青山貞一ブログ

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2005年10月

田中康夫知事、誠意なき朝日新聞の「検証記事」に怒る!

 

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田中康夫知事、誠意なき
朝日新聞の「検証記事」に怒る!

 
青山貞一
長野県政策アドバイザー


掲載日2005年10月17日、10月20日推敲


 ここ一年、朝日新聞が起こした主な「事件」を列記してみると、主なものだけをとっても、以下の通りたくさんある。

(1)取材内容を記録したMDの第三者への無断提供
 朝日新聞社の2人の記者は、私立医科大学が国の補助金を流用した問題を取材していたが、社会部の記者が取材相手にやりとりを録音しないと約束していながら、これを破り話しの内容を録音し、その後この相手に批判的な別の取材先に録音したMDを渡した事件。

(2)週刊朝日が武富士から「編集協力費」の名目で5千万受領
 朝日新聞社が、2000年から01年にかけて週刊朝日で連載した企画記事を巡り、消費者金融大手「武富士」から「編集協力費」として5000万円を受け取っていたこと。

(3) 「月刊現代」記事に関連し朝日新聞、社内資料流出認め謝罪
 
NHK特集番組が政治家の圧力により改変されたと報じた朝日新聞の詳細な取材内容が「月刊現代」に掲載されたが、朝日新聞は「社内資料が社外に流出したと考えざるを得ない」として、取材先の松尾武NHK元放送総局長、中川昭一経済産業相、安倍晋三自民党幹事長代理の3人に謝罪の文書を郵送したことを明らかにしたこと。

(4)朝日新聞長野総局記者が「新党」記事で虚偽メモ
 朝日新聞社は29日、田中康夫・長野県知事らの新党結成問題について、取材をしていないのに、取材できたかのような情報をもとに記事を掲載した。この記事は9月21日付朝刊2面に掲載された新党結成をめぐる「『第2新党』が浮上」と9月22日付朝刊3面に掲載された「追跡 政界流動」の2本。

 いずれも天下の公器としての新聞、それも日本を代表する大メディアとして弁明の余地のない論外のものであろう。

 ここでは、まず(4)について言及した上で、機会を改め(1)と(3)についても言及したい。


●朝日新聞長野総局記者による「新党」虚偽・捏造記事事件

 最初に言えること、そして重要なことは、田中康夫知事は、周知のように「脱」記者クラブを宣言し、以降、長野県庁ではいわゆる日本の悪しき伝統となっているいわゆる記者クラブ制度を廃止した人物であることだ。人間、田中康夫は、伊達や酔狂に「脱」記者クラブ宣言をしたのではないことだ。

 「脱」記者クラブにより、今の長野県では、国の省庁にある記者クラブはじめ、どの自治体にある記者クラブより、もし、記者にその気がある場合、知事や県幹部職員への取材が大幅にやり易くなっている、と思える。本メディア(今日のコラム:ブログ)を主宰している者としてもそれを強く実感する。

 私自身、ここ数年、長野県の特別職、非常勤職員として環境保全研究所長として長野県に勤務、ここ数ヶ月は長野県政策アドバイザーとして、知事や県幹部、職員へのメディアの取材の実態をつぶさに見てきた。

 知事会見では、通常の記者クラブとまったく異なり、従来記者クラブに安住し、役所のいわば垂れ流しプレスリリースを広報記事化していた新聞やテレビの記者だけでなく、雑誌記者、さらにはNPO系の記者や個人でも知事や県幹部職員に直接会見場で質問が出せる仕組みになっている。これの意味するとこは想像以上に大きい。

 さらに田中知事自身が会見(後述)でも言っているように、通常の会見以外にもいわゆる「ぶら下がり」や「直撃」取材の可能性も増えている。実際、私の経験でも、会議、打ちあわせが終わり、1階のガラス張り知事室から外に出てくる、それを待ちかまえて、記者の何度もぶら下がりや直撃の取材を受けている。通常の都道府県では、隔離された知事室と記者の距離は著しく遠く、このような取材は非常に困難であろう。

 しかも、県庁3階での表現センターで行われる知事会見は、会見の直後に音声ファイルとして長野県のホームページにノーカットの音声として掲載されている。さらにわずか数時間後に、会見及び質疑の一字一句すべてが公開されている。おそらくこんな自治体は日本広しといえど、長野県以外にはないだろう。実に今の長野県は国や他の自治体はおろか、民間企業ですらはるかに超える情報提供能力を持っている。これは何ら誇大、過大な評価ではないと思う。実感である。

 かくして、もし記者がその気になれば、天下の大メディア、朝日新聞の記者に限らず、誰でもが知事に直接し、いかなる内容の質問、しかも何度も繰り返し質問することが可能である。もし、知事に取材をたしなめられたとしたなら、それは余りにも稚拙、自明な質問をした場合だと記者自身が考えるべきと、私は推察する。

 今の長野県では、このように、ジャーナリストにとって大変恵まれた状況にあると思える。

 にもかかわらず、地元の有力かつ大メディア記者が、憶測、推測で知事らへの取材なしに、あのような虚偽あるいは捏造記事を2本も出稿し記事とした。このことは日本新聞協会の新聞倫理以前の問題として、新聞社そのものの取材のイロハにはじまり朝日新聞の組織全般、責任体制に至るまで、事態は深刻である、と思える。

 もっぱら、西山氏の記事、すなわち「亀井氏は今月中旬長野県内で田中知事と会談し、国民新党など反対派への協力を要請したと見られている」についてコメントすれば、なぜ、亀井氏が長野県内で田中知事と会談すると言うことを、事実を確認せず、捏造してまで記事にしたかと言う素朴な疑問がわく。田中康夫知事と亀井衆議院議員は以前からの知古関係にあり、どこで会談をしようと、それ自身さして大きなスクープとなるとは思えないからである。

