する。


5.  雇用のあり方
 
(ア) 民営化の時点で現に郵政公社の職員である者は、新会社の設立とともに国家公務員の身分を離れ、新会社の職員となる。

(イ) 人材の確保や勤労意欲・経営努力を促進する措置の導入等、待遇のあり方について制度設計の中で工夫する。

(ウ) 職員のモラールと労使関係の安定に配慮する。


6.  推進体制の整備
 
(ア) 基本方針の取りまとめ後は、全閣僚で構成される郵政民営化推進本部(仮称)(本部長は内閣総理大臣)を設置し、民営化に向けた関連法案の提出及び成立までの準備、公社からの円滑な移行及び最終的な民営化実現への取り組みを進める。

(イ) 民営化後、郵政民営化推進本部の下に、有識者から成る監視組織を設置する。監視組織は、民営化後3年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。また、許認可を含む経営上の重要事項について意見を述べる。監視組織の意見に基づき本部長は所要の措置をとるものとする。


7.  法案の提出等
 
・ 以上の基本方針に沿って、政府は早急に郵政民営化法案策定作業を開始する。また、法案化等のため、この基本方針に基づき、更に詳細な制度設計に取り組み、早急に結論を得る。なお、その過程で必要に応じ、経済財政諮問会議に報告を行うこととする。
・ 基本的な法案及び主要な関連法案は次期通常国会へ提出し、その確実な成立を図る。

末期的症状を呈する自民  「道路公団民営化」が残したもの


末期的症状を呈する自民
 「道路公団民営化」が残したもの

青山貞一
 

 郵政民営化法案をめぐり、自民党は分裂の危機に瀕している。

 自民党議員は、権力の座にい続けることが最重要課題であることが多い。

 よって、おいそれ簡単に自民党は分裂することはないだろう。たとえ社会党、や公明党と手を組んで、無節操と言われようと権力の座を奪取してきたことは、私たちの記憶に新しい。今回の郵政民営法案問題でも、そう簡単に政権の座から降りるとは思えない。
 
 だが、小泉首相が自民党をぶっ壊してまで、敢行すると言明した行財政改革が、果たしてどこまで本物だったか、見せかけだけのもの、だったのか、国民からすればまさにそれこそが重要だ。

 小泉首相が「官」から「民」へ、民でできることは積極的に民へ、を旗印に首相就任以来してきたことを振り返るとき、そこには一体、何のため、誰のための改革なのかで疑問を感じざるを得ないものも少なくない。

 私も基本的に「官」から「民」へ、民でできることは積極的に民へと言う標語に表現される構造改革を支持するが、小泉改革の背景にある、グローバルスタンダード、すなわち米国流のローカルに固有な問題を考慮せず、国際標準で米国の弱肉強食を押し付けるやり方は、日本を51番目の米国の州とするならまだしも、日本全体をトータルとしてダメにする可能性があると思う。

 ところで小泉改革で最も首を傾げたくなるのが道路公団民営化である。これこそ、まさに首をかたげたくなるものの最大のものだ。

 そもそも道路公団民営化の目的は何だったのか?

 日本の公共事業額は、世界最大、国土で何十倍の米国を抜き、総額でも単位面積当たりでも、GDP比でも世界最大を誇ってきた(苦笑)。以下のデータは約10年前のものだが、まさに日本の公共事業費の総額が以下に大きなものであったかを例証するものだ。



 日本の公共事業費の中で最も割合の多い事業は、道路事業である。もちろん、道路事業と言っても国土幹線自動車道路、都市高速道路などの高速道路、国、都道府県、市町村に至る一般道路などさまざまなものがある。

 周知のように、日本の高速道路は、もともと個々の道路を利用する者が通行料を払う方式で出発し、ゆくゆく建設費を利用料で償還した後は維持管理のために必要となる分だけを利用者から徴収することとなっていた。たとえば首都圏では第三京浜でほぼそれが実現している。事実、東京から横浜まで利用してもわずか150円程度である。

 しかし、上記の個々の道路ごとの建設費を利用料によりまかなう方法は、知らぬまに変更され、日本全国いたるところで道路公団により建設される高速道路の建設費に利用可能なもの、すなわちいわゆるプール制とされた。

 これにより、何十年、いや100年経っても建設費が償還されないような、ほとんど自動車交通の需要がない、地域にも立派な高速道路が次々と建設されていった。

 そのため、次のような課題が生ずるに至る。

1)いつになっても、先行する交通量が多い東名のような高速道路でさえ、建設費は償還されなくなった。そのため、第三京浜道路のように、利用料が実質的にゼロに近づくことはなくなり、逆に年を追って利用料が高くなっていった。

2)ある時期まで、高速道路の関連施設には、いわゆる郵便貯金などを原資とする財政投融資が投入されてきた。その金利負担も膨大なものとなっていった。この結果、古く利用率の高い東名のような高速道路でも、その利用料金は世界一高額となっている。

3)高速道路に付随して建設される連絡道路や一般道路、ランプ等の建設費が巨額なものとなり、国、自治体の財政を圧迫するに至った。これらは、利用料で償還されることはない。

4)連絡道路、一般道路はガソリン税、軽油税、自動車保有税、重量税などを財源とするものの、建設国債などの国庫補助、地方交付金、自治体の起債を当て込んで建設する。そのため、高速道路を建設すればするほど、国、自治体の累積債務が増加し、その利子補給で一般会計を圧迫するに至る。

5)上記に関連し、高速道路に関連する諸施設に、建設省やその外郭団体であった道路公団から膨大な天下りが起こる。その結果、維持管理、保守、サービスセンター、道の駅に至る関連施設が利権の種となった。

6)さらに、道路や関連施設の建設に際し、官製談合が頻発する。現在、全国各地で橋梁談合問題が噴出しているが、これらの談合ではもともと道路公団にいた理事等の幹部や職員がゼネコンや設計・測量会社、コンサルタントに天下っていることに大きな原因がある。

7)上記の道路公団にからむ各種利権が与党政治家の口利きの種となっている。

8)こうして道路公団事業は政、官、業の癒着のもと利権の種となってきた。官製談合によって建設費や維持管理・保守費は高騰し、国、自治体の累積債務は増え、結果として国民は世界一高い高速道路利用料金を支払わされることになった。

 道路公団の民営化は、本来、赤字であれ政治家の口利きにより、次々に道路を建設する現行のシステムを止めさせ、不要な高速道路をつくらないこと、また高速道路利用料金を安くさせること、国、自治体の累積債務をこれ以上増やさないことなど、最終的に国民にメリットをもたすものとして行われるはずだった。

 当初、道路公団民営化推進委員会が改革の基本としたのは、「新会社は道路資産のリースを受 ける返済機構から10年をメドに資産を買い取り、返済機構はその時点で解散する」という点であった。

 官から民へと言う構造改革の観点から見ると、国土交通省(旧建設省道路局)及び自民党道路族からの呪縛を切り、自立経営が可能な特殊会社ではなく株式会社となるためには、道路資産を自社所有することが大前提であるはずだ。これにより貸借対照表、バランスシートを自ら描けることになり、事業経営が可能となる。まさに自己責任のもと道路事業が可能となるはずだ。

 しかし、結局、国土交通省(政府)と自民党道路族(与党)は上記の大前提を無視したのである。政府は返済機構を時限的なものから、最終的に半永久的に存続可能なものとなってしまった。その結果、道路資産はいつまでも国のものとなる。高速道路は今後も国土交通省(国)の裁量のもとで建設を継続することになるのである。要約すれば、形の上で道路公団は民営化されても、新らたにできる株式会社は実質的に道路公団の看板がつけ代わっただけのものとなるのである。

 本来、道路公団民営化と言う行革の核心は、国(行政)が無制限に権限行使できるしくみになっていることにあったが、結局、国(国土交通省道路局)と俗議員が権限を行使できる仕組みが残ってしまった、と言えるのである。