 以下は、田中康夫知事が会見で最初に朝日新聞が起こしたこの問題について言及した部分の全容(ノーカット)である。知事会見そのものは、
平成17年(2005年)8月23日(火)9:00〜10:20、長野県庁3階の表現センターで行われた。この日のテーマは、衆院選についてである。

 なお、会見全体はこちらをご覧いただきたい。

信州・長野県知事 田中康夫

............
 なお、1点だけ朝日新聞の方にご訂正をお願い申し上げたいというか不快感を表明させていただきたいと思います。

 21日、日曜日の朝日新聞の2面には亀井静香さんのことですね「亀井氏は今月中旬長野県内で田中知事と会談し、国民新党など反対派への協力を要請したと見られている」とお書きです。

 そして昨日の新聞では同じく朝日新聞は3面で郵便局守るだけではとまさに郵政民営化を今の法律でしようと大変な決意を示される題字がついておりますがこの中で今月13日、亀井静香元自民党政調会長は長野県で田中氏にあったとございますがこのような事実は一切ございません。

 私は亀井氏と東京ではお目にかかっております。しかし、長野県内ではお目にかかったことはございません。

 私にはこの件に関して朝日新聞の方は、ぶら下がりも直撃の取材も含めてそうした機会は日曜日の5時の会見時にもですね、少なくともですね私がバスに乗り込む前にでもですねお聞きになることは十分に可能であったと思います。

 しかしながらこうしたご質問は私には一切ございませんでした。

 私はこのようにしてですね、事実が作られていくということには大変な戸惑いを覚えております。

 私は亀井氏とはもちろんお目にかかっております。そして私は小沢氏らにですね政党に関してですね相談をしたことはありません。あるいは私たちがお目にかかってお話はしてますが、このような政党を立ち上げるということに関してですね、小沢氏らに相談したことはありません。

 是非ともですね朝日新聞の長野総局長の金本 裕司さんは、名古屋時代や東京時代にはお目にかかったことがある優秀な政治記者でらっしゃいますから、是非とも私のことに関してお書きになるときはですね、無論電話がつながらないときもあるかもしれませんが、やはりこのような客観的な事実関係に関してはですね、是非ともこれはあの私も表現に携わってきた者としてですね、長野県内では亀井静香氏とは断じてお目にかかってない、そのことが2日間にわたって、1日目は伝聞推定で、2日目は断定の形でお書きいただいたということは、これは少し亀井氏に対しても失礼かと思います。 

 事実、上記の会見では、件(くだん)の朝日新聞長野総局の西山卓記者自身が田中康夫知事に、衆院選挙に関連した質問を<直前>にしていることが分かる。

 確認は、こちら。

 西山記者が書いた記事は当然のことながら大きな問題となった。

 その後、朝日新聞は、この虚偽、捏造記事問題に関連し、本紙で3頁にわたり大部な「検証記事」を新聞紙面に掲載した。

 しかし、その検証過程で当の張本人である田中康夫長野県知事に面談、電話、fax、メールなど媒体を問わず、一切接触していなかったことが、知事が行った県庁での会見で分かったのである。

 これでは朝日新聞の大幹部が関連する幹部を更迭し、当該記者を免職とし、読者に紙面で謝罪したとしても、何ら新聞社としての本質的な課題を解決したことにはならない。

 つまり当人に何ら取材せず記事を憶測で書き、チェック、クロスチェックせずに記事としたことがこの事件の中心的な問題であるのに、その検証過程で、一度も当の本人に接触せず、事実関係、実態の把握、検証もせずに<検証記事>を公表していることが大いに問われるのである。


 その結果、次の記事にあるような悪のスパイラルに突入することになってしまったのである。

田中知事が朝日新聞の検証記事を批判「確認取材なし」

 衆院選をめぐり朝日新聞長野総局の記者=懲戒解雇=が作成した虚偽のメモに基づき誤った記事が掲載された問題で、田中康夫長野県知事は11日、同社が9月にまとめた検証記事について「私に確認取材をしていないし、誰も説明に来ていない」と批判。13日までに文書で朝日新聞側の見解を回答するよう求めた。
 知事によると、検証記事が掲載された9月15日は公務で香港に滞在中だった。知事は「私に確認取材もしないで、なぜ3ページの検証記事ができるのか」と指摘。その上で「朝日新聞が本当に信頼に足る新聞であるならば、責任ある立場の方から文書で説明していただきたい」と述べた。
サンスポ 2005.10.12

 以下は、上記の記事のもとになった平成17年(2005年)10月11日(火)18:40〜19:25、長野県庁3階にある表現センターで行われた9月定例県議会を終えての知事会見における関連部分の全容(ノーカット)である。

 
 なお、会見全体はこちらをご覧いただきたい。
 
信州・長野県知事 田中康夫

 これは議場でも言ったように・・・

 鈴木さんお帰りになっちゃう。ちょっと一個いい。お願いしたいんですけど。

 昨日出ました月刊文藝春秋の中で私インタビューを受けてですね、「驕れる巨象朝日新聞の失墜」という何ページにも亘る記事ですが、ちょっと私こういう発言をしています
(註:これについては巻末を参照のこと。青山貞一)

 もしこれが違ってんのであれば朝日新聞としてですね文書で頂きたいと思ってるんですが、驚くべきというか何というべきか、朝日新聞は、今回の『検証記事』なるもの、丁度私が中国に行っている間のもので3ページのものです。