 さらに、これでは、橋梁談合のような官製談合や自民党某大物参議院議員の天の声、ツルの一声で不要な高速道路が今後も建設される可能性が大となる。

 建設省道路局、道路公団と土建業者、橋梁業者、維持管理会社、サービスセンター会社などの基本的関係は変わらず、 結局、泰山鳴動しネズミ一匹も出ないのが道路公団民営化であるといえる。

 以上を総括すると以下である。

 小泉内閣が「改革の目玉」としていた道路公団民営化における質は、過去、道路公団がためにためた40兆円もの債務(借金返済)をどれだけ少なくできるか、同時に無駄な道路建設をストップできるか、その結果、国民にとって廉価に高速道路が利用できるか、の3点にあった。

 だが政府与党が成立させた法案は、これまでどおり政府保証つきの借金で道路を建設可能ととなるうえ、新たに税金も投入して、いわゆる自民党の道路族が金科玉条としてきた日本全体での整備計画路線、9342km、さらに予定路線1万千5百キロの道路を建設しかねないものであった。同時に、道路公団民営化の目玉、40兆円(国の一般会計予算の1/2に及ぶ)の巨額借金の返済のメドは立たず、民営化された道路公団がファミリー企業ともども、各種の道路利権の更なる温床となりかねない状況にある。

 これでは、不要不急の道路建設に何の歯止めがかけられず、道路料金も下がらない。

 ちなみに、民主党は道路公団を完全に廃止し、高速道路を無料化することを提言している。ここではその是非を論じない。



<参考> 

道路公団、民営化4法案を閣議決定
四国新聞 2004年03月10日

 政府は九日、小泉改革の象徴となっている日本道路公団など道路四公団を二〇〇五年度内に民営化する高速道路株式会社法案など民営化四法案を閣議決定した。〇一年に小泉純一郎首相が指示した民営化は、法案の国会提出という節目を迎えた。

 法案作成の最終段階では、「会社の自主性の確保が不十分」などとして会社への債務保証を限定的にし、政府の株式の保有割合も二分の一以上から三分の一以上に減らすなど政府部内の調整が難航。高速道路の建設継続に反発し辞任した民営化推進委員会の委員が「小泉改革は偽り」と批判を続けるなど、民営化による政権浮揚効果が薄れてきたのは確実だ。

 四法案では、道路資産と四十兆円の借金は独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が引き継ぎ、高速道路の建設や管理を担当する特殊会社の東日本高速道路会社など六社に貸し付ける。固定資産税などの支払いを避ける措置で、機構は会社から貸付料を受け取り四十五年間で債務を完済し解散、その後は高速道路を無料開放する。

 国などは上場後も六社の株式の三分の一以上を保有。新規の道路建設のため六社が出す社債などは、市場評価が安定するまで当分の間、債務保証するとした。建設が終わった道路の資産と借金は、機構に移管されるため、「不採算路線の建設が続く」とする批判もある。このほか、民営化から十年以内に、国の関与の在り方など法律を見直す規定も盛り込んだ。

 事業範囲は、首都と阪神の両高速道路公団、本州四国連絡橋公団の後継会社は現状のまま。道路公団は、東日本、中日本、西日本に三分割する。

民営化法案骨子
 一、日本道路公団など道路四公団は二〇〇五年度内に民営化

 一、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が資産と借金を引き継ぎ、東日本高速道路会社など六社に貸し付け

 一、機構は四十五年間で債務を完済し解散

 一、国などは上場後も六社の株式の三分の一以上を保有。社債などは当分の間、債務保証

 一、事業範囲は、首都と阪神の両高速道路公団、本州四国連絡橋公団の後継会社は現状のまま。道路公団は、東日本、中日本、西日本に三分割



民営化法が成立 45年間で借金返済目指す 05年度、6会社に分割 道路公団
四国新聞 2004年06月03日

日本道路公団など道路四公団の民営化法は二日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。郵政民営化と並ぶ小泉改革の柱として注目された民営化は二〇〇五年度にスタート、借金を返済して四十五年後の高速道路の無料開放を目指す。