 なるものを書くに際して、私に対する確認取材すらまったくなさっておられないんです。いわんや亀井さんにも恐らく取材していない。そして今日に至るも、私を知る秋山氏からも、これは社長です、吉田氏、常務だった、からも何の連絡もなく、私に対して誰も説明にも来ない。

 更になぜこの事件が起きたのか、西山君と、書いた西山卓君の責任、もしくは金本元総局長だけの責任に矮小化しておられるけれども、政治部あるいは朝日新聞本体の編集担当者の責任はどうなのか。

 まさに肝要なこうした部分に触れる記述がまったくありません。手続き民主主義の官僚的な朝日新聞の体質をよく表しているのではないか、ここは私の意見ですが、検証記事を3ページに亘ってお書きになる時に私に、それはわかっていることだっておっしゃるかもしれないけど、私は取材は受けていません。

 そして検証記事を書くに関してもどうであったかということを第三者どころか当事者である私に確認取材もなさらないでなぜ3ページも記事ができるのか、そしてもっと言えばこれは亀井さんとも話したことですけど、なぜ亀井さんに裏取りをなさってないのか、なぜできなかったのか、なぜその上で記事ができてしまったのか、あるいは西山さんと金本さんというものが責任を取る形になっていますけれども、あの時はデスクの方にもキャップの方にも西山さんはメールを同送していると一方で新聞には書いてあります。

 じゃああるいは政治部の亀井さんを担当していた人は政治部のデスクであったり出向した人であったりはどういう、私は別にそれぞれ非常にか弱いサラリーマンの社会ですから、何かその方だけを血祭りにあげろなどといっているんじゃありませんが、朝日新聞はやはり本日を入れて3日以内になぜ検証記事をお書きになられるに際して私への確認というものも無くできてしまったのか、そして残念ながら吉田さんから紙1枚でいただいた文書、かなり初期の段階で8月30日だかの段階で検証とは違う経過説明これはまただいぶ違ったものなんですが、このようなものを出しますという紙が地域報道部の次長の方を通じて来ただけです。

 でその後、別に私は謝って欲しいとかそういうことではなくて直接私に対して検証の結果はこうでしたというお話もない。

 これは肩書きが長野県知事という名前で朝日新聞は終始一貫報じてますから、これは知事としての会見の場で申し上げても私は今までもこの件に関してご質問いただいたし一向に抵触するものではないと思います。

 そして私は今言ったように大変に優秀であったと私のコメントをお読みになった方は私の複雑な思いというものを知っていただけると思いますけれども、今は解雇された記者の方なりその一部の方だけであっていいのかということです。

 3ページもの検証のときに私への取材が無い、確認が。電話一本でもできるかもしれません。そして、そのことの報告すら未だにありません。あるいは私が中国に行っている間に読んでくださいという電話は私どもの県の職員にはあったといいます。

 でもそういうことで済む問題なんでしょうか。私はやはり責任ある朝日新聞の方から、私は特別に秋山さんや吉田さんと知り合いだからこんなことを言っているわけじゃありません。

 そのこととはまったく別の問題としてやはり朝日新聞は本当に読者から信頼たる新聞で、私はあるといままでも思ってきたし、であるならばやはりこの問題に関してきちんと文書でなぜなのかということを私には少なくとも当事者であり、少なからずそのことによって様々なことに巻き込まれた人間に、ぜひ朝日新聞社としてきちんと、なぜ亀井さんに最初の段階で裏を取らなかったのか基本的なことだと思いますね。ぜひこの辺りに関して責任ある立場の方からその点に関して納得のいく文書でのご説明を、できれば今日を入れて3日以内にいただきたいということをお願いしたいと思います。

文藝春秋誌における田中康夫氏の発言

「驚くべきというか何というべきか、朝日新聞は、今回の『検証記事』なるものを書くに際して、私に対する確認取材すらまったくなさっておられないんです。いわんや亀井さんにも恐らく取材していない。そして今日に至るも、私を知る秋山氏からも吉田氏からも何の連絡もなく、僕に対して誰も説明にも来ない。

 さらに、なぜこの事件が起きたのか、西山君の責任、もしくは金本元総局長だけの責任に矮小化しておられるけれど、政治部あるいは朝日新聞本体の編集責任(「編集担当」とした方が良いかな。この後の「責任」と合わせると、責任が2回続くので)者の責任はどうなのか。まさに肝要なこうした部分に触れる記述がまったくありません。手続き民主主義の官僚的な朝日新聞の体質をよく表しているのではないかと。『朝日新聞は潔いんだ』というパフォーマンスに過ぎないのではないかと深い疑念を感じざるを得ません」


 結局、アリバイ的に検証記事を掲載したり、関係社員の処分を行ったものの、朝日新聞社は新聞にとってもっとも大切な「事実報道」と言う原則をその<検証記事>においても置き忘れてしまったのである。

 私見では、これは何も朝日新聞だけのことではない、と思う。新聞、テレビ、雑誌などどのメディアでも程度の差こそあれ、やってきたことだ。

 ただ、今回の事件でもっとも朝日らしさがでているとすれば、それはやはり直接的に被害を与えた当事者をさておき、いかにも読者に向かって<検証記事>なるものを大々的に公表していることだ。

 いまさらいうまでもなく、田中康夫氏は知事になる以前から、ことメディアに関しては人一倍、いや人十倍も感度が高いひとである。知事になった後も、このようなアティチュードは不変、まったく変わっていない。おそらく我が国の知事に限らず、あまたいる政治家のなかで、もっともメディアそして情報感度が高い人物であると思う。