 民営化するのは、このほか首都、阪神の両高速道路公団と本州四国連絡橋公団。四公団は道路の管理、料金徴収、建設の役割を担う六つの民営化会社と、道路資産と民営化時に四十三兆八千億円ある借金を引き継ぐ独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に上下分離。国などがすべての株式を保有する特殊会社で、上場後も国などは三分の一以上の株式を保有する。

 会社の事業は、建設や料金徴収などに加え、サービスエリア(SA)にある休憩所や給油所の経営、ホテル経営やインターチェンジ周辺の開発事業なども国に届け出れば可能。道路公団の近藤剛総裁は「SAなどの現在三千五百億円の売り上げを一兆円に増やす」としている。

 機構は六社に高速道路を貸し付け、六社の料金収入から適正な管理費を除いた額を貸付料として徴収する。貸付料は五年ごとに協定で見直す。機構は四十五年間で借金を返済した後に解散する。

末期的症状を呈する自民 「月刊現代」9月号が提起したもの


末期的症状を呈する自民
「月刊現代」9月号が提起したもの

青山貞一
 
掲載日2005.8.3

 日本の戦後政治のメインストリームを歩んできたのが自由民主党、自民党であることを否定するものは、まずいないだろう。

 何度となく分裂、破裂しそうになっても、また一端下野してもすぐに政権与党の座に君臨してきたことも、まぎれもない事実だ。
 
 だが、ここ一年を振り返ると、そこにはまさに自民党の末期的症状、それも組織の保身を一義とする、はたから見ると実に見苦しい、なりふりかまわぬ自民党の姿が見て取れる。

 果たしてこんな自民党に、日本丸の舵取りをまかせてよいか、と考える日本人が多くなってきていると思う。

 私は生まれてこの方、これほど国民益から離れ、ただただ自分たちの組織保身に暴走する自民党を見たことがない! それを例証する事柄は、まさに枚挙にいとまがない。

 本特集では、具体的な事実を例として自民党の末期的症状を検証したい。

 最近の自民党を巡る出来事で一番こっけいなのは、月刊現代9月号が発刊されたとたんに、問題の本質、すなわち「自民党政治家によるNHKの番組への政治的介入」がどこかにすっ飛んだことだ。

 自民党の武部幹事長は、今後、朝日新聞の取材を拒否する決定をしたのだ。これなど問題のすり替えもはなはだしい。まったくの筋違いではなかろうか。

 私は8月1日、月刊現代9月号を購入、22頁に及ぶ魚住昭氏のレポを読んだ。それも2回読んだ。おそらく誰が読んでも、22頁から読者に伝わってくるのは、やっぱり自民党の政治家がNHKに圧力をかけた、と言うことだ。同時に、くだんのNHK幹部と朝日の記者とのやりとりは長時間におよんでいるが、一字一句のやりとりを読めば、与党政治家からの政治介入、圧力はいわば日常化していることが読み取れる。

 著者の魚住氏はれっきとした元共同通信の記者あがりのフリージャーナリスト、その魚住氏は月刊現代9月号のスクープ記事の冒頭で次のように述べている。「それをお読みになれば、これまでウソをつき、われわれを誑(たぶら)かしてきたのは誰かということがはっきりおわかりになるだろう。そしてNHKという巨大な放送局が抱え込んだ闇の深さに改めて驚かされるに違いない」と。

 まさにそうだ。この間、安倍晋三、中川昭一、自民党の両幹部議員は、まさに口汚く朝日新聞を罵り、罵倒してきた。「誤報だ」、「捏造だ」、「朝日は誤れ」と!。だが魚住リポートが顕示する事実が真実であるなら、なぜ、武部自民党幹事長は、今後、「朝日の取材お断り」などと日本一の大規模公党としてあるまじきことを公言したのか? これはけっして大人気ないとか、子供の喧嘩などでかたずけられる問題ではない。

 自民党幹事長は朝日新聞の取材を拒否する理由として、「わが党の国会議員が、不当、卑劣な方法による取材で、被害を受けることがないように、自粛してもらうことにした」などと言っている。まさにこれは事の本質そっちのけの言い逃れ、問題のすり替えではないか。

 国民が最も注目してきたのは、安倍、中川と言う自民党の若手有力議員がNHKと言う公共テレビ放送の番組内容に政治的圧力や介入を国民の見えないところでしていたかどうか、その一点である。

 誤報だ、捏造だ、誤れと朝日新聞に言ってきた安倍、中川両氏は、魚住氏が朝日新聞インタビューをスクープし、全面的にテープおこしした一問一答の内容のどこに問題があるのか、インタビューに答えたことと違うのかこそ、一字一句示すべきではないのか!
 