 朝日新聞の大きなそして不可逆的な廃嫡は、何度となく、問題解決する機会があったにもかかわらず、一貫して最も直近の被害を与えた当事者であるはずの田中知事に<ほうれん草>、すなわち報告、連絡、相談をせず、あたかも自分たちはこれだけ真摯に対応したんだぞとばかり、膨大な<検証記事>を公表したことだと、私は思っている。

 もちろん新聞にとって読者は大切であり重要である。だが、報道により直接被害を与えたひと、それがたとえ知事と言う、いつでも会見が開ける公人であれ、そのひとに接することなく、お詫びのアリバイづくりに精をだしたろころに、取り返しがつかないことがあったと考える

参考:   朝日新聞社の田中康夫知事への回答書(PDF) 

     面談録要旨(テキスト版)

第五回「渋谷コロキウム」(公開講演と対話)のお知らせ 青山貞一


第5回「渋谷コロキウム」
(公開講演と対話)のお知らせ

 
掲載日2005年10月15日

 第5回「渋谷コロキウム」(公開講演と対話)のお知らせ


テーマ:「ゴミ社会を考える」〜真の循環型社会づくり〜

講 演:「地域内資源循環の地域作り〜英国の事例を基に〜」
      中島 恵理 氏(環境省 水・大気環境局水環境課 課長補佐)
    「分権国家、カナダ・ノバスコシア州の循環型社会づくり」
      青山 貞一 先生(武蔵工業大学 環境情報学部 教授)

日 時: 平成17年11月28日(月) 18:00〜20:00

会 場: 渋谷エクセルホテル東急(渋谷マークシティ内)
      6階「プラネッツルーム」

アクセス:
http://www.shibuya-e.tokyuhotels.co.jp/ja/information/map/index.html

定 員: 100名(先着順)

参加費: 無料

主 催: 武蔵工業大学

共 催: 東急グループ

申込先: 武蔵工業大学 国際産官学連携室
     Tel:03-3703-3111(内線)2240〜2244
     E-mail:
sangaku@adm.musashi-tech.ac.jp

※個人情報に関しましては、本会の運営のみに使用させて頂きます。
※「コロキウム」という名称は、ラテン語のコロキウム(談話・会談)に由来し、
 講演だけでなく、参加される方々と対話させて頂きたいという考えから名付けました。

長野県議会の百条委員会のお行儀

 

 長野県議会ではこの夏から、百条委員会を設置しているが、どうみてもそのお行儀が良くない。松葉謙三弁護士は、県議会と地元マスメディアに要望書を出し、県庁で記者会見を行った。以下は要望書の全容である。 青山貞一


長野県議会及びマスメディア
への要望書


弁護士 松葉謙三

 

県議会議長 萩原清様
マスメディアの皆様


2005年10月11日
                      軽井沢法律事務所所長
                      弁護士 松  葉  謙  三



                要  望  書


要望の趣旨


百条委員会に関する「県と弁護士との委託契約」につき

1、偏った総務委員会の審議を改められたい。
2、偏った報道を改められたい。

要望の理由


第1、 百条委員会の審議の問題点


百条委員会の審議は、人権に十分に配慮し、また、民事訴訟法に則って、運営されなければなりません。しかるに、百条委員会には次のような人権上、民事訴訟法上の重要な問題点がありました。

1、呼び出し状について

証人の呼び出し状は、尋問日の前日夕方となることが多く、呼び出し状には、尋問予定時間も具体的な尋問事項も記載されておらず、証人の心構えもできず、仕事の段取りもできず、不当であると考えます。

2、待機時間と尋問時間について

呼び出しを受けて出頭しても、他の証人の尋問が続いているという理由で尋問が開始されず、午前10時に呼び出しを受けて、午後5時まで待機して結局その日は尋問がないことがあり、また、午後4時30分まで待機させ、午後4時30分から午後11時50分まで尋問を続けるという長時間待機、長時間尋問、深夜尋問という異常な状態であり、人権無視の嘗ての日本の尋問と同じ状態で、前近代的であり、証人の人権に配慮しているとは考えられない実情です。

6時間、7時間程度の長時間尋問が常態化しており、午後8時まで、午後9時間での尋問も常態化しており、ひどいのは、一人の証人に対し延11時間に及ぶ尋問や午後11時50分までの深夜尋問もあるなど、極めて異常な尋問といわざるを得ませんでした。

裁判所での民事訴訟においては、当然ながら、尋問時間が予定され、大幅に尋問時間を超えないようにしています。

3、「質問は、できる限り、個別的かつ具体的にしなければならない(規則第115条1項)。」について

証人尋問は、原則として、一問一答でなければなりません。しかるに、委員の質問は、自分の意見を長々と述べ、前提問題に自らの評価を加えたものを長々と述べたりした後、「その辺いかがですか」など、何が質問か分からないあいまいな質問が多い現状です。百条委員会は、事実を解明する場であり、委員の意見を述べる場所ではありません。「地方議会の常任委員会などで理事者とわたりあっているときの質疑や意見を述べている感じで委員会に臨んではいけない」とされているが(??207頁)、本委員会の尋問の仕方は、まさに、常任委員会での質問と同じように、長々と自分の意見を述べて質問しているが、一問一答の個別的かつ具体的な質問に改められなければなりません。

4、「誘導質問」をしてはならない(規則第115条2項2号)」「意見の陳述を求める質問」をしてはならない(規則第115条2項5号)」について

百条委員会は、事実を解明する場であり、委員の意見を述べることや、証人の意見を聞いたりする場所でもありません。

しかるに、委員の質問は長々と自分の意見を述べた後、「その辺のところ、現在どうお感じでしょうか」「どう思われますか」「どのように考えますか」など、証人に意見を求める尋問が極めて多い。また、自分の考えを述べて「そうですね」という質問も多く、誘導的な尋問が多く問題です。

5、「重複尋問」をしてはならない(規則第115条2項3号)」について

「もう一度お聞きします」「再度お聞きします」という質問が極めて多く、これは規則第115条2項3号に違反していると考えます。主たる尋問者や尋問予定時間を決めないまま、会派ごとに順番に尋問しているため、役割分担ができていないことが大きな原因であると考えます。

6、「証人に筆記を求めるのは例外であるべき」について

最近の8回の証人調べ期日の中で、4人に対し、「メモおこし」をさせている。昼食休憩時間中などに「メモおこし」をさせているが、ゆっくり昼食もできず、証人に負担が大きく、人権上も問題である。

証人尋問は、ニュアンスが重要であるが、筆記ではニュアンスは伝わりにくい。だからこそ「口頭で」証人尋問するのです。したがって、「メモおこし」をさせるのは、口頭では説明が難しいなどのごく例外的であるべきです。裁判所でも筆記させるのは極めて例外的であり、そのように運用されているのは問題です。

7、「証人を侮辱し、又は困惑させる質問をしてはならない(規則第115条2項1号)」について

委員会の以下の尋問における委員の発言は、人権上問題でありますが、資料2のとおり、極めて多い現状です。
 屐惶憶にない』という表現は本人の有利にならない」と発言しているが、ほんとに記憶にないことを記憶にないというのは当然であり、このような発言は、人権上問題です。
◆嵋椰佑僕利にならない」などという表現は、なんの証拠もなく、「偽証罪となる」というもので、人権上問題です。
「1回言ったことを変えていくことは偽証罪だと思う」などと言うが、古い話は細かい記憶がないことは当然であり、委員のこのような発言は人権上問題です。
ぁ屬匹舛蕕が偽証している」と言うことがあるが、それぞれの答えが違っていたからといってもそれぞれ記憶に基づいて証言すれば偽証罪にならないのであり、このような発言は人権上問題です。
ゾ攜世料阿法◆峙蕎攤瓩砲覆襪海箸あります」と委員長が発言することは当然ですが、個々の証言において、「偽証罪になる」などと発言することは、人権上問題です。
Α峙蕎擇量簑蠅琶杆郢里箸料蠱未魎泙瓩討靴新于瓩膿厂笋気擦討い燭世」などの発言は、人権上問題です。

犯罪の成立の確証もないのに、犯罪成立の予告をするのは人権上問題です。
このような尋問での委員の発言は、裁判所での民事訴訟では、ほとんどないことであり、民事訴訟規則に反するばかりでなく、人権に配慮がないのはもちろん、名誉毀損罪や脅迫罪などの犯罪を構成する可能性すらあり、控えるべきです。

8、「委員長の役割を果すべき」について

民事訴訟規則第115条3項は「裁判長は、質問が前項の規定に違反するものでありますと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。」と定めており、裁判長に相当する委員長は、委員が規則115条1項2項に反する尋問をした場合、制限すべきなのに、全く制限しないのは、委員長としての役割を果たしていないと考えます。

9、「イエス、ノー」を求める尋問について

副委員長は、知事に対する質問において、「イエス、ノー」で答えてもらえる尋問ばかりである」との前提で、知事が、質問に対し、「イエス、ノー」でなく、具体的に答えると、「イエス、ノー」で答えるよう要求しました。「イエス、ノー」で答える尋問は、典型的な誘導尋問であり、避けるべき尋問です。「イエス、ノー」でなく、具体的な答えを求めるのがあるべき尋問です。

10、まとめ

以上のとおり、委員会の証人尋問は、長時間尋問、深夜尋問、脅迫的尋問、重複尋問、意見を聞く尋問、誘導尋問など、民事訴訟規則に著しく違反しており、その結果、証人の人権を侵害している。

長時間尋問の結果をもたらしている原因は、事実を明らかにするという本来の目的であるはずなのに、自分の意見を長々と述べるという議員活動の悪い癖や会派の成果を示したいというプライドのため、会派ごとの順番のたらいまわし尋問をしていることです。

事実を明らかにすることが目的ならば、会派の順番ではなく、予め、委員の中で主たる尋問をする担当者を決め(委員長が望ましい)、その人を中心に、何をどのように尋問するか、を討論し、尋問予定時間を決めるべきです。そして、主たる尋問する委員が尋問をしたことを重複して尋問しないようにして、重複しない補充尋問をすべきです。

第2、 10月7日の総務委員会の偏った審議
以上のとおり、百条委員会の審議は多くの問題点があることを、私は知事に進言し、知事において私の意見を取り入れていただき、議長に対し、百条委員会に意見を述べ、議長もその意見を取り入れられ、百条委員会の審議も改められつつあります。

しかるに、総務委員会においては、

1、 松葉が百条委員会の証人になる可能性があるから、その弁護士と百条委員会についての委託契約をするのは問題である。委託契約を解除すべきである。

2、 松葉は政務調査費につても監査請求をしているが、その費用も払っているのではないか。

3、 百条委が行う委員会運営に県が関与しようとするのは問題だ。百条委員会は、議会がしているのであり、きちんと法律に従ってやっているから、県当局が弁護士を依頼するのはおかしい。

4、 「資料は不存在」とか、証人が「記憶がない」としているのは、」弁護士と相談している、のではないか。

5、 真実の解明を阻止するために、弁護士を雇っているのではないか。

6、 委託契約を締結しなくても、その都度、契約弁護士に相談すればよい。などの議論がなされている。

7、 百条委員会は、ほとんどの弁護士にとって経験がないことであり、専門書籍を読んだり、委員会や提出記録を読んだり、自分で考えたりする必要があり、どの弁護士にとっても相当の勉強を要します。したがって、相談時間以外に多くの時間を要し、個々の相談で応じることが出来る仕事ではありません。相談時間や傍聴時間以外の多くの時間を使わざるを得ません。