 それこそ、国民が最も知りたいこと、重視することである。問題は到底、「朝日新聞記者の取材資料の流出」ではないはずだ。

 一方、この間、自民党議員はくだんの朝日新聞の記者が左翼記者である....と繰り返し発言してきた。

 だが、繰り返すが、この問題の本質は、朝日の本田記者が左翼であるか右翼であるか、この際まったく関係ない、と思う。仮に番組のテーマ、素材がいわゆる右翼系のひとびとに気に入るかどうかは、この際、問題の本質ではないだろう。

 私たちから見れば、武部自民党幹事長が言っていることは、今までさんざん安倍、中川両衆議院議員がマスコミの前で公言してきたことが、魚住氏のリポートによって事実と違うことがわかり、右往左往しうろたえた挙句、公党として言ってはいけないことを言ってしまった・

 おそらく朝日新聞はNHKへの政治介入に関して当初出した記事が問題となった後、 朝日が報じたくても報じるのが難しかった安倍、中川両衆議院議員とのやりとりの詳細が月刊現代9月号に出た。自民党としてみれば、インタビューが録音されていれば、とっくに朝日は出していると踏んで、誤報、捏造云々と言ってきたわけだが、まさかこのような形でインタビューの一問一答、一字一句が公になるとは思っていなかった。

 突如公表された一問一答、一字一句の自民党はうろたえ、朝日新聞に問題のすり替え、つまり「取材内容が流出した責任を取れ」と言っているにすぎない。笑止である。

 もちろん、この一件では、私がすでに論評しているように、朝日新聞社側の落ち度、問題も多々あると思える。この点については、魚住氏も月刊現代も指摘している。ただ、腐っても日本を代表する巨大メディア(朝日新聞)が読者に訴えようとしたこと、すなわち放送法第三条に明らかにもとる政治介入の事実が魚住リポートで明るみに出たことはまず、間違いないところだ。

 これが日本を代表する公党がすることであろうか?

 インタビュー内容が録音されているはずがない、万一、録音されていても、それらが公表されることはありえないと判断し、強弁を繰り返していたひとたちは、一体どう責任をとるのであろうか。大いに見ものである。

 国民益から離れ、自民党と言う組織の保身しか眼中にない、まさに自民党の末期症状を公衆の面前に示した。

参考
放送法第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。


E−サロンのお知らせ! 環境行政改革フォーラム 8月例会

 

E−サロンのお知らせ!
環境行政改革フォーラム 8月例会


  環境行政改革フォーラム http://www.eforum.jp/ の8月例会(E−サロン)を8月13日(土)に以下の要領で行います。

 今回は、ここ数ヶ月日本中で死亡者が顕在化しているアスベスト問題を扱います。

 話題提供者は、アスベスト問題の第一人者でアスベストについて考える会メンバー、「石綿対策全国連絡会議」運営委員である環境行政改革フォーラム幹事でもあります大内加寿子さんです。

 この7月21日、読売新聞朝刊論点に「アスベスト災害「労働法」超え対策急げ」が掲載され、大きな反響を呼んでおります(巻末参照)。

 アスベスト問題を分かりやすくお話いただき、その上で参加者との間で質疑応答、議論を行います。

 行政担当者、事業者、非会員も大歓迎です。もふるってご参加下さい。
 

E−サロン(E-forum8月例会)

1.内 容:アスベスト問題の現状と課題

  話題提供は「石綿対策全国連絡会議」運営委員、環境行政改革フォーラム幹事
  大内加寿子さん(静岡市在住、アスベストについて考える会)