8、 私は、忙しい時間の中で、出来る限り百条委員会を傍聴し、記録を閲覧し、この百条委員会が、人権を配慮しているか、地方自治法や民事訴訟法に従っているか、などを検討し、県当局に意見を述べてきました。

9、 証人になり可能性があってもなんら、不都合な点はないと考えます、証人になる可能性があると、県当局に、意見を言うのにどのような問題があるのでしょうか。私が、第1項で述べた意見にどんな偏ったものがあったでしょうか。議員の意見は抽象論に終始し、なんら具体的なものではありません。

10、私は、百条委員会の審議の仕方についての法的アドバイスを求められているものであり、個々の証人にアドバイスをしたことは、一切ありません。もちろん、政務調査費の調査のために、県から報酬をいただいたことはありません。

以上のとおり、総務委員会の議論は、事実に反し、偏ったものといわざるを得ません。


第3、 偏ったマスコミ報道及びマスコミの見識を疑う

1、 総務委員会があった後、2つの新聞社の記者から、聴き取りがありました。質問は、「総務委員会で、百条委員会についての委託契約が問題となったが、どう考えるか」「委託契約に基づきどんなことをしたか」などでした。

2、 私は、「百条委員会の審議の仕方につき、人権に配慮しているか、民事訴訟に従っているか、などをアドバイスしている」

3、 「百条委員会の審議には多くの問題があり、例えば、会派ごとに順番に少しづつ質問したりしているため、同じ質問が多く、尋問時間も長時間になり、深夜まで及び、人権上問題である。」「自分の意見を長々と述べた後、その辺どうですか」などあいまいな質問が多いため、回答者も長々と答えざるを得なくなっており、長時間な尋問の原因となっている。」

4、 「イエス、ノーを求める尋問もだめな質問である」「証人になる可能性があることと百条委員会の法的アドバイスすることは無関係で、何の不都合もない。どんな不都合があるか、議員さんに聞きたいですね」などと答えました。

5、 このように、記者の方々にキチンと疑問に答えているのに、その報道は、総務委員会の議論を詳しく述べる一方で、朝日新聞は「百条委での尋問の受け方などについて、弁護士としてアドバイスしているだけで、問題があると考えていない」と記載し、信濃毎日新聞は「県に偏ったアドバイスをするわけではない」などと、私の意見はごくわずかで、説得力のない、しかも間違った発言(個々の証人に「尋問の受け方」などをアドバイスしたことはなく、記者にそのように答えたことはない)を記載しています。

6、 マスメディアの皆様は、いったい、百条委員会の運営につき、前記のような人権上大きな問題があり、そのような運営が長々と続けられてきたことをどのように考えておられるのでしょうか。10月7日の総務委員会の議論が正しいと考えられているのでしょうか。

7、 私は、百条委員会のひどい実情につき、県民の人権を守る責務がある県当局が、改善を求めることは当然のことであると考えます。

8、 しかるに、マスメディアの皆様は、私、松葉の言い分をほとんど書かず、批判する記事を書き、総務委員会の一方的な意見を無批判どころか、支持する報道しか出来ないのは、偏った報道といわざるを得ません。マスメディアの皆様のご意見をお聞かせください。

第4、 結語

長野県議会議長萩原清様はじめ県議会議員諸氏の皆様も、マスメディアの皆様も、事実を見極め、公正な議論と報道をされることを強く要望する次第です。

 

2005年度 環境行政改革フォーラム総会+研究発表会ご案内

2005年度
環境行政改革フォーラム
総会+研究発表会のご案内
 論文募集のご案内


 環境行政改革フォーラム(代表幹事 青山貞)では、毎年秋に一般研究発表会をしております。2005年度総会(研究発表会)を下記要領で開催いたします。つきましては、広くフォーラムメンバー以外の皆様(研究者、市民グループ、NGO、研究グループ、個人)から参加を募りますので、ふるってご応募頂きますようご案内いたします。

●環境行政改革フォーラム 研究発表会

1.総会テーマ:(仮)大丈夫か日本の環境政策
         〜市民的視座からあるべき環境政策を考える〜

2.日時:2005年12月11日(日)午前10時〜午後7時まで
     ※会場は9時から借りていますが、準備等のため開始時間
      は午前10時を想定しています。

3.会場:ちよだプラットフォームスクエア
     住 所:〒101-0054 千代田区神田錦町3丁目21番地
     電 話:03−3233−1511
     FAX:03−3233−1501
      
http://www.yamori.jp/

4.交通

<地下鉄>■竹橋駅下車徒歩5分
(東西線・3b・KKRホテル 東京玄関前出口)
         ■神保町駅下車徒歩10分
(三田線・新宿線・半蔵門線A8出口)
    <JR>   ■神田駅下車徒歩15分
(西口出口・出世不動通り)
  会場案内地図:
http://www.yamori.jp/map.htm


<<発表論文募集要領>> 

1.テーマ及び概要の締め切: 10月20日

2.原稿締め切り        10月31日

 発表希望者は発表テーマ(論文、報告、政策提案等)、発表者氏名、所属、200字程度の概要を以下までメールでお送り下さい。テーマは、環境行政改革フォーラムの設立の目的、主旨に関連するものとします。フォーラムの会員以外からの発表も歓迎いたします。発表および予稿集への掲載には会員外でも費用はかかりません。

3.提出先

 環境行政改革フォーラム事務局
 2005年度総会一般研究発表係
 担当:鷹取敦幹事 
takatori@eritokyo.jp 及び
    池田事務局長 
ikeda@eritokyo.jp まで

 幹事会及び事務局で審査の上、本文の執筆依頼を出します。

4.提出論文、報告、提案等の様式

 分量はA4判、本文は原則として明朝体で9〜10ポイント、タイトルはゴシック体12ポイントとし、行数は1頁45行、4頁とします。
それより多くなる場合は、ご相談下さい。

 提出可能本数は、原則として発表者1名につき2本までとします。 ただし連名、団体の発表の場合には、発表の代表者(ファーストオーサー)でなければ2本以上に名前を掲載しても構いません。

 執筆はワープロは、マイクロソフトワードか一太郎を使って下さい。 例年と同様、予稿集を出しますので、研究者だけでなく、NPO/NGO、大学生、学生などからの応募もお待ちしています。

◆参加申し込み・連絡先

 環境行政改革フォーラム事務局 池田こみち、鷹取敦、斉藤真実
 電話 03−5759−1690
 FAX  03−5759−1890
 いずれも環境総合研究所気付
 eメール:池田事務局長 
ikeda@eritokyo.jp 、鷹取敦幹事 takatori@eritokyo.jp 

 なお、会員の場合でも参加希望者は、お申し込み下さい。
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2005年度環境行政改革フォーラム 総会
一般研究発表 申し込み
(2005/9/26現在)

(1)「天然の干潟を残す知恵とそれを活かす仕組み」

山本茂雄
 全国で最大規模の人工干潟造成(600ha)を行った愛知県。しかし、その効果は漁業水産分野では全く現れておらず、港湾施設拡張のため埋立を待つばかりとなっていた天然干潟(六条潟)が、人工干潟にアサリ稚貝を供給し、衰退し続ける沿岸漁業の代表のアサリ漁を支えている実態を明らかにする。
(A4 6枚程度)

(2)「布オムツリユース」
山本茂雄
 便利で手軽な紙オムツと布オムツの多面的な比較とその使い方について、現在勤務している医療福祉法人を例にとって発表します。

(3)「圏央道 裏高尾裁判の地裁判決について」
鷹取敦
 6月1日に東京地裁で出された、圏央道八王子ジャンクション事業認定取り消し裁判の判決の概要とその問題点について解説する。

(4)「諫早湾・不毛の対立から抜け出せ」
諫早干潟緊急救済本部 大島弘三
 50年前に構想が始まった諫早湾干拓事業は、この間地域社会に多くの摩擦と多額の税金の浪費、さらに有明海沿岸漁民の自殺者まで出しながら継続されて来た。私達の円卓会議の呼びかけに対して、聞く耳を持たない地元のトップ。この不毛の対立は、次世代に何を引き継ぐのか。諫早の現況を報告し、打開の道を探る。

(5)足尾鉱毒事件と田中正造の質問主意書(仮)
田中信一郎
明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士後期課程、環境行政改革フォーラム幹事 足尾鉱毒事件に対する田中正造の質問主意書がどのようなものだったのかを明らかにすることで、環境問題に取り組む際の質問主意書の重要性を示す。 パワーポイント使用

(6)「自動車排ガスによるPAH汚染について〜DIOXIN2005参加報告〜」
鷹取敦
 ディーゼル車・ガソリン車によるPAH汚染について、日本では十分な調査が行われていない。全国自治体による有害物質汚染調査においても近年ではPAHは調査対象から外されてしまった。一方、諸外国の調査により自動車排ガスによるPAH汚染の実態が明らかになりつつある。日本における調査に提案と合わせて、概要を報告。

(7)「新たなPCBといわれるPBDE汚染についての現状と課題」
池田こみち
 ダイオキシン問題はこの10年の取組で相当程度改善が見られているが、その一方で、PBDEやPAHなどが大きくクローズアップされてきている。特にPBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)は、消費財に大量に使用されている難燃剤、防炎剤などの原料であり、環境中の濃度もダイオキシンに反比例するかたちで高濃度が検出されている。日本での規制についてはしばらく先になりそうだが、国際的な動向も含めて現状と課題を整理する。

(8)豊川水系・設楽ダム建設計画は、取り止めを含めて見直すべきである
市野和夫(地域環境論・愛知大学)
 国交省中部整備局によって、設楽ダム計画の環境影響評価の手続きが始められたが、致命的なことは、事業計画の基本的前提が欠けていることである。小手先の技術的な改良で済まされるような問題ではなく、豊川水系の河川整備基本方針・整備計画の再検討から抜本的にやり直すことが必要である。
★原稿ファイル受領済み(A4×4頁)

(9)官僚主義のレポート 

−アスベスト問題に対する過去の対応を検証した省庁のレポートの問題点とは?−
大内加寿子(アスベストについて考える会)
 2005年8月26日、政府はアスベスト問題に対する過去の対応についての検証を発表した。厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境庁…「速やかに対応した」「妥当な対応であった」「やむを得ない」。重大な問題を覆い隠す曖昧さとごまかし。自らの対応に間違いがなかったことを証明するための検証が何を生み出すのか?そのような官僚主義こそがアスベスト問題を生み出してきたのではないのか?無力感すら感じさせる「官僚の検証」の問題点を探る。