  長年のNGO活動を踏まえて、タイムリーなテーマをじっくりお聞きしたいと思います。

2.開催月日:2005年8月13日(土)

3.開催時間:午後4時から午後6時30分(予定)

4.開催場所:

   E-forum事務局(環境総合研究所)屋上テラス大会議室、
   マンション雅叙園、第四号棟15階
   JR山手線、東急目黒線、東京メトロ線、都営三田線の目黒駅から
   徒歩6分、道順:http://eritokyo.jp/eri-map1.html

5.定 員:最大35名(会員優先・先着順)、非会員も大歓迎です。

6.会 費:E-forum会員は無料、非会員は1000円(会場・会場費)

7.その他:各自お茶、水等をご持参下さい。
      会合中の飲み物のサービスは致しませんせん。

8.参加希望:鷹取敦幹事、takatori@eritokyo.jp までご連絡下さい。



【読売新聞「論点」2005年7月21日掲載】

アスベスト災害−「労働法」越え対策急げ−

         大内 加寿子(おおうち・かずこ)
         アスベストについて考える会

 長い間、労働災害として社会の奥深くに潜んでいたアスベスト(石綿)災害が、先日のクボタの発表を機に、一気に姿を現してきた。被害は、従業員ばかりでなく出入り業者、家族にまで及び、周辺住民にも被害者が発生している可能性が出ている。事態の深刻さが明らかになるにつれて、行政の不作為責任を問う声が高まっている。

 こうした中、厚生労働省は、アスベストを2008年までに全面禁止とする方針を決めた。しかし、すべてのアスベストを禁止対象とする政府見解が発表されたのは、2002年6月のことである。厚労省は一部の製品を禁止しただけで、全面禁止に踏み込めなかった。この背景には、行政が国民の健康よりも企業の利益を優先し、一部の専門家の手を借り、業界と一体になって政策をすすめてきた実態があるのではないか。

 業界が政策決定に深くかかわってきた反面、アスベストの被害者や問題に取り組む市民や団体は、ともすれば行政から厄介視され、政策決定の場から遠ざけられてきた。

 今後、被害者救済とともに、企業の徹底した情報公開が課題となる。現在、経済産業省は、社団法人・日本石綿協会を通じて、企業に被害者の調査や情報公開を求めているという。経産省は、これまでも、石綿協会にアスベストに関する業務の多くを肩代わりさせてきた。石綿協会は、アスベストの輸入量に応じた会費を財源の一部としてきた業界団体である。また、同協会は、新たに制定された「石綿障害予防規則」によって代替化が厳しく求められている今になっても、定款に「石綿製品の利用消費を図る」という目的を掲げたままにしている。

 石綿協会を監督する立場の経産省が、監督官庁としての責任を果たすことなく、業界団体である石綿協会を通じて、被害者の調査や企業の情報公開を進めている。このような構図が、アスベスト問題の温床になってきたことも事実だろ
う。

 これまで全面禁止ができなかった理由として、政府は代替化が遅れたことをあげている。アスベストは労働安全衛生法施行令によって禁止されているが、この法律の枠内では、代替化は「第一義的には事業者の責務」となり、国は主体的な取り組みができない。このことが、代替化が遅れた原因にもなってきた。  

 アスベスト禁止は、労働安全衛生法施行令の改正問題として議論すべきではない。社会の隅々にまで入り込んでしまったアスベストには、労働法の枠をこえ、省庁の枠を超えて、国全体で取り組むほかはない。通常の使用では安全と言い続けながらアスベストの使用を認めてきた国土交通省や、日常生活の場で国民の安全を守るべき環境省が、率先して関わることのできる体制作りを急ぐ必要がある。

 「アスベストは労働問題だ」という認識を変えない限り、アスベスト問題の根本的な解決にはつながらないことを念頭に、新たな法整備も視野に入れて取り組んでもらいたい。

 97年からアスベスト問題のホームページを立ち上げる。「石綿対策全国連絡会議」運営委員。

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