(10)有価物に名を借りた廃棄物の不法投棄への対応
〜長野県北信地域における具体的事例〜

青山貞一 武蔵工業大学環境情報学部
 わが国では長野県に限らず全国各地で、「堆肥モドキ」や「木屑チップ」など、本来、廃棄物であるものが有価物と称することで農地などに不法投棄されている。とくに下水汚泥を原料とした「堆肥モドキ」や建設廃材を原料とした「木屑チップ」は、亜鉛、銅、鉛、カドミ、砒素などの高濃度の重金属類が含まれることが多く、結果として農地の土壌さらには地下水の汚染をもたらす。本論では、長野県北信地域で実際に起こった具体的事例をもとに、生活環境部と農政部による行政横断的対応について報告する。

(11)信州・長野県廃棄物条例(案)の特徴
〜主として県民参加との関連において〜

○青山貞一 武蔵工業大学環境情報学部
梶山正三 丹沢やまなみ法律事務所
北村喜宣 上智大学法学部
○:報告者

 信州・長野県では全国都道府県に先駆け、現行の廃棄物処理法が有する諸課題を解決すべく条例案の策定を試みている。本論では、同条例案のうち、とくに以下に記す県民参加にかかわる条項についてその概要を報告する。
 ”塰‥蟯における排出事業者への勧告・公表・命令、
 発生抑制・資源化計画への参加、
 4超モニタリングへの参加、
 じ民環境協議会への参加、
 ス埓権限発動請求への参加

(12)ノバスコシア州におけるゼロ・ウェイストのその後
    〜第3次視察を踏まえて〜

 ○斉藤真実  環境総合研究所
  池田こみち 同上
 カナダ、ノバスコシア州におけるその後のゼロ・ウェイストの取組状況に  ついて視察を踏まえて報告する。成功の鍵を握るNGO「RRFB」の役割を中心
  に。

民営化も何のその! 既成事実の積み重ねで進む巨大道路建設(圏央道)


民営化もなんのその!
既成事実の積み重ねで進む
巨大道路道建設(圏央道)
〜中央道からその現場を見る〜


青山 貞一

掲載日:2005.10.1

無断転載禁


 2005年10月1日、道路公団民営化の一環として日本道路公団などが6つの株式会社となり、債務返済のため独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が、6社の料金収入から管理費を引いた分で進めると言う。

 だが、鳴り物入りで進められてきた小泉政権の道路公団民営化で幹線道路の建設が止まったのは、全国でわずか140数kmのみ、その他の計画路線はもともと建設が決まっていたとして、政府のお墨付きで巨大な道路建設が進められている。

 10月1日、このところ一段と政府の広報機関と成り下がっているテレビ各局は、道路公団の民営化で、ETC料金が何%割り引きなるとか、サービスエリアでこんなものが売られるようになるなど、およそ本質とかけ離れた広報番組を特番としていた。

 株式会社化された道路公団には、国土交通省や旧道路公団などから社長はじめ役員にたくさんの天下りが行く。サービスエリアにある会社にも、今まで通り多くの官僚組織の関連会社が参入する。しかも、株式会社化されたことにより、情報公開は一段と後退することが懸念されている。

 道路公団民営化によって、40兆円を超える累積債務を40年間で返済すると政府は言っているが、誰もそんなこと信じていない。不要な道路を作りつづけている限り、40年はおろか、50年経っても債務返済は不可能だ。

 そもそも小泉首相はじめほとんど全部の責任者は40年後はもとより、20年後でもこの世に生きているひとはいないはずだ。


高速道6社、正式発足 4公団民営化

収益重視の経営目指す

 「小泉改革」の目玉の一つである道路関係四公団民営化で誕生した六つの高速道路会社が一日、正式に発足した。トップにいずれも民間出身者が就き、当面、政府などが全額出資する特殊会社として経営に当たる。約四十兆円に上る債務を四十五年以内で返済するため、四公団時代の高コスト体質を改善し、収益性を重視した経営を目指す。

 日本道路公団は、東日本(本社東京都)、中日本(同名古屋市)、西日本(同大阪市)の三社に分割された。首都、阪神両高速道路公団と本州四国連絡橋公団は、従来の事業をそのまま引き継ぐ形で三つの民営化会社に移行した。

 債務返済は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が、六社の料金収入から管理費を引いた分で進める。

東京新聞2005.10.1


 以下の写真は、首都圏で第二東名とともに最大規模の道路建設工事である首都圏中央自動車連絡道(通称、圏央道)の東京都部分である。

 ここでは、東京に残された最後の自然の宝庫、高尾山を切り開き、巨大な自然破壊が公共事業として行われている。

 写真はその裏高尾地域で連日進められている圏央道裏高尾ジャンクションの建設現場をそれと交差する中央道上を走行するバスから筆者が撮影したものである。

 裏高尾JCT予定地では、自然保護団体、地域住民などの激しい反対運動、建設工事差し止め訴訟、土地収用事業認定・収用採決決定に関わる抗告訴訟などの裁判が起きている。

 にもかかわらず、国土交通省、道路公団、東京都、八王子市などは、「そこのけ、そこのけ道路が通る」、そして「道路が通れば道理が引っ込む」とばかり、着々と既成事実を積み上げ、巨大な高速道路建設を今日も進めている。


 以下の写真は下の3次元流体シミュレーション図の中心、
 すなわち中央道と圏央道の交差する部分で撮影しています。

出典:環境総合研究所
 
     
      
      
      

<関連するコラム、報告、声明、意見広告、学術論文>

鷹取敦:横浜環状南線(圏央道)質問集会〜大気汚染予測編〜

青山貞一:大気汚染に関する予測・評価技術、環境アセスメント学会誌vol3.no2(PDF)

鷹取敦:高尾山の自然と生活環境を守る天狗集会参加記

意見広告:高尾山が泣いている!

http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama--col3017.html

http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/takatori-col0015.html
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